JP5025359B2 - レーダ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、空間に波動を放射し、目標物体からの反射波動を受信することにより、目標物体の計測を行うレーダ装置に関する。
一般に、レーダ装置は、目標のレーダ断面積、距離を想定し、目標を検出する際の検出性能が一定以上得られるように、レーダのハードウェア諸元または積分数などの観測諸元を設定する。
目標による反射波を受信した受信信号の信号対雑音比(SN比)は、レーダ方程式と呼ばれる回線計算式により計算することができる。このSN比において、必要な検出性能、すなわち、所定の検出確率と誤警報確率を満たすようにするためには、通常、複数のパルス送信で観測が行われる。必要なパルス送信回数(ヒット数)は、SN比、検出確率、誤警報確率が定まれば、一意に定まることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
SN比は、大気中の電波伝搬特性にも依存するが、電波伝搬特性は、気象条件にも依存することが知られている。いわゆるダクト伝搬と呼ばれる電波伝搬では、大気の屈折率(または修正屈折率)の高度分布が変わることにより、電波の伝搬減衰量が大きく変化することが知られている(例えば、非特許文献2参照)。さらに、電波伝搬特性をレーダ観測によって推定する従来技術も知られている(例えば、非特許文献3参照)。
D. P. Meyer and H. A. Mayer, Radar Target Detection, Academic Press, Inc., 1973. M. I. Skolnik, Introduction to Radar Systems, Chapter 8, Propagation of Radar Waves, 2001. P. Gerstoft et al., Inversion for refractivity parameters from radar sea clutter, Radio Science, vol.38, no.3, pp.MAR18-1-MAR19-21, 2003.
しかしながら、従来技術には以下のような課題がある。
電波伝搬特性が変化すると伝搬減衰量が変化することとなる。これに伴い、必要とされる最小のレーダ資源、例えば、所要パルス送信数が変化する。しかし、推定した電波伝搬特性を用いてレーダ資源を適応的に割り当てる方法は、これまでに知られていない。
すなわち、電波伝搬特性は、気象条件によって変化するため、必要なレーダ資源は、気象条件とともに変化する。しかし、この変化に対応して適応的にレーダ資源の割り当てを変更することは、これまでに行われていない。
ダクト伝搬によって、通常より伝搬減衰量の小さい方向が存在する場合、その方向に対してレーダ資源を少なく割り当てても、目標検出性能は維持される。しかしながら、ダクト伝搬の特性は、気象条件によって変化する。このため、ダクト伝搬を考慮したレーダ資源割り当てを行わない場合には、過剰なレーダ資源が割り当てられることがある。
広い領域の探索が要求されるレーダでは、限られたレーダ資源を潤沢に全領域に割り当てることが難しい。従って、上述のように、ある方向に過剰なレーダ資源が割り当てられているということは、その他の領域の目標検出性能が確保されていない可能性があることを意味し、探知性能の劣化が問題となる。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、気象条件に応じてレーダ資源割り当てを適応的に行い、探知性能を維持あるいは向上することができるレーダ装置を得ることを目的とする。
本発明に係るレーダ装置は、空間に波動を放射し、目標物体で散乱された反射波動を受信波として入力し信号処理を施すことにより目標物体の計測を行うレーダ装置において、空間に放射する波動を生成する送信部と、送信部で生成された波動を空間へ放射し、空間から到来した波動を受信波として入力する空中線部と、空中線部で入力した受信波を検波することにより受信信号を生成する受信部と、受信部で生成された受信信号に基づいて、大気パラメータを推定し、波動が空間を伝搬する際に生じる伝搬減衰量を大気パラメータの推定結果に応じて推定する伝搬減衰特性推定部と、伝搬減衰特性推定部で推定された伝搬減衰量に基づいて、所定の検出性能要求値を満足するレーダ諸元を算出するレーダ諸元算出部と、レーダ諸元算出部により算出されたレーダ諸元に基づいて、送信部を制御する制御部とを備え、伝搬減衰特性推定部は、受信信号に基づいて観測表面エコー強度の距離分布を求める表面エコー抽出部と、放射された波動に対応するレーダ諸元と、表面エコー抽出部で求められた観測表面エコー強度の距離分布とに基づいて、大気パラメータの推定結果、および大気パラメータの推定結果に応じた伝搬減衰量を推定する減衰量推定部とを備えたものである。

本発明によれば、気象条件によって変化する電波伝搬特性を推定し、そこから得られる伝搬減衰量に応じてレーダ諸元を算出することにより、気象条件に応じてレーダ資源割り当てを適応的に行い、探知性能を維持あるいは向上することができるレーダ装置を得ることができる。
以下、本発明のレーダ装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1におけるレーダ装置の構成を表すブロック図である。この図1のレーダ装置は、送信部1、送受切替部2、空中線部3、受信部4、表面エコー抽出部5、目標検出部6、減衰量推定部7、減衰量推定精度算出部8、最大減衰量算出部9、パルス送信回数算出部10、および制御部11で構成される。
