JP5024469B2 - プレストレストコンクリート構造物の補修工法 - Google Patents

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本発明は、プレストレストコンクリート構造物の補修工法に関するものであり、特に、張力が付与された緊張材により躯体部分に圧縮力が付与されたプレストレストコンクリート構造物の補修工法に関するものである。
橋梁等の構造物には、張力が付与された緊張材により躯体部分に圧縮力が付与されたプレストレストコンクリート構造物が多用されている。これらの構造物は、塩害、コンクリートの中性化、アルカリ骨材反応等により劣化するため、数十年の耐用年数が経過した構造物には、コンクリートに亀裂や剥離が生じ、特に、コンクリート部分の補修が必要となっている。仮に、橋の架け替えなど、プレストレストコンクリート構造物を新たに設置する場合には、膨大な建設費用が必要となる上、橋梁等の交通機関においては、交通の遮断が必要となり、交通渋滞など社会的な弊害も大きくなる。
特許文献1においては、次のようなコンクリート橋桁の補修方法が開示されている。コンクリートの橋桁を、該橋桁の軸線方向の区分線によって複数の区画に区分し、特定区画以外の部分の桁下に支保工を設置して橋桁のたわみを制限する。その状態で、特定区画の桁下面のコンクリートを、高圧水噴流によって主鉄筋が露出するまではつり取り、コンクリートをはつり取った部分をモルタル層の吹付けにより復元する。
特開2003−13411号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている補修方法では、支保工を設置するため、橋梁などの補修においては大掛かりな作業となり、作業コスト並びに作業期間が膨大なものとなる上、河川や海岸に支保工を直接設置することが困難な場合もある。
また、コンクリートを補修後に、支保工を取り外すと、橋梁自体は下方向にたわみ、補修部分に引張り応力が発生するため、既存部分と補修部分とが剥離するなどの不具合を生じることとなる。
しかも、橋梁がプレストレストコンクリート構造物である場合には、主鉄筋が露出するまではつり取りを行うと、緊張材による張力の一部が開放され、その後にモルタルを吹付けて補修を行っても、緊張材による張力の回復ができず、プレストレストコンクリート構造物の機械的強度が大幅に低下する原因ともなる。
他方、特許文献2においては、プレストレストコンクリート構造物の切断工法が開示されている。この工法としては、プレストレストコンクリート構造物の切断位置に隣接する部分をはつり、切断すべき緊張材を露出させ、該露出した緊張材に中間定着具を固着すると共に、中間定着具が固着された緊張材を該中間定着具と共に一部埋め戻して、残留される構造物側に接続した定着基礎を構築する。そして、定着基礎と前記切断位置との間で緊張材を切断すると共に、切断された緊張材の端部を他の定着具で定着基礎に定着する。
特許第3687930号公報
特許文献2における切断工法は、プレストレストコンクリート構造物を切断する方法としては、効果的な工法といえるが、緊張材を切断しない構造物の補修には適用できず、仮に切断を伴う補修を行った場合でも、残留構造物と新たな構造物との間の緊張材の接合が新たに必要となり、作業工程が複雑化する上、作業コストや作業時間も膨大なものとなる。
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、作業コストや作業時間の増加を抑制し、補修後も緊張材の張力による躯体部分への圧縮力を維持することが可能なプレストレストコンクリート構造物の補修工法を提供することである。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、張力が付与された緊張材により躯体部分に圧縮力が付与されたプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、プレストレストコンクリート構造物の少なくとも補修箇所の周辺の躯体部分に対し、該補修箇所を広げる方向であり、該緊張材の張力が付与された方向に沿って力を付与する追加力付与工程と、該追加力を付与している状態で、補修箇所のコンクリートを補修するコンクリート補修工程と、該コンクリート補修工程が完了した後、前記追加力を解除する追加力解除工程とを有し、該追加力付与工程は、補修箇所を押し広げることにより追加力を付与し、該補修箇所を押し広げる方法は、補修箇所を挟むように該構造物に配置された複数の固定手段を複数の引張り手段により、該補修箇所を押し広げる方向に引張ることにより行うことを特徴とする。
