JP5024806B2 - 硬化性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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良平 池田
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂組成物およびその製造方法に関し、塗膜形成材料、記録材料用化合物、インキ原材料、塗料原材料、接着剤原材料、エポキシ樹脂原材料、フォトレジストの原材料、酸化防止剤の原材料、成形材料、積層材の原材料、粘着剤の原材料、結合剤の原材料、注型用フェノール樹脂の原材料、ゴム配合用フェノール樹脂の原材料、繊維板用フェノール樹脂の原材料として有用な硬化性樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フェノール化合物を含有する植物性油は種々のものが知られているが、ウルシ科の植物の樹液から得られるウルシオール、チチオール、ラッコール、カルダノールは塗料(染料用樹脂の原材料)として用いられている。ウルシオール、チチオール、ラッコールは、樹液中に含まれる酵素触媒(ラッカーゼ)によって室温下で硬化塗膜を形成する。酵素触媒は熱に弱く、一般にこれらの樹脂を70℃以上に加熱すると酵素が失活して触媒作用が減少して硬化膜が形成されないが130℃くらいから再び硬化するようになる。硬化塗膜は、硬度が高く優れたたわみ性を有すばかりではなく光沢などの美観に優れ、古来より漆器の製造に用いられてきた。さらに、黒漆と呼ばれる漆塗料は固形分が約95%以上であり残りは水であることから、漆塗料は室温硬化型の無溶剤型塗料あるいはハイソリッド塗料として捉えることができるばかりか、千年以上も昔の漆塗りの遺物が確認されていることから分かるように、高い耐久性を有する有機塗膜である。また、漆塗料は、合成樹脂塗料のように多量の有機溶媒を使用せず、かつ、硬化の為に高温を必要としない等の点で、自然環境に与える影響の極めて少ない塗料であると捉えることも出来る。このように、漆塗料は、地球環境問題に対する意識が高まる今日において理想的な塗料のひとつである。しかしながら、漆の生産量は少なく高価であるばかりか皮膚かぶれ等の問題点がある。
一方、ウルシ科のカシュー樹(Anacardium occidentale)より得られるカシューナット殻液(Cashew Nut Shell Liquid)は、その生産量が多く安価であり、かつ食用にされるカーネルを得る際の副産物でもあり、塗料、摩擦材料(ブレーキライニング、ブレーキパッド)用等として工業的に有用である。
【0003】
カシューナット殻液には、主成分としてフェノール化合物であるアナカルド酸が含まれている。この化合物の側鎖の炭素数は15であり、側鎖不飽和数は0〜3である(平均=約2)。その他カルダノールやカルドールおよび2−メチルカルドール等が含まれることが知られている。カシューナット殻液はこのまま工業用途に使用しても差し支えないが、一般的にはカシューナット殻液を加熱処理してアナカルド酸のカルボキシル基を脱炭酸処理し、カルダノールを主成分としたものが工業用原材料として使用されている。
【0004】
このカシューナット殻液は通常、カシューワニスとしたのち上記の各種の用途に用いられているが、カルダノ−ルの構造が上記ウルシオールと極めて似ており、古くから漆の代用として用いられてきた。ただし、カシューナット殻液の場合は、漆のように樹液中に含まれる酵素触媒で硬化反応は進行しないので、まず、カルダノールを主成分とした原料油にホルマリンやホルムアルデヒドとアンモニアの縮合物であるヘキサメチレンテトラミンを反応させることによってカシューワニス(有機溶剤を加えて粘度を適当に調節したカルダノールプレポリマー)を製造する。次いで、一般的なカシュー樹脂塗料では、このものに側鎖オレフィン部位を酸化する触媒として油性塗料に通常使用されている金属ドライヤーを加えて、所定の染顔料などの他の原料と混合して酸化重合型の塗料としている。
【0005】
このような方法で製造されたカシュー樹脂塗料は、天然の漆塗料とは異なり、人体に対する毒性あるいは地球温暖化の一因としてその使用が問題となっている揮発性有機化合物(VOC;米国における規制対象は20℃における蒸気圧が0.1mmHg以上の炭素含有有機化合物)を希釈剤として使用しているのが一般的である。さらに最近ではVOCに限らず一切の有機溶剤を使用しない塗料の製造が望まれており、水性塗料、無溶剤塗料、粉体塗料の開発が活発化している。カシュー樹脂塗料を無溶剤化するには、カシュー樹脂の分子量を低くして樹脂粘度を低下させることが考えられるが、これまでの製法によるカシュー樹脂塗料の製造方法では重合反応が重縮合反応で進行する(従って重合反応の進行に伴って分子量が増加する)ことから、低粘度なカシュー樹脂の開発は困難であった。勿論、重合反応の初期や中期には分子量の低い樹脂が生成するが、この場合は未反応で共存するモノマーが室温下における乾燥時間の延長、塗膜強度の減少、硬化塗膜のガラス転移温度の低下、耐溶剤性の悪化などの物性の低下を引き起こすという問題点がある。すなわち、カシュー樹脂の無溶剤化に際しては、低分子量化により粘度を低下させ、かつ低残存モノマー量を極力減らすことによる各種物性の維持を図ることが必要である。
【0006】
また、ホルマリン等を用いるこれまでのカシューナット殻液の重合反応では、カルダノールが4官能性のモノマーであることから、重合の進行に伴って架橋反応が進行し、そのうちにゲルが生成するという問題点があった。従って、通常はゲルが生じないように生産されるが、ゲル化と物性とのバランスを考慮して一般的には15%前後の未反応モノマーを含有している。
また、このように製造されたカシュー樹脂塗料は製造の段階はもちろんのこと製品化後においても人体に対して毒性の強いホルマリン発生の原因となることがあり、近年における環境問題に対する意識の高まり、生活環境の消臭化、人体の安全・健康等の観点からカシュー塗料においても毒性の強いホルマリン(ホルムアルデヒド)を使用しない合成方法ならびにホルマリンを発生しない樹脂の開発が切望されている。さらに、カシュー樹脂塗料の硬化膜は、特有の臭気を有するが、とくに室内で使用する場合にはこの臭気が問題となっている。
【0007】
一方、酸素の存在下において鉄錯体を触媒に用いてフェノール類を重合できることが既に知られている(例えば、特開昭49−26264号公報)。また、パーオキサイドの存在下、遷移金属錯体を触媒に用いてフェノール類を重合できることが既に知られている(例えば、特開平8−53545号公報、Polymer Bulletin、42、125(1999))。しかしながら、これらは、反応原料はフェノール化合物そのものであり、フェノール化合物を含有する植物性油をモノマー成分として用いた例は示されていない。ましてや、これらの従来例には、アルケニル基のような不飽和脂肪族基を側鎖に有するフェノール化合物を複数含む天然由来の植物性油の、フェノール性水酸基のみを酸化重合させて植物性油由来による硬化性樹脂組成物を製造する記載はない。
更に、本発明者等は特許第3030363号公報において、カシューナット殻液を酵素触媒で重合して形成した液状樹脂を明らかにしているが、該樹脂を得るための触媒は遷移金属錯体ではなかった。
【0008】
更に、本発明者等はMacromolecular Rapid Communications、21、496(2000)において、フェノール化合物を含有する植物性油を遷移金属錯体で重合して形成した樹脂ならびに硬化物を明らかにしているが、フェノール化合物を含有する植物性油を、置換フェノールとの共存下、遷移金属錯体と酸化剤とを用いて形成した硬化性樹脂組成物の製造方法の記載はない。
更に、本発明者等は特願2000−139250号において、フェノール化合物を含有する植物性油を遷移金属錯体で重合して形成した樹脂ならびに硬化物を明らかにしており、実施例7において2,4−ジメチルフェノールとカシューナット殻液の重合反応を試みているが、この場合は、生成する分子量は高く低粘度な樹脂は得られないばかりか、2,4−ジメチルフェノールとカシューナット殻液より得られる樹脂を高収率で得ようと試みた場合、ゲル化が生じるという問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、残存モノマー量が少なく樹脂そのものの粘度が低いフェノール化合物を含有する植物性油の樹脂組成物およびその製造方法に関し、摩擦材料、ブレーキライニング材料、ブレーキパッド材料、塗膜形成材料、記録材料用化合物、インキ原材料、塗料原材料、接着剤原材料、エポキシ樹脂、フォトレジストもしくは酸化防止剤の原材料、機能性高分子材料の出発原料として有用な硬化性樹脂組成物およびその製造方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フェノール化合物を含有する植物性油を、下記の一般式(A)で示す置換フェノール(以下、単に置換フェノールということがある。)との共存下、遷移金属錯体と酸化剤を用いて形成した硬化性樹脂組成物に関する。
【0011】
【化3】
