JP5026215B2 - 摺動部材用繊維強化樹脂組成物及び積層摺動部材 - Google Patents

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Description

本発明は、滑り軸受等の摺動部材に用いられる繊維強化樹脂組成物及びこれを使用した積層摺動部材に関する。
従来、補強基材である綿布に対しフェノール樹脂を含浸してなる繊維強化樹脂組成物が知られている。この繊維強化樹脂組成物を平板状あるいは円筒状に積層して形成した積層摺動部材は、耐摩耗性及び耐荷重性に優れ、剛性にも優れる。このような積層摺動部材は、例えば油圧シリンダーのピストン外周面に嵌着されるウエアリングや水中用の滑り軸受等として使用されている。フェノール樹脂は、特に水潤滑で優れた性能を示す特徴がある。これは、その表面特性によるところが大きいとされている。具体的には、基材である綿布に水分が吸着し易いこと、並びに、フェノール樹脂のOH基と水との親和性がよいことが挙げられる。
しかしながら、綿布とフェノール樹脂とからなる繊維強化樹脂組成物を用いて作製された積層摺動部材は、湿潤な雰囲気あるいは水中で使用した場合、膨潤して寸法変化をきたし、相手軸とのクリアランス(軸受隙間)を一定に保ち難いという問題がある。この積層摺動部材の膨潤は、主として補強基材である綿布の高吸水性に起因している。このことから、綿布以外の補強基材として、低吸水性であるポリエステル繊維織布が注目されている。加えて、ポリエステル繊維織布は、比較的安価であること、樹脂に対する補強効果を具備していること等の利点を有する。
特許文献1には、ポリエステル繊維織布を補強基材とし、不飽和ポリエステル樹脂を含浸させ積層した強化プラスチック板が開示されている。ポリエステル繊維は官能基に乏しいため、そのままでは不飽和ポリエステル樹脂との接着が困難という問題点がある。そこで、樹脂との接着性すなわち親和性を改善するために、ポリエステル繊維を、ビスフェノール系エポキシ系接着剤と有機溶剤で150℃以下の温度で5〜120分間加熱処理している。
また、非特許文献1は、複合材料における基材であるポリエステル繊維織布と、マトリックスである樹脂との界面接着性を改善するために、次のようなポリエステル繊維の表面処理技術を開示している。
(1)ポリエステル繊維が加水分解、アミン分解、加アルコール分解等を受けやすい性質を利用し、カルボキシル基、水酸基、アミド基の数を増やし、水系接着剤RFL(レソルシル・ホルマリン・ラテックス)との濡れ性を良くしたり、あるいは反応性を賦与し接着性を向上させる化学処理
(2)電子線、紫外線、低温プラズマによる物理処理
(3)イソシアネート系化合物による表面処理
(4)エチレンウレア、エチレンウレタン、フェニルウレタン等による表面処理
(5)アルカリによる表面処理
特公昭43−27504号公報 材料技術研究協会編集委員会編「複合材料と界面」総合技術出版、1986年5月10日発行 161頁〜166頁
しかしながら、上述のポリエステル繊維の表面処理技術には、以下のような問題点がある。
・作業上、毒性が著しい場合がある。
・処理溶液が温湿度による影響を受け易く安定性がない。
・処理液を多量に必要とするため高コストとなる。
・ポリエステル繊維自体を劣化させる場合がある。
よって、ポリエステル繊維の表面処理方法として、十分な接着性向上効果が得られかつ安全性もある技術は、確立されているとは言い難い。これらの問題点は、このような繊維強化樹脂組成物を利用して製造される積層摺動部材の問題点でもある。
以上の現状から、本発明の目的は、ポリエステル繊維織布を補強基材としてフェノール樹脂を含浸させた繊維強化樹脂組成物において上記の問題点を解決することである。特に、補強基材であるポリエステル繊維織布におけるポリエステル繊維の表面処理が不要でありかつフェノール樹脂との十分な接着性が得られる繊維強化樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに、その繊維強化樹脂組成物を用いて作製された滑り軸受等の積層摺動部材を提供することを目的とする。
本発明は、特定のレゾール型フェノール樹脂がポリエステル繊維との親和性に優れており、ポリエステル繊維に表面処理を施さずともフェノール樹脂との良好な接着性が得られることを見出したことにより、実現されたものである。
本発明による摺動部材用繊維強化樹脂組成物は、レゾール型フェノール樹脂50〜63重量%を、ポリエステル繊維織布50〜37重量%に対し含浸してなるものである。このレゾール型フェノール樹脂は、ビスフェノールAを50〜100モル%含むフェノール類とホルムアルデヒド類とをアミン類を触媒として合成され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による数平均分子量Mnが500〜1000でありかつ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比としての分散度Mw/Mnが2.5〜15である。