請求項2に係る発明では、請求項1に記載のプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、該追加力付与工程又は該追加力解除工程は、プレストレストコンクリート構造物の所定箇所の変形や応力を測定しながら、追加力の付与又は解除を調整することを特徴とする。
請求項3に係る発明では、請求項1又は2に記載のプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、補修箇所を挟むように該構造物に配置された複数の固定手段を有し、該補修箇所を押し広げた状態で、該複数の固定手段の間に、該補修箇所を押し広げた状態を維持するためのスペース保持手段を配置することを特徴とする。
請求項4に係る発明では、請求項1乃至3のいずれかに記載のプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、該コンクリート補修工程は、補修材に膨張性のある補修材を使用することを特徴とする。
請求項5に係る発明では、請求項1乃至4のいずれかに記載のプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、該追加力解除工程は、該コンクリート補修工程で使用した補修材の強度が発現した後に行うことを特徴とする。
請求項6に係る発明では、請求項5に記載のプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、該追加力解除工程は、該コンクリート補修工程で使用した補修材の強度が発現した後に、補修材の膨張量に併せて徐々に行うことを特徴とする。
請求項7に係る発明では、請求項1乃至6のいずれかに記載のプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、該コンクリート補修工程の内、補修材を補修箇所に充填する段階から該補修材の強度が発現するまでの期間は少なくとも該追加力付与工程が行われていることを特徴とする。
請求項1に係る発明により、張力が付与された緊張材により躯体部分に圧縮力が付与されたプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、プレストレストコンクリート構造物の少なくとも補修箇所の周辺の躯体部分に対し、該補修箇所を広げる方向であり、該緊張材の張力が付与された方向に沿って力を付与する追加力付与工程と、該追加力を付与している状態で、補修箇所のコンクリートを補修するコンクリート補修工程と、該コンクリート補修工程が完了した後、前記追加力を解除する追加力解除工程とを有するため、緊張材の張力による躯体部分への圧縮力を維持しながらプレストレストコンクリート構造物の補修を行うことが可能となり、該追加力付与工程は、補修箇所を押し広げることにより追加力を付与するため、補修作業に際して、緊張材の張力による躯体部分への圧縮力が開放される箇所に、必要な力を容易に付与することが可能となり、補修箇所を押し広げる方法は、補修箇所を挟むように該構造物に配置された複数の固定手段を複数の引張り手段により、該補修箇所を押し広げる方向に引張ることにより行うため、従来のような支保工などの大掛かりな設備を必要とせず、作業コスト及び作業時間の増加を抑制することが可能となる。
請求項2に係る発明により、追加力付与工程又は追加力解除工程は、プレストレストコンクリート構造物の所定箇所の変形や応力を測定しながら、追加力の付与又は解除を調整するため、プレストレストコンクリート構造物に過度の力が負荷され、構造物自体が破壊されたり、追加力の不足による緊張材の張力低下、さらには、コンクリート補修工程の補修材の強度が発現する前に追加力解除を行った場合の補修部分の損壊など、各種の不具合を抑制し、躯体部分への常に適正な圧縮力を維持したプレストレストコンクリート構造物の補修を行うことが可能となる。
請求項3に係る発明により、補修箇所を挟むように構造物に配置された複数の固定手段を有し、該補修箇所を押し広げた状態で、該複数の固定手段の間に、該補修箇所を押し広げた状態を維持するためのスペース保持手段を配置するため、例えば、ジャッキや引っ張り手段、さらには押圧手段など、補修箇所を押し広げるための各種手段に替わり、押し広げた状態を安定的に維持することが可能となる。このため、上述したような補修箇所を押し広げるための各種手段を多く準備する必要がなく、また、作業中に押し広げる手段の作用能力が低下した際にも、安全な作業環境を保持することが可能となる。
請求項4に係る発明により、コンクリート補修工程は、補修材に膨張性のある補修材を使用するため、補修材自体の膨張作用によりコンクリート構造体自体に内部応力を発生させ、コンクリート構造物の躯体部分と緊張材との間に生じている圧縮力をより大きくすることが可能となる。
