JP5015391B2 - 電着塗装用水性金属酸化物分散体組成物 - Google Patents

電着塗装用水性金属酸化物分散体組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内外装用建材、家電、車両、自動車部品等の各種広範囲な用途に利用できる金属製品において、金属表面に形成された酸化皮膜の着色に用いる電着塗装用水性金属酸化物分散体に関する。中でもアルミニウム又はアルミニウム合金製品、又は、マグネシウム又はマグネシウム合金製品において、上記金属表面に形成された酸化皮膜上に、高透明性でアルミニウム又はマグネシウムの表面色を生かした意匠性の高い着色塗膜を得ることができ、優れた耐候性、耐水性、付着性等の塗膜性能が実現でき、経時安定性に優れた電着塗装用水性金属酸化物分散体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルミニウム又はアルミニウム合金の酸化皮膜上に電着塗膜を形成する技術として、各種の電着塗装用水性顔料分散体組成物及び電着塗装方法が提供されている(特開平8−165446号、特開平10−53896号、特開平4−154999号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来公知の金属酸化物を着色成分等として含む水性分散体は、一般に金属酸化物の比重が大きい為、沈降し易いという問題がある。また、上記金属酸化物が微粒化された物である従来公知の微粒子金属酸化物を着色成分等として含む水性分散体は、金属酸化物をメジウム中に均一に分散させ、その分散状態を維持することが難しい。よって、上記のような従来公知の金属酸化物及び微粒子金属顔料を含む水性分散体は、経時安定性に問題があった。また、上記の様な水性分散体は、塗料として各種金属の電着塗装に用いると、上記金属酸化物の性質に加えて、無機顔料粒子がつぶれ難い等の理由により、透明で均一な塗膜を得ることが難しい。よって、金属酸化物が持つ発色や紫外線遮蔽等の機能を、電着塗膜上に十分に発現させることが困難であり、また、塗膜の付着性や耐候性に問題があった。
【0004】
中でも、上記の様な金属酸化物を着色成分とし、アルミニウム又はアルミニウム合金、又は、マグネシウム又はマグネシウム合金の酸化皮膜上に、高透明性でアルミニウム又はマグネシウムの表面を生かした意匠性の高い着色電着塗膜を形成し、付着性、耐候性等の優れた塗膜性能を実現する電着塗装用水性分散体組成物は提供されていない。
【0005】
アルミニウム及びアルミニウムを含む合金は、比較的軽量な金属であり、また、表面に保護皮膜を形成する為、防錆性、耐食性に優れる。さらに、加工性に優れ、目的に応じて表面仕上げを施すことにより高い意匠性を得ることができる。上記の様な観点から、サッシ等の建築材料、飲料缶、車両、航空機等に用いられ、需要が高い。
【0006】
マグネシウム及びマグネシウムを含む合金は、実用金属としては最も軽量であり、また、耐くぼみ性等の強度、剛性に優れる。上記の様な観点からホイール、ステアリングカラム、シートフレーム等の自動車用部品、ノート型パソコンの筐体、携帯電話、カメラ等の携帯用製品等に広く用いられ、需要が高い。
【0007】
本発明の目的は、経時安定性に優れ、付着性、耐候性等の塗膜性能に優れた塗膜を各種金属材料及びその酸化皮膜上に実現することができ、さらに塗膜の透明性が高い電着塗装用水性分散体を提供するところにある。
【0008】
本発明の目的は、中でもアルミニウム又はアルミニウム合金の酸化皮膜上に、高透明性でアルミニウム表面の美しさを生かした意匠性の高い着色電着塗膜を得ることができ、付着性、高耐候性等の塗膜性能を電着塗膜に高いレベルで実現することができる電着塗装用水性分散体を提供するところにある。
【0009】