上記ポリエステル繊維織布は、ポリエステル繊維の紡績糸又はフィラメント糸からなる織布である。
上記フェノール類がビスフェノールA以外のフェノール類を含む場合、そのビスフェノールA以外のフェノール類は、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、アミノフェノール、レゾルシノール、キシレノール、ブチルフェノール、トリメチルフェノール、カテコール及びフェニルフェノールからなる群から選択された1又は複数のフェノール類である。
上記ホルムアルデヒド類は、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、サリチルアルデヒド、ベンズアルデヒド及びp−ヒドロキシベンズアルデヒドからなる群から選択された1又は複数のホルムアルデヒド類である。
上記アミン類は、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルメチルアミン及びアンモニア水からなる群から選択された1又は複数のアミン類である。
本発明による積層摺動部材は、上記の摺動部材用繊維強化樹脂組成物を複数枚積層し互いに接合することにより形成されたものである。
本発明による摺動部材用繊維強化樹脂組成物は、ポリエステル繊維織布に対し、特定のレゾール型フェノール樹脂を所定の割合で含浸させたものである。ポリエステル繊維は疎水性であるので、高湿度雰囲気や水中で使用した場合にも綿布によるものに比べて膨潤量が小さい。
さらに、本発明における特定のレゾール型フェノール樹脂、すなわちビスフェノールAを50〜100モル%含むフェノール類とホルムアルデヒド類とをアミン類を触媒として合成され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量Mnが500〜1000でありかつ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比としての分散度Mw/Mnが2.5〜15であるレゾール型フェノール樹脂は、疎水性であるポリエステル繊維との親和性に優れている。従って、このレゾール型フェノール樹脂は、ポリエステル繊維織布に対し十分に含浸し強固に接着することができる。この結果、従来必要であったポリエステル繊維又はその織布に対する表面処理が不要となる。よって、従来の表面処理に伴う作業上の毒性の問題、高コストの問題等を解消できる。また、この接着性の強化によって耐膨潤性もさらに向上する。
本発明による繊維強化樹脂組成物は、優れた積層摺動部材となる。この繊維強化樹脂組成物を複数枚積層し互いに接合して形成された積層摺動部材は、剛性が高く、機械的強度に優れる。同時に、高湿潤雰囲気や水中での使用においても膨潤量が極めて小さい。この結果、積層摺動部材の使用経過に伴う寸法変化も極めて小さいものとなる。
以下、本発明による摺動部材用繊維強化樹脂組成物及びこれを用いた積層摺動部材の実施形態を説明する。
本発明による摺動部材用繊維強化樹脂組成物(以下、単に「繊維強化樹脂組成物」と称する場合がある)は、レゾール型フェノール樹脂50〜63重量%を、補強基材であるポリエステル繊維織布50〜37重量%に含浸させて形成されたものである。このレゾール型フェノール樹脂は、ビスフェノールAを50〜100モル%含むフェノール類とホルムアルデヒド類とをアミン類を触媒として合成されたものである。加えて、このレゾール型フェノール樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による数平均分子量Mnが500〜1000でありかつ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比としての分散度Mw/Mnが2.5〜15である。
本発明において使用されるポリエステル繊維織布は、ポリエステル繊維を常法により紡糸し、織布としたものである。ポリエステル繊維は、一般にジカルボン酸成分とジオール成分の重縮合により得られる。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等がある。ジオール成分としては、エチレングリコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビフェニル等がある。また、両成分を兼ねるものとしては、p−ヒドロキシ安息香酸、2−オキシ−6−ナフトエ酸等があげられる。代表的なポリエステルとして、テレフタル酸とエチレングリコールを主成分とするポリエチレンテレフタレート(PET)がある。一般的なポリエステル繊維は、吸湿性、吸水性が少なく水分率0.4〜0.5%である。これに対し、綿は、通常8〜9%である。