ここで、表面エコー抽出部5、減衰量推定部7、減衰量推定精度算出部8、および最大減衰量算出部9で構成される部分は、伝搬減衰特性推定部に相当する。また、パルス送信回数算出部10は、レーダ諸元算出部に相当する。
送信部1は、電波を発生させる送信源である。送受切替部2は、電波の送信と受信を切り替える切替部の役割を果たす。空中線部3は、送受切替部2を介して送信部1から得た電波を空間へ放射させるとともに、反射波を受信波として受信する。受信部4は、送受切替部2を介して空中線部3から受信波を入力し、検波処理により受信信号を得る。
表面エコー抽出部5は、受信部4で得られた受信信号から反射エコー成分を抽出し、エコー強度を初めとする各エコーに関する情報をエコー情報として抽出する。目標検出部6は、受信信号に基づいて目標の有無を判定する。減衰量推定部7は、表面エコー抽出部5で得られたエコー情報をもとに大気パラメータを推定するとともに、推定された大気パラメータに基づいて、波動が空間を伝搬する際に生じる伝搬減衰量を最終的に推定する。
減衰量推定精度算出部8は、減衰量推定部7で推定された伝搬減衰量の推定精度を算出する。最大減衰量算出部9は、減衰量推定部7で推定された伝搬減衰量と減衰量推定精度算出部8で算出された伝搬減衰量の推定精度から、最大減衰量を算出する。パルス送信回数算出部10は、算出された最大減衰量に基づいて所定の検出性能要求値を満足するレーダ諸元としてパルス送信回数を算出する。
さらに、制御部11は、パルス送信回数算出部10で算出されたパルス送信回数を送信部1に対して設定する。そして、送信部1は、制御部11により設定されたパルス送信回数に従って、電波を発生させることとなる。
次に、一連の動作について、詳細に説明する。
送信部1は、空間へ放射するための送信電波、すなわち、送信波を生成する。送信する電波は、距離計測を行うために、パルス変調が行われている。パルス変調におけるパルス幅は、要求される距離分解能によって決まる。例えば、1マイクロ秒のパルス幅の場合、150mの距離分解能を得ることができる。パルス状の送信波は、繰返し発生される。
送信部1で発生された送信波は、送受切替部2を経由して空中線部3へと給電される。空中線部3は、給電された送信波を空間へと放射する。この放射は、ある方向のみに送信波が放射されるような指向特性を持つ。また、放射する方向は、時分割で切り替えられるものとする。
例えば、空中線部3が反射鏡アンテナである場合には、反射鏡の向きを変えることにより、放射する方向の切替え、すなわち、ビーム走査が行われる。あるいは、空中線部3が電子走査型の場合には、空中線部3を構成する各素子の位相を制御することにより、ビーム走査が行われる。
空間へ放射された送信波は、空間中に存在する物体により反射される。この反射波の一部は、レーダ装置の方へ伝搬するため、この反射波を空中線部3によりレーダ装置内に受信波として取り込む。受信波は、送受切替部2を経由して、受信部4へと送られる。
ここで、送受切替部2は、サーキュレータあるいはスイッチにより実現され、送信部1から来る送信波は、空中線部3のみに給電され、空中線部3から来る受信波は、受信部4のみへ給電される。なお、図1は、送信と受信とで空中線部3を共用する構成例を示している。しかし、送信と受信とで別の空中線を用いる場合には、送受切替部2は、特に必要ない。
受信部4は、受信波に検波処理を施すことにより、低周波帯域の受信信号を生成する。表面エコー抽出部5は、受信信号から表面エコー、すなわち、地表面または海表面の反射エコーのみを抽出し、抽出したエコーに関する情報を算出する。具体的には、例えば、エコー強度を算出する。
航空機や船舶などを観測対象とするレーダ装置において、目標のエコーは、空間的に局在する。これに対して、表面エコーは、空間的に分布する形状を持つ。よって、空間的に局在するエコー成分を除去するような処理を行うことにより、表面エコーのみを抽出することが可能となる。
図2は、本発明の実施の形態1における表面エコー抽出の状況を模式的に表したものである。レーダ装置により、ある方向を観測した際に、図2の上段に示したような電力距離分布101を持つ受信信号が得られたとする。この受信信号は、距離方向に滑らかな形状で分布する表面エコーと、インパルス状に距離方向に局在する目標エコーとが含まれている。
図2の下段に示したしきい値レベル102は、受信機雑音の電力値に一定のマージンを加えて得られるレベルである。受信信号101からしきい値102を超えるものを抽出し、さらに、距離方向に局在する目標エコーを取り除くことにより、図2の下段に示したようなエコー103が得られる。表面エコー抽出部5は、このようなエコー103を表面エコーとして出力する。距離方向に局在するエコー成分を取り除く手法としては、例えば、メディアンフィルタ処理や移動平均処理などが考えられる。
減衰量推定部7は、表面エコー抽出部5で得られた表面エコーの電力距離分布を用いて、レーダ装置の観測距離範囲内の各距離における伝搬減衰量を推定する。一般に、大気が一様な場合の自由空間中の電波伝搬では、レーダの送信から受信までの間に距離の4乗に比例する伝搬損失が生じる。