Figure 0005024806
【0012】
(式中、A〜Eは、枝分かれ鎖を有する炭化水素基、枝分かれ鎖を有しない炭化水素基、炭化水素オキシ基、水素原子を表し、同一でも異なっていても良い。ただしA,C,Eのうち、2個または3個は枝分かれ鎖を有する炭化水素基であり、0個または1個は水素原子である。)
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で使用されるフェノール化合物を含有する植物性油としては、種々のものが知られており(例えば、Chem.Soc.Rev.,8,499(1979)に示されているものを挙げることができる)、Anacardicae,Gymnospermae,Compositae,Lichens,Proteacaeの各属から得られるものを使用することができる。フェノール化合物を含有する植物性油のフェノール化合物の具体例としては,アナカルド酸、アナギガン酸、ペランジュ酸、ギンクゴ酸、ギンクゴリン酸、カルダノール、カルドール、メチルカルドール、ウルシオール、チチオール、レンゴール、ラッコール等を挙げることができる。本発明に用いられるこれらの植物性油中の各種のフェノール化合物の含有量は合計で通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上である。このような植物性油としては、具体的にはカシュー樹(Anacardium occidentale)より得られるカシューナット殻液(Cashew Nut Shell Liquid)をあげることができる。
【0014】
このカシューナット殻液は、カシュー樹に結実するカシューナットから抽出される粘ちょうな液体全般が含まれる。カシューナット殻液成分としては、特に制限はなく、アナカルド酸、カルダノール、カルドール、メチルカルドールのごとき化合物が挙げられるが、好ましくは、アナカルド酸を主成分とするカシュー油を高温処理して得られるカルダノールを主成分とするカシューナット殻液が挙げられる。これらの成分は、一価のフェノールのアルキルあるいはアルケニル誘導体であり、側鎖アルケニル基は、モノエン、ジエン、トリエンから成るが、本発明ではこれらの混合物として使用しても何ら差し支えはない。本発明では、カシューナットから抽出される粘ちょうな液体をそのまま使用しても良いし、精製または変性などの処理をして使用しても良い。アナカルド酸を含むカシューナット殻液の場合は、アナカルド酸の水酸基およびカルボキシル基と本発明で用いられる遷移金属錯体中の遷移金属とがキレートを形成する可能性があることから、カルダノールを主成分とするカシューナット殻液を好ましく用いることができる。
ここでカルダノールを主成分とするとは、カシューナット殻液に対して通常70重量%以上であることをいう。
【0015】
本発明において置換フェノールとしては、下記の一般式(A)で示す置換フェノールを使用することができる。
【0016】
【化4】
Figure 0005024806
【0017】
(式中、A〜Eは、枝分かれ鎖を有する炭化水素基、枝分かれ鎖を有しない炭化水素基、炭化水素オキシ基、水素原子を表し、同一でも異なっていても良い。ただしA,C,Eのうち、2個または3個は枝分かれ鎖を有する炭化水素基であり、0個または1個は水素原子である。)
【0018】
本発明の枝分かれ鎖を有する炭化水素基は、イソプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−オクチル基、t−アミル基、α,α−ジメチルベンジル基、シクロペンチル基、アダマンチル基などのように枝分かれ構造を有する置換基を指す。枝分かれ鎖を有しない炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、ノニル基などを挙げることができ、炭化水素オキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシロキシ基、ヘプチロキシ基などを挙げることが出来る。このような置換フェノールの具体例としては、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジイソプロピルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、2,4−ジ−sec−ブチルフェノール、2,6−ジ−sec−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−オクチルフェノール、2,6−ジ−t−オクチルフェノール、2,4−ジ−t−アミルフェノール、2,6−ジ−t−アミルフェノール、2,4−ジ−t−オクチルフェノール、2,6−ジ−t−オクチルフェノール、2,4−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェノール、2,4−ジ−シクロペンチルフェノール、2,6−ジ−シクロペンチルフェノール、2,4−ジ−アダマンチルフェノール、2,6−ジ−アダマンチルフェノールなどの2置換フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、4−sec−ブチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノールなどの3置換フェノールなどを挙げることができるが、好ましくは2,4−ジ−t−ブチルフェノールを使用することができる。
【0019】
本発明の硬化性樹脂組成物の製造方法において、植物性油とともに特別のフェノールである前記の一般式(A)で表される置換フェノールを用いる。一般式(A)で表される置換フェノールは、得られるフェノール化合物を含有する植物性油重合体の使用目的に応じて要求される様々な物性等において適宜選択することが可能であり、単独あるいは2種以上を使用することができる。この置換フェノールの使用量は、通常、フェノール化合物を含有する植物性油に対して(その中に含まれるフェノール化合物の合計に対して)、5000モル%以下、好ましくは500モル%以下であり、特に好ましくは100モル%以下である。目標とする樹脂粘度などの発明の目的に応じて適宜定めることができるが、好ましくは5モル%以上、より好ましくは20モル%以上である。
【0020】
本発明の、フェノール化合物を含有する植物性油を置換フェノールの共存下、遷移金属錯体触媒と酸化剤を用いて重合して形成した硬化性樹脂組成物の製造方法において、その重合機構は、植物性油中のフェノール化合物と置換フェノールが遷移金属錯体によって酸化反応(脱水素反応)を受けて生成したフェノキシラジカルのラジカルカップリング反応によると考えられる。このフェノキシラジカルは共鳴構造(炭素ラジカルと酸素ラジカルの計4種類)を取るが、これらのフェノキシラジカル共鳴体は非常に不安定であり、直ちに2分子カップリング反応を引き起こすと考えられる(2量化反応)。2量化以上の高分子化は、上記カップリング反応によって生成した2量体が更に遷移金属錯体によって酸化反応(脱水素反応)を受けることによってフェノキシラジカルを生成し、モノマーのフェノキシラジカルあるいは2量体以上のオリゴマーであるフェノキシラジカルとカップリングして進行していくものと考えられる。ここで、置換基がフェノール性水酸基に対してオルト位またはパラ位に結合している置換フェノールのカップリング反応性は、置換基障害によって抑制される。このため、本発明の植物性油中のフェノール化合物と置換フェノールの共重合反応では、重合反応が進行しても低分子量の樹脂が得られると推定される。
【0021】
また、本発明によって得られる硬化性樹脂組成物は、上記の反応機構よりフェノール化合物を含有する植物性油と置換フェノールの芳香環部位において、フェニレン結合とオキシフェニレン結合したユニットをランダムに有する重合体からなり、側鎖の脂肪族不飽和二重結合が残存しているものである。側鎖の脂肪族不飽和二重結合の残存率は、使用する遷移金属錯体の種類や使用量、反応温度や溶媒などの各種重合条件によって異なるが、一般的には80%以上が残存しており、好ましくは80〜100%、特に好ましくは100%である。
【0022】
本発明において、重合反応の諸条件を選ぶことによって側鎖の二重結合を残存させるか、一部あるいはその大部分を架橋させるかを制御することができる。具体的には樹脂組成物として硬化性を示すものが得られるか否かは、植物性油中のフェノール化合物に対する遷移金属錯体の量、反応溶媒の種類などによって定まる。本発明の樹脂組成物のヨウ素価は通常50〜500、好ましくは100〜500である。
本発明で使用する遷移金属錯体は、単独でまたは混合して用いることができる。これらは任意の量を使用することができ、用いる遷移金属錯体の触媒活性により適宜加減すればよいが、一般的にはフェノール化合物を含有する植物性油に対して0.0001〜30モル%、好ましくは0.01〜10モル%程度使用することができる。また、触媒としては、反応時に遷移金属化合物と対応する配位子を混合して用いることもできる。この場合配位子は任意の量を使用することができるが、一般的には遷移金属に対して0.1〜10モル当量程度使用することが好ましい。
【0023】
