JP5024111B2 - 電子ポテンシャル演算装置、電子ポテンシャル演算方法、電子ポテンシャル演算プログラム、及び物性予測値演算装置 - Google Patents
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電子ポテンシャルは、例えば、逐次代入法によって、フーリエ変換に基づいて離散化したKohn−Sham方程式及びPoisson方程式を反復演算し、その入力値(入力ポテンシャル)と出力値(出力ポテンシャル)との残差を収束させることで求められる。逐次代入される入力ポテンシャルは、その都度、前記残差を収束させうる新たな入力ポテンシャルとして更新されて代入される。
Kerker法では、上記新たな入力ポテンシャルを、下記式(a)及び(b)に基づいて推定算出することで、速やかに前記残差を収束させ、電子ポテンシャルを得るまでの演算の反復回数を減らすことができると示されている(例えば、非特許文献1参照)。
すなわち、上記Poisson方程式においては、下記式(c)で示すように、Kohn−Sham方程式を解くことにより得られる電子密度ρから、電子ポテンシャルVを演算するが、波数ベクトルは、短波長側よりも長波長側でその値が小さくなるため、長波長側の波数ベクトルにおいては、電子密度ρの変化が相対的に大きく現れ、算出される電子ポテンシャルV(出力ポテンシャル)においても相対的に大きな影響を及ぼし、残差の収束を阻害する要因となる。
従って、上記Kerker法において、収束パラメータA´のフィルタ機能は、速やかに収束させうる最適な入力ポテンシャルを推定する上で、大きな影響を及ぼす。
さらに、上記式(b)中、収束パラメータA´に含まれるパラメータP及びQは、その値を調整することで、収束パラメータA´のフィルタ機能を調整する役割を担っている。このため、パラメータP及びQは、前記残差を収束させるに至るまでの反復回数に大きく影響を及ぼす。
このため、これらパラメータは、人為的に決定せざるを得ない場合があり、この点において演算の効率化を妨げる要因となっていると考えられていた。そこで、より効率よく速やかに電子ポテンシャルを演算しうる方策が嘱望されていた。
この点、本発明においては、調整パラメータ設定部が設定する収束パラメータを調整するための調整パラメータの内、第二の調整パラメータは、収束パラメータの分母を構成する第一の項に乗算されるものであり、また、第一の調整パラメータは、第一の項に加えられる第二の項を構成するものであるので、これら第一及び第二の調整パラメータは、共に収束パラメータの分母に位置している。さらに、第一及び第二の調整パラメータは、共に無次元の変数であり、かつ共に独立した変数である。
従って、本発明の収束パラメータは、上記第一及び第二の調整パラメータによって調整される際の調整の自由度が、上記従来例と比較して高いので、調整パラメータ設定部は、第一及び第二の調整パラメータについて、残差を収束させうる好適な値を容易に推定することができ、残差をより速やかに収束させるように、収束パラメータを好適に調整することができる。これにより、第一原理計算の反復回数を効果的に減らすことができ、より効率よく速やかに電子ポテンシャルを演算することができる。
具体的には、前記第一の調整パラメータをα、前記第二の調整パラメータをβとしたとき、前記収束パラメータは、下記式(2)によって示されるものであることが好ましい。
また、上記式(5)中、Sを最小化するにあたって、k´については、現在の反復回数であるk以下の値を採ることができるので、過去(現在の反復回数よりも少ない反復回数)における入力変化ポテンシャルδVin k、及び残差変化ポテンシャルδVres kを利用して第一の調整パラメータ、及び第二の調整パラメータを算出することができる。このため、調整パラメータ設定部は、より効果的に残差を収束させうる好適な値を算出し、第一及び第二の調整パラメータとして設定することができる。
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電子ポテンシャル演算装置の構成を示す図である。この電子ポテンシャル演算装置10は、第一原理計算に基づいて、対象となる固体や分子の電子ポテンシャルを算出するものであり、キーボードやマウス等からなる入力デバイス11と、ディスプレイや、プリンタ等からなる出力デバイス12と、各種情報を記憶するためのハードディスク等からなる記憶部13と、入力デバイス11から入力される各種データに基づいて電子ポテンシャルを演算するための処理を行うデータ処理部20とを備えており、コンピュータ等によって構成されている。
