JP5019818B2 - 水性摩擦係数安定剤 - Google Patents

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Description

本発明は、水性摩擦係数安定剤に係り、特に、ねじ部品の締結時の摩擦係数を安定化するための水性の摩擦係数安定剤に関するものである。
従来から、ねじ部品(例えば、ボルト、ナット、座金、配管継手等)の締付けの際に、かかるねじ部品に与えるべき締結力(軸力)が、各々のねじ部品の形状やサイズ等によって、各ねじ部品毎に異なるものとなることは、よく知られているところである。そして、そのようなねじ部品を用いて組付けを行う際には、各々のねじ部品毎に適した締結力(軸力)によって、締結を行わなければならず、この締結力(軸力)が小さ過ぎると、ねじが緩み易くなり、また大き過ぎると、ボルト等が伸びたり、破断したりする等の問題が惹起されるようになる。
ここで、ボルトを例にとると、締付けトルクと軸力(締結力)との関係は、次の式1で表すことが出来る。
[式1]
T = 1/2・F{(d2/cosα+dw)μ+P/π}
T:締付けトルク(N・mm) P:ねじのピッチ(mm)
F:軸力(N) μ:摩擦係数
d2:ねじ有効径(mm) dw:座面等価直径(mm)
α:ねじ山の半角(°)
なお、かかる式1において、その右辺第1項:1/2・F(d2/cosα+dw)μは、摩擦トルクであり、また右辺第2項:1/2・F・P/πは、弾性エネルギーとしてボルト内に蓄えられる軸力トルクである。
ところで、従来から、自動車の組付け作業のような、大量のねじ部品の締結が必要な場合には、そのねじに与える締結力(軸力)の管理は、一般的に、締付けトルクの管理により行われて来ているのであるが、そこにおいて、摩擦係数:μは常に一定であることが、望ましい。即ち、上記の式1から明らかなように、ねじ部品の形状及び径のサイズが定まっているとき、摩擦係数が一定であれば、一定の締付けトルクによって、一定の軸力(締結力)を得ることが出来るからである。
しかしながら、実際には、かかる摩擦係数は、ねじ部品の材質や表面状態(表面処理の種類、油や付着物の有無)等によって、様々な値をとるようになる。そこで、従来から、そのようなボルト等のねじ部品の締付け時における摩擦係数を安定化させるために、締結しようとするねじ部品の表面に、摩擦係数安定剤を付着乃至は塗布して、摩擦係数安定効果を有する皮膜を形成することが、行われて来ている。なお、そのような摩擦係数安定剤に要求される性能としては、一般的に、(1)表面状態によらず、一定の摩擦係数が得られること、(2)処理方法が容易であること、(3)貯蔵安定性が良好であること、(4)作業性が良好であること、(5)安全性が高いこと、等が挙げられる。
かかる状況下、そのような摩擦係数安定剤としては、従来より、様々なものが提案されて用いられて来ているのであるが、近年、特に安全性、環境問題、経済性等の観点から、水性の摩擦係数安定剤が開発、検討されて来ている。そして、そのような水性の摩擦係数安定剤の一つとして、例えば、特開平6−80983号公報(特許文献1)には、水混和性合成樹脂と、ポリエチレンオキシドと、ノニオン性界面活性剤と、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体とを水性溶媒に溶解させた、摩擦係数安定効果を有する摩擦係数低減剤が、明らかにされている。また、そこでは、かかる摩擦係数低減剤は、締結材(例えば、ボルト)の表面状態によらず、略一定の低摩擦係数を与え、トルク−軸力関係が安定(換言すれば、摩擦係数が安定)になり、締結材のゆるみや破損等が確実に防止されるとされている。
しかしながら、本発明者等が種々検討した結果、そのような、潤滑成分としてポリエチレンオキシドとエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体とを使用した摩擦係数低減剤により、表面に皮膜が形成せしめられてなるねじ部品は、かかるねじ部品の締付けを一定回数繰り返した場合において、摩擦係数の増大が惹起されるという問題を有するものであることが、明らかとなった。
そこで、本願出願人は、先に、特開平9−40991号公報(特許文献2)において、ねじ部品の繰り返しの締付けによっても、締付けの際の摩擦係数が増大することのない摩擦係数安定剤として、酸化低分子ポリエチレンと合成樹脂エマルジョンを水に分散してなる摩擦係数安定剤を、明らかにした。そして、この摩擦係数安定剤によれば、ねじ部品の表面に該摩擦係数安定剤に基づくところの皮膜を形成することにより、そのねじ部品の締付けを繰り返し行ったときでも、締付け時の摩擦係数を増大させることなく、かかる摩擦係数のバラツキを低く抑えることが出来、更に、酸化低分子ポリエチレンと合成樹脂エマルジョンの配合を調整することにより、任意の摩擦係数を付与することが出来る特徴を発揮することとなる。