本発明の目的は、中でもマグネシウム又はマグネシウム合金の酸化皮膜上に、高透明性でマグネシウム表面の美しさを生かした意匠性の高い着色電着塗膜を得ることができ、付着性、高耐候性等の塗膜性能を電着塗膜に高いレベルで実現することができる電着塗装用水性分散体を提供するところにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため鋭意検討した結果、電着塗膜の透明有彩色の着色成分を構成する微粒子金属酸化物を含有する水性金属酸化物分散体であれば、これを顔料成分として各種金属に電着塗装すると、高透明性で、優れた付着性、耐候性等の塗膜性能を有する電着塗膜を得ることができることを見出した。
【0011】
さらに本発明者らは、上記の様な水性金属酸化物分散体であれば、これを顔料成分としてアルミニウム又はアルミニウム合金酸化皮膜に電着塗装すると、高透明性でアルミニウムの表面を生かした意匠性の高い着色電着塗膜を形成することができ、またその電着塗膜は優れた付着性、耐候性等の塗膜性能を実現することができることを見出した。
【0012】
さらに本発明者らは、上記の様な水性金属酸化物分散体であれば、これを顔料成分としてマグネシウム又はマグネシウム合金酸化皮膜に電着塗装すると、高透明性でマグネシウムの表面を生かした意匠性の高い着色電着塗膜を形成することができ、またその電着塗膜は優れた付着性、耐候性等の塗膜性能を実現することができることを見出した。
【0013】
本発明の水性金属酸化物分散体を公知の電着塗装方法によって塗装されたアルミニウム製品は、アルミニウムの無垢材としての美しさや、鏡面加工等の表面処理を施されたアルミニウム表面を生かした意匠性の高いものであり、さらに塗膜の付着性、耐久性等に優れることから、上述の様な用途に応じて加工され、用いることができる。
【0014】
本発明の水性金属酸化物分散体を公知の電着方法によって塗装されたマグネシウム製品は、マグネシウムの金属材料として美しさを生かした意匠性の高いものであり、さらに塗膜の付着性、耐久性等に優れることから、上述の様な用途に応じて加工され、用いることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(微粒子金属酸化物)
本発明で使用する微粒子金属酸化物は、電着塗膜の透明有彩色の着色成分を構成する微粒子金属酸化物であることが重要である。
【0016】
本発明の微粒子金属酸化物としては、例えば、コバルト、アルミニウム、アンチモン、クロム、鉄、亜鉛、コバルト、マグネシウム、銅、チタン等の酸化物、及びこれらの金属の複合酸化物を用いることができる。
【0017】
上記微粒子金属酸化物の平均粒径は、0.1μm以下、好ましくは0.07μm以下が好適である。微粒子金属酸化物は、後述の様な分散剤を用いて公知の分散機によって分散することにより0.1μm以下で分散されていても良く、あらかじめ0.1μm以下に分散されたものを用いても良い。微粒子金属酸化物の平均粒径が0.07μmを超え、特に0.1μmを超えた場合は、電着塗膜の透明性が低下し、また耐候性が低下する。尚、本発明でいう平均粒径とは遠心沈降法による光透過測定方式で測定されたものである。
【0018】
特に、上記平均粒子径を満足する微粒子金属酸化物としては、α−酸化鉄、コバルトブルー、複合酸化物を例示できる。α−酸化鉄はα−Fe、コバルトブルーはCoO・Alとして示すことが出来る。複合酸化物としては例えばFe−ZnOを好適に用いることができる。これらの化合物は単独で又は混合して用いることができる。α−酸化鉄の粒子は、通常、0.29μの粒子径であるが、分散剤等を用いることにより、例えば、少なくとも0.07μmの平均粒子径とした場合、アルミニウム又はマグネシウム等の表面色の上に褐色透明の色相を呈する耐候性のある電着塗膜が得られる。また、コバルトブルーの粒子は、通常、0.21μmの粒子径であるが、分散剤等を用いることにより、例えば少なくとも0.06μm、特に0.04μmの平均粒子径とした場合、アルミニウム又はマグネシウム等の表面色の上に青色透明の色相を呈する耐候性のある電着塗膜が得られる。また、複合酸化物のFe−ZnOは、通常、0.31μの粒子径であるが、分散剤等を用いることにより、例えば少なくとも0.07μmの平均粒子径とした場合、アルミニウム又はマグネシウムの表面色の上に褐色透明の色相を呈する耐候性のある電着塗膜が得られる。