本発明の遷移金属錯体における遷移金属原子は、元素の周期律表(IUPAC無機化学名法改訂版1989)の3A〜7A、8および1B、2B族の遷移金属原子である。好ましくは、第一遷移元素系列の遷移金属原子であり、さらに好ましくは鉄、コバルト、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、酸化バナジウムである。特に好ましくは鉄、コバルトである。
【0024】
本発明の遷移金属錯体における配位子は、配位原子がそれぞれ窒素原子、リン原子、酸素原子または硫黄原子である配位子である。本発明において配位子とは、化学大辞典(第1版、東京化学同人、1989年)に記載の通り、ある原子に配位結合で結合している分子またはイオンを指す。ここで配位結合に直接かかわっている原子を配位原子という。単座配位子は1個の配位子であり、二座配位子は2個の配位子であり、三座配位子は3個の配位子であり、四座配位子は配位原子数が4個の配位子であり、五座配位子は配位原子数が5個の配位子である。
【0025】
本発明の遷移金属錯体においては、該配位子1個あたりの遷移金属原子数は1個以上であればよいが、1個以上、配位子の配座数個以下であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
【0026】
本発明の遷移金属錯体における配位子は、フェノール化合物を含有する植物性油成分を、重合する能力を備えていれば特に限定はないが二座配位子、四座配位子、五座配位子を好ましく使用することができる。
二座配位子の具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、カテコール、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロピオン酸、2−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシアセトン、2−ケトプロピオン酸、2−ケト酪酸、2−ケトプロピオン酸エチル、アセチルアセトン、サリチルアルデヒド、サリチル酸、アセト酢酸エチル、マロン酸、マロン酸ジエチル、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ−2−ブタノール、3−アミノ−2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−アミノ−1−シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−サリシリデンメチルアミン、N−サリシリデンエチルアミン、N−サリシリデンプロピルアミン、N−サリシリデンブチルアミン、N−サリシリデンアニリン、4−(N−メチルイミノ)−2−ペンタノン、4−(N−エチルイミノ)−2−ペンタノン、4−(N−プロピルイミノ)−2−ペンタノン、4−(N−フェニルイミノ)−2−ペンタノン、2−(N−メチルイミノ)プロピオン酸、3−(N−メチルイミノ)プロピオン酸、3−(N−メチルイミノ)プロピオン酸エチル、2−(N−メチルイミノ)酪酸、2−(N−メチルイミノ)プロパノール等からプロトンを一つまたはそれ以上取り去って得られる陰イオン;2,3−ブタンジオン、3,4−ヘキサンジオン、2,5−ジメチル−3,4−ヘキサンジオン、2,2−ジメチル−3,4−ヘキサンジオン、2,2,5,5−テトラメチル−3,4−ヘキサンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、2−(N−メチルイミノ)−3−ブタノン、2−(N−エチルイミノ)−3−ブタノン、2−(N−プロピルイミノ)−3−ブタノン、2−(N−ブチルイミノ)−3−ブタノン、2−(N−フェニルイミノ)−3−ブタノン、3−(N−メチルイミノ)−3−ヘキサノン、2−(N−メチルイミノ)−シクロヘキサノン、2−(N−メチルイミノ)−プロピオン酸メチル、2−(N−メチルイミノ)−酪酸エチル等の中性分子等を挙げることができる。
【0027】
四座配位子の具体例としては、トリス(2−ピリジルメチル)アミン、トリス(2−イミダゾリルメチル)アミン、トリス(1−メチル−2−イミダゾリルメチル)アミン、トリス(2−ベンズイミダゾリルメチル)アミン、トリス(2−ベンズオキサゾリルメチル)アミン、トリス(2−ベンズチアゾリルメチル)アミン、トリス(1−ピラゾリルメチル)アミン、トリス(3,5−ジメチル−1−ピラゾリルメチル)アミン、トリス(3,5−ジプロピル−1−ピラゾリルメチル)アミン、トリス(3,5−ジフェニル−1−ピラゾリルメチル)アミン、ニトリロ三酢酸、ニトリロトリエタノール、ニトリロトリ−1−プロパノール、トリス(2−ピリジル−2−エチル)アミン、トリス(1−ピラゾリル−2−エチル)アミン、N−(2−メルカプトエチル)−N,N−ジエタノールアミン、N−(ジフェニルホスフィノエチル)−N,N−ジエタノールアミン、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレンテトラミン、N,N'''−ジメチルトリエチレンテトラミン、N,N,N''',N'''−テトラメチルトリエチレンテトラミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(3−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N’−エチレンジアミン二酢酸、N,N’−ビス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−イミダゾリルメチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ベンズイミダゾリルメチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−メルカプトエチル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(ジフェニルホスフィノエチル)エチレンジアミン、N,N’−ジサリシリデンエチレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N−2−ヒドロキシエチル−N’−サリシリデンエチレンジアミン、N−2−ヒドロキシエチル−N’−サリシリデン−1,3−プロピレンジアミン、N−3−ヒドロキシプロピル−N’−サリシリデン−1,3−プロピレンジアミン、N−3−ヒドロキシプロピル−N’−サリシリデンエチレンジアミン、N−2−ジメチルアミノエチル−N’−サリシリデンエチレンジアミン、N−2−ピリジルメチル−N’−サリシリデンエチレンジアミン、N,N’−ビス(2−アミノ−3−ベンジリデン)エチレンジアミン、1−(ジアセチルモノオキシムイミノ)−3−(ジアセチルモノオキシマトイミノ)プロパン、12−クラウン−4、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−5,7−ジオン、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、1,4,7,10−テトラチアシクロドデカン、2,3,9,10−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ−1,3,8,10−テトラエン、5,7,12,14−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ−4,6,11,13−テトラエン、ポルフィリン、フタロシアニン等、あるいは、それらからプロトンを一つ又はそれ以上取り去って得られる陰イオン等を挙げることができる。
【0028】
また、五座配位子の具体例としては、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール、テトラエチレンペンタミン、N,N'''−ジメチルテトラエチレンペンタミン、N,N,N''',N'''−テトラメチルテトラエチレンペンタミン、N,N”−ビス(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N,N”−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、N,N”−ジエチレントリアミン、二酢酸、N,N”−ビス(2−ピリジルメチル)ジエチレントリアミン、N,N”−ビス(2−イミダゾリルメチル)ジエチレントリアミン、N,N”−ビス(2−ベンズイミダゾリルメチル)ジエチレントリアミン、N,N”−ビス(2−メルカプトエチル)ジエチレントリアミン、N,N”−ビス(ジフェニルホスフィノエチル)ジエチレントリアミン、N,N”−ジサリシリデンジエチレントリアミン、N,N”−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)ジエチレントリアミン、N−2−ヒドロキシエチル−N”−サリシリデンジエチレントリアミン、N−3−ヒドロキシプロピル−N”−サリシリデンジエチレントリアミン、N−3−ヒドロキシプロピル−N’−サリシリデンエチレンジアミン、N−2−ジメチルアミノエチル−N”−サリシリデンジエチレントリアミン、N−2−ピリジルメチル−N”−サリシリデンジエチレントリアミン、N,N”−ビス(2−アミノ−3−ベンジリデン)ジエチレントリアミン、1,5−ビス(サリシリデンアミノ)−3−ペンタノール、2,6−ビス[N−(2−ヒドロキシエチル)イミノメチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[N−(3−ヒドロキシプロピル)イミノメチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[N−(2−ヒドロキシフェニル)イミノメチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[N−(2−ピリジルメチル)イミノメチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[N−(2−ピリジルエチル)イミノメチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[N−(2−ジメチルアミノエチル)イミノメチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[N−(2−ピリジルメチル)アミノメチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[N−(2−ピリジルエチル)アミノメチル]フェノール、15−クラウン−5、1,4,7,10,13−ペンタチアシクロペンタデカン等、あるいは、それらからプロトンを一つ又はそれ以上取り去って得られる陰イオン等を挙げることができる。
【0029】
本発明の遷移金属錯体における配位子の配位原子は、好ましくは、窒素原子および/または酸素原子である。
本発明の遷移金属錯体は、好ましくは下記一般式(I)〜(IV)で表される遷移金属錯体である。
【0030】
【化5】
Figure 0005024806
【0031】
(式中、Mは遷移金属原子を含む残基を表す。R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、O、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、アミノ基または置換アミノ基を表し、Rは水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、炭化水素オキシカルボニル基、置換炭化水素オキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基またはOを表す。Rは水素原子、炭化水素基または置換炭化水素基を表す。RとRとがおよび/またはRとRとが環を形成してもよい。nは1〜の整数を表す。)
【0032】
【化6】
Figure 0005024806
【0033】
(式中、Mは遷移金属原子を含む残基を表す。R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、O、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、アミノ基または置換アミノ基を表し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、炭化水素オキシカルボニル基、置換炭化水素オキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基またはOを表す。R10は二価の炭化水素基または置換炭化水素基を表す。RとRとがおよび/またはRとRとが環を形成してもよい。)
【0034】
【化7】
Figure 0005024806
【0035】
(式中、Mは遷移金属原子を含む残基を表す。R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、O、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、アミノ基または置換アミノ基を表し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、炭化水素オキシカルボニル基、置換炭化水素オキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基またはOを表す。R11およびR12はそれぞれ二価の炭化水素基または置換炭化水素基を表す。R13は水素原子、炭化水素基または置換炭化水素基を表し、RとRとがおよび/またはRとRとが環を形成してもよい。)
【0036】
【化8】
Figure 0005024806
【0037】
(式中、Mは遷移金属原子を含む残基を表す。R14〜R29はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、O、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、アミノ基または置換アミノ基を表し、炭化水素オキシカルボニル基、置換炭化水素オキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子またはOを表す。R14とR15および/またはR15とR16および/またはR16とR17および/またはR18とR19および/またはR19とR20および/またはR20とR21および/またはR22とR23および/またはR24とR25および/またはR26とR27および/またはR27とR28および/またはR28とR29とが環を形成してもよい。)
【0038】
上記一般式(I)〜(IV)における置換炭化水素オキシ基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基等で置換された炭化水素オキシ基であり、具体例としては、トリフルオロメトキシ基、2−t−ブチルオキシエトキシ基、3−ジフェニルアミノプロポキシ基等が挙げられる。
上記一般式(I)〜(IV)における置換アミノ基としては炭素原子数1〜20の置換アミノ基が好ましく、具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等が挙げられる。
【0039】
上記一般式(I)〜(IV)における炭化水素オキシカルボニル基としては、炭素原子数1〜20の炭化水素オキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。
【0040】
上記一般式(I)〜(IV)における置換炭化水素オキシカルボニル基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基等で置換された炭化水素オキシカルボニル基であり、具体例としては、トリフルオロメトキシカルボニル基、2−t−ブチルオキシエトキシカルボニル基、3−ジフェニルアミノプロポキシカルボニル基等が挙げられる。
上記一般式(I)〜(IV)におけるハロゲン原子として好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、さらに好ましくは塩素原子、臭素原子である。
【0041】
上記一般式(II)及び(III)において、R10、R11およびR12は二価の炭化水素基または置換炭化水素基であり、具体例としては、メチレン基、1,2−エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基等のアルキレン基、1,2−シクロペンチレン基、1,2−シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基等を挙げることができ、好ましくは、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−シクロヘキシレン基である。
上記一般式(I)で表される遷移金属錯体における二座配位子の具体例としては、アセチルアセトン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、トリフルオロアセチルアセトン、ジベンゾイルメタン等、あるいはこれらからプロトンを一つまたはそれ以上取り去って得られる陰イオン等を挙げることができる。好ましくはアセチルアセトンを使用することができる。
【0042】
