JP5013356B2 - 電気泳動表示装置及びその駆動方法 - Google Patents
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Description
これらの要求を満たす表示装置としては、バックライトを用いず、消費電力の少ない反射型ディスプレイがある。
図15は、モノクロのマイクロカプセル型電気泳動素子のm行n列のマトリクス状配列のm列の断面図を示す。マイクロカプセル型電気泳動素子の各々は、図15に示すように、TFTガラス基板102と、電気泳動フィルム110と、PET(Poly Ethylene Terephthalete)対向基板120とをこの順序で積層した積層構造の中に形成され、例えば、m行のマイクロカプセル型電気泳動素子100-m1、100-m2、100-m3が形成されている。
電気泳動フィルム110は、ポリマーのバインダ112の中に約40μmのマイクロカプセル114が敷き詰められている。このマイクロカプセル114の各々は、従来、マイクロカプセル型電気泳動表示装置の画素電極の寸法より或る値だけ小さい。マイクロカプセル114の内部には、溶媒116が注入されており、その溶媒116中にナノレベルの大きさの、マイナスに帯電された白色顔料(白色粒子、例えば、酸化チタン)117と、プラスに帯電された黒色顔料(黒色粒子、例えば、炭素)118とが無数浮遊せしめられている。
PET対向基板120は、TFTガラス基板102の各画素電極106-m1、106-m2、106-m3と対向する一枚の対向電極122がプラスチック基板124に貼り付けられて形成されている。
したがって、マイクロカプセル型電気泳動素子100-m1、100-m2、100-m3の各々は、各画素対応のTFT104-m1、104-m2、104-m3、画素電極106-m1、106-m2、106-m3、マイクロカプセル114及び対向電極122の対応部によって形成されている。
図16において、データ線Dnは、図16に示すマイクロカプセル型電気泳動表示装置のマトリクス状配列の電気泳動素子100-mn(m=1、2、…、M、n=1、2、…、N)のうちの水平方向の各電気泳動素子100-mi(i=1、2、…、N)に表示データ信号を供給する線を代表して示す線である。また、図16において、走査線Gmは、図16に示すマイクロカプセル型電気泳動表示装置のマトリクス状配列の電気泳動素子100-mnのうちの水平方向の電気泳動素子群100-m1、100-m2、…、100-mNに1走査線期間走査電圧を供給する線を代表して示す線である。
図18は、データドライバ144を構成するデータ線Dn毎のデータ信号発生回路145を示す図で、画面データに応答して選択信号を発生する選択信号発生回路146と、選択信号発生回路146から出力される選択信号対応の電圧をデータ線Dnに出力する電圧選択回路147とからなる。
上述したと同様、電気泳動フィルムは、W→Bへの遷移の場合に画素電極に正の電圧を、又B→Wへの遷移の場合に画素電極に負の電圧を、W→W、B→Bでは0ボルトの電圧を印加する必要がある。
これは、マイクロカプセル型電気泳動素子は、粒子が溶媒の入ったマイクロカプセル中に閉じ込まれており、粒子の応答性が悪く、複数フレームの期間電圧を印加し続けないと画面の書き換えが完了しないからである。
このため、マイクロカプセル型電気泳動表示装置では、一般に、図19に示すように、複数フレームの期間、B(黒色)からW(白色)への書き換えの場合一定の負の電圧を、また、W(白色)からB(黒色)への書き換えの場合一定の正の電圧を印加し続けるPWM駆動(PWMはPulse Width Modulationの略である)を行う。
マイクロカプセル型電気泳動素子は、メモリ性を有しているが、マイクロカプセル型電気泳動素子を図20に示す駆動態様で駆動した場合、画素電極に電圧を印加しないマイクロカプセル型電気泳動素子の駆動時の白輝度の低下や黒輝度の上昇があることが認められた。これは、マイクロカプセル型電気泳動素子のゲート線やデータ線の影響や対向電極の共通電位のDC成分のためと考えられる。
そのため、W→Wの場合や、B→Wの場合には、白輝度に差が生じ(図21、図22参照)、次の画面の表示時に、前の画面が残るという第1の残像の問題がある。
また、B→Bの場合や、W→Bの場合にも同様の問題がある。