請求項5に係る発明により、追加力解除工程は、コンクリート補修工程で使用した補修材の強度が発現した後に行うため、追加力が解除されても補修材の強度が発現しているため、追加力を解除した後も補修箇所を含む躯体部分には引き続き、付加された追加力の一部が付与されており、結果として補修箇所やその周辺の躯体部分への圧縮力の減少や緊張材の張力の解放などを抑制することが可能となる。
請求項6に係る発明により、追加力解除工程は、コンクリート補修工程で使用した補修材の強度が発現した後に、補修材の膨張量に併せて徐々に行うため、補修材の膨張によるコンクリート構造物の躯体部分内の内部応力の増加と、追加力の減少とを連携させ、常に一定以上の圧縮力を補修箇所やその周辺の躯体部分に付与しながら追加力の解除を行うことが可能となる。
請求項7に係る発明により、コンクリート補修工程の内、補修材を補修箇所に充填する段階から該補修材の強度が発現するまでの期間は少なくとも追加力付与工程が行われているため、追加力付与工程で躯体部分に付与した力を補修終了後も維持し、結果として補修箇所にも同様の圧縮力を付加することが可能となる。
なお、コンクリート補修工程の劣化したコンクリートをはつる際にも追加力付与工程を適用することにより、補修箇所周辺の躯体部分への圧縮力の減少や緊張材の張力の解放を抑制し、プレストレストコンクリート構造物全体の機械的強度を維持しながら補修作業を行うことが可能となる。そして補修後も、プレストレストコンクリート構造物全体の機械的強度を維持することができる。
本発明の参考例に係るPC構造物の補修工法の一例を示す図である。 本発明に係る引張り手段を用いて補修箇所を押し広げる方法を説明する図である。 本発明の参考例に係る、補修箇所の反対側から押圧力を付与して補修箇所を押し広げる方法を説明する図である。 PC構造物の躯体部分の変形や応力を測定しながら追加力の付与又は解除を調整する様子を説明する図である。 スペース保持手段を用いて、補修箇所を押し広げた状態に維持する方法を説明する図である。
以下、本発明を好適例を用いて詳細に説明する。
図1は、参考例に係るプレストレストコンクリート構造物の補修工法を示す一例である。
プレストレストコンクリート構造物(以下、「PC構造物」という。)は、コンクリートの躯体部分1と緊張材2とを有しており、緊張材2には引っ張り張力が付与されているため、この緊張材の張力により内部応力となる圧縮力が躯体部分1に付与されている。
図1(a)のように、PC構造物の補修箇所となる劣化部分3を補修する際には、まず図1(b)のように、高圧水噴流などの公知の手段により劣化部分3を符号4のようにはつり作業を行う。なお、補修箇所がひび割れ等のようにはつる必要が無く、補修材をひび割れ箇所に充填するだけで良い場合には、当然はつり作業は行われない。次に、躯体部分1、特に補修箇所の周囲の躯体部分に圧縮力を付与すると共に、緊張材2に追加張力を付与するために、アンカーなどの固定手段5をPC構造物に固定する(図1(c)参照)。固定手段5については、アンカー以外にPC構造物を図の上下又は奥行方向から挟み込む手段であっても良く、該固定手段に図の左右方向に押し広げる力を作用させた場合に、該応力を効果的にPC構造物、特に緊張材に伝達できる手段であれば、特に限定されない。
次に、図1(d)のように、固定手段5に油圧ジャッキ6などの固定手段5に押し広げる力を付与する手段を設置し、矢印a1,a2の方向に力を付与する。この追加張力付与工程において、ジャッキ6の押圧力は固定手段5を介してコンクリート構造物の躯体部分1の補修箇所周辺を押し広げ、補修箇所周辺の躯体部分に圧縮力を付与し、結果として緊張材2に追加の張力を付与することとなる。
次に、図1(e)のように、躯体部分に追加力を付与した状態で、補修箇所にモルタルなどの補修材7を充填する。補修材には、一般的に使用される断面修復用のグラウト材や速硬性のグラウト材や、無収縮・無膨張性の材料が使用可能である。また、膨張性の補修材を使用することにより、補修材の膨張作用で、PC構造物内の内部応力を高めることが可能となり、躯体部分への力の付与と併せて緊張材への追加張力の付与を行い、より効果的に躯体部分1への適正な圧縮力を維持することが可能となる。また、補修材の充填作業においては、モルタルやコンクリートの打設だけでなく吹き付けなど各種工法が採用できることは言うまでも無い。
なお、図1のPC構造物の補修工法では、コンクリートの補修工程の内、はつり作業は、追加力付与工程の前に行っているが、このようなコンクリートのはつり作業に対しても、追加力付与工程も併せて適用することにより、補修箇所の周辺の躯体部分への圧縮力を維持すると共に、緊張材の張力解放を抑制し、プレストレストコンクリート構造物全体の機械的強度を維持しながら補修作業を行うことが可能となる。
