以下、本発明のヘッドマウントディスプレイ200の一実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理の製造フローなどは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
なお、本実施形態では、ヘッドマウントディスプレイとして、画像信号に応じた光束を2次元方向に走査し、その走査された光を眼に導き網膜上に表示画像を形成する網膜走査型ディスプレイを例に挙げて説明するが、これに限定しない。例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(ElectroLuminesence)ディスプレイ等、他の画像表示装置を備え、利用者が頭部に装着して画像を鑑賞するヘッドマウントディスプレイであってもよい。
はじめに、図1を参照し、ヘッドマウントディスプレイ200の概略構成について説明する。図1は、ヘッドマウントディスプレイ200の外観構成を示した図である。
図1に示すように、ヘッドマウントディスプレイ200は、画像信号に応じて変調されたレーザ光(以下「映像光4」という。)を走査させて出射させ、使用者3の少なくとも一方の眼の網膜に画像を直接投影する。これにより、使用者3に画像を視認させる。ヘッドマウントディスプレイ200は、画像信号に応じて映像光4を出射する出射装置100と、その出射装置100から出射された映像光4を導くと共に、その映像光4を使用者3の眼に向かって反射させるハーフミラー150と、出射装置100及びハーフミラー150を支持し、頭部に装着するための頭部装着部210とを少なくとも備えている。
出射装置100は、映像光4をハーフミラー150に対し出射する。ハーフミラー150は、出射装置100に対して固定的な位置にあり、その出射装置100から出射された映像光4を使用者3の眼に向かって反射させる。ハーフミラー150は、透明性を有する透明部材151と、映像光4を反射させる反射部材154から構成されている。ハーフミラー150では、映像光4が入射する側(使用者3の眼側)に透明部材151が設けられ、外界の外光5が入射する側(外側)に反射部材154が設けられている。そして、使用者3の側から入射された映像光4を使用者3の眼に入射させると共に、外界からの外光5を使用者3の眼に入射させる。これにより、実際の視界はもちろん、出射装置100から出射された映像光4に基づく画像が視認可能となる。なお、このハーフミラー150の形状等についての詳細は後述する。
図2を参照し、ヘッドマウントディスプレイ200の電気的構成について説明する。図2は、ヘッドマウントディスプレイ200の電気的構成を示す模式図である。
図2に示すように、ヘッドマウントディスプレイ200は、使用者3に画像を視認させる表示部40、各種操作やデータの入力を行うための入力部41、画像情報等の送受信を行う通信部43、ヘッドマウントディスプレイ200で使用する機能の各種設定値等を記憶するフラッシュメモリ49、表示部40に表示する画像(グラフィック)やテキストなどのイメージデータが記憶されるビデオRAM44、表示部40に表示するテキストのフォントデータが記憶されるフォントROM45、ヘッドマウントディスプレイ200全体を制御する制御部46、及び電源部47を備えている。
表示部40は、使用者3に視認させるための映像の情報(以下「映像情報」という。)を制御部46より受信し、使用者3の網膜に直接投影させるために必要な各信号に変換する為の映像信号処理部70、レーザ光を出力するレーザ群72(青色出力レーザ(Bレーザ)721、緑色出力レーザ(Gレーザ)722、赤色出力レーザ(Rレーザ)723)、及び、レーザ群72よりレーザ光を出力させるための制御を行うレーザドライバ群71を備えている。そして、映像信号処理部70の制御により、所望のレーザ光を所望のタイミングで出力させることが可能なように、映像信号処理部70はレーザドライバ群71と電気的に接続されている。またレーザドライバ群71は、Bレーザ721、Gレーザ722、及びRレーザ723と其々電気的に接続されている。また、映像信号処理部70が制御部46より映像信号を受信することが可能なように、映像信号処理部70と制御部46とはバスを介して電気的に接続されている。
また表示部40は、レーザより出力されたレーザ光を垂直方向に反射させることによって走査を行う垂直走査ミラー812及び垂直走査ミラー812の駆動制御を行う垂直走査制御回路811、レーザより出力されたレーザ光を水平方向に反射させることによって走査を行う水平走査ミラー792及び水平走査ミラー792の駆動制御を行う水平走査制御回路791を備えている。そして、映像信号処理部70の制御により、所望の方向にレーザ光を反射させることが可能なように、映像信号処理部70と垂直走査制御回路811及び水平走査制御回路791とは其々電気的に接続されている。また、垂直走査制御回路811は垂直走査ミラー812と電気的に接続されている。また、水平走査制御回路791は水平走査ミラー792と電気的に接続されている。
