JP5025211B2 - 打抜き加工用の超高強度薄鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、打抜き加工用の超高強度薄鋼板に関するものであり、殊に、引張強度:1180MPa以上の鋼板で問題となる置き割れ、遅れ破壊といった水素脆化に起因する破壊が抑制されると共に、打抜き加工によって形成される打抜き穴孔加工部における耐遅れ破壊性にも優れた超高強度薄鋼板に関するものである。
地球環境保護の観点から、低燃費化を目的とした自動車の軽量化が強く望まれており、車両を構成する部品に鋼板が使用される場合には、高強度鋼板を適用し、この鋼板の板厚を薄くすることによって、軽量化が図られている。また、自動車の衝突安全性を向上させるために、ピラー等の自動車部品には、更なる高強度化が要求されており、引張強度で1180MPa以上であるような超高強度鋼板に対するニーズが高まっている。
ところが、1180MPa級以上の超高強度域では、成形性(例えば、プレス成形性)や遅れ破壊が問題となり、適用可能な部品に制限があるのが実情である。特に、遅れ破壊は、高強度鋼において、腐食環境または雰囲気から発生した水素が、転位、空孔、粒界などの欠陥部へ拡散して材料を脆化(水素脆化)させ、応力が付与された状態で破壊を生じる現象のことであるが、この現象は金属材料の延性や靭性が低下する等の弊害をもたらすものとなる。特に近年では、プレス成形品の耐遅れ破壊特性だけでなく、成形品に加工されたときの打ち抜き穴加工部の耐遅れ破壊特性が良好であることも要求されている。
こうした状況の下、上記のような強度クラスを有する自動車用構造部品を実現するために、プレス成形と焼入れによる部品の強度向上を同時に行なう熱間プレス工法(いわゆる「ホットプレス法」)が提案されている(例えば、特許文献1)。この技術は、鋼板をA3変態点以上のオーステナイト(γ)領域まで加熱して、熱間でプレス成形すると共に、プレス成形時に常温の金型と接触させることによって鋼板の焼入れを同時に行い、超高強度化を実現する方法である。
こうした熱間プレス工法によって、プレス成形時に導入される残留応力も減少するので、1180MPa級以上の超高強度鋼板で問題となる遅れ破壊の感受性も低減されることになる。この様な技術の開発によって、遅れ破壊が抑制された自動車用構造部品の製造が可能になったのであるが、こうした技術によっても若干の問題が残されている。
自動車部品の製造においては、熱間プレス後のプレス成形品に対して、他部品を取り付けるための穴を開ける「打ち抜き加工」が実施され、他部品と接合されて最終的に自動車の部品となる場合がある。例えば、プレス成形品は、溶接ナットやピアスナットを介して、他部品や自動車のボディー部に取り付けられるが、ナット等の取り付け部にはナット穴と同等の径で穴が加工されることになる。
しかしながら、熱間プレス後の焼入れによって高強度化された部品では、打抜き穴加工部にクラックが生じ易く、良好な打抜き切口面が得られないのが実情である。しかも、打抜き加工部においては、打抜き切口面の板厚方向や穿孔の円周方向に高い残留応力が発生することになる。このため、引張り残留応力下にあるクラックが起点となって、打抜き穴加工部には、遅れ破壊による割れが生じることがある。
上記のような打抜き加工部の遅れ破壊に対して、例えば特許文献2には、耐遅れ破壊性を向上させた熱間プレス用鋼板が提案されている。この技術は、鋼中にMgを含む酸化物や硫化物と、これらを核とする複合晶出物・析出物を均一分散させるものである。その結果として、打抜き時の粗大なクラックの発生を抑制し、且つこれらの酸化物とこれらを核とする複合晶出物や複合析出物が水素トラップサイトとして働くことによって、耐遅れ破壊性を向上させものである。
この技術では、鋼板中に存在する酸化物とこれらを核とした複合晶出物・析出物のサイズ(平均粒径)と存在状態(密度)を適切に制御することが重要な要件となる。しかしながら、水素トラップサイトとして有効で、且つ粗大なクラックの起点とならないような粒径と密度に厳密に制御することは技術的に容易でないという問題がある。しかも、鋼板の腐食によって水素が発生・存在するような環境下での耐水素脆化特性を、複合晶出物・析出物の形態制御による水素トラップ効果だけで高めることは困難である。
また、打抜き切口面の性状や残留応力は、加工条件(材料板厚、クリアランス、成形速度、押え圧等)によっても変化するので、打抜き切口面の性状が厳密に管理されることが要求され、これは引張り残留応力が特に高くなる場合には、更に厳密な管理が必要となる。こうした事態に対応する手段として、打抜きを慎重に行なうことによって遅れ破壊感受性を低減することも考えられるが、こうした加工では生産効率の低下を招くばかりか、製造コストの上昇が顕著になる。
ところで、優れた強度と延性を兼ね備えた鋼板として、特にTRIP(TRansformation Induced Plasticity:変態誘起塑性)鋼板が注目されている。TRIP鋼板は、オーステナイト組織が残留しており、マルテンサイト変態開始温度(Ms点)以上の温度で加工変形させると、応力によって残留オーステナイト(残留γ)がマルテンサイトに誘起変態して大きな伸びが得られる鋼板である。その種類として幾つか挙げられ、例えば、ポリゴナルフェライトを母相とし、残留オーステナイトを含むTRIP型複合組織鋼(TPF鋼);焼戻マルテンサイトを母相とし、残留オーステナイトを含むTRIP型焼戻マルテンサイト鋼(TAM鋼);ベイニティックフェライトを母相とし、残留オーステナイトを含むTRIP型ベイナイト鋼(TBF鋼)等が知られている。
上記各種鋼板のうち、TBF鋼の特性を利用することによって耐遅れ破壊性を向上させた技術も知られている(例えば、特許文献3)。この鋼板では、硬質のベイニティックフェライトを母相とすることによって高強度が得られ易く、ラス状のベイニティックフェライトの境界に微細な残留オーステナイトが生成し易く、この様な組織形態が非常に優れた伸びをもたらすといった特徴を有している。また、こうした鋼板では、ベイニティックフェライトが粒界破壊の起点を減少させる作用を発揮すると共に、ラス状のベイニティックフェライトの境界に生成した微細な残留オーステナイトが水素トラップサイト能力を高め、これによって鋼板の耐遅れ破壊性を向上させることになる。
