JP5007403B2 - 高温高圧水と油分の分離方法及びその分離装置 - Google Patents

高温高圧水と油分の分離方法及びその分離装置 Download PDF

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Description

本発明は、超臨界水又は亜臨界水からなる高温高圧水を用いて、石油アスファルト等を重質油、中質油、軽質油及びガスからなる油分に改質した後の、これらの油分を含む高温高圧水と油分を分離する方法と、その分離装置に関するものである。
従来、超臨界水又は亜臨界水からなる高温高圧水中で、減圧残油・重質原油等の重質な炭化水素を改質した後に、軽質な生成油と水に分離する方法としては、石炭の連続転換装置(例えば、特許文献1参照。)や、改質プラント(例えば、特許文献2参照。)などが開示されている。上記特許文献1に示された石炭の連続転換装置では、超臨界状態に維持可能に形成された流動層型反応塔内部の流動媒体に超臨界状態の水とともに一酸化炭素が流動ガスとして供給され、この反応塔に接続された分留装置で超臨界水が段階的に減圧及び冷却され、更に流動層型反応塔と分留装置との間に設けられた油改質器に酸化鉄を主成分とする平均粒径が0.3〜5mmの焼結粒体が充填される。また流動層型反応塔の流動媒体は酸化鉄を主成分とする平均粒径が0.3〜5mmの焼結粒体であり、分留装置が重質油分離器と中質油分離器と軽質油分離器とを備え、油改質器で改質された油が重質分離器、中質分離器及び軽質分離器の順に減圧及び冷却されるように構成される。
このように構成された石炭の連続転換装置では、超臨界状態に維持可能に形成された流動層型反応塔の下部より超臨界状態の水とともに一酸化炭素が流動状態の微粉化した石炭に供給されると、石炭が軽質化されて生成した油が油改質器内の焼結粒体を触媒としてより一層軽質化された後に、分留装置により重質油、中質油及び軽質油に分離されるようになっている。
一方、特許文献2に記載された改質プラントでは、脱硫反応器で処理対象物が水熱反応によって脱硫され、脱硫反応器の処理物が低粘度化反応器で脱硫反応器の処理温度よりも高い処理温度の水熱反応によって低粘度化され、油分分離器で低粘度化反応器の処理物から油分が改質燃料として分離されるように構成される。また低粘度化反応器の処理物と脱硫反応器に供給される処理対象物とを熱交換することにより、脱硫反応器に供給される処理対象物が予熱されるように構成される。
このように構成された改質プラントでは、処理温度が相対的に低温な脱硫処理の後に処理温度が相対的に高温な低粘度化処理を行うので、処理対象物の改質処理に要する消費エネルギを低減できるようになっている。
特許第3402353号公報(請求項1〜3、段落[0005]、段落[0006]) 特開2004−339443号公報(請求項1及び2、段落[0032])
しかし、上記従来の特許文献1に示された石炭の連続転換装置中の分留装置では、熱エネルギの回収方法が示されていないため、エネルギ効率が低下して消費エネルギが増大してしまう不具合があった。
また、上記従来の特許文献2に示された改質プラントでは、水と生成油との分離方法が不十分であり、回収された水が一部の生成油とエマルジョンを形成し、その後の水処理及び油の回収が複雑となる問題点があった。
更に、上記従来の特許文献2に示された改質プラントでは、生成油に含まれる重質成分が、圧力制御バルブ及び熱交換器に付着して、その制御性及び性能を低下させる問題点もあった。
本発明の目的は、比較的簡単な工程で熱エネルギを回収しつつ、効率良く油分と水とを分離することができる、高温高圧水と油分の分離方法及びその分離装置を提供することにある。
本発明の別の目的は、圧力調整弁等の圧力を下げる機器の制御性を低下させず、また熱交換器等の温度を下げる機器の性能を低下させることなく、効率良く油分と水とを分離することができる、高温高圧水と油分の分離方法及びその分離装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、図1に示すように、超臨界水又は亜臨界水からなる高温高圧水により改質して得られた重質油、中質油、軽質油及びガスからなる油分を含む高温高圧水を、第1分離手段11にて300〜450℃の範囲内の所定の温度に下げかつ5〜22MPaの範囲内の所定の圧力に下げることにより、油分のうち重質油を高温高圧水の一部とともに液相状態のままとしかつ油分の残部である中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに気相状態にして分離する工程と、第1分離手段11で分離された重質油を高温高圧水の一部とともに、第2分離手段12にて100〜350℃の範囲内の所定の温度に下げかつ0.1〜4MPaの範囲内の所定の圧力に下げることにより、重質油を液相状態のままとしかつ高温高圧水を気相状態にして分離する工程と、第1分離手段11で分離された中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに、第3分離手段13にて0〜50℃の範囲内の所定の温度に下げかつ1〜10MPaの範囲内の所定の圧力に下げることにより、ガスを気相状態のままとしかつ中質油、軽質油及び高温高圧水を液相状態にして分離する工程とを含む高温高圧水と油分の分離方法である。
この請求項1に記載された高温高圧水と油分の分離方法では、先ず超臨界水又は亜臨界水からなる高温高圧水により改質された重質油、中質油、軽質油及びガスからなる油分を、第1分離手段11にて上記改質時よりは低いけれども比較的高い所定の温度に下げるとともに、上記改質時よりは低いけれども比較的高い所定の圧力に下げることにより、重質油を高温高圧水の一部とともに液相状態のままとし、かつ中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに気相状態にして分離する。
次に第1分離手段11にて高温高圧水の一部とともに分離された重質油を、第2分離手段12にて第1分離手段11より低い所定の温度に下げるとともに、第1分離手段11より低い所定の圧力に下げることにより、重質油に物理溶解した高温高圧水が蒸発して重質油から分離される。これにより重質油から分離された高温高圧水を、温度を下げる機器(例えば、熱交換器)に通しても、この熱交換器に粘度の高い重質油が付着しないので、熱交換器の性能を低下させることなく、高温高圧水の持つ熱エネルギを効率良く回収できる。
一方、第1分離手段11にて分離された中質油、軽質油及びガスと高温高圧水の残部を、第3分離手段13にて第1分離手段11より低い所定の温度に下げるとともに、第1分離手段11より低い所定の圧力に下げることにより、気相(ガス)と液相(水と中質油及び軽質油)とに分離する気液分離と、水と中質油及び軽質油とに分離する油水分離とが同時に行われて、ガスと中質油及び軽質油と水とに分離される。これにより重質油から分離された中質油、軽質油及びガスと高温高圧水の残部を、第3分離手段の所定の温度に下げる機器(例えば、熱交換器)に通しても、この熱交換器に粘度の高い重質油が付着しないので、熱交換器の性能を低下させることなく、中質油、軽質油及びガスと高温高圧水の残部の持つ熱エネルギを効率良く回収できる。また重質油から分離された中質油、軽質油及びガスと高温高圧水の残部を、第3分離手段13の所定の圧力に下げる機器(例えば、圧力調整弁)に通しても、この圧力調整弁に粘度の高い重質油が付着しないので、圧力調整弁の制御性を低下させることがない。更にエマルジョンの形成の原因となるアスファルテンやレジンといった主に重質油に含まれる成分が第1分離手段11にて分離されるため、水と中質油及び軽質油とを分離する油水分離の際にエマルジョンを形成し難く、効率良く水と中質油及び軽質油とを分離できる。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図2に示すように、第2分離手段12で分離された気相状態の高温高圧水を第3分離手段13に供給する工程を更に含むことを特徴とする。
この請求項2に記載された高温高圧水と油分の分離方法では、第2分離手段12における圧力が第1分離手段11における圧力よりも高い場合、第2分離手段12にて重質分から分離された水蒸気となった高温高圧水が所定の圧力に下げられた後に第3分離手段13に供給される。これにより水蒸気となった高温高圧水の持つ熱エネルギを第3分離手段13で更に回収できる。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図3に示すように、第2分離手段12,112が互いに並列に2系統設けられ、これら2系統の第2分離手段12,112が交互に使用されるように構成されたことを特徴とする。
