JP5013473B2 - キャップ及びキャップ付きボトル - Google Patents
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Description
ここでポリエチレン系ライナーとは、主にポリエチレン(主に低密度ポリエチレン)とエラストマーとのブレンド材であり、必要に応じて滑剤、着色剤、安定剤、酸素吸収剤等を添加したものである。また、ポリプロピレンを主体としたライナーは、ポリプロピレンにSEBS(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体)又はSEPS(スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体)等のSBC(スチレンブロックコポリマー)と流動パラフィンとのブレンド材に、必要に応じて滑剤、着色剤、安定剤、酸素吸収剤等を添加したものである。
これらのブレンド材をライナーにするには、押出機で一定粘度の溶融状態で丸棒状に押し出し、これを一定量に切断してキャップ中央に置き、上から冷却されたパンチで型押しして一定の形状をつける。
内容物の充填温度、熱処理温度がおよそ100℃以下の充填品に使用されるキャップのライナー材は、ポリエチレン系ライナー材が使用される。これは低密度ポリエチレンを主体とし、これに柔軟材としてエラストマー、着色剤として酸化チタン等、滑剤として脂肪酸アマイドやシリコンオイル、植物油、脂肪酸エステル等をブレンドしたものが多用される。
例えば、従来、レトルト用ライナー材の接着塗料として使用されるポリプロピレン系塗料は、滑りが悪いため種々の滑剤を添加している(特許文献1〜4参照)。
従来、レトルト用ライナー材の接着塗料として使用されるポリプロピレン系塗料は、滑りが悪いため、上記各特許文献に記載されているように、種々の滑剤を添加しているが、充分な低開栓トルクが得られない。特に、第2トルクは、塗料に滑剤を添加してもレトルト後は高い値を示す。このため、ブリッジの幅を狭くして第2トルクを下げるという方法がとられるが、この場合、キャッピング時にブリッジが切れてしまうという現象が発生し、市場におけるクレームの対象となるおそれがある。
また、ポリエチレン系塗料を用いた場合、第2トルクも低いが、レトルト可能なポリプロピレン系ライナーはインシェルモールドした場合、ポリエチレン系塗料とは充分な接着強度が得られない不都合がある。したがって、ポリエチレン系塗料をレトルト用ライナーの塗料として使用して、第2トルクの低いキャップを提供することが困難であった。
すなわち、本発明者らは、エポキシフェノール樹脂に添加される添加剤として、ポリオレフィン系ライナー材と接着するために、ポリオレフィン系樹脂の添加を検討した。ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレン、ペンテン、メチルペンテン、などのオレフィン類の単独または共重合体を用いることができる。
すなわち、マレイン酸変性ポリエチレン又は酸化ポリエチレンを添加したエポキシフェノール樹脂を固形分とする塗料組成物による硬化塗膜面は、その添加剤がポリプロピレン系ライナー材との接着性を高めるため、ポリプロピレン含有ライナー材との接着が良好である。
さらに、ライナー材はポリプロピレン系なので、100℃以上の充填、熱処(レトルト処理も含む)に対しても充分使用可能なキャップが提供できる。
このように本発明のキャップでは、ライナー材との密着性に優れていると共に、開栓性及び耐熱性に優れている。
なお、ポリエチレンの密度(単位g/cm3)を0.95以上とし、添加量を1〜7wt%の範囲とすることで、十分なトルク低減効果と良好な接着性とが得られる。すなわち、トルク低減効果は、ポリエチレンの密度が高いほうが良好な結果を示し、充分な効果が得られるのは、その密度が0.95以上である。また、添加量が多すぎると、ライナー材の接着阻害要因になるため、好ましくは7wt%以下であり、より好ましくは5wt%以下である。
このように本発明のキャップのライナー材は、ハードセグメントがPP(変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレンを含む)であり、ソフトセグメントがSEBS(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体)又はSEPS(スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体)及び流動パラフィンである。