紡糸の形態は、長繊維を撚り合わせたフィラメント糸(フィラメント・ヤーン)であっても、短繊維を撚り合わせた紡績糸(スパン・ヤーン)であってもよい。また、織布の織物組織は特に限定されるものではなく、平織、綾織、朱子織の三原組織、変化平織、変化綾織、変化朱子織等の変化組織、三原組織と変化組織の混合組織などを用いることができる。
繊維強化樹脂組成物中に含まれるポリエステル繊維織布の量は、50〜37重量%が好適である。ポリエステル繊維織布の量が37重量%未満では、積層摺動部材としたときの補強効果が充分でなく、また50重量%を超えると積層摺動部材の成形(製造)に支障をきたすことになる。
上記のポリエステル繊維織布の量は、同時に、繊維強化樹脂組成物中に含まれるレゾール型フェノール樹脂の含有量が50〜63重量%となることを意味するが、この範囲もまた好適である。レゾール型フェノール樹脂の含有量が50重量%未満では、積層摺動部材への成形性(製造)に支障をきたし、また63重量%を超えると積層摺動部材の機械的強度を低下させる。
よって、レゾール型フェノール樹脂を50〜63重量%とし、ポリエステル繊維織布を50〜37重量%とすることにより、繊維強化樹脂組成物の成形性と機械的強度の双方を確保できる。
本発明において使用されるレゾール型フェノール樹脂は、フェノール類のうち、ビスフェノールA(C1516)の割合を50〜100モル%とする。これは、合成開始時に投入する全フェノール類の合計モル数に対するビスフェノールAのモル数の比率である。
合成後のレゾール型フェノール樹脂は、GPC測定による数平均分子量Mnが500〜1000であり、かつ分子量分布の分散度Mw/Mnが2.5〜15である。分散度Mw/Mnは、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比である。このレゾール型フェノール樹脂では、補強基材としてのポリエステル繊維織布との親和性が格段に向上している。従って、ポリエステル繊維織布に表面処理を施すことなく、ポリエステル繊維織布との接着性が良好な繊維強化樹脂組成物を得ることができる。この繊維強化樹脂組成物を用いて形成された積層摺動部材は、剛性が高く、機械的強度に優れていると共に、水中など湿潤雰囲気での使用においても膨潤量が極めて小さい。
上記のレゾール型フェノール樹脂において、ビスフェノールAが50モル%未満では、ポリエステル繊維織布との充分な親和性が得られず、ポリエステル繊維織布との充分な接着性を得ることができない。また、GPC測定による数平均分子量Mn500〜1000であり、かつ分散度Mw/Mnが2.5〜15であることが必要である。数平均分子量Mnが500未満では、ポリエステル繊維織布との親和性が良好であっても機械的強度の低下をきたし、また数平均分子量Mnが1000を超えるとレゾール型フェノール樹脂の粘度が高くなりすぎてポリエステル繊維織布への含浸が困難となる。さらに分散度Mw/Mnが2.5未満ではポリエステル繊維織布との充分な接着力が得られず、また、分散度Mw/Mnが15を超えると、数平均分子量Mnが1000を超える場合と同様、ポリエステル繊維織布への含浸が困難となる。
よって、ポリエステル繊維織布に含浸させるレゾール型フェノール樹脂において、フェノール類のビスフェノールAのモル比率、GPS測定による数平均分子量Mn及び分散度Mw/Mnを上記の範囲とすることにより、ポリエステル繊維織布に対する含浸性及び接着性を確保できると共に、繊維強化樹脂組成物の機械的強度を確保できる。
なお、フェノール類中のビスフェノールAが100モル%未満のときは、ビスフェノールA以外のフェノール類を含むことになる。ビスフェノールA以外のフェノール類としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、アミノフェノール、レゾルシノール、キシレノール、ブチルフェノール、トリメチルフェノール、カテコール、フェニルフェノール等を挙げることができ、中でもフェノールがその特性から好ましく使用される。これらのビスフェノールA以外のフェノール類は、夫々単独で使用してもよく、また二種類以上を混合物として使用してもよい。
ホルムアルデヒド類としては、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、サリチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒドなどを挙げることができる。特に、合成の容易さからホルマリンやパラホルムアルデヒドが好ましく使用される。これらのホルムアルデヒド類は、夫々単独で使用してもよく、また二種類以上を混合物として使用してもよい。
触媒として用いるアミン類としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン、アンモニア水などを挙げることができ、中でもトリエチルアミンやアンモニア水が合成の容易さから好ましく使用される。
次に、上記の摺動部材用繊維強化樹脂組成物及びこれを用いた積層摺動部材について、好ましい実施例を示した図を参照して説明する。