しかしながら、実際の地球表面近傍における電波伝搬では、大気の屈折率は不均一であるため、あるいは地表面や海表面での電波反射によりマルチパス波が生じるため、伝搬損失は、距離の4乗からずれることになる。特に、屈折率の高度方向分布によっては、ダクト伝搬と呼ばれる伝搬が生じる。このような屈折率の高度分布による伝搬特性の推定は、表面エコーのエコー強度距離分布から推定できることが知られており、例えば、前述の非特許文献3にそのような技術が紹介されている。
図3は、本発明の実施の形態1における減衰量推定部7の内部構成の例を表すブロック図である。図3に示す減衰量推定部7は、電波伝搬解析部21、比較部22、および大気パラメータ修正部23で構成される。
電波伝搬解析部21は、大気パラメータおよびレーダ諸元から表面エコー強度および伝搬減衰量を推定する。ここで、大気パラメータとは、具体的には大気の修正屈折率の高度分布を表すパラメータであり、例えば、非特許文献3では、「Evaporation duct height, Base height, Mixed layer slope, Thickness, M-deficit」などのパラメータにより、修正屈折率の高度分布を表現している。本実施の形態1においても、同様のパラメータにより修正屈折率の高度分布を表すようにすればよい。
大気パラメータは、所定の方法で設定した初期値を入力するか、後述の大気パラメータ修正部から出力されたものを入力する。初期値の設定方法としては、典型的な大気の修正屈折率分布として固定的なものを与える方法がある。ただし、真値に近い初期値を与える方が、後述の大気パラメータ推定における反復回数が少なくてすむ。
そこで、複数の修正屈折率分布の候補を用意しておき、気温、海面温度などの気象・海象条件からそのうちの1つを選択するようにすれば、固定的に初期値を設定するよりも真値に近い初期値を設定することができ、大気パラメータ推定の反復回数を減らす、すなわち、演算量を削減することができる。
得られた推定表面エコー強度は、比較部22へと出力される。比較部22は、表面エコー抽出部5から入力した観測表面エコー強度の距離分布と、電波伝搬解析部21から入力した推定表面エコー強度の距離分布を比較する。比較部22は、例えば、両エコー強度の距離分布の差の二乗和(残差二乗和)を、両エコー強度の距離分布の不一致度データとして計算する。
大気パラメータ修正部23は、比較部22で算出された残差二乗和に基づき、残差二乗和が減少すると予想される方向(すなわち、不一致度データが減少する方向)へと大気パラメータを修正し、電波伝搬解析部21へと出力する。例えば、ある1つの大気パラメータが微小量だけ異なる場合の残差二乗和から、その大気パラメータに関する残差二乗和の偏微分を算出することができる。偏微分が負であれば、その大気パラメータを大きくする方向に修正することにより、比較部22で計算される残差二乗和が減少する可能性が高い。
逆に、偏微分が正であれば、その大気パラメータを小さくする方向に修正することにより、比較部22で計算される残差二乗和が減少する可能性が高い。また、偏微分の絶対値が大きければ、大気パラメータの現在値と真値との差が大きいと予想できる。このため、偏微分の絶対値が大きい場合には、大気パラメータの修正量の絶対値を大きくすることにより、少ない反復回数で大気パラメータを真値へ近づけること、すなわち、少ない反復回数で大気パラメータを解へと収束させて推定値の最適値を求めることができる。
以上のような、電波伝搬解析部21、比較部22、大気パラメータ修正部23による大気パラメータ推定値の反復改良を、比較部22で算出される残差二乗和が十分小さくなるまで繰り返すことにより、大気パラメータ推定値の最適値を得る。
なお、ここでは、推定途上の大気パラメータ値の近傍領域において、残差二乗和が小さくなる方向を探索する最急降下法の手法を説明した。しかし、ここでの大気パラメータ推定の問題は、最適化問題となっている。最適化問題の解法には様々な方法が知られており、本発明の大気パラメータ推定についても、従来から知られている他の最適化手法を用いても構わない。例えば、考え得るすべてのパラメータ値を仮定した残差二乗和を算出し、残差二乗和が最小となる場合のパラメータ値を求めるような、全探索的な手法を用いてもよい。
電波伝搬解析部21は、最終的に求まった大気パラメータの推定値の最適値およびレーダ諸元から、波動が空間を伝搬する際に生じる伝搬減衰量を推定する。この結果、伝搬減衰特性推定部は、大気パラメータの推定値の最適値に応じて伝搬減衰量を推定することができる。
減衰量推定精度算出部8は、減衰量推定部7で推定される伝搬減衰量を取り込み、この伝搬減衰量の精度を出力する。ここでの精度とは、例えば、伝搬減衰量の真値が所定の確率で含まれると見なせる範囲を表す量である。簡易な方法として、誤差分布が正規分布で近似可能と仮定した場合、推定値の標準偏差σを何がしかの方法で求めておけば、例えば、平均推定値Lとして、(L−3σ)〜(L+3σ)の範囲に真値が来る確率は、99.7%以上と判断することができる。
標準偏差σを求める方法としては、推定精度がSN比(信号対雑音比)により定まることから、あらかじめ表面エコーのSN比と推定値標準偏差との関係をテーブルとして準備しておくことが考えられる。これにより、表面エコー抽出部5から入力した表面エコー強度とレーダ諸元である受信機雑音との比を計算することにより算出されるSN比に対する標準偏差を、あらかじめ準備したテーブルから引用することができる。