これを具体的に言うと、2階調表示でディザパターンを表示するために、例えば、前の画面(Current Image)がそのパターンを黒で表示し、後の画面(Next Image)が市松模様で表示すると、黒が浮く、すなわち、画素本来の表示領域が縮小されることが認められた。
例えば、前の画面に何か領域的な黒の文字を表示し、次の画面でディザ表示をした場合に、前の文字が残るという第2の残像の問題がある。
しかしながら、黒色(B)→黒色(B)→黒色(B)と黒状態を表示しようとして多数のフレーム数の間+15Vの電圧を画素電極に印加したり、また白色(W)→白色(W)→白色(W)と白状態を表示しようとして多数のフレーム数の間−15Vの電圧を画素電極に印加し続けると、それらの電圧が印加される電気泳動素子に恒常的にプラス又はマイナスの直流電位が印加され続けることになる。
そのため、電気泳動フィルムがチャージアップし、0Vにして画像の表示を止めても、チャージアップ部のみ表示させていた画像の反転の表示状態が表示される焼付きの問題が起こることが判った。
Twg(+)+Tgw(+)=Twg(−)+Tgw(−)
ここで、Twg(+)は、前記第1又は第2の帯電着色粒子による表示状態から前記中間調の表示状態に遷移させるときの第1又は第2のフレーム群のフレーム数、Twg(−)は、同中間調のフレーム群のフレーム数、Tgw(+)は、前記中間調の表示状態から前記第1又は第2の帯電着色粒子による表示状態に遷移させるときの前記第1又は第2のフレーム群のフレーム数、Tgw(−)は、同中間調のフレーム群のフレーム数を表わす。
Vw-dg(-)=−Vw-dg(+)、Vw-lg(-)=−Vw-lg(+)
Tw-dg(+)=Tw-dg(-)、Tw-lg(+)=Tw-lg(-)
Vw-lg(+)は、前記第1の中間調から前記中間遷移状態を生じさせるための印加電圧、Tw-lg(+)は、電圧Vw-lg(+)を印加するフレーム数、
Vw-dg(-)は、前記中間遷移状態から前記第2の中間調の表示状態を生じさせるための印加電圧、Tw-dg(-)は、電圧Vw-dg(-)を印加するフレーム数、
Vw-dg(+)は、前記第2の中間調から前記中間遷移状態を生じさせるための印加電圧、Tw-dg(+)は、電圧Vw-dg(+)を印加するフレーム数、
Vw-lg(-)は、前記中間遷移状態から前記第1の中間調の表示状態を生じさせるための印加電圧、Tw-lg(-)は、電圧Vw-lg(-)を印加するフレーム数を表わす。
Twg(+)+Tgw(+)=Twg(−)+Tgw(−)
ここで、Twg(+)は、前記第1又は第2の帯電着色粒子による表示状態から前記中間調の表示状態に遷移させるときの第1又は第2のフレーム群のフレーム数、Twg(−)は、同中間調のフレーム群のフレーム数、Tgw(+)は、前記中間調の表示状態から前記第1又は第2の帯電着色粒子による表示状態に遷移させるときの前記第1又は第2のフレーム群のフレーム数、Tgw(−)は、同中間調のフレーム群のフレーム数を表わす。
Vw-dg(-)=−Vw-dg(+)、Vw-lg(-)=−Vw-lg(+)
Tw-dg(+)=Tw-dg(-)、Tw-lg(+)=Tw-lg(-)
Vw-lg(+)は、前記第1の中間調から前記中間遷移状態を生じさせるための印加電圧、Tw-lg(+)は、電圧Vw-lg(+)を印加するフレーム数、
Vw-dg(-)は、前記中間遷移状態から前記第2の中間調の表示状態を生じさせるための印加電圧、Tw-dg(-)は、電圧Vw-dg(-)を印加するフレーム数、
Vw-dg(+)は、前記第2の中間調から前記中間遷移状態を生じさせるための印加電圧、Tw-dg(+)は、電圧Vw-dg(+)を印加するフレーム数、
Vw-lg(-)は、前記中間遷移状態から前記第1の中間調の表示状態を生じさせるための印加電圧、Tw-lg(-)は、電圧Vw-lg(-)を印加するフレーム数を表わす。
走査ドライバ12は、TFTゲート104-mnがpMOSで構成されているとすると、走査線Gmに負のゲート電圧を出力するドライバである。
データドライバ14は、マイクロカプセル型電気泳動素子100-mnの画素の書き換えにおいてその書き換えの総フレームについて見た場合に、そのマイクロカプセル型電気泳動素子100-mnにDCを掛けてしまわない時系列の電圧をデータ線Dnに送出するドライバである。
この場合に、Bの書込み時に電気泳動素子100-mnの画素電極106-mn(図15)に印加する電圧をVwbとする一方、Wの書込み時に電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに印加する電圧をVbw=−Vwbとし、Wの書込みを行うフレーム数をTww-とする一方、Bの書込みを行うフレーム数をTww+とする。
そのとき、下式、すなわち、
Tww+=Tww- ……(1)
を満たすようにする。
この場合に、Wの書込み時に電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに印加する電圧をVbw=−Vwbとする一方、Bの書込み時に電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに印加する電圧をVwbとし、Wの書込みを行うマイナスフレーム群のフレーム数をTbb-とする一方、Bの書込みを行うプラスフレーム群のフレーム数をTbb+とする。
そのとき、下式、すなわち、
Tbb+=Tbb- ……(2)
を満たすようにする。
この場合に、Wの書込み時に電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに印加する電圧をVgg-とする一方、Gの書込み時に電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnに印加する電圧をVgg+とし、Wの書込みを行うマイナスフレーム群のフレーム数をTgg-とする一方、Gの書込みを行うプラスフレーム群のフレーム数をTgg+とする。
そのとき、下式、すなわち、
Tgg+=Tgg- ……(3)
を満たすようにする。
Twb(+)+Tbw(+)=Tbw(-)+Twb(-) ……(4)
とする。
Twg(+)+Tgw(+)=Tgw(-)+Twg(-) ……(5)
とする。
Tbg(+)+Tgb(+)=Tgb(-)+Tbg(-) ……(6)
その理由は、図4に示す遷移状態において、白粒子と黒粒子との電荷の帯電量が等しくなく、また溶媒中のモビリティ(移動度)も等しくないので、図4の左側の図に示すように電圧を等しくすると残像が発生するからである。
このことは、G→Gの場合にも、当て嵌まる。
この実施例においては、マイクロカプセル型電気泳動表示装置の各電気泳動素子100-mnの駆動において、電気泳動素子100-mnを白の表示状態(以下、単にWともいう)から黒の表示状態(以下、単にBともいう)へ遷移させる場合と、電気泳動素子100-mnをBからWへ遷移させる場合の駆動は、次の点を除いて、従来と同様である。
すなわち、画像を表示するいずれの画面も、複数のプラスフレーム群と複数のマイナスフレーム群とを時系列的な所定順序で配置して構成される。例えば、図5に示すように、各画面は、1つのプラスフレーム群、1つのマイナスフレーム群及び1つのプラスフレーム群がこの順序で配列されて構成される。
第1の画面の第2のプラスフレーム群内の前方所定数のプラスフレーム(そのフレーム数Twb(+)において、走査ドライバ12からゲート線GmにTFTゲート104-mnをオンさせる信号を送出し、データドライバ14のデータ線Dnから電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnにVwb、例えば、+15ボルトの電圧を印加して電気泳動素子100-mnにBを書き込み、電気泳動素子100-mnを黒で表示させ、第2のプラスフレーム群内の後方所定数のプラスフレームで電気泳動素子-mnの画素電極106-mnに0ボルトの電圧を印加してその表示状態を継続している状態において(図5の(5))、第2の画面のマイナスフレーム群(そのフレーム数Tbw(-))でその電気泳動素子100-mnをWに遷移させるには、走査ドライバ12からゲート線GmにTFTゲート104-mnをオンさせる信号を送出し、第2の画面のマイナスフレーム群でデータドライバ14のデータ線Dnから電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnにVbw、例えば、−15ボルトの電圧を印加する。
これにより、電気泳動素子100-mnに直流電圧は印加されず、BからWへ切り換えられ、そしてWからBへ切り換えられる場合に、焼付きの問題は生じない。