しかしながら、このようなTBF鋼においても、打抜き加工部の耐遅れ破壊性にはバラツキが認められ、安定した特性が得られにくいという問題があった。
特開平10−96031号公報 特開2006−9116号公報 特開2005−220440号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、引張強度が1180MPa以上の超高強度域において、耐水素脆化特性を高めると共に、打抜き加工によって形成される打抜き穴孔加工部における耐遅れ破壊性にも優れた打抜き加工用の超高強度薄鋼板を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明に係る打抜き加工用の超高強度薄鋼板とは、質量%で、C:0.10〜0.25%、Si:1.0〜3.0%、Mn:1.0〜3.5%、Mo:1.0%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)、P:0.15%以下、S:0.02%以下、Al:1.5%以下(0%を含まない)を満たし、残部が鉄および不可避不純物からなるものであって、
全組織に対する面積率で、
残留オーステナイトが1%以上、ラス状フェライトが80%以上、
ポリゴナルフェライトおよびパーライトが合計で9%以下(0%を含む)であると共に、
前記ラス状フェライトで構成されるブロックの平均粒径が10μm以下であり、且つ該ラス状フェライトのラス幅が2μm以下であり、
更に引張強度が1180MPa以上である点に要旨を有するものである。
本発明の超高強度薄鋼板には、更に、(a)Cu:0.003〜0.5%、Ni:0.003〜1.0%、およびTi:0.003〜1.0%よりなる群から選択される1種以上、(b)Cr:0.003〜2.0%、(c)B:0.0002〜0.01%、(d)Ca:0.0005〜0.005%、Mg:0.0005〜0.01%およびREM:0.0005〜0.01%よりなる群から選択される1種以上、等を含有させることも有用であり、含有させる元素の種類に応じて、薄鋼板の特性が更に改善される。
本発明によれば、TBF鋼組織における各相割合を厳密に制御するとともに、ラス状フェライトで構成されるブロックの平均粒径および該ラス状フェライトのラス幅を適切に制御することによって、耐水素脆化特性を十分に高められると共に、打抜き加工によって形成される打抜き穴孔加工部における耐遅れ破壊性にも優れた引張強度が1180MPa以上の超高強度薄鋼板が実現でき、遅れ破壊等の極めて生じ難い超高強度部品として、例えばバンパー、インパクトビーム等の補強材やシートレール、ピラー、レインフォース、メンバー等の自動車部品用鋼板を提供することができる。
高強度鋼材として、従来から一般に採用されている焼戻しマルテンサイト鋼や、(マルテンサイト+フェライト)鋼の場合、水素起因の遅れ破壊は、旧オーステナイト粒界等に水素が集積してボイド等が形成され、該部分が起点となって生じるものと考えられており、遅れ破壊の感受性を下げるには、水素のトラップサイトとして炭化物等を均等かつ微細に分散させ、拡散性水素濃度を下げることが一般的な解決手段として採用されてきた。しかしこの様に炭化物等を水素のトラップサイトとして多数分散させても、トラップ能力に限界があるため、水素を起因とする遅れ破壊を十分に抑制することができない。
本発明者らは、薄鋼板における使用環境を十分に考慮したより優れた耐水素脆化特性(耐遅れ破壊性)を達成するべく、かねてより研究を進めてきた。その結果、化学成分組成を厳密に規定すると共に、ベイニティックフェライトが主体の「ベイニティックフェライトとマルテンサイトの二相組織」とし、且つ組織中の各相の割合の適正化および残留オーステナイト結晶粒の平均軸比(長軸/短軸)を所定の範囲とすれば、耐水素脆化特性の向上をより一層高め得ることを見出し、その技術的意義が認められたので先に特許出願している(特願2005−147239号)。
こうした技術の開発によって、耐遅れ破壊性に優れた超高強度薄鋼板が実現できたのであるが、こうした鋼板においても、打抜き加工によって形成される打抜き穴孔加工部における耐遅れ破壊性にはバラツキが認められ、更なる改善が求められていた。
こうした状況の下、本発明者らは、打抜き穴孔加工部における耐遅れ破壊性をさせるべく、特にミクロ組織と上記特性との関係について詳細な検討を加えた。その結果、ラス状フェライトを主体とする鋼板において、下記(1)、(2)の要件を満足させるようにすれば、打抜き穴孔加工部における良好な耐遅れ破壊性が安定して得られることを見出し、本発明を完成した。
(1)ラス状フェライトで構成されるブロックの平均粒径が20μm以下、
(2)ラス状フェライトのラス幅が2μm以下、
上記(1)の要件は、ラス状フェライトのうち、後述する方法で同定されるブロックの平均粒径が20μm以下を満足するものである。このように、ラス状フェライトで構成されるブロック(以下、「フェライトブロック」と呼ぶことがある)を微細化させることによって、母材(TBF鋼)の耐水素脆化特性を高めることができ、これに起因して打抜き穴加工部における耐水素脆化特性も高いものとなる。このフェライトブロックの平均粒径が20μmを超えて拡大すると、良好な耐水素脆化特性が得られない。フェライトブロックの平均粒径は、小さければ小さい程良く、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。
上記フェライトブロックは、平行に並んだラス状フェライトの集団であり、それらは同一の結晶方位を有している。ラス状フェライトは、板状のフェライトのうち転位密度が高い組織を意味するが、こうした組織は転位密度がないか極めて少ないポリゴナルフェライトとは、SEM(Scanning Electoron Microscope:走査型電子顕微鏡)観察によって以下の通り、明確に区別されるものである。
ポリゴナルフェライト:SEM写真において黒色であり、多角形の形状で、内側に、残留オーステナイトやマルテンサイトを含まない。
ラス状フェライト:SEM写真では濃灰色を示し、ラス状フェライトとラスマルテンサイトを分離区別できない場合も多い。