第1分離手段11にて高温高圧水の一部とともに分離された重質油が、第2分離手段12にて第1分離手段11より低い所定の温度に下げられるとともに、第1分離手段11より低い所定の圧力に下げられる。即ち、第2分離手段12の圧力を下げる機器(例えば、圧力調整弁)にて高温高圧水の一部とともに分離された重質油の圧力を所定の圧力に下げることにより、同時にその温度も所定の温度に下げられる。この圧力調整弁等の各機器を粘度の高い重質油が通るため、この重質油が各機器に付着したり、或いは圧力調整弁の制御性を低下させるおそれがある。このため請求項3に記載された高温高圧水と油分の分離方法では、第2分離手段12,112を互いに並列に2系統設け、所定時間毎に又は圧力調整弁の前後の圧力差に基づいて2系統の第2分離手段12,112を交互に使用し、使用していない第2分離手段12,112の圧力調整弁等の各機器を洗浄する。
請求項4に係る発明は、図1に示すように、超臨界水又は亜臨界水からなる高温高圧水により改質して得られた重質油、中質油、軽質油及びガスからなる油分を含む高温高圧水を、300〜450℃の範囲内の所定の温度に下げかつ5〜22MPaの範囲内の所定の圧力に下げることにより、油分のうち重質油を高温高圧水の一部とともに液相状態のままとしかつ油分の残部である中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに気相状態にして分離する第1分離手段11と、第1分離手段11で分離された重質油を高温高圧水の一部とともに、100〜350℃の範囲内の所定の温度に下げかつ0.1〜4MPaの範囲内の所定の圧力に下げることにより、重質油を液相状態のままとしかつ高温高圧水を気相状態にして分離する第2分離手段12と、第1分離手段11で分離された中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに、0〜50℃の範囲内の所定の温度に下げかつ1〜10MPaの範囲内の所定の圧力に下げることにより、ガスを気相状態のままとしかつ中質油、軽質油及び高温高圧水を液相状態にして分離する第3分離手段13とを備えた高温高圧水と油分の分離装置である。
この請求項4に記載された高温高圧水と油分の分離装置では、先ず超臨界水又は亜臨界水からなる高温高圧水により改質された重質油、中質油、軽質油及びガスからなる油分を、第1分離手段11にて上記改質時よりは低いけれども比較的高い所定の温度に下げるとともに、上記改質時よりは低いけれども比較的高い所定の圧力に下げることにより、重質油を高温高圧水の一部とともに液相状態のままとし、かつ中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに気相状態にして分離する。
次に第2分離手段12にて第1分離手段11より低い所定の温度に下げるとともに、第1分離手段11より低い所定の圧力に下げることにより、重質油に物理溶解した高温高圧水が蒸発して重質油から分離される。これにより重質油から分離された高温高圧水を、第2分離手段12の温度を下げる機器(例えば、熱交換器)に通しても、この熱交換器に粘度の高い重質油が付着しないので、熱交換器の性能を低下させることなく、高温高圧水の持つ熱エネルギを効率良く回収できる。
一方、第1分離手段11にて分離された中質油、軽質油及びガスと高温高圧水の残部を、第3分離手段13にて第1分離手段11より低い所定の温度に下げるとともに、第1分離手段11より低い所定の圧力に下げることにより、気相(ガス)と液相(水と中質油及び軽質油)とに分離する気液分離と、水と中質油及び軽質油とに分離する油水分離とが同時に行われて、ガスと中質油及び軽質油と水とに分離される。これにより重質油から分離された中質油、軽質油及びガスと高温高圧水の残部を、第3分離手段13の所定の温度に下げる機器(例えば、熱交換器)に通しても、この熱交換器に粘度の高い重質油が付着しないので、熱交換器の性能を低下させることなく、中質油、軽質油及びガスと高温高圧水の残部の持つ熱エネルギを効率良く回収できる。また重質油から分離された中質油、軽質油及びガスと高温高圧水の残部を、第3分離手段13の所定の圧力に下げる機器(例えば、圧力調整弁)に通しても、この圧力調整弁に粘度の高い重質油が付着しないので、圧力調整弁の制御性を低下させることがない。更にエマルジョンの形成の原因となるアスファルテンやレジンといった主に重質油に含まれる成分が第1分離手段11にて分離されるため、水と中質油及び軽質油とを分離する油水分離の際にエマルジョンを形成し難く、効率良く水と中質油及び軽質油とを分離できる。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明であって、更に図2に示すように、第2分離手段12で分離された気相状態の高温高圧水を第3分離手段13に供給する供給手段を更に備えたことを特徴とする。
