JP5027387B2 - ヒアルロナンオリゴマーにより多剤耐性を阻害する方法及び組成物 - Google Patents

ヒアルロナンオリゴマーにより多剤耐性を阻害する方法及び組成物 Download PDF

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Description

本発明は癌細胞の多剤耐性を阻害する組成物及び方法に関する。
癌細胞の多剤耐性には挫折した多くの化学療法がある。全ての組織の重要な部分は細胞外マトリックスである。このマトリックスは、組織や器官に構造的な完全性を与え、個々の細胞及び一群の細胞に支持性を与える。近年、細胞外マトリックス成分も細胞の振る舞いに難解な影響を与えることが明らかになってきた。特に興味深いのは、成熟組織において細胞を規格化する、すなわち、細胞が不適切な分化や移動を受けることを制限するという、その能力である。一方、細胞外マトリックスの他の組み合わせは、胎生期成長や傷の治癒の時期において動的な細胞の振る舞いを可能にする。したがって、細胞外マトリックスは、しばしば特別な環境下において正常な細胞のための「文脈(context)」を与えることが明らかになってきている。
最近の研究により、悪性の振る舞いの抑制における正常型の細胞−細胞外マトリックス相互作用の重要性と、悪性の特徴の発生と成長における異常型の細胞−細胞外マトリックス相互作用の潜在的な役割とに注目が集められている。ヒアルロナン( hyaluronan )(ヒアルロン酸又はHAとしても知られる)は、普遍的に存在する大きな細胞外のポリサッカライドであり、腫瘍成長に含まれる細胞外マトリックス成分である。
解決するための手段
<要約>
本発明は、第一に多剤耐性細胞の治療ための医薬組成物に関する。この組成物は「in vivoで発生するHA相互作用の競合剤(CHI)」を含有する。例えば、CHIはHA受容体のリガンドであり、又はHAに結合することが可能なデコイ(decoy)である。本発明は、薬剤に対する細胞の耐性を低下させる効果的な投与量のCHIを提供する。
ここで、「ヒアルロナン受容体リガンド」は、組織中のヒアルロナンに高い親和性と特異性によって結合する薬剤と定義される。この薬剤としては、グリコサミノグリカン、小分子、又は抗体を挙げることができる。好適なグリコサミノグリカンの例としてHAオリゴマーが挙げられ、これは内因性HAポリマーの受容体結合と競合する。HAに結合することができるデコイの例としては、HA結合蛋白(HABP)を挙げることができ、これは内因性HA受容体と相互作用することができる内因性HAの濃度を低下させることによってin vivoでHAに結合する。HABPの例としては溶解性組換えHA受容体を挙げることができ、これはHA受容体をコードする遺伝子から標準的な方法によって遺伝子工学的に得ることができる。このような溶解性組換え受容体蛋白は、in vivoで多剤耐性細胞に感受性を与え、次の投薬は内因性HAに結合することによってHAデコイとして働き、内因性受容体と競合することによって、HAオリゴマーの投薬に続くここで示される経路によりそれらの受容体からのシグナル伝達を減少させるために使用することができる。
HAは、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとから構成されるジサッカライド・サブユニットの大きなポリマーとして内因性に生産される。ここで述べるように、市販の好適なHAオリゴマーは、少なくとも三つのこれらのジサッカライド・サブユニット、例えば、少なくとも六つのジサッカライド・サブユニットを含む。HAポリマーは、抗癌剤に多剤耐性を有する細胞の耐性を低下させるように働かないので、オリゴマーは5,000未満のジサッカライド・サブユニット、例えば、750未満のジサッカライド・サブユニット、さらには200未満のジサッカライド・サブユニットを含む。
投薬した治療用薬剤としてin vivoで延長した半減期をもつ産生物を生成するため、または他の有利な特徴を与えるため、HAオリゴマーを誘導化することができる。いずれの炭水化物ポリマーと同様に、例えば、アルキル化、アルコキシ化、及び還元されたHA誘導体から、誘導化HAオリゴマーを調製することができる。さらに、HAは先ずオリゴ化し(例えば、ヒアルロニダーゼで消化し)、次に誘導化して消化することができる。
誘導化されたHAは、多くの異なる置換基が証明されている。すなわち、カルボジイミド(Kuo,J.et al.,1991 Bioconj Chem 2(4):232−41)、N−(2−hydroxypropyl)methacrylamide(Luo et al.,2002 Pharm Res 19(4):396−402)、ステロイド性および非ステロイド性の抗炎症剤の共有結合が結合できるアミン様の官能基(Pouyani,T.et al.,1994 Bioconj Chem 5(4):339−47)、HAのカルボン酸部分のヒドラジド修飾(Prestwhich et al.,1998 J Control Release 53:93−103)、及びポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリテトラフルオロエチレン(Mason et al.,2000 Biomaterials 21:3106)である。
多剤耐性細胞は癌細胞または細菌細胞であり得る。したがって、細胞が耐性になり得る少なくとも一つの薬剤は一般的に抗癌剤である。有効投与量は薬剤に対する細胞の感受性をリガンドを持たない対照細胞と比較して40%から90%上昇させる。例えば、少なくとも90%、例えば、有効投与量は薬剤に対する細胞の感受性をリガンドを持たない対照細胞と比較して90%から95%、90%から99%上昇させることをここに示す。
特定の有用な具体的態様において、抗癌に対する細胞の感受性を改善し、また抗癌剤を含有する組成物は、一方において追加的な治療剤を含有することができる。この追加的な治療剤は、抗不安剤、抗嘔吐剤、抗疲労剤、サイトカイン、降圧剤、及び抗感染剤からなる薬剤の群から選択される。一方、追加的な治療剤は増血剤または造赤血球剤であり、例えば、エリスロポエチンである。
さらに、追加的治療剤は多剤耐性の阻害剤であり得、例えば、HA受容体のリガンドではない。この阻害剤は、例えば、ベラパミル、シクロスポリンA、シクロスポリンD、レゼルピン・アナログ、トリフルオロペラジン、タモキシフェン、ベラパミルRアイソマー、SDZ PSC−833、MS−209、S−9788、GF120918、及びLY3335979を挙げることができる。
例示的な多剤耐性癌細胞には、黒色腫( melanoma )、結腸癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、神経膠質腫のような脳腫瘍、肺癌、食道癌、乳癌、前立腺癌、頭と首の癌、卵巣癌、腎臓癌、及び肝臓癌に由来する癌からの細胞が含まれる。
前記細胞が細菌の具体的態様において、具体的な属には、アクチノバチルス(Actinobacillus)、バチルス(Bacllus)、ボレリア(Borrelia)、ブルセラ(Brucella)、カンピロバクター(Campylobacter)、クラミディア(Chlamydia)、クロストリディウム(Clostridium)、コシエラ(Coxiella)、エンテロコッカス(Enterococcus)、エシェリヒヤ(Escherichia)、フランシセラ(Francisella)、ヘモフィルス(Hemophilus)、レジオネラ(Legionella)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ネイセリア(Neisseria)、パストゥレラ(Pasteurella)、ニューモフィリア(Pneumophlia)、シュードモナス(Pseudomonas)、リケッチア(Rickettsia)、サルモネラ(Salmonella)、シゲーラ(Shigella)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、トレポネマ(Treponema)、及びエルシニア(Yersinia)が含まれる。
本発明に記載された組成物は、少なくとも1mg/kg体重の有効投与量で投与することができる。有効投与量は、例えば、少なくとも5mg/kg体重であり、例えば、少なくとも10mg/kgである。好ましい態様において、有効投与量は5mg/kg体重である。前記組成物は薬物学的に許容される佐薬を含有することができる。
HA受容体に高い特異性と親和性で結合する抗体である前記組成物は、例外なく、CD44、CD168(RHAMM)、HARE(Weigel et al 2002 BBRC 294:918−922)、lyve−1(Banerjuet al.1999 J Cell Biol 144:789)、laylin(Bonoet al.2001 Mol Cell Biol 12:891)、Toll−4(Termeer et al.2002 J Exp Med 195:99)のなどのHA受容体にも特異的であり得る。さらに、これらのHA受容体または他のどのHA受容体でも溶解型の受容体をコードするように遺伝子組み換え操作を行うことができる。この溶解型の受容体はHA相互作用の競合剤として、特にHAに結合し、HAと内因性の膜結合型の受容体との間の相互作用の強さを減少させるデコイとして働くことができるHABPである。
本発明において提供される他の態様は、抗癌療法における同時の、または分離した、または連続的な使用のための組み合わせ調製物としてのヒアルロナン受容体リガンド及び抗癌剤を含有する製品である。例えば、抗癌療法における同時の、または分離した、または連続的な使用のための組み合わせ調製物としてのヒアルロナン・オリゴマー調製物及び少なくとも一種の抗癌剤を含有する製品が挙げられる。関連する態様として、本発明はヒアルロナン受容体及び抗癌剤の組み合わせ、ヒアルロナン・オリゴマーと少なくとも一種の抗癌剤の組み合わせ、並びに、単一組成物として処方されたこれらのいずれかの組み合わせ、及び分離した組成物として処方されたこれらのいずれかの組み合わせを提供する。本発明は、また、これらのいずれかの組み合わせを含有する医薬を処方することを含む、癌患者治療用の医薬の調製方法を提供する。
本発明における他の態様は、多剤耐性癌の治療のための方法である。この方法は、耐性を獲得した細胞に、ヒアルロナン相互作用の競合剤と少なくとも一種の抗癌剤とを含有する組成物とともに、少なくとも一種の抗癌剤を接触させることを含む。この場合、前記競合剤は前記細胞に抗癌剤に対する感受性を与えることにより癌を治療する。
本発明において他の方法は、放射線に耐性の癌の治療に用いられる。この方法は、耐性を獲得した細胞に、HA相互作用の競合剤と少なくとも一種の抗癌性の放射線源を含有する組成物とともに少なくとも一種の抗癌性の放射線源を接触させることを含む。この場合、前記競合剤は前記細胞に抗癌剤に対する感受性を与えることにより癌を治療する。前記細胞は、被験者において癌細胞であり得る。さらに、前記競合剤はHAオリゴマーである。前記方法は癌の進行を評価することをさらに含む。これらの方法のいずれにおいても、HAオリゴマーは抗癌剤に対する細胞の感受性を与え、細胞の成長と生存力を阻害するための有効量が投与される。また、HAオリゴマーに接触させるということは、プログラム化された細胞死を誘導する十分な量を患者に投与することである。
関連する態様として、本発明は放射線に耐性の癌の治療薬の調製方法を提供する。この方法は、ヒアルロナン相互作用の競合剤を含有する医薬を処方し、耐性を獲得した細胞に、前記医薬と少なくとも一種の抗癌性の放射線とともに、少なくとも一種の抗癌性の放射線を接触させることを含む。この場合、前記競合剤は前記細胞に抗癌性の放射線に対する感受性を与えることにより癌を治療する。本発明はさらに、前記細胞が患者の中に存在する場合のこれらの方法も提供する。ヒアルロナン相互作用の前記競合剤は、例えば、ヒアルロナン・オリゴマーである。これらの方法とともに、さらに他の工程が癌の進行を評価することを含むことができる。ヒアルロナン・オリゴマーに細胞を接触させるということは、抗癌剤または抗癌性放射線に対する細胞の感受性を与え、細胞の成長及び生存力を阻害するための有効量を投与することである。例えば、前記投与量はプログラム化細胞死またはアポトーシスを誘導するのに十分な量のことである。
本発明において他の方法は、多剤耐性癌を治療するものである。この方法において、患者は、抗癌剤と、例えば、ヒアルロナン・オリゴマーなどのヒアルロナン受容体リガンドのようなヒアルロナン相互作用の競合剤とのそれぞれの治療有効量を投与される。本発明における他の方法は、抗癌剤とヒアルロナン・オリゴマーとのそれぞれの治療有効量を必要とする患者に投与することを含む、多剤耐性癌の治療に関するものである。前記抗癌剤とヒアルロン・オリゴマーとは、同時に投与することも、別々に投与することもでき、例えば、連続的に投与することもできる。前記癌としては、黒色腫、結腸癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、神経膠質腫、肺癌、食道癌、乳癌、前立腺癌、頭と首の癌、卵巣癌、腎臓癌、及び肝臓癌が挙げられる。
さらに他の態様として、本発明は多剤耐性癌を治療するための医薬を調製する方法を提供する。この方法は、抗癌剤とヒアルロナン相互作用の競合剤とのそれぞれの治療有効量を含有する医薬の処方を含む。この抗癌剤とヒアルロナン相互作用の競合剤は、例えば、同時に投与される。前記方法の他の態様において、抗癌剤とヒアルロナン相互作用の競合剤とは連続的に投与される。前記癌としては、黒色腫、結腸癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、神経膠質腫、肺癌、食道癌、乳癌、前立腺癌、頭と首の癌、卵巣癌、腎臓癌、及び肝臓癌が挙げられる。
本発明のさらなる他の態様は、抗癌剤に対する細胞の耐性の潜在的な阻害を評価する方法である。この方法は、抗癌性の治療剤および治療可能剤に対する耐性を獲得した癌細胞の第一試料に接触すること、及び前記抗癌性の治療剤および治療可能剤の存在下、前記細胞の第二試料を接触することを含む。この場合、第一試料における強度、及び抗癌剤の非存在下で生育させた細胞の第三対照試料と比較した、第二試料における抗癌性治療可能剤による細胞生存性パラメータの強度減少が、可能性を有する阻害剤が抗癌剤に対する細胞の耐性の治療に有効な組成物であることの指標である。測定すべき細胞生存性パラメータとして、in vivoにおける腫瘍サイズ、固定従属コロニーの生成、固定独立コロニーの生成、細胞の大分子合成、細胞数、プログラム化細胞死、細胞カスパーゼ(caspase)活性、細胞PI3キナーゼ活性、Aktリン酸化、BADリン酸化、FKHRリン酸化、Fas発現、及びPTENフォスファターゼ活性を挙げることができる。
