JP2003026817A - ビニルポリマーの架橋方法 - Google Patents

ビニルポリマーの架橋方法

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JP2003026817A
JP2003026817A JP2001212993A JP2001212993A JP2003026817A JP 2003026817 A JP2003026817 A JP 2003026817A JP 2001212993 A JP2001212993 A JP 2001212993A JP 2001212993 A JP2001212993 A JP 2001212993A JP 2003026817 A JP2003026817 A JP 2003026817A
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bis
vinyl polymer
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catalyst
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JP2001212993A
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Ryohei Ikeda
良平 池田
Shiro Kobayashi
小林四郎
Hiroshi Uyama
浩 宇山
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、塗膜形成材料,インキ,接着
剤,成形材等として有用なフェノール性水酸基を有する
ビニルポリマーを硬化させる新規な架橋方法を提供する
ことである。 【解決手段】フェノール性水酸基を有するビニルポリマ
ーを,酵素触媒あるいは金属錯体触媒などの触媒と、酸
素あるいは過酸化水素などの酸化剤との存在下に酸化反
応させることを特徴とするビニルポリマーの架橋方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗膜形成材料,イ
ンキ,接着剤,成形材等として有用な,フェノール性水
酸基を有するビニルポリマーを,触媒と酸化剤との存在
下に酸化反応させることを特徴とするビニルポリマーの
架橋方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェノール性水酸基を有するポリマーを
酵素触媒と反応させて架橋反応を行った例の報告は、既
にされている(Journal of Protein Chemistry,3(1),35
(1984))。しかしながら,該報告で使用したフェノール
性水酸基を有するポリマーは,チロシン残基を有する蛋
白質(すなわちポリペプチド)であり,このようなポリ
ペプドはポリマー設計が制限されているという問題点が
あった。また,該報告以外にフェノール性水酸基を有す
るビニルポリマーを,触媒と酸化剤との存在下に酸化反
応させることを特徴とするビニルポリマーの架橋方法の
報告例はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塗膜
形成材料,インキ,接着剤,成形材等として有用なフェ
ノール性水酸基を有するビニルポリマーを硬化させる新
規な架橋方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、フ
ェノール性水酸基を有するビニルポリマーを,触媒と酸
化剤との存在下に酸化反応させることを特徴とするビニ
ルポリマーの架橋方法に関する。また、本発明は、触媒
が酵素触媒である上記ビニルポリマーの架橋方法に関す
る。また、本発明は、触媒が金属錯体触媒である上記ビ
ニルポリマーの架橋方法に関する。また、本発明は、酸
化剤が酸素または過酸化水素である上記ビニルポリマー
の架橋方法に関する。
【0005】また、本発明は、フェノール性水酸基を有
するビニルポリマーを、上記架橋方法で架橋してなるビ
ニルポリマーの架橋物に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、フェノール性水酸基を
有するビニルポリマーを,触媒と酸化剤との存在下に酸
化反応させることを特徴とするビニルポリマーの架橋方
法である。本発明に係わるフェノール性水酸基を有する
ビニルポリマーは,下記一般式(1)で表されるビニル
モノマーを少なくとも1個含むビニルモノマーをビニル
重合させたものである。 一般式(1)
【0007】
【化1】
【0008】[式中R38は,アルキル基,シアノ基,また
は水素原子である。R39〜R43は,それぞれ独立に、アル
キル基,シアノ基,水素原子,水酸基,アルケニル基,
アリール基,アルコキシ基,ハロゲン原子,ニトロ基,
アシル基,スルホニル基,置換アミノ基,アシルオキシ
基,またはスルホニルオキシ基であり,R39〜R43は、隣
接する官能基同士で一体となって環を形成していても良
い。ただし、R39〜R43のうち、少なくとも1個が水酸基
であり,かつ少なくとも1個が水素原子である。式中R4
4は,直接結合、または、2価の、アルキレン基,置換
アルキレン基,アルケニル基,置換アルケニル基,エス
テル基,酸素原子,アルキルエステル基,もしくはアル
キルコキシ基を表す。] 上記一般式(1)で表されるモノマーの具体例として
は,4-ビニルフェノール,2-(4-ヒドロキシフェニル)
エチルメタクリレート等を挙げることができる。本発明
のビニルポリマーは,上記一般式(1)で表されるビニ
ルモノマーの単独重合あるいは公知のビニルモノマーと
の共重合より形成される。共重合に使用されるビニルモ
ノマーとしては,上記一般式(1)で表されるビニルモ
ノマーと共重合するものであればとくに制限はないが,
塩化ビニル,塩化ビニリデン,ビニルアルコール,酢酸
ビニル,ビニルエーテル,(メタ)アクリル酸,アクリ
ロニトリル,アクリルアミド,スチレン,ビニルトルエ
ン,ブタジエンおよびこれらの誘導体,ポリ(エチレン
グリコール)アクリレート,ポリ(エチレングリコー
ル)メタクリレート,ポリ(エチレングリコール)メチ
ルエーテルアクリレート,ポリ(エチレングリコール)
メチルエーテルメタクリレート,ポリ(エチレングリコ
ール)エチルエーテルアクリレート,ポリ(エチレング
リコール)エチルエーテルメタクリレート等の(メタ)
