JP5022337B2 - ハニカム状吸着材およびその製造法 - Google Patents
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また、ブロック構造であるがゆえ添着加工あるいは交換作業時には、罅割れ等を避けるために1枚ずつ手作業で行わなければならず、生産性および作業性が良くないために、たとえば粒状吸着材に比し相当高価なものとなる。
また、特許文献2には活性炭とバインダーを用いた直径7.7mmのタバコフィルター用ハニカムが記載されているが、このフィルターにはフェノール系樹脂の使用はないため、機械的強度が十分ではないと考えられる。またその成形方法も記載されてはいない。
(1)
炭素質多孔性吸着物質(a)30〜80重量部、フェノール系樹脂(b)3〜15重量部、粘土鉱物(c)10〜55重量部および(a)、(b)及び(c)の合計100重量部に対して5〜12重量部の水溶性セルロースエーテル誘導体(d)を含んでなり、直径が1.8mm以上11mm以下で、長さ/直径の比が1/4〜3/1、断面の一端から他端まで複数の貫通孔を有し、内部に貫通孔を有しない同形の棒状ペレットの外表面積に比して、2リットル単位容積当たりの外表面積が1.5〜4.0倍である加熱乾燥されたハニカム状吸着材、
(2)
炭素質多孔性吸着物質が活性炭である(1)記載のハニカム状吸着材、
(3)
フェノール系樹脂がフェノールホルムアルデヒド樹脂である(1)記載のハニカム状吸着材、
(4)
水溶性セルロースエーテル誘導体がメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシエチルメチルセルロースである(1)記載のハニカム状吸着材、
(5)
炭素質多孔性吸着物質が、粒径1.5μm以下の累積頻度が10体積分率%以下でかつ粒径170μm以下の累積頻度が90体積分率%以上である粒度分布を有するものであり、フェノール系樹脂が粒径1.5μm以下の累積頻度が10体積分率%以下でかつ粒径100μm以下の累積頻度が90体積分率%以上である粒度分布を有するものであり、粘土鉱物が粒径1.0μm以下の累積頻度が10体積分率%以下でかつ粒径30μm以下の累積頻度が90体積分率%以上の粒度分布を有するものである(1)〜(4)のいずれかに記載のハニカム状吸着材、
(6)
炭素質多孔性吸着物質(a)30〜80重量部、フェノール系樹脂(b)3〜15重量部、粘土鉱物(c)10〜55重量部および(a)、(b)及び(c)の合計100重量部に対して5〜12重量部の水溶性セルロースエーテル誘導体(d)、水溶性有機溶媒5〜25重量部、水30〜90重量部を含んだものを混練し、得られた混練物を押し出し成形機により直径が1.8mm以上11mm以下で内部に複数の貫通孔を有する管状物として押し出し、乾燥減量が押出直後の重量に対して10〜35重量分率%となるように予備乾燥した後、カッターで長さ/直径の比が1/4〜3/1、となるように切断し、断面の一端から他端まで複数の貫通孔を有し、内部に貫通孔を有しない同形の棒状ペレットの外表面積に比して、2リットル単位容積当たりの外表面積が1.5〜4.0倍である加熱乾燥されたハニカム状吸着材の製造法、
である。
炭素質多孔性吸着物質に活性炭を使用して成形体を製造する際には、その比表面積が、通常400〜2500m2/g、好ましくは500〜2200m2/g、更に好ましくは、600〜2000m2/gのものが用いられる。
炭素質多孔性吸着物質は、その粒径1.5μm以下の粒子の累積頻度が10体積分率%以下でかつ粒径170μm以下の累積頻度が90体積分率%以上である粒度分布を有するものが好ましく用いられる。
炭素質多孔性吸着物質のメジアン径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて得られるメジアン径が、通常1.5〜170μm、好ましくは1.7〜100μm、更に好ましくは2.0〜30μmのものが用いられる。なお活性炭の原料としては、例えばヤシ殻、木粉、素灰、石炭、有機化合物誘導体等から製造された市販の活性炭を使用することができ、なかでもヤシ殻を原料とした活性炭を使用することが好ましい。
フェノール系樹脂は、その粒径1.5μm以下の粒子の累積頻度が10体積分率%以下でかつ粒径100μm以下の累積頻度が90体積分率%以上である粒度分布を有するものが好適に用いられる。
フェノール系樹脂のメジアン径は、通常10〜50μm、好ましくは、15〜40μmである。