次に、図1(f)に示すように、コンクリート補修工程で使用した補修材の強度が十分に発現した後に、油圧ジャッキ6を除去し(追加力解除工程)、さらにや固定手段5を除去し、PC構造物の補修が完了する。このように追加力が解除されても補修材の強度が発現しているため、補修箇所及び補修箇所周辺の躯体部分には引き続き、付加された追加力の一部が付与されており、補修箇所や補修箇所周辺の躯体部分への圧縮力を維持すると共に、緊張材の張力の解放も抑制することが可能となる。
また、補修材に膨張性のある材料を使用する場合には、補修材の強度が発現した後に、補修材の膨張量に併せて徐々に追加力を解除することにより、補修材の膨張によるコンクリート構造物の躯体部分内の内部応力の増加と、追加力の減少とを連携させ、常に一定以上の圧縮力を補修箇所や補修箇所周辺の躯体部分に付与しながら追加力の解除を行うことが可能となる。
なお、固定手段5としてアンカーなどのコンクリート構造物に孔を形成して配置する手段を使用する場合には、固定手段除去後に、当該孔はコンクリートなどの補修材が充填され、穴埋めが行われる。
上記PC構造物の補修工法では、補修箇所を押し広げる方法として、ジャッキ6による方法を参考例として説明したが、本発明においては、以下のような方法を採用することも可能である。
図2に示すように、アンカーなどの固定手段8をPC構造物に配置し、該固定手段8をワイヤー9などで、図2に示す矢印b1〜b4の方向に引っ張ることで、補修箇所4を押し広げることが可能である。固定手段8としてはアンカーに限らず、上述したようにPC構造物を挟み込む手段を使用することも可能である。また、橋梁などの補修の場合には、橋桁の途中でワイヤーなどの引張り手段を固定できる場所があれば、そのような構造物の構造(凸部又は凹部など)を利用することも可能である。
ワイヤー9の引張り方向は、特に限定されないが、構造物の補修面に対して平行に広がる方向から垂直方向までの任意の方向を選択することが可能である。また、橋梁などの補修の場合には、ワイヤーの他端を橋脚に固定するよう設定することも可能である。
また、他の参考例として、図3に示すように、PC構造物の補修箇所4と反対の側から、矢印Cのように該構造物を押圧することにより、PC構造物を撓ませ、補修箇所4を押し広げることも可能である。押圧する方法としては、油圧プレスなど公知の加圧手段を採用することが可能である。加圧手段は、地面やPC構造物の他の箇所などに適宜固定される。
さらに、橋梁などのPC構造物の場合には、橋梁上に重量のある車両などの重量物を配置し、重量物の自重により押圧力Cを発生させることも可能である。
図1乃至3に示した補修箇所を押し広げる方法は、従来のような支保工などの大掛かりな設備を必要としないため、作業が簡便であり、作業コスト及び作業時間の増加を抑制することが可能となる。しかも、短期の補修が可能であるため、通行開放までの時間を短縮することができ、交通渋滞などの弊害も抑制される。
次に、上述した追加力の付与や解除を、より適正に行うための方法について説明する。
具体的には、図4に示すように、追加力の付与や解除、また、補修材の強度発現あるいは補修材の膨張により、補修箇所の周囲などに発生するPC構造物の躯体部分の変形(歪や撓み)や内部応力の変化を、各種センサー10で測定し、該測定値をモニター11で観察しながら、例えば油圧ジャッキ6などの追加力発生手段を制御する方法である。なお、図4では、モニター11を作業者が観察し、油圧ジャッキ6を調整しているが、センサー10又はモニター11の信号を不図示の制御回路に入力し、該制御回路からの信号により油圧ジャッキ6などの追加力発生手段を制御し、補修箇所周辺の躯体部分に加わる力を自動的に調整するよう構成することも可能である。
追加力付与における躯体部分への過剰な力の付与や急激な応力変化は、PC構造物の破壊にも繋がる。また、追加力の解除においても、補修材の強度が発現しない段階で追加力を解放したり、膨張性補修材を使用しながら十分な膨張が完了しない内に追加力を解放すると、補修材が補修箇所からPC構造物の外部に押し出され、補修箇所や補修箇所周辺の躯体部分への圧縮力の維持や緊張材に十分な張力を付与することが困難となる。
また、膨張性補修材を使用する際には、特に補修材の膨張作用による内部応力の増加などを測定しながら、徐々に追加力を解除することが好ましく、このような場合には、図4のようなPC構造物の躯体部分1の変形や応力を測定しながら追加張力を解除する方法は、好適に利用可能である。
PC構造物の躯体部分の変形や応力を測定するセンサー10としては、ひずみゲージや撓み計測法、スロットストレス法、応力開放法、EMセンサー法、鉄筋切断法など各種の測定方法を用いることが可能である。
次に、橋梁などの大型の構造物に本発明を適用する際には、補修箇所が大きくなるに従い、より多くの油圧ジャッキなどの押し広げる手段が必要となる。また、油圧ジャッキなどの可動部分を有する機材を用いる場合には、油圧の減少などで経時的に可動部分が移動することも危惧され、作業の安全性を確保したり、補修箇所周辺の躯体部分への圧縮力の維持を図る上では、余り好ましいとはいえない。