ラス状フェライトの中から、フェライトブロックを同定するには、例えば次の手順で行なう。EBSP(Electoron Back Scatter Diffraction Pattern)検出器を備えた高分解能型FE−SEM(例えば、Philips社製「XL30S−FEG」)を用いて、同一領域をSEM観察およびEBSP解析を同時に行なう。SEM観察によれば、ポリゴナルフェライトとラス状フェライトを識別できるので、SEM観察写真とEBSP解析写真を対比観察し、EBSP解析によってマッピングされた組織のうち、SEMで識別できるポリゴナルフェライトを排除した領域(ラス状フェライト)を容易に決定することができる。
尚、EBSP検出器を備えた高分解能型FE−SEMでは、SEM観察した領域をその場で同時に、EBSP検出器によって解析することができるというメリットがある。ここでEBSP法について簡単に説明すると、EBSPは、試料表面に電子線を入射させ、このときに発生する反射電子から得られた菊池パターンを解析することにより、電子線入射位置の結晶方位を決定するものであり、電子線を試料表面に2次元で走査させ、所定のピッチごとに結晶方位を測定すれば、試料表面の方位分布を測定することができる。このEBSP観察によれば、通常の顕微鏡観察では同一と判断される組織であって結晶方位差の異なる板厚方向の組織を、色調差によって識別できるという利点がある。
このようにして決定されるラス状フェライトのうち、隣接する組織同士間で、傾角15°以上の方位差を持つ領域(本発明では、この様な領域は結晶方位差が同一である領域と考えている)の組織をカラーマッピングし、001逆極点図(Inverse Pole Figure)に結晶粒界(Grain Boundareis:Min15°、Max180°)を付記する、この様にしてマッピングされた領域(傾角15°以上の方位差を持つ領域)を、本発明における「フェライトブロック」と定める。即ち、本発明におけるフェライトブロックとは、同一視野をSEM観察およびEBSP解析したとき、SEMによって識別されるラス状フェライトのうち、EBSP解析により、結晶方位が同一である領域(傾角15°以上の方位差を持つ領域)と定義される。
次に、この様にして検出されるフェライトブロックについて、当該ラス状フェライトと同じ面積を有する円の直径(円相当径)を算出する。尚、フェライトブロックの直径を算出するに当っては、倍率5000倍のEBSP解析写真を使用する。同様にして、測定対象面積(約50μm×50μm)に存在する全てのラス状フェライトの直径を求め、その平均を、本発明における「ラス状フェライトで構成されるブロックの平均粒径」と定義する。
上記(2)の要件は、ラス状フェライトのラス幅が2μm以下を満足するものである。
打抜き加工時には、表面近傍に存在する残留オーステナイトの一部がマルテンサイト変態するが、ひずみ誘起による応力緩和作用を伴うために、ボイド生成が抑制される。このとき、ラス幅が2μm以下になると、ラスに隣接して存在するラス状オーステナイトの平均間隔も狭まる。その結果、打抜き時の応力集中が飛躍的に緩和され、打抜き加工時におけるボイドやクラックの生成が抑制されることになり、打抜き穴加工部における耐遅れ破壊特性が向上すると考えられる。このラス幅は、小さければ小さい程良く、好ましくは1.8μm以下、より好ましくは1.6μm以下である。
ラス幅とは、ラス境界相互の距離を意味するが、この「ラス境界」はSEM観察で薄灰色部に観察される箇所の存在によって判別することとする。この薄灰色部は、オーステンパー処理中の未変態オーステナイトがオーステンパー処理後に冷却され、室温でも準安定的に存在する残留オーステナイトとして観察されるものである。或は、オーステンパー処理後の冷却時に、未変態オーステナイトから変態したマルテンサイトであることもある。
ラス境界が不明瞭な場合には、ラスの集団と考えられる領域をもってラスとして定義した。また、ラス幅の測定は、SEM観察写真上で、ラス断面長手方向と直角な方向に線を引き、ラス境界との交点の数を数え、その平均切片長さをラス幅と定義した。
本発明者らは、薄鋼板における使用環境を十分に考慮したより優れた耐水素脆化性特性(耐遅れ破壊性)を実現させるべく、下記(a)、(b)を目標に掲げ、そのための具体的手段についても検討した。
(a)粒界破壊の起点を減少させること
(b)水素トラップ能力の向上による水素の無害化
その結果、上記(a)を達成するには、鋼板の母相として、高強度鋼材に一般的に採用されているマルテンサイト単相組織とするのではなく、ラス状フェライトが主体の組織とするのが最適であるとの結論に至った。上記マルテンサイト単相組織の場合には、粒界に炭化物(例えばフィルム状セメンタイト等)が析出して粒界破壊が生じやすいのに対し、ラス状フェライトが主体の組織とすれば、該ラス状フェライトが一般の(ポリゴナル)フェライトと異なり、板状のフェライトで転位密度が高く、マルテンサイト単相の場合と同様に組織全体の強度を容易に高めることができ、更に、この転位上に水素が多数トラップされるため、耐水素脆化特性を高めることもできる。また、該ラス状フェライトと後述する残留オーステナイトを存在させることで、粒界破壊の起点となる炭化物の生成を防止できるといったメリットもある。
上記(b)の達成には、ラス状の残留オーステナイトを形成することが大変有効であることを見出した。従来、残留オーステナイトは、耐水素脆化特性や疲労に悪影響を及ぼすと考えられてきた。本発明者らが検討したところ、従来の残留オーステナイトはミクロンオーダーの塊状であり、この形態の残留オーステナイトは耐水素脆化特性や疲労に悪影響を及ぼすが、該残留オーステナイトの形態をサブミクロンオーダーのラス状に制御すれば、残留オーステナイトが本来有する水素吸蔵能が発揮され、水素を多量に吸蔵・トラップすることができ、耐水素脆化特性を大幅に向上できることが分かった。
以下、本発明で上記の通り組織を規定した理由について詳述する。
<ラス状フェライト:80%以上>
