JP3931090B2 - 活性炭成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性炭を素材とするハニカム状活性炭及びその製造方法に関するものである。本発明のハニカム状活性炭は、吸着性および機械的強度に優れ、下水処理場から発生する臭気の除去、溶媒回収、オゾン処理等の広い分野で使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
これまでにも、フェノール・アルデヒド系樹脂をバインダーとして用いた活性炭成形体の製造方法はいくつか知られている。特開昭49-115110号公報に記載の方法では、木炭等の炭素材にフェノール・アルデヒド系樹脂を加えて押出し成形した後に炭化あるいは炭化後に賦活することにより活性炭成形体を製造しているが、炭化後の比表面積は高々300m2/gしかなく、賦活することにより比表面積1100m2/gのものを得ている。特開昭57-27130号公報では、炭素材にフェノール系樹脂、メラミン系樹脂等の合成樹脂繊維を使用し、特開平3-42039号公報では炭素材に粉末活性炭を使用して、共にフェノール樹脂系バインダーと混合し成形した後に炭化、賦活をおこなっている。
しかし成形後に賦活工程が必要なことにより、成形体の機械的強度が低下してしまううえ、コスト高になり、工業的に好ましいものではない。
【0003】
特開昭55-167118号公報および特開平7-207119号公報では、活性炭に常温で液状のフェノール・アルデヒド系樹脂をバインダーとして用いて成形し、乾燥、硬化させることにより活性炭成形体を製造する方法が記載されている。しかしこの手法の場合、賦活は行われず、且つバインダー成分が活性炭の細孔を閉塞するため、活性炭の吸着能が著しく低下するという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来の製法においては、活性炭とフェノール・アルデヒド系樹脂を原料として高い吸着量を有する活性体成形体を得るために炭化後に賦活する工程が必須であり、製造工程が複雑になるうえ、成形体の機械的強度が低下するという問題があった。
特に、成形体の構造がハニカム状である場合には、高い吸着性能とともに成形体としての高い強度が求められる。市販されているハニカム状活性炭は、通常、活性炭に粘土等の無機系材料とともにメチルセルロース等の結合剤を加えて混練・成形し、炭化することにより製造されているが、この方法で製造したハニカム状活性炭は、下水処理場での排気脱臭用途などのように酸と接触させる条件下で使用した場合には強度が著しく低下するという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、活性炭、溶媒、および常温(25℃)で固体でありかつ前記溶媒に対する可溶成分が50〜95重量%であるフェノール・アルデヒド系樹脂を含んでなる混練物を成形、乾燥、硬化した後、不活性雰囲気下で実質的に賦活を伴わず炭化することによって、高吸着性能、高強度のハニカム状活性炭を製造することに成功した。すなわち本発明は、
(1)活性炭、溶媒および常温で固体でありかつ前記溶媒に対する可溶成分が50〜95%であるフェノール・アルデヒド系樹脂を含んでなり、フェノール・アルデヒド系樹脂の使用量が、活性炭とフェノール・アルデヒド系樹脂の合計重量に対して20 〜 50重量%であり、前記溶媒の使用量が、活性炭とフェノール・アルデヒド系樹脂の合計重量に対して20 〜 50重量%である混練物を成形、乾燥、硬化した後、不活性雰囲気下で炭化するハニカム状活性炭の製造方法、
(2)溶媒が、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類または非プロトン性溶媒類である(1)記載のハニカム状活性炭の製造方法、
(3)乾燥を、70〜150℃で行う(1)記載のハニカム状活性炭の製造方法、および
(4)炭化を、500〜1500℃で行う(1)記載のハニカム状活性炭の製造方法、
である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の活性炭成形体を製造する際に原料として使用する活性炭としては、その比表面積が、通常400〜2500m2/g、好ましくは600〜2200m2/g、更に好ましくは、800〜2000m2/gのものが用いられる。活性炭の粒度は、通常150μm以下の粒子が95〜100重量%、好ましくは97〜100重量%、更に好ましくは99〜100重量%をしめるものが用いられる。活性炭の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて得られるメジアン径が、通常0.1〜75μm、好ましくは0.5〜50μm、更に好ましくは1〜25μmのものが用いられる。なお活性炭の原料としては、特に制限は無いが、ヤシ殻、木粉、素灰、石炭、有機化合物誘導体等から製造された市販の活性炭を使用することができ、なかでもヤシ殻を原料とした活性炭を使用することが好ましい。
