JP5022526B1 - アルカリ一次電池 - Google Patents

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アルカリ一次電池は、有底円筒形の電池ケースと、電池ケースの内壁に接して配され、かつ二酸化マンガンを含む中空円筒形の正極と、正極の中空部内に配され、かつ亜鉛または亜鉛合金を含むゲル状の負極と、正極と負極との間に配されるセパレータと、アルカリ電解液と、を含み、正極が電気容量C1および高さL1を有し、負極が電気容量C2および高さL2を有し、電気容量C1およびC2が、関係式(1):
1.05≦C2/C1≦1.25 (1)
を充足し、高さL1およびL2が、関係式(2):
0.85≦L2/L1≦f(C2/C1) (2)
を充足し、ただし、f(C2/C1)=−0.3058×C2/C1+1.3153である。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルカリ一次電池に関し、さらに詳しくはアルカリ一次電池の正極および負極の改良に関する。
従来から、アルカリ一次電池は様々な機器で使用されている。近年、アルカリ一次電池が使用される機器の負荷が増大していることに伴って、強負荷放電特性に優れた電池が要望されている。
アルカリ一次電池では、放電反応により、負極活物質である亜鉛の表面に、亜鉛酸化物を含む高抵抗の被膜が形成され、内部の亜鉛を放電反応に有効に利用できないという問題がある。そのため、規定の電気容量を消費し尽くして機器が作動しなくなった後も、未反応の亜鉛(以下、残亜鉛ともいう)が残存することになる。
残亜鉛は、電池内でガスを発生し、これによりアルカリ電解液の漏出(以下、単に漏液ともいう)を生じる場合がある。特に、規定の電気容量を消費し尽くして機器が作動しなくなった後も、電池を電源が入った状態の機器に装着したままにしておくと、電池の過放電が進行して、多くのガスを発生し、漏液が起こり易くなる。
放電時の負荷が大きいほど、亜鉛の表面に、高抵抗の被膜が形成されやすくなり、亜鉛の有効利用が難しくなる。そのため、従来は、負極の電気容量を正極の電気容量よりも大きくすることで、電池の強負荷放電特性および放電容量の向上を図っていた。
しかし、正極の電気容量に対して負極の電気容量を大きく設定した場合、電池の規定の電気容量を消費し尽くした後の残亜鉛量が極めて多くなる。そして、過放電状態になると、電池内に、非常に多くのガスが発生するようになり、アルカリ電解液の漏出を抑制するのが困難になる。
そこで、こうした漏液の問題を回避するためには、過放電時における残亜鉛量を少なくして、電池内でのガス発生量を低減することが求められている。
例えば、特許文献1では、負極に200メッシュの篩目を通過し得るものの割合が10〜80質量%である亜鉛合金粒子を用い、正極の電気容量に対する負極の電気容量の比(負極の電気容量/正極の電気容量)を1.05〜1.10としている。このように、特許文献1では、反応性の高い亜鉛合金粒子を用いるとともに、正極の電気容量に対する負極の電気容量の比を小さくすることで、放電終了時における残亜鉛量を可及的に低減でき、過放電時のガス発生を抑制できるとしている。
特許文献2では、亜鉛または銅を含まない亜鉛合金製の負極集電体を用い、正極の電気容量に対する負極の電気容量の比(負極の電気容量/正極の電気容量)を1.00〜1.25としている。特許文献2では、上記の負極集電体を用いることにより、ガス発生を抑制している。これは、アルカリ電池が過放電状態になると、従来の負極集電体からは、その構成元素の一つである銅イオンが溶出して、未反応の亜鉛上に析出し、これが起点となってガス発生を促進するとの考えに基づいている。
特開2009−151958号公報 特開2009−43417号公報
特許文献1や特許文献2では、アルカリ一次電池1個についての過放電試験を行い、そのガス発生を評価している。
しかし、実際に、アルカリ一次電池を機器に装着する際には、複数の電池、例えば、2〜8個、中でも4個の電池を直列に接続して用いられることが多い。複数個のアルカリ一次電池を直列に接続して用いた場合、過放電時には、電気容量の大きい電池から小さい電池へより大きな負荷がかかる。つまり、このような場合、アルカリ一次電池を1個用いる場合と比べてより過酷な環境にさらされることとなる。
そのため、1個のアルカリ一次電池について過放電試験によりガス発生が抑制できたとしても、同じ電池を複数個直列に接続した場合には、過放電時に、ガスの発生を抑制できず、漏液が起こる場合がある。つまり、アルカリ一次電池の更なる耐漏液性向上を図るためには、アルカリ一次電池を複数個直列につないだ状態で、過放電試験を行う必要がある。
また、特許文献2では、特定の負極集電体を使用しなければならず、この負極集電体に含まれる亜鉛が活物質として反応に関与し易いという問題がある。この場合、負極集電体表面が酸化された亜鉛で覆われることで導電率が低下し、放電性能の低下を招いてしまう。
