JP5024734B2 - 台車のモニタリングシステムとモニタリング方法 - Google Patents

台車のモニタリングシステムとモニタリング方法 Download PDF

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Description

この発明は、搬送台車等の台車のモニタリングに関し、特に不具合の解析に関する。
搬送台車システム、以下単に台車システムでは、天井走行車、あるいは地上を無軌道で走行する無人搬送車、などの台車を走行させる。台車システムの状況を解析するため、特許文献1:JP3428946Bは、各設備の動作内容と、動作開始時刻、動作終了時刻等をログファイルに記憶し、不具合の原因を解析できるようにすることを開示している。しかしながら不具合の原因を解析するには、その状況をビジュアルに表示する必要がある。例えばログファイルから不具合の原因を理解するには、相当の経験が必要である。
特許3428946
この発明の課題は、台車システムの不具合をビジュアルに解析できるようにすることにある。
この発明の台車のモニタリングシステムでは、走行ルートに沿って複数の台車を走行させる、台車システムをモニタリングするために、少なくとも渋滞の発生状況のデータを記憶するための記憶手段と、モニタと、渋滞のリストをモニタに表示してオペレータにリストから渋滞を選択させると共に、選択された渋滞に対し、前記記憶手段のデータに従い、渋滞が発生したエリアの走行ルートのレイアウト上に、渋滞の発生から解消までの間の渋滞に巻き込まれた台車と前記エリア内の他の台車とを、各台車の状態と共に、単位時間毎に表示を更新しながらモニタに表示するための再生手段とを設ける。
この発明の台車のモニタリング方法では、走行ルートに沿って複数の台車を走行させる、台車システムをモニタリングするために、少なくとも渋滞の発生状況のデータを記憶するためのステップと、渋滞のリストをモニタに表示してオペレータにリストから渋滞を選択させるためのステップと、選択された渋滞に対し、前記記憶手段のデータに従い、渋滞が発生したエリアの走行ルートのレイアウト上に、渋滞の発生から解消までの間の渋滞に巻き込まれた台車と前記エリア内の他の台車とを、各台車の状態と共に、単位時間毎に表示を更新しながらモニタに表示するためのステップ、とを実行する。
この発明では、不具合の発生状況をビジュアルに表示できるので、その原因などを容易に解析できる。
この明細書において、台車のモニタリングシステムに関する記載はそのまま台車のモニタリング方法へも当てはまり、逆に台車のモニタリング方法に関する記載はそのまま台車のモニタリングシステムへも当てはまる。
不具合の発生前後とは、例えば不具合の発生から解消までの時期をいい、不具合の発生前あるいは発生後の時期も含めても良く、また不具合が長時間続く場合、一部を省略しても良い。
この発明では、前記再生手段により、前記レイアウト上に前記エリア内の他の台車を、不具合の発生前後の動作と共に、前記モニタに表示する。
このようにすると、不具合と周囲の台車との関係とを容易に把握でき、例えば渋滞などの解析が容易になる。
この発明では、前記再生手段により、不具合のリストを前記モニタに表示して、選択された不具合に関する表示を行う。
このようにすると、解析対象の不具合を容易に選択して、ビジュアルに解析できる。
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
図1〜図13に、実施例を示す。図1は搬送台車システム2のレイアウトを示し、複数のイントラベイルート6の間をインターベイルート4で接続している。そして搬送台車システム2のレイアウトには、分岐やショートカットなどが多数あるので、出発位置と目的位置とを指定しても、その間の走行経路は一般に多数ある。8〜10は搬送台車で、このうち搬送指令を未割付の台車を8で、搬送指令が割付済みで走行中の台車を9で、搬送指令が割付済みで物品を移載中の台車を10で示す。搬送台車8〜10はここでは天井走行車とするが、地上を無軌道で走行する無人搬送車や、地上を有軌道で走行する有軌道台車などでもよく、以下では搬送台車と台車とは同じ意味である。搬送台車システム2は、例えばクリーンルーム内で、半導体基板やフラットパネルディスプレイの基板などを搬送する。