入力部41は、各種機能キーなどからなる操作ボタン群50、操作ボタン群50のキーが操作されたことを検出し、制御部46に通知する入力制御回路51を備えている。そして、操作ボタン群50のキーに入力された情報を制御部46(後述)にて認識することが可能なように、操作ボタン群50は入力制御回路51と電気的に接続されている。また入力制御回路51は制御部46と電気的に接続されている。
通信部43は、無線電波を使用し、画像信号等の受信を行う通信モジュール57と、この通信モジュール57を制御する通信制御回路58とを備えている。そして、制御部46にて画像信号を取得することが可能なように、制御部46と通信制御回路58とはバスを介して電気的に接続されている。また、通信モジュール57は通信制御回路58と電気的に接続されている。
なお、通信モジュール57の通信方式としては特に限定されず、従来周知の無線通信方式が使用可能である。例えば、Bluetooth(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)規格、無線LAN(IEEE802.11b,11g,11nなど)規格、WirelessUSB規格などに準拠した無線通信方式が使用可能である。また、赤外線を利用したIrDA(Infrared Data Association)規格に準拠した無線通信方式も使用可能である。
電源部47は、ヘッドマウントディスプレイ200を駆動させるための電源となる充電式の電池59、及び、電池59の電力をヘッドマウントディスプレイ200に供給すると共に、充電用アダプタ(図示せず)から供給される電力を電池59へ供給して電池59の充電を行う充電制御回路60を備えている。
フラッシュメモリ49、ビデオRAM44、及びフォントROM45は、制御部46より各記憶領域に記憶された情報を参照することが可能なように、それぞれがバスを介して制御部46と電気的に接続されている。
制御部46は、ヘッドマウントディスプレイ200全体を制御する機能を有しており、例えば、所望の情報を表示部40に表示させたり、使用者3による入力部41の操作に応じて所定の動作を行ったりする。
制御部46は、CPU61、各種プログラムを格納したROM62、各種データが一時的に記憶されるRAM48などから構成されている。制御部46では、CPU61がROM62に格納された各種プログラムを読み出すことにより、各処理が実行される。RAM48は、CPU61が各処理を実行する場合に必要な各種フラグやデータの記憶領域を提供する。
表示部40にて映像光4が形成される過程の概要について、図3を参照して詳説する。図3は、表示部40において映像光4が形成される過程を説明した模式図である。表示部40は、図3に示すように、光源ユニット部65、コリメート光学系77、水平走査系79、第一リレー光学系80、垂直走査系81、第二リレー光学系82を備えている。光源ユニット部65は、映像信号処理部70、レーザドライバ群71、レーザ群72、コリメート光学系73、ダイクロイックミラー群74、及び結合光学系75を備えている。水平走査系79は、水平走査制御回路791及び水平走査ミラー792を備えている。垂直走査系81は、垂直走査制御回路811及び垂直走査ミラー812を備えている。
光源ユニット部65の構成について図2、及び図3を参照して詳説する。映像信号処理部70は、既述のように、制御部46と電気的に接続されている。そして、制御部46を介して所望の情報を網膜に投影させるためにビデオRAM44に展開された映像情報が入力される。映像信号処理部70には、輝度信号66(B輝度信号661、G輝度信号662、R輝度信号663)、垂直同期信号67及び水平同期信号68が其々入力される。映像信号処理部70では、入力された映像情報を網膜に投影させるための要素となる各信号(輝度信号、垂直同期信号、水平同期信号)が生成される。生成された各信号は、輝度信号66、水平同期信号68、及び垂直同期信号67に対して画素毎に出力される。
輝度信号66(B輝度信号661、G輝度信号662、R輝度信号663)は、レーザドライバ群71(Bレーザドライバ711、Gレーザドライバ712、Rレーザドライバ713)に其々入力される。水平同期信号68は、水平走査系79の水平走査制御回路791に入力される。垂直同期信号67は、垂直走査系81の垂直走査制御回路811に入力される。
レーザドライバ群71は、レーザ群72(Bレーザ721、Gレーザ722、Rレーザ723)に其々電気的に接続されている。レーザドライバ群71は、輝度信号66(B輝度信号661、G輝度信号662、R輝度信号663)を介して伝達された各信号の各輝度信号に基づいて、強度変調されたレーザ光をレーザ群72より出射させるために、レーザ群72を駆動する。