フェノール系樹脂は、フェノールまたはフェノール化合物とホルムアルデヒドとの共重合によって製造されるものがその代表例として挙げられる。フェノール以外のフェノール化合物としては、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ビスフェノールA、o−、m−またはp−C3〜C6アルキルフェノール、p−フェニルフェノール、キシレノール、ハイドロキノン、またはレゾルシンがあげられる。これらの樹脂の製造時において、原料中に尿素、チオ尿素及びこれらのメチロール誘導体、アニリン、メラミン、グアニジン、グアナミンまたはジシアンジアミド等が含まれていてもよい。これらのフェノール系樹脂は、既知のいずれの方法で製造されたものでもよい。フェノール系樹脂の製造法としては、たとえば特開昭57−177011号公報や特開昭58−17114号公報などにも示されているが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、上述した条件を満たすものであればいずれも使用可能である。
粘土鉱物はその粒径1μm以下の粒子の累積頻度が10体積分率%以下でかつ粒径30μm以下の累積頻度が90体積分率%以上の粒度分布を有するものが好適に用いられる。粘土鉱物のメジアン径は通常0.3〜30μm、好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは1〜15μmのものが用いられる。
これらはある温度以上になるとゲル化が進行し、熱を加えられた成形ハニカム構造体はゴム状態になって、粒状の成形体に貫通しているセルを保持したまま切断することができる。
水溶性セルロースエーテル誘導体の使用量は、多孔性吸着物質、フェノール系樹脂、および粘土鉱物の合計100重量部に対して通常3〜20重量部、好ましくは4〜15重量部、さらに好ましくは5〜12重量部である。
水溶性有機溶媒としては、例えばアルコール類が挙げられる。
アルコール類としては、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、第四級−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−アミルアルコール、第二級−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、イソアミルアルコール、第四級−アミルアルコール、第二級−イソアミルアルコール、ネオアミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、2−メチル−1−ペンタノール、ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、高級アルコール類などの脂肪族アルコール、アリルアルコールなどの不飽和脂肪族アルコール類、ベンジルアルコール、シクロヘキシルアルコール、フルフリルアルコールなどの芳香脂肪族または脂環式アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール類等が挙げられる。
水溶性有機溶媒の使用量は多孔性吸着物質、フェノール系樹脂、粘土鉱物の合計100重量部に対して5〜25重量部、好ましくは10〜23重量部、さらに好ましくは13〜22重量部である。
棒状物の切断面は通常円形であるが、四角形、五角形や六角形等でもよい。また、例えば図1の(d)で示されるように断面外周に歯車状、鋸状の凹凸が形成されていても良いし、(g)や(h)で示されるように円の中に円を重ね合わせた内部構造のものでも良い。しかし、複数の連通孔を有しない(a)や(f)は、本発明ではない。本特許請求の範囲及び明細書において多角形の場合の直径とは、断面図の重心を通る差し渡しのうち最長のものを言う。ハニカムのセル数は断面当たり4〜16、好ましくは9〜16程度である。ハニカムのリブ厚は、通常0.08〜1.0mm、好ましくは0.1〜0.8mmである。ハニカムの周囲部のリブの厚みを厚くしたり、またハニカムの孔の形を三角形、四角形などの多角形や円形でもよい。それらの中で、三角形が実用的で強度的にも優れているので好ましい。また、強度をさらに上げるために、フェノール樹脂系繊維、レーヨン系繊維、PAN系繊維、ピッチ系繊維を混ぜ込んでもよい。
