JP5023487B2 - 排水処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、工場や他の施設などから排出される被処理水である排水と汚泥との混合水を生物処理槽に貯留し、生物処理槽の混合水の溶存酸素濃度を計測し、検出した溶存酸素濃度により混合水の水質を生物処理に最適な条件に制御する排水処理方法に関するものである。
従来、生物処理槽の被処理水である排水と汚泥との混合水の水質を計測し、その検出値に基づき水質を最適条件に制御する排水処理方法として、生物処理槽の混合水に直接、溶存酸素濃度検出器を位置させて溶存酸素濃度(DO、Dissolved Oxygen)を検出し、この検出値に基づき生物処理槽の曝気手段の曝気能力を制御するものがあるが、曝気による混合水の流動化よって溶存酸素濃度検出器の検出値が不安定となり正確な値を検出することが困難である。また比較的大きい生物処理槽に溶存酸素濃度検出器を設置することが必要で、メンテナンスも含め作業性等に課題がある。さらに曝気による多量の混合水の流動化によって混合水中の異物等が溶存酸素濃度検出器に付着しやすく、正確な値を検出することが困難となる課題がある。前記課題を解決するために、生物処理槽から混合水の一部を別設の計測槽に取り込み溶存酸素濃度を検出するものがある。
この代表的例として、同心の円筒形外周壁及びそれより低い同心の円筒形内周壁と両周壁間の底壁とで画成された環状水路内に排水を連続流入させて環状水流を形成し、環状水流中に水質計測プローブを垂下して排水の水質を計測するものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2002−340883号公報
しかしながら、前記従来の特許文献1に記載のものは、生物処理槽の溶存酸素濃度が低濃度の状態において、溶存酸素濃度検出器の低濃度域における検出性能の低下、さまざまな外乱の影響により正確な値を検出することが困難である。また高速の水流中での計測となり、水流の乱れから溶存酸素濃度検出器の検出値が不安定となり正確な値を検出することが困難で、水流による溶存酸素濃度検出器の破損の恐れも生じる。
したがって検出した溶存酸素濃度により排水の水質を生物処理に最適な条件に制御することが困難となる。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、生物処理槽の被処理水である排水と汚泥との混合水の溶存酸素濃度を常に正確に把握し、これにより生物処理槽の溶存酸素濃度を最適条件に維持して混合水の好気性微生物による処理能力を向上させた排水処理方法を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明は、被処理水である排水と汚泥との混合水の曝気手段を有する生物処理槽と、前記生物処理槽の混合水を流入させ一定量貯留する計測槽と、前記生物処理槽と前記計測槽の間に設けた、旋回水流の流速が異なる第1の分離槽と第2の分離槽からなる、重い質量の異物を分離する異物分離手段と、前記計測槽の混合水の曝気手段と、前記計測槽の混合水の溶存酸素濃度検出器を備え、曝気を継続させた状態の生物処理槽の混合水から前記異物分離手段で重い質量の異物を分離して計測槽に流入させて一定量貯留し、貯留した計測槽の混合水を一定時間曝気して溶存酸素濃度を生物処理槽の混合水の溶存酸素濃度よりも高めた後、計測槽の混合水への曝気を停止させて前記溶存酸素濃度検出器により計測槽の混合水の酸素利用速度を計測し、前記計測した酸素利用速度に基づいて生物処理槽の混合水の溶存酸素濃度を制御することを特徴とする排水処理方法としたものである。
本発明は、生物処理槽の排水の溶存酸素濃度を常に正確に把握し、これにより生物処理槽の溶存酸素濃度を最適条件に維持して排水の好気性微生物による処理能力を向上させた排水処理方法を提供することができる。