このように、アルカリ一次電池においては、過放電時の漏液の抑止に関して、改善すべき技術的課題が多く残されている。
本発明の目的は、複数の電池を直列に接続して使用するような場合であっても、過放電時の漏液を効果的に抑制できるアルカリ一次電池を提供することである。
本発明の一局面は、有底円筒形の電池ケースと、電池ケースの内壁に接して配され、かつ二酸化マンガンを含む中空円筒形の正極と、正極の中空部内に配され、かつ亜鉛または亜鉛合金を含むゲル状の負極と、正極と負極との間に配されるセパレータと、アルカリ電解液と、を含み、正極が電気容量C1および高さL1を有し、負極が電気容量C2および高さL2を有し、電気容量C1およびC2が、関係式(1):
1.05≦C2/C1≦1.25 (1)
を充足し、高さL1およびL2が、関係式(2):
0.85≦L2/L1≦f(C2/C1) (2)
を充足し、ただし、f(C2/C1)=−0.3058×C2/C1+1.3153である、アルカリ一次電池に関する。
本発明によれば、アルカリ一次電池において、十分な放電性能を確保できるとともに、負極中の残亜鉛量を低減することができるため、複数の電池を直列に接続して使用するような場合であっても、過放電時の漏液を効果的に抑制できる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本発明の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
本発明の一実施形態における単3形のアルカリ一次電池の一部を断面とする正面図である。 実施例2の一部の電池についての、正極の電気容量に対する負極の電気容量の比C2/C1と正極の高さに対する負極の高さの比L2/L1との関係を示すグラフである。 実施例2の電池V1および電池V5を、それぞれ4個直列で接続し、16Ωの抵抗で放電させた時の放電時間と閉路電圧との関係を示す図である。
本発明者らは、過放電時の耐漏液性に優れるとされている従来のアルカリ一次電池では、単電池として用いた場合には、漏液が発生しなくても、複数個を直列に接続した場合には、漏液が発生する場合があることに着目した。そして、過放電時の漏液に及ぼす要因を検討したところ、正極の電気容量C1に対する負極の電気容量C2の比C2/C1が大きくなると、単電池では過放電時に漏液が生じなくても、複数個の電池を直列につないだ場合には過放電時に漏液が生じやすい傾向が見られることを見出した。
また、本発明者らは、アルカリ一次電池において、放電反応により正極および負極が膨張して、正極と対向しない負極の体積が増加し、これが原因となって、残亜鉛量が増加する場合があることに着目した。特に、過放電時においては、正極の膨張に対して負極の膨張が大きい上、負極の膨張は、主に負極の高さ方向で顕著であるため、負極の高さは正極の高さを越えて高くなる。
一方、機器を効率よく作動させるためには、放電中の正極の高さと負極の高さとはできるだけ揃えた方が有利である。しかし、このような設計では、過放電時において、正極と対向しない負極の体積が増加し、負極において残亜鉛量が顕著に増大することが分かった。
そこで、本発明者らは、アルカリ一次電池の放電時における正極と負極の膨張を予め想定して、正極の高さL1に対する負極の高さL2の比L2/L1を特定の範囲に制御したところ、過放電時の漏液を抑制できることを見出した。
また、高さ比L2/L1を特定の範囲に制御すると、電気容量比C2/C1が大きい場合であっても、過放電時の漏液を抑制できる場合があることも見出した。電気容量比C2/C1が大きくなると過放電時の漏液が発生し易くなる傾向が確認されたが、電気容量比C2/C1と漏液の発生との関係は、高さ比L2/L1の値にも影響されることがわかった。
そこで、本発明では、有底円筒形の電池ケースと、前記電池ケースの内壁に接して配され、かつ二酸化マンガンを含む中空円筒形の正極と、前記正極の中空部内に配され、かつ亜鉛または亜鉛合金を含むゲル状の負極と、前記正極と前記負極との間に配されるセパレータと、アルカリ電解液と、を含むアルカリ一次電池において、正極の電気容量に対する負極の電気容量の比と、正極の高さに対する負極の高さの比とを、それぞれ特定の範囲に制御する。具体的には、正極が電気容量C1および高さL1を有し、負極が電気容量C2および高さL2を有するとき、本発明のアルカリ一次電池は、電気容量C1およびC2が、関係式(1):
1.05≦C2/C1≦1.25 (1)
を充足し、
前記高さL1およびL2が、関係式(2):
0.85≦L2/L1≦f(C2/C1) (2)
を充足する。ただし、f(C2/C1)=−0.3058×C2/C1+1.3153である。
このように、本発明では、正極の電気容量に対する負極の電気容量の比C2/C1および正極の高さに対する負極の高さの比L2/L1のバランスを、従来とは異なる好適な範囲に制御する。これにより、負極の利用率を高めて放電性能を高めることができるとともに、過放電時の漏液を抑制し易くなる。具体的には、正極と対向しない負極の体積を低減して、残亜鉛量を低減させ、結果として、漏液を抑制することができる。つまり、過放電領域における正極と負極の対向面積を最大化でき、材料利用率を増加させることができる。そのため、過放電領域における残亜鉛量が減少し、過放電時の漏液を抑止する大きな効果が得られる。