本発明では、上述の通りラス状フェライト主体の組織とする。ラス状フェライト組織は硬質であり、高強度が得られ易い。また、母相の転位密度が高く、この転位上に水素が多数トラップされる結果、他のTRIP鋼に比べて多量の水素を吸蔵できるという利点もある。更に、ラス状フェライトの境界に、本発明で規定するラス状の残留オーステナイトが生成し易く、非常に優れた伸びが得られるといったメリットもある。この様な作用を有効に発揮させるには、全組織に対する面積率で、ラス状フェライトを全組織に対する面積率で80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上とする。尚、その上限は、他の組織(残留オーステナイト)とのバランスによって決定され、後述する残留オーステナイト以外の組織(フェライト等)を含有しない場合には、その上限が99%に制御される。
ラス状フェライト組織の面積率は次の様にして求める。即ち、鋼板をナイタールで腐食し、板厚1/4の位置で圧延面と平行な面における任意の測定領域(約50μm×50μm)をSEM観察(倍率:1500倍)することにより算出される(観察の手順は上述の通り)。
<残留オーステナイト(残留γ):1%以上>
残留オーステナイトは、上述の通り、全伸びの向上に有用であるのみならず、耐水素脆化特性の向上にも大きく寄与するため1%以上存在させることとした。好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上である。
そして上述の通り、残留オーステナイトをラス状とすれば、水素トラップ能力が炭化物よりも圧倒的に大きくなり、いわゆる大気腐食で侵入する水素を実質無害化して、耐水素脆化特性を顕著に向上できることを見出した。尚、上記残留オーステナイトが多量に存在すると、所望の超高強度を確保できなくなる為、その上限を15%(より好ましくは10%)とすることが推奨される。
上記残留オーステナイトは、前述したFE−SEM/EBSP法により、FCC相(面心立方格子)として観察される領域を意味する。EBSPによる測定の一具体例として、上記ラス状フェライトの観察の場合と同様に、板厚1/4の位置で圧延面と平行な面における任意の測定領域(約50μm×50μm、測定間隔は0.1μm)を測定対象とすることが挙げられる。尚、当該測定面まで研磨する際には、残留オーステナイトの変態を防ぐため電解研磨を行う。次に、上記「EBSP検出器を備えたFE−SEM」を用い、SEMの鏡筒内にセットした試料に電子線を照射する。スクリーン上に投影されるEBSP画像を高感度カメラ(Dage−MTI Inc.製 VE−1000−SIT)で撮影し、コンピューターに画像として取込む。そしてコンピューターで画像解析を行い、既知の結晶系[残留オーステナイトの場合はFCC相(面心立方格子)]を用いたシミュレーションによるパターンとの比較によって決定したFCC相をカラーマップする。この様にしてマッピングされた領域の面積率を求め、これを「残留オーステナイトの面積率」と定める。尚、本発明では、上記解析に係るハードウェア及びソフトとして、TexSEM−Laboratories Inc.のOIM(Orientation Imaging MicroscopyTM)システムを用いた。
<ポリゴナルフェライト(PF)+パーライト(P):9%以下(0%含む)>
本発明の鋼板は、上記組織のみ(即ち、ラス状フェライトと残留オーステナイトとの混合組織)から構成されていても良いが、本発明の作用を損なわない範囲で、他の組織としてフェライト(尚、ここでいう「フェライト」とは、ポリゴナルフェライト、即ち、転位密度がないか或いは極めて少ないフェライトを意味する)やパーライトを有していても良い。これらは、本発明の製造過程で必然的に残存し得る組織であるが、少なければ少ない程好ましく本発明では9%以下に抑える。好ましくは5%未満、更に好ましくは3%未満である。
本発明は、上記の通り金属組織を制御する点に特徴があるが、該金属組織を容易に形成して耐水素脆化特性と強度を効率よく高め、更に薄鋼板に必要な延性を確保するには、その基本成分を下記の通り制御する必要がある。
<C:0.10〜0.25%>
Cは、1180MPa以上の高強度を確保するのに必要である。また、オーステナイト相中に充分なC量を含ませて、室温でも所望のオーステナイト相を残留させるのに重要な元素でもあり、本発明では0.10%以上含有させる。好ましくは0.12%以上、より好ましくは0.15%以上である。但し、耐食性や溶接性を確保する観点から、本発明ではC量を0.25%以下に抑える。好ましくは0.23%以下である。
<Si:1.0〜3.0%>
Siは、残留オーステナイトが分解して炭化物が生成するのを有効に抑える重要な元素である。また、材質を十分に硬質化させるのに有効な置換型固溶体強化元素でもある。この様な作用を有効に発現させるには、1.0%以上含有させることが必要である。好ましくは1.3%以上、より好ましくは1.6%以上である。但し、Si量が過剰になると、熱間圧延でのスケール形成が顕著になり、またキズの除去にコストがかかり経済的に好ましくないため、3.0%以下に抑える。好ましくは2.5%以下、より好ましくは2.0%以下である。
<Mn:1.0〜3.5%>
Mnは、オーステナイトを安定化させ、所望の残留オーステナイトを得るのに必要な元素である。この様な作用を有効に発揮させるには1.0%以上含有させる必要がある。好ましくは1.2%以上、より好ましくは1.5%以上である。一方、Mn量が過剰になると偏析が顕著となり、加工性が劣化する場合があるので3.5%を上限とする。好ましくは3.0%以下である。
<Mo:1.0%以下(0%を含まない)>
Moは、オーステナイトを安定化させて残留オーステナイトを確保し、水素侵入を抑制して耐水素脆化特性を向上させる効果がある。また鋼板の焼入れ性を高めるのにも有効な元素である。加えて粒界を強化し、水素脆化の抑制にも効果がある。この様な作用を有効に発揮させるには、Moを0.005%以上含有させることが推奨される。より好ましくは0.1%以上である。但し、Mo量が1.0%を超えても上記効果が飽和してしまい経済的に無駄である。好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.5%以下とする。
<Nb:0.1%以下(0%を含まない)>
Nbは、鋼板の強度上昇及び組織の細粒化に非常に有効な元素であり、特にMoとの複合添加により該効果が十分に発揮される。この様な効果を発揮させるには0.005%以上含有させることが推奨される。より好ましくは0.01%以上である。但し、Nbを過剰に含有させても、これらの効果が飽和して経済的に無駄であるため0.1%以下に抑える。好ましくは0.08%以下である。