この請求項5に記載された高温高圧水と油分の分離装置では、第2分離手段12における圧力が第1分離手段11における圧力よりも高い場合、第2分離手段12にて重質分から分離された水蒸気となった高温高圧水が所定の圧力に下げられた後に第3分離手段13に供給される。これにより水蒸気となった高温高圧水の持つ熱エネルギを第3分離手段13で更に回収できる。
請求項6に係る発明は、請求項4に係る発明であって、更に図3に示すように、第2分離手段12,112が互いに並列に2系統設けられ、これら2系統の第2分離手段12,112が交互に使用されるように構成されたことを特徴とする。
第1分離手段11にて高温高圧水の一部とともに分離された重質油が、第2分離手段12にて第1分離手段11より低い所定の温度に下げられるとともに、第1分離手段11より低い所定の圧力に下げられる。即ち、第2分離手段12の圧力を下げる機器(例えば、圧力調整弁)にて高温高圧水の一部とともに分離された重質油の圧力を所定の圧力に下げることにより、同時にその温度も所定の温度に下げられる。この圧力調整弁等の各機器を粘度の高い重質油が通るため、この重質油が各機器の付着したり、或いは圧力調整弁の制御性を低下させるおそれがある。このため請求項3に記載された高温高圧水と油分の分離方法では、第2分離手段12,112を互いに並列に2系統設け、所定時間毎に又は圧力調整弁の前後の圧力差に基づいて2系統の第2分離手段12,112を交互に使用し、使用していない第2分離手段12,112の圧力調整弁等の各機器を洗浄する。
本発明によれば、重質油、中質油、軽質油及びガスからなる油分を含む高温高圧水を、第1分離手段にて所定の温度及び圧力に下げることにより、重質油を高温高圧水の一部とともに液相状態のままとしかつ中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに気相状態にして分離し、第1分離手段で分離された重質油を高温高圧水の一部とともに、第2分離手段にて所定の温度及び圧力に下げることにより、重質油を液相状態のままとしかつ高温高圧水を気相状態にして分離し、更に第1分離手段で分離された中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに、第3分離手段にて所定の温度及び圧力に下げることにより、ガスを気相状態のままとしかつ中質油、軽質油及び高温高圧水を液相状態にして分離したので、比較的簡単な工程で効率良く熱エネルギを回収できるとともに、効率良く油分と水とを分離できる。
また各分離手段の圧力を下げる機器(例えば、圧力調整弁)の制御性を低下させず、各分離手段の温度を下げる機器(例えば、熱交換器)の性能を低下させることなく、効率良く油分と水とを分離することができる。またエマルジョンの形成の原因となるアスファルテンやレジンといった主に重質油に含まれる成分が第1分離手段にて分離されるため、第3分離手段により水と中質油及び軽質油とを分離する油水分離の際にエマルジョンを形成し難く、効率良く水と中質油及び軽質油とを分離できる。
また第2分離手段で分離された気相状態の高温高圧水を第3分離手段に供給すれば、第2分離手段における圧力が第1分離手段における圧力よりも高い場合、第2分離手段にて重質分から分離された水蒸気となった高温高圧水が所定の圧力に下げられた後に第3分離手段に供給されるので、水蒸気となった高温高圧水の持つ熱エネルギを第3分離手段で更に回収できる。
また第2分離手段を互いに並列に2系統設け、これら2系統の第2分離手段を交互に使用すれば、一方の第2分離手段を通る粘度の高い重質油により、第2分離手段の圧力を調整する機器(例えば、圧力調整弁)の制御性が低下したとき、この一方の第2分離手段の使用を停止し、他方の第2分離手段を使用する。この結果、使用を停止した一方の第2分離手段の圧力調整弁等の各機器を洗浄することにより、本発明の高温高圧水と油分の分離を連続的行うことができる。