光源ユニット部65には、レーザドライバ群71の制御に基づきレーザ群72より出射された3色(青色、緑色、赤色)のレーザ光を平行光にコリメートさせることが可能なコリメート光学系73(731〜733)、コリメート光学系73にてコリメートされたレーザ光を合波させることが可能なダイクロイックミラー群74(741〜743)、合波されたレーザ光を光ファイバ76に導くための結合光学系75が其々設けられている。
尚、レーザ群72(Bレーザ721、Gレーザ722、Rレーザ723)として、レーザダイオード等の半導体レーザや固体レーザを利用してもよい。
また、レーザ光を、水平方向に走査させるための水平走査ミラー792が水平走査系79に設けられている。水平走査ミラー792の偏向面793に入射されたレーザ光は、水平走査制御回路791の制御により、水平同期信号68より受信される水平同期信号に同期して水平方向に走査される。本実施の形態の水平走査系79は、表示すべき画像の1走査線毎に、レーザ光を水平方向に水平走査(1次走査の一例)させるための光学系である。
また、水平走査されたレーザ光を垂直走査系81に導くための第一リレー光学系80が表示部40に設けられている。また、第一リレー光学系80により導かれたレーザ光を垂直方向に走査させるための垂直走査ミラー812が垂直走査系81に設けられている。垂直走査ミラー812の偏向面813に入射されたレーザ光は、垂直走査制御回路811の制御により、映像信号処理部70より受信される垂直同期信号67に同期して垂直方向に走査される。本実施の形態の垂直走査系81は、表示すべき画像の1フレーム毎に、レーザ光を最初の走査線から最後の走査線に向かって垂直に垂直走査(2次走査の一例)する光学系である。
垂直走査されたレーザ光(映像光4(図1参照))をハーフミラー150に導くための第二リレー光学系82が表示部40に設けられている。第二リレー光学系82にて導かれた映像光4は、ハーフミラー150に入射される。ハーフミラー150は、第二リレー光学系82と使用者3の瞳孔90との間に配置される。ハーフミラー150は、映像光4を全反射させるなどして、使用者3の瞳孔90に導く。
上述の表示部40では、水平走査系79は、垂直走査系81より高速にすなわち高周波数でレーザ光を走査するように設計される。また、第一リレー光学系80は、水平走査系79の水平走査ミラー792と、垂直走査系81の垂直走査ミラー812とが共役となるように構成されている。第二リレー光学系82は、垂直走査ミラー812と、使用者3の瞳孔90とが共役となるように構成されている。
本発明の一実施形態のヘッドマウントディスプレイ200が、外部からの映像信号を受けてから、使用者3の網膜上に映像を投影するまでの過程について、図3を参照して説明する。
本実施形態のヘッドマウントディスプレイ200では、光源ユニット部65に設けられた映像信号処理部70が映像信号を受信する。次いで映像信号処理部70より、赤、緑、青の各色のレーザ光を出力させるためのB輝度信号661、G輝度信号662、R輝度信号663からなる輝度信号66と、水平同期信号68と、垂直同期信号67とが出力される。
Bレーザドライバ711、Gレーザドライバ712、Rレーザドライバ713は、各々入力されたB輝度信号661、G輝度信号662、R輝度信号663に基づき、Bレーザ721、Gレーザ722、Rレーザ723に対してそれぞれの駆動信号を出力する。
上述の駆動信号に基づいて、Bレーザ721、Gレーザ722、Rレーザ723は、それぞれ強度変調されたレーザ光を発生させる。発生されたレーザ光は、コリメート光学系73に出力される。レーザ光は、コリメート光学系73によってそれぞれが平行光にコリメートされ、更に、ダイクロイックミラー74に入射されて1つのレーザ光となるよう合成される。合成されたレーザ光は、結合光学系75によって光ファイバ76に入射されるよう導かれる。
光ファイバ76を伝達したレーザ光は、光ファイバ76からコリメート光学系77に導かれる。そして水平走査系79に出射される。
水平走査系79に入射されたレーザ光は、水平走査ミラー792の偏向面793にて、水平同期信号68に同期して水平方向に走査される。水平走査ミラー792は、水平同期信号68に同期して、その偏向面793が入射光を水平方向に反射するように往復振動をしている。この水平走査ミラー792によってレーザ光は水平方向に走査される。水平走査されたレーザ光は、第一リレー光学系80を介し、垂直走査系81に出射される。
第一リレー光学系80では、水平走査ミラー792の偏向面793と垂直走査ミラー812の偏向面813とが共役の関係となるように調整され、また、水平走査ミラー792の面倒れが補正される。
