JP5027943B1 - 生餌用クーラーセット - Google Patents

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Abstract

【課題】 生餌を釣り場まで死なせることなく移送することができるクーラーセットを提供する。
【解決手段】底面近傍に水を蓄える断熱性箱状のボックス本体と、平面視で前記ボックス本体の略中央部に、正面視で底面から前記ボックス本体の高さの約1/4〜1/2のいずれかの位置まで離隔させて、前記位置より上部の前記ボックス本体内を、酸素供給室と餌取出し室とに二分するように垂直方向に配設した仕切板と、前記酸素供給室の上部に水平方向に設けられ、前記酸素供給室を密閉する密閉板と、前記密閉板の上に設けられ、前記酸素供給室に供給された酸素を前記ボックス本体底面近傍に蓄えられる水の中に供給する空気ポンプと、前記餌取出し室内における前記仕切板の下端部近傍に水平方向に設けられ上下方向で開閉可能な板状の波消し浮動板と、を含む構成要素とする生餌用クーラーセットを実現させたことにより課題解決できた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、魚釣り用の生の餌を、生きた状態を維持しながら移送するための生餌用のクーラーセットに関するものである。
従来から、藻エビなどの生餌を移送するには、水を張ったケースにその生餌を入れ、空気ポンプで外気を循環させる手段が採られている。
例えば、特許文献1には、自動販売機内に収納された個々の容器に生餌を入れ、保湿剤と酸素を封入し密封させ、自動販売機内に展示する装置が開示されている。
また、特許文献2には、携帯型の生餌ケースに酸素ボンベを併設し、空気ポンプを使用せず直接酸素ボンベからの圧力で水中へ酸素を供給する装置が開示されている。
また、特許文献3には、鮮度保持箱内の上部にカバーを設け、電源供給用乾電池、エアー供給ポンプなどを制御ボタンと共に各々の凹室に内蔵し取付けたものが開示されている。
特開2004−357605号公報 実用新案登録第3102217号公報 実用新案登録第3140075号公報
しかし、上記従来技術では、釣り場に移動中に、生餌が水中の酸素濃度の低下や温度上昇等によって死んでしまうといった問題があった。
例えば、特許文献1に記載の技術は、生餌を自動販売機内で長時間生かすことを主な目的としているため、自動販売機内での保存時間が長くなると自動販売機から取り出したときからの残時間が短くなり釣り人からみれば生餌を長時間生かすことができないとい問題があり、また釣り人が自動販売機から釣り場まで移動する時間が長ければ弱ってしまうという問題があった。また、複数の小さい生餌容器で構成されているために持ち帰る場合に嵩張ってしまうという問題や、持ち帰らない場合には釣り場にゴミとして廃棄されるという問題があった。
また、特許文献2に記載の技術は、酸素ボンベから水槽内の水中へ、酸素ボンベ内の圧力を利用して直接に噴出させているため酸素過多になりやすい。あるいは酸素ボンベからの供給間隔が長くなり過ぎると酸素不足となり易い。また、生餌の種類によっては酸素濃度を変更する必要があるなどの問題があった。
また、生餌を取り出すときに携帯型生け簀箱の蓋を開けるが、そのときに水槽のすべての水面が開放空間に接するため、携帯型生け簀箱の空中の酸素濃度が生餌を取り出すごとに薄まるという問題があった。
さらに、酸素ボンベから直接水槽内に酸素ガスを噴出させるだけなので、噴出された酸素の泡は噴出口からすぐに垂直方向に向かって上昇し、水槽全域に酸素の泡が行き渡りにくいという問題があった。さらに、酸素ボンベを常に水槽部と一体的に携帯しなければならないので、酸素ボンベ付の多機能魚箱が重たく持ち歩きにくいという問題があった。
特許文献3に記載の技術は、鮮度保持箱内に長穴部を設けて電池、空気ポンプ、制御ボタンを取付け、その長穴部の上蓋を取付ネジによって固定して気密性を維持している。従って、釣り場で電池切れなどが発生することを踏まえて、上蓋を取り外すための工具(ドライバーなど)を用意する必要がある。また、空気ポンプを設置している凹室は気密構造であり防水構造なので、空気ポンプが故障した場合も上蓋を取り外すための工具を用意する必要があり、使用性が悪いという問題があった。