図1は、摺動部材用繊維強化樹脂組成物のプリプレグ(樹脂加工基材)の製造方法の一例を概略的に示した図である。
図1に示す製造装置において、アンコイラ1に巻かれたポリエステル繊維織布からなる補強基材2は、送りローラ3によってレゾール型フェノール樹脂ワニス4を貯えた容器5に送られ、容器5内に設けられた案内ローラ6及び7によって容器5内に貯えられたレゾール型フェノール樹脂ワニス4内を通過させられることにより、補強基材2の表面に該レゾール型フェノール樹脂ワニス4が塗布される。続いて、レゾール型フェノール樹脂ワニス4が塗工された補強基材2は送りローラ8によって圧縮ロール9及び10に送られ、圧縮ロール9及び10の間を通過させられることにより、補強基材2の表面に塗布されたレゾール型フェノール樹脂ワニス4が、繊維組織隙間にまで含浸させられる。さらに、レゾール型フェノール樹脂ワニス4を塗布含浸された補強基材2が乾燥炉11内を通過させられることにより、溶剤を飛ばすと同時に樹脂ワニス4の反応を進行させる。これにより、成形可能な繊維強化樹脂組成物からなるプリプレグ(樹脂加工基材)12が作製される。
レゾール型フェノール樹脂を揮発性溶剤に溶かして調製されるレゾール型フェノール樹脂ワニス4の固形分は、樹脂ワニス全体に対して約30〜65重量%であり、樹脂ワニスの粘度は、約800〜5000cPが好ましく、特に1000〜4000cPが好ましい。
図2〜図4は、図1に示した繊維強化樹脂組成物からなるプリプレグ12を使用した平板状の積層摺動部材の製造方法の一例を概略的に示した図である。
図2に示すように、プリプレグ12を所望の平板面積が得られる方形状に切断したものを、所望の仕上がり厚さが得られる枚数だけ準備する。次いで、図3に示すように、加熱加圧装置の金型13の方形状の凹所14内に、所定の枚数のプリプレグ12を重ね合わせて積層したのち、金型13内で140〜160℃の温度に加熱し、4.9〜7MPaの圧力でラム15により積層方向に加圧成形して方形状の積層成形物を得る。積層されたプリプレグ12は互いに接合され、融着した状態となる。得られた積層成型物に対し、図4に示すように機械加工を施して平板状の積層摺動部材16を形成する。このように形成された平板状の積層摺動部材16は、剛性が高く機械的強度に優れていると共に、水中用途における水潤滑においても膨潤量が極めて小さいので、滑り板等の摺動部材に適用される。
図5及び図6は、図1に示した繊維強化樹脂組成物からなるプリプレグ12を使用した円筒状の積層摺動部材の製造方法の一例を概略的に示した図である。
円筒状の積層摺動部材は、ロールド成形装置を用いたロールド成形により作製することができる。図5に示すように、ロールド成形装置においては、通常、2つの加熱ローラ17と1つの加圧ローラ18を夫々を、軸方向から見て三角形の頂点に位置するように配置する。さらに、これら3つのローラ17、17及び18の真ん中に芯型19を置く。そして、この芯型19に、プリプレグ12の一端を固定した後、芯型19を一定方向に駆動回転させ、3つのローラ17、17及び18によって加熱及び加圧しながら円筒状の積層体20を巻いていく。
図5に示すロールド成形装置において、予め120〜200℃の温度に加熱された芯型19の外周面に、所定の幅に切断したプリプレグ12を、基材巻きローラ21より120〜200℃に加熱された加熱ローラ17を介して供給し、2〜6MPaの圧力を掛けて加圧ローラ18で所望の厚さ(直径)まで巻き付けてロールド成形する。このようにして成形された円筒状の積層体20を芯型19に保持した状態で120〜180℃の雰囲気温度に調整された加熱炉で加熱硬化させたのち冷却し、芯型19を抜き取り、円筒状の積層体20を成形する。次いで、図6に示すように、成形した円筒状の積層体20に機械加工を施して所望の寸法を有する円筒状の積層摺動部材22を形成する。このように形成された円筒状の積層摺動部材22は、剛性が高く機械的強度に優れていると共に、水中用途における水潤滑においても膨潤量が極めて小さいので、ウエアリングあるいは水中用の滑り軸受等の摺動部材に適用される。
図7及び図8は、図6に示した円筒状の積層摺動部材22を用いて形成されたウエアリング23及びこれを用いた油圧シリンダ25をそれぞれ示している。図7は、ウェアリング23の一部切欠き側面図であり、円筒軸線を1点破線Xで示している。ウエアリング23は、図6の円筒状の積層摺動部材22に機械加工を施し、外径D=18〜1000mm、厚さt=2〜5mm、幅W=8〜70mmの寸法に形成したのち、筒壁の一部に、軸線Xに対してθ=45°の角度で幅S=1〜28mmのスリット24を穿設することにより形成される。図8は、図7のウエアリング23を使用した油圧シリンダ25のシリンダ軸方向に沿った断面図である。油圧シリンダ25内に設けられたピストン26については、その円筒側面を示しているが、上方部分は断面を示している。ピストン26の外周面27には、中央の環状溝28と、これを挟んで軸方向に離間した2つの環状溝30、30が形成されている。中央の環状溝28にはピストンパッキン29が嵌着されている。ウェアリング23は、環状溝30及び30に嵌着されて使用される。