上記一般式(II)で表される遷移金属錯体における四座配位子の具体例としては、N,N’−ジサリシリデンエチレンジアミン、N−(3−オキソペンチリデン)−N’−サリシリデンエチレンジアミン、N,N’−ビス(3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(3−オキソブチリデン)−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビス(3−オキソブチリデン)−1,2−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(3−オキソペンチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(3−オキソヘキシリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(4−メチル−3−オキソペンチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(4,4−ジメチル−3−オキソペンチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(4−フェニル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−シアノ3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−シアノ−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ニトロ−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−カルボキシルエチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス[2−(メトキシカルボニル)エチリデン]エチレンジアミン、N,N’−ビス[2−(ジメチルアミノカルボニル)エチリデン]エチレンジアミン、N,N’−(1,2−エチレン)−ビス(サリチル酸アミド)、N,N’−(1,2−エチレン)−ビス(マロン酸モノメチルモノアミド)等、あるいは、それらからプロトンを一つ又はそれ以上取り去って得られる陰イオン等を挙げることができる。
【0043】
上記一般式(III)で表される遷移金属錯体における五座配位子の具体例としては、N,N”−ジサリシリデンジエチレントリアミン、N−(3−オキソペンチリデン)−N”−サリシリデンジエチレントリアミン、N,N”−ビス(3−オキソブチリデン)ジエチレントリアミン、N,N”−ビス(3−オキソブチリデン)−ジプロピレントリアミン、N,N”−ビス(3−オキソブチリデン)−N’−メチルジプロピレントリアミン、N,N”−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)−N’−メチルジプロピレントリアミン、N,N”−ビス(3−オキソペンチリデン)−N’−メチルジプロピレントリアミン、N,N”−ビス(3−オキソヘキシリデン)−N’−メチルジプロピレントリアミン、N,N”−ビス(4−メチル−3−オキソペンチリデン)−N’−メチルジプロピレントリアミン、N,N”−ビス(4,4−ジメチル−3−オキソペンチリデン)−N’−メチルジプロピレントリアミン、N,N”−ビス(4−フェニル−3−オキソブチリデン)−N’−メチルジプロピレントリアミン、N,N”−ビス(4−トリフルオロメチル−3−オキソブチリデン)−N’−メチルジプロピレントリアミン、N,N”−ビス(2−シアノ3−オキソブチリデン)−N’−メチルジプロピレントリアミン、N,N”−ビス(2−シアノ−3−オキソブチリデン)−N’−メチルジプロピレントリアミン、N,N”−ビス(2−ニトロ−3−オキソブチリデン)−N’−メチルジプロピレントリアミン、N,N”−ビス(2−カルボキシルエチリデン)−N’−メチルジプロピレントリアミン、N,N”−ビス[2−(メトキシカルボニル)エチリデン]−N’−メチルジプロピレントリアミン、N,N”−ビス[2−(ジメチルアミノカルボニル)エチリデン]−N’−メチルジプロピレントリアミン、N,N’−(3−アザ−1,5−ペンチレンレン)−ビス(サリチル酸アミド)、N,N’−(3−アザ−1,5−ペンチレンレン)−ビス(マロン酸モノメチルモノアミド)等、あるいは、それらからプロトンを一つ又はそれ以上取り去って得られる陰イオン等を挙げることができる。
【0044】
また、上記一般式(II)および(III)で表される遷移金属錯体は、さらに好ましくは下記一般式(V)または(VI)で表される遷移金属錯体である。
【0045】
【化9】
Figure 0005024806
【0046】
式中、Mは遷移金属原子を含む残基を表す。R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基または置換炭化水素基を表し、R10は二価の炭化水素基または置換炭化水素基を表す。R30〜R37はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、置換アミノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。)
【0047】
【化10】
Figure 0005024806
【0048】
(式中、Mは遷移金属原子を含む残基を表す。R、RおよびR13はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基または置換炭化水素基を表し、R11およびR12はそれぞれ独立に二価の炭化水素基または置換炭化水素基を表す。R30〜R37はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、置換アミノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。)
上記一般式(V)及び(VI)におけるM、炭化水素基、置換炭化水素基、二価の炭化水素基または置換炭化水素基、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子は、上記一般式(II)及び(III)と同様のものが挙げられる。
【0049】
上記一般式(V)においてR、R、R10、R30〜R37としてさらに好ましくは、R6、R7がそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基であり、R10がアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基であり、R30〜R37がそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭化水素オキシ基、置換アミノ基、ニトロ基、塩素原子、臭素原子である。特に好ましくは、R6、R7がそれぞれ独立に水素原子、メチル基、フェニル基であり、R10が1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,2−フェニレン基であり、R30〜R37がそれぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ベンジル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基、ニトロ基、塩素原子、臭素原子である。
【0050】
上記一般式(VI)においてR、R、R 1〜R 3、R30〜R37としてさらに好ましくは、R6、R7、R13がそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基であり、R11、R12がそれぞれ独立にアルキレン基、アリーレン基であり、R30〜R37がそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭化水素オキシ基、置換アミノ基、ニトロ基、塩素原子、臭素原子である。特に好ましくは、R6、R7、R13がそれぞれ独立に水素原子、メチル基、フェニル基であり、R11、R12がそれぞれ独立に1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−フェニレン基であり、R30〜R37がそれぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ベンジル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基、ニトロ基、塩素原子、臭素原子である。
【0051】
上記一般式(IV)で表される遷移金属錯体における四座配位子の具体例としては、フタロシアニン、1,4,8,11,15,18,22,25−オクタカルボキシ−29H、31H−フタロシアニン、1,8,15,22−テトラフェノキシ−29H、31H−フタロシアニン、2,9,16,23−テトラ−t−ブチル−29H,31H−フタロシアニン、テトラキス(4−クミルフェノキシ)フタロシアニン、1,8,15,22−テトラキス(フェニルチオ)−29H、31H−フタロシアニン、2,9,16,23−テトラキス(フェニルチオ)−29H、31H−フタロシアニン、3,10,17,24−テトラ−t−ブチル−1,8,15,22−テトラキス−(ジメチルアミノ)−29H、31H−フタロシアニン、フタロシアニンテトラスルホン酸、4’,4’’,4’’’,4’’’’−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン、テトラカルボキシフタロシアニン、オクタカルボキシフタロシアニン、ナフタロシアニン、2,11,20,29−テトラ−t−ブチル−2,3−ナフタロシアニン、5,14,23,32−テトラフェニル−2,3−ナフタロシアニン、5,9,14,18,23,27,32,36−オクタカルボキシ−2,3−ナフタロシアニン等、あるいはこれらからプロトンを一つまたはそれ以上取り去って得られる陰イオン等を挙げることができる。好ましくはフタロシアニン、ナフタロシアニンを使用することができる。