あるいは、減衰量推定のたびに推定精度を推測することも考えられる。減衰量推定部7に入力される表面エコー強度は、受信機雑音による計測誤差を含む。計測誤差に相当する量のゆらぎを観測表面エコー強度にランダムに加えて減衰量推定を行うと、表面エコー強度の計測誤差に起因する量の変動が、推定される伝搬減衰量に現れる。この変動量の分布が推定される伝搬減衰量の誤差分布と等価であるとみなすことができるため、推定精度を得ることができる。
最大減衰量算出部9は、減衰量推定部7により推定された伝搬減衰量と、減衰量推定精度算出部8により算出された伝搬減衰量の精度とから、想定される最大減衰量を算出する。ここで、想定される最大減衰量とは、最大減衰量を超える減衰量となる確率が、あらかじめ設定した十分小さな確率値と等しくなる、または、これより小さくなることを意味するものである。例えば、推定誤差の分布が正規分布と近似できる場合、十分小さな確率値を0.3%とすれば、(L+3σ)を最大減衰量として算出すればよい。
図4は、本発明の実施の形態1における最大減衰量の算出の考え方の説明図である。この図4の上側は、伝搬減衰量の推定値の確率密度分布を模式的に示したものである。伝搬減衰量は、真値を中心とする確率密度分布を持つ。実際の観測で得られるのは推定値のみであり、真値は得られない。
推定値を中心とする図4の下側のような確率密度分布で真値が存在する可能性がある。そこで、真値が存在する可能性のある最大の伝搬減衰量を求める。この値が標準的な伝搬減衰量よりも小さければ、標準的な伝搬減衰量を仮定した場合のパルス送信数よりも、パルス送信数を減らすことができる。
パルス送信回数算出部10は、最大減衰量を仮定したときに、必要となる最小のパルス送信回数を算出する。想定する目標の最低SN比と、所要誤警報確率、所要検出確率が定まれば、必要な最小パルス送信回数を一意に定めることができることが従来から知られている。ここで、必要な最小パルス送信回数とは、所定の検出性能要求値を満足するレーダ諸元に相当する。
そこで、パルス送信回数算出部10においても、その従来技術を用いればよい。前述のように、例えば、非特許文献1にそのような技術は記述されている。想定する目標の最低SN比は、いわゆるレーダ方程式により算出される。その際に、仮定する伝搬減衰量として、最大減衰量算出部9で算出した最大減衰量を用いる。
制御部11は、パルス送信回数算出部10で得られたパルス送信回数に従って、レーダ装置の制御を行う。空中線部3のビーム方向を走査することにより複数の方向を観測するレーダ装置の場合、パルス送信回数は、ビーム方向毎に設定することができる。したがって、この場合には、図1に示したように、制御部11は、送信部1と空中線部3を制御することとなる。
すなわち、ある方向に所要回数のパルスを送信し終われば、その方向の観測を終了し、空中線部3のビーム方向を次の観測方向へと指向し直し、指向し直した方向にて所要回数のパルス送信を行う。このようなビーム指向とパルス送信を全観測方向について行う。
図5は、本発明の実施の形態1におけるビーム方向毎にパルス送信回数を変化させる様子を模式的に示した図である。この例では、観測方向数が5(方位1〜方位5)であるとしている。横方向の位置は、時間を表しており、左から右へと時間が経過することを表している。
まず始めに、スキャン1の方位1の観測を行う。3つの四角が並んでいるのは、3回のパルス送信を行うことを模式的に示している。次に、方位2については、4回のパルス送信を行っている。以後、同様に、方位毎に異なるパルス送信回数で観測を行う。全方向の観測が終わると、2スキャン目の観測、3スキャン目の観測というように、観測を継続する。なお、図5に示した1スキャンあたりのパルス送信回数は、目標検出のためのものであるが、表面エコー抽出に用いるパルス送信回数は、図5のものと一致する必要はない。例えば、複数スキャン分の受信信号を積算または平均したものから、表面エコーの抽出を行ってもよい。
目標検出部6は、受信部4から受信信号を入力し、目標検出のための信号処理を行う。ここでの信号処理は、一般的にレーダで用いられている目標検出のための信号処理と同様のものを用いればよい。前述のように、制御部11により適切なパルス送信数を用いた観測に基づいて受信信号を得るため、検出確率や誤警報確率で表される検出性能が最低限の送信パルス数で得られるようになっている。
なお、ある方向において、極端に伝搬減衰が大きくなると推測された場合、その方向にレーダ資源を必要なだけ割り当てると、他の方向の目標検出性能が不足してしまう可能性がある。これを回避するために、各方位のパルス送信数の割り当てに上限を定めておき、伝搬減衰量が極度に大きい方向の検出性能の維持をあきらめ、他の方向の検出性能の維持を優先することは、実用上有用と考えられる。
以上のように、実施の形態1によれば、気象条件によって変化する電波伝搬特性を推定し、そこから得られる伝搬減衰量に応じてパルス送信回数を観測方向毎に設定するようにしている。このため、限られた回数のパルス送信を、方向毎に必要最低限に設定でき、過剰なパルス送信の割り当てをなくすことができる。
この結果、全体として、パルス送信の回数を減らすことができるため、レーダ装置の消費電力を低減することが可能となる。さらに、レーダ波が傍受される確率が低くなるため、レーダ観測の秘匿性が向上される。さらに、標準的な気象状況よりも伝搬損失が大きくなる方向にパルス送信回数を多く割り当てることが可能となるため、全観測領域内での検出性能を向上させることができる。
実施の形態2.
先の実施の形態1では、レーダ諸元として観測方向毎のパルス送信回数を設定するレーダ装置について説明した。これに対して、本実施の形態2では、レーダ諸元として、パルス送信回数ではなく、各パルス送信における送信電力を変えることによってレーダ資源の割り当てを行うレーダ装置について説明する。
図6は、本発明の実施の形態2におけるレーダ装置の構成を表すブロック図である。この図6のレーダ装置は、先の実施の形態1における図1のレーダ装置と比較すると、図1におけるパルス送信回数算出部10を送信電力算出部12に置き換えるとともに、制御部11が制御するブロックを送信部1のみとしている点が異なる。
表面エコー抽出部5で抽出された表面エコー電力の距離分布を利用して、減衰量推定部7〜最大減衰量算出部9により、想定される最大減衰量を算出するところまで(すなわち、伝搬減衰特性推定部の機能)は、先の実施の形態1と同じである。そして、本実施の形態2のレーダ装置における送信電力算出部12は、観測方向毎に送信パルスの所要ピーク電力値を算出する。これにより、レーダ装置の消費電力を低減することが可能となるとともに、レーダ波が傍受される確率が低くなるため、レーダ観測の秘匿性が向上される。
以上のように、実施の形態2によれば、気象条件によって変化する電波伝搬特性を推定し、そこから得られる伝搬減衰量に応じて送信パルスの所要ピーク電力値を観測方向毎に設定するようにしている。このため、パルス送信電力を、方向毎に必要最低限に設定でき、消費電力を低減することが可能となる。
この結果、全体として、パルス送信電力を減らすことができるため、レーダ装置の消費電力を低減することが可能となる。さらに、レーダ波が傍受される確率が低くなるため、レーダ観測の秘匿性が向上される。
なお、本実施の形態2では、制御部11が送信部1のみを制御する場合について説明したが、これに限定されるものではない。空中線部3のビーム方向を走査することにより複数の方向を観測するレーダ装置の場合、送信電力は、ビーム方向毎に設定することができる。したがって、この場合には、先の実施の形態1の図1に示したように、制御部11は、送信部1と空中線部3の両方を制御することとなる。
実施の形態3.
先の実施の形態1、2では、伝搬減衰量の推定精度を求めることにより、最大減衰量を設定し、パルス送信回数または送信電力を設定するレーダ装置について説明した。これに対して、本実施の形態3では、平均的に検出性能を満足するような最小構成のレーダ装置について説明する。
図7は、本発明の実施の形態3におけるレーダ装置の構成を表すブロック図である。この図7のレーダ装置は、先の実施の形態1における図1のレーダ装置と比較すると、図1における減衰量推定精度算出部8および最大減衰量算出部9を有していない点が異なる。すなわち、本実施の形態3におけるレーダ装置は、表面エコー抽出部5および減衰量推定部7による最小構成で伝搬減衰特性推定部が構成されている。
表面エコー抽出部5で抽出した表面エコーのエコー強度距離分布から、減衰量推定部7により伝搬減衰量を推定するまでの動作は、先の実施の形態1と同じである。ただし、先の実施の形態1では、減衰量推定精度算出部8および最大減衰量算出部9の働きにより、推定された伝搬減衰量と伝搬減衰量の推定精度とから見込まれる最大減衰量を算出し、その最大減衰量からパルス送信回数を設定していた。
これに対して、本実施の形態3におけるレーダ装置は、減衰量推定部7で推定された伝搬減衰量そのものを用いて、パルス送信回数算出部10にてパルス送信回数を算出する構成となっている。
真値と推定値の大小関係の時間変化が遅い場合、実際の検出性能の時間変化も遅い。例えば、真値の伝搬減衰量の方が推定値より大きいような大小関係が継続すると、その時間の間は、所要の検出確率が得られない状態が継続することになる。この場合、目標が刻々と接近している状況において、検出確率が低下したままとなる。
しかし、真値と推定値の大小関係の時間変化が早い場合、例えば、1スキャン毎に変化するような状況であれば、あるスキャンでは検出確率が低下しても、次のスキャンでは検出確率が向上するというように、検出確率が変化する。伝搬減衰量の推定誤差にバイアスがない場合、すなわち、推定誤差がランダム誤差のみである場合、スキャン毎に変化する検出確率の平均値は、ほぼ所要検出確率になると期待される。
したがって、目標が刻々と接近する状況において、スキャン毎の検出確率は変化しても、目標の観測中の複数スキャンでの平均検出確率は、所要検出確率を満たすことができる。
真値と推定値の大小関係の時間変化が早い場合としては、例えば、伝搬減衰量の真値が短い周期で変化するような状況、すなわち、電波の伝搬路特性を決める大気のみだれが大きく、短時間で伝搬路特性が変化するような状況が考えられる。
以上のように、実施の形態3によれば、気象条件によって変化する電波伝搬特性を推定し、そこから得られる伝搬減衰量に応じてパルス送信回数を観測方向毎に設定するようにしている。本実施の形態3では、最大減衰量からパルス送信回数を設定するのではなく、減衰量推定部で推定された伝搬減衰量そのものを用いており、伝搬減衰量にマージンを設けないことになるため、構成を簡略化した上で、パルス送信回数を全体として小さめに抑えることが可能となる。
なお、このような図7の簡略構成において、先の実施の形態2で説明した送信電力算出部12を、パルス送信回数算出部10の代わりに用いることも可能である。この場合には、構成を簡略化した上で、消費電力を全体として低めに抑えることが可能となる。
実施の形態4.