これと同様の問題が、GからWへ切り換えられ、WからGへ切り換えられる場合にも、また、GからBへ切り換えられ、BからGへ切り換えられる場合にもあるが、BからWへ切り換えられ、WからBへ切り換えられる場合についての説明を図3に示す状態遷移図に照らし合わせつつ参照すれば、GからWへ切り換えられ、WからGへ切り換えられる場合に生じ、また、GからBへ切り換えられ、BからGへ切り換えられる場合にも生ずる焼付きの解消になることを理解できると考えられるので、それらの逐一の説明は省略する。
BからWへ切り換えられ、WからBへ切り換えられる場合におけるVbw及びVwbを、GからWへ切り換えられ、WからGへ切り換えられる場合については、Vgw及びVwgと読み替え、また、GからBへ切り換えられ、BからGへ切り換えられる場合については、Vgb及びVbgと読み替える。
これに加えて、BからWへ切り換えられ、WからBへ切り換えられる場合におけるTwb(+)、Tw b (-)、Tbw (+)及びTbw (-)を、GからWへ切り換えられ、WからGへ切り換えられる場合については、Twg (+)、Twg (-)、Tgw (+)及びTgw (-)と読み替え、また、GからBへ切り換えられ、BからGへ切り換えられる場合については、Tgb (+)、Tbg (-)、Tbg (+)及びTbg (-)と読み替える。
電気泳動素子100-mnをWからWへ遷移させる場合の駆動は、図5の(1)に示すように、画面毎にWを表示する場合に、その画面のマイナスフレーム群の前の第1のプラスフレーム群でBの書込みを行う。
このようにして入れられる第1のプラスフレーム群のフレーム数Tww+と当該第1のプラスフレーム群に続いて入るマイナスフレーム群のフレーム数Tww-とは、同一とする。この場合の第1のプラスフレーム群でBを書き込み、マイナスフレーム群でWを書き込むために電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnへの電圧の印加は、図2に示すデータドライバ12によって行われるが、それらの電圧の印加の仕方は、異なる色(階調)の遷移を生じさせる際に説明したところと同様であるので、その逐一の説明は省略する。
このようにして入れられるプラスフレーム群のフレーム数Tbb+と当該プラスフレーム群後のマイナスフレーム群のフレーム数Tbb-とは、同一とする。この場合のプラスフレーム群でBを書き込み、マイナスフレーム群でWを書き込むために電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnへの電圧の印加も、上述したWからWへ遷移させる場合と同じである。
このようにして入れられるプラスフレーム群のフレーム数Tgg+と当該プラスフレーム群後のマイナスフレーム群のフレーム数Tgg-とは、同一とする。この場合のプラスフレーム群でGを書き込み、マイナスフレーム群でWを書き込むために電気泳動素子100-mnの画素電極106-mnへの電圧の印加も、上述したWからWへ遷移させる場合と同じである。
また、BからBへ遷移させる場合に、その間にWを入れると、メモリ特性で黒状態を維持しようとする場合に比して黒輝度の上昇(上述した第1の残像)を防止し得ることが実験的に確かめられた。また、GからGへの遷移に際して、その間にWを入れても、BからBへ遷移させる場合に、その間にWを入れるときと同様の効果が得られることが実験的に確かめられた。
この問題は、電気泳動素子の画素電極に電圧を印加しないときでも、また、電圧を印加した場合でも、当該電気泳動素子の隣の電気泳動素子からの漏れ電界があれば生ずる問題である。
そのために、マイクロカプセルが画素電極の間に位置される場合は、当該マイクロカプセルの表面は白となり、白粒子が隣の画素にまで侵入することになる(図7)。このため、黒が浮くことになる。
この手段を用いると、一旦白粒子は、隣の画素にまで侵入するが(図7)、次に黒が書き込まれるので、画素の境界でマイクロカプセル中で黒粒子と白粒子とを領域的に分けることができ(図8)、上記第2の残像の問題は解決できる。
黒粒子が隣の画素電極にまで侵入しなかったのは、黒粒子の帯電量、移動度等が白粒子に比べて小さいことから、プラスフレーム群を画面の最後のフレーム群にし、且つ、書込みフレームの数を最適化したことによると考えられる。
上述した駆動法を要約して言えば、電気泳動素子に書き込もうとするフレームをマイナスフレーム群とプラスフレーム群とに分け、帯電量、移動度等の少ない粒子の書込みフレーム群を最後にする。