アクリレート等を挙げることができる。本発明の触媒
は,フェノール性水酸基を有するビニルポリマー中のフ
ェノール性水酸基を酸化させて架橋反応を引き起こす能
力の有るものであれば特に制限は無いが,酵素触媒,金
属錯体触媒を好ましく使用することができる。酵素触媒
としては,フェノール酸化酵素を好ましく使用するとが
できる。フェノール酸化酵素の具体例としてはラッカー
ゼ,ペルオキシダーゼ,チロシナーゼを挙げることがで
きるが,とくにはラッカーゼ,ペルオキシダーゼを使用
するのが好ましい。ラッカーゼは,種々の起源のものが
使用でき,フェノール性水酸基を有するビニルポリマー
中のフェノール性水酸基を酸化させて架橋反応を引き起
こす能力の有るものであれば特に制限は無いが,好まし
いものとして,植物由来,細菌由来,担子菌由来のもの
が挙げられ,例えば,うるしの木から得られるラッカー
ゼ,Pyricularia,Pleurotus,Pycnoporus,Polystictu
s,Coriolus,Bjerkandera,Newropora属の菌からから
得られるラッカーゼを挙げることができる。とくに,Py
ricularia oryzae,Pycnoporus coccineus,Coriolus
vercicolor,Pleurotus ostreates起源のラッカーゼを
好ましく使用できる。ペルオキシダーゼは,種々の起源
のものが使用でき,フェノール性水酸基を有するビニル
ポリマー中のフェノール性水酸基を酸化させて架橋反応
を引き起こす能力の有るものであれば特に制限は無い
が,好ましいものとして,植物由来,細菌由来,担子菌
由来のものが挙げられ,とくに好ましいものとして西洋
わさび由来,大豆由来,Coprinus ciner
eus由来のものが挙げられる。フェノール性水酸基を
有するビニルポリマーと酵素触媒との反応における酵素
触媒の添加量は、用いる酵素触媒の酵素活性により適宜
加減すればよいが、好ましくは、フェノール性水酸基を
有するビニルポリマーに対して、0.01〜500重量%程
度、さらに好ましくは、0.1〜50重量%とすればよい。
金属錯体触媒は,種々のものが使用でき,フェノール性
水酸基を有するビニルポリマー中のフェノール性水酸基
を酸化させて架橋反応を引き起こす能力の有るものであ
れば特に制限は無く、単独でまたは混合して用いること
ができる。これらは任意の量を使用することができ、用
いる遷移金属錯体の触媒活性により適宜加減すればよい
が、一般的にはフェノール性水酸基を有するビニルポリ
マー中に対して0.0001〜30モル%、好ましくは
0.01〜10モル%程度使用することができる。ま
た、金属錯体触媒は、反応時に遷移金属化合物と対応す
る配位子を混合して用いることもできる。この場合配位
子は任意の量を使用することができるが、一般的には遷
移金属に対して0.1〜10モル当量程度使用すること
が好ましい。
【0009】本発明の遷移金属錯体触媒における遷移金
属原子は、元素の周期律表(IUPAC無機化学名法改
訂版1989)の3A〜7A、8および1B、2B族の
遷移金属原子である。好ましくは、第一遷移元素系列の
遷移金属原子であり、さらに好ましくは鉄、コバルト、
バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、酸化バ
ナジウムである。特に好ましくは鉄、コバルトである。
【0010】本発明の遷移金属錯体触媒における配位子
は、配位原子がそれぞれ窒素原子、リン原子、酸素原子
または硫黄原子である配位子である。本発明において配
位子とは、化学大辞典(第1版、東京化学同人、198
9年)に記載の通り、ある原子に配位結合で結合してい
る分子またはイオンを指す。ここで配位結合に直接かか
わっている原子を配位原子という。単座配位子は1個の
配位子であり、二座配位子は2個の配位子であり、三座
配位子は3個の配位子であり、四座配位子は配位原子数
が4個の配位子であり、五座配位子は配位原子数が5個
の配位子である。
【0011】本発明の遷移金属錯体触媒においては、該
配位子1個あたりの遷移金属原子数は1個以上であれば
よいが、1個以上、配位子の配座数個以下であることが
好ましく、1個であることがより好ましい。
【0012】本発明の遷移金属錯体触媒における配位子
は、二座配位子、四座配位子、五座配位子を好ましく使
用することができる。
【0013】二座配位子の具体例としては、エチレング
リコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパ
ンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタン
ジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオー
ル、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−エタン
ジチオール、1,3−プロパンジチオール、カテコー
ル、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロピオン酸、2
−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ
アセトン、2−ケトプロピオン酸、2−ケト酪酸、2−
ケトプロピオン酸エチル、アセチルアセトン、サリチル
アルデヒド、サリチル酸、アセト酢酸エチル、マロン
酸、マロン酸ジエチル、グリシン、アラニン、バリン、
ロイシン、フェニルアラニン、モノエタノールアミン、
3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロ
パノール、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ
−2−ブタノール、3−アミノ−2,3−ジメチル−2
−ブタノール、2−アミノ−1−シクロヘキサノール、
N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールア
ミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタ
ノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−メ
チルプロパノールアミン、N−フェニルプロパノールア
ミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジ
エチルエタノールアミン、N−サリシリデンメチルアミ
ン、N−サリシリデンエチルアミン、N−サリシリデン
プロピルアミン、N−サリシリデンブチルアミン、N−
サリシリデンアニリン、4−(N−メチルイミノ)−2
−ペンタノン、4−(N−エチルイミノ)−2−ペンタ
ノン、4−(N−プロピルイミノ)−2−ペンタノン、
4−(N−フェニルイミノ)−2−ペンタノン、2−
(N−メチルイミノ)プロピオン酸、3−(N−メチル
イミノ)プロピオン酸、3−(N−メチルイミノ)プロ
ピオン酸エチル、2−(N−メチルイミノ)酪酸、2−
(N−メチルイミノ)プロパノール等からプロトンを一
つまたはそれ以上取り去って得られる陰イオン;2,3
−ブタンジオン、3,4−ヘキサンジオン、2,5−ジ
メチル−3,4−ヘキサンジオン、2,2−ジメチル−
3,4−ヘキサンジオン、2,2,5,5−テトラメチ
ル−3,4−ヘキサンジオン、1,2−シクロヘキサン
ジオン、2−(N−メチルイミノ)−3−ブタノン、2
−(N−エチルイミノ)−3−ブタノン、2−(N−プ
ロピルイミノ)−3−ブタノン、2−(N−ブチルイミ
ノ)−3−ブタノン、2−(N−フェニルイミノ)−3
−ブタノン、3−(N−メチルイミノ)−3−ヘキサノ
ン、2−(N−メチルイミノ)−シクロヘキサノン、2
−(N−メチルイミノ)−プロピオン酸メチル、2−
(N−メチルイミノ)−酪酸エチル等の中性分子等を挙
げることができる。
【0014】四座配位子の具体例としては、トリス(2
−ピリジルメチル)アミン、トリス(2−イミダゾリル
メチル)アミン、トリス(1−メチル−2−イミダゾリ
ルメチル)アミン、トリス(2−ベンズイミダゾリルメ
チル)アミン、トリス(2−ベンズオキサゾリルメチ
ル)アミン、トリス(2−ベンズチアゾリルメチル)ア
ミン、トリス(1−ピラゾリルメチル)アミン、トリス
(3,5−ジメチル−1−ピラゾリルメチル)アミン、
トリス(3,5−ジプロピル−1−ピラゾリルメチル)
アミン、トリス(3,5−ジフェニル−1−ピラゾリル
メチル)アミン、ニトリロ三酢酸、ニトリロトリエタノ
ール、ニトリロトリ−1−プロパノール、トリス(2−
ピリジル−2−エチル)アミン、トリス(1−ピラゾリ
ル−2−エチル)アミン、N−(2−メルカプトエチ
ル)−N,N−ジエタノールアミン、N−(ジフェニル
ホスフィノエチル)−N,N−ジエタノールアミン、ト
リエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ト
リエチレンテトラミン、N,N'''−ジメチルトリエチ
レンテトラミン、N,N,N''',N'''−テトラメチル
トリエチレンテトラミン、N,N'−ビス(2−ヒドロ
キシエチル)エチレンジアミン、N,N'−ビス(3−
ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N'−エ
チレンジアミン二酢酸、N,N'−ビス(2−ピリジル
メチル)エチレンジアミン、N,N'−ビス(2−イミ
ダゾリルメチル)エチレンジアミン、N,N'−ビス
(2−ベンズイミダゾリルメチル)エチレンジアミン、
N,N'−ビス(2−メルカプトエチル)エチレンジア
ミン、N,N'−ビス(ジフェニルホスフィノエチル)
エチレンジアミン、N,N'−ジサリシリデンエチレン
ジアミン、N,N'−ビス(1−メチル−3−オキソブ
チリデン)エチレンジアミン、N−2−ヒドロキシエチ
ル−N'−サリシリデンエチレンジアミン、N−2−ヒ
ドロキシエチル−N'−サリシリデン−1,3−プロピ
レンジアミン、N−3−ヒドロキシプロピル−N'−サ
リシリデン−1,3−プロピレンジアミン、N−3−ヒ
ドロキシプロピル−N'−サリシリデンエチレンジアミ
ン、N−2−ジメチルアミノエチル−N'−サリシリデ
ンエチレンジアミン、N−2−ピリジルメチル−N'−
サリシリデンエチレンジアミン、N,N'−ビス(2−
アミノ−3−ベンジリデン)エチレンジアミン、1−
(ジアセチルモノオキシムイミノ)−3−(ジアセチル
モノオキシマトイミノ)プロパン、12−クラウン−
4、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカ
ン、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン
−5,7−ジオン、1,4,8,11−テトラメチル−
1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、
1,4,7,10−テトラチアシクロドデカン、2,
3,9,10−テトラメチル−1,4,8,11−テト
ラアザシクロテトラデカ−1,3,8,10−テトラエ
ン、5,7,12,14−テトラメチル−1,4,8,
11−テトラアザシクロテトラデカ−4,6,11,1
3−テトラエン、ポルフィリン、フタロシアニン等、あ
るいは、それらからプロトンを一つ又はそれ以上取り去
って得られる陰イオン等を挙げることができる。
【0015】また、五座配位子の具体例としては、テト
ラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール、
テトラエチレンペンタミン、N,N'''−ジメチルテト
ラエチレンペンタミン、N,N,N''',N'''−テトラ
メチルテトラエチレンペンタミン、N,N"−ビス(2
−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N,N"
−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミ
ン、N,N"−ジエチレントリアミン、二酢酸、N,N"
−ビス(2−ピリジルメチル)ジエチレントリアミン、
N,N"−ビス(2−イミダゾリルメチル)ジエチレン
トリアミン、N,N"−ビス(2−ベンズイミダゾリル
メチル)ジエチレントリアミン、N,N"−ビス(2−
メルカプトエチル)ジエチレントリアミン、N,N"−
ビス(ジフェニルホスフィノエチル)ジエチレントリア
ミン、N,N"−ジサリシリデンジエチレントリアミ
ン、N,N"−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデ
ン)ジエチレントリアミン、N−2−ヒドロキシエチル
−N"−サリシリデンジエチレントリアミン、N−3−
ヒドロキシプロピル−N"−サリシリデンジエチレント