【0007】
フェノール・アルデヒド系樹脂は、熱硬化性のものであり、常温(25℃)で固体であるもの、より好ましくは50℃で固体であるものが用いられる。フェノール・アルデヒド系樹脂の可溶成分の量は、樹脂にその20倍重量の溶媒を加え、室温(25℃)にてマグネチックスターラーを用いて1時間攪拌した後、No.5Aの濾紙(東洋濾紙製)を用いて濾過し、乾燥後に濾紙上に残存している樹脂の量を測定することにより求める。
本発明に用いられるフェノール・アルデヒド系樹脂の溶媒に対する可溶成分の量は、通常50〜95重量%、好ましくは60〜93重量%、より好ましくは70〜90重量%である。可溶成分の量がこの値よりも多い場合には、フェノール・アルデヒド系樹脂が活性炭の細孔内に入り込みやすいため、製造された活性炭成形体の吸着能が低下する。可溶成分がこの値よりも少ない場合には、フェノール・アルデヒド系樹脂がバインダーとしての役割を充分に果たすことができず、製造された活性炭成形体の強度が低下する。フェノール・アルデヒド系樹脂は、常温(25℃)で固体であるものが好ましい。
【0008】
用いる固体状フェノール・アルデヒド系樹脂の形状は特に制限はなく、たとえば球状、破砕状、針状のものが使用可能であり、好ましくは球状のものである。フェノール・アルデヒド系樹脂の比重は、通常1.0〜1.5、好ましくは1.1〜1.4である。フェノール・アルデヒド系樹脂の嵩密度は、通常0.3〜0.7g/cc、好ましくは0.35〜0.60g/ccであり、その粒度は、通常150μm以下の粒子が99〜100重量%、好ましくは75μm以下の粒子が98〜100重量%を占めるものである。フェノール・アルデヒド系樹脂の平均粒子径は、通常10〜50μm、好ましくは、15〜40μmである。
これらの条件を満たすフェノール・アルデヒド系樹脂は、フェノールまたはフェノール化合物とホルムアルデヒドとの共重合によって製造されるものがその代表例として挙げられる。フェノール以外のフェノール系化合物として、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、ビスフェノールA、o-、m-またはp-C3〜C6アルキルフェノール、p-フェニルフェノール、キシレノール、ハイドロキノン、またはレゾルシンが含まれる。これらの樹脂の製造時において、原料中に尿素、チオ尿素及びこれらのメチロール誘導体、アニリン、メラミン、グアニジン、グアナミンまたはジシアンジアミド等が含まれていてもかまわない。
これらのフェノール・アルデヒド系樹脂は、既知のいずれの方法で製造されたものでもよい。フェノール・アルデヒド系樹脂の製造法としては、たとえば特開昭57-177011号公報や特開昭58-17114号公報などにも示されているが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、上述した条件を満たすものであればいずれも使用可能である。
【0009】
溶媒は、フェノール・アルデヒド系樹脂を溶解し分散させるために用いられるもので、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類または非プロトン性溶媒類などが用いられる。アルコール類としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、第四級-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-アミルアルコール、第二級-アミルアルコール、1-エチル-1-プロパノール、2-メチル-1-ブタノール、イソアミルアルコール、第四級-アミルアルコール、第二級-イソアミルアルコール、ネオアミルアルコール、n-ヘキシルアルコール、2-メチル-1-ペンタノール、ヘプチルアルコール、n-オクチルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、高級アルコール類などの脂肪族アルコール、アリルアルコールなどの不飽和脂肪族アルコール類、ベンジルアルコール、シクロヘキシルアルコール、フルフリルアルコールなどの芳香脂肪族または脂環式アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール類等が挙げられる。エーテル類としては、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルコールエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類が挙げられる。ケトン類としては、例えばアセトンやジエチルケトンなどが、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが、非プロトン性溶媒としては、例えばアセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルフォランなどが挙げられる。これらの中ではアルコール類およびエーテル類が好ましく用いられる。本発明ではここに掲げた溶媒に限定されるものではなく、フェノール・アルデヒド系樹脂に対して溶解性を有する溶媒であればいずれも使用可能である。