<P:0.15%以下(0%含まない)>
Pは、粒界偏析による粒界破壊を助長する元素であるため、低い方が望ましく、その上限を0.15%とする。好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.05%以下に抑える。
<S:0.02%以下(0%含まない)>
Sは、腐食環境下で鋼板の水素吸収を助長する元素であるため、低い方が望ましく、その上限を0.02%とする。
<Al:1.5%以下(0%含まない)>
Alは脱酸のために0.01%以上を添加してもよい。またAlは、脱酸作用のみならず、耐食性向上作用と耐水素脆化特性向上作用を有する元素でもある。
上記耐食性向上作用の機構としては、具体的に、母材そのものの耐食性向上と大気腐食により生じた生成錆による効果が考えられるが、特に後者の生成錆による効果が大きいものと推定される。その理由として、上記生成錆が通常の鉄錆より緻密で保護性に優れているため、大気腐食が抑制され、結果として該大気腐食で発生する水素量が低減されて、水素脆化、即ち、遅れ破壊が有効に抑制されるものと考えられる。
また、Alの耐水素脆化特性向上作用の機構について、詳細は不明であるが、鋼板表面にAlが濃化することで鋼中への水素侵入が困難になることや、鋼中での水素の拡散速度が低下して水素の移動が困難となり、水素脆性が起こり難くなっているものと推定される。更に、Al添加によりラス状残留オーステナイトの安定性が増すことも、耐水素脆化特性向上に寄与していると考えられる。
この様なAlの耐食性向上作用と耐水素脆化特性向上作用を有効に発揮させるには、Al量を0.02%以上、好ましくは0.2%以上、更に好ましくは0.5%以上とするのがよい。
しかし、アルミナ等の介在物の増加・巨大化を抑制して加工性を確保すると共に、微細な残留オーステナイト生成の確保、更にはAl含有介在物を起点とする腐食の抑制や、製造上のコスト増大の抑制を図るには、Al量を1.5%以下に抑える必要がある。
一方、上述の通りAl含有量が増加すると、アルミナ等の介在物が増加して加工性が劣化するため、上記アルミナ等の介在物を十分抑制し、加工性のより優れた鋼板を得るには、Al量を0.5%以下に抑えることが好ましく、より好ましくは0.3%以下、更に好ましくは0.1%以下である。
本発明で規定する含有元素(C、Si、Mn、Mo、Nb、P、SおよびAl)は上記の通りであり、残部成分は実質的にFeであるが、鋼中に、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不可避不純物として、0.001%以下のN(窒素)等が含まれることが許容されるのは勿論のこと、前記本発明の作用に悪影響を与えない範囲で、下記の如く、更に他の元素を積極的に含有させることも有効である。
<Cu:0.003〜0.5%、Ni:0.003〜1.0%およびTi:0.003〜1.0%よりなる群から選択される1種以上>
Cu、NiおよびTiの存在により、鋼材自体の耐食性が向上するため、鋼板の腐食による水素発生を十分に抑制することができる。またこれらの元素は、大気中で生成する「錆」の中でも熱力学的に安定で保護性があるといわれている酸化鉄:α−FeOOHの生成を促進させる効果も有しており、該錆の生成促進を図ることで、発生した水素の鋼板への侵入を抑制でき、過酷な腐食環境下において耐水素脆化特性を十分に高めることができる。該効果は、特にCuとNiを共存させることによって発現し易い。
上記効果を発揮させるには、Cuを含有させる場合、0.003%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.05%以上、更に好ましくは0.1%以上である。またNiを含有させる場合には、0.003%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.05%以上、更に好ましくは0.1%以上である。更に、Tiを含有させる場合には、0.003%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.01%以上、更に好ましくは0.03%以上である。尚、いずれの元素も過剰に含有させると加工性が低下するため、Cuの場合は0.5%以下、NiおよびTiの場合は1.0%以下に抑える。
<Cr:0.003〜2.0%>
Crは耐食性向上作用により大気腐食で発生する水素量を低減し、その結果、鋼板の耐水素脆化特性を向上させる効果を発揮する元素である。こうした効果を発揮させるためには、0.003%以上含有させることが好ましいが、Cr含有量が過剰になって2.0%を超えると、その効果が飽和するだけでなく、鋼板の強度が過度に高くなり、加工性が劣化する。尚、Cr含有量のより好ましい下限は0.1%であり、より好ましい上限は1.0%である。
<B:0.0002〜0.01%>
Bは、鋼板の強度上昇に有効な元素であり、該効果を発揮させるには0.0002%以上(より好ましくは0.0005%以上)含有させることが好ましい。一方、Bが過剰に含まれていると熱間加工性が劣化するため、0.01%以下(より好ましくは0.005%以下)の範囲で含有させることが好ましい。
<Ca:0.0005〜0.005%、Mg:0.0005〜0.01%およびREM:0.0005〜0.01%よりなる群から選択される1種以上>
Ca、Mg、REM(希土類元素)は、鋼板表面の腐食に伴う界面雰囲気の水素イオン濃度の上昇を抑制、即ちpHの低下を抑制して鋼板の耐食性を高めるのに有効な元素である。また、鋼中硫化物の形態を制御して、加工性を高めるのにも有効であり、該効果を十分に発揮させるには、Ca、Mg、REMのいずれの場合も0.0005%以上含有させることが好ましい。一方、過剰に含まれていると加工性が劣化するため、Caは0.005%以下、Mg、REMはそれぞれ0.01%以下に抑えることが好ましい。