予備乾燥は、成形物に含まれる水分および低沸点物を蒸発させ、水溶性セルロース誘導体の熱ゲル化を促進し、ハニカム構造を保持したままカッター刃で鋭利に切断させるために行われる。成形されてから切断前の乾燥減量は、通常10〜35質量分率%、好ましくは15〜35質量分率%、さらに好ましくは20〜35質量分率%となるように予備乾燥する。予備乾燥温度は通常70〜150℃、好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは90〜130℃である。予備乾燥時間は通常5〜60分、好ましくは、10〜50分である。鋭利に切断するためには、特に成形されてから切断前の乾燥減量が重要であるため、切断前の乾燥減量がこの範囲に入るのであれば、常温で数十時間〜数日放置してもよい。予備乾燥装置には、特に限定は無く、各々の形状に応じた既知の乾燥方法で実施可能である。代表例としては、コンベア炉、マイクロ波乾燥機での連続乾燥が挙げられる。熱によるゲル化を充分に促進させるために、予備乾燥機内を加湿・調湿してもよいし、湯浴に通してもよい。湯浴に通す時の温度は通常60〜100℃、好ましくは70〜95℃である。また、押出し成形機の金形や金型の先端金属部分をヒーターやコイルで加温してもよい。
加熱乾燥後の成形物は、そのまま使用するが、さらに不活性雰囲気下、通常600〜1000℃、好ましくは700〜950℃に加熱してもよい。予備乾燥から加熱乾燥、さらには炭化に至るまでの工程は、同じ装置を用いて一連の操作として行ってもよいし、炭化された成形物は水蒸気や炭酸ガスによる賦活を実施してもよい。
得られた本発明のハニカムペレットの充てん密度は通常0.20〜0.50g/ml、好ましくは0.25〜0.45g/ml、さらに好ましくは0.28〜0.42g/mlであり、製品のBET比表面積は500〜1100m2/g、好ましくは550〜1000m2/g、より好ましくは600〜970m2/gであり、2リットル当りの外部表面積、即ちハニカムペレットが流体と接触する面積は2リットルの容器に充てんしたとき、同形の棒状ペレットに比して1.5〜4.0倍、好ましくは2.0〜3.5倍である。(充てん方法はJIS K 1474の自動充てん方法に準じる。)
〔実施例1〕
活性炭、フェノール系樹脂、木節粘土、メチルセルロースの混合物に水とエチルアルコールを下記の割合で加えて25℃、30分間、混合ミキサーにてよく混練した。
活性炭 60重量部
フェノール系樹脂 3重量部
木節粘土 37重量部
メチルセルロース 12重量部
エチルアルコール 10重量部
水 80重量部
これらの混合物を所定の金型を付けた押出し成形機を用いて、セル数16セル、リブ厚0.2mm、直径4.0mmの内部に四角形の貫通孔を有する棒状成形物を押出した。この成形品をベルトコンベア式電気乾燥器で移動させながら、115℃で40分予備乾燥させて、切断前の乾燥減量が28.2質量分率%となった時点で、ストランドカッターで切断し、フェノール系樹脂を硬化させるために不活性雰囲気下、200℃で2時間加熱乾燥し、室温まで冷却した後、所定の粒度範囲に篩別した後、製品とした。
〔実施例2、実施例3、比較例1、比較例2および比較例3〕
1.成形状態:押出し成形機の金形と同じ形状のものが出たものを可、潰れたものや押出されなかったものを不可とした。
2.115℃予備乾燥状態:予備乾燥機から出た直後の成形品が、成形状態と同じ形であれば可、成形品の反り、歪み、外周壁表面のめくれや亀裂、ささくれたものは変形とした。
3.切断前の乾燥減量:押出し成形機から出た直後の成形品を10mmの長さにカットした時の重量をAとし、所定の温度と時間をかけ予備乾燥した後、カッターによる切断前の重量をBとし、次式により乾燥減量を求めた。
切断前の乾燥減量(質量分率%)=(A−B)/A×100
4.切断状態:カッターで切断時に、ペレット内のセルが潰れなかったものを可、セルが潰れたものを不可とした。
5.製品の粒度範囲:JIS K1474
6.ペレット長(L):ノギスにて計測を行った。(n数=200)
7.ペレット直径(D):ノギスにて計測を行った。(n数=200)
8.ペレット長とペレット直径の比(L)/(D):上記ペレット長およびペレット直径から、L/Dの比率を求めた。
9.強度:木屋式硬度計にて測定した。強度測定では、ペレット破断時の荷重を測定し、下式により引張強度を算出した。
引張強度〔MPa〕=2P/πDL/10.1972
P:荷重(kg)
D:ペレット直径(cm)
L:ペレット長(cm)
10.BET比表面積:液体窒素沸点温度(−196℃)における窒素吸着量を測定し、BET法により細孔表面積を求めた。
11.耐水性:20gの製品を100mlの25℃の蒸留水に12時間含浸した後に、製品を115℃で3時間乾燥した後、製品の粒度範囲の下限に対応する所定のふるいを用いて微粉を分離し、粒度内の製品として形態をとどめたものの質量分率割合を求めた。
〔実施例4および比較例4〕
1.製品の粒度範囲:JIS K 1474