本発明は、一つの態様としてHA受容体リガンドまたはHA受容体デコイ、容器、及び細胞治療用の説明書( instructions )を含む多剤耐性細胞の治療用のキットを提供する。細胞としては、例えば、癌細胞または細菌細胞を挙げられる。このキットは、さらに、少なくとも一種の抗癌剤、または少なくとも一種の抗菌剤を含むことができる。前記リガンドとしては、例えば、HAオリゴマーを挙げることができ、前記抗癌剤としては、γ−放射線、アドリアマイシン、メトトレキセート、シスプラチン、パクリタキセル、ドキソルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、BCNU(1,3−ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソウレア)、カンプトサル、5−フルロウラシル、グリベック、ベルカデ(PS−341)、ZD0473、及びオンコビンを挙げることができる。前記説明書は患者の細胞を治療するHAオリゴマーの投与を含むことができる。
好適な抗癌剤である追加的な薬剤を、本発明で示すHAオリゴマー組成物とともに、本発明の方法とキットを用いて投与することができる。そのような薬剤には、以下の承認薬が含まれるが、これらに限定されない。このような承認薬としては、パミドロネート[pamidronate](アレディア[Aredia])、アナストロゾール[anastrozole](アリミデックス[Arimidex])、エキセメスタン[exemestane](アロマシン[Aromasin])、ブレオマイシン(ブレノキサン[Blenoxane])、イリノテカン(カンプトサル[Camptosar])、ロイコボリン、ダウノルビシン、シタラビン(セポシット[CepoCyt])、エピルビシン(エレンス[Ellence])、エトポス09901イデ[etopos09901ide](エトポフォス[Etopophos])、トレミフェン(タレストン[Tareston])、レトロゾール(フェマラ[Femara])、ジェムシタビン[gemcitabine](ゲムザル[Gemzar])、イマチニブ[imatinib](グリベック[Gleevac])、トポテカン(ヒカムチン[Hycamtin])、タモキシフェン(ノルバテックス[Nolvadex])、パクリタキセル[paclifaxel](タキソール[Taxol])、ドセタキセル[docetaxel](タキソテール[Taxotere])、カペシタビン[capecitabine](ゼローダ[Xeloda])、テモキソロミド[temoxolomide](テモダル[Temodar])、ニトロソウレア、プロカルバジン(マトラン[Matulane])、バルルビシン[valrubicine](ヴァルスター[Valstar])、及びゴセレリン[goserelin](ゾラデックス[Zoladex])がある。例えば、ベルカデ[Velcade](PS−341;ボルテゾミド[bortezomid])のような現在臨床試験中の薬剤もHAオリゴマー組成物とともに投与することができる。
<図面の説明>
図1Aは、ヒアルロナン・オリゴマーによるin vivoでの腫瘍成長の阻害を示す棒グラフである。LX−1ヒト肺癌細胞(7日間実験については1.0×106/動物、14日間実験については0.5×106/動物)をヌードマウスに皮下投与した。それぞれ100μLまたは200μLの、PBS単独または1mg/mLヒアルロナン・オリゴマーを溶解したPBSを含むALZETポンプ(7日間または14日間)を注射部位に埋め込んだ。これらのポンプは前記オリゴマーを〜0.5μg/0.5μL/時間の速度で放出した。7日間または14日間の処置後に、これらの動物を二酸化炭素で安楽死させ、腫瘍重量を測定した。結果を独立した4実験の平均値±S.D.として示した。
図1Bは、ヒアルロナン・オリゴマーによるin vivoでの腫瘍成長の阻害を示す棒グラフである。TA3/Stマウス乳癌細胞(LX−1として0.5または1.0×106)を先天性A/Jaxマウスに皮下投与し、さらに図1Aと同様に処置した。
図2は、ヒアルロナン・オリゴマーによるin vivoでの腫瘍成長の阻害を示す棒グラフである。指数的増殖期カルチャーから回収した、LX−1ヒト肺癌細胞、HCT116ヒト結腸癌細胞またはTA3/Stマウス乳癌細胞を100μg/mLのヒアルロナン・オリゴマー(o−HA)存在下または非存在下において、ウェル当たり〜2,500細胞を6−ウェル・プレートの軟寒天に植えつけた。これらのカルチャーは、37℃で14日間インキュベートし、次に0.2mmより大きなコロニーの数を計数した。結果を独立した3実験の平均値±S.D.として示した。
図3は、固定独立条件下におけるヒアルロナン・オリゴマーによるアポトーシスの誘導を示す棒グラフである。TA3/Stマウス乳癌細胞を、50または150μg/mLのヒアルロナン・オリゴマー(o−HA)、150μg/mLの分子量〜80kDaのヒアルロナン・ポリマー(HA−80)、150μg/mLのキチン・オリゴマー、150μg/mLの硫酸コンドロイチン、または哺乳類PI3キナーゼ(フォスフォイノシチド 3−キナーゼ)の特異的阻害剤である50nMのワートマニン[wortmannin](WM)の存在下24時間、無血清培地にサスペンジョンで培養した。次に、アポトーシス細胞を、実施例の箇所で述べるように、分析し計数した。結果を独立した2実験の平均値で示し、総細胞の百分率±範囲として表した。
図4は、ヒアルロナン・オリゴマーによるTA3/Stマウス乳癌細胞におけるカスパーゼ−3活性の活性化を示す棒グラフである。細胞を10、50または150μg/mLヒアルロナン・オリゴマー(o−HA)、150μg/mLの硫酸コンドロイチン(CS)、または20μMの哺乳類PI3キナーゼの特異的阻害剤であるLY294002(LY)の存在下で24時間、無血清倍地中においてサスペンジョンで培養し、次にカスパーゼ−3活性を分析した。結果を独立した3実験結果を独立した3実験の比活性の平均(405nmにおける吸光度/mg/90分)±S.D.として示した。
図4Bは、HCT116ヒト結腸癌細胞について、図4Aと同様の測定を示した。
図5Aは、ヒアルロナン・オリゴマーによるTA3/Stマウス乳癌細胞におけるPI3キナーゼ活性の阻害を示す棒グラフである。細胞を1−150μg/mLヒアルロナン・オリゴマー(o−HA)または150μg/mLの硫酸コンドロイチン(CS)とともに24時間、サスペンジョンで培養し、総PI3活性を分析した。PI3キナーゼ活性はPIP3への32P−燐酸の取り込みとして測定した。結果を独立した3実験の平均値±S.D.として計算し、非処理細胞(3実験の平均値±S.D.)の百分率として表した。
図5Bは、HCT116ヒト結腸癌細胞について、図5Aと同様の測定を示した。
図5Cは、PI3キナーゼのα−アイソフォームがキナーゼ活性の測定前に特異抗体によって免疫沈降したことを除いて、TA3/St細胞における図5Aと同様の測定を示した。
図5Dは、50及び150μg/mLのヒアルロナン・オリゴマー(o−HA)、150μg/mLのキチン・オリゴマー、150μg/mLの硫酸コンドロイチン、150μg/mLの分子量〜80kDaまたは〜2,000kDaのヒアルロナン・ポリマー(HA−80またはHA−2000)、50nMのワートマニン(WM)、20μMのLY294002(LY)、及び1:50希釈した抗CD44抗体で処理したことを除き、細胞をTA3/St細胞における図5Cと同様の測定を示した。図5C及び5Dにおけるものと同様の結果が、HCT116細胞についても得られた。
図6Aは、1−150μg/mLのヒアルロナン・オリゴマー(o−HA)または150μg/mLの硫酸コンドロイチン(CS)により処理したTA3/Stマウス乳癌細胞における、ヒアルロナン・オリゴマーによるAktリン酸化の阻害を示す棒グラフである。細胞溶解産物はリン酸化Aktについてウェスタン・ブロッティングで分析し、デンシトメトリーにより定量した。A及びBにおける結果を独立した3実験の平均値で示し、非処理百分率±範囲として表した。
図6Bは、HCT116ヒト結腸癌細胞について、図6Aと同様の測定を示した。
図6Cは、次に示すTA3/St細胞からリン酸化されたAktのウェスタン・ブロットを示す。1.未処理 2.150μg/mL硫酸コンドロイチン 3.150μg/mLヒアルロナン・ポリマー(分子量〜80kDa) 4.150μg/mLキチン・オリゴマー 5.50μg/mLヒアルロナン・オリゴマー 6.150μg/mLヒアルロナン・オリゴマー 7.50nMワートマニン 8.20μM LY294002 9.1:50希釈抗CD44抗体。結果を3実験について示した。図6Cにおけるものと同様の結果が、HCT116細胞についても得られた。
図7Aは、アポトーシスに含まれる蛋白質であるBADの、TA3/Stマウス乳癌細胞におけるHAオリゴマーによるリン酸化の阻害を示すイムノブロットである。細胞をサスペンジョンで処理し、次にBADのイムノブロッティング処理を施した。結果を2実験について示した。次の各レーンの細胞中に現れたリン酸化BAD:1.未処理 2.150μg/mL硫酸コンドロイチン 3.150μg/mLヒアルロナン・ポリマー(分子量〜80kDa) 4.150μg/mLキチン・オリゴマー 5.50μg/mLヒアルロナン・オリゴマー 6.150μg/mLヒアルロナン・オリゴマー 7.50nMワートマニン 8.20μM LY294002 9.1:50希釈抗CD44抗体。
図7Bは、次の各レーンのTA3/St細胞における核転写因子であるFKHRのリン酸化について、図7Aと同様の測定を示した。1.未処理 2.150μg/mL硫酸コンドロイチン 3.150μg/mLヒアルロナン・ポリマー(分子量〜80kDa) 4.150μg/mLヒアルロナン・オリゴマー 5.50nMワートマニン 6.20μM LY294002 7.1:50希釈抗CD44抗体。同様の結果が、HCT116細胞を用いたリン酸化BAD及びFKHRについて得られた。
図8Aは、TA3/Stマウス乳癌細胞における、腫瘍抑制因子PTENの発現のヒアルロナン・オリゴマーによる活性化を示す棒グラフである。細胞をサスペンジョンで処理し、次にPTENのイムノブロッティング処理を施した。棒は、10−150μg/mLのヒアルロナン・オリゴマー(o−HA)または150μg/mLの硫酸コンドロイチン(CS)による処理後のイムノブロットのデンシトメトリーによる定量を示す。結果を独立した3実験の平均値で示し、未処理百分率±S.D.として表した。
図8Bは、HCT116ヒト結腸癌細胞について、図8Aと同様の測定を示した。
図8Cは、次の各レーンのように処理したTA3/Stマウス乳癌細胞を用いたイムノブロットである。1.未処理 2.150μg/mL硫酸コンドロイチン 3.4.150μg/mLキチン・オリゴマー 4.150μg/mLヒアルロナン・ポリマー(分子量〜80kDa) 5.50μg/mLヒアルロナン・オリゴマー 6.150μg/mLヒアルロナン・オリゴマー。結果を独立した3実験の平均値で示した。図8Cと同様の結果が、HCT116ヒト結腸癌細胞についても得られた。
図9は、TA3/Stマウス乳癌細胞における、in vivoでの腫瘍の成長の遅延を示す棒グラフである。B16マウス黒色腫、LX−1ヒト肺癌、及びTA3/Stマウス乳癌細胞を皮下投与により移植した。PBS、1mg/mLのHAオリゴマー(0.5μg/0.5μL/時間)、0.5μg/時間の硫酸コンドロイチン(CS)、0.5または3.0μg/時間の溶解性CD44、または0.5μg/時間のKM81 CD44抗体を含むALZETポンプで7日間処理後に腫瘍重量を測定した。各点は、少なくとも6動物から得られたデータの平均値±S.D.を示す(Ghatak,S.,et al.J Biol Chem,277:38013−20,2002における、対照により取り込まれた全体量も参照)。
図10は、HAオリゴマーまたは過剰発現した溶解性CD44による、軟寒天における固定独立性増殖の阻害を示す棒グラフである。棒グラフの1−5は、10−100μg/mLのHAオリゴマーにより抑制された軟寒天におけるTA3/Stマウス乳癌細胞の増殖を示す。HAのジサッカライド・サブユニットを含む100μg/mLのグルクロン酸及びN−アセチルグルコサミンの混合物をネガティブ対照として用いた。コロニーを1−2週間後に計数した。結果は3実験の平均値±S.D.とした。棒グラフの6−11:野生型TA3/St、組み換えベクター、及び変異溶解性CD44(HA非結合性)組み換え細胞は多くのコロニーを形成するが、3つの分離した溶解性CD44組み換えクローンはコロニーを形成しない。HAオリゴマーも溶解性CD44も固定従属性単層カルチャーにおける分化に有意な影響を与えない。
図11は、HAオリゴマーによる、PTEN(フォスファターゼとテンシン)の活性化を示す棒グラフである。TA3/Stマウス乳癌細胞におけるPTEN濃度はウェスタン・ブロッティングにより測定され、測定値はブロットのスキャニングによって得られた。50−100μg/mLの濃度のHAオリゴマー(oligo)は、未処理対照に比較してPTEN濃度の〜6倍の上昇を引き起こした。硫酸コンドロイチン(CS)、ポリマー性HA、及びキチン・オリゴマーは、PTEN濃度を上昇させなかった。
図11Bは、HAオリゴマーによる、PI3キナーゼ活性の阻害を示す棒グラフである。TA3/St細胞は、HAオリゴマー(o−HA;1−150μg/mL)の存在下または非存在下で処理され、細胞のPI3キナーゼ活性が、PI3キナーゼαを免疫沈降させ、次にPIP3に取り込まれた32P−燐酸をアッセイすることにより測定された(Misra,S.,et al.Proc Natl Acad Sci USA,96:5814−5819,1999;Susa,M.et al.J.Biol Chem,267:38013−20,2002)。150μg/mLの硫酸コンドロイチン(CS)またはHAポリマー(分子量:2,000kDa)は効果を示さなかった。ワートマニン(50nM;Wm)及び抗CD44抗体は、HAオリゴマーと擬似的な効果を示した。総PI3キナーゼ活性は同様に影響を受けた。
図12は、HAオリゴマーによる、メトトレキセートへの逆行的な耐性を示す折れ線グラフである。MDA−MB231ヒト乳癌細胞を、100μg/mLのHAオリゴマーの存在下および非存在下において、メトトレキセート(MTX)濃度を増加させて処理した。細胞を10%牛胎児血清で単層培養し、細胞数をコールター計数器で測定した。生存細胞のMTTアッセイ(Denizot,F.,et al.J Immunol Methods,89:271−277,1986)によっても同様の結果が得られた。このような固定従属性条件下においては、HAオリゴマー単独では細胞の分化及びアポトーシスに有意な影響を与えなかった。