本実施の形態4では、推定した伝搬減衰量に基づいて、さらに、空中線ビームパターンを制御する場合について説明する。図8は、本発明の実施の形態4におけるレーダ装置の構成を表すブロック図である。
この図8のレーダ装置は、先の実施の形態1における図1のレーダ装置と比較すると、送信ビームパターン算出部13をさらに備えている点が異なっている。すなわち、本実施の形態4におけるレーダ装置は、表面エコー抽出部5、減衰量推定部7、減衰量推定精度算出部8、および最大減衰量算出部9で伝搬減衰特性推定部が構成されているとともに、パルス送信回数算出部10および送信ビームパターン算出部13でレーダ諸元算出部が構成されている。
次に、新たに追加された送信ビームパターン算出部13の機能を中心に、図8の構成を有するレーダ装置の動作について詳細に説明する。図8のレーダ装置において、送信部1で送信波を生成してから、想定される最大減衰量を最大減衰量算出部9により算出するところまでは、先の実施の形態1と同じである。
ただし、本実施の形態4のレーダ装置は、レーダ諸元算出部として送信ビームパターン算出部13をさらに有しており、最大減衰量を用いて、パルス送信回数だけでなく、送信ビームパターンの制御も行うようにする点が、先の実施の形態1とは異なっている。
まず、最大減衰量算出部9で算出された最大減衰量を送信ビームパターン算出部13へと入力する。送信ビームパターン算出部13は、最大減衰量に基づき、伝搬減衰量の大きいビーム方向の送信空中線利得が大きくなるように、送信ビームパターンの算出を行う。
図9は、本発明の実施の形態4における送信ビーム制御の概念を模式的に示した図である。より具体的には、ディジタルビームフォーミング(DBF:Digital Beam Forming)方式の空中線を使用したレーダを想定した場合の、送信ビーム制御の概念を模式的に示したものである。
図9(a)は、送信ビームの指向性パターン(送信ビームパターン)201と、それぞれ仰角の異なる3つの受信ビームの指向性パターン(受信ビームパターン)202a、202b、202cとを示している。送信ビームパターン201は、3つの受信ビームがカバーする仰角範囲内に、ほぼ一様な利得を持つビームパターンとなっている。
送信では広い角度範囲でビームを照射し、そのビーム照射範囲内に、信号処理によって合成した複数の受信ビームを用いてレーダ観測を行うのが、DBF方式のレーダの観測方法となる。
図9(b)も図9(a)と同様に送信ビームと受信ビームの指向性パターンを表すものである。ただし、図9(b)の送信ビームパターン203は、図9(a)の場合と異なり、受信ビームパターン202bおよび202cと重なる方向で利得が高くなり、受信ビームパターン202aと重なる方向で利得が低くなるようなものとなっている。
すなわち、図9(a)では、3つの受信ビームがカバーする範囲内に一様に送信電力を放射しているのに対し、図9(b)では、2つの受信ビームの方向に重みをつけて送信電力を配分するようになっている。
例えば、ダクト伝搬が生じたために、低仰角の伝搬減衰量が小さくなる場合には、図9(b)のように低仰角での送信ビーム利得を小さくする。一方、ダクト伝搬がなく、仰角毎の伝搬減衰量の差が小さい場合には、図9(a)のように一様な送信ビーム利得となるような送信ビームパターンとする。
あるいは、ダクトの形成状況によっては、低仰角の伝搬減衰量が大きくなることもあり得る。例えば、Elevated ductと呼ばれるダクトが発生すると、ある一定高度範囲内で電波伝搬しやすくなり、地表面あるいは海表面に電波伝搬しにくくなる。そのような状況の場合には、低仰角での送信ビーム利得を大きくするような送信ビームパターンとすることも考えられる。
なお、送信ビームパターンの制御を実現する方法としては、フェーズドアレー方式の送信空中線を用いることが考えられる。すなわち、送信空中線を複数の空中線素子から構成し、各空中線素子に送信波を給電する際の位相を調整することにより、送信空中線のビームパターンを変化させるものである。
図9を用いた上述の例では、DBF方式のレーダ装置での動作例を説明したが、送信受信とも同じビーム幅の狭ビーム(ペンシルビーム)で計測する場合にも、ビーム指向特性を変える制御が考えられる。図10は、本発明の実施の形態4における狭ビームで計測する場合の送信ビーム制御の概念を模式的に示した図である。
図10(a)は、受信ビームパターン204と、送信ビームパターン205aを示している。送信ビーム、受信ビームともペンシルビームを想定しているが、そのビーム中心方向がずれている。一方、図10(b)においても、受信ビームパターン204と送信ビームパターン205bの方向がずれているが、図10(a)とは、ずれの方向が逆となっている。
ダクト伝搬の発生により、受信ビームパターン204のビーム幅内の低仰角部分の伝搬減衰量が小さくなっている場合は、受信ビームパターン204内の高仰角部分の送信ビーム利得が大きくなるように、送信ビームパターン205aのようなビームパターンを用いる。
一方、Elevated ductの発生などの場合には、受信ビームパターン204内の低仰角部分の送信ビーム利得が大きくなるように、送信ビームパターン205bのようなビームパターンを用いる。これにより、限られた送信電力を伝搬減衰量の大きい方向へ配分することが可能となる。
なお、図10では、送信ビームの中心方向のみを制御する場合を説明したが、送信と受信とで空中線を共用する場合には、送信ビームに合わせて、受信ビームの中心方向も変化させるようにしてもよい。この場合の利得制御は、送信ビームパターンと受信ビームパターンの両方で行うことになる。
上述のようにして、送信ビームパターン算出部13は、推定した伝搬減衰量に基づいて、送信ビームパターンを算出することとなる。ただし、空中線ビームパターンの算出には制約があり、任意のビームパターンを形成することは難しい。そこで、送信ビームパターン算出部13で調整しきれない場合には、先の実施の形態1と同様に、パルス送信回数算出部10によるパルス送信回数の算出により利得調整を行う。