また、酸素ボンベ又は酸素缶の記載がみられないので、酸素の濃度の低い空気の供給であるので、生餌が長時間生きにくいという問題があった。
さらに、空気の供給を行うエア供給ポンプセットについては、特許文献3の段落[0013]にエア供給ポンプセットは、モータ、エアバルブ及び管路からなる構成であると記載があり、この構成では空気の泡は管の先端部から真っ直ぐ上方に向けていくので、空気の泡を水槽内に万遍なく行き渡らせることが困難であるという問題があった。
さらに、特許文献2や特許文献3の技術には、温度についての記載が見当たらない。水槽内の水温が20℃超になると生餌は、死んだり又は弱ってしまうという問題があった。
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、生餌を取り出すごとに蓋を開放しても適度な酸素濃度を水槽内で長時間維持しやすく、酸素の泡を水槽内全域に行き渡らせやすく、水の温度を上昇し過ぎないようにでき、生餌を釣り場まで長時間生きたままの新鮮な状態で移送することができ、かつ、使用性に優れる生餌用のクーラーセットを提供することを課題とする。
請求項1に記載の生餌用クーラーセット1は、魚釣り用の生餌を移送するためのクーラーセットであって、底面近傍に水を蓄える断熱性箱状のボックス本体10と、平面視で前記ボックス本体10の略中央部に、正面視で底面から前記ボックス本体10の高さの1/4〜1/2のいずれかの位置まで離隔させて、前記位置より上部の前記ボックス本体10内を、酸素供給室11と餌取出し室12とに二分するように垂直方向に配設した仕切板20と、前記酸素供給室11の上部に水平方向に設けられ、前記酸素供給室11を密閉する密閉板30と、前記密閉板30の上に設けられ、前記酸素供給室11に供給された酸素を前記ボックス本体10底面近傍に蓄えられる水の中に供給する空気ポンプ50と、前記餌取出し室12内における前記仕切板20の下端部近傍に水平方向に設けられ上下方向で開閉可能な板状の波消し浮動板60と、を含む構成要素からなることを特徴とする。なお、酸素供給室11への酸素の供給には、酸素缶40を用いることができる。
請求項2に記載の生餌用クーラーセット1は、請求項1において、一端が前記空気ポンプ50に連結され、他端が前記酸素供給室11内に延設された短尺状の第一チューブ51と、一端が前記空気ポンプ50に連結され、他端が平面視で前記酸素供給室11側の前記ボックス本体10底面近傍まで延設された長尺状の第二チューブ52と、前記第二チューブ52の前記ボックス本体10底面近傍まで延設された端部に接続され、平面視で前記酸素供給室11側の前記ボックス本体10底面上に載置されたエアストーン53と、前記仕切板20の下方であって前記エアストーン53の上部に、かつ正面視で前記酸素供給室11側を高く前記餌取出し室12側を低く斜めに配設された、格子状のメッシュ及び/又は直径1〜5mmの孔を複数設けた板状の泡誘導板54と、を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の生餌用クーラーセット1は、請求項1または2において、前記密閉板30に穿孔し螺刻した餌入れ用の開口部に螺設する餌入れキャップ31に設けた、又は前記密閉板30上に設けた、酸素注入口34と、前記酸素供給室11に供給された酸素の逆流を防止するために前記酸素注入口34に連通した流路に配設した逆流防止弁32と、前記酸素供給室11が前記酸素の供給過多によって高圧になった際に、前記酸素を自動的に排出する圧力抜き弁33と、を配設することを特徴とする。
請求項4に記載の生餌用クーラーセット1は、請求項3において、前記逆流防止弁32が、酸素注入口34側に配設されたボール32aと酸素流出側に配設されたバネ32bとを含む構成であり、前記ボール32aに接する、構成部材ではない酸素缶40からの酸素チューブ41の先端部の形態を、前記先端部の先端から酸素缶側に向けて少なくとも1つ以上の長穴部41aを設け、かつ前記先端部近傍に前記酸素チューブ41の外周壁面又は内周壁面に環状のリング42を周設したことを特徴とする。
請求項5に記載の生餌用クーラーセット1は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、上蓋16を含むボックス本体10に断熱材を使用し、かつボックス本体10内に保冷剤71を内設したことを特徴とする。