12はバスで、地上のコントローラ間を接続する。地上側のコントローラとして、例えばイントラベイルート6毎にゾーンコントローラ14を設け、イントラベイルート6内の搬送台車8〜10を制御する。図1の鎖線で、1台のゾーンコントローラ14の制御範囲を示す。またインターベイルート4内の搬送台車8〜10はゾーンコントローラ15で制御し、搬送コントローラ16が搬送台車システム2の全体を制御する。18は生産コントローラで、搬送コントローラ16に搬送要求を通信し、搬送コントローラ16から搬送結果を受信する。そして搬送コントローラ16は、ゾーンコントローラ14,15を介して、搬送台車8〜10に種々の指令を入力し、指令に対する処理結果と例えば1秒毎の搬送台車8〜10の位置と速度、及び状態を受信する。
図2に搬送台車1台分の制御系を示し、通信部20はゾーンコントローラ14,15と通信し、主制御部21はゾーンコントローラ14,15から受信した指令を解釈することにより、走行制御部22〜診断部28を制御すると共に、指令の実行結果をゾーンコントローラ14、15へ報告する。また搬送台車の現在位置と、走行中の場合の速度、物品の移載中で荷積み中か荷下ろし中か、搬送指令を未割り付けで待機中などの、搬送台車の現在の状態、及び走行経路の検査結果などを、ゾーンコントローラ14,15へ報告する。走行制御部22は走行モータを制御し、移載制御部23は天井走行車の昇降台の昇降や物品のチャッキング/解放などを制御し、横移動制御部24は昇降台の横移動を制御し、θ制御部25は昇降台を水平面内で回動させる。なお横移動制御部24やθ制御部25は、設けなくても良い。
ルートマップメモリ26は走行経路のルートマップを記憶し、マップ上では、走行ルートはセグメントを互いに連結したものとして記載される。そして各セグメントに対し、その入口と出口との座標、及びセグメントの所要走行時間が記載され、座標は例えばセグメントの長さに換算可能なデータである。セグメントの単位は任意であるが、例えば分岐部や合流部などのように、ブロッキング等の特別の制御が必要なエリアを1つのセグメントとし、直線区間は適宜の長さに分割して例えば複数のセグメントとする。例えば停止位置毎にセグメントを設けても良く、あるいは1つのセグメント内に複数の停止位置が含まれても良い。
ルート選択部27は、ルートマップ及びティーチングされた規則を参照して、現在位置から指定された目的位置までの走行経路を選択する。走行経路の選択はセグメントの選択であり、ティーチングされた規則に合致する範囲で、ルートマップのデータを参照し、例えば目的位置までの所要時間の合計が最短の経路を選択する。なお走行指令では一般に目的位置のみが指定され、搬送指令ではfrom位置とto位置とが指定される。診断部28は複数の加速度センサなどを備え、走行中に搬送台車が受ける振動の程度などを検出する。
図3に、搬送コントローラ16の構成を示す。通信部30はバス12を介してゾーンコントローラ14,15と通信し、また図示しない通信路を介して生産コントローラ18と通信する。オペレータインターフェース31は、カラーモニタ32に走行ルートやオペレータの入力などを表示し、キーボード33やマウス34などのマニュアル入力手段からオペレータのマニュアル入力を受け付ける。実施例では、走行ルートをセグメントに分割してカラーモニタ32に表示する。割付部35は、搬送指令や走行指令などを搬送台車に割り付け、未割付の搬送指令や走行指令を待行列管理部36で管理する。
経路指定部38は、カラーモニタ32上でオペレータがマウス34などで指定した、セグメントを接続するように走行経路を発生させ、走行経路に対する走行指令を作成する。この走行指令は、通信部30を介して、搬送台車に割り付けられる。経路指定の詳細は図4〜図6に示す。