すなわち、このキャップ付きボトルでは、上記本発明のキャップを備えているので、優れた開栓性及び耐熱性等を有している。
すなわち、本発明に係るキャップによれば、キャップ本体の内側に、少なくともマレイン酸変性ポリエチレン又は酸化ポリエチレンが添加されたエポキシフェノール樹脂を固形分とする塗料組成物が焼付け塗布され、キャップ用ライナーが、スチレンブロックコポリマーとポリプロピレンと流動パラフィンとを含む樹脂組成物で構成されているので、第2トルク等の開栓トルクを低減でき、開栓性に優れると共に、キャップ本体内面とライナーとの接着が良好でレトルト可能である。したがって、本発明のキャップを備えたキャップ付きボトルによれば、レトルト密封性に優れ、良好な衛生特性、耐衝撃性及び開栓性を有することができる。
また、本実施形態のキャップ付きボトル6は、上記キャップ1を口金部(口部)7に巻き締めた状態で備えている。
このように、キャップシェル4の内側には、少なくともマレイン酸変性ポリエチレン又は酸化ポリエチレンが添加されたエポキシフェノール樹脂を固形分とする塗料組成物が焼付け塗布されている。
上記塗料組成物の硬化塗膜は、厚さで1〜10μmであり、好適には3〜5μmに設定される。また、焼付条件は、180℃〜200℃で8〜10分である。
ここで、マレイン酸変性ポリエチレンとしては、無水マレイン酸で変性したポリエチレン(無水マレイン酸変性ポリエチレン)でも構わない。
上記スチレンブロックコポリマーは、好ましくはスチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)又はスチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)であり、ライナー5の硬度が、ショアD(23℃)で7〜35の範囲に設定されている。
さらに、ライナー材はポリプロピレン系なので、100℃以上の充填、熱処理(レトルト処理も含む)に対しても充分使用可能なキャップが提供できる。
また、塗料組成物が、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との重量比が95:5〜60:40の範囲のエポキシフェノール樹脂であるので、塗膜の良好な加工性と金属素材との良好な密着性とを得ることができる。
したがって、本実施形態のキャップ1を備えたキャップ付きボトル6によれば、レトルト密封性に優れ、良好な衛生特性、耐衝撃性及び開栓性を有することができる。
<実施例1>
まず、塗料組成物のライナー接着用添加剤を各々の親溶媒に溶かし、溶媒に溶かされたエポキシフェノール樹脂(E/P)を固形分とする塗料組成物を高速攪拌した中に添加し、分散又は溶解した。このエポキシフェノール樹脂は、そのエポキシ樹脂とフェノール樹脂との比を80:20を中心として、エポキシ樹脂比の上限は97%、下限が50%まで振って、評価を行った。
なお、以下の実施例で使用したマレイン酸変性ポリエチレンは、全て無水マレイン酸変性ポリエチレンを用いている。
注2. E/P(B)=エポキシフェノール塗料(エポキシ樹脂:フェノール樹脂=95:5)
注3. E/P(C)=エポキシフェノール塗料(エポキシ樹脂:フェノール樹脂=90:10)
注4. E/P(D)=エポキシフェノール塗料(エポキシ樹脂:フェノール樹脂=70:30)
注5. E/P(E)=エポキシフェノール塗料(エポキシ樹脂:フェノール樹脂=60:40)
注6. E/P(F)=エポキシフェノール塗料(エポキシ樹脂:フェノール樹脂=97:3)
注7. E/P(G)=エポキシフェノール塗料(エポキシ樹脂:フェノール樹脂=50:50)
注8. O−PE(10)=酸化ポリエチレン(酸価17)をE/P塗料(A)に固形分比で10wt%添加。
注9. M−PE(10)=マレイン酸変性ポリエチレン(酸価60)をE/P塗料(A)に固形分比で10wt%添加。
注11.EEA(10)=エチレンエチルアクリレート(EA=25wt%)をE/P塗料(A)に固形分比で10wt%添加。
注12.IO(10)=アイオノマー(Znタイプ)をE/P塗料(A)に固形分比で10wt%添加。
注13.EMA(10)=エチレンメチルアクリレート(MA=25wt%)をE/P塗料(A)に固形分比で10wt%添加。
注14.EBA(10)=エチレンブチルアクリレート(BA=17wt%)をE/P塗料(A)に固形分比で10wt%添加。