そして、W→Wの遷移を生ぜしめようとするとき、マイナスフレーム群内で書き込まれるWの前のプラスフレーム群内でBの書込みを行い、そのとき、上述の式(1)を満たすようにする。
また、B→Bの遷移を生ぜしめようとするとき、プラスフレーム群内で書き込まれるBの前のマイナスフレーム群内でWの書込みを行い、そのとき、上述の式(2)を満たすようにする。
また、G→Gの遷移を生ぜしめようとするとき、その画面内のプラスフレーム群で書き込まれるGの後のマイナスフレーム群内でWの書込みを行い、そのとき、上述の式(3)を満たすようにする。
また、順次の画面でW→Bの書込みを行い、次いでB→Wの書込みを行う場合には、上述の式(4)を満たし、順次の画面でW→Gの書込みを行い、次いでG→Wの書込みを行う場合には、上述の式(5)を満たし、順次の画面でB→Gの書込みを行い、次いでG→Bの書込みを行う場合には、上述の式(6)を満たすようにする。
また、Bの継続した遷移を生ぜしめるときには、Bの書込みの後にWの書込みを入れ、これらのB及びWの書込みフレーム数を式(2)を満たすようにしているから、Bの継続した遷移で生ずる第1の残像及び焼付きを解消させるのに役立つ。
また、Gの継続した遷移を生ぜしめるときには、Gの書込みの後にWの書込みを入れ、これらのG及びWの書込みフレーム数を式(3)を満たすようにしているから、Gの継続した遷移で生ずる第1の残像及び焼付きを解消させるのに役立つ。
また、黒フレーム群の書込みを画面の最後にすれば、第2の残像の解消に役立つ。
この実施例の構成が、実施例1のそれと大きく異なる点は、3階調駆動を4階調駆動に拡張して構成した点である。
すなわち、この実施例のマイクロカプセル型電気泳動表示装置10A(図9には図示せず)は、実施例1の中間調(灰色G)を明灰色LGと暗灰色DGとで構成し、WとBとLGとの間の駆動とWとBとDGとの間の駆動については実施例1と同様の駆動を行い、LGとDGとの間の駆動を次のように構成したものである。
この場合におけるDG→Wの遷移を生じさせるために、電気泳動素子100-mnの画素電極に印加される電圧をVw-dg(+)、例えば、+12ボルトとし、この電圧を印加するフレーム数をTw-dg(+)とする。また、W→LGの遷移を生じさせるために、電気泳動素子100-mnの画素電極に印加される電圧をVw-lg(-)、例えば、−5ボルトとし、この電圧を印加するフレーム数をTw-lg(-)とする。さらに、LG→Wの遷移を生じさせるために、電気泳動素子100-mnの画素電極に印加される電圧をVw-lg(+)、例えば、+5ボルトとし、この電圧を印加するフレーム数をTw-lg(+)とする。また、W→DGの遷移を生じさせるために、電気泳動素子100-mnの画素電極に印加される電圧をVw-dg(-)、例えば、−12ボルトとし、この電圧を印加するフレーム数をTw-dg(-)とする。
Vw-dg(-)=−Vw-dg(+)、Vw-lg(-)=−Vw-lg(+) ……(7)
Tw-dg(+)=Tw-dg(-)、Tw-lg(+)=Tw-lg(-) ……(8)
とすると共に、絶対値Vw-dg、Vw-lgは画面に残像が生ぜず、所定の階調になる調整をして駆動を行う。
この実施例は、4階調、すなわち、W、B、LG、DGで表示される。この4階調の表示におけるW、B、LGの3階調及びW、B、DGの3階調の駆動態様は、実施例1で説明したところと同じである。
したがって、4階調の表示の駆動態様のうちのLG←→DGの駆動態様について以下に説明する。
DGからLGへの駆動におけるDG→Wの遷移を生じさせるために、電気泳動素子100-mnの画素電極に電圧Vw-dg(+)をフレーム数Tw-dg(+)の間印加する。
そして、W→LGの遷移を生じさせるために、電気泳動素子100-mnの画素電極に電圧Vw-lg(-)をフレーム数Tw-lg(-)の間印加する。
これらの印加により、DGからLGへの遷移が行われる。
そして、W→DGの遷移を生じさせるために、電気泳動素子100-mnの画素電極に電圧Vw-dg(-)をフレーム数Tw-dg(-)の間印加する。
これらの印加により、LGからDGへの遷移が行われる。
上述した駆動を行う場合の具体例を図10に示す。図10において、その(1)は、DG→LGの場合の駆動波形を示し、その(2)は、LG→DGの場合の駆動波形を示す。