図13Aは、HAオリゴマー(100μg/mL)及びPI3キナーゼ阻害剤LY294002(50ng/mL)を用いた処理により、Has2(HAシンテターゼをコードする)発現を促進するアデノウィルスに感染したMDCK細胞による、0.2%軟寒天におけるコロニー形成の阻害を示す棒グラフである。阻害剤の非存在下においてHas2細胞は、HAオリゴマー、ワートマニン、または非組み換え対照細胞あるいはβ−ガラクトシダーゼをコードした対照ベクターに感染した細胞のコロニー形成能を低下させたLY294002で処理する間に、最大のコロニー形成能を示した。
図13Bは、P−Akt合成が、非組み換え対照細胞に比較して、Has感染細胞において上昇することを示すSDS−PAGEの写真である。
図14Aは、HGF刺激MDCKまたはMDCK−10A細胞をHAオリゴマー(100μg/mL)で処理することにより、0.2%軟寒天において細胞の逆のコロニー形成能が生じることを示す棒グラフである。しかしながら、抗CD44抗体(10μg/mL)は同様な阻害効果をもち、キチン・オリゴマー処理(100μg/mL)ではコロニー形成能を逆転しなかった。150μmに満たないコロニーはこの分析からは除外された。未処理細胞に比較してp<0.05であった。
図14Bは、β−カテニン過剰発現MDCKまたはMDCK−37A細胞をHAオリゴマーで処理することにより、0.2%軟寒天において逆行するコロニー形成能が生じることを示す棒グラフである。しかしながら、抗CD44抗体同様な阻害効果をもち、キチン・オリゴマー処理ではコロニー形成能を逆転しない。他の条件は図14Aに示したものと同様である。
図14Cは、HGF刺激MDCKまたはMDCK−10A細胞をHAオリゴマーで図15Aで示すように処理することにより、マトリゲルで被覆した小胞を通して逆の細胞浸透能が生じることを示す棒グラフである。
図14Dは、β−カテニン過剰発現MDCKまたはMDCK−37A細胞をHAオリゴマーで処理することにより、逆の細胞浸透能が生じることを示す棒グラフである。
図15Aは、ヒアルロナン・オリゴマーとともにカルチャー培養したMCF−7/Adr薬物耐性ヒト乳癌細胞がドキソルビシン感受性になることを示す折れ線グラフである。細胞を24時間、グルタメックス1(Glutamex 1)と10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地の24穴プレートで5%二酸化炭素雰囲気下37℃で培養した。次に様々な濃度のドキソルビシン(doxo)を加え、細胞をさらに72時間インキュベートし、続いて100μg/mLヒアルロナン・オリゴマー(o−HA)存在下または非存在下において、さらに24時間までインキュベートした。これらのオリゴマーは3−8の長さのジサッカライドの繰り返し単位をもつ混合物である。次に、これらの細胞を回収し、生存細胞の数をコールター計数器で決定した。
図15Bは、MCF−7ヒト乳癌細胞がMCF−7/Adr細胞よりもさらにドキソルビシンに感受性となること、及びHA処理が有意にMCF−7細胞を感受性を与えないことを示す折れ線グラフである。
図16Aは、癌細胞におけるヒアルロナンの発現増強が誘導したドキソルビシン耐性を示す折れ線グラフである。MCF−7細胞は、既に記述されているように、組み換えHasアデノウィルス、または対照β−ガラクトシダーゼ・アデノウィルス(β−gal)で一晩感染して構築し、使用した(O‘Gorman,D.et al.Leuk Res,25:801−811,2001.Stambolic,V.,et al.Cell,95:29−39,1998)。未処理MCF−7細胞または組み換えHasアデノウィルス、または対照β−ガラクトシダーゼ・アデノウィルス(β−gal)で一晩感染した細胞を洗浄し、次に1−1000nMのドキソルビシンで48時間培養し、細胞数を計数した。IC50値はそれぞれ、未処理で18nM、β−ガラクトシダーゼで20nM、Has2で210nMであった。
図16Bは、o−HA処理した組み換えHas−アデノウィルス感染MCF−7細胞における、逆行ヒアルロナン誘導ドキソルビシン耐性を示す折れ線グラフである。細胞を100μg/mLのo−HA存在下または非存在下における10−1000nMドキソルビシンで48時間培養し、図16Aと同様に分析した。
図16Cは、未処理MCF−7細胞、または図16Bで述べたのと同様に処理した組み換えエムプリン(emmprin)アデノウィルスまたは対照β−ガラクトシダーゼ・アデノウィルス(β−gal)で一晩感染した細胞のドキソルビシン応答を示した折れ線グラフである。
図16Dは、組み換えエムプリン・アデノウィルス感染MCF−7細胞におけるエムプリン誘導された逆行した多剤耐性を示す。エムプリン・アデノウィルス感染MCF−7細胞または対照β−ガラクトシダーゼ・アデノウィルス(β−gal)感染細胞を図16Bで述べたように100μg/mLヒアルロナン・オリゴマー(o―HA)の存在下または非存在下において処理した。図16Dの結果は、3回試行の独立した3実験の平均値(±S.D.)で表した。
図17Aは、ヒアルロナン・オリゴマーが細胞生存の経路を調節することを示すMCF−7/Adr細胞抽出物のウェスタン・ブロットを表している。細胞を図15A及び表1のように100μg/mLのヒアルロナン・オリゴマー(o―HA)の存在下または非存在下において、各種薬剤の存在下で処理した。細胞はリン酸化Akt(p―Akt)及びPTENのウェスタン・ブロット処理を行った。同様の結果がタキソール及びビンクリスチン存在下のPTENにおいて得られた(結果は示さず)。ドキソルビシン(Doxo):レーン1、20nM;レーン2、20nM+o−HA;レーン3、100nM;レーン4、100nM+o−HA。タキソール:レーン1、20nM;レーン2、20nM+o−HA;レーン3、100nM;レーン4、100nM+o−HA。ビンクリスチン:レーン1、10nM;レーン2、10nM+o−HA;レーン3、100nM;レーン4、100nM+o−HA。総Aktはこの実験で変化しなかった(結果は示さず)。
図17Bは、Aのようにして処理し、p−Erk及びp−BAD112のウェスタン・ブロット(Aと同様のレーン数)で処理したMCF−7/Adr細胞の抽出物のウェスタン・ブロットを表している。同様の結果がp−Raf−1についても得られたが、Raf−1の総濃度に変化は見られなかった(結果は示さず)。
図17Cは、組み換えHas2、またはβ−ガラクトシダーゼ・アデノウィルスで感染し、p−Akt、p−Erk、p−BAD112、及びp−FAKのウェスタン・ブロット分析で処理したMCF−7細胞を表している。レーン1−3、β−ガラクトシダーゼ;レーン4−6、Has2。レーン1及びレーン4、無添加;レーン2及びレーン5、20nMドキソルビシン;レーン3及び6、100nMドキソルビシン。
<詳細な説明と具体的態様>
HAは、脊椎動物の組織に普遍的に分布する高分子量のグリコサミノグリカン(GAG)であり、多くの腫瘍タイプで高濃度に発現している。乳癌細胞において、ヒアルロナン濃度のレベルはネガティブな生存予測である。ここで、HA腫瘍細胞の相互作用は、フォスフォイノシタイド−3−キナーゼ/Akt細胞の生存経路の活性を増強し、小さなヒアルロナン・オリゴサッカライドは内因性ヒアルロナン・ポリマー相互作用に拮抗し、フォスファターゼ及びテンシン(PTEN)発現を活性化し、細胞の生存経路を抑制する。固定独立性条件において、HAオリゴマーは癌細胞における成長を阻害し、アポトーシスを誘導する。HAオリゴマーは細胞の生存経路上への効果により薬物耐性に影響を与えるのだろう。
HAオリゴマーがMDA−MB231ヒト乳癌細胞のメトトレキセートに対する耐性を2桁の強度で減弱させることが実験により証明されている。HAオリゴマーの癌患者の治療に通常使用されている数種類の薬剤への逆行耐性が臨床的に重要であるか否かということは、治療プロトコールの過程で細胞が耐性になる細胞の薬剤感受性を回復させるかどうかということである。
多剤耐性MCF−7/adrRヒト乳癌細胞は、HAオリゴマーがドキソルビシン、パクリタキセル及びビンブラスチンによる治療のためにこれらの細胞を感受性にするかどうかを確かめるために使用される。これらの化学物質は、通常癌患者に使用され、MCF−7/adrR細胞が耐性をもつ3種のクラスの薬剤を代表している。耐性がしばしば増強される、単層カルチャー及び扁平球状カルチャーにおけるアポトーシスへの耐性がテストされる。さらに、MCF−7/adrR細胞におけるドキソルビシン、及びMB231細胞におけるメトトレキセートの取り込みや放出は、前記オリゴマーが薬剤蓄積に影響を与えるがどうかを定量することにより測定される。結局、HAオリゴマーの存在下または非存在下におけるドキソルビシン治療へのMCF−7/adrR細胞の耐性は、ヌードマウスの異物移植(xenografts)においてカルチャーで得られた結果がin vivoに適用できることを確かめることによりテストされる。
癌細胞の多剤耐性は今日の治療に深刻な問題を残している。HAオリゴマーは毒性がなく抗原性もないため、癌患者における化学療法の効果を改善するための新しい方法を提供することができる。ここで、HAオリゴマーはin vivoにおいて腫瘍の成長を遅延させることが示されている。これらのオリゴマーが細胞の感受性を高めて化学療法剤への化学耐性を減する可能性は、現在の化学療法プロトコールを増強する新規な治療につながるだろう。
ここにおいてヒアルロナン量の増加により腫瘍細胞の生存が増強され、腫瘍細胞死が抑制され、したがって腫瘍の成長と転移が促進される。短い長さのHAポリマー(HA“オリゴマー”)は全サイズのポリマー性HAの作用に拮抗する。HAオリゴマーは化学療法への多剤耐性の促進に重要であり得る生化学反応を抑制することにより働くことが発見された。化学療法剤として広く使用されるメトトレキセートに対する細胞培養ヒト乳癌細胞の耐性へのHAオリゴマーの効果について言及する実施例は、HAオリゴマーが薬物治療への耐性細胞を再度感受性にする。このことは他の化学療法剤にも当てはまり、多剤耐性が増強されることが知られている場合には、HAオリゴマーは培養及び動物モデルのいずれにおいても耐性細胞を感受性にし、これはヒト患者の治療に極めて類似することが示されている。
HA発現はPI3−キナーゼ/Akt細胞の生存経路活性を増強する。HAの小さなオリゴマーは、PI3−キナーゼ/Akt細胞の生存経路を抑制し、固定独立性条件におけるアポトーシスを誘導することにより、内因性HAポリマーの効果に拮抗するHA受容体リガンドである。ここで実施例はさらに、HAオリゴマーが細胞の生存経路を抑制し、アポトーシス機序へ細胞を活性化することにより、化学耐性の癌細胞を感受性にすることを示している。
多剤耐性を含む、癌細胞における薬剤耐性は、細胞の生存とアポトーシスの経路における、特にPI3−キナーゼ/Akt経路における変化と関係している。HAオリゴマーは、この経路を抑制し化学療法剤に対して癌細胞を感受性にすることが、ここで示される。
<HAと悪性フェノタイプ>
HAは、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンからなる2,000−25,000のジサッカライド:[β1,4−GlcUA−β1,3−GlcNAc−]nを含む、分子量105から107ダルトン(Da)の直線状のグリコサミノグリカンである。ジサッカライドユニットは分子量400Daである。ヒアルロナン・シンテターゼ(Has1,Has2,Has3と呼ばれる。)は、活性部位が膜内部表面に位置する完全な血漿膜蛋白質である(Weigel,P.H.,et al.J Biol Chem,272:13997−14000,1997)。新たに合成されたHAは、細胞表面に直接押し出され、前記シンテターゼ結合して固定され、また受容体との相互作用によりそこに残留するか、または細胞周辺または細胞外に放出される。このような様々な位置に送達するための調節は現時点でわかっていない。
HAは、それ自身の生物物理学的及び相互作用的な性質により生じる多くの生理的な細胞機能をもっている(Toole,B.P.,et al.Cell Dev Biol,12:79−87,2001;Toole,B.P.,et al.Glycobiology,12:37R−42R,2002に総説されている)。HAが正常及び異常な細胞の振る舞いに影響を与え得る三つの方法がある。第一に、その生物物理学的な特性のために遊離のHAは細胞が存在する細胞外または細胞周辺の生物物理的な性質に対する重要な作用をもっている。第二に、ヒアルロナンは、ほかの細胞周辺の大分子と特異的な相互作用をするための反復的なテンプレートを形成し、これによりこれらのマトリックスの集合、構造的完全性及び生理学的性質に寄与している。したがって、HAは細胞の分割や運動に対して要求される細胞形状の変化により伝導性の細胞外マトリックスを形成する(Hall,C.L.,et al.J Cell Biol,126:575−588,1994;Evanko,S.P.,et al.Arterioscler Thromb Vasc Biol,19:1004−1013,1999)。第三に、HAは細胞内シグナルを変換し、細胞の形態や行動に直接的に影響を与える細胞表面受容体と相互作用する(Turley,E.A.,et al.J Biol Chem,277:4589−4592,2002)。
HAシンテターゼであるHas2のHT1080ヒト繊維肉腫の実験的な過剰発現は、in vivoまたはin vitroの固定独立性( anchorage-independent )条件下におけるヒアルロナン合成を上昇させ、腫瘍細胞の分化を誘導する(Kosaki,R.,et al.Cancer Res,59:1141−1145,1999)。同様の結果はTSUヒト前立腺癌細胞におけるHas3の過剰発現に関しin vivoで得られる(Liu,N.,et al.Cancer Res,61:5207−5214,2001)。高HA産生および低HA産生として選択されたマウス乳癌細胞系において、静脈注射後の肺における転移結節形成の減少は、低HA産生として選択された系に発生し、これらの細胞の転移能力はHas1の感染を介したHA産生の増加により回復する(Itano,N.,et al.Cancer Res,59:2499−2504,1999)。