本発明の遷移金属錯体の合成法は、例えば「第4版 実験化学講座17−無機錯体・キレート錯体」丸善(株)、1991年、302頁等に記載されているような一般的な方法により得ることができる。該遷移金属錯体は、あらかじめ合成された錯体を用いることができるが、反応系中で錯体を形成させてもよい。
【0052】
本発明の遷移金属錯体において、配位子と遷移金属原子以外の構造は、触媒能を失活させないならば特に限定されるものではない。例えば、配位子としてN,N’−ジサリシリデンエチレンジアミン(以下サレンまたはsalenと表記することがある)を、遷移金属として鉄を用いた、N,N’−ジ(サリシリデン)エチレンジアミナト鉄(II)(以下Fe−サレン、Fe(II)−salenと表記することがある)遷移金属錯体は、酸素下において容易に酸素架橋体であるμ−オキソ−ビス{(N,N’−ジサリシリデンエチレンジアミナト鉄(III))}を形成することが知られているが、このものを用いても何ら問題はない。
【0053】
本発明の遷移金属錯体には、電気的中性を保たせるようなカウンターイオンが必要な場合がある。カウンターアニオンとしては、通常ブレンステッド酸の共役塩基が使用され、具体例としては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボーレートイオン、ヘキサフルオロホスフェイトイオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、水酸化物イオン、酸化物イオン、メトキサイドイオン、エトキサイドイオン等が挙げられる。またカウンターカチオンとしては、アルカリ金属やアルカリ土類金属等のカチオンを適宜用いることができる。また本発明の遷移金属錯体には、錯体の原料、合成過程および/または酸化重合過程で、溶媒などが配位していても良い。
【0054】
本発明の遷移金属錯体の活性を高めるため助触媒を用いても良い。助触媒としてはアミン、ジケトン錯体、ハロゲン化金属等が挙げられる。
【0055】
アミンを助触媒に用いる場合は、Polymer Bulletin、42、125(1999)に示されているように、重合活性の向上等の効果が期待できる。用いられるアミン種としては、遷移金属錯体の活性に影響を及ぼさず、フェノール化合物を含有する植物性油や反応溶媒に可溶性を示すものであれば特に制限はなく、公知のものが使用できる。具体的には、ピリジン、トリエチルアミン、2,6−ルチジン、N,N,N’,N’−テトラエチレンジアミン等の第3級アミンを用いることができ、好ましくは原料フェノール化合物を含有する植物性油に対して0.001〜50重量%、より好ましくは0.001〜10重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0056】
ジケトン錯体としては、鉄、コバルト、バナジウム、クロム、マンガン、またはニッケルのアセチルアセトナト錯体を挙げることができる。具体的には、ビス(アセチルアセトナト)コバルト(II)、トリスアセチルアセトナト)コバルト(III)、ビス(アセチルアセトナト)マンガン(II)、トリス(アセチルアセトナト)マンガン(III)、トリス(アセチルアセトナト)鉄(III)、ビス(アセチルアセトナト)オキソバナジウム(IV)等を挙げることができ、使用する遷移金属錯体に対して0.1〜5モル等量、より好ましくは0.5〜2モル等量使用するのが好ましい。
【0057】
ハロゲン化金属の具体例としては、塩化第一コバルト、塩化第二コバルト等を挙げることができ、使用する遷移金属錯体に対して0.1〜5モル当量、より好ましくは0.5〜2モル当量使用するのが好ましい。
【0058】
本発明において、酸化剤は任意のものが使用されるが、好ましくは酸素またはパーオキサイドが使用できる。酸素は不活性ガスとの混合物であってもよく、空気でもよい。またパーオキサイドの例としては、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、過酢酸、過安息香酸等を示すことができる。さらに好ましくはパーオキサイドが使用でき、特に好ましくは過酸化水素である。
【0059】
本発明において、酸化剤の使用量に特に限定はなく、酸素を用いる場合は、フェノール化合物を含有する植物性油と置換フェノールの合計量に対して通常、当量以上大過剰に使用する。パーオキサイドを用いる場合は、フェノール化合物を含有する植物性油と置換フェノールの合計量に対して通常、当量以上3当量以下を使用するが、当量以上2当量以下を使用するのが好ましい。
【0060】
本発明の実質的に溶媒を使用しないで重合反応を行うとは、好ましくはフェノール化合物を含有する植物性油と置換フェノールの合計量中の溶媒の濃度が好ましくは0〜10重量%、より好ましくは1〜3重量%、特に好ましくは0%になるような割合で使用されることを言うが、この場合は反応媒体が液状を保つ範囲の温度下で反応を行うことが望ましく、カシューナット殻液を使用する場合は、一般的にこのものの融点が室温以下であることから室温以上の温度下で行うのが望ましい。但し、酸化剤として過酸化水素を使用する場合、過酸化水素は通常30%や60%などの過酸化水素水溶液として用いるが、本発明では酸化剤である過酸化水素中の水分は溶媒とは見なさない。
また、本発明は、溶媒の存在下でも実施することができる。溶媒を用いる場合はフェノール化合物を含有する植物性油と置換フェノールに対し不活性でかつ反応温度において液体であれば、特に限定されるものではない。溶媒の例を示すならば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、シクロヘキサン等の鎖状及び環状の脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール等のアルコール類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物類;水等が挙げられる。これらは単独あるいは混合物として使用される。
【0061】
該溶媒を用いる場合は、フェノール化合物を含有する植物性油と置換フェノールの合計の濃度が好ましくは0.5〜70重量%、より好ましくは1〜50重量%になるような割合で使用される。本発明を実施する反応温度は、フェノール化合物を含有する植物性油の側鎖の脂肪族不飽和2重結合が熱による変成を受けない温度範囲で、かつ、反応媒体が液状を保つ範囲である。このような温度範囲は、溶媒を用いない場合はフェノール化合物を含有する植物性油あるいは置換フェノールの融点以上の温度が必要である。好ましい温度範囲は0℃〜180℃であり、より好ましくは0℃〜150℃である。特に、本発明方法は0〜40℃の範囲の低い温度条件でも重合反応を行うことができることが特徴である。また、本発明においては、特に酸化剤に過酸化水素、遷移金属錯体に上記一般式(II)に含まれるFe(II)−salenを用い、実質的に溶媒を用いないで重合反応を行った場合等では、過酸化水素の添加によって発熱反応を生じ、系中の温度が上昇する(過酸化水素添加前の温度〜約140℃の範囲)ことがあるが何ら問題はない。さらに上記一般式(I)および(IV)を用いて重合反応を行う場合の反応温度は、好ましくは、40〜180℃、より好ましくは60℃〜180℃である。
【0062】
本発明の硬化性樹脂組成物は、酸化触媒の存在下でさらに架橋硬化させることができる。この硬化反応は塗料等に用いた場合の硬化反応として有効であり、酸化触媒としては、いわゆる金属ドライヤーが用いられる。このような金属ドライヤーは、不飽和脂肪酸を酸化して架橋反応を引き起こす能力を備える化合物であれば特に制限はなく、種々の金属あるいはその塩を用いることができる。具体的には、コバルト、マンガン、鉛、カルシウム、セリウム、ジルコニウム、亜鉛、鉄、銅のナフテン酸、オクチル酸、オレイン酸塩を用いることができ、好ましくはナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸マンガンを用いることができる。また、本発明において重合触媒に使用した各種金属錯体も金属ドライヤーとしての能力を有することから、これらを反応系から取り出すことなくそのまま使用しても良い。さらには、金属ドライヤーは、1種類に限らず、2種以上を混合して用いても何ら問題はない。金属ドライヤーの添加量としては、金属ドライヤーの種類等によって異なるが、通常は硬化性樹脂組成物に対して金属含量で、0.001重量%〜1重量%ほど使用するのが好ましい。
【0063】
本発明で得られる重合体の分子量は、重量平均分子量350から50、000の範囲、好ましくは重量平均分子量500から15,000の範囲、特に好ましくは重量平均分子量500から7,000の範囲が挙げられる。
【0064】