この実施例の構成が、実施例1又は実施例2のそれと大きく異なる点は、実施例1又は実施例2では生ずる画面の切替り時にチカチカとした表示状態が入るのを防止するように構成した点である。
この関係は、G→W→Gのときにも、Wに駆動する電圧でなく、G→W→Gの遷移に応じた中間電位にした後に、プラスフレーム群でGに駆動する電圧に戻す。但し、図11及び図12には、図面を簡略にするため、G→W→Gの遷移は、図示してない。
Vwb2×T1=Vbw2×T2 ……(9)
とする。
これにより、電気泳動フィルムに直流電位の発生(チャージアップ)を抑制することができる。
上式(9)を成立させることにより、チャージアップを抑制することはできるが、マイクロカプセル中の黒粒子の移動という意味では、上式(9)を成立させても、黒粒子の移動量は同じではない。それは、電圧が低いと、黒粒子の移動量も少ないからである。
実施例1又は実施例2での駆動法によれば、B→W→Bの駆動においては、黒に続いて白、そして黒という明滅、すなわち、チカチカとした眩しさ(違和感)が生じるという不都合があるが、この実施例の駆動によれば、黒に続いてダークグレイ、そして黒という表示状態になるので、表示内に生ずる違和感を大幅に緩和することができる。
例えば、実施例では、画面内でW→W→W…と継続する場合に式(1)を成立させること、B→B→B…と継続する場合に式(2)を成立させること、また、G→G→G…と継続する場合に式(3)を成立させることについて説明したが、必ずしもその必要はなく、若干の違いがあっても許容される。
また、DG→LG→DGの場合に式(7)、(8)を成立させることについて説明したが、必ずしもその必要はなく、若干の違いがあってもよい。
上記各式の成立又は不成立のいずれかを問わず、電位差は、荷電粒子の材質や中間調によって適宜選択してこの発明を実施し得る。
また、PET対向基板は、一枚の対向電極を貼り付けた透明なプラスチック基板について説明したが、例えば、走査線方向毎の対向電極で構成してもこの発明は実施し得る。
12 走査ドライバ(第1の手段の一部、第2の手段の一部)
14 データドライバ(第1の手段の残部、第2の手段の残部)
26 選択信号発生回路(第1の手段の一部、第2の手段の一部)
28 電圧選択回路(第1の手段の残部、第2の手段の残部)
Claims (6)
- 複数の信号線と、これらの信号線と交差する複数の走査線と、前記信号線と前記走査線との交点に1対1に対応して設けられた複数の画素電極とを有する画素基板と、前記画素電極と対向する透明な対向電極を有し、表示面を構成する対向基板と、前記画素基板と前記対向基板との間に介挿され、第1の色及び第1の極性をもつ第1の帯電着色粒子と、前記第1の色と異なる第2の色及び前記第1の極性と異なる第2の極性をもつ第2の帯電着色粒子とを有する電気泳動膜とからなる電気泳動表示装置であって、
画面更新時に相当する所定数のフレームの間、入力される画面表示データに応じた時系列の電圧を選択し、選択した前記電圧を前記各画素電極と前記対向電極との間に時系列で印加するための電圧選択手段を有し、
前記所定数のフレームが、
前記各画素電極と前記対向電極との間に、第1の電圧を印加して前記第1の帯電着色粒子を前記表示面側に移動させ、前記第2の帯電着色粒子を前記表示面から遠ざけるための第1のフレーム群、及び、前記各画素電極と前記対向電極との間に、前記第2の電圧を印加して前記第2の帯電着色粒子を前記表示面側に移動させ、前記第1の帯電着色粒子を前記表示面から遠ざけるための第2のフレーム群のうち、少なくとも何れか一方のフレーム群と、
前記第1及び第2の帯電着色粒子による表示状態の間のある単数又は複数の中間調を表示するための、第1の電圧と第2の電圧との間の中間電圧に対応した中間調のフレーム群とを少なくとも含んで構成され、かつ、
前記電圧選択手段は、画面更新時に相当する前記所定数のフレームの間、次式で表わされる規則に従って、前記第1(又は第2)の帯電着色粒子による表示状態から中間調の表示状態に、又は、前記中間調の表示状態から前記第1又は第2の帯電着色粒子による表示状態に遷移させることを特徴とする電気泳動表示装置。
Twg(+)+Tgw(+)=Twg(−)+Tgw(−)