注15.EMAA(10)=エチレンメタクリル酸(MAA=10wt%)をE/P塗料(A)に固形分比で10wt%添加。
注16.EMMA(10)=エチレンメチルメタアクリレート(MMA=20wt%)をE/P塗料(A)に固形分比で10wt%添加。
注18.CPP(10)=塩素化ポリプロピレン(Cl=12.5wt%)をE/P塗料(A)に固形分比で10wt%添加。
注19.PP(A)=PPとSBC(SEBS)と流動パラフィンとを一定割合で混練したライナー。
注20.PE(E)=LDPEとTPO(オレフィン系エラストマー)とをブレンドしたライナー。
注21.S−PE(10)=スチレン変性ポリエチレン。
注23.対レトルト性=充填後レトルト処理(121℃−30分)を行なった直後の漏れ数/試料数。
注24.落下衝撃性=レトルト処理した充填品を1日放置後、10°角の鉄盤上に倒立で30cm高さから落下させモレの有無を調べる。漏れ数/試料数。
注25.開栓トルク:第1トルク=開栓時キャップが動き始めるトルク値。第2トルク=キャップブリッジ部が切断されるトルク。
注26.塗装、塗膜性:◎=塗装性、塗膜性能共に良好 ○=塗膜良好であるが塗装性やや劣るもの △=塗装性、塗膜性能やや劣るもの ×=塗装性、塗膜性能共に劣るもの。
注27.総合評価:◎=塗装性、塗膜性能、ライナー接着性、キャップ性能良好なもの ○=塗装性、塗膜性能、キャップ性能良好。実用範囲内であるがライナー接着性がやや劣るもの、第2トルクが低いもの △=塗装性、塗膜性能、接着性、キャップ性能良好であるがやや第2開栓トルクが高いもの ×=塗装性または塗膜性能が劣るもの。または/およびキャップ性能劣るもの、または第2開栓トルクが高いもの。
エチレンビニルアセテート、エチレンエチルアクリレート、アイオノマー、エチレンメチルアクリレート、エチレンブチルアクリレート、エチレンメタクリル酸、エチレンメチルメタアクリレート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンを、各々10wt%添加して評価したが、接着性はやや劣り、開栓トルクは高い値を示した。また、塗装性、塗膜性能も劣るという結果であった。
エポキシ樹脂とフェノール樹脂との比が80:20の塗料組成物に、実施例1で良好であった添加剤の量を変えたものについて、実施例1と同様の評価を行った。
注2 O−PE(10)=酸化ポリエチレン(酸価17)をE/P塗料(A)に10wt%添加した接着塗料、その他の()内の数値も添加wt%を示す。
注3 M−PE(10)=マレイン酸変性ポリエチレン(酸価60)をE/P塗料(A)に10wt%添加した接着塗料、その他の()内の数値も添加wt%を示す。
注4 評価の内容、項目は実施例1と同様である。
実施例2と同様に、M−PEおよびO−PEを各々10wt%添加したエポキシ樹脂とフェノール樹脂との比が80:20の塗料組成物に、さらに各種ポリエチレンの添加量を変えた塗料組成物について、実施例1と同様にキャップに成型し、評価を行った。
注2 O−PE(10)=酸化ポリエチレン(酸価17)を、E/P塗料(A)に10wt%添加した接着塗料。
注3 M−PE(10)=マレイン酸変性ポリエチレン(酸価60)を、E/P塗料(A)に10wt%添加した接着塗料。
注5 LL(5)=密度0.925の直鎖状ポリエチレンを、塗料に5wt%添加した接着塗料。
注6 MD(5)=密度0.935の中密度ポリエチレンを、塗料に5wt%添加した接着塗料。
注7 HDa(5)=密度0.950の高密度ポリエチレンを、塗料に5wt%添加した接着塗料。
注8 HDb(5)=密度0.970の高密度ポリエチレンを、塗料に5wt%添加した接着塗料。
注9 評価の内容、項目は実施例1と同様である。
注2 O−PE(10)=酸化ポリエチレン(酸価17)を、E/P塗料(A)に10wt%添加した接着塗料。
注3 M−PE(10)=マレイン酸変性ポリエチレン(酸価60)を、E/P塗料(A)に10wt%添加した接着塗料。
注5 LL(5)=密度0.925の直鎖状ポリエチレンを、塗料に5wt%添加した接着塗料。
注6 MD(5)=密度0.935の中密度ポリエチレンを、塗料に5wt%添加した接着塗料。
注7 HDa(5)=密度0.950の高密度ポリエチレンを、塗料に5wt%添加した接着塗料。
注8 HDb(5)=密度0.970の高密度ポリエチレンを、塗料に5wt%添加した接着塗料。
注9 評価の内容、項目は実施例1と同様である。