請求項1に記載の生餌用クーラーセット1は、底面側の開放部を除いて上側のクーラー内の空間を酸素供給室11と餌取出し室12とに二分させたので、餌を取り出すときに上蓋16を開放してもクーラー外の大気に接する部分がクーラーの略半分の領域に留まるので、生餌用クーラーセット1内の酸素が放出されにくいという効果を奏する。
また、前記餌取出し室12側の上蓋16を開放したときにおいて、酸素供給室11側の空間は、酸素供給室11側の上蓋16は閉じられたままでありかつ密閉板30で閉じられた密閉空間なので、酸素による圧力が加わった状態を維持している。このことから、空中の酸素が放出されにくく、水槽内の酸素濃度が変わらないという効果を奏する。これにより、水中の生餌を生きた新鮮な状態で長時間維持することができる。
水槽内の水面に対し、酸素供給室11側の水面には酸素の圧力がかかり、一方餌取出し室12側の水面にはほとんど水面と接する高さの位置に波消し浮動板60が配設してあるので、前記波消し浮動板60によって、移動中の波が抑えられることから、水が搖動しにくくなり、水中の酸素が放出されにくく、かつ生餌も搖動により疲労することもないという効果を奏する。
酸素供給室11内に酸素缶40(市販の物)から噴出させた酸素濃度が約95%酸素を酸素供給室11内の空間で空気と酸素とを混合させて酸素濃度を低下させる。これは酸素濃度が異なることによって生餌の種類の中で死滅する種類があるからである。前記酸素濃度は、酸素供給室11内の空間の圧力を調整することによって間接的に調整することができ、使用する生餌に応じて間接的に酸素濃度を調整することができる。そして、混合された酸素を空気ポンプ50によって水の中に供給するので、長時間にわたって連続的に一定濃度の酸素を供給することができるという効果を奏する。
請求項2に記載の生餌用クーラーセット1は、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏する。また、第一チューブ51、第二チューブ52、エアストーン53及び泡誘導板54を備えるので、酸素を水槽内全域に亘り確実に供給することができるという効果を奏する。これにより、生餌をさらに新鮮に維持することができる。
請求項3に記載の生餌用クーラーセット1は、請求項1又は2に記載の発明と効果を奏する。圧力抜き弁33は、酸素供給室11内の圧力を調整し維持することができるので、酸素の流入量を調整することができ間接的に酸素供給室11内の酸素濃度を調整することができる。
したがって、逆流防止弁32と圧力抜き弁33を備えるので酸素供給室11の酸素濃度を適度に長時間保つことができ、その酸素を水中に供給することができる。これにより、長時間にわたって生餌を新鮮な状態で維持することができる。
また、餌入れキャップ31に、酸素注入口34、逆流防止弁32及び圧力抜き弁33を配設する場合は、餌入れするときには酸素供給室11側から餌入れキャップ31を取り除いて餌を入れるが、そのときに餌入れキャップ31の取外しとともに、酸素注入口34、逆流防止弁及32び圧力抜き弁33がいっしょに取り外されるので、餌入れ用の開口部を広く確保することができ、餌入れ作業がさっと楽にできるという効果を奏する。
請求項4に記載の生餌用クーラーセット1は、請求項3に記載の発明と同様の効果を発揮する。さらに、酸素缶40からの酸素を供給するときに、逆流防止弁32の酸素注入口34側に位置するボール32aに酸素チューブ41の先端を密着させても前記酸素チューブ41の先端部の形状が維持されやすく、酸素の流路が確保されるという効果を奏する。
請求項5に記載の生餌用クーラーセット1は、請求項1乃至4に記載のいずれかの発明と同様の効果を発揮する。さらに、ボックス本体10内の水Wの温度上昇を抑制して生餌を長時間にわたって弱らせないという効果を奏する。
本発明の実施形態に係る生餌用クーラーセットを示す斜視図である。 図1に示すクーラーセットを示す平面図である(上蓋を全開した状態)。 図1に示すクーラーセットのX−X断面図である。 本発明の他の実施形態に係る生餌用クーラーセットを示す斜視図である(泡誘導板を示す)。 図3における逆流防止弁及び圧力抜き弁の範囲に酸素チューブを追加した概要拡大図である。 リング未装着時の酸素チューブの先端部付近の概要図である。 本発明の実施形態に係るクーラーセットに使用する酸素缶及び酸素チューブを示す斜視図である。