例えば、図9(b)の送信ビームパターンを用いても、受信ビームパターン202bおよび受信ビームパターン202cの仰角と、受信ビームパターン202aの仰角とで、利得差が十分につけられない場合は、受信ビームパターン202bおよび受信ビームパターン202cの受信ビーム方向のみ、パルス送信数を多くすることが考えられる。
例として、受信ビームパターン202bおよび受信ビームパターン202cの受信ビーム方向に、それぞれ受信ビームと同様のペンシルビームで送信を行うようにして、受信ビームパターン202aのビーム方向よりも多いパルス送信回数を受信ビームパターン202bおよび受信ビームパターン202cの受信ビーム方向に割り当てることが考えられる。
あるいは、送信ビーム幅を送信ビームパターン203よりさらに狭くした観測により、受信ビームパターン202bおよび受信ビームパターン202cの観測のみを付加する方法もある。
上述のようにして、送信ビームパターン算出部13は、最大減衰量に基づき、伝搬減衰量の大きいビーム方向の送信空中線利得が大きくなるように、送信ビームパターンを算出する。そして、制御部11は、送信指向特性を変化させる機能を有する空中線部3に対して、送信ビームパターン算出部13で算出された送信ビームパターンとなるように、送信指向特性を制御する。
以上のように、実施の形態4によれば、送信ビームパターン算出部の働きにより、パルス送信回数だけでなく、送信ビームの利得の配分も効率化するように制御できるため、過剰な電力の割り当てが低減される。従って、生じる余剰電力を観測領域に全体に割り当てることにより、観測領域全体で探知性能を向上させることができる。
なお、図8に示した本実施の形態4におけるレーダ装置の構成において、先の実施の形態2で説明した送信電力算出部12を、パルス送信回数算出部10の代わりに用いることも可能であり、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
また、図9、図10では、仰角方向の指向性パターンを変化させることを説明したものであったが、方位角方向の指向性パターンを変化させるようにしても、同様の効果を得ることができる。
実施の形態5.
本実施の形態5では、図3の比較部22について、さらに具体的に説明する。
まず、下式(1)のように,表面エコー抽出部5で得られた観測表面エコーの電力距離分布obs(r)と、電波伝搬解析部21から入力した推定表面エコー強度の電力距離分布calc(r)との比OCR(r)を、距離毎に算出する。ここで、rは、距離を表すパラメータである。
Figure 0005025359
次に、比較部22は、下式(2)のように、あらかじめ設定した距離範囲(r1〜r2)に対し、上式(1)で算出した比OCR(r)の二乗和SSを算出する。
Figure 0005025359
ここで、r1は、距離範囲の開始距離であり、r2は、距離範囲の終了距離である。設定する距離範囲は、観測した距離範囲すべてでもよいし、注目する距離範囲があれば、そのような範囲を設定してもよい。
上式(2)で求められる二乗和SSが小さいほど、両エコー強度の距離分布の不一致度が低いと考えることができる。そこで、大気パラメータ修正部23は、比較部22により算出された上式(2)の不一致度データに基づいて、二乗和SSが減少すると予想される方向(すなわち、不一致度データが減少する方向)へと大気パラメータを修正すればよい。
なお、比較部22で算出する不一致度データとしては、上式(2)の二乗和SSを用いる代わりに、下式(3)のように、二乗和SSの逆数をとった二乗和評価値ESTを用いてもよい。
Figure 0005025359
この場合、ESTの値が大きいほど、両エコー強度の距離分布の不一致度が低いと考えることができる。そこで、大気パラメータ修正部23は、比較部22により算出された上式(3)の不一致度データに基づいて、二乗和評価値ESTが増加すると予想される方向(すなわち、不一致度データが減少する方向)へと大気パラメータを修正すればよい。
以上のように、実施の形態5によれば、観測表面エコーの電力距離分布と、推定表面エコー強度の電力距離分布との比から二乗和を求めることによって、注目する距離範囲での不一致度を定量的に評価することができる。
そして、このような評価値を用いて、気象条件によって変化する電波伝搬特性を推定し、そこから得られる伝搬減衰量に応じてパルス送信回数を観測方向毎に設定するようにしている。このため、限られた回数のパルス送信を、方向毎に必要最低限に設定でき、過剰なパルス送信の割り当てをなくすことができる。
本発明の実施の形態1におけるレーダ装置の構成を表すブロック図である。 本発明の実施の形態1における表面エコー抽出の状況を模式的に表したものである。 本発明の実施の形態1における減衰量推定部の内部構成の例を表すブロック図である。 本発明の実施の形態1における最大減衰量の算出の考え方の説明図である。 本発明の実施の形態1におけるビーム方向毎にパルス送信回数を変化させる様子を模式的に示した図である。 本発明の実施の形態2におけるレーダ装置の構成を表すブロック図である。 本発明の実施の形態3におけるレーダ装置の構成を表すブロック図である。 本発明の実施の形態4におけるレーダ装置の構成を表すブロック図である。 本発明の実施の形態4における送信ビーム制御の概念を模式的に示した図である。 本発明の実施の形態4における狭ビームで計測する場合の送信ビーム制御の概念を模式的に示した図である。
符号の説明
1 送信部、2 送受切替部、3 空中線部、4 受信部、5 表面エコー抽出部、6 目標検出部、7 減衰量推定部、8 減衰量推定精度算出部、9 最大減衰量算出部、10 パルス送信回数算出部(レーダ諸元算出部)、11 制御部、12 送信電力算出部(レーダ諸元算出部)、13 送信ビームパターン算出部、21 電波伝搬解析部、22 比較部、23 大気パラメータ修正部。

Claims (9)