電子ポテンシャル演算装置10は、例えば、電子ポテンシャルの演算を行うためのプログラム(電子ポテンシャル演算プログラム)が記憶部13にインストールされており、データ処理部20が有している、後述の電子ポテンシャルの演算処理を行うための各機能部を実現する。
出力ポテンシャル演算部22は、入力値としての電子ポテンシャルが入力されると、この電子ポテンシャルに基づいて第一原理計算を行い、出力値としての電子ポテンシャルを出力する。入力値としての電子ポテンシャルは、上記初期ポテンシャル演算部21又は入力ポテンシャル演算部25から当該出力ポテンシャル演算部22に提供される。
この出力ポテンシャル演算部22は、入力値としての電子ポテンシャル(以下、入力ポテンシャルともいう)に基づいてKohn−Sham方程式を解くことで電子密度を求め、さらにこの求めた電子密度に基づいて、上記式(c)にて示したPoisson方程式を解くことで出力値としての電子ポテンシャル(以下、出力ポテンシャルともいう)を演算し算出する。
判定部24は、上記残差演算部23により算出される残差が予め設定された目標値以下であるか否かを判定する機能を有している。なお、この目標値とは、前記残差が収束したか否かを判断するための閾値であり、残差が目標値以下の場合、後述するように残差が収束したものと判断される。一方、残差が目標値よりも大きい場合、残差が未だ収束していないものと判断される。
入力ポテンシャル演算部25は、上記判定部24により前記残差が収束していないと判断された場合、さらに反復して出力ポテンシャル演算部22によって行われる際の新たな入力ポテンシャルを算出する機能を有している。この入力ポテンシャル演算部25は、算出した新たな入力ポテンシャルを、出力ポテンシャル演算部22に出力し、これによって、前記残差が収束したと判断されるまで、出力ポテンシャル演算部22による演算が反復される。
制御部27は、データ処理部20の各機能部を包括的に制御する。また、判定部24によって残差が目標値よりも大きいと判定されると、制御部27は、残差は未だ収束していないと判断し、各部に演算の反復を繰り返し実行する旨の命令を出力する。また、判定部24によって残差が目標値以下と判定されると、制御部27は、残差が収束したと判断し、演算の反復を停止する旨の命令を出力する。また、その時点での出力ポテンシャルを、電子ポテンシャルの演算結果として出力デバイス12に出力させる機能も有している。すなわち、制御部27は、判定部24によって残差が目標値以下であると判定された場合、上記各部に反復演算を停止させる機能を有するとともに、上記各部を繰り返し実行させて演算を反復する繰り返し制御部を兼ねている。
また、データ処理部20は、上記演算の反復回数をカウントするためのカウンタ28を機能的に有している。
次に、上記構成の電子ポテンシャル演算装置の動作について説明する。
図2は、本実施形態の電子ポテンシャル演算装置の具体的な動作を示したフローチャートである。
本装置10において、電子ポテンシャルを算出しようとする金属又は分子等からなる固体を構成する原子の種類、位置、及び当該固体における一般的な電子密度といった数値情報が入力されると(ステップS101)、データ処理部20の制御部27は、これらデータに基づいて初期値としての平均的な入力ポテンシャルを、初期ポテンシャル演算部21に演算させる(ステップS102)。
図3は、上記ステップS101において、電子ポテンシャルを算出しようとする固体等の前記数値情報の入力を受け付けるためのディスプレイ表示の一例である。制御部27は、図3に示すように、数値情報を入力するための枠である入力枠部40を出力デバイス12であるディスプレイに表示する。この入力枠部40は、例えば、単位格子に含まれる各原子それぞれの3次元座標値が入力できるように設けられている。当該装置10の操作者は、マウス等で入力しようとする入力枠部40にカーソルを移動させた後、キーボード等を操作することで、数値情報を入力する。入力デバイス11、及び出力デバイス12は、この入力枠部40に入力された各数値情報を各原子の位置として受け付ける。つまり、入力デバイス11、出力デバイス、及び初期ポテンシャル演算部21は、初期値としての入力ポテンシャルを得るための入力部を構成している。また、ステップS101、及びステップS102は、初期値としての入力ポテンシャルを演算する入力ステップを構成している。
なお、ここでは、原子の位置の数値情報を入力する際の態様を示したが、他の情報(原子の種類、電子密度)についても、同様の入力画面が用意され、受け付けることができる。