再生部40は、搬送台車システムの現在あるいは過去の状況をカラーモニタ32上に再生する。以下では過去の状況の再生を示すが、図8で実行中の搬送指令の所要時間を表示するような場合を除き、現在の状況でも同様に再生できる。走行経路再生部41は、与えられた搬送指令や走行指令に対し、搬送台車が実際にどのように走行したのかの経路を再生する。再生結果はカラーモニタ32に表示され、搬送台車が走行した経路と、周囲の搬送台車の動作とを表示し、表示を所定時間毎に更新すると、動画風に表示できる。ただし表示を更新しなくても、おおよその状況は理解できる。
割付状況再生部42は、例えばイントラベイルートなどの単位で、搬送指令の割付状況をカラーモニタ32に再生する。割付状況として、例えば発生した搬送指令の数と、割付済みの搬送指令の数、並びに未割付の搬送指令の数などを表示する。割付状況はイントラベイルートなどの単位で管理し、イントラベイルート内を起点とする搬送指令が発生すると、そのイントラベイルートに対し、搬送指令の数及び未割付の搬送指令の数を1加算する。搬送指令を割り付けると、未割付の搬送指令の数を1減算し、割付済みの搬送指令の数を1加算する。そして割付済みの搬送指令が例えば完了すると、割付済みの搬送指令の数を1減算する。なお搬送指令の完了時ではなく、実行開始時に割付済みの搬送指令を1減算しても良い。さらにイントラベイルートなどの単位で、存在する搬送台車の総数と、未割付の搬送台車の数、搬送指令を割付済みで未実行もしくは実行中の搬送台車の数、などを表示する。またインターベイルートに対しても、同様の処理を行う。
不具合状況再生部43は、走行ルートで渋滞が生じたエリアと、その時刻などの状況をカラーモニタ32に再生する。渋滞状況の再生では、渋滞が生じたエリアのレイアウトと、そのエリア内の搬送台車の位置などを再生する。また走行ルートのいずれかの区間が走行不能になる、搬送台車にトラブルが生じるなどの不具合も、不具合の生じた区間と発生時刻、あるいは台車のIDと発生時刻などと共に再生する。エリアは、イントラベイルート程度の規模かそれよりも小さい規模の範囲で、複数のセグメントを含み、イントラベイルート間の境界などにとらわれずに、関係する箇所を示す言葉である。
トラッキング部46は搬送台車システムの過去の状況を記憶し、再生部40などに提供する。48はファイル作成部で、通信部30から取得したデータに基づいて、トラッキングファイル52〜54を作成し、適宜のメモリに記憶させる。50は検索部で、所要のファイルを抽出して、ファイル内の所要のレコードを検索する。52は搬送台車トラッキングファイルで、ファイル名はデータの年月日時を表している。そしてファイル52では、1台の搬送台車の1つの時刻での状態が1個のレコードとなり、複数の搬送台車に対する例えば1秒間隔で1時間分のレコードが、1個のファイルを構成する。検索部50は、ファイル名から所望のファイルを抽出することにより、年月日時までのデータを検索でき、台車のID、例えば台車番号と、分/秒などの1時間よりも短い時間とから、ファイル内の個々のレコードを検索する。
搬送指令トラッキングファイル53は、搬送指令の内容(指令のID,搬送物品のID,荷積み位置と荷下ろし位置,及び搬送の優先度などの補助的データ)と、搬送指令を搬送台車に割り付けた時刻と、割り付けられた搬送台車のID,搬送指令の完了時刻、正常終了/異常終了などの完了結果を記憶している。トラッキングファイル53は、搬送指令以外に、荷積み位置までの走行指令や、追い出し、配車などによる走行指令も同様に記憶する。これらのデータは、指令を割り付けた時刻と割り付けられた搬送台車のID、搬送台車より報告された現在位置と、指令での行先である。追い出しは搬送台車がルート4,6を塞がないように移動させることで、配車は、個々のイントラベイルート6とインターベイルート4などの単位で、他のエリアへ空荷の搬送台車を移動させることである。
不具合トラッキングファイル54は、走行ルートの渋滞、走行ルートの異常、搬送台車の故障などにつき、発生箇所あるいは渋滞が生じたエリアと、発生時刻,解消時刻,関係する搬送台車の台数とID,及び状況を記憶している。渋滞の定義は、例えば走行中で、かつ速度が所定値以下の搬送台車が、所定の距離内に複数台存在することである。関係する搬送台車の台数及びIDは、トラッキングファイル52から求めることができるので、記憶しなくても良い。