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、高温高圧水と油分の分離装置は、超臨界水又は亜臨界水からなる高温高圧水により改質して得られた重質油、中質油、軽質油及びガスからなる油分を含む高温高圧水を所定の温度に下げかつ所定の圧力に下げることにより、油分のうち重質油を高温高圧水の一部とともに液相状態のままとしかつ油分の残部である中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに気相状態にして分離する第1分離手段11と、第1分離手段11で分離された重質油を高温高圧水の一部とともに、所定の温度に下げかつ所定の圧力に下げることにより、重質油を液相状態のままとしかつ高温高圧水を気相状態にして分離する第2分離手段12と、第1分離手段11で分離された中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに、所定の温度に下げかつ所定の圧力に下げることにより、ガスを気相状態のままとしかつ中質油、軽質油及び高温高圧水を液相状態にして分離する第3分離手段13とを備える。超臨界水や亜臨界水により改質装置で改質される物質としては、石油アスファルト、重質原油などが挙げられる。また上記改質装置内の超臨界水又は亜臨界水の温度は400℃を越えかつ550℃以下であり、圧力は15MPaを越えかつ30MPa以下であることが好ましい。更に重質油の沸点は常圧換算で360℃を越えるものであり、中質油の沸点は180℃を越えかつ360℃以下であり、軽質油の沸点は40℃を越えかつ180℃以下である。
第1分離手段11は、重質油、中質油、軽質油及びガスからなる油分を含む高温高圧水の圧力及び温度を下げる第1圧力調整弁11bと、この第1圧力調整弁11bにより圧力及び温度が下げられた重質油、中質油、軽質油及びガスからなる油分を含む高温高圧水が貯留される第1密閉容器11cとを有する。第1圧力調整弁11bは一端が改質装置に接続された供給管11aの途中に設けられ、供給管11aの他端は第1密閉容器11cに接続される。改質装置で改質された重質油、中質油、軽質油及びガスからなる油分を含む高温高圧水は第1分離手段11により温度が300〜450℃の範囲内の所定の温度に下げられるとともに、圧力が5〜22MPaの範囲内の所定の温度に下げられる。ここで、重質油、中質油、軽質油及びガスからなる油分を含む高温高圧水の温度を300〜450℃の範囲内の所定の温度に下げるとともに、圧力を5〜22MPaの範囲内の所定の温度に下げたのは、高い熱エネルギの回収率と高い軽質油及び中質油の回収率を得るためである。なお、更に高い熱エネルギの回収率と更に高い軽質油及び中質油の回収率を得るためには、温度を340〜420℃の範囲内の所定の温度に下げるとともに、圧力を10〜20MPaの範囲内の所定の圧力に下げることが好ましい。また圧力を10MPaに下げたときは温度を340〜420℃の範囲内の所定の温度に下げ、圧力を15MPaに下げたときは温度を360〜420℃の範囲内の所定の温度に下げ、圧力を20MPaに下げたときは温度を380〜420℃の範囲内の所定の温度に下げることが更に好ましい。
第2分離手段12は、一端が第1密閉容器11cの下端に接続されたロア分岐管12aに設けられ第1密閉容器11cから排出された重質油を高温高圧水の一部とともに所定の圧力及び所定の温度に下げる第2メイン圧力調整弁12bと、ロア分岐管12aの他端に接続され第2メイン圧力調整弁12bにより圧力が下げられた重質油を高温高圧水の一部とともに貯留する第2密閉容器12cと、第2密閉容器12cの下端に接続された第2ロア排出管12dに設けられ第2密閉容器12c内の圧力を調整するとともに第2密閉容器12cから排出される重質油の排出量を調整する第2ロア圧力調整弁12eと、第2密閉容器12cの上端に接続された第2アッパ排出管12fに設けられ第2密閉容器12c内の圧力を調整するとともに第2密閉容器12cから排出される気相状態の高温高圧水の排出量を調整する第2アッパ圧力調整弁12gとを有する。第2アッパ排出管12fの第2アッパ圧力調整弁12gより下流側には、気相状態の高温高圧水から熱エネルギを回収するためのロア熱交換器12hが設けられる。
第1密閉容器11cの下端から排出された重質油は高温高圧水の一部とともに第2分離手段12の第2メイン圧力調整弁12b、第2ロア圧力調整弁12e及び第2アッパ圧力調整弁12gにより100〜350℃の範囲内の所定の温度に下げられるとともに、0.1〜4MPaの範囲内の所定の圧力に下げられる。ここで、圧力調整弁12b,12e,12gにより重質油等の圧力のみならず温度も下がるのは、減圧に伴う断熱膨張によるものである。また第1密閉容器11cの下端から排出された高温高圧水の一部は重質油に物理溶解した状態で含まれる。ここで、重質油を高温高圧水の一部とともに100〜350℃の範囲内の所定の温度に下げるとともに、0.1〜4MPaの範囲内の所定の圧力に下げたのは、重質油に物理溶解した高温高圧水の突沸による重質油の体積の著しい増加を防止して、重質油のハンドリングを容易にするためである。