ここで、Twg(+)は、前記第1又は第2の帯電着色粒子による表示状態から前記中間調の表示状態に遷移させるときの第1又は第2のフレーム群のフレーム数、Twg(−)は、同中間調のフレーム群のフレーム数、Tgw(+)は、前記中間調の表示状態から前記第1又は第2の帯電着色粒子による表示状態に遷移させるときの前記第1又は第2のフレーム群のフレーム数、Tgw(−)は、同中間調のフレーム群のフレーム数を表わす。 - 複数の信号線と、これらの信号線と交差する複数の走査線と、前記信号線と前記走査線との交点に1対1に対応して設けられた複数の画素電極とを有する画素基板と、前記画素電極と対向する透明な対向電極を有し、表示面を構成する対向基板と、前記画素基板と前記対向基板との間に介挿され、第1の色及び第1の極性をもつ第1の帯電着色粒子と、前記第1の色と異なる第2の色及び前記第1の極性と異なる第2の極性をもつ第2の帯電着色粒子とを有する電気泳動膜とからなる電気泳動表示装置であって、
画面更新時に相当する所定数のフレームの間、入力される画面表示データに応じた時系列の電圧を選択し、選択した前記電圧を前記各画素電極と前記対向電極との間に時系列で印加するための電圧選択手段を有し、
前記所定数のフレームが、
前記各画素電極と前記対向電極との間に、第1の電圧を印加して前記第1の帯電着色粒子を前記表示面側に移動させ、前記第2の帯電着色粒子を前記表示面から遠ざけるための第1のフレーム群、及び、前記各画素電極と前記対向電極との間に、前記第2の電圧を印加して前記第2の帯電着色粒子を前記表示面側に移動させ、前記第1の帯電着色粒子を前記表示面から遠ざけるための第2のフレーム群のうち、少なくとも何れか一方のフレーム群と、
前記第1及び第2の帯電着色粒子による表示状態の間のある単数又は複数の中間調を表示するための、第1の電圧と第2の電圧との間の中間電圧に対応した第1及び第2の中間調のフレーム群とを少なくとも含んで構成され、かつ、
前記電圧選択手段は、画面更新時に相当する前記所定数のフレームの間、次式で表わされる規則に従って、前記第1の中間調から、中間遷移状態としての前記第1又は第2のフレーム群による表示状態を経て、前記第2の中間調に、又は、前記第2の中間調から、前記と同じ中間遷移状態を経て、前記第1の中間調に遷移させることを特徴とする電気泳動表示装置。
Vw-dg(-)=−Vw-dg(+)、Vw-lg(-)=−Vw-lg(+)
Tw-dg(+)=Tw-dg(-)、Tw-lg(+)=Tw-lg(-)
Vw-lg(+)は、前記第1の中間調から前記中間遷移状態を生じさせるための印加電圧、Tw-lg(+)は、電圧Vw-lg(+)を印加するフレーム数、
Vw-dg(-)は、前記中間遷移状態から前記第2の中間調の表示状態を生じさせるための印加電圧、Tw-dg(-)は、電圧Vw-dg(-)を印加するフレーム数、
Vw-dg(+)は、前記第2の中間調から前記中間遷移状態を生じさせるための印加電圧、Tw-dg(+)は、電圧Vw-dg(+)を印加するフレーム数、
Vw-lg(-)は、前記中間遷移状態から前記第1の中間調の表示状態を生じさせるための印加電圧、Tw-lg(-)は、電圧Vw-lg(-)を印加するフレーム数を表わす。 - 前記所定数のフレームには、各画素電極と前記対向電極との間に、前記第1及び第2の帯電粒子を移動させない0V電圧を印加する期間も含まれていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気泳動表示装置。
- 複数の信号線と、これらの信号線と交差する複数の走査線と、前記信号線と前記走査線との交点に1対1に対応して設けられた複数の画素電極とを有する画素基板と、前記画素電極と対向する透明な対向電極を有し、表示面を構成する対向基板と、前記画素基板と前記対向基板との間に介挿され、第1の色及び第1の極性をもつ第1の帯電着色粒子と、前記第1の色と異なる第2の色及び前記第1の極性と異なる第2の極性をもつ第2の帯電着色粒子とを有する電気泳動膜とからなる電気泳動表示装置を駆動するための駆動方法であって、
画面更新時に相当する所定数のフレームの間、入力される画面表示データに応じた時系列の電圧を選択し、選択した前記電圧を前記各画素電極と前記対向電極との間に時系列で印加すると共に、
前記所定数のフレームを、
前記各画素電極と前記対向電極との間に、第1の電圧を印加して前記第1の帯電着色粒子を前記表示面側に移動させ、前記第2の帯電着色粒子を前記表示面から遠ざけるための第1のフレーム群、及び、前記各画素電極と前記対向電極との間に、前記第2の電圧を印加して前記第2の帯電着色粒子を前記表示面側に移動させ、前記第1の帯電着色粒子を前記表示面から遠ざけるための第2のフレーム群のうち、少なくとも何れか一方のフレーム群と、