さらに、酸化ポリエチレン、マレイン酸変性ポリエチレンが添加さていない塗料組成物に各種ポリエチレンを添加した塗料組成物を塗布したキャップは、ライナーの接着性が非常に弱く、キャップとしての評価ができなかった。また、酸化ポリエチレン、マレイン酸変性ポリエチレンが添加さていても、ポリエチレンの添加量が多いとライナーとの接着が低下するという結果が得られた。
実施例2と同様に、M−PEおよびO−PEを各々10wt%添加した。エポキシ樹脂とフェノール樹脂との比が80:20の塗料組成物について、実施例1と同様にキャップシェルに成型し、ライナー材の組成を変えて異なる硬度のライナー材を供試し、ライナー材と塗料組成物との組み合わせによる評価を行った。評価の内容はほぼ実施例1と同様である。但しライナーの成型性は実施例1とは異なる。
注2 O−PE(10)=酸化ポリエチレン(酸価17)、をE/P塗料(A)に10wt%添加した接着塗料。
注3 M−PE(10)=マレイン酸変性ポリエチレン(酸価60)を、E/P塗料(A)に10wt%添加した接着塗料。
注5 SEPS(A,B,C)=ライナー材がポリプロピレン(PP)とSEPSと流動パラフィン(LP)とで構成されたもの。()内のA,B,Cは配合比の違いを示す。ここでSEPSは、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体を示す。ほかに添加剤として、着色剤、滑剤を使用。
注6 SBS(A,B,C)=ライナー材がポリプロピレン(PP)とSBSと流動パラフィン(LP)とで構成されたもの。()内のA,B,Cは配合比の違いを示す。ここでSBSは、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体を示す。ほかに添加剤として、着色剤、滑剤を使用。
注7 SIS(A,B,C)=ライナー材がポリプロピレン(PP)とSISと流動パラフィン(LP)とで構成されたもの。()内のA,B,Cは配合比の違いを示す。ここでSISは、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体を示す。ほかに添加剤として、着色剤、滑剤を使用。
注9 ライナー成形性:◎=良好なもの ○=ほぼ問題ないもの、生産可 △=ライナーセンターずれ少量発生、生産性改良を要す。 ×=ライナーセンターずれ多数発生、生産性不可。
Claims (5)
- 天板部と該天板部の周縁から垂下した筒状周壁部とからなる金属製のキャップ本体と、
前記天板部の内面に設けられたキャップ用ライナーと、を備え、
前記キャップ本体の内側に、少なくともマレイン酸変性ポリエチレン又は酸化ポリエチレンが添加されたエポキシフェノール樹脂を固形分とする塗料組成物が焼付け塗布され、
前記キャップ用ライナーが、スチレンブロックコポリマーとポリプロピレンと流動パラフィンとを含む樹脂組成物で構成され、
前記塗料組成物として、さらに密度0.95以上の高密度ポリエチレンがエポキシフェノール樹脂に対し添加量1〜7wt%の範囲で添加されていることを特徴とするキャップ。 - 請求項1に記載のキャップにおいて、
前記マレイン酸変性ポリエチレン又は酸化ポリエチレンの添加量が、エポキシフェノール樹脂に対して2〜35wt%の範囲に設定されていることを特徴とするキャップ。 - 請求項1又は2に記載のキャップにおいて、
前記エポキシフェノール樹脂が、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との重量比を95:5〜60:40の範囲に設定したものであることを特徴とするキャップ。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のキャップにおいて、
前記スチレンブロックコポリマーが、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体又はスチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体であり、前記キャップ用ライナーの硬度が、ショアD(23℃)で7〜35の範囲に設定されていることを特徴とするキャップ。 - キャップを備えたボトルであって、
前記キャップが、請求項1から4のいずれか一項に記載のキャップであることを特徴とするキャップ付きボトル。
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