第1の発明は、被処理水である排水と汚泥との混合水の曝気手段を有する生物処理槽と、前記生物処理槽の混合水を流入させ一定量貯留する計測槽と、前記生物処理槽と前記計測槽の間に設けた、旋回水流の流速が異なる第1の分離槽と第2の分離槽からなる、重い質量の異物を分離する異物分離手段と、前記計測槽の混合水の曝気手段と、前記計測槽の混合水の溶存酸素濃度検出器を備え、曝気を継続させた状態の生物処理槽の混合水から前記異物分離手段で重い質量の異物を分離して計測槽に流入させて一定量貯留し、貯留した計測槽の混合水を一定時間曝気して溶存酸素濃度を生物処理槽の混合水の溶存酸素濃度よりも高めた後、計測槽の混合水への曝気を停止させて前記溶存酸素濃度検出器により計測槽の混合水の酸素利用速度を計測し、前記計測した酸素利用速度に基づいて生物処理槽の混合水の溶存酸素濃度を制御することを特徴とする排水処理方法としたものである。
これによって、計測槽で曝気して混合水の溶存酸素濃度を高めるとともに酸素利用速度を計測し、計測した酸素利用速度により生物処理槽の混合水の溶存酸素濃度の状態を把握し、これにより生物処理槽の混合水の溶存酸素濃度を最適条件に維持するよう制御する。
これにより生物処理槽の混合水の溶存酸素濃度が低濃度の状態であっても、計測槽で曝気して混合水の溶存酸素濃度を高めることで、生物処理槽の混合水の溶存酸素濃度の状態を正確に把握することができる。
そして、生物処理槽と計測槽の間に設けた、旋回水流の流速が異なる第1の分離槽と第2の分離槽からなる、重い質量の異物を分離する異物分離手段を備え、生物処理槽の混合水から前記異物分離手段で重い質量の異物を分離して計測槽に流入させているので、重い質量の異物等の溶存酸素濃度検出器への付着をなくし、長期間にわたって正確で安定した検出をすることができる。さらに溶存酸素濃度検出器および計測槽の洗浄の間隔を長くすることができる。
また、計測槽における混合水の貯留量は、酸素利用速度を計測できるだけの少量でよく、強力な曝気も必要としないので短時間で溶存酸素濃度を高めることができる。これにより溶存酸素濃度検出器の破損の恐れがなく、異物等の付着も抑制し、短時間で酸素利用速度を計測することができる。
さらに、計測槽の混合水の曝気を停止した状態で酸素利用速度を計測することにより、溶存酸素濃度検出器の検出値が安定し正確な値を検出することができる。
したがって、生物処理槽の混合水の溶存酸素濃度を常に正確に把握し、これにより生物処理槽の溶存酸素濃度を最適条件に維持して、混合水の好気性微生物による処理能力を向上させることができる。
第2の発明は、第1の発明において、計測槽の混合水の酸素利用速度を計測した後、計測槽の混合水を排出させるとともに、一定時間ごとに曝気中の生物処理槽の混合水を計測槽に流入させて一定量貯留し、前記計測槽の混合水の酸素利用速度を計測することを特徴とする排水処理方法としたものである。
これによって、常に生物処理槽の混合水の溶存酸素濃度を把握し、混合水の処理負荷変動等の経時変化に迅速に対応させ好気性微生物による処理能力を向上させることができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、計測槽に流入させた混合水の曝気開始後の溶存酸素濃度を検出し、前記計測槽の混合水の溶存酸素濃度が一定値以上であるとき、計測槽の混合水の曝気を停止することを特徴とする排水処理方法としたものである。
これによって、計測槽に流入させた混合水の必要以上の曝気をなくし、計測サイクルの短縮と、省エネルギー化を図ることができる。
第4の発明は、第1〜第3の発明において、計測した酸素利用速度により、生物処理槽への被処理水である排水の流入負荷および/または混合水の曝気能力を制御することを特徴とする排水処理方法としたものである。
これによって、生物処理槽4の混合水に連続的に曝気を行いながら、混合水中の例えば処理すべき有機物濃度に応じて、生物処理槽への被処理水である排水の流入負荷および/または生物処理槽4の混合水の曝気能力を調節して最適な溶存酸素濃度に維持し、排水の処理能力の確保、その最大化を図り、過剰な曝気による無駄な電力消費の増大を防止することができる。