【0010】
本発明における成形処方においての補助的バインダーとして、たとえばセルロースエーテル誘導体を使用することができ、その代表例としてメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびそれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
またその他の成形助剤として、多糖類、ポリエチレングリコール等を必要に応じて添加しても良く、その種類や組み合わせは本発明において特に限定されるものではない。
フェノール・アルデヒド系樹脂の含有量は、活性炭とフェノール・アルデヒド系樹脂の合計重量に対して、好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは、15〜70重量%、最も好ましくは20〜50重量%である。
【0011】
溶媒の使用量は、活性炭とフェノール・アルデヒド系樹脂との合計重量に対して好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは20〜50重量%である。
押出成形時の装置の負荷低減のために、押出し時の直前に、さらに水を添加してもよい。この時の水の添加量は、押出し装置の負荷の程度によって調整すればよいが、通常活性炭とフェノール・アルデヒド系樹脂の合計重量に対して30〜150重量%、好ましくは、50〜120重量%である。
セルロースエーテル誘導体の使用量は、活性炭とフェノール・アルデヒド系樹脂の合計重量に対して通常1〜30重量%であり、好ましくは3〜25重量%、最も好ましくは5〜20重量%である。
フェノール・アルデヒド系樹脂、活性炭、溶媒を加えて十分に混練する。混練方法は、特に限定は無く、パドルミキサー、ニーダーミキサー、円錐形スクリューミキサー等の装置の使用が可能である。
【0012】
混練物は、ハニカム状に成形する。成形方法は特に限定は無く、既知の成形方法で実施することができる。ハニカム状に成形するには、ハニカムダイスからの押出しにより成形する方法がある。押出されたハニカムの形状、サイズ等は特に限定されず、丸型、正方形、長方形、六角形等の従来存在する形状のハニカムが製造可能である。ハニカムのセル数は、100〜800セル/in2であり、好ましくは、200〜600セル/in2であり、ハニカムのリブ厚は、通常0.08〜3.0mm、好ましくは0.1〜2.5mmである。ハニカムの周囲部のリブの厚みを厚くしたり、またハニカム内部に十字型にリブを交わらせたり、その他の工夫を加えてハニカム構造体そのものの強度を改良させた形状であってもよい。活性炭成形体は乾燥、硬化させた後に、不活性雰囲気下で炭化を実施する。乾燥は、成形物に含まれる水分および低沸点物を蒸発させるために行われる。乾燥温度は通常70〜150℃、好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは90〜130℃である。乾燥時間は、成形体の形状、サイズ、厚み等により適宜調整することができる。成形体のサイズが小さい場合(例えば、30mmx30mm角、長さ30mmのハニカムの場合)には、乾燥時間は通常1〜8時間、好ましくは、2〜4時間である。また、成形体のサイズが大きい場合(例えば150mmx150mm角、長さ100mmのハニカムの場合)には、乾燥時間は通常5〜80時間であり、好ましくは、10〜60時間である。乾燥装置には、特に限定は無く、各々の形状に応じた既知の乾燥方法で実施可能である。乾燥機内を加湿・調湿してもよい。代表例としては、電気乾燥器での静止乾燥やコンベアー炉での連続乾燥が挙げられる。
【0013】
乾燥後の成形物は、フェノール・アルデヒド系樹脂を溶融、硬化させるために不活性雰囲気下、通常150〜250℃、好ましくは170〜220℃に加熱する。硬化時間は、通常0.5〜5時間であり、フェノール・アルデヒド系樹脂の含有量によって適宜調整することができる。乾燥から硬化に至る工程は、同じ装置を用いて一連の操作として行ってもよい。硬化後、不活性雰囲気下で炭化をおこなう。炭化温度は、通常500〜1500℃、好ましくは700〜1200℃である。炭化時間は、通常0.5〜10時間、好ましくは1〜8時間であり、フェノール・アルデヒド系樹脂の含有量によって調整することができる。硬化から炭化にいたる工程は、同じ装置を用いて一連の操作として実施してもかまわない。不活性雰囲気下を作り出す方法としては、たとえば窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性気体またはその混合ガスもしくはそれらを主成分とするガスを流通させる方法、燃焼ガスを流通させる方法、コークス等の炭素材料に埋没させることにより空気を遮断させる方法等があり、活性炭成形体の形状・サイズ等により選択可能である。硬化および炭化に使用する装置には特に限定は無く、各々の形状に応じた既知の方法で実施可能である。代表例として示せば、電気炉を用いた静止状態での炭化やコンベアー炉での連続炭化等が挙げられる。