しかしながら、そのような摩擦係数安定剤にあっても、軸力の大きさによって摩擦係数が変動する、つまり、軸力に対して摩擦係数が安定しないという問題が存することが明らかとなったのである。即ち、締付けを行おうとするねじ部品の直径等によって、与えるべき軸力も異なってくる(具体的には、ねじ部品の径の増大に伴い、高軸力による締結が必要となる)のであるが、そのような軸力に対して、摩擦係数が変動してしまうようになるのである。そのため、そのような摩擦係数安定剤により、表面に皮膜を形成したねじ部品を用いて、締結を行うに際しては、ねじ部品に与えようとする軸力毎に異なる摩擦係数を考慮に入れて、締付けトルクの設定を行う必要があり、そのために、かかる締付けトルクの設定が、大変難しいものとなっているのである。
特開平6−80983号公報 特開平9−40991号公報
ここにおいて、本発明は、かくの如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、軸力の大小によらず、一定の安定した摩擦係数を与えることの出来る水性摩擦係数安定剤を提供することにある。
そして、本発明は、かかる課題の解決のために、融点が90〜120℃の範囲内にある酸化型ポリエチレンワックス、融点が70〜90℃の範囲内にある、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びポリエチレンワックスからなる群より選ばれた少なくとも1種の炭化水素系ワックスとからなるワックスの組合せと、皮膜形成用の合成樹脂とが、エマルジョンの形態において、水に分散せしめられてなり、且つ該ワックスの組合せにおいて、前記酸化型ポリエチレンワックスと前記炭化水素系ワックスとの重量比が、1:1〜5:1であることを特徴とする水性摩擦係数安定剤を、その要旨とするものである。
なお、このような本発明に従う水性摩擦係数安定剤の望ましい態様の一つによれば、前記合成樹脂は、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、及びアクリル・オレフィン共重合体樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種にて構成されるものである。
また、かかる本発明に従う水性摩擦係数安定剤の別の望ましい態様の一つによれば、前記ワックスの組合せと前記合成樹脂とは、O/Wエマルジョンの形態で水に分散させられてなるものであり、加えて、更に別の望ましい態様の一つによれば、前記ワックスの組合せは、0.5〜15重量%の範囲内において、また前記合成樹脂は、1〜20重量%の範囲内において、それぞれ分散、含有せしめられている。
加えて、本発明の更に他の望ましい態様の一つによれば、本発明に従う水性摩擦係数安定剤は、前記ワックスの組合せ及び前記合成樹脂が、それぞれエマルジョンの形態において用いられ、且つそれらエマルジョンが、水に分散せしめられてなるものである。
このように、本発明に従うところの水性摩擦係数安定剤にあっては、融点が90〜120℃の範囲内にある酸化型ポリエチレンワックスを主成分とし、融点が70〜90℃の範囲内にある、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びポリエチレンワックスからなる群より選ばれた少なくとも1種の炭化水素系ワックスを副成分とするワックスの組合せを潤滑成分として、これと、皮膜形成用の合成樹脂とが、エマルジョンの形態において水に分散せしめられて、構成されていることによって、そのような水性摩擦係数安定剤を用いて、ねじ部品の表面に皮膜が形成されたとき、該皮膜を構成するワックス組合せと合成樹脂との相乗的な作用により、かかるねじ部品の一定回数の締付けに対して、摩擦係数が効果的に安定化させられ得ると共に、ねじ部品による締結に際しての軸力の大小によって、かかる皮膜が形成されたねじ部品の摩擦係数が変動することが、効果的に抑制乃至は阻止され、通常の締付けトルクの管理の範囲内で、容易に締結力(軸力)の管理を行うことが出来ることとなるのであり、以て、そのような締結されたねじ部品の破断やゆるみ等が、有利に防止され得ることとなる。
しかも、本発明に従って、酸化型ポリエチレンワックスのエマルジョン、炭化水素系ワックスのエマルジョン、皮膜形成用の合成樹脂のエマルジョン、及び水の配合割合を適宜に調節して、目的とする水性摩擦係数安定剤とすることにより、そのような水性摩擦係数安定剤により皮膜が形成されたねじ部品に、任意の摩擦係数を容易に付与することが出来るのである。
さらに、ワックスの組合せ及び皮膜形成用の合成樹脂をそれぞれエマルジョンの形態で用い、且つそれらエマルジョンを水に分散せしめて、全体としてエマルジョン形態の混合物とすることによって、目的とする水性摩擦係数安定剤が、有利に且つ容易に得られるのである。