図3のファイル52〜54のうちで最大のファイルは、搬送台車トラッキングファイル52である。図4にトラッキングファイル52の構造を示す。トラッキングファイル52は、例えば全ての搬送台車に対する例えば1時間分のデータを記憶し、ファイル名として年月日時が記載されている。このためファイル名から、1時間単位でファイルに記憶されている時間帯が分かる。ファイル52には所定のバイト数の注釈欄が設けられ、レコードの繰り返し数nが記載されている。繰り返し数nはファイル52が扱うことができる搬送台車の台数の上限である。注釈欄をファイル名と共にファイルアロケーションテーブルに記憶させる場合、年月日時をファイル名ではなく、注釈欄に記憶させても良い。
レコードは台車毎に設けられ、台車のIDと繰り返し数nとから、どのレコードにどの台車のデータがあるかが容易に求められる。例えばレコードは、同じ時刻の複数の台車のレコードを、台車のIDに従って整列し、次の時刻の複数の台車のレコードを、同様に台車のIDに従って整列する。台車のIDから該当するレコードをより容易に求めることができるように、台車のIDとレコード番号との対応表を注釈に含めても良い。なおこの対応表は、繰り返し数nまでのレコード、即ち1回の時刻分のレコードに対して記載する。
台車のレコードは、台車のIDと位置、速度、及び状態を記載している。ここに停止中の場合、速度が0となり、状態には、荷積み中、荷積みを終えて荷下ろし位置まで走行中、荷下ろし中、荷積み位置まで走行中、追い出し走行中、配車走行中、ブロッキングを要求中、ブロッキングを許可済み、などのデータが含まれる。そしてレコードは複数の台車に対し、IDの昇順あるいは降順などの簡単なルールで配置されている。レコードは、台車毎に、かつ単位時間毎に、例えば1秒毎に作成され、n台までの台車のレコードを設けることができる。ファイル52のレコードの総数は3600nなので、台車のIDとデータが必要な時刻から、どのレコードを検索すればよいかが判明する。
実施例では、実際の搬送台車の数以上の大きな数nを用いて検索を簡単にする。しかし、このためデータのないレコードが生じる。検索をやや低速にしてファイル52の長さを小さくするには、繰り返し数nを定数ではなく変数とし、注釈に各時刻でのnの値等を記載すればよい。
図4の、トラッキングファイル52を用いることにより、各レコードに時刻を記載する必要が無くなる。これによってファイル52の長さを短くできる。次にファイル名に年月日時が記載されるので、ファイル名を指定することによって、必要なファイル52を抽出できる。ファイルは例えば1時間毎に作成されるので、多数のファイルがあるが、ファイル長が固定なので、読み出しアドレスの範囲が容易に分かる。なお年月日時での「年」あるいは「年月」を省略しても良い。この場合、トラッキングファイル52は、年毎あるいは年月毎のディレクトリに記憶され、ディレクトリ単位で管理される。ファイル52では繰り返し数nが指定され、レコードは台車のIDに従って配置されるので、必要な台車のレコードのみを容易に読み出すことができる。従って台車の状態を容易に知ることができる。
なおトラッキングファイル52を台車毎に設けると、ファイルの数が増し、かつ複数台の台車の挙動を同時に表示する際に、複数のファイルからデータを読み出す必要がある。ファイル52では、nが定数の場合、例えば台車1の1時間分の3600個のレコードの次に、台車2の1時間分のレコードを配置しても良い。この場合、ファイル52の作成時に、書き込みアドレスが不連続にジャンプするため、書き込み時間が長くなる。
図5,図6に搬送台車の走行状況の再生を示す。図5において、6a,6b,6cは個別のイントラベイルートで、ここでは搬送台車9aに着目しているものとする。そして図1のルート4,6等の表示から、個々のイントラベイルート6などをマウスなどで選択することにより、あるいは図1の表示から個々の台車を選択することにより、図5の表示へ移動する。台車9aが搬送指令を実行中の場合、走行済みの区間62,63と、未走行の区間64,65を、色分けして表示する。台車9aの現在位置と荷積み位置の間を走行済みの表示60で連結し、荷下ろし位置と現在位置の間を未走行分の表示61で連結する。表示60,61は各々線分から成り、表示60と表示61とで色を変えて、台車9aがどこで荷積みしどこで荷下ろしするのかを表示する。なお区間62〜65に対する色分け表示と、色分けの表示60,61はいずれか一方を行えばよい。