【0014】
【実施例】
以下に実施例、比較例および試験例をあげて、本発明を具体的に説明する。
実施例1
活性炭として、ヤシ殻炭化品を水蒸気賦活して製造した粉末活性炭を使用した。この活性炭は、比表面積は1600m2/gであり、粒子径150μm以下の粒子が99重量%、平均粒子径10μmのものであった。
フェノール・アルデヒド系樹脂としてベルパールS890(鐘紡株式会社製)を用いた。このフェノール・アルデヒド系樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒドの共重合により製造されており、常温(25℃)で粉末状の固体で、粒子形状は球状であり、粒子径75μm以下の粒子が98.5重量%、平均粒子径20μm、比重1.24、嵩密度0.4g/ccのものであった。
溶媒としてはメチルアルコールを使用した。フェノール・アルデヒド系樹脂のメチルアルコールに対する可溶成分は94重量%であった。また成形助剤としてメチルセルロースを用いた。
活性炭、フェノール・アルデヒド系樹脂、メチルアルコール、メチルセルロース、水を下記の割合で加えて混合した。なお、実施例、比較例に示す使用割合は、活性炭とフェノール・アルデヒド系樹脂の合計重量に対する重量%で表した。
活性炭 60重量%
フェノール・アルデヒド系樹脂 40重量%
メチルアルコール 30重量%
水 85重量%
メチルセルロース 15重量%
これらの混合物を所定のダイスを付けた押出し成形機を用いて、セル数300セル/in2、リブ厚み0.15mm、30mmX30mm角、長さ30mmのハニカム状に成形した。この成形品を電気乾燥器に入れ、115℃で2時間乾燥させた後、匣鉢に成形品を入れ周囲にコークスを充填し空気を遮断した。匣鉢を電気炉に入れ5℃/分の条件で200℃まで昇温して1時間保持し、次いで5℃/分の昇温速度で900℃まで昇温して1時間保持させることにより炭化をおこなった。冷却後、匣鉢よりハニカム状活性炭を取り出した。
【0015】
実施例2
活性炭とフェノール・アルデヒド系樹脂は、実施例1と同じものを使用し、溶媒としてイソプロピルアルコールを使用した。このフェノール・アルデヒド系樹脂のイソプロピルアルコールに対する可溶成分は85重量%であった。
フェノール・アルデヒド系樹脂、活性炭、メチルセルロース、イソプロピルアルコール、水を下記の割合で加え混合した。
活性炭 60重量%
フェノール・アルデヒド系樹脂 40重量%
イソプロピルアルコール 30重量%
水 85重量%
メチルセルロース 15重量%
この混合物を用いて、実施例1と同じ方法でハニカム状活性炭を作った。
【0016】
実施例3
活性炭とフェノール・アルデヒド系樹脂は、実施例1と同じものを使用し、溶媒としてエチレングリコールを使用した。このフェノール・アルデヒド系樹脂のエチレングリコールに対する可溶成分は65重量%であった。
活性炭、フェノール・アルデヒド系樹脂、メチルセルロース、エチレングリコール、水を下記の割合で加え混合した。
活性炭 60重量%
フェノール・アルデヒド系樹脂 40重量%
エチレングリコール 30重量%
水 85重量%
メチルセルロース 15重量%
この混合物を用いて、実施例1と同じ方法でハニカム状活性炭を作った。
【0017】
比較例1
活性炭及びフェノール・アルデヒド系樹脂は、実施例1と同じものを使用した。溶媒としてエチレングリコールモノメチルエーテルを使用した。使用した樹脂のエチレングリコールモノメチルエーテルに対する可溶成分は99.5重量%であった。
活性炭、フェノール・アルデヒド系樹脂、エチレングリコールモノメチルエーテル、メチルセルロースを下記の割合で加え混合した。
活性炭 60重量%
フェノール・アルデヒド系樹脂 40重量%
エチレングリコールモノメチルエーテル 30重量%
水 85重量%
メチルセルロース 15重量%
この混合物を用いて実施例1と同じ方法でハニカム状活性炭を作った。
【0018】
比較例2
活性炭は、実施例1と同じものを用いた。フェノール・アルデヒド系樹脂としてベルパールS830(鐘紡株式会社製)を用いた。このフェノール・アルデヒド系樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒドの共重合により製造されたもので、常温(25℃)で粉末状の固体であり、粒子形状は球状であり、粒子径75μm以下の粒子が98.5重量%、平均粒子径20μm、比重1.25、嵩密度0.4g/ccのものであった。溶媒としてはイソプロピルアルコールを使用した。フェノール・アルデヒド系樹脂のイソプロピルアルコールに対する可溶成分は29重量%であった。
