JP5020271B2 - 半導体試験装置および半導体試験方法 - Google Patents
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Description
そのため、パワーモジュールは、高い耐圧保持構造を有するように設計される必要があるとともに、半導体素子の耐圧のばらつき等を見定めるために、半導体素子の耐圧が正確に測定される必要がある。
図10は、一般的なパワーモジュール20の構成を示す断面図である。
図10において、パワーモジュール20の最下層には、例えば銅等の高熱伝導性の材料で形成され、半導体素子24の発熱を放熱する放熱ベース板21が設けられている。
半導体素子24は、電気接続手段としてのボンディングワイヤ25を介して、パワーモジュール20の外部と電気的に接続される外部端子26に接続されている。また、ボンディングワイヤ25は、半導体素子24と外部端子26との間だけではなく、半導体素子24どうしや、外部端子26と上部電極23cとの間も電気的に接続している。
図11より、IGBTに外部電界がかかっている場合には、外部電界がかかっていない場合よりも耐圧が低下することが分かる。
このパワーモジュール20を用いてモータの制御をする場合、半導体素子24の耐圧が低下すると、モータへの起動信号が発生せず、モータが動作しない等の問題が生じ、信頼性が大きく低下する。このとき、高電圧が印加される箇所と半導体素子24との空間距離が、半導体素子24の耐圧に大きな影響を与えるので、例えばボンディングワイヤ25と電界緩和領域との距離は、重要な要素となる。
また、個々の半導体素子24は、それぞれ特性のばらつきを有しており、パワーモジュール20に設けられた複数の半導体素子24のうち、1つの素子でも耐圧が低下すれば、パワーモジュール20は、正常に動作しなくなる。
しかしながら、従来の耐圧検査方法では、半導体素子24の耐圧を測定することはできるものの、外部電界による半導体素子24の耐圧の変動を測定することができないという問題点があった。
そのため、外部電界がかかっていない状態で測定された半導体素子の耐圧と、外部電界がかかっている状態で測定された半導体素子の耐圧とに基づいて、外部電界による半導体素子の耐圧の変動を測定することができる。
なお、以下の実施の形態では、半導体素子がIGBTである場合を例に挙げて説明する。
図1は、この発明の実施の形態1に係る半導体試験装置を、IGBT10の一部とともに示す構成図である。
図1において、この半導体試験装置は、コレクタ−エミッタ間電圧印加装置(第1電圧印加手段)1と、コレクタ電流検出器(電流検出手段)2と、ガードプローブ電極3(以下、「GP電極3」と称する)と、GP電極用電圧印加装置(第2電圧印加手段)4とを備えている。なお、コレクタ−エミッタ間電圧印加装置1およびGP電極用電圧印加装置4は、それぞれコレクタ−エミッタ間電圧検出器およびGP電極電圧検出器を内蔵している。また、コレクタ−エミッタ間電圧印加装置1、コレクタ電流検出器2およびGP電極用電圧印加装置4は、後述する耐圧測定装置(図示せず)に接続されている。
IGBT10の最下層には、n+半導体基板12の下面に形成されたコレクタ電極11が設けられている。また、n+半導体基板12上には、n−エピタキシャル層13が形成されている。
なお、図1では、簡略化のために、フィールドプレートやチャネルストッパーは、図示を省略している。
図2において、コレクタ電極11上には、n+半導体基板12およびn−エピタキシャル層13を介して、エミッタ電極14、電界緩和領域16およびゲート電極17が形成されている。
また、IGBT10の外縁部に形成された電界緩和領域16の内側は、ゲート電極17を除いて全てエミッタ電極14であり、エミッタ電極14は、ゲート配線18によって複数の領域に区切られている。
図3は、この発明の実施の形態1に係る耐圧測定装置30(耐圧測定手段)を示すブロック構成図である。
図3において、耐圧測定装置30は、受信部31と、制御部32と、判定部33と、記憶部34と、演算部35とを有している。
コレクタ電流検出器2は、コレクタ電極11におけるコレクタ電流を検出する。
GP電極用電圧印加装置4は、GP電極3に可変な直流電圧を印加する。また、GP電極電圧検出器は、GP電極3に印加される直流電圧を検出する。
制御部32は、コレクタ−エミッタ間電圧印加装置1およびGP電極用電圧印加装置4が印加する電圧を制御する。
判定部33は、受信部31で受信した電流値が急増したときに、コレクタ−エミッタ間電圧印加装置1が印加する電圧を、IGBT10の耐圧と判定する。
演算部35は、GP電極用電圧印加装置4が電圧を印加している場合に判定部33で判定されたIGBT10の耐圧と、初期耐圧との差分をとり、外部電界によるIGBT10の耐圧の変動を演算する。