本発明において、フェノール化合物を含有する植物性油と置換フェノールの酸化重合反応の実施は種々の態様で行うことができる。例えば、フェノール化合物を含有する植物性油あるいは置換フェノールと遷移金属錯体との溶液を個々に調製した後に同一容器中に注入してもよいし、フェノール化合物を含有する植物性油あるいは置換フェノールの溶解液に金属錯体あるいはその溶液を添加してもよいし、フェノール化合物を含有する植物性油と遷移金属錯体との溶液に置換フェノール(の溶解)を添加してもよい。過酸化水素を添加する場合は、フェノール化合物を含有する植物性油と遷移金属錯体の溶解液に置換フェノールの溶液と過酸化物を徐々に添加する方法が好ましい。また、上記溶液重合による方法以外にも、反応系中に分散安定剤を加えてフェノール化合物を含有する植物性油と置換フェノールと遷移金属錯体との反応を行う懸濁重合や分散重合、反応系中に乳化安定剤を加えてフェノール化合物を含有する植物性油と置換フェノールと遷移金属錯体との反応を行う乳化重合等の方法を用いても問題はない。遷移金属錯体が不活性化するような方法でない限り、この他にも種々の組み合わせが可能である。本発明の樹脂組成物の製造において、酸化重合に用いた遷移金属錯体は反応終了後分離せずにそのまま樹脂組成物中に含有させても問題がない。
【0065】
本発明の樹脂組成物ならびに硬化性樹脂組成物は、フェノール化合物を含有する植物性油と置換フェノールとを含む重合体である樹脂の他に遷移金属錯体に未反応な残存フェノール化合物を含有する植物性油モノマーや残存置換フェノールを含んでいても何ら問題はない。このものは室温下で使用する場合は希釈溶剤を使用しないでそのまま使用しても良い。この場合、硬化性樹脂組成物中の残存フェノール化合物を含有する植物性油モノマーや置換フェノールのモノマー成分の割合は、塗膜の硬化時間や塗膜硬度等の物性と塗膜のレベリング性、塗れ性等の物性に影響を与えない範囲であれば特に問題はないが、このような残存モノマーは少ない方が良い。
【0066】
また、該樹脂は、その構成成分のカルダノールが漆の主成分であるウルシオールと類似の構造であることからも推定されるように、得られる塗膜は漆塗膜に類似しているという特徴を有している。この場合、天然の漆塗膜にさらに類似させるには、漆のウルシオール以外の成分である多糖類やタンパク質を添加すれば良く、このようなものとして、例えばデンプン(誘導体)、アラビアゴム、カゼイン、プルラン、ゼラチン(加水分解物)等が挙げられる。
【0067】
本発明の硬化性樹脂組成物は、様々な方法で硬化させることができる。すなわち、これらの樹脂組成物は、ポリマー側鎖に不飽和二重結合を又は、芳香環部位にはフェノール性水酸基を有していることから、これらの反応性部位に基づく公知の方法で架橋反応を進行させることにより硬化物を得ることができる。例えば、前記の酸素や有機過酸化物による架橋、フェノール樹脂およびアミノ樹脂による架橋、ハロゲン化合物による架橋、イソシアナートによる架橋、エポキシ化合物による架橋、加熱による架橋、光による架橋、UV照射による架橋、電子線およびγ線による架橋反応等を利用して硬化させることが可能である。
本発明において硬化性樹脂組成物とは、JIS−K5400の8.4.2の手かき法で測定した鉛筆硬度が、硬化性樹脂組成物を基材に塗膜にしてから2週間以内、好ましくは1週間以内に9H〜2B、好ましくは9H〜HBである条件を満たすことをいう。
【0068】
本発明の硬化性樹脂組成物において、芳香環部位には未反応のフェノール性水酸基を有していることがある。また、側鎖には脂肪族不飽和二重結合を有している。従って、これらの反応性部位による様々な誘導体化が可能である。例えば、フェノール性水酸基をエピクロロヒドリンと反応させることによるエポキシエーテル化、アリルクロライドによるアリルエーテル化、(メタ)アクリル酸(誘導体)とのエステル化による(メタ)アクリル誘導体化等を挙げることができる。
【0069】
本発明の硬化性樹脂組成物は、天然ゴムや合成ゴムで、桐油、アマニ油、大豆油などの油で、ロジンとグリセリンやエチレングリコール、ペンタエリストール等で変性して使用しても良い。
【0070】
さらに本発明の硬化性樹脂組成物は、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂成分、桐油、アマニ油、脱水ヒマシ油、脂肪酸などの油脂成分、着色剤として黄色、紅色、藍色、墨色等の顔料あるいは染料、天然ゴム、合成ゴム、木粉、セルロース、アスベスト、ガラス繊維、織布、不織布、などの充填剤、離型剤、テレピン系、脂肪族系、芳香族系の溶剤、レベリング改良剤、増粘剤、可塑剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、等の補助剤等を適宜添加し、塗膜形成材料、記録材料用化合物、インキ原材料、塗料原材料、接着剤原材料、エポキシ樹脂原材料、フォトレジストの原材料、酸化防止剤の原材料、成形材料、積層材の原材料、粘着剤の原材料、結合剤の原材料、注型用フェノール樹脂の原材料、ゴム配合用フェノール樹脂の原材料、繊維板用フェノール樹脂の原材料等の種々の用途に使用することが出来る。
【0071】
本発明を要約すると、次の通りである。
(1)フェノール化合物を含有する植物性油を前記一般式(A)で示す置換フェノールとの共存下、遷移金属錯体触媒と酸化剤を用いて重合して形成した硬化性樹脂組成物。
(式中、A〜Eは、枝分かれ鎖を有する炭化水素基、枝分かれ鎖を有しない炭化水素基、炭化水素オキシ基、水素原子を表し、同一でも異なっていても良い。ただしA,C,Eのうち、2個または3個は枝分かれ鎖を有する炭化水素基であり、0個または1個は水素原子である。)
(2)フェノール化合物を含有する植物性油がカシューナット殻液であることを特徴とする(1)項記載の硬化性樹脂組成物。
(3)カシューナット殻液がカルダノールを主成分であることを特徴とする(1)項〜(2)項のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(4)フェノール化合物を含有する植物性油を、前記一般式(A)で示す置換フェノールとの共存下、遷移金属錯体と酸化剤を用いて形成することを特徴とする硬化性樹脂組成物の製造方法。
(式中、A〜Eは、枝分かれ鎖を有する炭化水素基、枝分かれ鎖を有しない炭化水素基、炭化水素オキシ基、水素原子を表し、同一でも異なっていても良い。ただしA,C,Eのうち、2個または3個は枝分かれ鎖を有する炭化水素基であり、0個または1個は水素原子である。)
(5)フェノール化合物を含有する植物性油がカシューナット殻液であることを特徴とする(4)項記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
(6)カシューナット殻液がカルダノールを主成分であることを特徴とする(4)項〜(5)項のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
【0072】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0073】
本実施例に用いたフェノール化合物を含有する植物性油はカシューナット殻液であり、カシューナットから抽出されるカシュー油を加熱処理したものを用いた。このものは、ヨウ素価は約290であり、組成は(ガスクロマトグラフィ−分析の各ピーク面積より求めた)、カルダノ−ル83.8(側鎖のオレフィン数が0=2.6%、1=28.6%、2=18.3%、3=34.3%)、カルドール7.7%(各種側鎖異性体の混合物として)、メチルカルドール1.6%(各種側鎖異性体の混合物として)であった。
【0074】
重合体の数平均分子量(以下Mn)、重量平均分子量(以下Mw)、カシューナット殻液の転化率(以下Conv.)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)より求め、標準ポリスチレン換算値として算出した。Conv.は、内部標準として添加したジフェニルエーテルを基準としてカシューナット殻液のモノマーの転化率を算出した。
【0075】
本実施例に用いた遷移金属錯体は、一例として次に示すFe(salen)を用いた。
【0076】
Fe(salen)
【0077】
【化11】
Figure 0005024806
【0078】
実施例1
A液;30%過酸化水素水
B液;2,4−ジーt−ブチルフェノール溶液
2,4−ジ−t−ブチルフェノールの312ミリグラムを4ミリリットルの1,4−ジオキサンに溶解し、7等分に小分けした溶液。
50ミリリットルの三口セパラブルフラスコに、カシューナット殻液1.05グラム、1,4−ジオキサン19.4グラムを加えて溶解した。このものに鉄サレン16ミリグラム、内部標準としてのジフェニルエーテル201ミリグラムを加えた。攪拌棒を装着して30℃のオイルバスに設置し、250rpmで攪拌した。その後56.6マイクロリットルのA液を15分おきに10回添加した。また、A液(1〜7回目)を添加してから12分後にB液を添加した。はじめのA液添加から3時間後に反応を終了した。反応の終了後、反応液の一部をGPC分析したところ、生成したポリマーの分子量は、Mn=2300、Mw=4100であった(ただしモノマーピークは除外して計算した)。また、GPCより、カシューナット殻液の転化率は83%、残存2,4−ジーt−ブチルフェノールは3%であった。反応液を濃縮して溶剤を除去して硬化性樹脂組成物を得た。このもののFT-IR分析より、カシューナット殻液に由来するアルケニル基が残存していることを確認した。