内因性HA蛋白質の相互作用を動揺させるために用いられるアプローチとしては、in vivoにおけるHAデコイの量を増加させるために溶解性HA結合蛋白質(HABPs)の過剰発現、HAオリゴサッカライドのようなHA受容体リガンドの投与、及びHA結合をブロックする抗体が挙げられる。溶解性HABPsは競合的にその内因性細胞表面受容体、例えばCD44及びCD168(RHAMM)をHAに置き換え、これにより推定上の下流現象を阻害する。いくつかの研究により、溶解性CD44体による治療によって、腫瘍成長が抑制されることが証明されている(Sy,M.S.,et al.J Exp Med,176:623−627,1992;Bartolazzi,A.et al.J Exp Med,180:53−66,1994)。マウス乳癌細胞またはヒト悪性黒色腫細胞における溶解性CD44の過剰発現は、in vivoにおける成長の阻害、局所浸潤や転移をもたらす(Yu,Q.,et al.J Exp Med,186:1985−1996,1997;Yu,Q.et al.Genes T.,et al.Oncogene,20:3399−3408,2001)。もしHA結合が変異CD44において除かれるように、溶解性CD44が変異したならば、この研究ではいかなる有意義な効果も得られなかった。溶解性CD168(RHAMM)、ほかのHABPも転移を阻害し(Mohapatra,S.,et al.J Exp Med,183:1663−1668,1996)、軟骨に由来するHA結合複合体は、腫瘍の成長と転移をともに阻害する(Liu,N.,et al.Cancer Res,61:1022−1028,2001)。HAオリゴマーは内因性のポリマー性ヒアルロナン受容体相互作用と競合し、受容体に多価、高親和性というよりもむしろ低価で低親和性となる(Underhill,C.B.,et al.J Biol Chem,258:8086−8091,1983)。
本発明において、医薬品組成物の体系的投与法としては次のものが挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、経皮、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、及び経口の経路が挙げられる。化合物はどの都合のよい経路によっても、例えば、注入または球塊投与によっても、上皮または粘膜linings(例えば、口腔粘膜、直腸及び小腸粘膜など)を通した吸収によっても、ほかの生物学的に活性な薬剤とともに投与してもよい。
本発明は、他の態様において、例えば、HA受容体リガンドのようなHA相互作用の競合剤(CHI)の治療有効量を単独で、または例えば、抗癌剤のような他の薬剤とともに含有する医薬組成物を提供する。さらに、医薬的に許容される担体や賦形剤を含むこともできる。そのような担体には、生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。製剤は投与の方法に適合させることが必要である。
ここで前記組成物は、さらに、浸潤剤、乳化剤、またはpH緩衝剤を含有することができる。前記組成物は、液体溶液、縣濁液、乳液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放性製剤、または粉末であり得る。前記組成物は、従来から使用されるトリグリセリドのような結合剤及び担体とともに、坐剤として製剤とすることもできる。経口製剤は、医薬品品質のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグルシウムなどのような標準的な担体を含有することができる。様々な薬物送達システムが知られており、これらをリポソーム、微小粒子、マイクロカプセルへのカプセル化など、本発明の組成物の投与に用いることができる。
必要ならば、前記組成物は、可溶化剤及び注射部位の痛みを改善する局所麻酔剤を含んでもよい。一般に、これらの成分は、例えば、有効な薬剤量を示すなどの、アンプルまたは香料袋のような密封した容器に入れた乾燥、凍結乾燥、または脱水濃縮物のような単位投与形態で、別々にまたは混合して供給される。前記組成物は、注入により投与される場合には、無菌の医薬品質の水、緩衝液、または生理食塩水を含む注入瓶に調剤することができる。前記組成物が注射で投与される場合には、各成分を投与前に混合できるように、注射用の無菌の水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
本発明の組成物は、中性または塩の形態で製剤することができる。医薬的に許容される塩は、塩酸、燐酸、酢酸、蓚酸、酒石酸などから誘導される塩のような遊離のアミノ酸との塩を含み、また、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどから誘導される塩のような遊離のカルボキシル基との塩も含む。
非要求性細胞の多剤耐性の治療に有効なHABP、HA受容体リガンドのようなCHI量は、病気や条件の性質に依存し、標準的な臨床技術によって決定することができる。製剤に用いる正確な投与量は、投与経路、疾患や病気の程度にも依存し、臨床家や各患者の状況の判断にしたがって決定されるべきである。化学療法剤への非要求性細胞の耐性の程度の日常的な判断は、その分野の当業者によって決定される。しかしながら、投与量は投与経路よっても決定され、例えば、皮下投与の好適な投与量の範囲は一般にkg体重当たり有効化合物換算で約20−500μgである。鼻腔内投与の好適な投与量の範囲は、一般に約0.01pg/kg体重から1mg/kg体重である。有効投与量は、in vitro試験系または動物試験系から得られた投与量−応答曲線から外挿して決定してもよい。
本発明は他の形態において、本発明の医薬品組成物のうちの一つまたは複数の成分を充填した一つまたは複数の容器を含む医薬包装またはキットを提供する。そのような容器とともに、医薬品または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形態の、ヒトへの投与のための製造、使用、または販売についてのその期間の承認を示す、使用説明書またはお知らせ文書のような様々な記載資料も提供する。
本発明は、様々な形態において十分に記載し、さらに次の実施例によって具体的に説明するが、これらにより限定的に解釈されることを意図したものではない。すべての引用文献の内容は、ここでの参照のために適用される。
以下に示す試料及び方法は、本実施例を通して使用した。
<細胞>
LX−1ヒト肺癌細胞を既に報告されているようにして取得し、使用前にヌードマウス体内通過を行った(Biswas,C.(1984)Cancer Lett 24,201−207)。HCT116細胞は、Johns Hopkins Medical SchoolのB.Vogelstein博士から提供された。TA3/St細胞は、Harvard Medcal SchoolのH.F.Dvorak博士から取得し、我々の研究室で培養した(Yeo,T.K.,Nagy,J.A.,Yeo,K.T.,Dvorak,H.F.,及びToole.B.P.(1996)Am J Pathol 148,1733−1740)。全ての細胞系をフェノールレッドを除き、10%牛胎児血清、ペニシリン/ストレプトマイシン、及び1mMグルタミンを含むDMEM−高グルコース培地(Life Technologies,Rockville,MD)で培養した。これらの細胞系は3−4日ごとに動物体内通過させ、5%二酸化炭素雰囲気下、37℃で培養した。
<試料>
ヒアルロナン・オリゴマーは、既に報告されているように、接線流動濾過( tangential flow filtration )により(Zeng,C.,et al.(1998)Int J Cancer 77,396−401)精製したポリマーのヒアルロニダーゼ消化物から分画し、アニカセラピューティクス社( Anika Therapeutics Inc )(ウォバーン、マサチューセッツ州)から供給された。ヒアルロナン・ポリマー(分子量:〜80kDa及び〜2,000kDa)は、それぞれジェンザイム社( Genzyme Inc )及びアニカセラピューティクス社から供与を受けた。キチン・オリゴマーは米国生化学社( Seikagaku America )(ファルマウス、マサチューセッツ州)から取得し、硫酸コンドロイチンはシグマ社(セントルイス、マサチューセッツ州)から取得した。非吸着超低クラスター・プレート(コースター3471)はコーニング社(コーニング、ニューヨーク州)から取得した。ALZETポンプはアルザ社(パルアルト、カリフォルニア州)から取得した。[γ−32P]ATP(6000Ci/mmol)はNENライフサイエンス・プロダクツ社から、カスパーゼ−3アッセイに用いるDEVD−p−ニトロアニリド及び他の全ての試薬はバイオビジョン・リサーチ・プロダクツ社(マウンテンビュー、カリフォルニア州)から、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に用いる試薬はバイオラッド社(リッチモンド、カリフォルニア州)から、増強化学発光試薬はアマシャム・ファルマシア・バイオテック社(バッキンガムシャイヤ、英国)から、リン酸化−AKT経路サンプラー・キットはセル・シグナリング・テクノロジー社(ビバリー、マサチューセッツ州)から、抗PTEN抗体(A2B1)、抗PI3キナーゼ・アイソフォーム抗体及びヒトCD44(DF1485)抗体はサンタクルツ・バイオテクノロジー社(サンタクルツ、カリフォルニア州)から購入した。抗マウスCD44(KM81)抗体はATCC(ロックビル、メリーランド州)から入手し、他の全ての試薬はシグマ社から最高級グレード製品を入手した。
<in vivoにおける腫瘍成長>
in vivoにおけるは腫瘍成長に対するヒアルロナン・オリゴマーの効果は、既知の方法同様に評価した(Zeng,C.,et al.(1988)Int J Cancer 77,396−401)。5−6週令のヌードマウス(Balb/c nu/nu、雄;チャールズリバー・ブリーディング・ラボラトリー社)またはA/Jaxマウス(ジャクソン・ラボラトリー社、バーハーバー、メイン州)を実験時点ごとに一群5匹にして用いた。PBSのみ、またはヒアルロナン・オリゴマーを溶解したPBSを含むALZET浸透ポンプを、アルザ・サイエンティフィック・プロダクツ社により推奨され、動物研究委員会に承認された操作により、マウス背部の皮下に挿入した。ポンプの埋め込みの次の日に、0.5−1.0×105−106個の腫瘍細胞を含む0.1mLPBSをポンプの前面にじかに注入した。マウスは、治療の7または14日後に二酸化炭素で安楽死させ、腫瘍重量によりその成長を測定した。
<固定独立性成長アッセイ>
既に公開された技術を改変して用いた(Macpherson,J., et al.(1969)J Med Microbiol 2,161−165)。アッセイは、10%牛胎児血清(GIBCO)、1mMグルタミン、及び100単位ペニシリンと100μg/mLストレプトマイシンを含む0.6%寒天DMEM培地を含む基層の入った6−ウェルプレートで行った。この層の上に、1mLの2500細胞懸濁液を混合し、それぞれ100μg/mLヒアルロナン添加または非添加の1mLの0.2%寒天(20%牛胎児血清、2mMグルタミン、及び200単位ペニシリンと200μgストレプトマイシンを含む)PBSの第二層を重層した。プレートはを37℃で10−14日間インキュベートし、腫瘍コロニーの直径を接眼レンズに視覚スケールを備えた顕微鏡で測定した。0.2mmより大きな直径のコロニーを計数した。
<腫瘍細胞の処理と生化学アッセイのための細胞溶解物の調製>
TA3/St及びHCT116細胞を14cm培養ディッシュで72時間培養し、次にトリプシン消化により回収し、PBSで洗浄して10%FBSを含むDMEMに懸濁した。これらのカルチャーから200万個の細胞を非吸着超−低クラスタープレートの各ウェルにとり、さらに37℃で72時間、懸濁液でインキュベートした。各ウェルからの細胞を回収し、PBSで洗浄し、2%牛血清アルブミン(コーン・アナログ、シグマ社)を含む5mLDMEM培地に懸濁し、クラスタープレートに再度とり、37℃で96時間、懸濁液でインキュベートした。ほとんどの測定において、24−96時間のプレインキュベーションで同様の結果が得られた。ヒアルロナン・オリゴマーまたは他の試薬を次に加え、細胞を懸濁液でさらに24時間インキュベートした。
上記のように処理した細胞を室温で遠心分離により回収した。ペレットをPBSで2回洗浄し、次に1%ノニデット( Nonidet )P−40及びプロテアーゼ阻害剤を含む緩衝液に溶解した。細胞溶解を高速で15秒間の3回のボルテックス撹拌により行い、次に氷で冷却した。溶解物を4℃、12,000×gで15分間、エッペンドルフ5415R遠心分離機を用いて遠心分離した。上清の蛋白質量を測定後、液体窒素中で急速冷凍し、下記のアッセイで使用するまで−80℃で保存した。
<アポトーシス・アッセイ>
上記部分で述べたように培養したTA3/St細胞を他の箇所で述べたようにしてアッセイした(McGabon,A.et al.Methods Cell Biol 46:153−185,1995)。簡略には、1μLの染料混合物(アクリジンオレンジ及び臭化エチジウム、各1mL中に100μg)を倍地中でmL当たり〜5×105細胞を含む25μLの細胞懸濁液と混合した。この懸濁液10μLを清浄なスライド上にとり、青色フィルターを取り付けた蛍光顕微鏡を用いて40×対物レンズで検査した。生存細胞(緑色)及び断片化した核(赤色)を含むアポトーシス細胞を計数し、次にアポトーシス細胞の百分率を計算した。
<カスパーゼ−3アッセイ>
200μgの細胞溶解物の蛋白質を各アッセイに用いた。アッセイは製造会社の説明書(バイオビジョン・リサーチ・プロダクツ社)に従い、ラベル化基質のDEVD−p−ニトロアニリドからの解裂後、405nmにおけるp−ニトロアニリド発色団の分光光学測定に基づいて実施した。
<PI3キナーゼアッセイ>
総PI3キナーゼのアッセイとして、250ngの細胞溶解物を各アッセイに用いた。アッセイは、0.001%ノニデットP−40、150μMのATP、25mMのMgCl2、5mMのEGTA、150μMのATP、25μCiの[γ−32P]ATP、125mMのMOPS、pH7.0及びホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール及びホスファチジルイノシトール−4,5ビスホスフェイトを超音波処理緩衝液(25mMのMOPS、pH7.0、1mMのEGTA)中に1:1:1(v:v:v)の比で含む0.2mg/mLの超音波処理脂質を含有する50μLの反応混合物中で行った(Whitman,M.et al(1985)Nature 315,239−242;Susa,M.,et al.(1992)J Biol Chem 267,22951−22956;Misra,S.,et al.(1998)J Biol Chem 273,26638−26644)。反応は37℃で20分間行い、100μLのメタノール/1M塩酸(1:1)を加えて反応を停止した。脂質は100μLのクロロホルムで2回抽出した。有機層を混合して、窒素雰囲気下に乾燥し、薄層クロマトグラフィーで分析した。32P標識フォスフォイノシタイドを水/酢酸/n−プロパノール(34:1:65)に溶解して、オートラジオグラフィーで検出した。フォスファチジルイノシトール3,5,5−フォスフェート(PIP3)への32Pの取り込みは、掻き取りシンチレーション液に溶出した薄層クロマトグラフィーのスポットを液体シンチレーション計測により定量した。