垂直走査系81に入射されたレーザ光は、垂直走査ミラー812の偏向面813にて、垂直同期信号67に同期して垂直方向に走査される。垂直走査ミラー812は、水平走査ミラー792が水平同期信号68に同期することと同様に垂直同期信号67に同期して、その偏向面813が入射光を垂直方向に反射するように往復振動をしている。この垂直走査ミラー812によってレーザ光は垂直方向に走査される。
水平走査系79及び垂直走査系81によって垂直方向及び水平方向に2次元に走査されたレーザ光(映像光4)は、垂直走査ミラー812の偏向面813と、使用者3の瞳孔90とが共役の関係となるように設けられた第二リレー光学系82、ハーフミラー150により使用者3の瞳孔90へ入射され、網膜上に投影される。
以上説明した過程を経ることにより、使用者3は、2次元走査されて網膜上に投影されたレーザ光による画像を認識することが可能となる。
次に、ヘッドマウントディスプレイ200で使用されるハーフミラー150の形状について図4、図5を参照して説明する。図4は、ハーフミラー150の平面図である。図5は、ハーフミラー150の正面図である。ここで、図4における紙面手前側をハーフミラー150の「表側」、紙面奥側を「裏側」とする。また、ハーフミラー150の側面は、全ての方向で同様の構成であるものとする。
図4に示すように、ハーフミラー150は平面視長方形状に形成され、裏側の面に設けられた透明性を有する板状の透明部材151(図5参照)と、表側の面に設けられた映像光4を反射する反射部材154とから構成されている。
透明部材151は、平面視長方形状に形成されている。そして、その材質は、透明性を有するガラス、合成樹脂等であり、出射装置100から出射された映像光4、及び外界から入射する外光5を透過する性質を有している。本実施の形態では、一例として、透明部材151はガラスにより形成されているものとする。
図5に示すように、反射部材154は、膜状の反射膜152が透明部材151の表側の面に積層されることで壇状に形成されている。この反射膜152は、金属原子が蒸着されることで形成されている。なお、この反射膜152には、アルミニウム、銀、金等の金属が使用される。本実施の形態では、一例として、反射膜152を形成する金属としてアルミニウムが使用されるものとする。また、この反射部材154の中央部には、平面視長方形状の反射領域158が設けられている。この反射領域158は、出射装置100から出射される映像光4を反射し、使用者3の瞳孔90に映像光4を導く。これにより、使用者3の網膜上に映像光4による映像が投影され、使用者3は映像を視認することができる。
また、反射部材154の裏側から、表側の方向に向かうに従って、面積が小さくなるように形成された反射膜152が、積層されることにより、反射部材154の外周部には、外界からの外光5の透過する量を調整する透過光量調整部155が壇状に形成される。この透過光量調整部155は、反射領域158の外周から反射部材154の外周の方向に向かうに従って、厚みが薄くなるように形成されているため、反射領域158の外周から反射部材154の外周に向かうに従って、外界から透過する外光5の量が多くなる。また逆に、反射部材154の外周から反射領域158の外周に向かうに従って、外界から透過する外光5の量が少なくなる。
以上説明したように、ヘッドマウントディスプレイ200で使用されるハーフミラー150は、反射膜152が積層された反射部材154を備えており、反射部材154の外周部は、壇状に形成に形成された透過光量調整部155を有している。透過光量調整部155により、外界から透過する外光5の量が反射領域158の外周から反射部材154の外周方向に向かうに従って、多くなる。これにより、反射領域158の境界が目立たなくなり、ハーフミラー150が設けられたヘッドマウントディスプレイ200を装着した使用者3は、ハーフミラー150の存在を感じにくくなる。その結果、反射領域158の外周から反射部材154の外周方向に向かうに従って、使用者3は、違和感なく徐々に外界の映像を見ることができる。
次に、以上の構造からなるハーフミラー150の製造方法について、図6〜図9を参照して説明する。図6は、ハーフミラー150の製造工程のフローチャートである。図7は、透明部材151の上面に反射膜152が蒸着された状態の正面図である。図8は、反射膜152の上面にシャドウマスク190が載置された状態の平面図である。図9は、シャドウマスク190を介して反射膜152が蒸着された状態の正面図である。
ハーフミラー150の製造方法は、図6に示すように、透明部材151の表側の面に反射膜152を形成する第一反射膜形成工程(S11)と、反射膜152の表側の面にシャドウマスク190を載置する載置工程(S12)と、シャドウマスク190を介して反射膜152を形成する反射膜積層工程(S13)とから構成されている。以下の説明では、シャドウマスク190を使用して、金属原子を蒸着させるハーフミラー150の製造方法について説明する。