ところで、かかる本発明に従う水性摩擦係数安定剤を構成するワックスの組合せの一成分たる、融点が90〜120℃の範囲内にある酸化型ポリエチレンワックスは、潤滑成分として機能するものであって、一般に、分子量が500〜10,000程度のエチレン重合体を一部酸化変性することにより、OH基、COOH基等の極性基を導入したもののうち、90〜120℃の範囲内の融点を有するものであり、例えば、ネオワックスE、E−3、E−20、AE−3(融点:100〜110℃、ヤスハラケミカル株式会社製)、Licowax PED 521(融点:103〜108℃、クラリアント社製)、ノプコートPEM−17(融点:103℃、サンノプコ株式会社製)等の市販品を用いることが出来る。このように、酸化型ポリエチレンワックスは、その分子鎖内に極性基を有しているところから、それを含む水性摩擦係数安定剤におけるエマルジョンの形成を、安定したものと為すことが出来る。
なお、前記酸化型ポリエチレンワックスにおける融点が、90℃よりも低くなると、ねじ部品表面に形成された皮膜において、ねじ部品締付け時の摩擦により、かかる酸化型ポリエチレンワックスの流動化が生じ易くなり、ワックス成分が散逸するため、締付けを一定回数繰り返した場合、締付け時の摩擦係数の増大が惹起されるという問題があり、また、その融点が120℃よりも高くなると、その得られる水性摩擦係数安定剤により、ねじ部品の表面に皮膜を形成せしめた際に、かかる皮膜における酸化型ポリエチレンワックスの均一性が悪くなり、これにより、そのような皮膜を形成せしめたねじ部品の摩擦係数に、バラツキが生じてしまう等という問題を惹起することとなるからである。
また、本発明に従う水性摩擦係数安定剤を構成するワックス組合せの他の一成分たる、融点が70〜90℃の範囲内にある、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス及びポリエチレンワックスからなる群より選ばれた少なくとも1種の炭化水素系ワックスにあっても、それらは、前記酸化型ポリエチレンワックスと協働して、目的とする水性摩擦係数安定剤に有効な潤滑特性を付与するものである。そして、そのような炭化水素系ワックスとしては、従来から公知のものが、何れも採用可能であって、例えば、融点が70〜90℃の範囲内にあるマイクロクリスタリンワックスには、Hi−Mic−1070、1080、1090、2065(融点:75〜88℃、日本精蝋株式会社製)、ノプコ1245−M−SN(融点:77℃、サンノプコ株式会社製)等の市販品を、また融点が70〜90℃の範囲内にあるパラフィンワックスには、HNP−9、10、51(融点:75〜77℃、日本精蝋株式会社製)、ノプコマルMS−40(融点:79℃、サンノプコ株式会社製)等の市販品を、更に融点が70〜90℃の範囲内にあるポリエチレンワックスには、A−C 1702(融点:90℃、ハネウェル社製)、SNコート287(融点:80℃、サンノプコ株式会社製)等の市販品を、それぞれ挙げることが出来る。
ここで、前記炭化水素系ワックスとして、融点が70℃よりも低いものを用いた場合には、それによって得られる水性摩擦係数安定剤にて表面に皮膜を形成したねじ部品の締付けを繰り返したときに、締付け時の発熱により、炭化水素系ワックスが流動化し、かかる皮膜中に存在する炭化水素系ワックスがブリードして、失われてしまい易くなるという問題があり、また融点が90℃を越えるものを用いた場合には、融点が高いため、皮膜表面上でワックス成分が均一に形成されず、締付け時の軸力が大きくなると、摩擦係数の増大が惹起されるという問題を惹起する。
一方、本発明に従う水性摩擦係数安定剤を構成する皮膜形成用の合成樹脂は、それを用いて得られる水性摩擦係数安定剤を、ねじ部品の表面に付着乃至は塗布せしめた場合に、かかる合成樹脂の微粒子同士が互いに融着して、ねじ部品表面に連続した皮膜を形成する作用を奏するものであって、そのような合成樹脂の摩擦係数によって、ねじ部品表面に形成される皮膜の摩擦係数が付与されることとなる。ここで、そのような合成樹脂としては、従来から公知の各種のものが、目的に応じて、適宜に選択され得るのであるが、好ましくは、アクリル樹脂、酸化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、及びアクリル・オレフィン共重合体樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種である。また、これらの合成樹脂には、市販品が好適に用いられ、例えば、リカボンドET−8、SA−203、SA−711、ES−16、ES−21、ES−90(中央理化工業株式会社製)、ユリアーノW302(荒川化学工業株式会社製)等を挙げることが出来る。そして、このような合成樹脂を、目的に応じて使用することにより、かかる合成樹脂の摩擦係数に対応した所望の摩擦係数が、有利に得られることとなる。