特定のPI3キナーゼ・アイソフォームのアッセイとして、全細胞溶解物を特定のアイスソフォームとプロテインA−セファロースに対する抗体とインキュベートした。次に、ビーズに不動化した酵素のPI3キナーゼ活性を上記のようにして測定した。
<イムノブロッティング>
細胞溶解調製物を5分間65℃で変性し、10%ポリアクリルアミドゲルに載せた(15−30μg蛋白質/レーン)。電気泳動をバイオラッド社のミニゲル装置で行った。蛋白質をニトロセルロース膜に移し、5%の脂肪を含有しないドライミルクと0.1%Tween−20を含むトリス緩衝化生理食塩水で1時間ブロッキングした。次に、膜を洗浄し、5%牛血清アルブミン(ポリクローナル抗体用)または5%の脂肪を含有しないドライミルク(モノクローナル抗体用)を含有するトリス緩衝化生理食塩水で適当な抗体を希釈した。用いた二次抗体としては、西洋ワサビ・ペルオキシダーゼを結合した、抗ウサギIgG抗体(ニューイングランド・バイオラブ社)及びヤギ抗マウスIgG抗体(バイオラッド社)であった。免疫活性を有するバンドを増強化学発光により検出し、蛋白質の大きさをプレステイン分子量標準を用いて評価した。免疫活性を有するバンドはデンシトメトリーにより定量した。15%H22で中和、または50℃で除去した後、膜を再利用した(アマシャム、ファルマシア・バイオテック社の製造者手順書に従った)。
<実施例1> ヒアルロナン・オリゴマーはin vivoで腫瘍成長を阻害する。
B16−F10マウス黒色腫細胞の皮下埋め込み部位へのヒアルロナン・オリゴマーの投与は、投与のタイミングに依存して50−58%その成長を阻害した(Zeng,C.,et al.(1998)Int J Cancer 77,396−401)。この効果が他の腫瘍細胞に適用可能か否かを確かめるため、ヌードマウスにおいてLX−1ヒト肺癌細胞を、先天性マウスにおいてTA3/Stマウス乳癌細胞をもちいて実験を行った。各実験において腫瘍細胞は、対照5匹と処置5匹の群に対して皮下投与した。ヒアルロナン・オリゴマーは、注入部位付近に埋め込まれたALZET浸透ポンプから投与した。このオリゴマーは、7または14日間にわたって〜0.5μg/0.5μL/時間の速度で放出された。対照動物はビーイクル(PBS)のみを投与された。ヒアルロナン・オリゴマーは、この期間にわたって、LX−1腫瘍の成長を〜50−80%(図1A)、TA3/St細胞の成長を〜60−65%(図1B)阻害した。この阻害はB6−F10細胞におけるものと同程度であった。
さらなる実験において、LX−1細胞を注入した動物を7日間、未処置とし、次に14日間処置した。このような二つの実験において、成長阻害は40%及び75%と変化した。反対にした場合、つまり14日間処置した後に、7日間処置をしない場合には、68%の阻害であった。7日間処置した後に、14日間処置をしない場合では、52%の阻害であった。
<実施例2> ヒアルロナン・オリゴマーは固定独立性成長を阻害し、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する。
単層細胞カルチャー、すなわち、固定従属性条件下において、100−150μg/mLの濃度のヒアルロナン・オリゴマーは、B16−F10マウス黒色腫細胞、TA3/Stマウス乳癌細胞、LX−1ヒト肺癌細胞、及びHCT116ヒト結腸癌細胞の分化へほとんど効果を示さなかった。標準的な条件下で分化成長阻害を持たないということは、ヒアルロナン・オリゴマーが毒性をもたないということを示している。
しかしながら、腫瘍細胞の特質は固定独立性様式で成長できる能力である(Freedman,V.H.,et al.(1974)Cell 3,355−359)。ヒアルロナン・オリゴマーは、軟寒天のコロニーとしての成長能力でアッセイされるように、腫瘍細胞の固定独立性成長を低下させることがここで示される。軟寒天アッセイに150μg/mLのヒアルロナン・オリゴマーを含有することにより、LX−1ヒト肺癌細胞、HCT116ヒト結腸癌細胞、及びTA3/Stマウス乳癌細胞によるコロニー形成が、それぞれ80、68、及び72%阻害される(図2)。同様の結果がヒト神経膠質種細胞及び乳癌細胞を含む、他の数種の腫瘍細胞型においても得られた。
固定独立性成長の阻害がアポトーシスの誘導によるものかどうかについて次に試験した。このために、ヒアルロナン・オリゴマーの存在下及び非存在下において、TA3/St細胞を懸濁状態で、すなわち固定独立性条件下に、インキュベートした。アポトーシス濃度は、ヒアルロナン・オリゴマー非存在下の〜13%から、50−150μg/mLのオリゴマー存在下の70−75%に上昇した(図3)。対照の未処理細胞は25%未満のアポトーシスを示した。したがって、ここで観察されたヒアルロナン・オリゴマーが存在することによる効果は、アポトーシスの頻度を3倍以上に上昇させることである。
ヒアルロナン・オリゴマーに関連する様々な試薬の効果も試験した。ヒアルロナン・オリゴマーと大きさや化学組成で類似するため、ネガティブ対照としてキチン・オリゴマーを用いた。これらはヒアルナン・シンターゼがキチン・オリゴマーを産生できることに十分に密接に関係している(Yoshida,M.,Itano.N.,Yamada,Y.,and Kimata,K.(2000)J Biol Chem 275,497−506)。それらは有意な効果をもっていない(図3)。ヒアルロナン・ポリマー及び硫酸コンドロイチンも有意な効果をもっていない(図3)。固定独立性性条件下の癌細胞の生存は、正常上皮細胞に反して、しばしばPI3キナーゼ/Akt経路レベルの上昇に影響されるため、ヒアルロナン・オリゴマーの効果とPI3キナーゼ阻害剤であるワートマニンの効果を比較した。ヒアルロナン・オリゴマーにより誘導されるアポトーシスのレベルは、ワートマニン誘導のそれと同等であった(図3)。
カスパーゼ−3へのヒアルロナン・オリゴマーの効果を測定したところ、それがカスパーゼ−3活性をTA3/St細胞(図4A)及びHCT116細胞(図4B)において4−10倍活性化していることがデータにより示された。硫酸コンドロイチンは、両方の細胞型においてカスパーゼ−3活性に有意な効果をもちなかった。アポトーシス・アッセイで示されたように、ヒアルロナン・オリゴマーの効果はPI3キナーゼ阻害剤のそれと比較して同等または高いものであった(図4A、4B)。
<実施例3> ヒアルロナン・オリゴマーはPI3キナーゼ/Akt細胞生存経路を抑制する。
PI3キナーゼ/Akt細胞生存経路の活性は多くタイプの腫瘍細胞で上昇し(Cantley,L.C.,et al.(1999)Proc Natl Acad Sci USA 96,4240−4245;Katso,R.,et al.(2001)Annu Rev Cell Dev Biol 17,615−675)、この上昇は固定独立性成長にとって必要である(Danen,E.H.,et al.(2001)J Cell Physiol 189,1−13;Amundadottir,L.T.,et al.(1998)Oncogene 16,737−746;Moore,S.M.,et al.(1998)Cancer Res 58,5239−5247;Sheng,H.,et al.(2001)J Biol Chem 276,14498−14504)。例えばワートマニンまたはLY294002による、この経路の阻害は、固定独立性条件下におけるアポトーシスを誘導する(図3、4)。したがって、ヒアルロナン・オリゴマーがこの経路を抑制するか否かを試験した。
TA3/StまたはHCT116抽出物における総PI3キナーゼ活性へのヒアルロナン・オリゴマーの効果を初めに測定した。50−150μg/mLのヒアルロナン・オリゴマーの添加により、これらの細胞の抽出物における総PI3キナーゼ活性〜60%阻害され、10μg/mLではときどき部分的に阻害されることがわかった(図5A、5B)。次に、個々のPI3キナーゼ・アイソフォーム活性への効果を測定した。TA3/St細胞及びHCT116細胞における主成分のアイソフォームはαアイソフォームであることがわかった。また、50−150μg/mLのヒアルロナン・オリゴマーに50−75%の阻害が観察され、10μg/mLではTA3/St細胞(図5C)及びHCT116細胞において中間の効果が観察された。
ワートマニン及びLY294002には前記オリゴマーと実質的に同等の効果が認められた(TA3 1st:図5D)。同様の結果はHCTでも得られた。さらに、ヒアルロナン・オリゴマーに関連する様々な試薬の効果を測定した。ヒアルロナン・ポリマー、硫酸コンドロイチン、キチン・オリゴマーのいずれにも、TA3/St細胞(図5D)またはHCT細胞においてPI3キナーゼへの有意な効果はなかった。異なる大きさのヒアルロナン・ポリマーに対して、異なるシクナリング活性が報告されているため(Turley,E.A.,et al.(2002)J Biol Chem 277,4589−4592;Noble,P.W.(2002)Matrix Biol 21,25−29)、小さな(〜80kDa)及び大きな(〜2,000kDa)ポリマーを試験した。いずれの調製物もいずれの細胞型においても有意な効果をもたないことがわかった。
PI3キナーゼ産生物として主要な目的物であるPIP3は、Akt/プロテインキナーゼBのリン酸化を順次引き起こす3−フォスフォイノシタイド依存性プロテインキナーゼ1(PDK1)である(Cantley,L.C.,et al.(1999)Proc Natl Acad Sci USA 96,4240−4245)。ヒアルロナン・オリゴマーの添加は、TA3/St細胞及びHCT116細胞のいずれにおいてもAktリン酸化の50−60%の減少を引き起こす(図6A、6B)。この効果は硫酸コンドロイチン、ヒアルロナン・ポリマー、またはキチン・オリゴマーによっては生じず、ヒアルロナン・オリゴマーによる阻害はその強さにおいてPI3キナーゼ阻害剤のそれと類似のものである(TA3/St細胞:図6C)。同様の結果はHCT116細胞で得られた。総Aktのレベルへのこれらの試薬の効果も測定したが、いずれの細胞においても有意な効果は認められなかった。
アポトーシスの重要な調節因子はBAD及びFKHRであり、そのいずれもAktのリン酸化の結果として不活性になる(Katso,R.,et al.(2001)Annu Rev Cell Dev Biol 17,615−675;Datta,S.R.,et al.(1997)Cell 91,231−241;Nakamura,N.,et al.(2000)Mol Cell Biol 20,8969−8982)。したがって、ヒアルロナン・オリゴマーで処理することでこれらの二つの成分のリン酸化が減少するか否かについて試験した。BADとFKHRのリン酸化はウァートマニンまたはLY294002による程度と同程度ヒアルロナン・オリゴマーにより阻害される(〜60%)ことがデータにより示された(図7A、7B)。
何か特別の理論や機序に制限されることなく、ヒアルロナン・オリゴマーは内因性ヒアルロナンをその受容体であるCD44から取り除くように働き、その結果、シグナリングを減弱させる。もしこれが事実なら、抗CD44抗体のブロッキングによりヒアルロナン・オリゴマーの効果を模倣することができるだろう。したがって、抗CD44抗体の効果を試験し、PI3キナーゼ活性(図5D)、Aktリン酸化(図6C)、BADリン酸化(図7A)、及びFKHRリン酸化(図7B)の阻害が、ヒアルロナン・オリゴマーと同程度であることが認められた。
<実施例4> ヒアルロナン・オリゴマーはPTENレベルを活性化する。
PI3キナーゼ/Akt経路の重要な調節因子は、PI3キナーゼの産生物であるPIP3を脱リン酸化するフォスファターゼである、腫瘍抑制因子PTENである(Cantley,L.C.,et al.(1999)Proc Natl Acad Sci USA 96,4240−4245;Stambolic,V.,et al.(1998)Cell 95,29−39)。ここでは50−150μg/mLのヒアルロナン・オリゴマーがTA3/St細胞及びHCT116細胞においてPTENを5倍以上に活性化することが認められた(それぞれ、図8A及び8B)。類似の量のヒアルロナン・ポリマー、硫酸コンドロイチン、またはキチン・オリゴマーは、PTENのレベルを活性化しなかった(TA3/St細胞:図8C:HCT116細胞についても類似のデータが得られた)。
<実施例5> HAオリゴマーによるin vivoでの腫瘍成長の遅延
6−18の糖残基を含むオリゴマーCD44との相互作用において効果的に一価である(Lesley,J.,et al.J Biol Chem,275:26967−26975,2000)。したがって、内因性のポリマー性ヒアルロナンのこの大きさのオリゴマーによる置換は潜在的にヒアルロナン誘導シグナリングの欠乏をもたらし得る。
HAオリゴマー調製物はここで、ヌードマウス系においてin vivoで数種の腫瘍タイプの成長を遅延することがわかった。この腫瘍タイプには、マウス黒色腫、マウス乳癌、及びヒト肺癌が含まれる(ここで実施例1を参照、また図9には、それぞれB16、TA3、及びLX1で示される腫瘍タイプのデータ)。HAオリゴマー処理マウスからの黒色腫の重量は、生理食塩水で処理した対照マウスの約20%であり、他の腫瘍タイプのそれの30%と40%との間であった。さらに、CD44に結合するヒアルロナンをブロックする抗体で処理すると、腫瘍の成長と浸潤が阻害された(図9;Guo,Y.,et al.Cancer Res,54:1561−1565,1994;Zahalka,M.A.,et al.J Immunol,154:5354−5355,1995)。
<実施例6> HAオリゴマーまたは溶解性CD44による軟寒天における固定独立性成長の阻害
例えば、軟寒天における固定独立性成長は形質転換無細胞の特質である(Freedman,V.H.,et al.Cell,3:355−359,1974)。実施例2及び図10は、ヒアルロナン・オリゴマー添加による内因性ヒアルロナン相互作用の動揺は、乳癌、直腸癌、及び神経膠質腫細胞を含む数種の腫瘍細胞の固定独立性成長を阻害する(図10参照)。HAオリゴマーの効果的な濃度は10−100μg/mLであった。HAサブユニット、グルクロン酸、及びN−アセチルグルコサミンを含む二種のモノサッカライドの混合物は無効果であった。さらに、溶解性CD44は固定独立性成長の効果的な阻害剤であったが、一方、HAに非結合性であることが既に示されている、変異CD44の溶解性フォームは成長阻害において無効果であった。
<実施例7> HAオリゴマーによるフォスファターゼ及びテンシン(PTEN)発現の活性化
ここで、細胞のヒアルロナン・オリゴマー処理は、アポトーシスに関連する細胞内事象の既知経路により固定独立性成長を阻害することが示される。この経路における効果は、PTENレベルの上昇(図11A参照)、フォスフォイノシトール−3−キナーゼ活性の阻害(PI3;図11B)、及びBAD(Bcl−2関連死)とFKHRのリン酸化もしくはカスパーゼ3活性とFas発現の活性化を含むこの細胞生存経路の数多くの下流事象の抑制を含む。