本発明に係る生餌用クーラーセット1の実施形態を、図1乃至図7に示す。本発明は、魚釣り用の生餌を移送するためのクーラーセットであって、底面近傍に水を蓄える断熱性箱状のボックス本体10と、平面視で前記ボックス本体10の略中央部に、正面視で底面から前記ボックス本体10の高さの1/4〜1/2のいずれかの位置まで離隔させて、前記位置より上部の前記ボックス本体内を、酸素供給室11と餌取出し室12とに二分するように垂直方向に配設した仕切板20と、前記酸素供給室11の上部に水平方向に設けられ、前記酸素供給室11を密閉する密閉板30と、前記密閉板30の上に設けられ、前記酸素供給室11に供給された酸素を前記ボックス本体10底面近傍に蓄えられる水Wの中に供給する空気ポンプ50と、前記餌取出し室12内における前記仕切板20の下端部近傍に水平方向に設けられ上下方向で開閉可能な板状の波消し浮動板60と、を含む構成要素からなる。
また、本発明に係る生餌用クーラーセット1のボックス本体10内における酸素の循環に係る構成要素は、一端が前記空気ポンプ50に連結され、他端が前記酸素供給室11内に延設された短尺状の第一チューブ51と、一端が前記空気ポンプ50に連結され、他端が平面視で前記酸素供給室11側の前記ボックス本体10底面近傍まで延設された長尺状の第二チューブ52と、前記第二チューブ52の前記ボックス本体10底面近傍まで延設された端部に接続され、平面視で前記酸素供給室11側の前記ボックス本体10底面上に載置されたエアストーン53と、前記仕切板20の下方であって前記エアストーン53の上部に、かつ正面視で前記酸素供給室11側を高く前記餌取出し室12側を低く斜めに配設された、格子状のメッシュ及び/又は直径1〜5mmの孔を複数設けた板状の泡誘導板54と、を含む構成要素からなる。
さらに、本発明に係る生餌用クーラーセット1の酸素供給室11内における酸素の圧力の調整及び維持に係る構成要素は、前記密閉板30に穿孔し螺刻した餌入れ用の開口部に螺設する餌入れキャップ31に設けた、又は前記密閉板30上に設けた、酸素注入口34と、前記酸素供給室11に供給された酸素の逆流を防止するために前記酸素注入口34に連通した流路に配設した逆流防止弁32と、前記酸素供給室11が前記酸素の供給過多によって高圧になった際に、前記酸素を自動的に排出する圧力抜き弁33と、を含む構成要素からなる。
以下に、本発明に係る生餌用クーラーセット1の構成要素について説明する。
ボックス本体10は、釣り人が容易に携帯できる大きさの箱状であり、発泡スチロールなどの軽量で断熱効果のあるもので形成されている。ボックス本体10の内部には、生餌用の水Wを入れ、水中に生きた状態の生餌を入れている。水Wは真水、淡水又は海水など生餌が生息可能な水であればよい。
ボックス本体10の周囲には、物入れ用のゴム製の網部材14が取付けられている。この網部材14とボックス本体10との間に、酸素缶40や他の小物を収納することができる。なお、このボックス本体10には、肩掛けベルト15や水抜き栓10aが取付けられている。
ボックス本体10を断熱材で作ることによって、ボックス本体10内の水Wの温度上昇を防止することができ、これによって、生餌を新鮮な状態で長時間維持することができる。
仕切板20は、ボックス本体10のほぼ中間部に、正面視で底面から前記ボックス本体の高さの1/4〜1/2のいずれかの位置まで離隔させて、前記位置より上部の前記ボックス本体内を、酸素供給室と餌取出し室とに二分するように垂直方向に配置されており、前記仕切板20の下端部より下方には開放部20aが形成されている。
この仕切板20によって、ボックス本体10の内部を、酸素供給室11と餌取出し室12とに二分している。また、開放部20aによって、水中の生餌は、平面視で酸素供給室11側と餌取出し室12側との間を自由に行き来することができる。
そして、水Wは仕切板20の下端部より上方の高さまで入れ、ボックス本体10を傾けた場合でも、仕切板20の下端部が空中に現れないように、酸素供給室11と餌取出し室12とが空間部で連通しないように水Wを注水する。酸素供給室11と餌取出し室12とが空間部で連通させないようにすることにより、生餌を取り出すときにおいても酸素供給室11の酸素の濃度や圧力が維持されるという効果が生じる。