また重質油の融点は100〜250℃と高いため、重質油に水が混入している場合、大気圧に減圧することで温度が低下し、重質油が固化して配管を閉塞させてしまう場合がある。このため、重質油を高温高圧水の一部とともに、第2分離手段12により第1密閉容器11c内の温度よりは低いけれども、150℃以上の比較的高い温度に下げることが好ましい。具体的には、圧力を4MPaに下げたときは温度を250〜350℃の範囲内の所定の温度に下げ、圧力を1MPaに下げたときは180〜350℃の範囲内の所定の温度に下げ、圧力を0.1MPaに下げたときは120〜350℃の範囲内の所定の温度に下げることが好ましい。なお、不活性ガス等を第2密閉容器に供給すれば、第2アッパ排出管に設けた第2アッパ圧力調整弁とロア熱交換器の順序を逆にすることができる。
第3分離手段13は、一端が第1密閉容器11cの上端に接続されたアッパ分岐管13aに設けられ第1密閉容器11cの上端から排出された中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに第1の所定の温度に下げて熱エネルギを回収するメイン熱交換器13bと、アッパ分岐管13aのメイン熱交換器13bより下流側に設けられメイン熱交換器13bにより温度が下げられた中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに所定の圧力に下げる第3メイン圧力調整弁13cと、アッパ分岐管13aの第3メイン圧力調整弁13cより下流側に設けられ第3メイン圧力調整弁13cにより圧力が下げられた中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに第2の所定の温度に下げて更に熱エネルギを回収するサブ熱交換器13dと、アッパ分岐管13aの他端に接続されサブ熱交換器13dにより温度が下げられた中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに貯留する第3密閉容器13eとを有する。第3密閉容器13eの下端には第3ロア排出管13fが接続され、この第3ロア排出管13fには第3密閉容器13e内の圧力を調整するとともに第3密閉容器13eから排出される液相状態の水(高温高圧水の温度及び圧力が低下したもの)の排出量を調整する第3ロア圧力調整弁13gが設けられる。また第3密閉容器13eの上端には第3アッパ排出管13hが接続され、この第3アッパ排出管13hの途中には第3密閉容器13e内の圧力を調整するとともに第3密閉容器13eから排出されるガスの排出量を調整する第3アッパ圧力調整弁13iが設けられる。更に第3密閉容器13eの上下方向の中央には第3ミドル排出管13jが設けられ、この第3ミドル排出管13jには第3密閉容器13e内の圧力を調整するとともに第3密閉容器13eから排出される中質油及び軽質油の排出量を調整する第3ミドル圧力調整弁13kが設けられる。
上記メイン熱交換器13b、第3メイン圧力調整弁13c、サブ熱交換器13d、第3ロア圧力調整弁13g、第3アッパ圧力調整弁13i及び第3ミドル圧力調整弁13kにより第3密閉容器13e内の温度が0〜50℃、好ましくは0〜30℃の範囲内の所定の温度に下げられ、第3密閉容器13e内の圧力が1〜10MPa、好ましくは1〜4℃の範囲内の所定の圧力に下げられる。第3密閉容器13e内の温度を0〜50℃の範囲内の所定の温度に下げ、第3密閉容器13e内の圧力を1〜10MPaの範囲内の所定の圧力に下げたのは、第1密閉容器11cから排出された中質油、軽質油及びガスの持つ熱エネルギを回収するとともに、中質油及び軽質油と高温高圧水を、それぞれ確実に液相状態にするためである。また第3密閉容器13e内の圧力が低いと軽質油の一部がガス側(気相側)へ移行してしまい、その後の軽質油の回収が困難になるため、第3密閉容器13e内の圧力を1MPa以上とした。更に第3密閉容器13e内の温度は低い方が軽質油や水(高温高圧水の温度及び圧力が低下したもの)のガス側(気相側)への移行が少ないため、0〜50℃の範囲のできるだけ低い温度が望ましい。なお、メイン熱交換器で十分な冷却を達成できる場合には、サブ熱交換器を省略することができる。
このように構成された分離装置を用いた高温高圧水と油分の分離方法を説明する。