台車9aは、空荷か、在荷か、移載中かなどを、台車の色などを変えて表示するので、台車9aが動かない場合、渋滞などにより動かないのか、移載により動かないのかは、図5の表示から明らかである。また図5の表示は、例えば単位時間毎に更新される。さらに空荷で走行中の搬送台車をオペレータが指定すると、走行指令を受けた時点での台車の位置を出発位置とし、走行指令で指定された位置、例えば荷積み位置を目的位置として、図5と同様の表示を行う。これらの結果、台車が、どの位置からどの位置までをどのような経路で走行しようとしているのかと、その進捗状況が一目瞭然となる。従って台車が効率の低いルートを選択している場合、図5で発見できる。このような場合、各台車の走行ルートのマップでの、区間毎の所要時間を変更する、あるいはどのエリアからどのエリアへの移動では、どの位置を中間点として通過するかを指定するなどにより、より効率的に台車を走行させることができる。
図6に、図5の表示アルゴリズムを示す。搬送台車トラッキングファイル52から台車の位置と状態を読み出し、カラー表示する。次に台車をオペレータが指定すると、指定された台車に対する搬送指令を検索し、搬送指令がない場合、走行指令を検索する。そして指令中の荷積みポイントあるいは出発位置から、現在位置への線分を第1色で表示し、現在位置から、荷下ろしポイントあるいは走行先への線分を第2色で表示する。そして単位時間、例えば1秒経過する毎に、搬送台車の位置と、荷積みポイント等から現在位置への線分、及び現在位置から荷下ろしポイント等への線分を変更する。
図7〜図11に、ベイの状態の表示を示す。図7のウインドウ70では、複数のベイについてベイの状態を表示し、例えば図5の表示と図7のウインドウ70との間で、互いにジャンプできる。ウインドウ70と例えば同じ画面に、ベイの状態グラフ72が表示され、グラフ72は、複数のベイに対して、搬送指令の状態と搬送台車の状態を表示する。表示72は、ウインドウ70と同時に同じ画面に表示しても良く、あるいは別々の画面に表示して互いにジャンプできるようにしても良い。ウインドウ70の表示を走行ルートのレイアウトに沿ってスクロールすると、表示72に表示するベイが連動して変化し、逆に表示72を左右にスクロールすると、ウインドウ70の表示も連動して変化する。
グラフ72は棒グラフとして表示され、バー73は搬送指令に関するバーで、例えば割付済みの搬送指令と未割付の搬送指令とを色を変えて表示する。バー73に表示する搬送指令の数は、そのベイを起点とする搬送指令で、発生した数から完了済みの数を引いたものとする。またバー74は搬送台車に関するバーで、搬送指令を未割付の台車と割付済みの台車とを色を変えて表示する。バー75は搬送台車の出入りを示し、所定時間後、例えば1分後に、増減する搬送台車の数を示す。
バー73,74で、搬送指令を未割付のものと割付済みのものとで、色を変えて表示する代わりに、未割付のものと割付済みのものを別のバーで表示しても良い。さらに搬送指令や搬送台車の総数のバーと、割り付け済みの搬送指令や搬送台車のバーとを表示し、総数のバーと割り付け済みのバーの高さの差から、未割付の搬送指令や搬送台車を表示しても良い。またベイとしてインターベイルート4が指定された場合、インターベイルート4を複数に分割したエリアが表示の対象となる。またベイから出入りする台車は、ベイ内で荷積みしベイ外で荷下ろしする搬送台車の数と、ベイ外で荷積みしベイ内で荷下ろしする搬送台車の数、及びベイの内部から外部への配車指令の数と、ベイの外部からベイの内部への配車指令の数で定まる。そこで搬送指令及び配車により増減する台車の総数をバー75で表示し、バー75の値は正の値と負の値とがある。ベイ選択ボタン76は、ベイ単位の詳細表示へジャンプするためのボタンである。ベイの詳細状態グラフ80を図8に示す。