このウエアリング23は、剛性が高く機械的強度に優れているので、破損、変形等を生じることがなく、また膨潤量が小さいことから、油圧シリンダ25の内周面31との円滑な摺動を行わせることができ、ピストン26と油圧シリンダ25の内周面31との間での油漏れを防止することができる。
以下、本発明を各実施例により詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
補強基材は、縦糸及び横糸として綿番手20の紡績糸を使用し、縦糸の打ち込み本数を43本/インチ、横糸の打ち込み本数を42本/インチとし平織にて作製したポリエステル繊維織布を使用した。
撹拌機、温度計及び冷却管を備えたセパラブルフラスコに、ビスフェノールA300gと37%ホルムアルデヒド水溶液192gを投入し、撹拌しながら25%アンモニア水溶液9gを投入したのち、常圧下で昇温し90℃の温度に到達後、2.5時間縮合反応させた。
その後、0.015MPaの減圧下で80℃の温度まで昇温して水分の除去を行った。
次いで、メタノール64gを添加して常圧下で85℃の温度まで昇温し、4時間縮合反応させて濃縮し、これを樹脂固形分60重量%になるようにメタノールで希釈してレゾール型フェノール樹脂を作製した。
得られたレゾール型フェノール樹脂のGPC測定による数平均分子量Mnは900、分子量分布の分散度Mw/Mnは5.6であった。フェノール類中のビスフェノールAは、100モル%である。
次に、前述の図1に示した製造装置を使用し、アンコイラ1に巻かれたポリエステル繊維織布からなる補強基材2を送りローラ3によって上記レゾール型フェノール樹脂ワニス4を貯えた容器5に送り、容器5内に設けられた案内ローラ6及び7によって容器5内に貯えられたレゾール型フェノール樹脂ワニス4内を通過させることにより、補強基材2の表面にレゾール型フェノール樹脂ワニス4を塗布した。次いで、レゾール型フェノール樹脂ワニス4が塗布された補強基材2を送りローラ8によって圧縮ロール9及び10に送り、圧縮ロール9及び10によって補強基材2の表面に塗布されたレゾール型フェノール樹脂ワニス4を、繊維組織隙間にまで含浸させた。そして、レゾール型フェノール樹脂ワニス4が塗布含浸された補強基材2に対して乾燥炉11内で100℃の温度で15分間溶剤を飛ばすと同時に該樹脂ワニス4の反応を進めた。
以上により、補強基材としてのポリエステル繊維織布40重量%とレゾール型フェノール樹脂60重量%とからなる成形可能な繊維強化樹脂組成物のプリプレグ(樹脂加工基材)12を作製した。
さらに、このプリプレグを一辺の長さが31mmの方形状に切断し、これを一辺の長さが31.5mm、深さが6mmの凹所を有する前述の図3に示した加熱加圧装置の金型の凹所内に10枚重ね合わせて積層したのち、金型内で積層方向に160℃の温度で10分間加熱し、圧力6.9MPaで加圧成形して方形状の積層成形物を得た。
得られた積層成型物に機械加工を施し、一辺が30mm、厚さが5mm平板状の積層摺動部材を作製した。
<実施例2>
上記実施例1と同様のセパラブルフラスコに、ビスフェノールA160gと37%ホルムアルデヒド水溶液79gを投入し、撹拌しながらトリエチルアミン1.3gを投入したのち、常圧下で昇温し100℃の還流条件下で1時間縮合反応させた。その後一旦冷却し、フェノール32gと37%ホルムアルデヒド水溶液30gとトリエチルアミン0.3gとを投入した。次いで、常圧下で昇温し100℃の還流条件下で2時間縮合反応を行った後、0.015MPaの減圧下で80℃の温度まで昇温して水分の除去を行った。次いで、メタノール24gを投入し常圧下で90℃の温度まで昇温し4時間縮合反応させて濃縮し、これを樹脂固形分60重量%になるようにメタノールで希釈してレゾール型フェノール樹脂を作製した。
得られたレゾール型フェノール樹脂のGPC測定による数平均分子量Mnは720、分子量分布の分散度Mw/Mnは14.3であった。フェノール類中のビスフェノールAは、67.4モル%である。
上記実施例1と同様の製造装置を使用し、同様の方法で補強基材としてのポリエステル繊維織布40重量%と上記レゾール型フェノール樹脂60重量%とからなる成形可能な摺動部材用繊維強化樹脂組成物のプリプレグを作製した。以下、実施例1と同様にして一辺が30mm、厚さが5mm平板状の積層摺動部材を作製した。
<実施例3>
上記実施例1と同様のセパラブルフラスコに、ビスフェノールA160gとブチルフェノール18gと37%ホルムアルデヒド水溶液91gを投入し、撹拌しながらトリエチルアミン1.4gを投入した後、常圧下で昇温し100℃の還流条件下で1.5時間縮合反応させた。その後一旦冷却し、フェノール42gと37%ホルムアルデヒド水溶液39g、トリエチルアミン0.4gを投入した。次いで、常圧下で昇温し100℃の還流条件下で1.5時間縮合反応を行った後、0.015MPaの減圧下で80℃の温度まで昇温して水分の除去を行った。次いで、メタノール24gを投入し常圧下で90℃の温度まで昇温し4時間縮合反応させて濃縮し、これを樹脂固形分60重量%になるようにメタノールで希釈してレゾール型フェノール樹脂を作製した。