【0019】
本発明で用いる微粒子金属酸化物は、水性金属酸化物分散体全量に対して1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%含有していることがよい。上記微粒子金属酸化物が水性金属酸化物分散体全量に対して1重量%未満であると、塗膜の着色性及び耐候性が十分でない。上記微粒子金属酸化物が水性金属酸化物分散体全量に対して40重量%を超えると、保存安定性が低下する。また、電着塗料を含む電着液中での上記微粒子金属酸化物は、格別限定されないが、電着液全量に対して0.1〜10重量%含有していることが好ましい。
【0020】
(分散剤)
本発明では、前記金属酸化物を所定の粒子径に微粒子化することが必要である。かかる点で、金属酸化物を微粒子化し、分散安定化する一手段として分散剤の選択が重要となる。また、あらかじめ平均粒径が0.1μm以下である微粒子金属化合物を用いる場合であっても、分散状態を安定化し、付着性、耐候性等の塗膜性能を発揮させる為には、上記分散剤を用いることが好ましい。本発明で用いられる分散剤としては、カルボキシル基及びスルホン基の少なくともいずれかを含むアニオン性化合物の分散剤が好適に用いられる。そして、前記アニオン性化合物は、重合体、共重合体及び界面活性剤の少なくともいずれかの化合物であることが望ましい。例えば、アクリル酸、スチレンスルホン酸、マレイン酸、メタクリル酸等を単量体として含む重合体又は共重合体のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を例示することができる。また、これらの化合物は単独で又は混合して用いることができる。
【0021】
このようなアニオン性化合物の分散剤としては、水性金属酸化物分散体の経時安定性、また、塗膜の耐久性に優れることから、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体を好適に用いることができる。
【0022】
上記分散剤は、固形分として、上記水性金属酸化物分散体全量に対して0.2〜16重量%含まれていることが好ましい。上記分散剤の含有量(固形分)が上記水性金属酸化物分散体全量に対して0.2重量%未満であると、経時安定性、付着性が低下する。また上記分散剤の含有量(固形分)が、上記水性金属酸化物分散体全量に対して16重量%を超えると、流動性、塗膜の耐久性が低下する。
【0023】
(溶媒)
本発明の分散体は、溶媒である水及び/又は水溶性有機溶剤に分散されていることが好ましい。水としては慣用の水を用いることができる。また、水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル等のグリコ−ル類、グリセリン等の多価アルコール類、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジプロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジプロピレングリコ−ルモノプロピルエ−テル等のグリコ−ルエ−テル類を例示できる。これらの溶媒は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0024】
本発明の溶媒、中でも水溶性有機溶剤は、水性金属酸化物分散体全量に対して1〜30重量%含まれていることが望ましい。水溶性有機溶剤が水性金属酸化物分散体全量に対して1重量%未満の場合、分散体中の揮発が多く、30重量%を超えると、分散体の凝集が発生し易い。また、水は水性金属酸化物分散体全量に対して50重量%以上含まれていることが望ましい。