リアミン、N−3−ヒドロキシプロピル−N'−サリシ
リデンエチレンジアミン、N−2−ジメチルアミノエチ
ル−N"−サリシリデンジエチレントリアミン、N−2
−ピリジルメチル−N"−サリシリデンジエチレントリ
アミン、N,N"−ビス(2−アミノ−3−ベンジリデ
ン)ジエチレントリアミン、1,5−ビス(サリシリデ
ンアミノ)−3−ペンタノール、2,6−ビス[N−
(2−ヒドロキシエチル)イミノメチル]−4−メチル
フェノール、2,6−ビス[N−(3−ヒドロキシプロ
ピル)イミノメチル]−4−メチルフェノール、2,6
−ビス[N−(2−ヒドロキシフェニル)イミノメチ
ル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[N−(2
−ピリジルメチル)イミノメチル]−4−メチルフェノ
ール、2,6−ビス[N−(2−ピリジルエチル)イミ
ノメチル]−4−メチルフェノール、2,6−ビス[N
−(2−ジメチルアミノエチル)イミノメチル]−4−
メチルフェノール、2,6−ビス[N−(2−ピリジル
メチル)アミノメチル]−4−メチルフェノール、2,
6−ビス[N−(2−ピリジルエチル)アミノメチル]
フェノール、15−クラウン−5、1,4,7,10,
13−ペンタチアシクロペンタデカン等、あるいは、そ
れらからプロトンを一つ又はそれ以上取り去って得られ
る陰イオン等を挙げることができる。
【0016】本発明の遷移金属錯体触媒における配位子
の配位原子は、好ましくは、窒素原子および/または酸
素原子である。
【0017】本発明の遷移金属錯体触媒は、好ましくは
下記一般式(II)〜(V)で表される遷移金属錯体で
ある。 一般式(II)
【0018】
【化2】
【0019】(式中、Mは遷移金属原子を含む残基を表
す。R1、R3はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素
基、置換炭化水素基、O-、炭化水素オキシ基、置換炭
化水素オキシ基、アミノ基または置換アミノ基を表し、
R2は水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水
素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、炭化水素オキシカ
ルボニル基、置換炭化水素オキシカルボニル基、シアノ
基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。R1とR2と
がおよび/またはR2とR3とが環を形成してもよい。
nは1〜3の整数を表す。) 一般式(III)
【0020】
【化3】
【0021】(式中、Mは遷移金属原子を含む残基を表
す。R4、R9はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素
基、置換炭化水素基、O-、炭化水素オキシ基、置換炭
化水素オキシ基、アミノ基または置換アミノ基を表し、
R5、R8はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置
換炭化水素基、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ
基、炭化水素オキシカルボニル基、置換炭化水素オキシ
カルボニル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子
を表し、R6、R7はそれぞれ独立に水素原子、炭化水
素基、置換炭化水素基またはO-を表す。R10は二価
の炭化水素基または置換炭化水素基を表す。R4とR5
とがおよび/またはR8とR9とが環を形成してもよ
い。) 一般式(IV)
【0022】
【化4】
【0023】(式中、Mは遷移金属原子を含む残基を表
す。R4、R9はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素
基、置換炭化水素基、O-、炭化水素オキシ基、置換炭
化水素オキシ基、アミノ基または置換アミノ基を表し、
R5、R8はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置
換炭化水素基、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ
基、炭化水素オキシカルボニル基、置換炭化水素オキシ
カルボニル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子
を表し、R6、R7はそれぞれ独立に水素原子、炭化水
素基、置換炭化水素基またはO-を表す。R11および
R12はそれぞれ二価の炭化水素基または置換炭化水素
基を表す。R13は水素原子、炭化水素基または置換炭
化水素基を表し、R4とR5とがおよび/またはR8と
R9とが環を形成してもよい。) 一般式(V)
【0024】
【化5】
【0025】(式中、Mは遷移金属原子を含む残基を表
す。R14〜R29はそれぞれ独立に水素原子、炭化水
素基、置換炭化水素基、O-、炭化水素オキシ基、置換
炭化水素オキシ基、アミノ基、置換アミノ基、炭化水素
オキシカルボニル基、置換炭化水素オキシカルボニル
基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。R
14とR15および/またはR15とR16および/ま
たはR16とR17および/またはR18とR19およ
び/またはR19とR20および/またはR20とR2
1および/またはR22とR23および/またはR23
とR24および/またはR24とR25および/または
R26とR27および/またはR27とR28および/
またはR28とR29とが環を形成してもよい。) 上記一般式(II)〜(V)における置換炭化水素オキシ
基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基等で置換
された炭化水素オキシ基であり、具体例としては、トリ
フルオロメトキシ基、2−t−ブチルオキシエトキシ
基、3−ジフェニルアミノプロポキシ基等が挙げられ
る。
【0026】上記一般式(II)〜(V)における置換ア
ミノ基としては炭素原子数1〜20の置換アミノ基が好
ましく、具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ
基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、フェニルアミ
ノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピ
ルアミノ基、ジブチルアミノ基、メチルエチルアミノ
基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、
ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等が挙げられ
る。
【0027】上記一般式(II)〜(V)における炭化水
素オキシカルボニル基としては、炭素原子数1〜20の
炭化水素オキシカルボニル基が好ましく、具体的には、
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポ
キシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、フ
ェノキシカルボニル基等が挙げられる。
【0028】上記一般式(II)〜(V)における置換炭
化水素オキシカルボニル基は、ハロゲン原子、アルコキ
シ基、アミノ基等で置換された炭化水素オキシカルボニ
ル基であり、具体例としては、トリフルオロメトキシカ
ルボニル基、2−t−ブチルオキシエトキシカルボニル
基、3−ジフェニルアミノプロポキシカルボニル基等が
挙げられる。
【0029】上記一般式(II)〜(V)におけるハロゲ
ン原子として好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素
原子であり、さらに好ましくは塩素原子、臭素原子であ
る。
【0030】上記一般式(III)及び(IV)において、
R10、R11およびR12は二価の炭化水素基または
置換炭化水素基であり、具体例としては、メチレン基、
1,2−エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−
プロピレン基、1,4−ブチレン基等のアルキレン基、
1,2−シクロペンチレン基、1,2−シクロヘキシレ
ン基等のシクロアルキレン基、フェニレン基、ナフチレ
ン基等のアリーレン基等を挙げることができ、好ましく
は、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、
1,2−シクロヘキシレン基である。
【0031】上記一般式(II)で表される遷移金属錯体
における二座配位子の具体例としては、アセチルアセト
ン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタン
ジオン、トリフルオロアセチルアセトン、ジベンゾイル
メタン等、あるいはこれらからプロトンを一つまたはそ
れ以上取り去って得られる陰イオン等を挙げることがで
きる。好ましくはアセチルアセトンを使用することがで
きる。
【0032】上記一般式(III)で表される遷移金属錯
体における四座配位子の具体例としては、N,N'−ジ
サリシリデンエチレンジアミン、N−(3−オキソペン
チリデン)−N'−サリシリデンエチレンジアミン、
N,N'−ビス(3−オキソブチリデン)エチレンジア
ミン、N,N'−ビス(3−オキソブチリデン)−1,
3−プロパンジアミン、N,N'−ビス(3−オキソブ
チリデン)−1,2−フェニレンジアミン、N,N'−
ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)エチレンジ
アミン、N,N'−ビス(3−オキソペンチリデン)エ
チレンジアミン、N,N'−ビス(3−オキソヘキシリ
デン)エチレンジアミン、N,N'−ビス(4−メチル
−3−オキソペンチリデン)エチレンジアミン、N,
N'−ビス(4,4−ジメチル−3−オキソペンチリデ
ン)エチレンジアミン、N,N'−ビス(4−フェニル
−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N'
−ビス(4−トリフルオロメチル−3−オキソブチリデ
ン)エチレンジアミン、N,N'−ビス(2−シアノ3
−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N'−ビ
ス(2−シアノ−3−オキソブチリデン)エチレンジア
ミン、N,N'−ビス(2−ニトロ−3−オキソブチリ
デン)エチレンジアミン、N,N'−ビス(2−カルボ
キシルエチリデン)エチレンジアミン、N,N'−ビス
[2−(メトキシカルボニル)エチリデン]エチレンジ
アミン、N,N'−ビス[2−(ジメチルアミノカルボ
ニル)エチリデン]エチレンジアミン、N,N'−
(1,2−エチレン)−ビス(サリチル酸アミド)、
N,N'−(1,2−エチレン)−ビス(マロン酸モノ
メチルモノアミド)等、あるいは、それらからプロトン
を一つ又はそれ以上取り去って得られる陰イオン等を挙
げることができる。
【0033】上記一般式(IV)で表される遷移金属錯体
における五座配位子の具体例としては、N,N"−ジサ
リシリデンジエチレントリアミン、N−(3−オキソペ
ンチリデン)−N"−サリシリデンジエチレントリアミ
ン、N,N"−ビス(3−オキソブチリデン)ジエチレ
ントリアミン、N,N"−ビス(3−オキソブチリデ
ン)−ジプロピレントリアミン、N,N"−ビス(3−
オキソブチリデン)−N'−メチルジプロピレントリア
ミン、N,N"−ビス(1−メチル−3−オキソブチリ
デン)−N'−メチルジプロピレントリアミン、N,N"
−ビス(3−オキソペンチリデン)−N'−メチルジプ
ロピレントリアミン、N,N"−ビス(3−オキソヘキ
シリデン)−N'−メチルジプロピレントリアミン、
N,N"−ビス(4−メチル−3−オキソペンチリデ
ン)−N'−メチルジプロピレントリアミン、N,N"−
ビス(4,4−ジメチル−3−オキソペンチリデン)−
N'−メチルジプロピレントリアミン、N,N"−ビス
(4−フェニル−3−オキソブチリデン)−N'−メチ
ルジプロピレントリアミン、N,N"−ビス(4−トリ
フルオロメチル−3−オキソブチリデン)−N'−メチ
ルジプロピレントリアミン、N,N"−ビス(2−シア
ノ3−オキソブチリデン)−N'−メチルジプロピレン
トリアミン、N,N"−ビス(2−シアノ−3−オキソ
ブチリデン)−N'−メチルジプロピレントリアミン、
N,N"−ビス(2−ニトロ−3−オキソブチリデン)
−N'−メチルジプロピレントリアミン、N,N"−ビス