そして、本発明に従う水性摩擦係数安定剤にあっては、上記したような酸化型ポリエチレンワックスを主成分とし、炭化水素系ワックスを副成分とするワックスの組合せ、及び上記したような合成樹脂が、水中に、エマルジョンの形態において分散せしめられてなるものである。そこにおいて、水としては、水道水、蒸留水、その他の適当な水溶液等の水性媒体が、目的に応じて適宜選択されて、使用されることとなる。
なお、上記したような酸化型ポリエチレンワックスと炭化水素系ワックスからなるワックスの組合せ及び合成樹脂を、水中に、エマルジョンの形態にて分散せしめるためには、一般に、界面活性剤が用いられることとなるのであるが、そのような界面活性剤としては、何等限定されるものではなく、本発明の目的に従って、ノニオン系界面活性剤等の公知のものが、適宜に用いられ得るのである。また、かかる界面活性剤の、本発明に従う水性摩擦係数安定剤における配合量としては、前記ワックスの組合せ、合成樹脂、及び水の配合量に応じて、エマルジョンを形成せしめるための公知の配合量が、目的に応じて採用され得る。
特に、かかる本発明に従う水性摩擦係数安定剤にあっては、酸化型ポリエチレンワックス、炭化水素系ワックス及び合成樹脂が、それぞれ水中に分散して、エマルジョンを形成しておれば、その調製法は、何等、限定されるものではないが、有利には、酸化型ポリエチレンワックスと炭化水素系ワックスのワックスの組合せ及び合成樹脂は、それぞれエマルジョンの形態で用いられ、且つそれらエマルジョンが水に分散せしめられることによって、調製されることとなる。このようにすることによって、本発明に従う水性摩擦係数安定剤を、有利に容易に得ることが出来ることとなる。
また、有利には、本発明に従う水性摩擦係数安定剤は、前記ワックスの組合せと前記合成樹脂とが、O/Wエマルジョンの形態において水に分散されてなるものである。そのような形態のエマルジョンとすることによって、本発明の効果がより有利に発揮せしめられ得ると共に、安全性、環境問題、経済性の観点においても、有利なものとすることが出来るのである。
さらに、前記ワックスの組合せは、本発明の目的を阻害しない範囲内において、目的に応じて、適宜に任意の配合量とすることが可能ではあるが、有利には、本発明に従う水性摩擦係数安定剤中、0.5〜15重量%の範囲内において、分散、含有せしめられることとなる。このように、ワックスの組合せが、0.5重量%よりも多い割合において、分散、含有せしめられるようにすることによって、締付け回数に対する摩擦係数の安定性が、より有利に発揮せしめられ得るのである。なお、それが、15重量%を越えるような割合において、分散、含有せしめられると、ワックス成分が過剰となり、摩擦係数への影響が充分でなくなって、不経済となる。その中でも、かかるワックスの組合せにおいて、酸化型ポリエチレンと炭化水素系ワックスとの重量比は、1:1〜5:1であり、このような重量比とすることによって、上述したような本発明の効果が、より一層有利に発揮されることとなる。
加えて、本発明にあっては、前記合成樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲内において、目的に応じて、適宜に任意の配合量とすることが可能であるが、有利には、本発明に従う水性摩擦係数安定剤中、1〜20重量%の範囲内において、分散、含有せしめられることとなる。このように、所定の合成樹脂が、1重量%或いはそれよりも多い割合において、分散、含有せしめられることによって、そのような水性摩擦係数安定剤によりねじ部品表面に皮膜を形成した際に、均一な皮膜を得ることが出来、これにより、安定した摩擦係数が得られることとなる。尤も、そのような合成樹脂が、20重量%よりも多い割合において、分散、含有せしめられるようになると、本発明に従う水性摩擦係数安定剤の粘度が高くなり易くなり、かかる水性摩擦係数安定剤のねじ部品表面への付着を、有利に行うことが困難となる。
そして、酸化型ポリエチレンワックス、炭化水素系ワックス、合成樹脂及び水の配合割合を、本発明の目的を阻害しない範囲内において、目的に応じて、調節することによって、また好ましくは、上記した範囲内の配合量において、調節することによって、かかる本発明に従う水性摩擦係数安定剤により皮膜が形成されたねじ部品に、任意の摩擦係数を付与することが出来るのである。
なお、本発明に従う水性摩擦係数安定剤においては、目的に応じて、防錆剤、消泡剤、ぬれ改良剤、着色顔料等の任意の成分が、更に含有せしめられていても、何等差支えないのである。