第5の発明は、第1〜第4の発明において、計測槽に溶存酸素濃度検出器および計測槽を洗浄する洗浄水を供給し、洗浄後の洗浄水を生物処理槽に排出することを特徴とする排水処理方法としたものである。
これによって、溶存酸素濃度検出器に付着した異物等を洗浄水により除去し、長期間にわたって正確で安定した検出をすることができる。
第6の発明は、第1〜第5の発明において、計測槽に供給した洗浄水を排出後、計測槽に溶存酸素濃度検出器の保存液または保存気体を充填することを特徴とする請求項5に記載の排水処理方法としたものである。
これによって、計測槽での溶存酸素濃度検出器による溶存酸素濃度の非計測時、排水の生物処理の停止時等に溶存酸素濃度検出器を保護して劣化を防止し、長期間にわたって正確で安定した検出をすることができる。
の発明は、第1〜第の発明において、計測槽に温度調節手段を備え、生物処理槽の混合水と計測槽の混合水の温度を略同一となるよう調節することを特徴とする排水処理方法としたものである。
これによって、生物処理槽の混合水と計測槽の混合水の温度条件を略同一となるよう調節し、生物処理槽の混合水の溶存酸素濃度の把握バラツキを抑制することができる。
以下、本発明による実施例の排水処理方法について、図面を参照して説明する。図1は本発明による一実施例の排水処理方法を示す構成図、図2は第1の分離槽、第2の分離槽の平面構成図である。なお図中の矢印は排水の流れを示す。
まず、生物処理手段1の構成、動作について説明する。流入管2から流量調節弁3を介して被処理水である排水を生物処理槽4に流入させ、一定量貯留する。生物処理槽4の被処理水である排水と汚泥との混合水に供給管6、散気管7、散気管7に設けた多数の噴出孔8を介してブロワ5からの空気を供給する。この曝気によって、生物処理槽4の混合水の溶存酸素を高めて好気性化し、微生物による分解を促進する。生物処理槽4で浄化処理された混合水は、接続管9を介して沈殿槽10に供給され、汚泥分が沈降することでこれを分離し、排出管11、開閉弁12を介して排出し活性汚泥として生物処理槽4に返送する。汚泥分が除かれた処理水は、排出管13より排出し、放流または再利用するものである。
次に、異物分離手段14の構成、動作について説明する。図1に示すように工場や下水処理場などから排出される被処理水である排水は、生物処理槽4で浄化処理されるが、生物処理槽4の被処理水である排水と汚泥との混合水の水質を精度よく、また長期にわたって安定して検出するには、溶存酸素濃度検出器への異物の付着防止、さらに処理装置の配管等の閉塞を防ぐために、混合水に含まれる異物を除去することが重要である。
本実施例による異物分離手段14は、生物処理槽4から異物を含む混合水を汲み上げる排水導入ポンプ15と、排水導入ポンプ15から第1の分離槽17へ混合水を取り込む排水取込み管16と、第1の分離槽17と第2の分離槽19とを結び、第1の分離槽17からの1次処理水を第2の分離槽19へ流入させる槽間接続管18と、第1の分離槽17で分離された異物を生物処理槽4へ返送する排水返送管20と、第1の分離槽17下部に設けられ排水返送管20につながる接続管21、第2の分離槽19下部に設けられ排水返送管20につながる接続管22によって構成される。
第1の分離槽17は上部が円筒状で、下部が円錐状のケーシングから構成されており、排水取込み管16から取り込んだ混合水を少量の1次処理水と残りの混合水に分岐させるとともに、混合水に含まれる比較的大きく、重い異物を混合水とともに排水返送管20を通じて生物処理槽4へ還流させるものである。
ここで、遠心力場における異物の分離速度はストークスの法則より(数1)で求めることができる。
ω=(ρ−ρ)・(D・(rω)/(18μ) (数1)
(数1)において、vωは異物の分離速度、ρは異物粒子の密度、ρは液体の密度、Dは異物粒子の直径(代表長さ)、rは異物粒子の旋回半径、ωは異物粒子の角速度、μは液体の粘度である。