前記第1及び第2の帯電着色粒子による表示状態の間のある単数又は複数の中間調を表示するための、第1の電圧と第2の電圧との間の中間電圧に対応した中間調のフレーム群とを少なくとも含む態様で構成し、かつ、
画面更新時に相当する前記所定数のフレームの間、次式で表わされる規則に従って、前記第1(又は第2)の帯電着色粒子による表示状態から中間調の表示状態に、又は、前記中間調の表示状態から前記第1又は第2の帯電着色粒子による表示状態に遷移させることを特徴とする電気泳動表示装置の駆動方法。
Twg(+)+Tgw(+)=Twg(−)+Tgw(−)
ここで、Twg(+)は、前記第1又は第2の帯電着色粒子による表示状態から前記中間調の表示状態に遷移させるときの第1又は第2のフレーム群のフレーム数、Twg(−)は、同中間調のフレーム群のフレーム数、Tgw(+)は、前記中間調の表示状態から前記第1又は第2の帯電着色粒子による表示状態に遷移させるときの前記第1又は第2のフレーム群のフレーム数、Tgw(−)は、同中間調のフレーム群のフレーム数を表わす。 - 複数の信号線と、これらの信号線と交差する複数の走査線と、前記信号線と前記走査線との交点に1対1に対応して設けられた複数の画素電極とを有する画素基板と、前記画素電極と対向する透明な対向電極を有し、表示面を構成する対向基板と、前記画素基板と前記対向基板との間に介挿され、第1の色及び第1の極性をもつ第1の帯電着色粒子と、前記第1の色と異なる第2の色及び前記第1の極性と異なる第2の極性をもつ第2の帯電着色粒子とを有する電気泳動膜とからなる電気泳動表示装置を駆動するための駆動方法であって、
画面更新時に相当する所定数のフレームの間、入力される画面表示データに応じた時系列の電圧を選択し、選択した前記電圧を前記各画素電極と前記対向電極との間に時系列で印加すると共に、
前記所定数のフレームを、
前記各画素電極と前記対向電極との間に、第1の電圧を印加して前記第1の帯電着色粒子を前記表示面側に移動させ、前記第2の帯電着色粒子を前記表示面から遠ざけるための第1のフレーム群、及び、前記各画素電極と前記対向電極との間に、前記第2の電圧を印加して前記第2の帯電着色粒子を前記表示面側に移動させ、前記第1の帯電着色粒子を前記表示面から遠ざけるための第2のフレーム群のうち、少なくとも何れか一方のフレーム群と、
前記第1及び第2の帯電着色粒子による表示状態の間のある単数又は複数の中間調を表示するための、第1の電圧と第2の電圧との間の中間電圧に対応した第1及び第2の中間調のフレーム群とを少なくとも含む態様で構成し、かつ、
画面更新時に相当する前記所定数のフレームの間、次式で表わされる規則に従って、前記第1の中間調から、中間遷移状態としての前記第1又は第2のフレーム群による表示状態を経て、前記第2の中間調に、又は、前記第2の中間調から、前記と同じ中間遷移状態を経て、前記第1の中間調に遷移させることを特徴とする電気泳動表示装置。
Vw-dg(-)=−Vw-dg(+)、Vw-lg(-)=−Vw-lg(+)
Tw-dg(+)=Tw-dg(-)、Tw-lg(+)=Tw-lg(-)
Vw-lg(+)は、前記第1の中間調から前記中間遷移状態を生じさせるための印加電圧、Tw-lg(+)は、電圧Vw-lg(+)を印加するフレーム数、
Vw-dg(-)は、前記中間遷移状態から前記第2の中間調の表示状態を生じさせるための印加電圧、Tw-dg(-)は、電圧Vw-dg(-)を印加するフレーム数、
Vw-dg(+)は、前記第2の中間調から前記中間遷移状態を生じさせるための印加電圧、Tw-dg(+)は、電圧Vw-dg(+)を印加するフレーム数、
Vw-lg(-)は、前記中間遷移状態から前記第1の中間調の表示状態を生じさせるための印加電圧、Tw-lg(-)は、電圧Vw-lg(-)を印加するフレーム数を表わす。 - 前記所定数のフレームには、各画素電極と前記対向電極との間に、前記第1及び第2の帯電粒子を移動させない0V電圧を印加する期間も含まれていることを特徴とする請求項4又は5記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
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