酸素供給室11の上端部と餌取出し室12の上端部(共に、ボックス本体10の上端部)には上蓋16が取付けられている。上蓋16は、酸素供給室11と餌取出し室12の両室の上端部を同時に覆う一体型の形態、又は酸素供給室11用と餌取出し室12用との上端部を別々に覆う分離型の形態でもよい。
また、前記上蓋16は、開閉型又は取外し型のどちらの形態でもよい。開閉型の場合は前記上蓋16はパッチン錠17によって開閉自在とされ、取外し型の場合は前記上蓋16はボックス本体10の上縁部の外周部に嵌設し着脱できるように取り付けられている。
餌取出し室12側の上蓋16の内側には中蓋19が設けられており、前記中蓋19の裏面側には、袋体部70を設け、前記袋体部70には保冷剤71を内挿する。前記保冷剤71は、ボックス本体10内の空間及び水の温度上昇を抑制するので、水中の生餌が温度上昇より弱るのを防止することができる。本発明は、前記ボックス本体10の断熱材と、前記中蓋19に取り付けた袋体部70に内挿した保冷剤71とによって、ボックス本体10内の水Wの温度上昇を抑制させる効果を向上させている。
密閉板30は、酸素供給室11の上部に水平方向に設けられた透明の板であり、酸素供給室11の上端部を密閉する。この密閉板30によって酸素供給室11の密閉性を保つ。また、透明としたことで、水中の生餌を視認することができる。
密閉板30には、生餌を投入するための、螺着式の餌入れキャップ31を設けている。この餌入れキャップ31を外すことで形成される開口部から生餌を投入することができる。また、この餌入れキャップ31には逆流防止弁32が取付けられている。この逆流防止弁32を通して、酸素缶40からの酸素が酸素供給室11へ供給される。また、酸素供給室11に供給された酸素が逆流しないように、前記逆流防止弁32が作用する。
逆流防止弁32は、弁室32cにステンレス製のバネ(スプリングコイル)32bを挿入し、そのバネ32bの上に同様にステンレス製のボール32aを載置して構成している(図5参照)。弁室32cには複数の酸素流出孔32dを形成し、そこを通して酸素を酸素供給室11に注入している。
また、餌入れキャップ31には、酸素供給室11に設定圧力超の圧力になるまで酸素が注入された場合に、その酸素供給室11内が高圧になるのを防ぐための圧力抜き弁33が設けられている(図5参照)。この圧力抜き弁33は、圧力室33aと、その中に配置され、酸素供給室11内の高圧によって浮動する弁33bと、圧力室33aに連通する圧力排出穴33cと、圧力を設定する圧力調整ツマミ33dとを備える。前記弁33bの形態は、球体状の弁や平板状の弁など、バネと気体の圧力との差で開口部を開閉可能な形態であればいずれの形態でもよい。
そして、圧力調整ツマミ33dを左回転又は右回転させることにより、バネ33eの収縮又は伸長させて弁33bを押圧させる圧力を調整し、前記弁33bを押圧させる圧力によって酸素供給室11内の圧力の上限値を規制する。また、圧力抜き弁33に代えて圧力調整弁(市販の物)を取り付けることもできる。
また、密閉板30上には空気ポンプ50を載設しており、この空気ポンプ50によって、酸素缶40から酸素供給室11に供給された酸素を、第一チューブ51を介して吸入した後、第二チューブ52を介してエアストーン53から泡状の酸素として水Wの中へ送り出している。本実施形態の空気ポンプ50は乾電池を電源としている。なお、空気ポンプ50は市販品でもよい。
なお、第一チューブ51は短尺状であり、その一端部が空気ポンプ50に連結されると共に他端部が酸素供給室11の空間部分に配置されている。また、第二チューブ52は、第一チューブ51より長尺状であり、その一端部が空気ポンプ50に連結されると共に他端部が水中に配置されている。
長尺状のエアストーン53は、第二チューブ52の先端部分に取付けられ、供給された酸素を酸素供給室11側の水中で幅広く噴出する働きを担う。
このエアストーン53は、図4に示すように、長尺状とし、仕切板の略真下付近の酸素供給室11側に載設する。長尺状のエアストーンを載置することによってボックス本体10内に幅広く酸素を噴出させることができる。
また、このエアストーン53から噴出される酸素の泡をボックス本体10内の全体に行き渡らせるために、ボックス本体10の底面に泡誘導板54を設けることができる。前記泡誘導板54は傾斜姿勢で配置し、泡の昇って行く方向に合わせて、泡を通過させる穴の大きさを変えることで水Wの対流を促すことができる。泡誘導板54によって生じた対流によって、酸素を酸素供給室11及び餌取出し室12の水中に亘る広範囲に行き渡らせることができ、生餌が弱ることなく鮮度を保つことができる。