得られたレゾール型フェノール樹脂のGPC測定による数平均分子量Mnは680、分子量分布の分散度Mw/Mnは11.8であった。フェノール類中のビスフェノールAは、55.4モル%である。
上記実施例1と同様の製造装置を使用し、同様の方法で補強基材としてのポリエステル繊維織布40重量%と上記レゾール型フェノール樹脂60重量%とからなる成形可能な摺動部材用繊維強化樹脂組成物のプリプレグ(樹脂加工基材)を作製した。以下、実施例1と同様にして一辺が30mm、厚さが5mm平板状の積層摺動部材を作製した。
<実施例4>
上記実施例1で得た繊維強化樹脂組成物からなるプリプレグと同様のプリプレグを作製した。従って、この繊維強化樹脂組成物は、ポリエステル繊維織布40重量%とレゾール型フェノール樹脂60重量%とからなり、レゾール型フェノール樹脂のGPC測定による数平均分子量Mnは900、分子量分布の分散度Mw/Mnは5.6である。フェノール類中のビスフェノールAは、100モル%である。
上記図5に示すロールド成形装置を使用して、予め150℃の温度に加熱し外径が40mmの芯型19の外周面に、上記プリプレグを、基材巻きローラ21より予め150℃の温度に加熱された加熱ローラ17を介して供給し、5MPaの圧力を掛けて加圧ローラ18で15周巻き付けてロールド成形を行った。次いで、円筒状の積層体を芯型19に保持した状態で150℃の雰囲気温度に調整した加熱炉で加熱硬化せしめたのち冷却し、芯型19を抜き取り、円筒状の積層体を作製した。この円筒状の積層体に機械加工を施し、内径40mm、外径50mm、長さ30mmの円筒状の積層摺動部材を作製した。
<実施例5>
上記実施例2で得た繊維強化樹脂組成物からなるプリプレグと同様のプリプレグを作製した。従って、この繊維強化樹脂組成物は、ポリエステル繊維織布40重量%とレゾール型フェノール樹脂60重量%とからなり、レゾール型フェノール樹脂のGPC測定による数平均分子量Mnは720、分子量分布の分散度Mw/Mnは14.3である。フェノール類中のビスフェノールAは、67.4モル%である。
上記図5に示すロールド成形装置を使用して、予め150℃の温度に加熱し外径が40mmの芯型19の外周面に、上記プリプレグを、基材巻きローラ21より予め150℃の温度に加熱された加熱ローラ17を介して供給し、以下上記実施例4と同様にして内径40mm、外径50mm、長さ30mmの円筒状の積層摺動部材を作製した。
<実施例6>
上記実施例3で得た繊維強化樹脂組成物からなるプリプレグと同様のプリプレグを作製した。従って、この繊維強化樹脂組成物は、ポリエステル繊維織布40重量%とレゾール型フェノール樹脂60重量%とからなり、レゾール型フェノール樹脂のGPC測定による数平均分子量Mnは680、分子量分布の分散度Mw/Mnは11.8である。フェノール類中のビスフェノールAは、55.4モル%である。
上記図5に示すロールド成形装置を使用して、予め150℃の温度に加熱し外径が40mmの芯型17の外周面に、上記プリプレグを、基材巻きローラ21より予め150℃の温度に加熱された加熱ローラ15を介して供給し、以下上記実施例4と同様にして内径40mm、外径50mm、長さ30mmの円筒状の積層摺動部材を作製した。
<比較例1>
補強基材は、縦糸及び横糸として綿番手20の紡績糸を使用し、縦糸の打ち込み本数を60本/インチ、横糸の打ち込み本数を60本/インチで平織して作製した細糸織布(綿)を使用した。
上記実施例1と同様のセパラブルフラスコに、フェノール200gと37%ホルムアルデヒド水溶液190gを投入し、撹拌しながら25%アンモニア水溶液8gを投入した後、常圧下で昇温し100℃の還流条件下で1時間縮合反応させた後、0.015MPaの減圧下で90℃の温度まで昇温して水分を除去した。次いで、メタノール37gを投入し、常圧下で85℃の温度まで昇温し1時間縮合反応させて濃縮し、これを樹脂固形分60重量%になるようにメタノールで希釈してレゾール型フェノール樹脂を作製した。
得られたレゾール型フェノール樹脂のGPC測定による数平均分子量Mnは600、分子量分布の分散度Mw/Mnは3.4であった。フェノール類中のビスフェノールAは、0モル%である。
前記実施例1と同様の製造装置を使用し、同様の方法で補強基材としての細糸織布(綿)40重量%と上記レゾール型フェノール樹脂60重量%とからなる成形可能な摺動部材用繊維強化樹脂組成物のプリプレグを作製した。以下実施例1と同様にして一辺が30mm、厚さが5mm平板状の積層摺動部材を作製した。
<比較例2>
