JP5018260B2 - 厚板圧延方法及び厚板圧延装置 - Google Patents
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そして、一般的に、厚板の圧延は、調整圧延工程、幅出圧延工程及び仕上圧延工程を経るため、各圧延工程で形成されたクロップは、厚板の端部に累積していくこととなる。
ここで、圧延が完了された厚板は、その平面形状が矩形となるように切断された上で製品化される。
そこで、従来から、圧延後の厚板の平面形状を矩形になるように制御する種々の技術が開発されている。
例えば、特許文献1では、圧延後の厚板の平面形状を矩形にすることを目的として、予め圧延後の厚板の形状を予測し、その予測に基づいて圧延前の厚板に圧延方向又は幅方向の板厚偏差を与える技術が開示されている。
そして、圧延後の鋼板の圧延方向の端部に凸形状のクロップを形成するためには、圧延前の鋼板の幅方向の板厚偏差を小さく設定すればよい。この場合、圧延方向の端部に凸形状のクロップを形成することにより歩留まりの低下は避けられないものの、過度の歩留まりの低下を抑制するためには、要求されるレベルの通板性を達成するために必要最小限の凸形状のクロップを実現すればよく、そのためには、圧延前の鋼板の幅方向の板厚偏差を適切に設定すればよい。
本発明は上記した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、歩留まりの低下を最小限に抑制しつつ通板性を向上させることができるように、圧延後の鋼板の平面形状を適切に制御することが可能な厚板圧延方法及び厚板圧延装置を提供することにある。
前記圧延前の厚板の板厚偏差を入力とし、前記圧延後の厚板のクロップ長を出力とするクロップ長モデルを構築し、
前記クロップ長モデルにより前記圧延前の厚板の幅方向の板厚偏差を設定する際に、下記式で決定されるクロップ長評価関数Φが最小となるように前記圧延前の幅方向の板厚偏差を求め、
求められた前記圧延前の厚板の幅方向の板厚偏差により、前記圧延後の厚板の圧延方向端部のクロップ長を、目標とするクロップ長に制御することを特徴とする。
Φ=(Lcr0−Lcr4−Lref0) 2
+(Lcr1−Lcr4−Lref1) 2
+(Lcr2−Lcr4−Lref2) 2
+(Lcr8−Lcr4−Lref8) 2
ここで、Lcri(i=0,1,2,4,8)は、クロップ長モデルの出力であるクロップ長であって、圧延後の厚板の平面形状にクロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)を設定した際の、各クロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)におけるクロップ長である。また、Lrefiは、前記圧延後の厚板の平面形状にクロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)を設定した際の、各クロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)における目標とする目標クロップ長である。
前記板厚偏差制御手段は、前記圧延前の厚板の板厚偏差を入力とし、前記圧延後の厚板のクロップ長を出力とするクロップ長モデルを構築し、
前記クロップ長モデルにより前記圧延前の厚板の幅方向の板厚偏差を設定する際に、下記式で決定されるクロップ長評価関数Φが最小となるように前記圧延前の幅方向の板厚偏差を求め、
求められた前記圧延前の厚板の幅方向の板厚偏差により、前記圧延後の厚板の圧延方向端部のクロップ長を、目標とするクロップ長に制御することを特徴とする。
Φ=(Lcr0−Lcr4−Lref0) 2
+(Lcr1−Lcr4−Lref1) 2
+(Lcr2−Lcr4−Lref2) 2
+(Lcr8−Lcr4−Lref8) 2
ここで、Lcri(i=0,1,2,4,8)は、クロップ長モデルの出力であるクロップ長であって、圧延後の厚板の平面形状にクロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)を設定した際の、各クロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)におけるクロップ長である。また、Lrefiは、前記圧延後の厚板の平面形状にクロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)を設定した際の、各クロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)における目標とする目標クロップ長である。
図1は、圧延前の厚板に付与された板厚偏差を示すモデル図である。図2は、圧延後の厚板の平面形状を示すモデル図である。
本発明に係る厚板圧延方法は、クロップ長モデルを構築し、構築されたクロップ長モデルに基づいてクロップ長の予測値を求め、求められたクロップ長予測値より、クロップ長が目標値となるような板厚偏差を制約付き2次計画問題で求め、得られた板厚偏差を実際の圧延プロセスに適用するものである。
まず、クロップ長モデルの構築について説明する。
クロップ長モデルは、本実施の形態では、実績データベースを用いてJust−In−Timeモデル(JITモデル)に物理的特性を考慮して制約を加え、局所近傍回帰により構築している。
y=Ωθ+e ・・・(1)
具体的には、本実施形態では、局所近傍回帰モデルの入力である板厚偏差としては、図1に示すように、圧延前の厚板S1の幅方向に4点の板厚代表点j(j=0,2,4,8)を設定し、各板厚代表点jの板厚偏差dhjを用いている。なお、各板厚偏差dhjは、板厚代表点4を基準位置とした板厚差である。
そして、クロップ長の説明変数を、物理的な知見から成形量、スラブ形状、圧延形状、板厚偏差等とし、クロップ長予測式を、下記式(2)のように線形式として表す。
クロップ長Lcr=b+a1×成形量
+a2×スラブ厚+a3×スラブ幅+a4×スラブ長
+a5×圧延厚+a6×圧延幅+a7×圧延長