電気容量比C2/C1が1.05未満では、正極の利用率が著しく低下するため、十分な放電容量が得られない。また、電気容量比C2/C1が1.25を超えると、負極量が増大し、電池内に収納できる正極量が相対的に低下するため、十分な放電性能を得られない場合がある。
電気容量比C2/C1は、次のようにして算出できる。アルカリ一次電池から、正極および負極を取り出し、洗浄や溶出などの処理を行い、それぞれに含まれる活物質の質量を算出して、この質量に活物質の理論容量を乗ずることにより、正極および負極の電気容量C1およびC2をそれぞれ算出する。そして、負極の電気容量C2を、正極の電気容量C1で除することにより、電気容量比C2/C1を算出することができる。
活物質の自己放電による酸化還元は極めて軽微であるため、電気容量比C2/C1は、電池を組み立ててから、機器類に装着して放電を開始する前までの段階であれば、どの時点で決定してもよく、例えば、電池の組み立てから1年以内または半年以内に決定してもよい。
式(2)の右辺f(C2/C1)=−0.3058×C2/C1+1.3153は、アルカリ一次電池の電気容量比C2/C1および高さ比L2/L1と、過放電時の漏液の有無との関係に基づいて決定できる。具体的には、複数の電池を直列に接続した場合について過放電での漏液を、電気容量比C2/C1または高さ比L2/L1が異なる条件で調べる。そして、電気容量比C2/C1に対して高さ比L2/L1をプロットし、漏液しなかった電池のうち、電気容量比C2/C1の各値に対して、高さ比L2/L1が最大となる点を求める。これらの点は、意外にも、ほぼ1つの直線上に分布しており、この直線、すなわち、一次回帰線の式が、上記f(C2/C1)の式となる。
漏液の有無の確認は、複数のアルカリ一次電池を直列に接続した状態で行うのが好ましい。例えば、2〜8個、好ましくは3〜6個、さらに好ましくは4個のアルカリ一次電池を直列に接続した状態で、過放電になるまで放電した後、漏液の有無を確認する。f(C2/C1)の決定や、C2/C1およびL2/L1の測定に使用するアルカリ一次電池は、円筒形電池、好ましくは単3形の円筒形電池である。
高さ比L2/L1がf(C2/C1)を超えると、過放電領域において負極の高さが正極の高さを大きく越えることになる。そのため、正極と対向しない負極の体積が増加して、材料利用率が低下し、過放電領域における残亜鉛量が多くなる。その結果、過放電時に漏液が起こることになる。また、高さ比L2/L1が0.85未満では、反応効率が低くなりすぎる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。さらに、他の実施形態との組み合わせも可能である。
図1は、本発明の一実施形態における単3形のアルカリ一次電池の横半分を断面とする正面図である。図1に示すように、アルカリ一次電池は、中空円筒形の正極2と、正極2の中空部内に配された負極3と、これらの間に配されたセパレータ4と、アルカリ電解液(図示せず)とを含み、これらが、正極端子を兼ねた有底円筒形の電池ケース1内に収容されている。正極2は、電池ケース1の内壁に接して配され、正極2の中空部内には、セパレータ4を介して、ゲル状の負極3が充填されている。セパレータ4は、有底円筒形であり、正極2の中空部の内面に配され、正極2と負極3とを隔離するとともに、負極3と電池ケース1とを隔離している。正極2は、二酸化マンガンとアルカリ電解液とを含有し、負極3は、亜鉛または亜鉛合金の粉末とアルカリ電解液とゲル化剤とを含有する。
電池ケース1の開口部は、封口ユニット9により封口されている。封口ユニット9は、ガスケット5、負極端子を兼ねる負極端子板7、および負極集電体6からなる。負極集電体6は負極3内に挿入されている。負極集電体6は、頭部と胴部とを有する釘状の形態を有しており、胴部はガスケット5の中央筒部に設けられた貫通孔に挿入され、負極集電体6の頭部は負極端子板7の中央部の平坦部に溶接されている。電池ケース1の開口端部は、ガスケット5の外周端部を介して負極端子板7の周縁部の鍔部にかしめつけられている。電池ケース1の外表面には外装ラベル8が被覆されている。
図1に示すように、正極の高さL1および負極の高さL2は、それぞれの底面から頂面までの距離である。なお、負極の高さL2は、セパレータの底部の上面から、ゲル状負極の頂面までの距離である。負極の頂面が底面と水平にならない場合には、頂面の最上点と最下点との中間に、水平な頂面が位置するものと仮定して、高さL2を測定できる。そして、負極の高さL2を正極の高さL1で除することにより、高さ比L2/L1を算出できる。