つまり、排水から異物の分離を効率よく行うためには、異物粒子の回転角速度(ω)を大きくしなければならない。そこで、第1の分離槽17は排水取込み管16を通じて第1の分離槽17内の接線方向へ混合水を取り込み、取り込んだ混合水の流速を利用して第1の分離槽17内に強力な旋回水流を形成し、高速旋回角速度によって発生する強い遠心力で比較的直径(代表長さ)が大きく、重い質量の異物を高速旋回する第1の分離槽17の内周部へ移動させ、混合水とともに接続管21、排水返送管20を通じて生物処理槽4へ還流させている。
一方、比較的大きく、重い質量の異物を分離した少量の1次処理水は槽間接続管18より流出させ、第1の分離槽17内の旋回水流によって分離された異物は、生物処理槽4へ還流する排水側へ誘引され、混合水とともに生物処理槽4へと還流されている。ここで、1次処理水と生物処理槽4へ還流される混合水の流量比は、3:7〜1:9とするのが好ましい。
また、第2の分離槽19は円筒状の胴部分19aとおわん状の底部分19bとで構成されている。第2の分離槽19の胴部分19aには、1次処理水を第2の分離槽19に導入する槽間接続管18と、2次処理水を導出する2次処理水導出管23とを第2の分離槽19内に突き出して設けている。2次処理水を導入する槽間接続管18は、2次処理水導出管23より下方側で、底部分19bよりも上方側に配置されている。槽間接続管18の流出口18aにはエルボが形成され(詳細は図2参照)、第2の分離槽19内で胴部分19aの接線方向へ1次処理水を流出させ、流出させた1次処理水の流速を使って第2の分離槽内19に緩やかな旋回液流を形成し、第2の分離槽内19の流れを整流すると共に、低速旋回水流によって発生する弱い遠心力で1次処理水よりも重い質量の異物を第2の分離槽19の内周部へ緩やかに移動させつつ凝集させ、重力によって沈降分離させている。
ここで、重力場における異物の分離速度はストークスの法則より(数2)で求めることができる。
=(ρ−ρ)・g・(D/(18μ) (数2)
(数2)において、vは異物の分離速度、ρは異物粒子の密度、ρは液体の密度、Dは異物粒子の直径(代表長さ)、gは重力加速度、μは液体の粘度である。
つまり、重力を使って混合水から異物の分離を効率よく行うためには、異物粒子の直径(代表長さ)(D)を大きくしなければならない。そこで、第2の分離槽19では接続管22に滞留時間調節弁24を設け、滞留時間調節弁24の開度を調節することにより、第2の分離槽19へと流入する1次処理水の流入速度を増減し、第2の分離槽内19の1次処理水の滞留時間を調節することで、1次処理水に含まれる異物の種類に応じた旋回流速の微調整が可能となり、効率よく異物粒子を凝集させて異物粒子の直径(D)を大きくし重力によって沈降分離させている。
一方、必要な2次処理水のみを第2の分離槽19から取り出し、分離した異物は混合水とともに第2の分離槽19の底部分19bの接続管22から生物処理槽4へ還流させているが、分離した異物が少ない場合、この滞留時間調節弁24を通常の運転時は閉じておき、メンテナンスを行う場合に開放し、第2の分離槽19に沈降分離した異物を排出することも可能である。
2次処理水導出管23の導入口23aは第2の分離槽19における旋回水流の中心軸もしくは中心軸近傍で、第2の分離槽19内の水面より下側で、上向きに開口しており、第2の分離槽19の水面に浮上した浮遊性の異物、底部分19bに沈降した沈降性の異物、及び旋回流による慣性力で第2の分離槽19の内周へ分離された異物を導入することなく、2次処理水の排出が可能となっている。
また、底部分19bに凝集沈降した沈降性の異物は、混合水とともに接続管22より生物処理槽4へ返送することが可能となっている。ここで、第2の分離槽19の上部には、空気抜き弁25を設け、第2の分離槽19内へ溜まった空気を外部へ排出するように構成することが好ましい。空気抜き弁25を設けることで、第2の分離槽19に余分な圧力がかからず、胴部分19aの強度を低く抑えることができ、第2の分離槽19のコンパクト化と低コスト化を実現できる。