活性炭、フェノール・アルデヒド系樹脂、メチルセルロース、イソプロピルアルコール、水を下記の割合で加え混合した。
活性炭 60重量%
フェノール・アルデヒド系樹脂 40重量%
イソプロピルアルコール 30重量%
水 85重量%
メチルセルロース 15重量%
この混合物を用いて、実施例1と同じ方法でハニカム状活性炭を作った。
【0019】
比較例3
活性炭、フェノール・アルデヒド系樹脂は実施例1と同じものを用いた。溶媒を使用せずに、フェノール・アルデヒド系樹脂、活性炭、メチルセルロース、水を下記の割合で加え混合した。
活性炭 60重量%
フェノール・アルデヒド系樹脂 40重量%
水 85重量%
メチルセルロース 15重量%
この混合物を用いて、実施例1と同じ方法でハニカム状活性炭を作った。しかし炭化後の成形体は十分な強度を保持しておらず、成形体の形状が崩れた。
【0020】
比較例4
実施例1と同じ処方の混合物を混練、成形、乾燥させただけで、炭化を行なわなかったものを作成した。
【0021】
試験例1
実施例1〜3、比較例1〜4で得られたハニカム状活性炭の吸着性能を示す指標として比表面積の測定を行った。測定は、ハニカム成形品を破砕したものを試料とし、マイクロメリテックス社製のASAP2400を用いて比表面積の測定をおこなった。まず試料を250℃で2時間の真空脱気を行なった後、−196℃における窒素の平衡吸着量を相対圧0.01〜0.1の範囲で5点測定した。比表面積の計算は、BET式により計算した。
ハニカムの強度を表す指標として圧縮強度を測定した。ハニカム成形品を10mmX10mmX10mmのサンプルピースに加工したものを試料とし、島津製作所製のオ−トグラフを用いてセル面に対して1mm/分の速度で加圧を行ない、最大荷重点をハニカムの圧縮強度とした。
【0022】
【表1】
【0023】
〔表1〕から明らかなように、実施例1〜3においては、強度および吸着量ともに高いものが得られた。樹脂のほぼ全量を溶解させるエチレングリコールモノメチルエーテルを溶媒として用いた比較例1、および炭化を実施しなかった比較例4で得られたものは、比表面積が小さく、吸着剤として使用した場合には、吸着能力が高くないため、その使用が制限される。また溶媒可溶成分含量の低いフェノール・アルデヒド系樹脂を用いた比較例2および溶媒を用いなかった比較例3では、吸着量は実施例1〜3で得られたものと同等であるが、強度が著しく低いため成形体としての使用はできないものであった。
以上の結果より、活性炭、フェノール・アルデヒド系樹脂、本発明の特定の溶媒を含んでなる混練物を成形し、その成形物を、乾燥、硬化させた後に不活性雰囲気化下で炭化する本発明の方法で製造された活性炭成形体は、高吸着性能および高強度を有していることが確認された。
【0024】
試験例2
同型に成形された実施例1の活性炭ハニカムおよび市販されているハニカム状活性炭を用いて、試験例1と同様の方法により酸接触後の圧縮強度の低下を比較した。市販されているハニカム状活性炭は、粒状活性炭と粘土を主原料として製造されたものである。
各々のハニカム状活性炭を20%硫酸水溶液中に全て浸漬させ1時間煮沸させた後、115℃で乾燥した。次いで、同様の操作を再度繰返し、処理前後の圧縮強度を比較した。
【0025】
【表2】
実施例1で得られた活性炭ハニカムは、市販の活性炭ハニカムの1.9倍の強度を有しており、酸接触後の強度低下も市販活性炭ハニカムに比べて低く抑えられていた。
【0026】
【発明の効果】
本発明の方法により製造される活性炭ハニカム状成形体は、従来のものに比して高い吸着性能と高い機械的強度を有し、しかも、酸や水に接触しても、高い強度を維持している。したがって、下水処理場から発生する臭気の除去、溶媒回収、オゾン処理等の広い分野で利用できる。
Claims (4)
- 活性炭、溶媒および常温で固体でありかつ前記溶媒に対する可溶成分が50〜95%であるフェノール・アルデヒド系樹脂を含んでなり、フェノール・アルデヒド系樹脂の使用量が、活性炭とフェノール・アルデヒド系樹脂の合計重量に対して20 〜 50重量%であり、前記溶媒の使用量が、活性炭とフェノール・アルデヒド系樹脂の合計重量に対して20 〜 50重量%である混練物を成形、乾燥、硬化した後、不活性雰囲気下で炭化するハニカム状活性炭の製造方法。
- 溶媒が、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類または非プロトン性溶媒類である請求項1記載のハニカム状活性炭の製造方法。
- 乾燥を、70〜150℃で行う請求項1記載の活性炭成形体の製造方法。
- 炭化を、500〜1500℃で行う請求項1記載の活性炭成形体の製造方法。
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