次に、制御部27は、上記初期値としての入力ポテンシャル(Vin k)に基づいて、出力ポテンシャル(Vout k)を、出力ポテンシャル演算部22に演算させ(ステップS104(出力ポテンシャル演算ステップ))、さらに、残差演算部23に出力ポテンシャルと入力ポテンシャルとの残差(Vres k)を算出させる(ステップS105(残差演算ステップ))。なお、このステップS104において、出力ポテンシャル演算部22は、フーリエ変換によって離散化したKohn−Sham方程式、及びPoisson方程式を解くといった、いわゆる第一原理計算によって、入力ポテンシャルから出力ポテンシャルを演算する。
さらに、制御部27は、演算結果としての電子ポテンシャルを物性演算部30に出力する。演算結果を受け取った物性演算部30は、前記対象となる固体や分子に関する物性についての物性予測値を演算し(ステップS108)、出力デバイス12に出力する。なお、この物性演算部30による処理については、後に詳述する。
まず、入力ポテンシャル演算部25は、カウンタ28の有する反復回数kの値が1でないか否かを判断する(ステップS201)。
なお、上記収束パラメータA、及び、新たな入力ポテンシャル(Vin k+1)の内容については、後に詳述する。
反復回数が一つ前の前記入力ポテンシャルをVin k-1、反復回数が一つ前の前記残差をVres k-1とすると、下記式(3),(4)にそれぞれ示す入力変化ポテンシャルδVin k、及び残差変化ポテンシャルδVres k、を演算し、これらに基づいて、下記式(5)中のSを最小化するα、及びβを演算し、得られたα、及びβをそれぞれ、前記第一の調整パラメータ、及び前記第二の調整パラメータに設定する。
以上のように、ステップS201,S202,S205は、残差が所定の目標値T以下でないと判定された場合、両調整パラメータα、βを設定する調整パラメータ設定ステップを構成している。
なお、調整パラメータ設定部26は、上記反復回数が現在の反復回数より小さいときの入力ポテンシャルや残差を、記憶部13に逐次格納しており、利用することができる。
このステップS205における両調整パラメータα、βの演算については、後に詳述する。
制御部27は、新たな入力ポテンシャル(Vin k+1)に基づいて出力ポテンシャルを求め判定部24によって残差を判定する。これを繰り返すことで、判定部24によって残差が目標値T以下と判定されるまで、上記演算を反復する(反復ステップ)。
次に、収束パラメータの内容について説明する。
上記式(2)で表される収束パラメータAは、波数ベクトルの絶対値の内の0でない最小値の2乗値をn番目のフーリエ成分に対応する波数ベクトルの絶対値の2乗値で除した第一の項(下記式(d)参照)を分母に有している。
この点、本実施形態では、収束パラメータAの両調整パラメータα、βは、互いに独立した無次元の変数である。特に、第二の調整パラメータβは、フィルタ作用を有する前記フィルタ項に乗算されており、この第二の調整パラメータβを調整することで、ハイパスフィルタとしてのフィルタ作用の透過性を調整することができる。一方、第一の調整パラメータαは、フィルタ作用全体としての調整を行うことができる。
このように、本実施形態の収束パラメータAは、上記従来例と比較して、両調整パラメータによる調整の自由度が高いので、入力ポテンシャル演算部25は、残差をより速やかに収束させるように、収束パラメータAを好適に調整することができる。
次に調整パラメータの演算の態様について説明する。
両調整パラメータα、βは、調整パラメータ設定部26が、上記式(5)中のSを最小化するα、及びβを求めることで得られる。
この上記式(5)により、残差を収束させうる新たな入力ポテンシャルを好適に推測できる両調整パラメータα、βが求められる理由は以下の通りである。
例えば、入力ポテンシャルと、残差との間に、下記式(f)に示すような線形の関係が成立するとすれば、下記式(g)も成立する。なお、V0nは定数である。
次に調整パラメータ設定部26、下記式(j)〜(n)に基づいて各値を求める。
さらに、調整パラメータ設定部26は、下記式(o)、(p)に上記各式の値を代入することで、残差を収束させうる新たな入力ポテンシャルを好適に推測できる第一の調整パラメータα、及び、第二の調整パラメータβを算出する。