(2−カルボキシルエチリデン)−N'−メチルジプロ
ピレントリアミン、N,N"−ビス[2−(メトキシカ
ルボニル)エチリデン]−N'−メチルジプロピレント
リアミン、N,N"−ビス[2−(ジメチルアミノカル
ボニル)エチリデン]−N'−メチルジプロピレントリ
アミン、N,N'−(3−アザ−1,5−ペンチレンレ
ン)−ビス(サリチル酸アミド)、N,N'−(3−ア
ザ−1,5−ペンチレンレン)−ビス(マロン酸モノメ
チルモノアミド)等、あるいは、それらからプロトンを
一つ又はそれ以上取り去って得られる陰イオン等を挙げ
ることができる。
【0034】また、上記一般式(III)および(IV)で
表される遷移金属錯体は、さらに好ましくは下記一般式
(VI)または(VII)で表される遷移金属錯体である。 一般式(VI)
【0035】
【化6】
【0036】(式中、Mは遷移金属原子を含む残基を表
す。R6、R7はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基
または置換炭化水素基を表し、R10は二価の炭化水素
基または置換炭化水素基を表す。R30〜R37はそれ
ぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、炭
化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、置換アミノ
基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。) 一般式(VII)
【0037】
【化7】
【0038】(式中、Mは遷移金属原子を含む残基を表
す。R6、R7およびR13はそれぞれ独立に水素原
子、炭化水素基または置換炭化水素基を表し、R11お
よびR12はそれぞれ独立に二価の炭化水素基または置
換炭化水素基を表す。R30〜R37はそれぞれ独立に
水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基、炭化水素オキ
シ基、置換炭化水素オキシ基、置換アミノ基、ニトロ基
またはハロゲン原子を表す。) 上記一般式(VI)及び(VII)におけるM、炭化水素基、
置換炭化水素基、二価の炭化水素基または置換炭化水素
基、炭化水素オキシ基、置換炭化水素オキシ基、置換ア
ミノ基、ハロゲン原子は、上記一般式(II)及び(II
I)と同様のものが挙げられる。
【0039】上記一般式(VI)においてR6、R7、R1
0、R30〜R37としてさらに好ましくは、R6、R7がそ
れぞれ独立に水素原子または炭化水素基であり、R10が
アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基であ
り、R30〜R37がそれぞれ独立に水素原子、炭化水素
基、ハロゲン化炭化水素基、炭化水素オキシ基、置換ア
ミノ基、ニトロ基、塩素原子、臭素原子である。特に好
ましくは、R6、R7がそれぞれ独立に水素原子、メチル
基、フェニル基であり、R10が1,2−エチレン基、
1,3−プロピレン基、1,2−シクロヘキシレン基、
1,2−フェニレン基であり、R30〜R37がそれぞれ独
立に水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
iso−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ベ
ンジル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、ジメチ
ルアミノ基、ニトロ基、塩素原子、臭素原子である。
【0040】上記一般式(VII)においてR6、R7、
R11〜R13、R30〜R37としてさらに好ましくは、R
6、R7、R13がそれぞれ独立に水素原子または炭化水素
基であり、R11、R12がそれぞれ独立にアルキレン基、
アリーレン基であり、R30〜R37がそれぞれ独立に水素
原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭化水素オ
キシ基、置換アミノ基、ニトロ基、塩素原子、臭素原子
である。特に好ましくは、R6、R7、R13がそれぞれ独
立に水素原子、メチル基、フェニル基であり、R11、R
12がそれぞれ独立に1,2−エチレン基、1,3−プロ
ピレン基、1,2−フェニレン基であり、R30〜R37が
それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、t−ブ
チル基、ベンジル基、トリフルオロメチル基、メトキシ
基、ジメチルアミノ基、ニトロ基、塩素原子、臭素原子
である。
【0041】上記一般式(V)で表される遷移金属錯体
における四座配位子の具体例としては、フタロシアニ
ン、1,4,8,11,15,18,22,25−オク
タカルボキシ−29H、31H−フタロシアニン、1,
8,15,22−テトラフェノキシ−29H、31H−
フタロシアニン、2,9,16,23−テトラ−t−ブ
チル−29H,31H−フタロシアニン、テトラキス
(4−クミルフェノキシ)フタロシアニン、1,8,1
5,22−テトラキス(フェニルチオ)−29H、31
H−フタロシアニン、2,9,16,23−テトラキス
(フェニルチオ)−29H、31H−フタロシアニン、
3,10,17,24−テトラ−t−ブチル−1,8,
15,22−テトラキス−(ジメチルアミノ)−29
H、31H−フタロシアニン、フタロシアニンテトラス
ルホン酸、4',4'',4''',4''''−テトラアザ−2
9H,31H−フタロシアニン、テトラカルボキシフタ
ロシアニン、オクタカルボキシフタロシアニン、ナフタ
ロシアニン、2,11,20,29−テトラ−t−ブチ
ル−2,3−ナフタロシアニン、5,14,23,32
−テトラフェニル−2,3−ナフタロシアニン、5,
9,14,18,23,27,32,36−オクタカル
ボキシ−2,3−ナフタロシアニン等、あるいはこれら
からプロトンを一つまたはそれ以上取り去って得られる
陰イオン等を挙げることができる。好ましくはフタロシ
アニン、ナフタロシアニンを使用することができる。
【0042】本発明の遷移金属錯体触媒の合成法は、例
えば「第4版 実験化学講座17−無機錯体・キレート
錯体」丸善(株)、1991年、302頁等に記載され
ているような一般的な方法により得ることができる。該
遷移金属錯体は、あらかじめ合成された錯体を用いるこ
とができるが、反応系中で錯体を形成させてもよい。