また、演算部35は、GP電極3に印加される電圧が外部電界影響電圧よりも大きくなった場合におけるGP電極3に印加される電圧に対するIGBT10の耐圧の低下量を演算する。
なお、外部電界の影響を受けやすい電界緩和領域16上に外部電界をかけることにより、IGBT10の耐圧の変動をより正確に測定できるようにしている。
まず、コレクタ電極11とエミッタ電極14との間に、図4に示した電圧を印加する(ステップS1)。
次に、この電圧を上昇させ、コレクタ電流が急増する電圧をIGBT10の耐圧(初期耐圧)とする(ステップS2)。
次に、IGBT10の耐圧を測定し、IGBT10の耐圧が変化したか否かを判定する(ステップS4)。
一方、ステップS4において、IGBT10の耐圧が変化した(すなわち、Yes)と判定された場合には、このときGP電極3に印加されている電圧を、外部電界の影響に抗して初期耐圧を維持できる限界電圧である外部電界影響電圧Veとして記録する(ステップS6)。
以下、GP電極3に印加する電圧を上昇させて、素子耐圧低下量Vdを記録する処理を複数回繰り返した後に、図5の処理を終了する。
図6において、横軸は、GP電極3に印加される直流電圧を示し、縦軸は、外部電界によるIGBT10の耐圧の変化量を示している。
この実験に用いたIGBT10について、外部電界影響電圧Veは2000Vとなり、素子耐圧低下量Vdは、例えばGP電極印加電圧が4000Vの場合に−50Vとなる。
このように、図5の処理によって、個々の半導体素子の外部電界による耐圧の変動を正確に測定することができる。
このように、半導体装置の仕様にあった半導体素子を割り振ることにより、絶縁信頼性に優れた半導体装置を製造することが可能となり、歩留まりを向上させて初期不良による損失コストを低減することができるとともに、耐久性および安全性を向上させることができる。
まず、半導体装置の仕様として、電界解析等によって推定される半導体装置の外部電圧をVe’とし、動作電圧をVw’とする。また、図5の処理によって得られた外部電界影響電圧をVe”とし、GP電極3に電圧を印加する前の半導体素子の耐圧をVecとし、素子耐圧低下量をVdとする。
このとき、Ve’<Ve”およびVw’<Vec−Vdの関係が成り立つ場合に、この半導体素子を半導体装置に適用することができる。
また、Ve”−Ve’および(Vec−Vd)−Vw’は、半導体装置へのこの半導体素子の適用に関する尤度である。
しかしながら、外部電界影響電圧Ve”および素子耐圧低下量Vdが、例えば図6の実験結果を踏まえて行われる実際の配置に対する詳細な解析評価結果から得られた値であると読み替えて上記の説明を適用することにより、半導体装置への半導体素子の適用に関する判断を行うことができる。
そのため、外部電界がかかっていない状態で測定されたIGBT10の耐圧と、外部電界がかかっている状態で測定されたIGBT10の耐圧とに基づいて、外部電界影響電圧Veおよび素子耐圧低下量Vdを求め、外部電界による半導体素子の耐圧の変動を測定することができる。
これらの場合には、外部サージ電圧や外部動作電圧に対するIGBT10の耐圧の変動を測定することができる。
この場合には、IGBT10の局所的な耐圧の変動を測定することができるので、IGBT10の平面方向の弱点箇所を検出することができる。
また、上記実施の形態1において、測定する半導体チップは、SiチップだけでなくSiCチップでも同様の効果を得ることができる。
また、ヒートシンク一体型および分離型の何れの半導体装置を用いた場合であっても、同様の効果を得ることができる。
一例として、GP電極3に印加する電圧の極性と半導体素子の耐圧低下量との関係を図7に示す。GP電極3をガードリングの半導体素子近傍に設置した場合には、GP電極3に印加する電圧(GP電圧)を正極性とし、GP電圧を上昇させると、半導体素子の耐圧は低下する(図中の+Vg)。ここで、GP電圧を負極性とすると、正極性時に耐圧が低下したGP電圧においても、半導体素子の耐圧は低下しない(図中の−Vg)。一方、GP電極3をガードリングの外周側近傍に設置した場合には、上記とは逆にGP電圧が負極性時に、半導体素子の耐圧が低下する。このように、GP電極3に印加する電圧の極性を可変することにより、半導体素子の外部電界による脆弱性をより精密に判定することができる。
一例として、GP電圧の未印加時において、半導体素子のコレクタ−エミッタ間に電圧を印加する時間を可変した場合の半導体素子の耐圧特性を図8に示す。図8より、コレクタ−エミッタ間電圧印加装置1が電圧を印加する時間を短くしていくと、ある時間(図中のTgp)を境として耐圧が高くなることが分かる。そこで、コレクタ−エミッタ間電圧印加装置1がコレクタ電極11とエミッタ電極14との間に電圧を印加する時間を、1mSec以下、好ましくは0.1mSecに固定した後に、GP電極3から外部電界をかけることにより、半導体素子の耐圧判定をより高精度に実行することができる。