アルカリ一次電池を組み立てた直後からしばらくの間は、正極および負極が膨張して、高さが変化する。そのため、正極および負極の高さL1およびL2は、この膨張が収まった後、例えば、電池の組み立てから3〜7日経過後に測定するのが好ましい。また、アルカリ一次電池を、機器類に装着して放電を開始すると、正極および負極が膨張して高さが変化する。そのため、正極および負極の高さL1およびL2は、機器類に装着して放電を開始する前までの段階において測定でき、例えば、電池の組み立てから1年以内または半年以内に測定してもよい。
以下、アルカリ一次電池の詳細について説明する。
(正極)
正極は、正極活物質である二酸化マンガンに加え、通常、導電剤である黒鉛およびアルカリ電解液を含む。また、正極は、必要に応じて、さらに結着剤を含有してもよい。
二酸化マンガンとしては、電解二酸化マンガンが好ましい。二酸化マンガンの結晶構造としては、α型、β型、γ型、δ型、ε型、η型、λ型、ラムスデライト型が挙げられる。
アルカリ一次電池では、二酸化マンガンは粉末の形態で用いられる。二酸化マンガン粉末は、BET比表面積が大きいほど、マンガンの欠損が多く存在する性質を有する。マンガンの欠損が多いと、放電反応中のプロトンの移動が容易となって、放電の進行に伴って二酸化マンガンが膨張しやすく、正極の膨張を助長する。この観点から、二酸化マンガンは、35m2/g以上のBET比表面積を有する粉末を用いることが好ましい。このような粉末を用いると、過放電領域において、膨張しやすい負極に対して正極の膨張が追従しやすくなり(負極の高さと正極の高さのギャップが生じにくくなり)、残亜鉛量をより低減することができる。
一方、一般的にBET比表面積が大きくなると粉末の粒子サイズが小さくなる傾向にある。正極の成形性の点からは、BET比表面積が約50m2/g以下、好ましくは48m2/g以下にするのが有利である。比表面積の下限値と上限値とは適宜選択して組み合わせることができ、比表面積は、例えば、35〜48m2/gの範囲であってもよい。
なお、BET比表面積とは、多分子層吸着の理論式であるBET式を用いて、表面積を測定および計算したものであり、活物質の表面と微細孔の比表面積である。BET比表面積は、窒素吸着法による比表面積測定装置(例えば、マイクロメリテック社製 ASAP2010)を用いることにより測定できる。
正極の充填性および正極内での電解液の拡散性の観点から、二酸化マンガンの平均粒径(D50)は、例えば、25〜60μm、好ましくは30〜45μmである。
導電剤の黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛などが使用でき、通常、粉末状である。
黒鉛の平均粒径(D50)は、3〜20μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。
なお、平均粒径(D50)とは、体積基準の粒度分布におけるメジアン径である。平均粒径は、例えば、(株)堀場製作所製のレーザ回折/散乱式粒子分布測定装置(LA−920)を用いて求められる。
正極中の導電剤の含有量は、二酸化マンガン100質量部に対して、例えば、3〜10質量部、好ましくは5〜9質量部である。
正極は、例えば、二酸化マンガン、黒鉛、アルカリ電解液、必要に応じて結着剤を含む正極合剤をペレット状に加圧成形することにより得られる。正極合剤を、一旦、フレーク状や顆粒状にし、必要により分級した後、ペレット状に加圧成形してもよい。
ペレットは、電池ケース内に収容された後、所定の器具を用いて、電池ケース内壁に密着するように二次加圧される。
(負極)
負極は、負極活物質として、亜鉛または亜鉛合金を含む。
亜鉛合金は、耐食性の観点から、インジウム、ビスマスおよびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種を含むのが好ましい。亜鉛合金中のインジウム含有量は、例えば、0.01〜0.1質量%であり、ビスマス含有量は、例えば、0.003〜0.02質量%である。亜鉛合金中のアルミニウム含有量は、例えば、0.001〜0.03質量%である。亜鉛合金中において亜鉛以外の元素が占める割合は、耐食性の観点から、0.025〜0.08質量%であるのが好ましい。
亜鉛または亜鉛合金は、通常、粉末状の形態で使用される。亜鉛または亜鉛合金粉末は、小さい粒子(例えば、200メッシュの篩目を通過する粒子)ほど、活性に富み出力特性が良好である。そのため、亜鉛または亜鉛合金粉末は、このような粒子をある程度の含有量で含むのが好ましい。亜鉛または亜鉛合金粉末中の、200メッシュの篩目を通過し得る粒子の含有量は、例えば、20〜50質量%、好ましくは25〜40質量%である。
しかし、小さい粒子は、高い活性を有する反面、放電反応の末期に失活しやすい特徴を有する。そのため、亜鉛または亜鉛合金粉末の粒子サイズが小さすぎると、過放電領域において、負極の反応が期待できず、残亜鉛量の増大を招く場合がある。
そこで、亜鉛または亜鉛合金粉末は、比較的大きい粒子(例えば、100メッシュの篩目を通過しない粒子)を含有することが好ましい。