これらのデータは、様々な手段(例えば、HGF/スキャター因子、β−カテニンの過剰発現、Has2組み換えアデノウィルス)により誘導される内因性のポリマー性HAの発現上昇が細胞生存経路を増強し、アポトーシスに抵抗する(下記実施例を参照)という事実と符合している。したがって、Has2組み換えアデノウィルスに感染したMDCK細胞が、非感染の対照細胞に比較して、軟寒天におけるコロニー形成能を増強し(図13Aを参照)、P−Aktを過剰発現する(図13B)。さらに、HAオリゴマーの存在下で、Has2組み換えアデノウィルス感染のこの効果は、ワートマニンまたはLY294002で処理した場合と同様に、反転する(図13A)。
<実施例8> アポトーシス誘導薬剤に対する腫瘍細胞の耐性
薬剤耐性は、薬剤の取り込み低下、無毒化機構の活性化、及びアポトーシス経路の変化を含む多くの方法により上昇し得る(Gottesman,M.M.,et al.Nature Rev Cancer,2:48−58,2002)。“古典的な”多剤耐性(MDR)は通常、mdr、mrp、及び関連ABCトランスポーター・ファミリー、特に、MDR1(P−グリコプロテイン)、MRP2(多剤耐性関連蛋白2)、及びBCRP(乳癌耐性蛋白)におけるATP依存性流出ポンプの活動を介した薬剤排出の増強に影響される。患者における薬剤耐性は、いくつかの場合においては、アポトーシス・カスケードの下流事象を誘導する新規な治療的干渉によって克服され得る(Lowe,S.W.et al.Carcinogenesis,21:485−495,2000;Makin,G.et al.Trends Cell Biol,11:S22−S26,2001;O‘Gorman,D.M.,et al.Leukemia,15:21−34,2001)。
本発明の態様に関連して、多剤耐性の多くの性質がPI3−キナーゼ/Akt細胞生存経路の活性に依存しているという証拠がある(O‘Gorman,D.M.,et al.Leuk Res,25:801−811,2001;Stambolic,V.,et al.Cell,95:29−39,1998;Yang,J.M.,et al.Biochem Pharmacol,63:959−966,2002;Kuo,M.T.,et al.Oncogene,21:1945−1954,2002)。HAオリゴマーはこの経路を抑制するため、HAオリゴマーがこれらの試薬に対する耐性を逆転させる可能性がある。さらに、ヒアルロニダーゼは様々な化学療法剤の活性を、特に局所に適用される場合に、増強する(Baumgartner,G.,et al.Cancer Lett,131:85−99,1998)。EMT−6乳癌細胞の多細胞球塊のヒアルロニダーゼによる処理は、MDR1に基づく多剤耐性を逆行させる(Croix,B.S.,et al.J Natl Cancer Inst,88:1285−1296,1996;St Croix,B.,et al.Cancer Lett,131:35−44,1998)。ヒアルロニダーゼの機械的な効果は理解されていないが、一般には、本発明でわかった細胞生存シグナリングへの効果よりむしろ、細胞吸着の減少及び薬物通過の増加の効果の点から説明されてきている。
メトトレキセート処理に対するMDA−MB231ヒト乳癌細胞の耐性へのヒアルロナン・オリゴマーの添加効果を評価した。メトトレキセートに対する腫瘍細胞の耐性機序は多少議論されている。メトトレキセート特異的な、還元された葉酸担体による取り込み低下(Worm,J.,et al.J Biol Chem,16:16,2001;Ma,D.,et al.Biochem Biophys Res Commun,279:891−897,2000)、及びMRPファミリーまたは関連トランスポーターのメンバーの介在する放出増加などのようなより“古典的な”効果(Hooijberg,J.H.,et al.Cancer Res,59:2532−2535,1999;Kool,M.,et al.Proc Natl Acad Sci USA,96:6914−6919,1999;Volk,E.L.,et al.Cancer Res,60:3514−3521,2000)が、研究ににより証明されている。100μg/mLのヒアルロナン・オリゴマーの添加により、メトトレキセートに対してMB231細胞が著しく感受性を高め、IC50が約1μMから10nMに低下し、メトトレキセートの効果の100倍の改善が得られることが、ここで認められる(図12、図中、MB231細胞は“MDA”と示されている)。さらに、メトトレキセート−感受性化MCF−7細胞では、オリゴマー効果は全く認められなかった。これらのデータにより、細胞の多剤耐性を克服するためのHAオリゴマーの使用が古典的な化学療法剤をかなり低い濃度で活性にすることができ、これがまた患者における副作用を減少させるために有益である。
<実施例9> 常用される化学療法剤に対するヒト癌細胞系の耐性へのHAオリゴマーの効果
HAオリゴマーがメトトレキセートに対するMDA−MB213細胞の感受性を高めるという説明をさらに拡張するため、多剤耐性研究のためにさらに広く用いられている系、すなわち、MCF−7/adrR細胞を類似の研究としてここでは用いる。
ヒト乳癌に由来するこれらの細胞をドキソルビシンへの耐性のために選択してMDR1(Fairchild,C.R.,et al.Cancer Res,47:5141−5148,1987)及び薬剤無毒化酵素であるグルタチオン S−トランスフェラーゼ(Batist,G.,et al.J Biol Chem,261:15544−15549,1986)のアップ・レギュレーションのために多剤耐性が生じていることが示された。MCF−7/adrR細胞はネブラスカ州のエプリー癌センターのケネス・コワン博士から取得した。
これらの細胞を用いて、ドキソルビシン、パクリタキセル、及びビンブラスチンに対するMCF−7及びMCF−7/adrR細胞の、HAオリゴマー存在下及び非存在下における耐性の相対的な程度を評価した。化学療法剤の非存在下において、HAオリゴマー単独では、単層カルチャーの分化にほとんどまたは全く影響がなかった。
ドキソルビシン、パクリタキセル、及びビンブラスチンは、三つのクラスの薬剤、すなわち、“古典的な”多剤耐性に通常影響を受ける、それぞれアントラサイクリン、微小管安定化剤、及びビンカアルカロイドを代表し、MCF−7/adrR細胞はこれら三つの薬剤に耐性であることが示されている(Fairchild,C.R.,et al Cancer Res,47:5141−5148,1987;Zilfou,J.T.,et al.Oncol Res,7:435−443,1995;Ogretmen,B.,et al.Int J Cancer,67:608−614,1996;Hall,J.G.,et al.adv Enzyme Regul,39:113−128,1999;及びCiardiello,F.,et al.Int J Cancer,98:463−469,2002)。これらの実験は、メトトレキセートを用いて、上記の実施例と同様の方法で実施した(図12)。細胞は、10%牛胎児血清及び10−250μg/mLのHAオリゴマーを含み、一定範囲濃度のパクリタキセル、及びビンブラスチンを含むDMEMで培養した。2種の供給源の高度精製HAオリゴマー、すなわち、アニカ・セラピューティク社及び生化学株式会社のもの、を用いた(Zeng,C.,et al.Int J Cancer,77:396−401,1998)。細胞数は、コールター・カウンターで細胞数を計測し、生存細胞にMTTアッセイを行うことにより測定した(Volk,E.L.,et al.Cancer Res,60:35143−3521,2000)。
HAオリゴマーが腫瘍細胞における薬剤蓄積に影響するか否かを決定するために、MCF−7/adrR細胞におけるジキソルビシン、MDA−MB231細胞におけるメトトレキセートの取り込みと放出を測定する。ドキソルビシンの取り込みと放出は記述されているように測定される(Fu,L.W.,et al.Eur J Cancer,38:418−426,2002)。簡略に述べれば、MCF−7及びMCF−7/adrR細胞を、10mMのグルコースで補足した倍地中、HAオリゴマーの存在下及び非存在下、10μMのドキソルビシンとともに3時間インキュベートする。次に、洗浄細胞を0.3M塩酸及び60%エタノール中で処理し、遠心分離し、470nm(励起)及び590nm(放射)でドキソルビシンの分光蛍光測定を行った。放出を測定するために、上記のインキュベーション後に、細胞を洗浄し、さらにHAオリゴマーの存在下または非存在下でドキソルビシンを加えずにインキュベートすることを除き、同様の操作を行った。メトトレキセートの取り込みと放出は、3H−メトトレキセート(アマシャム社;ウァーム,J.,et al.J Biol Chem,16:16,2001)による放射活性測定を用いことを除き、同様の方法で測定する。
これらの実施例は固定依存性( anchorage-dependent )条件下において行った。ここで、HAオリゴマーはアポトーシスを誘導し、固定独立性条件下PI3−キナーゼ/Akt細胞生存経路を抑制したことがデータから証明された(図3及び図11)。しかしながら、HAオリゴマーも固定依存性条件下、中程度にこの経路を抑制した。この抑制のレベルは、固定依存性条件下にアポトーシスを誘導するには十分ではないものの、この条件下で化学療法剤に対し細胞を感受性にすることは可能である。したがって、HAオリゴマーがPTEN発現を活性化し、PI3−キナーゼ活性を抑制するかどうか、Akt及びBADリン酸化を個々で用いた薬剤処理条件でこれらの細胞において決定した。これらの測定は当業者において標準である方法により実施した(Ghatak,S.,et al.J Biol Chem,277:38013−20,2002)。
MCF−7及びMCF−7/adrR細胞においてアポートーシスを誘導するIC50を評価するために、ドキソルビシン、パクリタキセル、及びビンブラスチンの適当な濃度範囲を決定する。10−250μg/mLヒアルロナン・オリゴマーのこれらの薬剤のIC50に対する効果を試験する。MCF−7/adrR細胞におけるドキソルビシンの取り込みの放出は、ヒアルロナン・オリゴマーが耐性を最大に逆転させる条件で測定した。MDA−MB231細胞における取り込みと放出は、ヒアルロナン・オリゴマーが耐性を最大に逆転させる条件(パイロット・スタディで決定されている)で測定する。ドキソルビシン、パクリタキセル、及びビンブラスチンの効果を、ヒアルロナン・オリゴマーの存在下及び非存在下において、フォスフォイノシタイド−3−キナーゼ(PI3−キナーゼ)、Aktリン酸化(プロテインキナーゼ3)もしくはBAD、及びMCF−7/adrR細胞におけるPTEN発現などのようなパラメータを用いて測定する。
<実施例10> 球塊カルチャーにおけるヒト癌細胞の化学耐性(chemoresistance)へのHAオリゴマーの効果
多くの研究により、三次元で起こる細胞相互作用、例えば、球塊における多細胞耐性とときどき呼ばれる現象、の条件下において、薬剤耐性がしばしば上昇することが証明されている(DeSoize,B.et al.Crit Rev Oncol/Hematol 36:193−207,2000;Olive,P.L.以下al.Cancer Metastasis Rev,13:121−138,1994;及びKerbel,R.S.,et al.Cold Spring Har Symp Quant Biol,59:661−672,1994)。そのような耐性はときどきヒアルロニダーゼ処理により逆行させることができる(Croix,B>S.,et al.J Natl Cancer Inst, 88: 1285−1296;St Croix,B.,et al.Cancer Lett,131:35−44)。
HAオリゴマー非存在下及び様々な濃度のHAオリゴマーの存在下において、この方法で培養したMCF−7及びMCF−7/adrR細胞のドキソルビシン、パクリタキセル、及びビンブラスチンに対する相対的な耐性を測定する。従来の研究により、球塊カルチャーは、適当に感受性化されたMCF−7細胞において上昇することがわかっている(dit Faute,M.A.,et al.Clin Exp Metastasis,19:161−168,2002)。球塊カルチャーは既に記述されているように(Ballangrud,A.M.,et al.Clin Cancer Res,5:3171s−3176s,1999)、すなわち、寒天薄層上に細胞を培養し、次に約1−200μmの球塊を選択し、24ウェル・プレートの寒天層に移すことにより、作製する。薬剤とオリゴマーの組み合わせの効果は、球塊の体積測定により(Ballangrud,A.M.,et al.Clin Cancer Res,5:3171s−3176s,1999)、またはMTT生存アッセイ(Denizot,F.et al.J Immunol Methods 89:271−277,1986)により評価する。
MCF−7及びMCF−7/adrR細胞の球塊カルチャーを確立する。球塊カルチャーにアポトーシスを誘導するためのIC50を評価するために、ドキソルビシン、パクリタキセル、及びビンブラスチンの適当な濃度範囲を決定する。次に上記薬剤のIC50に対する10−250μg/mLヒアルロナン・オリゴマーの効果を試験する。
<実施例11> ヒト癌細胞のヌードマウス異物移植における化学耐性に対するHAオリゴマーの効果
培養系における化学耐性の効果は必ずしもin vivoにおける関連する効果を反映しない。したがって、ドキソルビシンに対する耐性へのHAオリゴマーの効果を実験動物へのMCF−7/adrR細胞の異物移植を用いてin vivoで測定する。
異物移植は既に記述されているように作製する(Fu,L.W.,et al.EurJ Cancer,38:418−426,2002;Ullman,C.Anticancer Res.,11:1379−1382,1991)。簡略に記述すれば、0.5×106個の細胞をヌードマウスに皮下注入する。5×5mmの大きさになった後、マウスを6群に分け、それぞれにドキソルビシン単独(4mg/kg)、HAオリゴマー単独(5mg/kg)、またはドキソルビシン(4mg/kg)とHAオリゴマー(5mg/kg)を、3−4週間にわたって2日目ごとに、腹腔内投与する。さらに、ドキソルビシンを腹腔内投与し、HAオリゴマー(0.5μg/0.5μLHA/時間)またはPBSを、上記実験の注入部位に隣接して埋め込まれた3週ALZETポンプから投与する。腫瘍体積を規定の間隔で直径測定により評価する。4週後に屠殺して腫瘍重量を測定する。