物性演算部30は、上述のように、演算結果として得られる電子ポテンシャルを制御部27から受け取り、この電子ポテンシャルに基づいて、前記対象となる固体や分子に関する電子密度分布、前記固体や分子を構成する原子の結合状態、原子間間隔やその配置、導電性、及び熱伝導性等といった物性について、予測される物性予測値を演算し(図2中、ステップS108)、出力デバイス12に出力させることができる。
図5は、電子の状態密度分布を算出した一例を示す図であり、図6は、対象とした固体等の原子間間隔やその配置等から原子配列をモデル化して表示した一例を示す図である。
このように、本実施形態の電子ポテンシャル演算装置10によれば、金属等の固体や分子における電子の状態密度や、原子配列等といった、物性についての物性予測値を演算することができる。
本発明者は、本実施形態による電子ポテンシャル演算装置10によって、実際に電子ポテンシャルの演算を行い、他の方法で演算を行った場合と比較してその効果の検証を行った。
演算の対象としては、AlGalnAs系合金、64原子分とし、実施例としては、上記実施形態による装置10を用いて演算し、比較例としては、Kerker法に基づいて演算を行い、その演算の反復回数を比較することで評価した。その結果を下記表1に示す。
なお、演算に際して、第一の調整パラメータαは、0.5とし、第二の調整パラメータβは、表1に記載されている8水準に設定した。また、Kerker法については、同法の収束パラメータを示した上記式(b)中のPにβの値、Qにαの値を代入して演算を行った。
この結果より、本実施形態による電子ポテンシャル演算装置によれば、反復回数を効果的に減らすことができ、より効率よく速やかに電子ポテンシャルを演算することができることが明らかとなった。
11 入力デバイス
12 出力デバイス
22 出力ポテンシャル演算部
23 残差演算部
24 判定部
25 入力ポテンシャル演算部
26 調整パラメータ設定部
27 制御部(繰り返し制御部)
30 物性演算部
Claims (7)
- 第一原理計算をフーリエ変換によって離散化して演算することで、入力ポテンシャルから出力ポテンシャルを算出し、前記入力ポテンシャルと前記出力ポテンシャルとの残差を収束させうる新たな入力ポテンシャルを演算するとともに、この新たな入力ポテンシャルに基づいて前記第一原理計算を反復することで前記残差を収束させ、電子ポテンシャルを得る電子ポテンシャル演算装置であって、
初期値としての前記入力ポテンシャルを入力するための入力部と、
前記入力ポテンシャルに基づいて第一原理計算により前記出力ポテンシャルを演算する出力ポテンシャル演算部と、
前記入力ポテンシャルと前記出力ポテンシャルとの残差を求める残差演算部と、
前記残差が予め設定された目標値以下であるか否かを判定する判定部と、
前記残差が前記目標値以下でないと判定された場合、前記新たな入力ポテンシャルを演算するための収束パラメータを調整するための調整パラメータを設定する調整パラメータ設定部と、
前記調整パラメータ設定部により設定された調整パラメータから前記収束パラメータを演算するとともに、下記式(1)に基づいて、前記新たな入力ポテンシャルを演算する入力ポテンシャル演算部と、
前記新たな入力ポテンシャルに基づいて、前記出力ポテンシャル演算部、前記残差演算部、前記判定部、前記調整パラメータ設定部、及び前記入力ポテンシャル演算部を繰り返し実行させて第一原理計算を反復する繰り返し制御部と、
前記判定部によって前記残差が目標値以下であると判定された場合、前記繰り返し制御部による反復計算を停止させる制御部と、を備え、
前記収束パラメータは、各フーリエ成分に対応する波数が大きい短波長側よりも前記波数が小さい長波長側において相対的に小さい値を採るフィルター項の逆数を、その分母の中の第一の項として含んでおり、
前記調整パラメータは、前記第一の項に加えられる第二の項を構成する第一の調整パラメータと、前記第一の項に乗算される第二の調整パラメータと、を含んでいることを特徴とする電子ポテンシャル演算装置。
- 前記フィルター項は、n番目のフーリエ成分に対応する波数ベクトルの絶対値の2乗値である請求項1に記載の電子ポテンシャル演算装置。
- 前記第一の調整パラメータをα、前記第二の調整パラメータをβとしたとき、前記収束パラメータは、下記式(2)によって示される請求項1又は2に記載の電子ポテンシャル演算装置。
- 前記調整パラメータ設定部は、反復回数が一つ前の前記入力ポテンシャルをVin k-1、反復回数が一つ前の前記残差をVres k-1とすると、下記式(3),(4)にそれぞれ示す入力変化ポテンシャルδVin k、及び残差変化ポテンシャルδVres k、を演算するとともに、