はじめに、第一反射膜形成工程(S11)を行う。第一反射膜形成工程では、周知の真空蒸着により反射膜152が、透明部材151の表側の面に形成される。この真空蒸着では、高真空状態の中に透明部材151を載置し、蒸着させる金属を加熱蒸発させ、図7に示すように、薄膜状の反射膜152として透明部材151の表側の面全体に対して付着される。
次に、載置工程(S12)を行う。載置工程では、第一反射膜形成工程(S11)で形成された反射膜152の表側の面に、シャドウマスク190が載置される。図8に示すように、シャドウマスク190は、第一反射膜形成工程(S11)で形成された反射膜152の外周より小さい開口部191を有している。そして、シャドウマスク190により、第一反射膜形成工程(S11)で形成された反射膜152の表側の面の周端部が覆われる。
次に、反射膜積層工程(S13)を行う。反射膜積層工程では、載置工程(S12)で載置されたシャドウマスク190を介して再度、金属の真空蒸着が行われることで、図9に示すように、反射膜152が壇状に作成される。
次に、所定の積層数、反射膜152が形成したか否か判断する(S14)。そして、所定の積層数の反射膜152が、形成されたら処理を終了する。本実施の形態では、一例として、反射膜152の積層数は6層とする。ここで、6層分だけ反射膜152が形成されていない場合には(S14:NO)、S12に戻って、載置工程(S12)を再度、行う。ここでのシャドウマスク190は、一番表側にある反射膜152の外周より小さい開口部191を有したシャドウマスク190が使用される。
そして、所定の積層数である6層分、反射膜152を形成した場合には(S14:YES)、処理を終了する。その際には、図4及び図5に示すように、複数の壇状に形成された透過光量調整部155が作成された状態となる。
以上のS11〜S14からなる各工程によって、図4、図5に示すハーフミラー150を製造することができる。そして、上述したように、このハーフミラー150は、反射部材154に、壇状の透過光量調整部155が作成された形状となる。この透過光量調整部155は、反射部材154の中央部に設けられた反射領域158の外周から透明部材151の外周に向かうに従って、外界からの外光5の透過光量が多くなるように反射部材154の厚みが薄くなっている。これにより、外光5が入射する側と対向する側から、製造されたハーフミラー150を見た場合、反射領域158の境界が目立たなくなる。その結果、製造されたハーフミラー150を使用する使用者3は、反射領域158の外周から透明部材151の外周方向に向かうに従って、違和感なく徐々に外界の映像を見ることができる。
上述した実施の形態のハーフミラー150の透過光量調整部155は、反射膜152が積層されることにより形成されるが、これに限定しない。例えば、反射部材164に透明性を有する部材を設けて、透過光量調整部155を形成するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態のハーフミラー150の透過光量調整部155は、シャドウマスク190を使用し、金属原子を蒸着させることで、反射膜152を壇状に積層させることで形成されるが、これに限定しない。例えば、複数のノズルから金属粒子を含有する液体を噴出可能なノズルヘッドを使用し、透過光量調整部155を形成してもよい。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。以下に、変形例について説明する。
以下、図10を参照して、第一変形例のハーフミラー170について説明する。図10は、第一変形例におけるハーフミラー170の正面図である。なお、図10において、紙面上側をハーフミラー170の「表側」、紙面下側をハーフミラー170の「裏側」とする。ここで、表側よりハーフミラー170を視た形状は、上述した実施の形態と同様に長方形状であるため、その説明を省略する。また、ハーフミラー170の側面は、全ての方向で同様の構成であるものとする。
図10に示すように、第一変形例のハーフミラー170は、裏側の面に設けられた透明性を有する板状の透明部材151と、表側の面に設けられた映像光4を反射する反射部材174とから構成されている。透明部材151は、上述した実施の形態と同様のため、その説明を省略する。
反射部材174は、裏側の面に設けられた映像光4を反射する反射膜172と、反射膜172の表側の面に設けられた透明性を有する板状の板状フィルタ173とから構成されている。
透明部材151の表側の面には、膜状の反射膜172が設けられている。この反射膜172は、金属原子が蒸着されることで形成される。なお、金属原子としては、上述した実施の形態と同様にアルミニウムが使用されるが、銀、金等の他の金属であっても問題はない。また、この反射膜172の裏側の面の中央部には、平面視長方形状の反射領域178が設けられている。この反射領域178は、出射装置100から出射される映像光4を反射し、使用者3の瞳孔90に映像光4を導く。これにより、使用者3の網膜上に映像光4による映像が投影され、使用者3は映像を視認することができる。