過放電領域における失活を抑制して負極の反応を促進し、残亜鉛量を低減する観点からは、100メッシュの篩目を通過しない粒子を、例えば、20質量%以上、好ましくは25質量%以上含有することが好ましい。なお、大きい粒子の含有量を一定量以上に多くしても、含有率の増大に見合った効果の増大が得られないため、100メッシュの篩目を通過しない粒子の含有量は、例えば、約60質量%以下、好ましくは55質量%以下にするのが有利である。なお、これらの下限値と上限値とは適宜選択して組み合わせることができ、100メッシュの篩目を通過しない粒子の含有量は、例えば、20〜55質量%であってもよい。
負極の充填性および負極内でのアルカリ電解液の拡散性の観点から、亜鉛または亜鉛合金の粉末の平均粒径(D50)は、例えば、100〜200μm、好ましくは110〜160μmである。
本発明では、電気容量比C2/C1を特定の範囲に制御する。正極および負極の活物質の使用量を調整すると、比較的容易に電気容量比C2/C1を制御できる。二酸化マンガン1質量部に対して、亜鉛または亜鉛合金の質量は、例えば、0.45〜0.65質量部、好ましくは0.5〜0.6質量部である。
負極は、例えば、亜鉛または亜鉛合金、ゲル化剤およびアルカリ電解液を混合することにより得られる。
ゲル化剤としては、アルカリ一次電池の分野で使用される公知のゲル化剤が特に制限なく使用され、例えば、増粘剤および/または吸水性ポリマーなどが使用できる。このようなゲル化剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウムが挙げられる。
ゲル化剤の添加量は、亜鉛または亜鉛合金100質量部あたり、例えば0.5〜2質量部である。また、亜鉛または亜鉛合金の含有量は、アルカリ電解液100質量部に対して、例えば、175〜225質量部、好ましくは180〜220質量部である。
(負極集電体)
ゲル状負極に挿入される負極集電体の材質としては、例えば、金属合金などが挙げられる。負極集電体は、好ましくは、銅を含み、例えば、真鍮などの銅および亜鉛を含む合金製であってもよい。銅を含む負極集電体において、銅の含有量は、例えば、50〜70質量%、好ましくは60〜70質量%である。本発明では、銅を含む負極集電体を用いても、電気容量比C2/C1と高さ比L2/L1とを制御するため、過放電時の漏液を有効に抑制することができる。負極集電体は、必要により、スズメッキなどのメッキ処理がされていてもよい。
負極集電体の体積が大きくなると、負極が膨張する際に、負極の高さが過度に大きくなりやすい。負極の高さが大きくなるのを抑制するため、負極集電体の体積を小さくするのが好ましい。電池の底面に平行な面における負極集電体の胴部の断面積が、例えば、1.4mm2以下、好ましくは1.33mm2以下である負極集電体を用いる。一方、集電性および機械的強度の観点からは、上記断面積を、例えば、0.9mm2以上、好ましくは0.95mm2以上にするのがよい。これらの断面積の上限値と下限値とは適宜選択して組み合わせることができ、上記断面積は、例えば、0.95〜1.33mm2の範囲であってもよい。
(セパレータ)
セパレータの材質としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコールなどが例示できる。セルロースは、再生セルロースであってもよい。
セパレータは、上記材料の繊維を主体として用いた不織布であってもよく、セロファンなどの微多孔膜であってもよい。不織布と微多孔膜とを併用してもよく、例えば、セロファンに、ポリビニルアルコール繊維を含む不織布をラミネートしたものであってもよい。
過放電領域における負極の膨張は、主に負極の高さ方向で顕著である。しかし、セパレータの形態を選択したり、厚みを調整したりすることにより、この負極の膨張をセパレータによって径方向に吸収することができ、高さ比L2/L1を、より容易に制御することができる。これは、柔軟性を有するセパレータが、膨張する負極に対してクッションの役割を果すためである。すなわち、負極の膨張に伴ってセパレータが圧縮されて見掛けの厚さが減少していき、負極の高さ方向の膨張を径方向で吸収するように機能するためである。
クッション性の観点から、セパレータとしては、不織布を用いるのが好ましい。このような不織布としては、例えば、セルロース繊維およびポリビニルアルコール繊維を主体として混抄した不織布、レーヨン繊維およびポリビニルアルコール繊維を主体として混抄した不織布が例示できる。
また、クッション性の点から、セパレータの厚みは、例えば、180μm以上、好ましくは200μm以上である。内部抵抗が増加しすぎるのを抑制する観点から、セパレータの厚みは、例えば、300μm以下、好ましくは270μm以下である。これらの下限値と上限値とは適宜選択して組み合わせることができ、例えば、セパレータの厚みは、200〜300μmまたは200〜270μmの範囲であってもよい。
セパレータは、全体として上記の厚みを有しているのが好ましく、セパレータを構成するシートが薄ければ、複数のシートを重ねて、上記の厚みとなるようにしてもよい。例えば、例えば、不織布を三重に巻いて筒状のセパレータを形成してもよい。