接続管21には1次処理水の流量を調節する1次処理水流量調節弁26が、2次処理水導出管23には2次処理水流量計27が設けられている。1次処理水流量調節弁26の開度を調節することで、第1の分離槽17や第2の分離槽19へかかる圧力を調節することができ、その結果、2次処理水導出管23や槽間接続管18へと流出する1次処理水や2次処理水の流量を調節することができる。
すなわち、1次処理水の流量を増す場合は1次処理水流量調節弁26を閉じ、第1の分離槽17や第2の分離槽19へかかる圧力を高める。一方、1次処理水の流量を減らす場合は1次処理水流量調節弁26を開け、第1の分離槽17や第2の分離槽19へかかる圧力を減少させる。
このように、接続管21に1次処理水流量調節弁26を設けることで、2次処理水導出管23や槽間接続管18に異物が詰まった場合でも加圧量を増加することが可能となり、異物を押し流すことで配管の閉塞を防ぐことができる。また処理水流量の調節を流量の多い排水返送管20、接続管21で行うために、配管が細く、流量が少ない槽間接続管18や2次処理水導出管23で1次処理水の流量を調節する場合よりも1次処理水流量調節弁26の閉塞を防止することができる。
第2の分離槽19の上部の液面レベル付近には、第2の分離槽19の上部の液面レベル付近から排水返送管20へとつながった浮遊物返送管28が設けられ、浮遊物返送管28には浮遊物排出弁29が設けられている。混合水よりも軽く、遠心力や重力によって分離することのできない浮遊性の異物は浮遊物排出弁29を開放することで、第2の分離槽19より排出することができる。
図2は本実施例による異物分離手段主要部の平面図である。本図に示すように、第1の分離槽17の中心軸と第2の分離槽19の中心軸が一致するように第1の分離槽17と第2の分離槽19を結ぶ槽間接続管18が設けられている。このように槽間接続管18を配置することで、配管の長さを短くすることができ、異物分離手段14全体をコンパクトに構成することができるとともに、配管の閉塞などの故障を最小限にすることもできる。
次に、水質計測手段30の構成、動作について説明する。異物分離手段14の2次処理水導出管23より流出する2次処理水を、三方弁31を介して計測槽32に流入させて一定量貯留する。計測槽32には、溶存酸素濃度を検出する溶存酸素濃度検出器33を貯留する2次処理水中に位置させている。
計測槽32の底部に排出管34を接続し、計測槽32に貯留した混合水の水質を計測後、混合水を開とした開閉弁35、排出管34を介して生物処理槽4に返送する。また三方弁31と排出管34とを接続する接続管36を設けている。前記三方弁31は、2次処理水を計測槽32に流入させて一定量貯留する流れと、一定量貯留し水質を計測終了後、接続管36を介して排出管34から生物処理槽4に返送する流れを切り替えるものである。
計測槽32には、ブロワ40に接続した供給管37と、この供給管37に接続し、多数の噴出口39を有した散気管38とを設けて、曝気は、計測槽32の混合水にブロワ40から供給管37、散気管38、噴出孔39へと空気を供給することで行なうものである。この曝気によって、計測槽32の混合水の溶存酸素濃度を、生物処理槽4の混合水の溶存酸素濃度よりも高めるものである。
計測槽32における混合水の貯留量は、酸素利用速度を計測できるだけの少量でよく、強力な曝気も必要としないので短時間で溶存酸素濃度を高めることができる。これにより溶存酸素濃度検出器33の破損の恐れがなく、異物等の付着も抑制し、短時間で酸素利用速度を計測することができる。
生物処理槽から計測槽32に流入させた混合水の曝気開始後の溶存酸素濃度を溶存酸素濃度検出器33により検出し、前記計測槽32の混合水の溶存酸素濃度が一定値以上であるとき、計測槽の混合水の曝気を停止するようにしたものである。これによって、計測槽に流入させた混合水の必要以上の曝気をなくし、計測サイクルの短縮と、省エネルギー化を図ることができる。
計測槽32の混合水への曝気を停止させた後、計測槽32の混合水の酸素利用速度を溶存酸素濃度検出器33により計測する。計測槽32の混合水の曝気を停止した状態で酸素利用速度を計測することにより、溶存酸素濃度検出器33の検出値が安定し、正確な値を検出することができる。