さらに反射膜172の表側の面には、反射膜172の表側の面を覆うように板状の板状フィルタ173が設けられている。この板状フィルタ173は、光吸収性を有する着色されたアクリル樹脂などの合成樹脂により形成されている。そして、板状フィルタ173の表側の面の外周部には、ハーフミラー170に入射する外光5の量が調整される部分である透過光量調整部176が設けられている。なお、板状フィルタ173は、光吸収性を有するが、外界からの外光5を全て吸収するわけではなく厚さに応じて外光5を透過できればよい。着色されたガラス等の材質であっても問題はない。また、板状フィルタ173は、板状に限らず、薄膜、又は厚膜といった膜状であってもよい。
透過光量調整部176は、反射領域178の外周から板状フィルタ173の外周の方向に向かうに従って、滑らかな曲面を有した形状となっており、その厚みは反射領域178の外周から板状フィルタ173の外周の方向に向かうに従って、薄くなっている。これにより、外界から入射する外光5の量が、反射領域178の外周から板状フィルタ173の外周の方向に向かうに従って、多くなる。また逆に、板状フィルタ173の外周から反射領域178の外周に向かうに従って、外界から透過する外光5の量が少なくなる。
以上説明したように、ヘッドマウントディスプレイ200で使用されるハーフミラー170は、透過光量調整部176を備えた板状フィルタ173を備えている。この透過光量調整部176は、反射領域178の外周から板状フィルタ173の外周の方向に向かうに従って、厚みが薄く形成されることで、外界から透過する外光5の量が多くなる。これにより、反射領域178の境界が目立たなくなり、ハーフミラー170を備えたヘッドマウントディスプレイ200を装着した使用者3は、ハーフミラー170の存在を感じにくくなる。その結果、反射領域178の外周から板状フィルタ173の外周方向に向かうに従って、使用者3は、違和感なく徐々に外界の映像を見ることができる。
また、上述したハーフミラー170では、反射膜172は板状フィルタ173と、透明部材151の間に設けられるが、構成はこれに限定しない、例えば、反射膜172を透明部材の裏側の面に設け、透明部材151の上面側には板状フィルタ173を設けるように構成しても問題はない。
次に、以上の構造からなるハーフミラー170の製造方法について、図11を参照して説明する。図11は、第一変形例におけるハーフミラー170の製造工程のフローチャートである。
ハーフミラー170の製造方法は、図11に示すように、透明部材151の表側の面に反射膜172を付着させる反射膜付着工程(S31)と、板状フィルタ173の外周部を研磨し、透過光量調整部を形成する研磨工程(S32)と、板状フィルタ173をハーフミラー170の表側の面に付着させる板状フィルタ付着工程(S33)とから構成されている。以下の説明では、ハーフミラー170を製造する第一変形例におけるハーフミラー170の製造方法について説明する。
はじめに、反射膜付着工程(S31)を行う。反射膜付着工程では、上述した実施の形態と同様に、金属原子の蒸着により反射膜152が形成される。高真空状態の中に透明部材151を載置し、蒸着させる金属を加熱蒸発させ、薄膜状の反射膜152として透明部材151の表側の面全体に対して付着される。ここでは、上述した実施の形態と同様に、蒸着させる金属としてアルミニウムが使用されるが、アルミニウム以外の銀、金等の金属であっても問題はない。
次に、研磨工程(S32)を行う。研磨工程は、板状フィルタ173の外周部を研磨することにより、透過光量調整部176が形成される。この透過光量調整部176は、反射領域178の外周から板状フィルタ173の外周の方向に向かうに従って、厚みが薄くなるように形成されることで、外界からの外光5の透過する量が調整される。なお、研磨工程(S32)の研磨は、周知の工作機械により行われる。
次に、板状フィルタ付着工程(S33)を行う。板状フィルタ付着工程は、研磨工程(S33)で形成された板状フィルタ173を、反射膜172が付着された透明部材151に透明性を有する接着剤を使用して付着する。
以上のS31〜S33からなる各工程によって、図10に示すハーフミラー170を製造することができる。そして、上述したように、このハーフミラー170の反射部材174の外周部には、反射領域178の外周から板状フィルタ173の外周の方向に向かうに従って、厚みが薄くなる透過光量調整部176が作成された形状となる。これにより、外光5が入射する側と対向する側から、製造されたハーフミラー170を見た場合、反射領域178の境界が目立たなくなる。その結果、反射領域178の外周から反射部材174の外周方向に向かうに従って、ハーフミラー170を使用する使用者3は、違和感なく徐々に外界の映像を見ることができる。