なお、上述したセパレータの厚さは、セパレータを構成するシート単体の厚さを意味するのではなく、正極と負極の間に配置する形態での乾燥時の総厚みを意味するものである。セパレータの厚みは、例えば、電池内部より取り出したセパレータを45℃環境下で24時間放置し、水分を除去した後にマイクロメータで測定することもできる。
図1では、有底円筒形のセパレータを示したが、これに限らず、アルカリ一次電池の分野で使用される公知の形状のセパレータが使用できる。例えば、円筒型のセパレータと、底紙(または底部セパレータ)とを併用してもよい。
(アルカリ電解液)
アルカリ電解液は、正極、負極およびセパレータ中に含まれる。アルカリ電解液としては、例えば、水酸化カリウムを含むアルカリ水溶液が用いられる。アルカリ電解液中の水酸化カリウムの濃度は、30〜38質量%が好ましい。
アルカリ水溶液に、さらに酸化亜鉛を含ませてもよい。アルカリ電解液中の酸化亜鉛の濃度は、1〜3質量%が好ましい。
(電池ケース)
電池ケースには、例えば、有底円筒形の金属ケースが用いられる。金属ケースには、例えば、ニッケルめっき鋼板が用いられる。正極と電池ケースとの間の密着性を良くするためには、金属ケースの内面を炭素被膜で被覆した電池ケースを用いるのが好ましい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
下記の(1)〜(3)の手順に従って、図1に示す単3形のアルカリ乾電池A1〜A10(LR6)を作製した。得られたアルカリ乾電池を用いて、過放電時の漏液に及ぼす電気容量比C2/C1の影響を調べた。
(1)正極の作製
正極活物質である電解二酸化マンガン粉末(平均粒径(D50)35μm)に、導電剤である黒鉛粉末(平均粒径(D50)8μm)を加え、混合物を得た。電解二酸化マンガン粉末および黒鉛粉末の質量比は92.4:7.6とした。なお、電解二酸化マンガン粉末は、比表面積が41m2/gであるものを用いた。混合物に電解液を加え、充分に攪拌した後、フレーク状に圧縮成形して、正極合剤を得た。混合物および電解液の質量比は100:1.5とした。電解液には、水酸化カリウム(濃度35質量%)および酸化亜鉛(濃度2質量%)を含むアルカリ水溶液を用いた。
フレーク状の正極合剤を粉砕して顆粒状とし、これを篩によって分級した。10〜100メッシュの顆粒を、表1に示す質量で用い、外径13.65mmの所定の中空円筒形に加圧成形して、正極ペレットを2個作製した。
(2)負極の作製
負極活物質である亜鉛合金粉末(平均粒径(D50)130μm)と、上記の電解液と、ゲル化剤とを、(180〜218):100:2.1の質量比で混合し、ゲル状の負極3を得た。亜鉛合金には、0.02質量%のインジウムと、0.01質量%のビスマスと、0.005質量%のアルミニウムとを含む亜鉛合金を用いた。なお、亜鉛合金粉末は、200メッシュの篩目を通過し得る粒子を30質量%および100メッシュの篩目を通過しない粒子を40質量%含んでいた。ゲル化剤には、架橋分岐型ポリアクリル酸からなる増粘剤、および高架橋鎖状型ポリアクリル酸ナトリウムからなる吸水性ポリマーの混合物を用いた。増粘剤と吸水性ポリマーとの質量比は0.7:1.4とした。
(3)アルカリ電池の組立て
ニッケルめっき鋼板製の有底円筒形の電池ケース(外径13.80mm、円筒部の肉厚0.15mm、高さ50.3mm)の内面に、日本黒鉛(株)製のバニーハイトを塗布して厚み約10μmの炭素被膜を形成し、電池ケース1を得た。電池ケース1内に正極ペレットを縦に2個挿入した後、加圧して、電池ケース1の内壁に密着した状態の正極2を形成した。有底円筒形のセパレータ4(厚み0.27mm)を正極2の内側に配置した後、上記の電解液を注入し、セパレータ4に含浸させた。この状態で所定時間放置し、電解液をセパレータ4から正極2へ浸透させた。その後、表1に示す質量のゲル状負極3を、セパレータ4の内側に充填した。
なお、セパレータ4には、質量比が1:1である溶剤紡糸セルロース繊維およびポリビニルアルコール系繊維を主体として混抄した不織布シート1枚(坪量28g/m2、厚み0.09mm)を三重に巻いたものを用いた。
負極集電体6は、一般的な真鍮(Cu含有量:約65質量%、Zn含有量:約35質量%)を、釘型にプレス加工した後、表面にスズめっきを施すことにより得た。負極集電体6の胴部の径は1.15mmとした。ニッケルめっき鋼板製の負極端子板7に負極集電体6の頭部を電気溶接した。その後、負極集電体6の胴部を、ポリアミド6,12を主成分とするガスケット5の中心の貫通孔に圧入した。このようにして、ガスケット5、負極端子板7、および負極集電体6からなる封口ユニット9を作製した。
次に、封口ユニット9を電池ケース1の開口部に設置した。このとき、負極集電体6の胴部を、負極3内に挿入した。電池ケース1の開口端部を、ガスケット5を介して、負極端子板7の周縁部にかしめつけ、電池ケース1の開口部を封口した。外装ラベル8で電池ケース1の外表面を被覆した。このようにして、アルカリ乾電池A1〜A10を作製した。