上記実施例1と同様のセパラブルフラスコに、ビスフェノールA160gと37%ホルムアルデヒド水溶液71gとを投入し、撹拌しながらトリエチルアミン1.3gを投入した後、常圧下で昇温し100℃の還流条件下で1時間縮合反応させた。その後一旦冷却し、フェノール32gと37%ホルムアルデヒド水溶液29gとトリエチルアミン0.3gとを投入した。次いで常圧下で昇温し100℃の還流条件下で2時間縮合反応を行った後、0.015MPaの減圧下で80℃の温度まで昇温して水分を除去した。次いで、メタノール24gを投入し、常圧下で90℃の温度まで昇温して5.5時間縮合反応させて濃縮し、これを樹脂固形分60重量%になるようにメタノールで希釈してレゾール型フェノール樹脂を作製した。
得られたレゾール型フェノール樹脂のGPC測定による数平均分子量Mnは1100、分子量分布の分散度Mw/Mnは16.7であった。フェノール類中のビスフェノールAは、67.4モル%である。
上記実施例1と同様の製造装置を使用し、同様の方法で補強基材としての細糸織布(綿)40重量%と上記レゾール型フェノール樹脂60重量%とからなる成形可能な摺動部材用繊維強化樹脂組成物のプリプレグを作製した。以下実施例1と同様にして一辺が30mm、厚さが5mm平板状の積層摺動部材を作製した。
<比較例3>
上記比較例1で得た繊維強化樹脂組成物からなるプリプレグと同様のプリプレグを作製した。従って、この繊維強化樹脂組成物は、細糸織布(綿)40重量%とレゾール型フェノール樹脂60重量%とからなり、レゾール型フェノール樹脂のGPC測定による数平均分子量Mnは600、分子量分布の分散度Mw/Mnは3.4である。フェノール類中のビスフェノールAは、0モル%である。
上記図5に示すロールド成形装置を使用して、予め150℃の温度に加熱し外径が40mmの芯型19の外周面に、上記プリプレグを、基材巻きローラ21より予め150℃の温度に加熱された加熱ローラ18を介して供給し、以下上記実施例4と同様にして内径40mm、外径50mm、長さ30mmの円筒状の積層摺動部材を作製した。
<比較例4>
上記比較例2で得た繊維強化樹脂組成物からなるプリプレグと同様のプリプレグを作製した。従って、この繊維強化樹脂組成物は、細糸織布(綿)40重量%とレゾール型フェノール樹脂60重量%とからなり、レゾール型フェノール樹脂のGPC測定による数平均分子量Mnは1100、分子量分布の分散度Mw/Mnは16.7である。フェノール類中のビスフェノールAは、67.4モル%である。
上記図5に示すロールド成形装置を使用して、予め150℃の温度に加熱し外径が40mmの芯型19の外周面に、上記プリプレグを、基材巻きローラ21より予め150℃の温度に加熱された加熱ローラ17を介して供給し、以下上記実施例4と同様にして内径40mm、外径50mm、長さ30mmの円筒状の積層摺動部材を作製した。内径40mm、外径50mm、長さ30mmの円筒状の積層摺動部材を作製した。
<膨潤量及び機械的強度の試験結果>
次に、上記の実施例1乃至実施例6及び比較例1乃至比較例4の積層摺動部材について、水中における膨潤量(%)及び機械的強度を試験した結果を説明する。
膨潤量の試験方法は、水温20℃の水中に試料を120日間浸漬し、その後取出して寸法変化率及び重量変化率を測定した。試験結果を表1及び表2に示す。
表1及び表2において、レゾール型フェノール樹脂の数平均分子量Mn及び分散度Mw/Mnの測定は、GPCにより測定し、数値はポリスチレン標準物質による検量線から算出した。計測装置等は以下の通りである。
GPC装置:東ソー社製HLC−8120
カラム:東ソー社製TSKgel G3000HXL〔排除限界分子量(ポリスチレン換算)1×10〕1本に続けて、TSKgel G2000HXL〔排除限界分子量(ポリスチレン換算)1×10〕2本使用
検出器:東ソー社製のUV−8020
Figure 0005026215
Figure 0005026215
(注1)表1及び表2中のビスフェノールAのモル比率=(投入時のビスフェノールAのモル数/投入時のフェノール類の合計モル数)×100(モル%)
(注2)表2中の圧環強さは、JIS K2507の規定に準拠して求めた値である。
上記試験結果から、実施例1乃至実施例6の積層摺動部材(補強基材がポリエステル)は、比較例1乃至比較例4の積層摺動部材(補強基材が綿)よりも膨潤量が大幅に減少しており、機械的強度においても大幅に向上していることが分かる。
<樹脂割合による機械的強度の試験結果>
図9は、実施例4と同じレゾール型フェノール樹脂(ビスフェノールA100モル%、分子量Mn900、分散度Mw/Mn5.6)を用いて、フェノール樹脂とポリエステル繊維織布の割合を変化させて、実施例4と同様の円筒状積層部材(内径40mm、外径50mm、長さ30mm)を作製し、圧環強さをJIS K2507の規定に準拠して測定した結果を示すグラフである。
有機繊維を基材とする強化フェノール樹脂の圧環強度は一般的に最大で160MPa程度が限界であり、図9に示すように、レゾール型フェノール樹脂が50〜60重量%(ポリエステル繊維織布が50〜40重量%)の範囲では、約200MPaの圧環強さが得られ、樹脂が60重量%より増加するにつれて機械的強度が低下するものの、樹脂が63%(ポリエステル繊維織布が37%)の比率においても上記160MPaを充分上回る180MPaの圧環強さを示しており、優位差が認められる。