本発明において、上記成分組成を満たす鋼材を用いて、超高強度且つ優れた耐水素脆化特性を発揮する上記組織を形成するには、熱間圧延および冷間圧延後の連続焼鈍工程が極めて重要となる。即ち、本発明の鋼材を得るには、(a)焼鈍時の均熱温度T1をオーステナイト(γ)単相域以上として所定時間加熱保持し、(b)所定の冷却速度で所定の温度範囲T2まで冷却し、(c)その温度範囲T2で恒温保持した後、冷却することが必要である。以下、各工程について説明する。
[加熱保持条件(均熱温度条件)]
前述した成分組成を満足する鋼を、下記(1)式を満足する均熱温度T1(℃)で10〜1800秒間(保持時間:t1)加熱保持する必要がある。
Ac3変態点≦T1≦Ac3変態点+20℃ …(1)
上記均熱温度T1は、所望のフェライトブロックサイズを得るために極めて重要である。この均熱温度T1が(Ac3変態点+20℃)を超える場合には、オーステナイトの粒成長を招き、フェライトブロックサイズが粗大化するので好ましくない。また、均熱温度T1がAc3変態点よりも低くなると、得られるラス状フェライト組織が激減することになる。
一方、均熱温度T1における保持時間t1が10秒未満の場合には、オーステナイト化が充分行われず、セメンタイトやその他の合金炭化物が残存してしまうので好ましくない。また保持時間t1が1800秒を超えると、オーステナイトの粒成長を招き、ブロックサイズが粗大化するので好ましくない。上記保持時間t1は、好ましくは60秒以上、1000秒以下、より好ましくは120秒以上、600秒以下である。
[均熱処理後の冷却速度]
次いで上記鋼板を下記(2)式で示す温度範囲T2まで冷却するが、このときの冷却速度は1℃/s以上の平均冷却速度で冷却することが好ましい。この冷却は、パーライト変態領域を避けてパーライト組織の生成を防止する為に必要な工程であるので、このときの平均冷却速度は大きい程よく、より好ましくは3℃/s以上、更に好ましくは10℃/s以上とすることが推奨される。
(Ms点−100℃)≦T2≦(Bs点−100℃) …(2)
但し、Ms点:成分で決まるマルテンサイト変態開始温度
Bs点:成分で決まるベイナイト変態開始温度、を夫々示す。
[恒温保持条件]
上記温度(T2)まで冷却した後、この温度(T2)の範囲内で保持して恒温変態させることによって(以下、この処理を「オーステンパー処理」と呼ぶことがある)、所定の組織を導入することができる。このときの恒温保持温度(T2)は、所望のラス幅を得るために極めて重要な要件である。ここでの恒温保持温度(T2)が(Bs点−100℃)を超えると、核生成の駆動力が低下し、ラス幅が拡大することになる。また恒温保持温度(T2)が(Ms点−100℃)を下回ると、残留オーステナイトが減少するので好ましくない。
また、オーステンパー処理の時間(t2)が1800秒を超えるとラス状フェライトの転位密度が小さくなり水素のトラップ量が少なくなる他、所定の残留オーステナイトが得られない。一方、上記時間(t2)が60秒未満でも、所定のラス状フェライト組織が得られない。好ましくは上記時間(t2)を90秒以上、1200秒以下、より好ましくは120秒以上、600秒以下とする。尚、オーステンパー処理後の冷却方法については特に限定されず、空冷、急冷、気水冷却等を行うことができる。
上記の様なオーステンパー処理では、主にベイナイト変態が進行することが予想されるが、マルテンサイト変態も生じることがある。しかし、ベイナイト変態で得られる組織と、マルテンサイト変態で得られる組織の特徴が類似しており、明確に区別できない。どちらも、母相の組織形態が、ラス状(板状)のフェライトになっているからである。以下に、室温までの冷却過程で起こる得る組織変化を推定すると、次の通りである。
[Bs点以下、Ms点超の冷却過程]
オーステナイトが恒温保持中にベイナイト変態を起こし、未変態のオーステナイト中へC原子を排出する。C原子が高濃度なオーステナイト相は、冷却後の室温でも準安定に存在する残留オーステナイトを生成する。最終的に得られる主な組織は、ベイニティックフェライト(形態は、ラス状フェライト)と残留オーステナイトである。尚、この冷却工程は、基本的にベイナイトを生成させる工程に相当するものであるが、本発明ではSiを比較的多く含有させることによって、炭化物(Fe3C)の生成が抑制されてラス状フェライトとなるものであり、ベイナイト組織とは明らかに区別されるものである。
[Ms点以下の冷却過程]
オーステナイト単相域の均熱温度からの冷却過程で、Ms点に達したオーステナイト相の一部がマルテンサイト変態を起こすことになる。その後、未変態のオーステナイト相は恒温保持中に上記冷却過程と同じくベイナイト変態することになる。最終的に得られる組織は、ラスマルテンサイト(形態は、ラス状のフェライト)と残留オーステナイトである。従って、本発明における「ラス状のフェライト」の組織は、ベイニティックフェライトおよびラスマルテンサイトを含む組織である。
実操業を考慮すると、上記焼鈍処理は、連続焼鈍設備またはバッチ式焼鈍設備を用いて行うのが簡便である。また冷間圧延板にめっきを施して溶融亜鉛めっきとする場合には、めっき条件が上記熱処理条件を満足するように設定し、該めっき工程で上記熱処理を行ってもよい。
また、前述した連続焼鈍処理する前の熱延工程(必要に応じて冷延工程)は、特に限定されず、通常、実施される条件を適宜選択して採用することができる。具体的に上記熱延工程としては、例えばAr3変態以上で熱延終了後、平均冷却速度約30℃/sで冷却し、約500〜600℃の温度で巻取る等の条件を採用することができる。また、熱延後の形状が悪い場合には、形状修正の目的で冷間圧延を行ってもよい。
本発明は、薄鋼板を対象とするものであるが、製造条件による形態は特に限定されず、熱間圧延して得られた鋼板や更に冷間圧延して得られた鋼板の他、熱間圧延または冷間圧延を行った後に焼鈍を施し、その後に化成処理を施したり、溶融めっき、電気めっき、蒸着等によるめっきや、各種塗装、塗装下地処理、有機皮膜処理等を施してもよい。
上記めっきの種類としては、一般的な亜鉛めっき、アルミめっき等のいずれでも構わない。まためっきの方法は、溶融めっきまたは電気めっきのいずれでもよく、更にめっき後に合金化熱処理を施してもよく、複層めっきを施してもよい。また、非めっき鋼板上やめっき鋼板上にフィルムラミネート処理を施してもよい。