  1. 空間に波動を放射し、目標物体で散乱された反射波動を受信波として入力し信号処理を施すことにより前記目標物体の計測を行うレーダ装置において、
    空間に放射する波動を生成する送信部と、
    前記送信部で生成された前記波動を空間へ放射し、空間から到来した波動を受信波として入力する空中線部と、
    前記空中線部で入力した前記受信波を検波することにより受信信号を生成する受信部と、
    前記受信部で生成された前記受信信号に基づいて、大気パラメータを推定し、波動が空間を伝搬する際に生じる伝搬減衰量を前記大気パラメータの推定結果に応じて推定する伝搬減衰特性推定部と、
    前記伝搬減衰特性推定部で推定された前記伝搬減衰量に基づいて、所定の検出性能要求値を満足するレーダ諸元を算出するレーダ諸元算出部と、
    前記レーダ諸元算出部により算出された前記レーダ諸元に基づいて、前記送信部を制御する制御部と
    を備え
    前記伝搬減衰特性推定部は、
    前記受信信号に基づいて観測表面エコー強度の距離分布を求める表面エコー抽出部と、
    放射された波動に対応するレーダ諸元と、前記表面エコー抽出部で求められた前記観測表面エコー強度の距離分布とに基づいて、前記大気パラメータの推定結果、および前記大気パラメータの推定結果に応じた前記伝搬減衰量を推定する減衰量推定部と
    を備えたことを特徴とするレーダ装置。
  2. 請求項に記載のレーダ装置において、
    前記減衰量推定部は、
    前記レーダ諸元および所定の大気パラメータの推定値に基づいて推定表面エコー強度の距離分布を算出する電波伝搬解析部と、
    前記表面エコー抽出部で求められた前記観測表面エコー強度の距離分布と、前記電波伝搬解析部で算出された前記推定表面エコー強度の距離分布とを比較して不一致度データを算出する比較部と、
    前記比較部で算出された前記不一致度データに基づいて、前記不一致度が減少するように前記推定表面エコー強度の距離分布の算出に用いられる前記大気パラメータの推定値を修正し、前記不一致度が所定許容値以下に収束するまで前記大気パラメータの推定値の修正を繰り返し行って大気パラメータの推定値の最適値を算出する大気パラメータ修正部と
    を備え、
    前記電波伝搬解析部は、前記レーダ諸元および前記大気パラメータ修正部により算出された前記大気パラメータの推定値の最適値に基づいて前記伝搬減衰量を推定する
    ことを特徴とするレーダ装置。
  3. 請求項に記載のレーダ装置において、
    前記比較部は、前記表面エコー抽出部で求められた前記観測表面エコー強度の距離分布と、前記電波伝搬解析部で算出された前記推定表面エコー強度の距離分布とに基づいて、距離毎の強度比をとり、所定の距離範囲で前記強度比の二乗和を求めることにより前記不一致度データを算出することを特徴とするレーダ装置。
  4. 請求項ないしのいずれか1項に記載のレーダ装置において、
    前記伝搬減衰特性推定部は、
    前記表面エコー抽出部で求められた前記観測表面エコー強度の距離分布と、前記減衰量推定部で推定された前記伝搬減衰量とに基づいて、前記伝搬減衰量の精度を算出する減衰量推定精度算出部と、
    前記減衰量推定部で推定された前記伝搬減衰量と、前記減衰量推定精度算出部で算出された前記伝搬減衰量の精度とから、想定される最大減衰量を算出する最大減衰量算出部と
    をさらに備え
    前記レーダ諸元算出部は、前記伝搬減衰特性推定部で推定された前記最大減衰量に基づいて、所定の検出性能要求値を満足するレーダ諸元を算出する
    ことを特徴とするレーダ装置。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のレーダ装置において、
    前記レーダ諸元算出部は、前記伝搬減衰特性推定部により推定された前記伝搬減衰量に基づいて、所定の検出性能要求値を満足するパルス送信回数を前記レーダ諸元として算出するパルス送信回数算出部を有し、
    前記制御部は、前記パルス送信回数算出部で算出された前記パルス送信回数に基づいて、前記送信部において生成される波動のパルス送信回数を制御する
    ことを特徴とするレーダ装置。
  6. 請求項に記載のレーダ装置において、
    前記パルス送信回数算出部は、算出するパルス送信回数に上限を設定することを特徴とするレーダ装置。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のレーダ装置において、
    前記レーダ諸元算出部は、前記伝搬減衰特性推定部により推定された前記伝搬減衰量に基づいて、所定の検出性能要求値を満足する最小送信電力を前記レーダ諸元として算出する送信電力算出部を有し、
    前記制御部は、前記送信電力算出部で算出された前記最小送信電力に基づいて、前記送信部において生成される波動が前記最小送信電力以上となるように制御する
    ことを特徴とするレーダ装置。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のレーダ装置において、
    前記レーダ諸元算出部は、前記空中線部から空間へ放射される波動の放射方向ごとに前記レーダ諸元を算出し、
    前記制御部は、前記レーダ諸元算出部により算出された前記放射方向ごとの前記レーダ諸元に基づいて前記送信部を制御する
    ことを特徴とするレーダ装置。
  9. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のレーダ装置において、
    前記空中線部は、送信指向特性を変化させる機能を有し、
    前記制御部は、前記伝搬減衰特性推定部で推定された前記伝搬減衰量が大きな放射方向に対して送信利得が高くなるように、前記空中線部の前記送信指向特性を制御する
    ことを特徴とするレーダ装置。
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