以上のように、本発明の摺動部材用繊維強化樹脂組成物は、50〜63重量%のレゾール型フェノール樹脂を50〜37重量%のポリエステル繊維織布に対し含浸させたものであり、そのレゾール型フェノール樹脂は、ビスフェノールAを50〜100モル%含むフェノール類とホルムアルデヒド類とをアミン類を触媒として合成され、GPC測定よる数平均分子量Mnが500〜1000でありかつ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比としての分散度Mw/Mnが2.5〜15である。このような条件を満たす繊維強化樹脂組成物は、レゾール型フェノール樹脂とポリエステル繊維織布との親和性に優れ、接着性に優れている。この結果、この繊維強化樹脂組成物を積層して形成した積層摺動部材は、剛性が高く、機械的強度に優れている。加えて、この積層摺動部材は、水中など湿潤雰囲気での使用においても膨潤量が極めて小さいので、膨潤に起因する寸法変化も極めて小さいものとなり、油圧シリンダのピストンの外周面に嵌着されて使用されるウエアリングや水中軸受等の摺動部材への適用を可能とするものでる。
摺動部材用繊維強化樹脂組成物のプリプレグの製造装置を示す説明図である。 摺動部材用繊維強化樹脂組成物のプリプレグを示す斜視図である。 図1に示した繊維強化樹脂組成物からなるプリプレグを使用した平板状の積層摺動部材の製造方法の一例を概略的に示した図である。 平板状の積層摺動部材を示す斜視図である。 図1に示した繊維強化樹脂組成物からなるプリプレグを使用した円筒状の積層摺動部材の製造方法の一例を概略的に示した図である。 円筒状の積層摺動部材を示す斜視図である。 図6に示した円筒状の積層摺動部材を用いて形成されたウエアリング示す側面図である。 図6に示した円筒状の積層摺動部材を用いて形成された油圧シリンダ示す断面図である。 レゾール型フェノール樹脂とポリエステル繊維織布の割合を変化させて、円筒状積層部材を作製し、圧環強さをJIS K2507の規定に準拠して測定した結果を示すグラフである。
符号の説明
2 補強基材(ポリエステル繊維織布)
4 ワニス
12 繊維強化樹脂組成物(プリプレグ)
16 平板状の積層摺動部材
22 円筒状の積層摺動部材

Claims (7)

  1. ビスフェノールAを50〜100モル%含むフェノール類とホルムアルデヒド類とをアミン類を触媒として合成され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による数平均分子量Mnが500〜1000でありかつ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比としての分散度Mw/Mnが2.5〜15であるレゾール型フェノール樹脂50〜63重量%を、ポリエステル繊維織布50〜37重量%に対し含浸してなる摺動部材用繊維強化樹脂組成物。
  2. 前記ポリエステル繊維織布が、ポリエステル繊維の紡績糸からなる織布である請求項1に記載の摺動部材用繊維強化樹脂組成物。
  3. 前記ポリエステル繊維織布は、ポリエステル繊維のフィラメント糸からなる織布である請求項1に記載の摺動部材用繊維強化樹脂組成物。
  4. 前記フェノール類が前記ビスフェノールA以外のフェノール類を含む場合、該ビスフェノールA以外のフェノール類が、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、アミノフェノール、レゾルシノール、キシレノール、ブチルフェノール、トリメチルフェノール、カテコール及びフェニルフェノールからなる群から選択された1又は複数のフェノール類である請求項1〜3のいずれかに記載の摺動部材用繊維強化樹脂組成物。
  5. 前記ホルムアルデヒド類が、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、サリチルアルデヒド、ベンズアルデヒド及びp−ヒドロキシベンズアルデヒドからなる群から選択された1又は複数のホルムアルデヒド類である請求項1〜4のいずれかに記載の摺動部材用繊維強化樹脂組成物。
  6. 前記アミン類が、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルメチルアミン及びアンモニア水からなる群から選択された1又は複数のアミン類である請求項1〜5のいずれかに記載の摺動部材用繊維強化樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の摺動部材用繊維強化樹脂組成物を複数枚積層し互いに接合することにより形成された積層摺動部材。
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