【0025】
(その他の成分)
本発明の微粒子金属酸化物水性分散体は、必要に応じて、pH調整剤、潤滑剤、防錆剤、防腐防黴剤、表面調整剤等を添加することができる。
【0026】
(pH)
また本発明の水性金属酸化物分散体は、前記金属酸化物を微粒化するために、pHを7以上にして分散させることが重要である。本発明の水性金属酸化物分散体のpHが7未満の酸性側にある場合、陽極側に電着させる電着塗装用としては好ましくなく、上記アニオン性化合物分散剤の析出が起こる。
【0027】
(製造方法)
本発明の微粒子金属酸化物水性分散体は、例えば以下の様な手順で得ることができる。まず、プロピレングリコール及び水を混合し、デゾルバで攪拌しつつ、60℃前後に加熱する。次に、これにトリエチルアミンを少量加え、スチレン−アクリル樹脂を少量加える。次に、スチレン−アクリル樹脂が溶解したら、再びトリエチルアミンを少量加え、スチレン−アクリル樹脂を少量加える。この操作をスチレン−アクリル酸樹脂がなくなるまで繰り返して分散剤溶液を得る。或いはまた、分散剤を得る他の方法として、まず、プロピレングリコール及び水を混合し、デゾルバで攪拌しつつ、スチレン−アクリル樹脂を加え、60℃前後に加熱する。これにトリエチルアミンを加え、樹脂が溶解するまで攪拌し、分散剤溶液を得る方法でも差し支えない。次に、この分散剤溶液に微粒子金属酸化物を加え、公知のビーズミルにより平均粒径が0.1μm以下になるまで分散する。次に定着樹脂及びその他の添加剤を加え、公知の攪拌機で混合して目的の微粒子金属酸化物水性分散体を得る。かかる調製に際しては、従来公知の分散方法、脱泡方法、濾過方法などを採用することができる。
【0028】
【実施例】
下記表1に示した本発明の実施例及び比較例に係る水性金属酸化物分散体を上記の様な製造方法により調製した。尚、平均粒径は堀場製作所社製の商品名「CAPA−700」によって測定した。
【0029】
【表1】
Figure 0005015391
【0030】
表1中、各原料組成は下記の通りである。
・α−酸化鉄(A):商品名「FRO−3」(堺化学工業社製)、色相は褐色、pH5.1
・α−酸化鉄(B):商品名「バイフェロックスKM180M」(バイエル社製)、色相は褐色、pH6.0
・コバルトブルー(A):商品名「コバルトブルーC」(東洋顔料工業社製)、色相は青、pH5.5
・コバルトブルー(B):商品名「コバルトブルーディープ」(東洋顔料工業社製)、色相は青、pH8.5〜9.0
・複合酸化物(A):Fe−ZnO、商品名「TMブラウン#3210」(大日精化工業社製)、色相は黄色、pH8
・複合酸化物(B):Fe−ZnO、商品名「TMブラウン#9211」(大日精化工業社製)、色相は黄色、pH6.0〜8.0
【0031】
・分散剤:表1中の分散剤は下記の表2の配合の分散樹脂にて調製した。すなわち、まず、プロピレングリコール及び水を混合し、デゾルバで攪拌しつつ、60℃前後に加熱する。次に、これにトリエチルアミンを少量加え、スチレン−アクリル酸樹脂を少量加える。次に、スチレン−アクリル酸樹脂が溶解したら、再びトリエチルアミンを少量加え、スチレン−アクリル酸樹脂を少量加える。この操作をスチレン−アクリル酸樹脂がなくなるまで繰り返して分散剤を得る。
【0032】
【表2】
Figure 0005015391
【0033】
(試験サンプルの作成)
実施例及び比較例の水性金属酸化物分散体を用いて、アルミニウム材に電着塗装をした。使用するアルミニウム材は、A1050,6063のアルミニウム材を用いた。まず、前処理として、かかるアルミニウム材を10%硝酸水溶液に室温で1分間浸漬した後、水洗した後、5g/L水酸化ナトリウム水溶液に60℃で3分間浸漬し、水洗した。続いて、10%硝酸水溶液に室温で1分間浸漬し、水洗し、その後乾燥した。