なお、本実施形態では、小穴(1mm)54a、中穴(2mm)54b、大穴(3mm)54cの三種類の穴を下側から上側に向けて順に形成している。なお、エアストーン53から噴出される泡の大きさは噴出された直後は小さいが、上昇するに従って徐々に大きくなるのに合わせて孔の大きさを設けている。なお、酸素の泡が通過できればよいので孔の大きさは同一であってもよく、任意に設定した複数種類の大きさの組み合わせであってもよい。
前記泡誘導板54は、前記孔を設けた側を酸素供給室11側で餌取出し室12側と離れた側を高くして傾斜させ、仕切板20の略真下から餌取出し室12側で細かい格子状のメッシュ部54dを設けた側を略水平状に配設することもできる。この場合に、前記細かい格子状のメッシュ部54dを、生餌であるエビなどの手足が掴む部位として提供することができる。エビは床面がツルツルするとあちこちと移動して弱るが、前記メッシュ部54dを設けたことによってエビを弱りにくい環境にすることができる。ここで、前記泡誘導板54は、金属や高分子材料などのうち、水よりも重い比重の材質で小さい孔を穿孔できる材質であればよい。
波消し浮動板60は、図3に示すように、餌取出し室12に、その下面が水Wの水面に接するように配置された板であり、水Wの波立ちを防止する働きを担う。移動中に波が立って生餌が大きく揺られてボックス本体10の内壁などに衝突して傷がつくことを防止する効果があり、前記波消し浮動板60は丁番等で回動自在としている。この波消し浮動板60、中蓋19および上蓋16を開放することによって生餌を掬い取る。
波消し浮動板60の上面には把手60aを突設し、また、ボックス本体10の内壁面に留め具13を設けている(図3参照)。これにより、波消し浮動板60を開いた際に、把手60aを留め具13に係合させて取付け、波消し浮動板60が閉じないようにしている。これにより、生餌を連続して容易に掬い出すことができる。
酸素缶40は、図7に示すような市販の酸素缶を使用することができる。この酸素缶40にはキャップノズル43を取付け、そのキャップノズル43には、図6に示すような酸素チューブ41の端部を取付ける。そして、手作業によって、酸素チューブ41の先端部を逆流防止弁32のボール32aに押し付けて酸素を供給する。なお、酸素缶40から酸素をボックス本体10の酸素供給室11に充満させた後は、前記酸素は前記酸素供給室11及び水W内にも含有されるので、魚釣りに行っている時間中は生餌にとって必要な酸素は十分に確保されることから、酸素缶40を魚釣りに行くときに常時携帯していなくてもよいという効果がある。
この際、酸素チューブ41の先端部が拡がってボール32aを抱えこむ状態になると、円滑な酸素注入ができない。そのため、酸素チューブ41の先端部に長穴部41aを形成すると共に、外周面又は内周壁面にリング42を周設して、その長穴部41aから十分な酸素が供給できるようにしている。リング42は、酸素チューブ41の先端部の形状を維持して拡がり過ぎないようにする役目を担う。
なお、リング42の材質は限定されず、金属、ゴム、樹脂などを使用することができる。また、酸素缶40は、自在に着脱することができる。
なお、本発明のクーラーセット1においては、ボックス本体10の酸素供給室11の上部に、外部に通じる二つのチューブ穴18を設けることができる(図1参照)。この二つのチューブ穴18に、それぞれ第一チューブ51および第二チューブ52を挿通することで、空気ポンプ50をボックス本体10の外側に設置することができる。これは、空気ポンプ50が大きいために、ボックス本体10内に収納することができない場合に有効である。
このように、酸素供給室11内に設定する圧力が小の場合には、これに適応した排出量の小さい空気ポンプ50を酸素供給室11内の密閉板30上に設けることができ、酸素供給室11内に設定する圧力が大の場合には、これに適応した排出量の大きい空気ポンプ50をクーラーボックス本体10の外側に設けることができる。
なお、空気ポンプ50の電源としては、乾電池の他に、アダプターDC電源やAC電源を使用することができる。
また、この生餌用クーラーセット1は、空気ポンプ50を使用しないで使うこともできる。その場合、酸素缶40の酸素を一方のチューブ穴18から酸素供給室11に注入し、また、酸素供給室11の酸素が必要以上に高圧になった場合には、他方のチューブ穴18から排出させることができる。