生物処理槽4の混合水に連続的に曝気を行うが、混合水中の例えば処理すべき汚染物である有機物濃度に対して曝気量が不足状態にあるときは、溶存酸素濃度が低下する。この混合水を計測槽32に流入させて曝気し、溶存酸素濃度を一定値以上に高めた後、曝気を停止して酸素利用速度を計測した場合は、酸素の消費量が多く混合水の溶存酸素濃度の低下が速くなる(酸素消費速度が速い)。この状態を計測した場合は、生物処理槽4への被処理水である排水の流入負荷の減少および/または排水の曝気能力を高めるよう制御器(図示なし)により制御する。
また、混合水中の例えば処理すべき汚染物である有機物濃度に対して曝気量が過剰状態にあるときは、溶存酸素濃度が高い。この混合水を計測槽32に流入させて曝気し、溶存酸素濃度を一定値以上に高めた後、曝気を停止して酸素利用速度を計測した場合は、酸素の消費量が少なく混合水の溶存酸素濃度の低下が遅くなる(酸素消費速度が遅い)。この状態を計測した場合は、生物処理槽4への被処理水である排水の流入負荷の増加および/または排水の曝気能力を下げるよう制御器(図示なし)により制御する。
これによって生物処理槽4への混合水に連続的に曝気を行いながら、混合水中の例えば処理すべき有機物濃度に応じて、生物処理槽4への被処理水である排水の流入負荷および/または曝気能力を調節して最適な溶存酸素濃度に維持し、被処理水である排水の処理能力の確保、その最大化および過剰な曝気による無駄な電力消費の増大を防止することができる。
また生物処理槽4の混合水への曝気は間欠曝気の場合もあり、ブロワ5による空気供給を断続的に行い、曝気時間(好気時間)を変化させてもよく、連続曝気より電力消費を削減できる。
なお被処理水である排水の流入負荷は、被処理水である排水の生物処理槽4への流入量を制御することによって行う。また処理すべき汚染物である有機物濃度の異なる排水を選択して生物処理槽4へ流入させることによっても制御することができる。
また、計測槽32に溶存酸素濃度検出器33および計測槽32を洗浄する洗浄水を、供給管41、開閉弁42、散水部43を介して供給し、洗浄後の洗浄水を開閉弁35、排出管34を介して生物処理槽4に排出するものである。これによって、溶存酸素濃度検出器33および計測槽32に付着した異物等を洗浄水により除去し、長期間にわたって正確で安定した検出をすることができる。
また、計測槽32に供給した洗浄水を排出後、計測槽32に溶存酸素濃度検出器33を保護する保存液である洗浄水または保存気体を充填する。これによって、計測槽32での溶存酸素濃度検出器33による溶存酸素濃度の非計測時、排水の生物処理の停止時等に溶存酸素濃度検出器33を保護して劣化を防止し、長期間にわたって正確で安定した検出をすることができる。なお保存液を洗浄水としたが、純水その他保存に適した液体でもよい。また保存気体は窒素、アルゴン等を用いることができる。
さらに、本実施例のように生物処理槽4と計測槽32の間に異物分離手段14を備え、異物分離手段14で異物を分離した混合水を計測槽32に流入させることによって、異物等の溶存酸素濃度検出器33への付着を抑制し、長期間にわたって正確で安定した検出をすることができる。また前記溶存酸素濃度検出器33および計測槽32の洗浄の間隔を長くすることができる。
また、大型となる生物処理槽4は、温度が一定となりやすい通常地中に埋設させ、小型でよい計測槽32は温度が変化しやすい地上に備えることになるため、生物処理槽4の混合水と計測槽32の混合水の温度が大きく異なる場合があり、計測槽32における溶存酸素濃度の検出誤差を生じやすい。
本実施例においては、生物処理槽4の混合水および計測槽32の混合水の温度計測器(図示なし)と、計測槽32に温度調節手段44を備え、これにより生物処理槽4の混合水と計測槽32の混合水の温度を略同一となるよう調節する。これによって、生物処理槽4の混合水と計測槽32の混合水の温度条件を略同一となるよう調節し、生物処理槽4の混合水の溶存酸素濃度の検出誤差を抑制することができる。なお、温度調節手段44は、電気ヒータ、ペルチェ素子、冷温水製造機等を用いることができる。