このため、図5に示すように、補修箇所を挟むように構造物に配置された固定手段5に対し、油圧ジャッキなどを用いて補修箇所を押し広げた後に、該補修箇所を押し広げた状態を維持するためのスペース保持手段20を配置する。これにより、油圧ジャッキなどを取り外した後も、スペース保持手段20により、押し広げた状態を安定的に維持することが可能となる。
スペース保持手段20としては、鋼材などを用いて所定方向の圧縮力に対して耐久性があり、経時的変化が少ない部材であれば、多種多様な部材を使用することが可能である。また、固定手段と接触する部分は、固定手段を破壊せず、固定手段を介して伝達される、補修箇所周辺の躯体部分からの応力を適切に受け止めることができるよう、例えば、平板状などより広い接触面積を確保できる形状に形成することが好ましい。
本発明に係るプレストレストコンクリート構造物の補修工法によれば、作業コストや作業時間の増加を抑制し、補修後も緊張材の張力による躯体部分への圧縮力を維持することが可能なプレストレストコンクリート構造物の補修工法を提供することが可能となる。
1 コンクリート構造物の躯体部分
2 緊張材
3 劣化部分
4 補修箇所
5,8 固定手段
6 ジャッキ
7 補修材
9 引張り手段
10 変形又は応力センサー
11 モニター手段
20 スペース保持手段

















Claims (7)

  1. 張力が付与された緊張材により躯体部分に圧縮力が付与されたプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、
    プレストレストコンクリート構造物の少なくとも補修箇所の周辺の躯体部分に対し、該補修箇所を広げる方向であり、該緊張材の張力が付与された方向に沿って力を付与する追加力付与工程と、
    該追加力を付与している状態で、補修箇所のコンクリートを補修するコンクリート補修工程と、
    該コンクリート補修工程が完了した後、前記追加力を解除する追加力解除工程とを有し、
    該追加力付与工程は、補修箇所を押し広げることにより追加力を付与し、
    該補修箇所を押し広げる方法は、補修箇所を挟むように該構造物に配置された複数の固定手段を複数の引張り手段により、該補修箇所を押し広げる方向に引張ることにより行うことを特徴とするプレストレストコンクリート構造物の補修工法。
  2. 請求項1に記載のプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、該追加力付与工程又は該追加力解除工程は、プレストレストコンクリート構造物の所定箇所の変形や応力を測定しながら、追加力の付与又は解除を調整することを特徴とするプレストレストコンクリート構造物の補修工法。
  3. 請求項1又は2に記載のプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、補修箇所を挟むように該構造物に配置された複数の固定手段を有し、該補修箇所を押し広げた状態で、該複数の固定手段の間に、該補修箇所を押し広げた状態を維持するためのスペース保持手段を配置することを特徴とするプレストレストコンクリート構造物の補修工法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、該コンクリート補修工程は、補修材に膨張性のある補修材を使用することを特徴とするプレストレストコンクリート構造物の補修工法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、該追加力解除工程は、該コンクリート補修工程で使用した補修材の強度が発現した後に行うことを特徴とするプレストレストコンクリート構造物の補修工法。
  6. 請求項5に記載のプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、該追加力解除工程は、該コンクリート補修工程で使用した補修材の強度が発現した後に、補修材の膨張量に併せて徐々に行うことを特徴とするプレストレストコンクリート構造物の補修工法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のプレストレストコンクリート構造物の補修工法において、該コンクリート補修工程の内、補修材を補修箇所に充填する段階から該補修材の強度が発現するまでの期間は少なくとも該追加力付与工程が行われていることを特徴とするプレストレストコンクリート構造物の補修工法。
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