2.充てん密度:JIS K 1474
3.2リットル中の個数:2リットル容器内に充填されたペレットの個数をカウンターにより計測した。
4.1粒子の外部表面積:MORITEX社製マイクロスコープにてペレット断面像を撮影し、ペレット外径、壁厚、リブの厚み等、外部表面積を求めるに必要な部分を付属のスケールにて計測を行い、トヨタケーラム社製3次元CADに画像を投影し、1粒子の外部表面積を求めた。
5.2リットル容積当りの外部表面積:2リットル中のペレットの個数と1粒子の外部表面積(平均値)から、2リットル容積当りの外部表面積を求めた。
6.硬さ:JIS K 1474
7.アセトン吸着性能:JIS K 1474
〔実施例5、実施例6、比較例5および比較例6〕
なお、これらは所定の金型を付けた押出し成形機を用いて、リブ厚0.3mmのハニカムペレットを得た。比較例7は、115℃予備乾燥状態は可であったが、直径が1.4mmと小さすぎたため切断時に貫通孔が潰れたものや全く見えないものがあり、不可とした。比較例8は直径が18.4mmと大きすぎたため、ペレット中心部のゲル化が完全ではなく、切断時に貫通孔が潰れたものがあり、不可とした。いずれも比表面積として600m2/g以上ある活性炭であったが、外部表面積の多いハニカムペレット吸着材とは言い難いものであった。実施例7は直径が1.8mmであったが、切断時の貫通孔は空いていて、強度は1.67MPaと良好であった。実施例8は直径が10.8mmであって、L/Dが0.31であったが、切断時の貫通孔は空いており、強度が0.35MPaであるハニカムペレット吸着材であった。
(2)恒温水槽
(3)入口側ガス採取口
(4)出口側ガス採取口
(5)発生瓶
(6)ドライエアー発生機
(7)マスフローコントローラー
(8)蛇管
(9)混合瓶
(10)フローメーター
●:棒状ペレット
■:中空状ペレット
▲:3角格子状ハニカムペレット
□:4角格子状ハニカムペレット
Claims (6)
- 炭素質多孔性吸着物質(a)30〜80重量部、フェノール系樹脂(b)3〜15重量部、粘土鉱物(c)10〜55重量部および(a)、(b)及び(c)の合計100重量部に対して5〜12重量部の水溶性セルロースエーテル誘導体(d)を含んでなり、直径が1.8mm以上11mm以下で、長さ/直径の比が1/4〜3/1、断面の一端から他端まで複数の貫通孔を有し、内部に貫通孔を有しない同形の棒状ペレットの外表面積に比して、2リットル単位容積当たりの外表面積が1.5〜4.0倍である加熱乾燥されたハニカム状吸着材。
- 炭素質多孔性吸着物質が活性炭である請求項1記載のハニカム状吸着材。
- フェノール系樹脂がフェノールホルムアルデヒド樹脂である請求項1記載のハニカム状吸着材。
- 水溶性セルロースエーテル誘導体がメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシエチルメチルセルロースである請求項1記載のハニカム状吸着材。
- 炭素質多孔性吸着物質が、粒径1.5μm以下の累積頻度が10体積分率%以下でかつ粒径170μm以下の累積頻度が90体積分率%以上である粒度分布を有するものであり、フェノール系樹脂が粒径1.5μm以下の累積頻度が10体積分率%以下でかつ粒径100μm以下の累積頻度が90体積分率%以上である粒度分布を有するものであり、粘土鉱物が粒径1.0μm以下の累積頻度が10体積分率%以下でかつ粒径30μm以下の累積頻度が90体積分率%以上の粒度分布を有するものである請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム状吸着材。
- 炭素質多孔性吸着物質(a)30〜80重量部、フェノール系樹脂(b)3〜15重量部、粘土鉱物(c)10〜55重量部およびこれら(a)、(b)及び(c)の合計100重量部に対して、水溶性セルロースエーテル誘導体(d)5〜12重量部、水溶性有機溶媒5〜25重量部、水30〜90重量部を含んだものを混練し、得られた混練物を押し出し成形機により直径が1.8mm以上11mm以下で内部に複数の貫通孔を有する管状物として押し出し、乾燥減量が押出直後の重量に対して10〜35重量分率%となるように予備乾燥した後、カッターで長さ/直径の比が1/4〜3/1、となるように切断し、断面の一端から他端まで複数の貫通孔を有し、内部に貫通孔を有しない同形の棒状ペレットの外表面積に比して、2リットル単位容積当たりの外表面積が1.5〜4.0倍である加熱乾燥されたハニカム状吸着材の製造法。
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