以上のように、本発明の排水処理方法によれば、生物処理槽4の混合水の溶存酸素濃度を常に正確に把握し、これにより生物処理槽4の溶存酸素濃度を最適条件に維持して混合水の好気性微生物による処理能力を向上させた排水処理方法を提供することができる。
本発明による排水処理方法は、工場や、排水処理施設などから排出されるさまざまな排水に対して適用することができる。
本発明による一実施例の排水処理方法を示す構成図 図1における第1の分離槽、第2の分離槽の平面構成図
符号の説明
1 生物処理手段
2 流入管
3 流量調節弁
4 生物処理槽
5、40 ブロワ
6、37、41 供給管
7、38 散気管
8、39 噴出孔
9、21、22、36 接続管
10 沈殿槽
11、34 排出管
12、35、42 開閉弁
13 排出管
14 異物分離手段
15 排水導入ポンプ
16 排水取込み管
17 第1の分離槽
18 槽間接続管
18a 流出口
19 第2の分離槽
19a 胴部分
19b 底部分
20 排水返送管
23 2次処理水導出管
23a 導入口
24 滞留時間調節弁
25 空気抜き弁
26 1次処理水流量調節弁
27 2次処理水流量計
28 浮遊物返送管
29 浮遊物排出弁
30 水質計測手段
31 三方弁
32 計測槽
33 溶存酸素濃度検出器
43 散水部
44 温度調節手段

Claims (7)

  1. 被処理水である排水と汚泥との混合水の曝気手段を有する生物処理槽と、前記生物処理槽の混合水を流入させ一定量貯留する計測槽と、前記生物処理槽と前記計測槽の間に設けた、旋回水流の流速が異なる第1の分離槽と第2の分離槽からなる、重い質量の異物を分離する異物分離手段と、前記計測槽の混合水の曝気手段と、前記計測槽の混合水の溶存酸素濃度検出器を備え、曝気を継続させた状態の生物処理槽の混合水から前記異物分離手段で重い質量の異物を分離して計測槽に流入させて一定量貯留し、貯留した計測槽の混合水を一定時間曝気して溶存酸素濃度を生物処理槽の混合水の溶存酸素濃度よりも高めた後、計測槽の混合水への曝気を停止させて前記溶存酸素濃度検出器により計測槽の混合水の酸素利用速度を計測し、前記計測した酸素利用速度に基づいて生物処理槽の混合水の溶存酸素濃度を制御することを特徴とする排水処理方法。
  2. 計測槽の混合水の酸素利用速度を計測した後、計測槽の混合水を生物処理槽に排出させるとともに、一定時間ごとに生物処理槽の混合水を計測槽に流入させて一定量貯留し、前記計測槽の混合水の酸素利用速度を計測することを特徴とする請求項1に記載の排水処理方法。
  3. 計測槽に流入させた混合水の曝気開始後の溶存酸素濃度を検出し、前記計測槽の混合水の溶存酸素濃度が一定値以上であるとき、計測槽の混合水の曝気を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の排水処理方法。
  4. 計測した酸素利用速度に基づいて生物処理槽への被処理水である排水の流入負荷および/または生物処理槽の混合水の曝気能力を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の排水処理方法。
  5. 計測槽に溶存酸素濃度検出器および計測槽を洗浄する洗浄水を供給し、洗浄後の洗浄水を生物処理槽に排出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の排水処理方法。
  6. 計測槽に供給した洗浄水を排出後、計測槽に溶存酸素濃度検出器の保存液または保存気体を充填することを特徴とする請求項5に記載の排水処理方法。
  7. 計測槽の混合水の温度調節手段を備え、生物処理槽の混合水と計測槽の混合水の温度を略同一となるように調節することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の排水処理方法。
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