図8では、グラフ80はウインドウ70と同時に別のウインドウして表示され、バー73,74に加えて、バー81〜86が追加され、バー75はベイ内に進入する搬送台車のバー87と、ベイから退出する搬送台車のバー88とに分割してある。バー81,82は搬送指令の実行時間に関するバーで、バー81は搬送指令が割り付けられた後、完了するまでの平均実行時間を示し、バー82は搬送指令が割り付けられるまでの平均待ち時間を示す。バー83〜86は搬送台車での指令の実行に要する時間を示し、バー83は搬送指令を割り付けられた後、荷積み位置までの平均走行時間を示し、バー84は、荷積み後、荷下ろし位置までの平均走行時間を示す。
バー85は平均渋滞時間を示し、走行時間の内で走行速度が所定値以下の部分を渋滞と見なして、バー83,84からバー85へ移す。渋滞の定義は任意である。バー86は平均移載時間を示す。ロードポートあるいはステーションなどとの間で、実際に移載を行うための時間自体はほぼ一定である。従ってバー86は、荷積み位置でロードポート側の準備ができていない、あるいは荷下ろし位置でロードポート側の準備ができていない、などのための待ち時間を表している。
バー89は、搬送台車が搬送指令を割り付けられるまでの平均待ち時間を表し、これは空きの搬送台車が発生すると、何秒程度で搬送指令を割り付けられるかを表している。グラフ80にはこれ以外に種々の表示を追加でき、例えば荷積み位置で準備ができていないと、搬送指令を変更できる場合、このようなことが生じた回数を表示でき、また荷下ろし先が荷下ろしが不能であると、荷下ろし先を変更できる場合、荷下ろし先を変更した回数などを表示しても良い。さらにベイ内での搬送指令の発生位置の分布、即ち荷積み位置の分布を表示しても良く、また荷下ろし位置の分布を表示しても良い。図8の戻りボタンにタッチすると図7の表示に戻り、ベイ選択ボタン76にタッチすると、選択された他のベイの詳細表示へジャンプする。またウインドウ70では、ベイ選択ボタン76で選択されたベイを中心に表示する。
図7,図8では棒グラフを用いたが、これに代えて円グラフを用いることもできる。このような例を図9に示し、搬送指令の数を表す円グラフ90は、搬送指令を割付済みと未割付とに分けて表示し、円グラフ90の半径は搬送指令の数を表す。また円グラフ92は搬送台車の状態を示し、ここでは未割付の搬送台車が存在せず、全ての台車が割付済みで、円グラフ92の半径はベイ内の搬送台車の数を示す。グラフ90,92は単位時間毎に更新され、例えば円グラフ90が円グラフ91に更新され、円グラフ92が円グラフ93に更新される。
図10に、ウインドウ70,72,80などの関係を示す。図7には、ウインドウ70と、グラフ72のウインドウとが示され、ここからベイを選択すると、ベイの詳細表示のグラフ80のウインドウが表示される。ウインドウ70あるいはグラフ80では、搬送台車あるいは搬送指令を選択できる。例えばウインドウ70で個別の搬送台車をクリックすると、指定された台車に関する走行状況を、例えば図5のように表示する。またグラフ80からいずれかのバーにタッチすると、タッチされたバーに関する搬送台車もしくは指令が選択されたものとする。
搬送台車が選択された場合、図5と同様の表示を行い、指令が選択された場合、図5に類似した表示を指令の発生時刻から完了時刻まで表示する。例えば個別の搬送指令が選択されると、搬送指令の発生から荷積みまでの間、待機している搬送物品の位置を図5に表示し、荷積みが行われると、図5の表示を行う。仮に図8のグラフ80から、マウスなどでバー82にタッチされたものとする。なおここではグラフ80は過去のデータに関するもので、実行は完了しているものとする。するとバー82に含まれる搬送指令を、グラフ80の例えば右側に、待ち時間の短いものから長いものの順などに表示し、オペレータに個々の指令を選択させる。