また、上述した第一変形例におけるハーフミラー170の製造方法では、研磨加工により、透過光量調整部176を形成しているが、これに限定しない。たとえば、ブラスト加工により、透過光量調整部176を形成しても問題はない。
また、上述した第一変形例では、透過光量調整部176は滑らかな曲面を有し、反射領域178の外周から反射部材174の外周の方向に向かうに従って、厚みが薄くなるような形状になっているが、これに限定しない。例えば、テーパ状に形成し、反射領域178の外周から反射部材174の外周の方向に向かうに従って、厚みが薄くなるようにしてもよい。
以下、図12を参照して、第二変形例のハーフミラー160について説明する。図12は、第二変形例におけるハーフミラー160の正面図である。なお、図12において、紙面上側をハーフミラー160の「表側」、紙面下側をハーフミラー160の「裏側」とする。また、紙面左側をハーフミラー160の「左側」、紙面右側をハーフミラー160の「右側」とする。ここで、表側よりハーフミラー160を視た形状は、上述した実施の形態と同様な長方形状であるため、その説明を省略する。また、ハーフミラー160の側面は、全ての方向で同様の構成であるものとする。
図12に示すように、第二変形例のハーフミラー160は、裏側の面に設けられた透明性を有する板状の透明部材151と、表側の面に設けられた映像光4を反射する反射部材164から構成されている。透明部材151は、上述した実施の形態と同様のため、その説明を省略する。
また、反射部材164は、金属粒子を含有する液体を射出可能なノズルヘッドから金属粒子が射出されることで形成される。この製造方法に関しての詳細は後述する。ここで、射出される金属粒子は上述した実施の形態と同様に、アルミニウムが使用されるが、銀、金等の他の金属であっても問題はない。また、この反射部材164の裏側の面の中央部には、平面視長方形状の反射領域168が設けられている。この反射領域168は、出射装置100から出射される映像光4を反射し、使用者3の瞳孔90に映像光4を導く。これにより、使用者3の網膜上に映像光4による映像が投影され、使用者3は映像を視認することができる。
また、反射部材164の表側の面の外周部には、ヘッドマウントディスプレイ200に入射する外光5の量が調整される部分である透過光量調整部165が設けられている。透過光量調整部165は、反射領域168の外周から反射部材164の外周の方向に向かうに従って、滑らかな曲面を有した形状となっており、その厚みは反射領域168の外周から反射部材164の外周の方向に向かうに従って、薄くなっている。これにより、外界から入射する外光5の量が、反射領域168の外周から反射部材164の外周の方向に向かうに従って、多くなる。また逆に、反射部材164の外周から反射領域168の外周に向かうに従って、外界から透過する外光5の量が少なくなる。
以上説明したように、ヘッドマウントディスプレイ200で使用されるハーフミラー160の透過光量調整部165の形状により、外界から透過する外光5の量が反射領域168の外周から反射部材164の外周方向に向かうに従って、多くなる。これにより、反射領域168の境界が目立たなくなり、ハーフミラー160が設けられたヘッドマウントディスプレイ200を装着した使用者3は、ハーフミラー160の存在を感じにくくなる。その結果、反射領域168の外周から反射部材164の外周方向に向かうに従って、使用者3は、違和感なく徐々に外界の映像を見ることができる。
次に、以上の構造からなるハーフミラー160の製造方法について、図13及び図14を参照して説明する。図13は、第二変形例におけるハーフミラー160の製造工程のフローチャートである。図14は、第二変形例におけるハーフミラー160の製造工程における模式図である。
ハーフミラー160の製造方法では、図13に示すように、ノズルヘッドから金属粒子含有する液体を射出して透過光量調整部を形成する第二反射膜形成工程(S21)が行われる。以下の説明では、第二変形例におけるハーフミラー160の製造方法について説明する。
まず、第二反射膜形成工程(S21)を行う。第二反射膜形成工程では、透明部材151が所定位置に載置される。そして、図14に示すように、複数のノズルを備えたノズルヘッド400が、透明部材151の表側を、所定間隔を隔てて移動する。図14の例では、ノズルヘッド400は、右側から左側方向に移動するものとする。このノズルヘッド400からは、金属粒子を含有する液体が射出可能であり、移動する際にノズルヘッド400から金属粒子を含有する液体が射出される。ここで、透明部材151の表側の面の反射領域168を形成する中央部には、金属粒子を含有する液体が一定量でノズルヘッド400から射出される。また、反射領域168の外周部から透明部材151の外周部の方向へ向かうに従って、金属粒子を含有する液体の量が少なくなるように射出される。そして、ノズルヘッド400が透明部材151の表側を一度移動することで図12に示す、ハーフミラー160の反射部材164が形成される。