【0043】本発明の遷移金属錯体触媒において、配位
子と遷移金属原子以外の構造は、触媒能を失活させない
ならば特に限定されるものではない。例えば、配位子と
してN,N'−ジサリシリデンエチレンジアミン(以下
サレンまたはsalenと表記することがある)を、遷
移金属として鉄を用いた、N,N'−ジ(サリシリデ
ン)エチレンジアミナト鉄(II)(以下鉄−サレン、鉄
(II)−salenと表記することがある)遷移金属錯
体は、酸素下において容易に酸素架橋体であるμ−オキ
ソ−ビス{(N,N'−ジサリシリデンエチレンジアミ
ナト鉄(III))}を形成することが知られているが、
このものを用いても何ら問題はない。
【0044】本発明の遷移金属錯体触媒には、電気的中
性を保たせるようなカウンターイオンが必要な場合があ
る。カウンターアニオンとしては、通常ブレンステッド
酸の共役塩基が使用され、具体例としては、フッ化物イ
オン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、
硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオ
ン、テトラフルオロボーレートイオン、ヘキサフルオロ
ホスフェイトイオン、メタンスルホン酸イオン、トリフ
ルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イ
オン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオ
ン酸イオン、安息香酸イオン、水酸化物イオン、酸化物
イオン、メトキサイドイオン、エトキサイドイオン等が
挙げられる。またカウンターカチオンとしては、アルカ
リ金属やアルカリ土類金属等のカチオンを適宜用いるこ
とができる。また本発明の遷移金属錯体触媒には、錯体
の原料、合成過程および/または架橋反応過程で、溶媒
などが配位していても良い。
【0045】本発明の遷移金属錯体触媒の活性を高める
ため助触媒を用いても良い。助触媒としてはアミン、ジ
ケトン錯体、ハロゲン化金属等が挙げられる。
【0046】アミンを助触媒に用いる場合は、Poly
mer Bulletin、42、125(1999)
に示されているように、活性の向上等の効果が期待でき
る。用いられるアミン種としては、遷移金属錯体触媒の
活性に影響を及ぼさず、フェノール性水酸基を有するビ
ニルポリマーや反応溶媒に可溶性を示すものであれば特
に制限はなく、公知のものが使用できる。具体的には、
ピリジン、トリエチルアミン、2,6−ルチジン、N,
N,N`,N`−テトラエチレンジアミン等の第3級ア
ミンを用いることができ、好ましくはフェノール性水酸
基を有するビニルポリマーに対して0.001〜50重
量%、より好ましくは0.001〜10重量%の範囲で
用いることが好ましい。
【0047】ジケトン錯体としては、鉄、コバルト、バ
ナジウム、クロム、マンガン、またはニッケルのアセチ
ルアセトナト錯体を挙げることができる。具体的には、
ビス(アセチルアセトナト)コバルト(II)、トリスア
セチルアセトナト)コバルト(III)、ビス(アセチル
アセトナト)マンガン(II)、トリス(アセチルアセト
ナト)マンガン(III)、トリス(アセチルアセトナ
ト)鉄(III)、ビス(アセチルアセトナト)オキソバ
ナジウム(IV)等を挙げることができ、使用する遷移金
属錯体触媒に対して0.1〜5モル等量、より好ましく
は0.5〜2モル等量使用するのが好ましい。
【0048】ハロゲン化金属の具体例としては、塩化第
一コバルト、塩化第二コバルト等を挙げることができ、
使用する遷移金属錯体触媒に対して0.1〜5モル当
量、より好ましくは0.5〜2モル当量使用するのが好
ましい。
【0049】本発明において、酸化剤は任意のものが使
用されるが、ラッカーゼ,チロシナーゼを使用する場合
は酸素を,ペルオキシダーゼを使用する場合はパーオキ
サイドを,金属錯体触媒を用いる場合は酸素またはパー
オキサイドを使用できる。酸素は不活性ガスとの混合物
であってもよく、空気でもよい。またパーオキサイドの
例としては、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキ
サイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイド
ロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、過酢酸、
過安息香酸等を示すことができる。さらに好ましくは過
酸化水素である。
【0050】本発明において、酸化剤の使用量に特に限
定はなく、酸素を用いる場合は、フェノール性水酸基を
有するビニルポリマー中のフェノールに対して通常、当
量以上大過剰に使用する。パーオキサイドを用いる場合
は、フェノール性水酸基を有するビニルポリマー中のフ
ェノールに対して通常、当量以上3当量以下を使用する
が、当量以上2当量以下を使用するのが好ましい。
【0051】本発明は,溶媒の存在下あるいは実質的に
溶媒を使用しないで架橋反応を行うことができる。溶媒
を用いる場合はフェノール性水酸基を有するビニルポリ
マーに対し不活性でかつ反応温度において液体であれ
ば、特に限定されるものではない。溶媒の例を示すなら
ば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素;ヘプタン、シクロヘキサン等の鎖状及び環状の脂肪
族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジク
ロロメタン等のハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、
ベンゾニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノー
ル、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコ
ール等のアルコール類;ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル
類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリ
ドン等のアミド類;ニトロメタン、ニトロベンゼン等の
ニトロ化合物類;水等が挙げられる。これらは単独ある
いは混合物として使用される。