+a8×圧延比+a9×延べ長
+a10×(crown/圧延厚×圧延幅)
+a11×dh0+a12×dh2+a13×dh8 ・・・(2)
ここで、a1〜a13及びbは、いずれもモデルパラメータである。
また、本実施例では、制約条件として、板厚偏差dh0、dh2、dh8に対する板厚偏差影響係数a11、a12、a13に、下記式(3)に示すような制約を与えた。
bLO,11≦a11≦bUP,11
bLO,12≦a12≦bUP,12
bLO,13≦a13≦bUP,13 ・・・(3)
ここで、bLOは、板厚偏差影響係数の下限値であり、bUPは、板厚偏差影響係数の上限値である。本実施の形態では、制約として板厚偏差影響係数a11、a12、a13にプラスであるか、又はマイナスであるかの符号の制約を用いた。これらは対象に対する物理的な先見知識から与えている。
モデルのパラメータθの決定後、クロップ長Lcriを制御するための操作量である板厚偏差dhjを求める。
Φ=(Lcr0−Lcr4−Lref0)2
+(Lcr1−Lcr4−Lref1)2
+(Lcr2−Lcr4−Lref2)2
+(Lcr8−Lcr4−Lref8)2 ・・・(4)
例えば、圧下速度の制約として、下記式(5)に示すものが考えられる。
−Δ1≦ dh0−dh2 ≦Δ1
−Δ2≦ dh2 ≦Δ2
−Δ3≦ dh8 ≦Δ3 ・・・(5)
ここでΔ1、Δ2及びΔ3は、最大操作量より求まる制約である。
なお、各代表点iにおける目標クロップ長Lrefiを適宜設定することにより、目標とするクロップ形状を様々な形状に設定することができることは言うまでもない。
例えば、本実施の形態では、圧延前の厚板S1の幅方向の板厚偏差を設定することにより、圧延後の厚板S2の圧延方向の端部に形成されるクロップの形状を制御する構成を採用している。しかし、圧延前の厚板S1の圧延方向の板厚偏差を設定することにより、圧延後の厚板S2の幅方向の端部に形成されるクロップの形状を制御する構成としても構わない。
図3は、圧延前の鋼板の幅方向の板厚偏差と圧延後の鋼板のクロップ長との関係を示す図である。
本実施例においては、圧延方向の端部が凹形状となった鋼板を、圧延方向の端部を除々に凸形状としていく場合について説明する。
図3(a)に示す本発明に係る方法により求められた板厚偏差を与えた各鋼板を圧延した結果、図3(b)に示す平面形状の鋼板を得ることができた。
このように、本発明に係る厚板圧延方法によれば、圧延後の厚板の平面形状を自由度高く制御することが可能であることがわかる。
S2 圧延後の厚板
Claims (2)
- 圧延前の厚板の幅方向に板厚偏差を与えることにより圧延後の厚板の圧延方向端部のクロップ長を、目標とするクロップ長に制御する厚板圧延方法であって、
前記圧延前の厚板の板厚偏差を入力とし、前記圧延後の厚板のクロップ長を出力とするクロップ長モデルを構築し、
前記クロップ長モデルにより前記圧延前の厚板の幅方向の板厚偏差を設定する際に、下記式で決定されるクロップ長評価関数Φが最小となるように前記圧延前の幅方向の板厚偏差を求め、
求められた前記圧延前の厚板の幅方向の板厚偏差により、前記圧延後の厚板の圧延方向端部のクロップ長を、目標とするクロップ長に制御することを特徴とする厚板圧延方法。
Φ=(Lcr0−Lcr4−Lref0) 2
+(Lcr1−Lcr4−Lref1) 2
+(Lcr2−Lcr4−Lref2) 2
+(Lcr8−Lcr4−Lref8) 2
ここで、Lcri(i=0,1,2,4,8)は、クロップ長モデルの出力であるクロップ長であって、圧延後の厚板の平面形状にクロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)を設定した際の、各クロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)におけるクロップ長である。また、Lrefiは、前記圧延後の厚板の平面形状にクロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)を設定した際の、各クロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)における目標とする目標クロップ長である。 - 圧延前の厚板の幅方向に板厚偏差を与えることにより圧延後の厚板の圧延方向端部のクロップ長を、目標とするクロップ長に制御する板厚偏差制御手段を備えてなる厚板圧延装置であって、
前記板厚偏差制御手段は、前記圧延前の厚板の板厚偏差を入力とし、前記圧延後の厚板のクロップ長を出力とするクロップ長モデルを構築し、
前記クロップ長モデルにより前記圧延前の厚板の幅方向の板厚偏差を設定する際に、下記式で決定されるクロップ長評価関数Φが最小となるように前記圧延前の幅方向の板厚偏差を求め、
求められた前記圧延前の厚板の幅方向の板厚偏差により、前記圧延後の厚板の圧延方向端部のクロップ長を、目標とするクロップ長に制御することを特徴とする厚板圧延装置。
Φ=(Lcr0−Lcr4−Lref0) 2
+(Lcr1−Lcr4−Lref1) 2
+(Lcr2−Lcr4−Lref2) 2
+(Lcr8−Lcr4−Lref8) 2
ここで、Lcri(i=0,1,2,4,8)は、クロップ長モデルの出力であるクロップ長であって、圧延後の厚板の平面形状にクロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)を設定した際の、各クロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)におけるクロップ長である。また、Lrefiは、前記圧延後の厚板の平面形状にクロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)を設定した際の、各クロップ長代表点i(i=0,1,2,4,8)における目標とする目標クロップ長である。
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