さらに、これらに基づいて、下記式(5)中のSを最小化するα、及びβを演算し、得られたα、及びβをそれぞれ、前記第一の調整パラメータ、及び前記第二の調整パラメータに設定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子ポテンシャル演算装置。
- 電子ポテンシャルに基づいて固体や分子の物性予測値の演算を行う物性予測値演算装置であって、
前記固体や分子の電子ポテンシャルの演算を行うための前記請求項1〜4に記載の電子ポテンシャル演算装置と、
これによって得られる電子ポテンシャルに基づいて、前記物性予測値の演算を行う物性演算部と、を有していることを特徴とする物性予測値演算装置。 - 第一原理計算をフーリエ変換によって離散化して演算することで、入力ポテンシャルから出力ポテンシャルを算出し、前記入力ポテンシャルと前記出力ポテンシャルとの残差を収束させうる新たな入力ポテンシャルを演算するとともに、前記新たな入力ポテンシャルに基づいて前記第一原理計算を反復することで前記残差を収束させ、電子ポテンシャルを演算する電子ポテンシャル演算処理をコンピュータが実行する方法であって、
初期値としての前記入力ポテンシャルを演算して得るための入力ステップと、
前記入力ポテンシャルに基づいて第一原理計算により前記出力ポテンシャルを演算する出力ポテンシャル演算ステップと、
前記入力ポテンシャルと前記出力ポテンシャルとの残差を求める残差演算ステップと、
前記残差が予め設定された目標値以下であるか否かを判定する判定ステップと、
前記残差が前記目標値以下でないと判定された場合、前記新たな入力ポテンシャルを演算するための収束パラメータが、各フーリエ成分に対応する波数が大きい短波長側よりも前記波数が小さい長波長側において相対的に小さい値を採るフィルター項の逆数を含む第一の項を分母に有しており、この第一の項に加えられる第二の項を構成する第一の調整パラメータと、前記第一の項に乗算される第二の調整パラメータと、を設定する調整パラメータ設定ステップと、
前記調整パラメータ設定ステップにより設定された両調整パラメータから前記収束パラメータを演算するとともに、上記式(1)基づいて、前記新たな入力ポテンシャルを演算する入力ポテンシャル演算ステップと、
前記新たな入力ポテンシャルに基づいて、前記出力ポテンシャル演算ステップ、前記残差演算ステップ、前記判定ステップ、前記調整パラメータ設定ステップ、及び前記入力ポテンシャル演算ステップを繰り返し実行させて第一原理計算を反復する反復ステップと、を有することを特徴とする電子ポテンシャル演算処理をコンピュータが実行する方法。 - 第一原理計算をフーリエ変換によって離散化して演算することで、入力ポテンシャルから出力ポテンシャルを算出し、前記入力ポテンシャルと前記出力ポテンシャルとの残差を収束させうる新たな入力ポテンシャルを演算するとともに、前記新たな入力ポテンシャルに基づいて前記第一原理計算を反復することで前記残差を収束させ、電子ポテンシャルを演算する電子ポテンシャル演算プログラムであって、
コンピュータに、
初期値としての前記入力ポテンシャルを演算して得るための入力ステップと、
前記入力ポテンシャルに基づいて第一原理計算により前記出力ポテンシャルを演算する出力ポテンシャル演算ステップと、
前記入力ポテンシャルと前記出力ポテンシャルとの残差を求める残差演算ステップと、
前記残差が予め設定された目標値以下であるか否かを判定する判定ステップと、
前記残差が前記目標値以下でないと判定された場合、前記新たな入力ポテンシャルを演算するための収束パラメータが、各フーリエ成分に対応する波数が大きい短波長側よりも前記波数が小さい長波長側において相対的に小さい値を採るフィルター項の逆数を含む第一の項を分母に有しており、この第一の項に加えられる第二の項を構成する第一の調整パラメータと、前記第一の項に乗算される第二の調整パラメータと、を設定する調整パラメータ設定ステップと、
前記調整パラメータ設定ステップにより設定された両調整パラメータから前記収束パラメータを演算するとともに、上記式(1)基づいて、前記新たな入力ポテンシャルを演算する入力ポテンシャル演算ステップと、
前記新たな入力ポテンシャルに基づいて、前記出力ポテンシャル演算ステップ、前記残差演算ステップ、前記判定ステップ、前記調整パラメータ設定ステップ、及び前記入力ポテンシャル演算ステップを繰り返し実行させて第一原理計算を反復する反復ステップと、を実行させるための電子ポテンシャル演算プログラム。
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