また、以上のような本発明に従う水性摩擦係数安定剤が適用せしめられ得るねじ部品としては、何等限定されるものではなく、例えば、ボルト、ナット、座金、配管継手等の種々のねじ部品に対して、適用せしめることが、可能である。また、そのようなねじ部品の表面に、従来から公知の塗装処理等が施されていても、何等、差支えない。
さらに、本発明を、ねじ部品に対して適用せしめるに際しては、そのようなねじ部品の表面に対して、本発明に従う水性摩擦係数安定剤を付着乃至は塗布せしめて、その後、加熱乾燥することによって、皮膜を形成することとなるのであるが、かかる付着乃至塗布の方法は、何等限定されるものではなく、従来から公知の手法によって、例えば、かかる水性摩擦係数安定剤にねじ部品を浸漬し、液切上げ後、或いはかかる水性摩擦係数安定剤をねじ部品にスプレー等により噴霧、塗布することによって、行うことが出来る。
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、実施例1〜4として、以下の表1に示される各成分を、それぞれ、表1に示される配合割合にて混合して、本発明に従う各種の水性摩擦係数安定剤を得た。また、比較のために、以下の表1に示される各成分を、それぞれ、表1に示される配合割合にて混合して、比較例1〜3に係る各種の水性摩擦係数安定剤を得た。なお、本実施例においては、酸化型ポリエチレンワックス、炭化水素系ワックス、及び合成樹脂に、何れも、市販のエマルジョンの形態のものを用い、それらを、表1に示される割合において混合せしめて、目的とする水性摩擦係数安定剤を得た。
Figure 0005019818
次に、塗装処理したM12×1.25ボルトを、実施例1〜4及び比較例1〜3の水性摩擦係数安定剤にそれぞれ浸漬した後、引き揚げて、80℃で10分間の乾燥を行った。このボルトを、塗装ナット、ワッシャと共に、トルクテンション試験機に装着して締付け試験を行った。そして、その締付けにより発生する軸力、全トルクを測定し、得られたトルク−軸力線図を用いて、総合摩擦係数を算出した。締付け時の軸力と得られた総合摩擦係数の結果を、以下の表2に示す。
Figure 0005019818
上記表2の結果より、実施例1〜4の水性摩擦係数安定剤を用いてねじ表面に皮膜を形成せしめたものでは、比較例1〜3の水性摩擦係数安定剤を用いてねじ表面に皮膜を形成せしめたものと比較して、何れも、締付け時軸力に対する摩擦係数のバラツキ(軸力60kNのときの摩擦係数と20kNのときの摩擦係数の差)が、低く抑えられていることが確認できた。また、実施例1〜4に示されるように、酸化型ポリエチレンワックス、炭化水素系ワックス、合成樹脂及び水の配合割合を調節することにより、かかる水性摩擦係数安定剤にて皮膜が形成されたねじ部品に、任意の摩擦係数を付与せしめることが出来ることが分かった。

Claims (5)

  1. 融点が90〜120℃の範囲内にある酸化型ポリエチレンワックス、融点が70〜90℃の範囲内にある、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びポリエチレンワックスからなる群より選ばれた少なくとも1種の炭化水素系ワックスとからなるワックスの組合せと、皮膜形成用の合成樹脂とが、エマルジョンの形態において、水に分散せしめられてなり、且つ該ワックスの組合せにおいて、前記酸化型ポリエチレンワックスと前記炭化水素系ワックスとの重量比が、1:1〜5:1であることを特徴とする水性摩擦係数安定剤。
  2. 前記合成樹脂が、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、及びアクリル・オレフィン共重合体樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の水性摩擦係数安定剤。
  3. 前記ワックスの組合せと前記合成樹脂とが、O/Wエマルジョンの形態で水に分散していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水性摩擦係数安定剤。
  4. 前記ワックスの組合せが、0.5〜15重量%の範囲内において、また前記合成樹脂が、1〜20重量%の範囲内において、それぞれ分散、含有せしめられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の水性摩擦係数安定剤。
  5. 前記ワックスの組合せ及び前記合成樹脂が、それぞれエマルジョンの形態において用いられ、且つそれらエマルジョンが、水に分散せしめられてなることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか一つに記載の水性摩擦係数安定剤。
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