上記塗装を行なう場合には、各種用途に応じてリン酸塩処理などの化成処理を施したり、電着塗装を施してもよい。塗料は公知の樹脂が使用可能であり、エポキシ樹脂、フッ素含有樹脂、シリコンアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂などを公知の硬化剤と共に使用することが可能である。特に耐食性の観点からはエポキシ樹脂、フッ素含有樹脂、シリコンアクリル樹脂の使用が推奨される。その他、塗料に添加される公知の添加剤、例えば着色用顔料、カップリング剤、レベリング剤、増感剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、難燃剤などを添加してもよい。
また塗料の形態も特に限定されず、溶剤系塗料、粉体塗料、水系塗料、水分散型塗料、電着塗料など用途に応じて適宜選択することができる。上記塗料を用い、所望の被覆層を鋼材に形成させるには、ディッピング法、ロールコーター法、スプレー法、カーテンフローコーター法などの公知の方法を用いればよい。被覆層の厚みは用途に応じて公知の適切な値を採用すればよい。
本発明の超高強度鋼板は、バンパーやドアインパクトビーム、ピラー、レインフォース、メンバー等の自動車の補強部材等の自動車用強度部品の他、シートレール等の室内部品等にも適用することができる。この様に成形加工して得られる部品においても、十分な材質特性(強度)を有しかつ優れた耐水素脆化特性を発揮する。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
[実施例1]
下記表1に示す成分組成からなる鋼(鋼種A〜U)を真空溶製し、実験用スラブとした後、下記工程(熱延→冷延→連続焼鈍)に従って、板厚3.2mmの熱延鋼板を得てから酸洗により表面スケールを除去し、その後1.2mm厚となるまで冷間圧延した。
<熱延工程>開始温度(SRT):1150〜1250℃で30分間保持
仕上温度(FDT):850℃
冷却速度:40℃/s
巻取温度:550℃
<冷延工程>冷延率:50%
<連続焼鈍工程>各鋼種について、(Ac3変態点+15℃)で120秒間保持した後、平均冷却速度20℃/sで下記表2中の温度T2(℃)まで急速冷却し、該T2(℃)で240秒間保持した。その後は室温まで空冷した。
ここで、表1に示すAc3変態点の温度は、オーステナイトへの変態完了温度Ac3の意味であり、下記(3)式によって求められるものである。また、ベイナイト変態開始温度Bsおよびマルテンサイト変態開始温度Msは、夫々下記(4)式および(5)式によって求められる値である。尚、これらの式は、「レスリー鉄鋼材料科学」(丸善株式会社、1985年5月31日発行、p212,p231,p273)の記載内容に基づくものである。但し、本発明で規定する成分に該当しないものについては、式から除いて表示してある。
Ac3変態点(℃)=910−203[C]1/2−15.2[Ni]+44.7[Si]
+31.5[Mo]+11[Cr]+20[Cu]−700[P]−
400[Al]−400[Ti]…(3)
Bs(℃)=830−270[C]−90[Mn]−37[Ni]−70[Cr]
−83[Mo]…(4)
Ms(℃)=561−474[C]−33[Mn]−17[Ni]−21[Mo]
…(5)
但し、[C],[Ni],[Si],[Mo],[Cr],[Cu],[P],[Al]および[Ti]は、夫々C,Ni,Si,Mo,Cr,Cu,P,AlおよびTiの含有量(質量%)を示す。
この様にして得られた各鋼板の金属組織、引張強度(TS)、伸び[全伸びのこと(El)]、及び耐水素脆化特性(母材および打抜き加工部)を下記要領で夫々調べた。
[金属組織の観察]
製品板厚1/4の位置で圧延面と平行な面における任意の測定領域(約50μm×50μm、測定間隔は0.1μm)を対象に観察・撮影し、ラス状フェライト(ラス状α)および残留オーステナイト(残留γ)の面積率を前述した方法に従って測定した。このとき、倍率を400倍とし、ラス幅についてもSEM写真によって測定した。そして任意に選択した2視野において同様に測定し、平均値を求めた。
[引張強度(TS)及び伸び(El)の測定]
引張試験はJIS5号試験片を用いて行い、引張強度(TS)と伸び(El)を測定した。尚、引張試験の歪速度は1mm/sとした。そして本発明では、上記方法によって測定される引張強度が1180MPa以上の鋼板を対象に、伸びが8%以上のものを「伸びに優れる」と評価した。
[耐水素脆化特性の評価]
(A)母材の耐水素脆化特性
耐水素脆化特性を測定するに当たり、上記の各鋼板(母材)から150mm×30mmの短冊試験片を切り出して試験片とした。この短冊試験片を、曲げ部のRが15mmとなる様な曲げ加工を施した後、1000MPaの応力を負荷し、5%塩酸水溶液中に浸漬して割れ発生までの時間を測定した。これらの結果を表2に示す。
(B)打抜き加工部の耐水素脆化特性
打抜き工具として、ダイス径:10.2mm、パンチ径:10mmの市販の標準品を用い、成形速度:50spm(stroke/min)とし、80tonクランクプレスを使用して、鋼板に穿孔した。打抜き加工後のサンプルを、5%塩酸水溶液中に浸漬し、8時間後に取り出して、打抜き穴の中心を通るように鋼板を切断した。引き続き、打抜き穴加工部の断面をSEM観察して、クラックの有無によって耐水素脆化特性を評価した(クラック有り:×、クラック無し:○)。
[溶接性の評価]
代表的な鋼種である実験No.1とNo.2(鋼種A、B)について溶接性試験を行なった。試験は、1.2mm厚さの供試材を用いてJIS Z 3136、JIS Z
3137に従って試験片を作製し、下記条件でスポット溶接を行った後、せん断引張試験(引張速度:20mm/minで最大荷重を測定)と十字引張試験(引張速度:20mm/minで最大荷重を測定)を行い、せん断引張強度(TSS)と十字引張強度(CTS)を求めた。そして、前記せん断引張強度(TSS)と十字引張強度(CTS)の比で表される延性比(CTS/TSS)が0.2以上の場合を溶接性に優れると評価した。その結果、No.2(鋼種B)の延性比が0.19であるのに対し、No.1(鋼種A)の延性比は0.23と溶接性に優れていた。
<スポット溶接条件>
初期加圧時間:60サイクル/60Hz,加圧力450kgf(4.4kN)
通電時間:1サイクル/60Hz
溶接電流:8.5kA