MCF−7/adrRの異物移植ヌードマウスの皮下に作製し、IC50決定のためのドキソルビシン投与量を評価する。ALZETポンプからのヒアルロナン・オリゴマー単独の皮下投与と比較した投与腹腔内投与の腫瘍成長に対する効果を評価する。ドキソルビシンのIC50に対するヒアルロナン・オリゴマーの効果をほとんどまたは全く効果のないオリゴマーの投与量、及び有意な効果のみを有する投与量で試験する。
最近の研究により、悪性の活動を抑制する正常細胞−細胞外マトリックス相互作用の重要性、及び悪性の性質の始まりと成長における悪性細胞−マトリックス相互作用の潜在的な働きが証明されてきた(例えば、Bissell,M.J.,et al.Cancer Res,59:1757−1763s;及び1763s−1764s,1999;Roskelly,C.D.et al.SEmin Cancer Biol, 12:97−104,2002を参照)。HAは腫瘍成長に含まれる一つのマトリックス成分である。ここで、上昇したHA発現がPI3−キナーゼ/Akt細胞生存経路の活性を増強すること、及びHAの小さなオリゴマーが、PI3−キナーゼ/Akt細胞生存経路を抑制し、固定独立性条件下においてアポトーシスを誘導することにより、内因性HAポリマー相互作用と拮抗していることが示される。何か特定の機序に限定されることなく、HAオリゴマーが、細胞生存経路を抑制し、アポトーシス機序を活性化することにより化学耐性癌細胞を感受性化することが提案される。ここで実施例は、HAオリゴマーがin vivoにおける腫瘍成長を遅延させることを示している。これらのオリゴマーが化学耐性を逆行させるという可能性により、少ない副作用でより効果的に癌細胞を殺すことにより現在の化学療法プロトコールを強化する新規な治療が導かれ得る。
<実施例12> 腫瘍細胞の放射線耐性へのHAオリゴマーの効果
肝細胞増殖因子(HGF;分散因子としても知られている)による細胞処理、またはβ−カテニンの発現上昇は、上皮細胞における形質転換特性を誘導する。β−カテニンの場合、これらの形質転換特性は、対照と比較してγ−放射線への耐性上昇及びS1相への移行上昇を含んでいる(Orford,K.et al.1999 J Cell Biol 146:855−868)。
ここで示されるように、HGF処理またはβ−カテニン発現上昇が誘導したMDCK細胞における固定独立性成長は、HAオリゴマー及び抗CD44抗体による処理によっても逆行する(図14A、14B)。さらに、これらの細胞は、マトリゲル( Matrigel )が被覆する空間に浸潤する能力をもつことがわかり、HAオリゴマーは、キチン・オリゴマーではできないこの浸潤を逆行させることができた。したがって、放射線に対する細胞の感受性を改善するHAオリゴマー処理をさらに検討する。
この目的で、ベクター感染及びβ−カテニン感染したMDCK細胞系を構築した。これらの細胞を5Gy(Gray単位)のγ放射線に8時間暴露し、それらの細胞周期をFACSで分析し、放射線暴露を受けていない細胞と比較して特長づける。さらに、この実験を10−500μg/mLのHAオリゴマーの存在下及び非存在下において行い、オリゴマーがこれらの効果を逆行させ成長停止を引き起こすか否かを確かめる。
<多剤耐性及び放射線耐性に対する細胞の感受性へのHABPの影響>
多剤耐性及び放射線耐性のそれぞれにおける溶解性HABPの過剰発現の効果を、溶解性CD44及びブレビカン( brevican )連結モジュール、すなわち脳に由来するヒアルロナン結合プロテオグリカンであるブレビカンのヒアルロナン結合ドメインの合成を促進することができる組み換えアデノウィルス・ベクターを用いて試験する。
何か特定の機序に関わらず、ここで述べる変異CD44は、溶解性CD44の存在下において薬剤または放射線に対する細胞の上昇した感受性の何か積極的な効果がHABPによるHA親和性によるものかを確認するためにさらに用いられる。これらのデータにより、内因性HAへの競合がHAオリゴマーの効果を擬態するものか否かを決定される。アポトーシス経路におけるこれらの組成物の効果を確認するため、これらの実験に用いられる、HAオリゴマー処理及び溶解性HABP処理のいずれかと未処理細胞におけるPI3キナーゼ活性、Aktリン酸化、及びPTEN発現のレベルを決定し得る。
<実施例14> ドキソルビシン、メトトレキセート、BCNU、タキソール及びビンクリスチンに対するアドリアマイシン耐性細胞の感受性を、ヒアルロナン・オリゴマーは上昇させる。
ここでは、ヒアルロナン−細胞相互作用の動揺が固定独立性条件下において悪性癌細胞におけるアポトーシスを誘導することが示される。これらの条件下において、通常の上皮細胞は、細胞外マトリックスの大分子にインテグリンを介した結合がそれらの生存のために要求されるため、アポトーシスを受ける。しかしながら、多くのタイプの癌細胞は生存のためのこれらの要求を避け、大部分はフォスフォイノシタイド−3(PI3)キナーゼ/Akt及びMAPキナーゼのシグナリング・カスケードのような細胞生存経路の構成的強化によって、懸濁液または軟寒天において培養できる(Frisch,S.M.,et al.Curr Opin Cell Biol 13,552−62,2001;Tamura,M.et al.,J Natl Cancer Inst 91,1820−8(1999);Almeida,E.A.et al.,J Cell Biol 149,741−54,2000)。
内因性ヒアルロナン相互作用はヒアルロナン・ジサッカライド(〜1200−4000Da)による処理によって上記のように動揺する。これらのオリゴマーは内因性のポリマー性ヒアルロナンと競合し、このため高親和性、多価、及び協調的相互作用が、低親和性、低価の受容体相互作用に取って代わられる(Underhill,C.B.,et al.J Biol Chem 258,8086−91,1983;Lesley,J.,J Biol Chem 275,26967−75,2000)。ヒアルロナン・オリゴマーはPI3−キナーゼ/Akt細胞生存経路を抑制し、BAD及びFKHRのリン酸化低下、PTEN発現上昇、カスパーゼ−3活性上昇のようなアポトーシスの前駆事象に導く。ここでは、シグナリング経路におけるこれらの変化が、固定独立性条件下と同様に固定従属性条件下においても起こることがわかる。上記に説明したように、ヒアルロナン・オリゴマーがこの耐性を逆行させると仮定された。
ゆえに、薬剤耐性へのヒアルロナン・オリゴマー共処理の効果は、確立された系、すなわち、ドキソルビシン耐性で選択されたMCF−7/Adrヒト乳癌細胞で検討された(Fairchild,C.R.,et al.,Cancer Res 47,5141−8,1987)。先ず、相対的な薬剤感受性に対する、MCF−7/Adr細胞におけるドキソルビシン耐性へのヒアルロナン・オリゴマーの効果は、親MCF−7細胞系が比較された。100μg/mLのヒアルロナン・オリゴマーが、MCF−7/Adr細胞の前記薬剤に対する感受性を〜55倍に高めたが、すでに感受性であるMCF−7細胞への効果はほとんどなかった(図15A、15B;表1)。オリゴマーの濃度範囲を試験し、200μg/mLまでの濃度では単独使用の場合に細胞生存にほとんどまたは全く影響を与えなかったにもかかわらず、10μg/mLまたはそれを超える濃度ではドキソルビシン耐性に有意な効果があることがわかった。
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他の薬剤に対するこれらの細胞の耐性へのヒアルロナン・オリゴマーの効果を試験、すなわち、それらが多剤耐性に影響するか否かを試験した。ここで前記オリゴマーはタキソールに対して〜12倍、1,3−ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソウレア(BCNU)に対して〜78倍、及びビンクリスチンに対して〜10倍、耐性を減少させることがわかった(表1)。また、前記オリゴマーは親MCF−7細胞にはほとんど効果がなかった(表1)。
ヒアルロナン・オリゴマーは、また異なる細胞系、すなわち葉酸アナログ・メトトレキセートに対するMDA−MB231ヒト乳癌細胞の耐性を試験した(Worm,J.,et al.,J Biol Chem 16,16,2001)。ここで、それらがこの系において133倍耐性を減少させることがわかった(表1)。
<実施例15> ヒアルロナン発現は癌細胞に薬物耐性、及びヒアルロナン・オリゴマー処理で逆行する効果を誘導する
もしヒアルロナン・オリゴマーがヒアルロナン相互作用を動揺させることにより多剤耐性細胞を感受性化するのなら、次にヒアルロナン産生増加が薬剤感受性化細胞の耐性上昇を引き起こすことが期待される。したがって、ヒアルロナン産生は、ヒアルロナンを合成する一つの酵素である、Has2の発現を促進する組み換えアデノウィルスで感染することにより、適当に薬剤感受性をもつMCF−7細胞において活性化された(Weigel,P.H.,et al.J Biol Chem 272,13997−4000,1997)。
3つの別の実験において、前記Has2アデノウィルス感染細胞は、未処理細胞または組み換えβ−ガラクトシダーゼ・アデノウィルスで感染した対照細胞よりも2.5−4倍多くのヒアルロナンを生産することがわかった(図16A)。さらに、ヒアルロナン産生の上昇が10−12倍のドキソルビシンに対する耐性を誘導し(図16B)、この耐性はヒアルロナン・オリゴマーの継続的処理により逆行した(図16C)。
予備的なデータにより、グリコプロテインであるエムプリン及び最も悪性の癌細胞の表面に多く存在するIgGスーパーファミリーのメンバー(Biswas,C.,et al.Cancer Res 55:434−439,1995)が、腫瘍細胞におけるヒアルロナン産生を調節する。
組み換えエムプリン・アデノウィルスに感染したMCF−7細胞は、対照よりもドキソルビシン処理に対してより耐性であることがわかった(図16C)。さらに、この効果はヒアルロナン・オリゴマー処理により逆行することがわかった(図16D)。
<実施例16> PI3/akt細胞生存経路へのヒアルロナン・オリゴマーの効果
さらに、ヒアルロナン・オリゴマーはPI3/akt細胞生存経路を抑制することがわかった。この経路の下流効果の一つはBADリン酸化であり、これがアポトーシスの前駆効果を逆行させる(Datta,S.R.,et al.Genes Dev 13,2905−27,1999)。ヒアルロナン・オリゴマーは、Aktによる主要なリン酸化部位であるセリン136におけるリン酸化を阻害する。しかしながら、この研究はここで用いられるものとは異なる細胞で行われた。
それゆえに、この経路におけるヒアルロナン・オリゴマーの効果はMCF−7/Adr細胞において試験された。ヒアルロナン・オリゴマーはAktのリン酸化を抑制し、様々な薬剤、すなわちドキソルビシン、タキソール、ビンクリスチン(図17A)及びBCNUの存在下、PTEN発現を活性化した。PI3キナーゼ活性も阻害され、Aktの総レベルに何の効果も観察されなかった。これらの効果はBADリン酸化の減少を招くことが期待される。しかしながら、前記で用いた細胞(HCT116直腸癌及びTA3/Stマウス乳癌)とは反対にMCF−7/Adr細胞においては、薬剤及びオリゴマーの存在下または非存在下においてセリン136におけるBADリン酸化はほとんど認められなかった。この理由のため、MAPキナーゼに関する更なる研究を行う。この経路はBADリン酸化を誘導し、この場合はセリン112におけるものである(Bonni,A.,et al.,Science 286,1358−62,1999;Mabuchi,S.,et al.,J Biol Chem 277,33490−500,2002;Baumgartner,G.,et al.Cancer Lett 131,85−99,1998)。
ここではデータにより、様々な薬剤で処理したMCF−7/Adr細胞において、強いセリン112におけるBADリン酸化が示される。これらの結果は、これらの細胞においてMAPキナーゼ経路の方がPI3キナーゼ経路よりも多く含まれていることを示唆している。また、データにより、このリン酸化がヒアルロナン・オリゴマーにより阻害されることが示された(図17B、17C)。さらに、前記オリゴマーは様々な薬剤の存在下において、総レベルではなく、この経路の上流の成分、すなわちErk(図17B、17C)及びRaf−1のリン酸化を阻害する。
これらの実験は固定従属性培養条件下において行われるため、MAPキナーゼ経路はFAKによって活性化されているだろう(Tamura,M.et al.,J Natl Cancer Inst 91,1820−8,1999;Almeida,E.A. et al.,J Cell Biol 149,741−54,2000)。したがって、FAKリン酸化はヒアルロナン・オリゴマーの存在下及び非存在下において薬剤処理したMCF−7/Adr細胞で、オリゴマーがFAKリン酸化を阻害するか否か決定するために検討した。これらの実験におけるP−Erk、p−BAD112、及びp−FAKレベルは、薬剤およびオリゴマー投与量によって50−90%変動することがわかった。これらの実験の多くも、50−1000nMのBCNU濃度で行い、同様の阻害が観察された。
ヒアルロナン産生の上昇はMCF−7細胞において薬剤耐性増強を引き起こすため、これらの経路が組み替えHas2アデノウィルス感染細胞において活性化されるか否かについても確認した。Akt、Erk、BAD112及びFAKのリン酸化は、対照と比較して薬剤処理したHas2アデノウィルス感染細胞で上昇し、一方、PTEN発現は減少することがわかった。
上記実施例により、内因性ヒアルロナン−腫瘍細胞の相互作用は癌細胞における多剤耐性の決定的な調節成分であること、及びヒアルロナンの振る舞いの最も可能性のある機序は、PI3キナーゼ及びMAPキナーゼ細胞生存経路を活性化することにより、BADリン酸化のような様々な抗アポトーシスの結果に導くということが示されている。活性で、非リン酸化BADは生存Bcl−2ファミリー・メンバーの前駆体と相互作用し、アポトーシスを誘導する(Datta,S.R.,et al.,Genes Dev 13,2905−27,1999)。BADは、Aktによりセリン136が、Erkによりセリン112がリン酸化されることにより不活性化され、いずれも腫瘍細胞において薬剤耐性上昇をもたらすことができる抗アポトーシスの結果に導く(Bonni,A.,et al.,Science 286,1358−62,1999;Mabuchi,S.,et al.,J Biol Chem 277,33490−500,2002;Baumgartner,G.,et al.,Cancer Lett 131,85−99,1998)。ここで用いられるMCF−7/Adrヒト乳癌細胞において、BADリン酸化の調節は主にErkによって仲介されている。しかしながら、HCT116ヒト直腸癌細胞及びTA3/Stマウス乳癌細胞においては、AktによるBADリン酸化が顕著である。いずれの場合にもヒアルロナン・オリゴマーによる細胞処理はこの過程を阻害し、癌細胞のアポトーシスを促進する。