【0034】
次に、この前処理されたアルミニウム材を、170g/L硫酸浴中、D.C.2A/dmの定電流密度で20分間電解し、10μmの多孔質陽極酸化皮膜を形成させた。このときの浴温度は20℃、対極(陰極)はカーボンを用いた。
【0035】
次に、この陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム材を、水洗し、80〜85℃で5分間湯洗した。
【0036】
また、実施例及び比較例の水性金属酸化物分散体を用いて、マグネシウム材に電着塗装をした。使用するマグネシウム材は、AZ31Bのマグネシウム材を用いた。まず、前処理として、かかるマグネシウム材を37g/L水酸化ナトリウム水溶液に90℃で6分間浸漬し、その後乾燥した。
【0037】
次に、この前処理されたマグネシウム材を、360g/L酸性フッ化アンモニウム、100g/L重クロム酸ナトリウム、90ml/L85%リン酸浴中、D.C.5A/dmの定電流密度で20分間電解し、30μmの多孔質陽極酸化皮膜を形成させた。このときの浴温度は75℃、対極(陰極)はマグネシウムを用いた。
【0038】
次に、この陽極酸化皮膜が形成されたマグネシウム材を、水洗し、80〜85℃で5分間湯洗した。
【0039】
次に、この湯洗された陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム材及びマグネシウム材を、ハニー化成製、商品名「ハニライトAL−800F」(物質名:水溶性アクリル−メラミン樹脂)に、既述した水性金属酸化物分散体を加えた浴中(浴温:20℃)にセットし、D.C.150Vの定電圧で2分30秒間電着した後、180℃で30分間焼き付けた。なお、アルミニウム材への電着時の陰極は上記アルミニウム材を、マグネシウム材への電着時の陰極は上記マグネシウム材を用いた。
【0040】
(評価試験)
上記試験サンプルの色相及び透明性について評価した。また、耐候性を評価するため、デューサイクル(Dew cycle)80時間後の透明性についても評価した。アルミニウムを用いた試験サンプルの評価結果を表3に、マグネシウムを用いた試験サンプルの評価結果を表4に示す。
【0041】
【表3】
Figure 0005015391
【0042】
【表4】
Figure 0005015391
【0043】
表3及び表4中、塗膜の厚みは、米国インターナショナル社製、超高性能膜厚計「CGX−B2」(商品名)で測定した。
【0044】
また、透明性は光沢度で評価した。光沢度は、商品名「グロスチェッカー IG−310」(堀場製作所社製)の光沢度測定機器で評価した。光沢度の数値が大きいほど透明性が大きいことを示している。なお、透明性の基準は、光沢度が100%以上が○、50%以上100%未満が△、50%未満が×として評価した。
【0045】
耐候性はスガ試験機社製の商品名「サンシャインウェザメーター WEL-SUN-DC(H)」を用いて電着塗装アルミニウム板(アルミニウム材)及びマグネシウム板(マグネシウム材)を露光することにより評価した。すなわち、まず上記耐候性測定機を、温度63℃±3℃(照射時)、湿度を暗黒時95%以上、試験時間1時間、照射時間を1時間照射、1時間暗黒の1サイクル2時間とする、デューサイクル(Dew cycle)用に設定した。なお、温度は装置内の試験サンプルの表面温度である。次に、各試験サンプルの上半分をアルミニウム箔で覆ってセッティングした。そして、20時間ごとにグロスチェッカーで測定した。
【0046】
なお、露光による光沢度の変化を更に電着塗膜の平均表面粗さによっても評価した。平均表面粗さの測定は、エリオニクス社製の商品名「ERA−8000」を用いて測定した。数値が小さいほど平均表面粗さが小さく、透明性が良好であることを示している。
【0047】