これらの結果を、恒温保持温度T2と共に、下記表2に示す。
表1,2から次の様に考察することができる(尚、下記No.は、表2中の実験No.を示す)。
本発明で規定する要件を満たすNo.1、7、11〜21(本発明鋼)は、1180MPa以上の超高強度鋼板でありながら、母材および打抜き加工部のいずれにおいても優れた耐遅れ破壊特性(耐水素脆化特性)を示している。またTRIP鋼板として具備すべき伸びも良好であり、更に優れた溶接性も具備していることから、大気腐食雰囲気に曝される自動車の補強部品等として最適な鋼板が得られている。これに対し、本発明の規定を満足しないNo.2〜6、8〜10は、夫々、以下の不具合を有している。
No.2は、C量が過剰である鋼種Bを用いた例であるが、打抜き時にマルテンサイトが高硬度となり、ラス状フェライトとの界面でボイドが生成したため、打抜き加工部の耐水素脆化特性が悪くなっている。しかも、母材の耐水素脆化特性も十分とは言い難い。更に、十分な溶接性を有していない。
No.3は、C量が過度に不足している鋼種Cを用いているため、優れた耐水素脆化特性を要求される強度レベルを達成できていない。No.4は、C量の不足している鋼種Dを用いているため、ラス幅が2μmを超えており、打抜き加工部の耐水素脆化特性が劣化している。
No.5は、Si量の不足している鋼種Eを用いているため、残留オーステナイトが少なく、伸びが低く薄鋼板で要求される値(8%以上)に達していない。また、母材の耐水素脆化特性が得られていらず、打抜き加工部の耐水素脆化特性も劣っている。
No.6は、Mn量の不足している鋼種Fを用いているため、十分な残留オーステナイトを確保できず、母材の耐水素脆化特性が得られていらず、打抜き加工部の耐水素脆化特性も劣っている。
No.8は、Mn量が多い鋼種Hを用いているため、スラブの熱間圧延時に割れが生じたため、各種評価を行うことはできなかった。
No.9、10は、夫々Nb量およびMo量が過剰になっている鋼種I,Jを用いているため、伸びが低く薄鋼板に要求される値に達していない。また、成形性が著しく劣る結果となったため、曲げ加工を施すことができず、母材の耐水素脆化特性を評価することができなかった。
[実施例2]
前記表1の鋼種Aを用いて実験用スラブとした後、実施例1と同じ条件で熱延および冷延した後、下記表3に示す種々の条件で連続焼鈍を施して得られた冷延鋼板について、実施例1と同様の評価を行った。このとき、均熱温度T1から恒温保持温度(オーステンパ温度)T2までの冷却速度は20℃/sとした。その結果を、下記表3に示す。
表3から次の様に考察することができる(尚、下記No.は、表3中の実験No.を示す)。No.22は、本発明の好ましい製造条件を外れるものであり(オーステンパー温度T2がBs−81℃)、ラス幅が2μmを超えており、打抜き加工部の耐水素脆化特性が劣化している。
No.26のものは、加熱保持の均熱温度T1が(Ac3点−50℃)であり、得られた鋼板組織がラス状フェライト組織とならなかったため(即ち、従来のTRIP鋼板となっている)、優れた耐水素脆化特性が要求される強度レベルに達していない。
No.27のものは、均熱温度T1が(Ac3変態点+110℃)であり、得られた鋼板組織のフェライトブロックの平均粒径が20μmを超えており、打抜き加工部の耐水素脆化特性が劣っている。
これらに対して、No.23〜25のものは、本発明の好ましい製造条件で製造されたものであり、いずれも本発明で規定する要件を満足するものとなって、母材および打抜き加工部のいずれにおいても優れた耐水素脆化特性が得られていることが分かる。
上記No.24で得られた試験片(本発明例)のSEM観察写真(倍率:4000倍)を図1に示す。この図1から、本発明の超高強度鋼板の金属組織は、ラス状フェライトのラス幅が2μm以下であることが分かる。一方、図2は、比較例であるNo.22のSEM観察写真例(倍率:4000倍)であるが、この図2から、No.22の超高強度鋼板では、ラス状フェライトのラス幅が2μmよりも大きくなっていることが分かる。
実施例2の実験No.24(本発明例)における図面代用SEM観察写真である。 実施例2の実験No.22(比較例)における図面代用SEM観察写真である。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C :0.10〜0.25%、
    Si:1.0〜3.0%、
    Mn:1.0〜3.5%、
    Mo:1.0以下(0%を含まない)、
    Nb:0.1%以下(0%を含まない)、
    P :0.15%以下、
    S :0.02%以下、
    Al:1.5%以下(0%を含まない)
    を満たし、残部が鉄および不可避不純物からなるものであって、
    全組織に対する面積率で、
    残留オーステナイトが1%以上、ラス状フェライトが80%以上、
    ポリゴナルフェライトおよびパーライトが合計で9%以下(0%を含む)であると共に、
    前記ラス状フェライトで構成されるブロックの平均粒径が10μm以下であり、且つ該ラス状フェライトのラス幅が2μm以下であり、
    更に引張強度が1180MPa以上であることを特徴とする耐水素脆化特性に優れた打抜き加工用の超高強度薄鋼板。
  2. 更に、質量%で、
    Cu:0.003〜0.5%、
    Ni:0.003〜1.0%、および
    Ti:0.003〜1.0%
    よりなる群から選択される1種以上を含む請求項1に記載の打抜き加工用の超高強度薄鋼板。
  3. 更に、質量%で、
    Cr:0.003〜2.0%を含む請求項1または2に記載の打抜き加工用の超高強度薄鋼板。
  4. 更に、質量%で、
    B:0.0002〜0.01%を含む請求項1〜3のいずれかに記載の打抜き加工用の超高強度薄鋼板。
  5. 更に、質量%で、
    Ca:0.0005〜0.005%、
    Mg:0.0005〜0.01%、及び
    REM:0.0005〜0.01%
    よりなる群から選択される1種以上を含む請求項1〜4のいずれかに記載の打抜き加工用の超高強度薄鋼板。
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