硬化性樹脂組成物100部に対してナフテン酸コバルト(6%金属含量)3部を加えて良く混合し、50マイクロメーターのアプリケーターを用いてガラス板に塗布した。硬化反応は、20℃、相対湿度70%の恒温恒湿器に設置して行った。
【0079】
実施例2
上記溶液Bの作成において、2,4−ジ−t−ブチルフェノールを413ミリグラム、カシューナット殻液0.9グラムを用いた以外は実施例1と同様の操作をおこなった。生成したポリマーの分子量は、Mn=1900、Mw=3200であった(ただしモノマーピークは除外して計算した)。また、GPCより、カシューナット殻液の転化率は85%、残存2,4−ジーt−ブチルフェノールは2%であった。反応液を濃縮して溶剤を除去して硬化性樹脂組成物を得た。このもののFT-IR分析より、カシューナット殻液に由来するアルケニル基が残存していることを確認した。
硬化性樹脂組成物100部に対してナフテン酸コバルト(6%金属含量)3部を加えて良く混合し、50マイクロメーターのアプリケーターを用いてガラス板に塗布した。硬化反応は、20℃、相対湿度70%の恒温恒湿器に設置して行った。
【0080】
比較例1
200ミリリットルのナスフラスコに、マグネティックスターラー、カシューナット殻液10gを取り、1,4−ジオキサン133ミリリットルを加えた。このものに鉄サレン53ミリグラムを加えて超音波分散を約1分おこなった後、30℃のオイルバスに設置し攪拌した。このものに、30%過酸化水素水377マイクロリットルを20分毎に7回加え、7回添加後に量の1,4−ジオキサンに27ミリグラムの鉄サレンを超音波分散させた溶液を加えて数分攪拌した後、30%過酸化水素水377マイクロリットルを20分毎に2回加えた。最後の過酸化水素添加から、さらに2時間攪拌を継続して反応をおこなった。反応液のGPC分析より生成したポリマーの分子量は、数平均分子量Mn=3100、Mw=14000であった(ただしモノマーピークは除外して計算した)。また、GPCより、カシューナット殻液の転化率は77%であった。反応液を濃縮して溶剤を除去して硬化性樹脂組成物を得た。このもののFT-IR分析より、カシューナット殻液に由来するアルケニル基が残存していることを確認した。また、溶剤を除去して得た硬化性樹脂組成物100部に対して30部のp−キシレンを加えて樹脂粘度を調製した。
次いで硬化性樹脂組成物100部(p−キシレン量は除外して計算)に対してナフテン酸コバルト(6%金属含量)3部を加えて良く混合し、50マイクロメーターのアプリケーターを用いてガラス板に塗布した。硬化反応は、20℃、相対湿度70%の恒温恒湿器に設置して行った。
【0081】
比較例2
2,4−ジ−t−ブチルフェノールの代わりに2,4−ジメチルフェノール250mgを使用した以外実施例2と同様の操作を行ったところ、ゲルが約50%生成し、高収率で硬化性樹脂組成物を得ることができなかった。ゲルを遠心分離により取り除き、THFに溶解する樹脂の分子量を測定したところ、Mn=3900、Mw=9400であった。
【0082】
比較例3
2,4−ジ−t−ブチルフェノールの代わりに2,4,6−トリメチルフェノール273mgを使用した以外は、実施例2と同様の操作を行った実施例2と同様の操作を行ったところ、ゲルが約50%生成し、高収率で硬化性樹脂組成物を得ることができなかった。ゲルを遠心分離により取り除き、THFに溶解する樹脂の分子量を測定したところ、Mn=2900、Mw=12000であった。
【0083】
表1、2に実施例1,2、比較例1の塗膜物性を比較して記した。
【0084】
【表1】
Figure 0005024806
【0085】
【表2】
Figure 0005024806
【0086】
乾燥時間:1.5ミルのアプリケーターでガラス板に塗布した塗膜の指触乾燥時間をRC型ドライイングメーター(太佑機材(株)製)で測定した。
鉛筆硬度:7日経過後、JIS−K5400の8.4.2の手かき法で測定した。
ユニバーサル硬度:硬度計(フィッシャースコープH−100、フィッシャーインスツルメンツ製)で測定した。試験は、試験荷重1mNで、荷重時間23秒(1秒ステップ荷重)で測定した。
光沢:60度鏡面反射光沢を光沢計(ミノルタ製光沢計、GM−268)で測定した。
ヘイズ:反射ヘイズ計(マイクロヘイズプラス、ビックケミージャパン製)で測定した。
粘度:E型粘度計(TOKI RE-80U、東機産業製)で25℃の粘度を測定し、センチポイズ(cP)で示した。
色差:測色計(分光測色計CM−3610d)で測定した。
臭気:塗膜を直接嗅いで判断した。+:カシュー臭あり、‐:カシュー臭極めて少ない
【0087】
表1及び表2に示す結果から明らかなように比較例1においては、フェノール化合物を含有する植物性油を遷移金属錯体と酸化剤を用いて形成した硬化性樹脂組成物は、重量分子量および樹脂の粘度が高く、カシュー臭が強く、乾燥時間が長く、塗膜の透明性に劣るものであった。また、塗膜の色は茶褐色であり、様々に着色して塗料として使用するには不都合のある樹脂であった。また、比較例2および3から明らかなように、枝分かれ鎖を有しない炭化水素基であるメチル基を有する置換フェノール類との共重合反応においては、ゲルが約半量生成して生産性に劣るばかりか、ゲルでない部分の樹脂の重量平均分子量も高いものであった。
【0088】
一方、実施例1、2から明らかなように、フェノール化合物を含有する植物性油を、一般式(A)で示す置換フェノールとの共存下、遷移金属錯体と酸化剤を用いて製造された本発明の硬化性樹脂組成物は、残存モノマー量が少なく、樹脂粘度が低く、室温下における硬化時間が短く、塗膜硬度、光沢および透明性が高く、カシュー臭が極めて少ないという点で非常に優れるものであることがわかった。
【0089】
【発明の効果】
本発明により、重合後に精製操作をすることなく分子量および樹脂粘度が低いフェノール化合物を含有する植物性油より形成される硬化性樹脂組成物を高収率で得ることが可能となった。該樹脂は、フェノール化合物を含有する植物性油を単独で用いて形成した樹脂と比較して、残存モノマー量が少なく、樹脂粘度が低く、室温下における硬化時間が短く、塗膜硬度、光沢および透明性が高く、カシュー臭が極めて少ないという点で非常に優れるものである。
さらに本発明の方法は、原料としてホルマリンを使用しないので、樹脂の製造段階はもちろん、樹脂の製品化後においても、製品からのホルマリン発生の問題がなく、環境問題への意識の高まり、生活環境の消臭化、人体の安全、健康等の要求に対応できるという点で非常に優れるものである。

Claims (6)

  1. フェノール化合物を含有する植物性油を、下記の一般式(A)で示す置換フェノールの共存下、遷移金属錯体触媒(ただし、窒素含有有機化合物と無機金属塩から形成されるオニウム塩を除く)と酸化剤を用いて重合して形成した硬化性樹脂組成物。
    Figure 0005024806
    (式中、A〜Eは、枝分かれ鎖を有する炭化水素基、枝分かれ鎖を有しない炭化水素基、炭化水素オキシ基、水素原子を表し、同一でも異なっていても良い。ただしCは枝分かれ鎖を有する炭化水素基であり、さらにA,C,Eのうち、2個または3個は枝分かれ鎖を有する炭化水素基であり、0個または1個は水素原子である。)
  2. フェノール化合物を含有する植物性油がカシューナット殻液であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. カシューナット殻液がカルダノールを主成分とすることを特徴とする請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. フェノール化合物を含有する植物性油を下記の一般式(A)で示す置換フェノールとの共存下において遷移金属錯体触媒(ただし、窒素含有有機化合物と無機金属塩から形成されるオニウム塩を除く)と酸化剤を用いて重合することにより、形成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
    Figure 0005024806
    (式中、A〜Eは、枝分かれ鎖を有する炭化水素基、枝分かれ鎖を有しない炭化水素基、炭化水素オキシ基、水素原子を表し、同一でも異なっていても良い。ただしCは枝分かれ鎖を有する炭化水素基であり、さらにA,C,Eのうち、2個または3個は枝分かれ鎖を有する炭化水素基であり、0個または1個は水素原子である。)
  5. フェノール化合物を含有する植物性油がカシューナット殻液であることを特徴とする請求項4記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
  6. カシューナット殻液がカルダノールを主成分とすることを特徴とする請求項5に記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
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