本実施形態に係る生餌用クーラーセット1は、次のような作用効果を発揮する。
(1)ボックス本体10内を、生餌が生息する下部の水Wの貯留部は仕切らず、上部及び中部を仕切板20によって酸素供給室11と餌取出し室12に分離させたことにより、餌取出しによって餌取出し室12側の中蓋19が開放しても、酸素供給室11側は密閉された状態であるので、酸素供給室11内の大気中の酸素圧力及び酸素濃度を設定した圧力に応じたレベルで長時間維持させることができる。
(2)酸素圧力及び酸素濃度を長時間維持させることができるので、酸素缶40を必ずしも持ち運ばなくともよい。
(3)酸素缶40からの純度略95%の酸素を酸素供給室11内に供給し、前記酸素供給室11内の大気と混合させて、圧力抜き弁33で設定した圧力になるようにすることにより、酸素供給室11内の酸素圧力及び酸素濃度を狙いのレベルにすることができる。これにより使用しようとする生餌に応じて、圧力抜き弁33を調整することによって好ましい酸素濃度にすることができる。
(4)酸素供給室11内の酸素を空気ポンプ50で吸い込み、水中に噴出する。これにより、生餌に適合させた酸素濃度の酸素を水中に供給することができる。
(5)長尺状のエアストーン53、及び多数の孔を穿孔した面と細かい格子状の面を有する泡誘導板54を配設したことにより、酸素を水中に広範囲に対流させて行き渡らせることができる。これにより生餌を長時間弱らないようにすることができる。また、細かい格子に特にエビが掴まってくれるので、床面がツルツルの場合に比較してエビが弱らないという効果がある。
(6)波消し浮動板60を配設したことにより、水の搖動を抑制することができ、これにより、生餌が強制的に水の搖動により流されることがなくなるので、生餌が弱りにくいという効果がある。
(7)中蓋19の裏面に袋体70を設け、前記袋体70内に保冷剤71を内挿した形態にしたことと、及び上蓋16を含むボックス本体10に断熱材を使用したことにより、ボックス本体10内の温度上昇を抑制させることができる。これにより、生餌を長時間弱らないようにすることができる。
(8)逆流防止弁32をボール32aとバネ32bを有する構成とし、酸素チューブ41の先端部に長穴部41aを形成し、リング42で巻回したので、当該先端部を破壊することなく、長穴部41aから酸素を確実に供給することができる。これによっても、生餌を新鮮に保つことができる。
(9)釣りを終えた後、網部材14に酸素缶40や小物を入れて持ち帰ることができる。また、この網部材14は、ゴミ入れとしても使用することができる。従って、使用性に優れる。
本願発明の使用方法を説明する。まず水Wを仕切板20の下端部より上方で波消し浮動板60の下面に接する深さになるまで水Wを、餌入れキャップ31を取り外した酸素供給室11、又は中蓋19及び波消し浮動板60を開放した餌取出し室12から注水する。そして、保冷剤71を中蓋19に取り付けた袋体70内に内挿し、波消し浮動板60及び中蓋19を閉じ餌取出し室12側を密閉にする。
餌入れキャップ31を取り外したときに現れる穴から、生餌を酸素供給室11側に入れる。
次に、螺着式で取り付ける餌入れキャップ31を取り付け酸素供給室11側も密閉にする。酸素缶40に圧入されていた酸素をボックス本体10内に注入するため、酸素チューブ41の先端部である長穴部41aを逆流防止弁32のボール32aに押し付けて、その状態を維持したままキャップノズル43を操作する。この操作を圧力抜き弁33から酸素が放出されるまで継続する。これにより、酸素供給室11内には設定された圧力を有する酸素が封入される。
次に、空気ポンプ50をスイッチ(図なし)で作動させる。これによって、酸素供給室11内の酸素が第一チューブ51によって空気ポンプ50側に吸い込まれ、第二チューブ52によってエアストーン53に流出され、エアストーン53から酸素が水中に噴出される。
噴出された酸素は泡誘導板54によってボックス本体10内の水W内に対流を生じさせ、酸素の泡が水W全域に行き渡る。空気ポンプ50を作動させている間は、酸素の循環が繰り返される。これにより水W内の酸素濃度を維持できる。