そのため、上記実施の形態1において、半導体素子自体または半導体素子周囲の温度および湿度の少なくとも一方を変化可能な機構、例えばヒータやホットプレート等の昇温機構(環境可変手段)や吸湿槽等を有する加湿機構(環境可変手段)を備えることにより、実際の使用状況に応じた半導体素子の耐圧判定を高精度に実行することができる。
Claims (7)
- 外縁部に電界緩和領域が形成された半導体素子の、外部電界による耐圧の変動を測定する半導体試験装置であって、
前記半導体素子の所定の電極間に可変な電圧を印加する第1電圧印加手段と、
前記所定の電極間に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記半導体素子から所定の空間距離をもって配置され、前記電界緩和領域に前記外部電界をかけるガードプローブ電極と、
前記ガードプローブ電極に可変な直流電圧を印加する第2電圧印加手段と、
を備え、
前記電流検出手段で検出した電流値を受信する受信部と、
前記第1電圧印加手段および前記第2電圧印加手段が印加する電圧を制御する制御部と、
前記受信部で受信した電流値が急増したときに、前記第1電圧印加手段が印加する電圧を前記半導体素子の耐圧と判定する判定部と、
前記第2電圧印加手段が印加する電圧が0である場合の前記半導体素子の耐圧を初期耐圧として記憶する記憶部と、
前記第2電圧印加手段が電圧を印加している場合に前記判定部で判定された前記半導体素子の耐圧と、前記初期耐圧との差分をとり、前記外部電界による前記半導体素子の耐圧の変動を演算する演算部と、
を有する耐圧測定手段をさらに備え、
前記判定部は、前記外部電界の影響に抗して前記初期耐圧を維持できる限界電圧である外部電界影響電圧を判定し、前記演算部は、前記ガードプローブ電極に印加される電圧が前記外部電界影響電圧よりも大きくなった場合における前記ガードプローブ電極に印加される電圧に対する前記半導体素子の耐圧の低下量を演算する
ことを特徴とする半導体試験装置。 - 前記第2電圧印加手段は、前記ガードプローブ電極にパルス電圧を出力可能であることを特徴とする請求項1に記載の半導体試験装置。
- 前記第2電圧印加手段は、前記ガードプローブ電極に整流半波電圧を出力可能であることを特徴とする請求項1に記載の半導体試験装置。
- 前記ガードプローブ電極は、針状の形状を有し、前記半導体素子上を走査可能に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の半導体試験装置。
- 前記第2電圧印加手段は、前記ガードプローブ電極に極性が可変な電圧を印加することを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の半導体試験装置。
- 前記半導体素子自体または前記半導体素子周囲の温度および湿度の少なくとも一方を変化可能な環境可変手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか1項に記載の半導体試験装置。
- 外縁部に電界緩和領域が形成された半導体素子の、外部電界による耐圧の変動を測定する半導体試験方法であって、
前記外部電界がかかっていない状態で、前記半導体素子の所定の電極間に印加する電圧を所定範囲内で上昇させ、前記所定の電極間に流れる電流が急増したときの電圧を前記半導体素子の耐圧として測定する第1耐圧測定ステップと、
前記半導体素子から所定の空間距離をもって配置されたガードプローブ電極に印加する直流電圧を変化させて、前記電界緩和領域にかかる前記外部電界を上昇させながら、前記半導体素子の耐圧を測定する第2耐圧測定ステップと、
前記第1耐圧測定ステップで測定された前記半導体素子の耐圧と、前記第2耐圧測定ステップで測定された前記半導体素子の耐圧とに基づいて、前記外部電界による前記半導体素子の耐圧の変動を測定する変動測定ステップと、
前記半導体素子の耐圧の変動から、前記外部電界の影響に抗して、前記ガードプローブ電極に印加される電圧が0である場合の前記半導体素子の初期耐圧を維持できる限界電圧である外部電界影響電圧を記録するステップと、
前記ガードプローブ電極に前記外部電界影響電圧を超える電圧を印加して、前記ガードプローブ電極に印加される電圧に対する前記半導体素子の耐圧の低下量を記録するステップと、
を備えたことを特徴とする半導体試験方法。
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