表3及び4に示す様に、実施例1〜3に係る水性金属酸化物分散体の場合では、アルミニウム酸化皮膜上及びマグネシウム酸化皮膜上にそれぞれ赤、青、黄の色相を持った透明性のある電着塗膜を形成できることが認められた。またその透明性は比較例より大きいことが認められた。また、露光後の透明性に関しても、各実施例では各比較例と比べて光沢保持率が良好であり、光沢度の低下を良好に抑止している。
【0048】
【発明の効果】
以上の通り、本発明は、電着塗膜の透明有彩色の着色成分を構成する微粒子金属酸化物、中でも0.1μm以下、好ましくは0.07μm以下の微粒子金属酸化物を含有する電着塗装用水性金属酸化物分散体であるので、各種金属及び金属表面に形成された酸化皮膜上に、高透明性の着色電着塗膜を得ることができ、優れた付着性、耐候性等の塗膜性能を電着塗膜に実現することができる。中でもアルミニウム又はアルミニウム合金、又は、マグネシウム又はマグネシウム合金上に形成された酸化皮膜上に、高透明性で意匠性の高い着色電着塗膜を得ることができ、付着性、耐候性等の塗膜性能を高いレベルで電着塗膜に実現することができる。

Claims (13)

  1. 着色成分と着色成分の分散剤と溶媒とを有する、酸化皮膜の着色に用いる電着塗装用水性金属酸化物分散体であって、
    前記着色成分は顔料成分として微粒子金属酸化物を含有し、
    上記微粒子金属酸化物が、、α−Fe 、CoO・Al 、Fe −ZnOのうち少なくともいずれかの化合物であり、
    上記微粒子金属酸化物の粒子径が0.07μm以下であり、
    上記微粒子金属酸化物が上記分散剤を用いて溶媒に分散されている
    電着塗装用水性金属酸化物分散体組成物。
  2. 電着塗膜の透明有彩色の着色成分を構成する微粒子金属酸化物を含有する請求項1記載のアルミニウム又はアルミニウム合金酸化皮膜への電着塗装用水性金属酸化物分散体組成物。
  3. 電着塗膜の透明有彩色の着色成分を構成する微粒子金属酸化物を含有する請求項1記載のマグネシウム又はマグネシウム合金酸化皮膜への電着塗装用水性金属酸化物分散体組成物。
  4. 前記分散剤が、カルボキシル基及びスルホン基の少なくともいずれかを含むアニオン性化合物である請求項1に記載の電着塗装用水性金属酸化物分散体。
  5. 前記アニオン性化合物が、重合体、共重合体及び界面活性剤の少なくともいずれかである請求項4記載の電着塗装用水性金属酸化物分散体。
  6. 前記微粒子金属酸化物の含有量が、水性金属酸化物分散体組成物全量に対して1〜40重量%である請求項1乃至5のいずれかの項に記載の電着塗装用水性金属酸化物分散体組成物。
  7. 前記分散剤の含有量(固形分)が、水性金属酸化物分散体組成物全量に対して、0.2〜16重量%である請求項4に記載の電着塗装用水性金属酸化物分散体組成物。
  8. 前記溶媒が水溶性有機溶剤を含み、水溶性有機溶剤の含有量が水性金属酸化物分散体組成物全量に対して1〜30重量%である請求項7記載の電着塗装用水性金属酸化物分散体組成物。
  9. 前記水性金属酸化物分散体のpHが7以上である請求項8記載の電着塗装用水性金属酸化物分散体組成物。
  10. 請求項1記載の水性金属酸化物分散体を用いてアルミニウム又はアルミニウム合金酸化皮膜に電着塗装する電着塗装方法。
  11. 請求項1記載の水性金属酸化物分散体を用いてマグネシウム又はマグネシウム合金酸化皮膜に電着塗装する電着塗装方法。
  12. アルミニウム又はアルミニウム合金酸化皮膜上に、請求項1記載の水性金属酸化物分散体を用いて、微粒子金属酸化物を含む透明有彩色の電着塗膜が形成されているアルミニウム又はアルミニウム合金製品。
  13. マグネシウム又はマグネシウム合金酸化皮膜上に、請求項1記載の水性金属酸化物分散体を用いて、微粒子金属酸化物を含む透明有彩色の電着塗膜が形成されているマグネシウム又はマグネシウム合金製品。
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