同様にしてバー73や81から搬送指令を選択できる。またバー74〜86のいずれかにオペレータがタッチすると、タッチされたバーに含まれる搬送台車を、例えば走行時間の短いものから長いものへの順、渋滞時間の短いものから長いものへの順、などに配列して表示し、オペレータに特定の搬送台車を選択させる。同様にバー87やバー88にタッチされると、該当する台車をリストして選択させる。これらによって個々の搬送指令の実行状況や搬送台車の動作を詳細に表示できる。
以上のようにして、ベイの状態や搬送指令の実行状況などを表示すると、オペレータは搬送台車に対するティーチングを行い、あるいは運用ルールを改善できる。ティーチングでは搬送台車が記憶しているセグメント単位での平均走行時間を更新し、あるいは出発地のエリアと目的位置のエリアとの組み合わせ毎に、中間で通るべきポイントを指定する。これは走行ルートのマップ以外の手法により、ルート選択の優先順位を指定することである。さらに配車のルールなどを変更することにより、より効率的に搬送指令を実行できるようにできる。
図11に、図7の表示のためのアルゴリズムを示す。ベイの状態に関する時刻を指定すると、例えばカラーモニタ32の第1のウインドウに、搬送台車トラッキングファイルを用いて、走行ルートと搬送台車とを表示する。また同じモニタ32の第2のウインドウにベイ毎の状態を表示する。搬送台車の状態は搬送台車トラッキングファイルから求めることができ、搬送指令の状態やベイに出入りする予定の台車の数などは搬送指令トラッキングファイルから求めることができる。ベイの状態として渋滞を表示する場合、不具合トラッキングファイル54を用いると、同様の表示ができる。
これらの表示は単位時間毎に更新する。搬送指令の数の更新では、新たに発生した搬送指令を加算し、完了した搬送指令を減算すればよい。台車の数の増減は搬送台車トラッキングファイルから求まり、出入り予定の搬送台車の数は搬送指令トラッキングファイルから判明する。そしてここでオペレータが個々のベイを選択すると、図8の表示へジャンプする。また個々の台車を選択すると、図5の表示などへジャンプする。
図12,図13に、渋滞などの不具合の表示を示す。不具合トラッキングファイル54は、渋滞の発生時刻と解消時刻、渋滞が生じたエリアなどを記憶している。そこで不具合トラッキングファイル54の渋滞に関するデータを、例えば渋滞リスト100として、カラーモニタ32に表示する。これ以外に搬送台車に何らかのトラブルが生じた、走行ルートに異常が生じたなども、不具合トラッキングファイル54で記憶しているので、これらに対する他の不具合リスト101も表示する。オペレータが渋滞リスト100から個別の渋滞を選択すると、即ち渋滞の発生時刻と場所とを記載したレコードを選択すると、該当するレコードのデータを渋滞状況の再生表示102として表示する。表示の範囲は、例えば渋滞の発生から解消までと、渋滞が生じているエリアとその周辺である。
表示では、渋滞が生じたエリアとその周辺のエリアに対して、走行ルートのレイアウトに台車を重ねて表示する。また渋滞に直接巻き込まれた台車のみでなく、周囲の台車も表示する。台車は空荷、実荷で走行中、受け渡し中などの状態と共に表示し、単位時間毎に表示を更新する。従って搬送台車の移動状況を、カラーモニタで見ることができる。例えば図12の表示102の場合、台車は図の矢印方向に走行するものとして、物品の移載を行っている台車10a,10bが渋滞の原因であることが、ほぼ明らかになる。表示102を時間を追って観察すれば、なぜ渋滞が生じ、渋滞はどのように推移したのかが、より正確に分かる。従って渋滞を回避するための、運用ルールの変更やティーチングなどができる。
図13に、図12の表示のためのアルゴリズムを示す。不具合トラッキングファイルのデータを例えばリスト形式で表示し、個別の不具合をオペレータが選択する。すると不具合が発生したエリアと発生した時間帯とに応じて、搬送台車のトラッキングファイルを検索し、個々の台車を状態毎に色分けして表示し、表示を単位時間毎に更新する。そして渋滞への対策としてオペレータは、
・ 特定のエリアが渋滞しやすい場合、そのエリアを回避するように、ルートマップでの所要時間を更新し、あるいは走行途中で通過する中間点を指定し、
・ 台車数が多すぎることが原因であれば、配車のルールを変更し、