【0052】
【実施例】以下,本発明を実施例により説明するが,本
発明はこれらに限定されるものではない。 (ポリマー1合成) ポリマー1;ポリ(エチレングリコール)メチルエーテ
ルメタクリレート(平均分子量468カタログ値)2.5g,
2-(4-ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート(メ
タクリル酸ビニルエステルとp-ヒドロキシフェネチル
アルコールをリパーゼ触媒の存在下に反応させて合成し
た(特開平7-58336号公報参照)。)47.5g,AIBN 0.5
gを300mLのナスフラスコに仕込み,テトラヒドロフラ
ン100mLを加えた。このものを窒素バブリングしてフラ
スコ内の酸素を追い出した後,マグネチックスターラー
で6時間,70℃で攪拌した後,多量の石油エーテル中に
反応物を投入した。生成した沈殿物を遠心分離より回収
して30℃で減圧乾燥した。このもののGPC分析(RI検出
器)より,ポリスチレン換算で計算された数平均分子量
(以下Mn)は23800,重量平均分子量(以下Mw)/Mnは
2.2であった。 (ポリマー2合成) ポリマー2;ポリ(2-(4-ヒドロキシフェニル)エチル
メタクリレート) 2-(4-ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート2.0
g,AIBN40mg,THF13.3gを50mLの2口ナスフラスコ
に仕込み,アルゴンガスを30分間バブリングして系中の
酸素を除去してフラスコ内の酸素を追い出した後,マグ
ネチックスターラーで5時間,70℃で攪拌した後,多量
の石油エーテルとTHFの混合溶媒(石油エーテル/THF=1
25/15)中に反応物を投入した。沈殿物を遠心分離より
回収して室温で減圧乾燥した。収量1.92g。このものの
GPC分析(RI検出器)よりポリスチレン換算で計算され
たMn=11800,Mw/Mn=2.3であった。得られたポリマー
を熱重量分析(TGA)したところ,アルゴン下500℃での
残存率は18重量%であった。 (ポリマー3) ポリマー3;ポリ(4-ビニルフェノール) アルドリッチ社製のポリ(4-ビニルフェノール)(GPC
のポリスチレン換算でMn=4500,Mw/Mn=1.7)。得られ
たポリマーを熱重量分析(TGA)したしたところ,アル
ゴン下500℃での残存率は12重量%であった。 実施例1(架橋反応1) ポリマー1を20mg,ラッカーゼ(高研製,Pycnoporus
coccineus由来,蛋白質濃度14.2mg/mL)10マイクロ
リットルを混合し,ガラス板に薄膜を作成し(膜厚10〜
15マイクロメートル),30℃,相対湿度80%の恒温恒湿
器に設置して硬化反応を試みた。2日後の塗膜を指で触
れて指触乾燥性を評価したところ,指触乾燥していた。 実施例2(架橋反応2) ポリマー2を50mgをTHF5mLに溶解し,鉄−サレン0.
8mgを加えた。この溶液を30℃に保ち,30%過酸化水
素28マイクロリットルを一度に加えた。過酸化水素の添
加後すぐに褐色沈殿物が生成した。60分反応を継続した
後,沈殿物を遠心分離により回収し,THF洗浄後に室温
下で減圧乾燥した。収量44mg(収率87%)。得られた
架橋物を熱重量分析(TGA)したところ,アルゴン下500
℃での残存率は44重量%であった。以上の結果は,架橋
反応を行うことで耐熱性が向上したことを示している。 実施例3(架橋反応3) ポリマー3を50mgをTHF5mLに溶解し,鉄−サレン1.
3mgを加えた。この溶液を30℃に保ち,30%過酸化水
素47マイクロリットルを一度に加えた。過酸化水素の添
加後すぐに褐色沈殿物が生成した。60分反応を継続した
後,沈殿物を遠心分離により回収し,THF洗浄後に室温
下で減圧乾燥した。収量48mg(収率95%)。得られた
架橋物を熱重量分析(TGA)したところ,アルゴン下500
℃での残存率は54重量%であった。以上の結果は,架橋
反応を行うことで耐熱性が向上したことを示している。 比較例1 実施例1のラッカーゼの代わりに100℃で失活させたラ
ッカーゼをもちい、他は実施例1と同様に架橋させたと
ころ,塗膜は指触乾燥しなかった。 比較例2 実施例1のラッカーゼの代わりに牛血清アルブミンをも
ちい、他は実施例1と同様に架橋させたところ,塗膜は
指触乾燥しなかった。 (比較例3) 実施例2の鉄−サレンを使用しないで他は実施例2と同
様に架橋させたところ,沈殿物は得られなかった。 (比較例4)実施例2の過酸化水素を使用しないで他は
実施例2と同様に架橋化させたところ,沈殿物は得られ
なかった。 (比較例5)実施例3の鉄サレンを使用しないで他は実
施例3と同様に架橋させたところ,沈殿物は得られなか
った。 (比較例6)実施例3の過酸化水素を使用しないで他は
実施例3と同様に架橋させたところ,沈殿物は得られな
かった。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、温和な条件でフェノー
ル性水酸基を有するビニルポリマーを架橋させることが
できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール性水酸基を有するビニルポリ
    マーを,触媒と酸化剤との存在下に酸化反応させること
    を特徴とするビニルポリマーの架橋方法。
  2. 【請求項2】 触媒が酵素触媒である請求項1記載のビ
    ニルポリマーの架橋方法。
  3. 【請求項3】 触媒が金属錯体触媒である請求項1記載
    のビニルポリマーの架橋方法。
  4. 【請求項4】酸化剤が酸素または過酸化水素である請求
    項1記載のビニルポリマーの架橋方法。
  5. 【請求項5】フェノール性水酸基を有するビニルポリマ
    ーを、請求項1〜4いずれか記載の架橋方法で架橋して
    なるビニルポリマーの架橋物。
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CN109715750A (zh) * 2016-09-22 2019-05-03 巴斯夫涂料有限公司 可通过缩合和/或加成反应固化的涂料组合物
CN109715750B (zh) * 2016-09-22 2021-11-05 巴斯夫涂料有限公司 可通过缩合和/或加成反应固化的涂料组合物

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