これらのデータは多剤耐性におけるヒアルロナンの働きを示すだけでなく、ヒアルロナン相互作用の動揺が耐性細胞を感受性化することも示している。したがって、そのような動揺は、ここで示したように化学療法剤に対する癌細胞の感受性化と同様に、腫瘍の成長及び転移に実質的な効果をもつため、二重の治療上の役目を提供する。
これらのデータは、ヒアルロナン・オリゴマーによる多剤耐性細胞の処理により、それらの細胞を薬剤処理へ感受性化することを示している。ドキソルビシンに耐性となった細胞である、アドリアマイシン耐性細胞系MCF−7/Adrは、次のそれぞれの薬剤に対して、以下のような程度で感受性化することがわかった。すなわち、ドキソルビシンに対し55倍、BCNUに対し78倍、タキソールに対し12倍、ビンクリスチンに対し10倍の程度で感受性化する。さらに、MDA MB231細胞系の細胞は、ヒアルロナン・オリゴマーによる処理の結果として133倍メトトレキセートに感受性となることがわかった。薬剤耐性MCF−7細胞のヒアルロナン・オリゴマー処理においては、有意な効果は観察されなかった。
細胞における内因性ヒアルロナン合成の効果も、ヒアルロナン・シンターゼ(組み換えアデノウィルスを使用)のアップ・レギュリレーション供給により検討した。そのようなアップ・レギュリレーションの結果として、薬剤感受性化細胞のMCF−7は12倍より耐性になることがわかり、この効果はHAオリゴマー処理により逆転することがわかった。
Igスーパーファミリーのメンバーであり、最も悪性の癌細胞の表面に多く存在する蛋白質であるエムプリンのアップ・レギュレーションはヒアルロナン合成を活性化することがわかった。アップ・レギュレーションの結果として、MCF−7細胞は10−15倍より薬剤耐性になり、この効果はHAオリゴマー処理により逆転することがわかった。
抗腫瘍剤は細胞生存シグナリングに含まれる、PI3キナーゼ/Akt、Raf/Erk、及びFAKのような経路を活性化することがわかった。さらに、HAオリゴマー処理は前記薬剤の存在下または非存在下においてこれらの経路を抑制するこちがわかった。ヒアルロナンまたはエムプリン合成のアップ・レギュレーションには反対の効果、すなわちこれらの経路の活性化、がある。
何か特別の機序または細胞内の活動様式に制限されることなく、これらのデータは、HAオリゴマーによる細胞処理は内因性ヒアルロナン合成の効果を阻害し、このためアポトーシス強化剤である抗癌治療剤が他の薬剤耐性細胞において腫瘍細胞死を引き起こすより大きな可能性をもっていることを証明している。
本発明の追加的な態様が特許請求の範囲に記載されているが、これらは限定的に解釈されるべきものではない。
ヒアルロナン・オリゴマーによるin vivoでの腫瘍成長の阻害を示す棒グラフである。 ヒアルロナン・オリゴマーによるin vivoでの腫瘍成長の阻害を示す棒グラフである。 ヒアルロナン・オリゴマーによるin vivoでの腫瘍成長の阻害を示す棒グラフである。 固定独立条件下におけるヒアルロナン・オリゴマーによるアポトーシスの誘導を示す棒グラフである。 ヒアルロナン・オリゴマーによるTA3/Stマウス乳癌細胞におけるカスパーゼ−3活性の活性化を示す棒グラフである。 ヒアルロナン・オリゴマーによるHCT116ヒト結腸癌細胞におけるカスパーゼ−3活性の活性化を示す棒グラフである。 ヒアルロナン・オリゴマーによるTA3/Stマウス乳癌細胞におけるPI3キナーゼ活性の阻害を示す棒グラフである。 ヒアルロナン・オリゴマーによるHCT116ヒト結腸癌細胞におけるPI3キナーゼ活性の阻害を示す棒グラフである。 ヒアルロナン・オリゴマーによるTA3/Stマウス乳癌細胞におけるPI3キナーゼ活性の阻害を示す棒グラフである。 ヒアルロナン・オリゴマーによるTA3/Stマウス乳癌細胞におけるPI3キナーゼ活性の阻害を示す棒グラフである。 TA3/Stマウス乳癌細胞における、ヒアルロナン・オリゴマーによるAktリン酸化の阻害を示す棒グラフである。 HCT116ヒト結腸癌細胞における、ヒアルロナン・オリゴマーによるAktリン酸化の阻害を示す棒グラフである。 TA3/St細胞からリン酸化されたAktのウェスタン・ブロットを示す図である。 アポトーシスに含まれる蛋白質BADの、TA3/Stマウス乳癌細胞におけるHAオリゴマーによるリン酸化の阻害を示すイムノブロットを示す図である。 TA3/St細胞における核転写因子であるFKHRのリン酸化の阻害を示すイムノブロットを示す図である。 TA3/Stマウス乳癌細胞における、腫瘍抑制因子PTENの発現のヒアルロナン・オリゴマーによる活性化を示す棒グラフである。 HCT116ヒト結腸癌細胞における、腫瘍抑制因子PTENの発現のヒアルロナン・オリゴマーによる活性化を示す棒グラフである。 TA3/Stマウス乳癌細胞を用いたイムノブロットを示す図である。 TA3/Stマウス乳癌細胞における、in vivoでの腫瘍の成長の遅延を示す棒グラフである。 HAオリゴマーまたは過剰発現した溶解性CD44による、軟寒天における固定独立性増殖の阻害を示す棒グラフである。 HAオリゴマーによる、PTEN(フォスファターゼとテンシン)の活性化を示す棒グラフである。 HAオリゴマーによる、PI3キナーゼ活性の阻害を示す棒グラフである。 HAオリゴマーによる、メトトレキセートへの可逆的な耐性を示す折れ線グラフである。 Has2発現を促進するアデノウィルスに感染したMDCK細胞による、0.2%軟寒天におけるコロニー形成の阻害を示す棒グラフである。 P−Akt合成が、非組み換え対照細胞に比較して、Has感染細胞において上昇することを示すSDS−PAGEの写真である。 HGF刺激MDCKまたはMDCK−10A細胞をHAオリゴマーで処理することにより、逆のコロニー形成能が生じることを示す棒グラフである。 β−カテニン過剰発現MDCKまたはMDCK−37A細胞をHAオリゴマーで処理することにより、逆のコロニー形成能が生じることを示す棒グラフである。 HGF刺激MDCKまたはMDCK−10A細胞をHAオリゴマーで図.15Aで示すように処理することにより、マトリゲルで被覆した小胞を通して逆の細胞浸透能が生じることを示す棒グラフである。 β−カテニン過剰発現MDCKまたはMDCK−37A細胞をHAオリゴマーで処理することにより、逆の細胞浸透能が生じることを示す棒グラフである。 ヒアルロナン・オリゴマーとともにカルチャー培養したMCF−7/Adr薬物耐性ヒト乳癌細胞がドキソルビシン感受性になることを示す折れ線グラフである。 MCF−7ヒト乳癌細胞がMCF−7/Adr細胞よりもさらにドキソルビシンに感受性となること、及びHA処理が有意にMCF−7細胞を感受性を与えないことを示す折れ線グラフである。 癌細胞におけるヒアルロナンの発現増強が誘導したドキソルビシン耐性を示す折れ線グラフである。 o−HA処理した組み換えHas−アデノウィルス感染MCF−7細胞における、逆ヒアルロナン誘導ドキソルビシン耐性を示す折れ線グラフである。 未処理MCF−7細胞、または組み換えエムプリン・アデノウィルスで一晩感染した細胞のドキソルビシン応答を示した折れ線グラフである。 組み換えエムプリン・アデノウィルス感染MCF−7細胞におけるエムプリン誘導された逆多剤耐性を示す折れ線グラフである。 ヒアルロナン・オリゴマーが細胞生存の経路を調節することを示すMCF−7/Adr細胞抽出物のウェスタン・ブロットを示す図である。 p−Erk及びp−BAD112のウェスタン・ブロットで処理したMCF−7/Adr細胞の抽出物のウェスタン・ブロットを示す図である。 組み換えHas2、またはβ−ガラクトシダーゼ・アデノウィルスで感染し、p−Akt、p−Erk、p−BAD112、及びp−FAKのウェスタン・ブロット分析で処理したMCF−7細胞のウェスタン・ブロットを示す図である。

Claims (26)

  1. 多剤耐性癌細胞を治療する医薬品組成物であって、前記癌細胞が複数の治療薬剤に耐性であり、前記組成物が前記薬剤の一つに対する細胞の耐性を減弱させる又は逆行させるため有効投与量で長さが3から10のジサッカライドであるヒアルロナン・オリゴマーを含むことを特徴とする医薬品組成物。
  2. 前記ヒアルロナン・オリゴマーが誘導化され、前記誘導化ヒアルロナン・オリゴマーが、アルキル化、アルコキシ化、及び還元されたヒアルロナン・オリゴマーから構成される群の中から選択されるいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の医薬品組成物。
  3. 前記ヒアルロナン・オリゴマーが誘導化され、前記誘導化ヒアルロナン・オリゴマーが、カルボジイミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、アミン及びヒドラジドで置換されたヒアルロナン・オリゴマーから構成される群の中から選択されるいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の医薬品組成物。
  4. 前記薬剤が抗癌剤であることを特徴とする請求項1に記載の医薬品組成物。
  5. 前記薬剤が、γ−放射線、メトトレキセート、シスプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ドキソルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、BCNU、イリノテカン、5−フルオロウラシル、ボルテゾミド、ZD0473、及びイマニチブから構成される群の中から選択される少なくともいずれか一つの抗癌剤であることを特徴とする請求項4に記載の医薬品組成物。
  6. さらに抗癌剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬品組成物。
  7. 前記癌細胞が、黒色腫、直腸癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、神経膠質腫、肺癌、食道癌、乳癌、前立腺癌、頭と首の癌、卵巣癌、腎臓癌、及び肝臓癌から構成される群の中から選択されるいずれかの癌の細胞であることを特徴とする請求項1に記載の医薬品組成物。
  8. 前記有効投与量が少なくとも1mg/kg体重であることを特徴とする請求項1に記載の医薬品組成物。
  9. さらに、製薬的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬品組成物。
  10. 抗不安剤、抗嘔吐剤、抗疲労剤、サイトカイン、抗感染剤、カリウム・キレーター、及び降圧剤から構成される薬剤群の中から選択されるいずれかの追加的な治療剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬品組成物。
  11. 造血剤または造赤血球剤である追加的な治療剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬品組成物。
  12. 多剤耐性の阻害剤であり、前記阻害剤が、ベラパミル、シクロスポリンA、シクロスポリンD、レセルピン・アナログ、トリフルオロペラジン、タモキシフェン、ベラパミルRアイソマー、SDZPSC−833、MS−209、S−9788、GF120918、及びLY3335979から構成される群の中から選択される少なくとも一つの追加的な治療剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬品組成物。
  13. 薬剤耐性癌細胞の抗癌治療に同時に、分離して、または連続して使用するための混合調製物であって、請求項1に記載の組成物及び少なくとも1種の抗癌剤を含有する製品。
  14. 請求項1に記載の組成物及び少なくとも1種の抗癌剤の混合物。
  15. 多剤耐性癌の治療のための医薬を調製する方法であって、
    長さが3から10のジサッカライドであるヒアルロナン・オリゴマーと少なくとも1つの抗癌剤とを含む医薬を処方し、前記ヒアルロナン・オリゴマーが、前記医薬に少なくとも1つの抗癌剤に耐性を獲得した細胞を接触させ、前記ヒアルロナン・オリゴマーが前記抗癌剤に対する感受性を前記細胞に与え、もって前記癌を治療できる有効投与量で存在することを特徴とする方法。
  16. 放射線耐性癌の治療のための医薬を調製する方法であって、
    長さが3から10のジサッカライドであるヒアルロナン・オリゴマーを含む医薬を処方し、前記ヒアルロナン・オリゴマーが、前記医薬と少なくとも1つの抗癌放射線源に、少なくとも1つの抗癌放射線源に耐性を獲得した細胞を接触させ、前記ヒアルロナン・オリゴマーが前記抗癌放射線に対する感受性を前記細胞に与え、もって前記癌を治療するのに有効な投与量で存在することを特徴とする方法。
  17. 前記細胞が患者の癌細胞であることを特徴とする請求項15又は16に記載の方法。
  18. 前記ヒアルロナン・オリゴマーが、前記抗癌剤に対する前記細胞の感受性を与え、前記細胞の成長または生存を阻害する有効投与量で投与されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 前記投与量が前記細胞におけるプログラム化細胞死を誘導するのに十分な量であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 多剤耐性癌の治療のための医薬を調製する方法であって、
    抗癌剤及び長さが3から10のジサッカライドであるヒアルロナン・オリゴマーのそれぞれの治療有効量を含む医薬を処方し、
    多剤耐性癌の患者への該医薬の投与が薬剤耐性を克服する治療有効量であることを特徴とする方法。
  21. 前記抗癌剤及びヒアルロナン・オリゴマーがともに投与されることを特徴とする請求項15または20に記載の方法。
  22. 前記抗癌剤及びヒアルロナン・オリゴマーが連続して投与されることを特徴とする請求項15または20に記載の方法。
  23. 多剤耐性を治療するためのキットであって、容器及び請求項1の医薬品組成物を含むことを特徴とするキット。
  24. さらに少なくとも1つの抗癌剤を含むことを特徴とする請求項23に記載のキット。
  25. 前記抗癌剤が、γ−放射線、メトトレキセート、シスプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ドキソルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、BCNU、イリノテカン、5−フルオロウラシル、ボルテゾミド、ZD0473、及びイマニチブから構成される群の中から選択される少なくともいずれか一つの抗癌剤であることを特徴とする請求項24に記載のキット。
  26. 前記細胞をもつ患者を治療するためのヒアルロナン・オリゴマー投与に用いる説明書をさらに含むことを特徴とする請求項23から25いずれか1項に記載のキット。
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