得られたアルカリ乾電池を用いて、下記の要領で、正極の電気容量に対する負極の電気容量の比C2/C1および正極の高さに対する負極の高さの比L2/L1を算出し、過放電試験AおよびBを評価した。なお、正極の内径は、下記の方法で測定した。
(電気容量比C2/C1)
正極の電気容量C1および負極の電気容量C2を、それぞれ以下の方法により求めた。
組み立ててから1週間経過後のアルカリ乾電池を分解し、電池内から正極および負極をそれぞれ全て取り出した。
取り出した全ての正極を充分に酸に溶解し、不溶分を濾別して試料溶液を得た。ICP発光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)により、試料溶液中のマンガン(Mn)の含有量を求めた。その含有量を二酸化マンガン(MnO2)量に換算して、正極中の二酸化マンガンの質量を算出した。二酸化マンガンの容量を308mAh/gとし、この値に、正極中の二酸化マンガンの質量を乗ずることにより、正極の電気容量C1を算出した。
取り出した全ての負極から、水を溶媒としてデカンテーションにより水溶性物質およびゲル化剤を取り除いた。残った固形分を、十分乾燥させて、負極活物質を取り出し、その質量を測定した。そして、亜鉛の容量を820mAh/gとして、この値に、負極活物質の質量を乗ずることにより、負極の電気容量C2を算出した。
そして、負極の電気容量C2を、正極の電気容量C1を除することにより、電気容量比C2/C1を算出した。
(高さ比L2/L1および正極の内径)
組み立ててから1週間経過後のアルカリ乾電池を、X線透視カメラで撮影し、正極および負極のそれぞれについて、底面から頂面までの距離を測定することによってそれぞれの高さL1およびL2を求めた。なお、負極の頂面が底面と水平にならない場合には、頂面の最上点と最下点との中間に、水平な頂面が位置するものと仮定して、高さL2を測定した。そして、負極の高さL2を、正極の高さL1で除することにより、高さ比L2/L1を算出した。
また、X線透視カメラで撮影した画像に基づいて、正極の内径を測定した。
(過放電試験A)
組み立てたアルカリ乾電池1個を、20±1℃の温度にて、4Ωの抵抗で放電させた。放電開始から1ヶ月後に、漏液の有無を確認した。このような試験を、計10個のアルカリ乾電池について実施し、漏液した電池の個数に基づいて、過放電時の耐漏液性を評価した。
(過放電試験B)
組み立てたアルカリ乾電池を4個直列に接続し、20±1℃の温度にて、16Ωの抵抗で放電させた。放電開始から1ヶ月後に、漏液の有無を確認した。このような試験を、アルカリ乾電池4個を1セットとして、計10セットについて実施し、漏液が見られたセット数に基づいて、過放電時の耐漏液性を評価した。
正極および負極のサイズ、質量および電気容量とともに、上記の評価結果を表1に示す。
Figure 0005022526
表1に示すように、単電池についての過放電試験Aで漏液が発生しない場合でも、複数のアルカリ乾電池を直列につないだ場合についての過放電試験Bでは漏液が発生する場合があることが分かった。
高さ比L2/L1が0.97および0.95のいずれの場合にも、電気容量比C2/C1が大きくなると漏液が発生した。しかし、高さ比L2/L1が0.95である場合に比べて、0.97である場合の方が、電気容量比C2/C1の値が小さくても、漏電が生じることが分かった。
実施例2
本実施例では、電気容量比C2/C1を一定の値とし、過放電時の漏液に及ぼす、高さ比L2/L1の影響を調べた。
正極および負極のサイズや活物質の質量、負極活物質と電解液の質量比を、表2〜表6に示すように変更する以外は、実施例1と同様にして、アルカリ乾電池V1〜Z10を作製した。
得られたアルカリ乾電池を用いて、実施例1と同様に、電気容量比C2/C1、高さ比L2/L1を算出し、過放電試験AおよびBを評価した。
正極および負極のサイズ、質量および電気容量とともに、上記の評価結果を表2〜表6に示す。これらの表には、電気容量比C2/C1および高さ比L2/L1の値も合わせて記載した。
Figure 0005022526
Figure 0005022526
Figure 0005022526
Figure 0005022526
Figure 0005022526
表2〜表6の結果から明らかなように、高さ比L2/L1が大きくなると、過放電試験AまたはBにおいて、漏液が起こる傾向が確認された。
実施例1では、電気容量比C2/C1が1.19以上の場合に、過放電試験Bで漏液が確認されたが(表1)、表5および表6に示されるように、電気容量比C2/C1が、1.21や1.25の場合であっても、高さ比L2/L1を制御すると、過放電試験Bで漏液しなくなることが分かった。
表2〜表6の結果では、漏液が起こる高さ比L2/L1の最小値は、電気容量比C2/C1の値によって異なっていた。そのため、漏液が起こった電池のうち高さ比L2/L1が最小値を示した電池と、漏液しなかった電池の一部について、電気容量比C2/C1と高さ比L2/L1との関係を調べた。電気容量比C2/C1に対して、高さ比L2/L1をプロットしたグラフを図2に示す。図2では、過放電試験Bで漏液した電池を白丸で示し、漏液しなかった電池は黒丸で示した。