・ 特定のロードポートが渋滞を引き起こしやすい場合は、その前後にバッファを追加する、などを行う。図12,図13のようにすると、渋滞の発生状況をビジュアルに表示するので、渋滞の状況及び原因を解析して対策を施すことが容易になる。
なおカラーモニタ32〜不具合トラッキングファイル54を、搬送コントローラ16の外部に設けて、搬送台車システム2を外部からモニタリングしても良い。また走行ルートを搬送コントローラ16で決定して、搬送台車8〜10に指令する場合でも、同様に搬送台車の走行ルートを、走行経路再生部41で再生し、カラーモニタ32に表示できる。
実施例の搬送台車システムの、レイアウトを示す図 実施例での搬送台車の制御系を示すブロック図 実施例での搬送コントローラのブロック図 実施例の搬送台車トラッキングファイルを示す図 実施例での、搬送台車の走行状況の再生表示を模式的に示す図 図5のためのアルゴリズムを示すフローチャート 実施例での、ベイの状態の表示を模式的に示す図 実施例での、ベイ毎の状態を示すグラフを模式的に示す図 変形例での、ベイの状態の再生表示を模式的に示す図 実施例での、状態表示画面の推移を示す図 図7のためのアルゴリズムを示すフローチャート 実施例での、不具合の再生表示を模式的に示す図 図12のためのアルゴリズムを示すフローチャート
符号の説明
2 搬送台車システム
4 インターベイルート
6 イントラベイルート
8〜10 搬送台車
12 バス
14,15 ゾーンコントローラ
16 搬送コントローラ
18 生産コントローラ
20 通信部
21 主制御部
22 走行制御部
23 移載制御部
24 横移動制御部
25 θ制御部
26 ルートマップメモリ
27 ルート選択部
28 診断部
30 通信部
31 オペレータインターフェース
32 カラーモニタ
33 キーボード
34 マウス
35 割付部
36 待行列管理部
38 経路指定部
40 再生部
41 走行経路再生部
42 割り付け状況再生部
43 不具合状況再生部
46 トラッキング部
48 ファイル作成部
50 検索部
52 搬送台車トラッキングファイル
53 搬送指令トラッキングファイル
54 不具合トラッキングファイル
6a〜6c イントラベイルート
60 走行済みの表示
61 未走行分の表示
62,63 走行済みの区間
64,65 未走行の区間
70 ベイの状態ウインドウ
72 ベイの状態グラフ
73 搬送指令のバー
74 搬送台車のバー
75 搬送台車の出入バー
76 ベイ選択ボタン
80 ベイの詳細状態グラフ
81〜89 バー
90,91 搬送指令の円グラフ
92,93 搬送台車の円グラフ
100 渋滞リスト
101 不具合リスト
102 渋滞状況の再生表示

Claims (2)

  1. 走行ルートに沿って複数の台車を走行させる、台車システムをモニタリングするために、
    少なくとも渋滞の発生状況のデータを記憶するための記憶手段と、
    モニタと、
    渋滞のリストをモニタに表示してオペレータにリストから渋滞を選択させると共に、選択された渋滞に対し、前記記憶手段のデータに従い、渋滞が発生したエリアの走行ルートのレイアウト上に、渋滞の発生から解消までの間の渋滞に巻き込まれた台車と前記エリア内の他の台車とを、各台車の状態と共に、単位時間毎に表示を更新しながらモニタに表示するための再生手段とを設けた、台車のモニタリングシステム。
  2. 走行ルートに沿って複数の台車を走行させる、台車システムをモニタリングするために、
    少なくとも渋滞の発生状況のデータを記憶するためのステップと、
    渋滞のリストをモニタに表示してオペレータにリストから渋滞を選択させるためのステップと、
    選択された渋滞に対し、前記記憶手段のデータに従い、渋滞が発生したエリアの走行ルートのレイアウト上に、渋滞の発生から解消までの間の渋滞に巻き込まれた台車と前記エリア内の他の台車とを、各台車の状態と共に、単位時間毎に表示を更新しながらモニタに表示するためのステップ、とを実行する台車のモニタリング方法。
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