この反射部材164は、反射領域168の外周から反射部材164の外周の方向に向かう従って、滑らかな曲面を有した透過光量調整部165が形状される。そして、透過光量調整部165の厚みは、反射領域168の外周から反射部材164の外周の方向に向かうに従って、薄くなっている。
以上の第二反射膜形成工程(S21)によって、図12に示すハーフミラー160を製造することができる。そして、上述したように、このハーフミラー160の反射部材164の外周部には、反射領域168の外周から反射部材164の外周の方向に向かうに従って、厚みが薄くなる透過光量調整部165が作成された形状となる。これにより、外光5が入射する側と対向する側から、製造されたハーフミラー160を見た場合、反射領域168の境界が目立たなくなる。その結果、反射領域168の外周から反射部材164の外周方向に向かうに従って、ハーフミラー160を使用する使用者3は、違和感なく徐々に外界の映像を見ることができる。
また、上述した第二変形例では、透過光量調整部165は滑らかな曲面を有し、反射領域168の外周から反射部材164の外周の方向に向かうに従って、厚みが薄くなるような形状になっているが、これに限定しない。例えば、テーパ状に形成し、反射領域168の外周から反射部材164の外周の方向に向かうに従って、厚みが薄くなるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態のハーフミラー150の透過光量調整部155,第一変形例のハーフミラー170の透過光量調整部176,第二変形例のハーフミラー160の透過光量調整部165は、各々の反射部材154,174,164自身の外周部に形成されるが、これに限定しない。たとえば、別部材として形成してもよい。
以下、図15を参照して、第三変形例のハーフミラー180について説明する。図15は、第三変形例のハーフミラー180の断面図である。なお、図15において、紙面上側をハーフミラー180の「表側」、紙面下側をハーフミラー180の「裏側」とする。ここで、表側よりハーフミラー180を視た形状は、上述した実施の形態と同様な長方形状であるため、その説明を省略する。また、ハーフミラー180の側面は、全ての方向で同様の構成であるものとする。
図15に示すように、第三変形例のハーフミラー180は、裏側の面に設けられた透明性を有する板状の透明部材151と、映像光4を反射する反射部材184と、反射部材184の全ての側面を取り囲むように設けられた光吸収部材185とから構成されている。透明部材151は、上述した実施の形態と同様のため、その説明を省略する。
反射部材184は、平面視長方形状に形成され、透明部材151の表側の面の略中央部に設けられている。そして、反射部材184の裏側の面は、裏側方向から入射する映像光4を反射する反射領域188となっている。反射部材184には、アルミニウム、銀、金等の金属が使用される。ここで、一例として、反射部材184を形成する金属としてアルミニウムが使用されるものとする。
光吸収部材185は、反射部材184の全ての側面を覆うように枠状に形成され、透明部材151の表側の面に設けられている。そして、光吸収部材185の表側の面は、内側から外側に向かうに従って滑らかな曲面を有した形状となっており、その厚みは、内側から外側に向かうに従って、薄くなっている。これにより、表側の方向から入射する外光5の量が、内側から外側に向かうに従って、多くなる。また、逆に、外側から内側に向かうに従って、表側の方向から入射する外光5の量が、少なくなる。
また、光吸収部材185の材質は、光吸収性を有する材質であり、ここでは着色された合成樹脂により形成されているものとする。なお、光吸収性を有するが、外界からの外光5を全て吸収するわけではなく厚さに応じて透過できればよく、着色されたガラス等の材質であっても問題はない。
以上説明したように、ヘッドマウントディスプレイ200で使用されるハーフミラー180は、透明部材151の表側の面に反射領域188を有する反射部材184と、反射部材184の側面を取り囲むように形成された光吸収部材185とを備えている。この光吸収部材185は内側から外側に向かうに従って、薄く形成され、表側の方向から入射する外光5の量が、内側から外側に向かうに従って、多くなるように形成されている。これにより、反射領域188の境界が目立たなくなり、ハーフミラー180を備えたヘッドマウントディスプレイ200を装着した使用者3は、ハーフミラー180の存在を感じにくくなる。その結果、反射領域188の外周から光吸収部材185の外周方向に向かうに従って、使用者3は、違和感なく徐々に外界の映像を見ることができる。
なお、上述した光吸収部材185が「透過光量調整部」に相当する。