図2に示されるように、各電気容量比C2/C1について、漏液しなかった電池のうち、高さ比L2/L1が最大となった電池V5、W7、X7、Y7およびZ7を示す点は、ほぼ1つの直線上に分布することが分かった。つまり、これらの電池における電気容量比C2/C1とL2/L1とは、一次回帰直線Aで表される強い相関関係を示すことがわかった。そして、この直線Aよりも高さ比L2/L1の値が大きい領域にプロットされた電池では、いずれも漏液が確認された。
図2の直線Aの式f(C2/C1)は、L2/L1=−0.3058×C2/C1+1.3153で表されることが分かった。なお、直線Aの式は、マイクロソフト社製の表計算ソフト「Microsoft Office Excel」を用いた回帰分析により求めた。
図2および直線Aの式から、過放電時の漏液を抑制するには、L2/L1≦f(C2/C1)とすることが重要であることが分かる。
また、L2/L1が0.85よりも小さいと、正極と負極とが対向する領域の面積が小さくなりすぎ、反応効率が低下して放電性能の低下が顕著となり、アルカリ電池の商品価値を低下させてしまうために好ましくない。このような放電性能の低下は、特に、複数の電池を接続して用いる場合に顕著となる。そのため、0.85≦L2/L1に設定することも重要である。
すなわち、正極の電気容量に対する負極の電気容量の比C2/C1に着目し、正極の高さに対する負極の高さの比L2/L1との関係を詳細に検討した結果、以下のことが明らかとなった。1.05≦C2/C1≦1.25…(1)の範囲において、0.85≦L2/L1≦−0.3058×C2/C1+1.3153…(2)を満たす場合に、過放電試験AおよびB双方において漏液が発生せず、放電性能の低下も抑制できることが判明した。
これは、C2/C1およびL2/L1のバランスを好適範囲に制御したことで、電池1個あたりの電圧が約0.8〜0.2Vの範囲(以下、過放電領域と称する。)における正極と負極の高さのギャップを低減することにより反応性を確保でき、亜鉛の利用率を向上できたことによるものと考えられる。
図3に、電池V1およびV5を、4個直列で16Ωの抵抗で放電させたときの、電池1個あたりの放電持続時間と、そのときの閉路電圧の関係図を示す。
図3から明らかなように、C2/C1およびL2/L1が式(1)および(2)を満たすように制御した電池V5では、L2/L1の上限が式(2)を充足しない電池V1に比べて、過放電領域における放電容量が大きくなっていることがわかる。このように、過放電領域における放電容量が増加することにより、負極中の残亜鉛量が低減し、ガス発生量が減少することで、過放電時の漏液を抑止できるという効果が得られると考えられる。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
本発明のアルカリ一次電池は、過放電時の耐漏液性に優れるため、乾電池を電源とするあらゆる機器に好適に用いられる。特に、漏液し易い、複数の電池を直列に接続して用いるような用途にも適している。
1 電池ケース
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 ガスケット
6 負極集電体
7 負極端子板
8 外装ラベル
9 封口ユニット

Claims (5)

  1. 有底円筒形の電池ケースと、
    前記電池ケースの内壁に接して配され、かつ二酸化マンガンを含む中空円筒形の正極と、
    前記正極の中空部内に配され、かつ亜鉛または亜鉛合金を含むゲル状の負極と、
    前記正極と前記負極との間に配されるセパレータと、
    アルカリ電解液と、を含み、
    前記正極が電気容量C1および高さL1を有し、
    前記負極が電気容量C2および高さL2を有し、
    前記電気容量C1およびC2が、関係式(1):
    1.05≦C2/C1≦1.25 (1)
    を充足し、
    前記高さL1およびL2が、関係式(2):
    0.85≦L2/L1≦f(C2/C1) (2)
    を充足し、ただし、f(C2/C1)=−0.3058×C2/C1+1.3153である、アルカリ一次電池。
  2. 前記二酸化マンガンは、35〜48m2/gの比表面積を有する粉末である請求項1に記載のアルカリ一次電池。
  3. 前記亜鉛または亜鉛合金は、100メッシュの篩目を通過しない粒子を20〜55質量%含む粉末である請求項1または2に記載のアルカリ一次電池。
  4. 前記セパレータの厚さが、200μm〜300μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルカリ一次電池。
  5. 単3形電池である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルカリ一次電池。
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