ボックス本体10の中部及び上部は仕切板20で2分割されているが、ボックス本体10の下部は仕切板20が設置されていないので、生餌は水W内を酸素供給室11側及び餌取出し室12側に関係なく自由に回遊する。
生餌を取り出すときは、餌取出し室12側の上蓋16を開放し、中蓋19を開放し、波消し浮動板60を開放する。このとき把手60aを留め具13に係止させて波消し浮動板60の開放状態を維持させる。
そして、網を餌取出し室12に差し込み、生餌を掬い取る。生餌を必要数取った後は、波消し浮動板60、中蓋19、上蓋16を閉じ、餌取出し室12側を密閉する。
1 生餌用クーラーセット
10 ボックス本体
10a 水抜き栓
11 酸素供給室
12 餌取出し室
13 留め具
14 網部材
15 肩掛けベルト
16 上蓋
17 パッチン錠
18 チューブ穴
19 中蓋
20 仕切板
20a 開放部
30 密閉板
31 餌入れキャップ
32 逆流防止弁
32a ボール
32b バネ
32c 弁室
32d 酸素流出孔
33 圧力抜き弁
33a 圧力室
33b 弁
33c 圧力排出穴
33d 圧力調整ツマミ
33e バネ
34 酸素注入口
40 酸素缶
41 酸素チューブ
41a 長穴部
42 リング
43 キャップノズル
50 空気ポンプ
51 第一チューブ
52 第二チューブ
53 エアストーン
54 泡誘導板
54a 小穴
54b 中穴
54c 大穴
54d メッシュ部
60 波消し浮動板
60a 把手
70 袋体部
71 保冷剤
W 水

Claims (5)

  1. 魚釣り用の生餌を移送するためのクーラーセットであって、底面近傍に水を蓄える断熱性箱状のボックス本体と、平面視で前記ボックス本体の略中央部に、正面視で底面から前記ボックス本体の高さの1/4〜1/2のいずれかの位置まで離隔させて、前記位置より上部の前記ボックス本体内を、酸素供給室と餌取出し室とに二分するように垂直方向に配設した仕切板と、前記酸素供給室の上部に水平方向に設けられ、前記酸素供給室を密閉する密閉板と、前記密閉板の上に設けられ、前記酸素供給室に供給された酸素を前記ボックス本体底面近傍に蓄えられる水の中に供給する空気ポンプと、前記餌取出し室内における前記仕切板の下端部近傍に水平方向に設けられ上下方向で開閉可能な板状の波消し浮動板と、を含む構成要素からなることを特徴とする生餌用クーラーセット。
  2. 一端が前記空気ポンプに連結され、他端が前記酸素供給室内に延設された短尺状の第一チューブと、一端が前記空気ポンプに連結され、他端が平面視で前記酸素供給室側の前記ボックス本体底面近傍まで延設された長尺状の第二チューブと、前記第二チューブの前記ボックス本体底面近傍まで延設された端部に接続され、平面視で前記酸素供給室側の前記ボックス本体底面上に載置されたエアストーンと、前記仕切板の下方であって前記エアストーンの上部に、かつ正面視で前記酸素供給室側を高く前記餌取出し室側を低く斜めに配設された、格子状のメッシュ及び/又は直径1〜5mmの孔を複数設けた板状の泡誘導板と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の生餌用クーラーセット。
  3. 前記密閉板に穿孔し螺刻した餌入れ用の開口部に螺設する餌入れキャップに設けた、又は前記密閉板上に設けた、酸素注入口と、前記酸素供給室に供給された酸素の逆流を防止するために前記酸素注入口に連通した流路に配設した逆流防止弁と、前記酸素供給室が前記酸素の供給過多によって高圧になった際に、前記酸素を自動的に排出する圧力抜き弁と、を配設することを特徴とする請求項1または2に記載の生餌用クーラーセット。
  4. 前記逆流防止弁が、酸素注入口側に配設されたボールと酸素流出側に配設されたバネとを含む構成であり、前記ボールに接する、構成部材ではない酸素缶からの酸素チューブの先端部の形態を、前記先端部の先端から酸素缶側に向けて少なくとも1つ以上の長穴部を設け、かつ前記先端部近傍に前記酸素チューブの外周壁面又は内周壁面に環状のリングを周設したことを特徴とする請求項3に記載の生餌用クーラーセット。
  5. 上蓋を含むボックス本体に断熱材を使用し、かつボックス本体内に保冷剤71を内設したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の生餌用クーラーセット。
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