先ず石油アスファルト等の原料を超臨界水又は亜臨界水からなる高温高圧水により改質して得られた重質油、中質油、軽質油及びガスからなる油分は、第1圧力調整弁11bにて減圧された後に第1密閉容器11cに貯留される。第1密閉容器11c内の温度は第1圧力調整弁11bによる減圧操作で低下する。具体的には、第1密閉容器11c内の温度は、上記改質時よりは低いけれども比較的高い300〜450℃の範囲内の所定の温度に下げられるとともに、上記改質時よりは低いけれども比較的高い5〜22MPaの範囲内の所定の圧力に下げられる。これにより、高温高圧水に溶解していた重質油の一部の溶解度が低下するので、比重の大きい重質油は高温高圧水の一部とともに第1密閉容器11cの下部に移行し、中質油、軽質油及びガスは高温高圧水の残部とともに気相状態となって第1密閉容器11cの上部に移行する。なお、第1密閉容器11c内の圧力が高いほど熱エネルギの回収率が高くなる。また、第1密閉容器11c内の温度が低いと、中質油の一部も液相状態となって重質油とともに回収されてしまうため、第1密閉容器11c内の温度及び圧力を上記温度範囲及び圧力範囲で適切に選定する必要がある。
第1密閉容器11cの下部に貯まった重質油は高温高圧水の一部とともにロア分岐管12aを通り、第2メイン圧力調整弁12bにて減圧された後に、第2密閉容器12cに貯留される。第2密閉容器12c内の温度は第2メイン圧力調整弁12bによる減圧操作で低下する。具体的には、第2密閉容器12c内の温度は、第1密閉容器11c内より低い100〜350℃の範囲内の所定の温度に下げられるとともに、第1密閉容器11c内より低い0.1〜4MPaの範囲内の所定の圧力に下げられる。これにより重質油に物理溶解した高温高圧水が蒸発して重質油から分離されるので、重質油は液相状態のまま第2密閉容器12cの下部に移行し、蒸発して気相状態となった高温高圧水は第2密閉容器12cの上部に移行する。第2密閉容器12cの下部に貯まった重質油は第2ロア排出管12dを通り、第2ロア圧力調整弁12eで減圧された後に排出される。また第2密閉容器12cの上部に貯まった気相状態の高温高圧水は第2アッパ排出管12fを通り、第2アッパ圧力調整弁12gで減圧された後に、ロア熱交換器12hで熱エネルギが回収されて排出される。この気相状態の高温高圧水には重質油が含まれないため、第2アッパ圧力調整弁12gやロア熱交換器12hに粘度の高い重質油が付着しない。この結果、第2アッパ圧力調整弁12gの制御性を低下させず、ロア熱交換器12hの性能を低下させることなく、気相状態の高温高圧水の持つ熱エネルギを効率良く回収できる。
一方、第1密閉容器11cの上部に貯まった気相状態の中質油、軽質油及びガスは気相状態の高温高圧水の残部とともに、アッパ分岐管13aを通り、メイン熱交換器13bで冷却されかつ主な熱エネルギが回収され、第3メイン圧力調整弁13cで減圧され、更にサブ熱交換器13dで更に冷却されかつ熱エネルギが回収された後に、第3密閉容器13eに貯留される。第3密閉容器13e内の温度はメイン熱交換器13b及びサブ熱交換器13dにより低下する。具体的には、第3密閉容器13e内の温度は、第1密閉容器11c内より低い0〜50℃の範囲内の所定の温度に下げられるとともに、第1密閉容器11c内より低い0.1〜10MPaの範囲内の所定の圧力に下げられる。これにより、気相(ガス)と液相(水と中質油及び軽質油)とに分離する気液分離と、水と中質油及び軽質油とに分離する油水分離とが同時に行われるので、ガスと中質油及び軽質油と水とに分離される。具体的には、メイン熱交換器13b、第3メイン圧力調整弁13c及びサブ熱交換器13dにより、気相状態の高温高圧水が冷却・減圧されて水となり、気相状態の中質油及び軽質油が冷却・減圧されて液相状態の中質油及び軽質油となるけれども、ガスは気相状態のまま第3密閉容器13eに貯留される。そして比重の最も大きい水が第3密閉容器13eの下部に移行し、比重の最も小さいガスが第3密閉容器13eの上部に移行し、比重が水より小さくかつガスより大きい液相状態の中質油及び軽質油が第3密閉容器13eの上下方向の中央に移行する。
第3密閉容器13eの下部に貯まった水は第3ロア排出管13fを通り、第3ロア圧力調整弁13gで減圧された後に排出される。また第3密閉容器13eの上部に貯まったガスは第3アッパ排出管13hを通り、第3アッパ圧力調整弁13iで減圧された後に排出される。更に第3密閉容器13eの上下方向の中央に貯まった液相状態の中質油及び軽質油は第3ミドル排出管13jを通り、第3ミドル圧力調整弁13kで減圧された後に排出される。このように第1分離手段11で重質油から分離された中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに、メイン熱交換器13b、第3メイン圧力調整弁13c及びサブ熱交換器13dに通しても、これらの熱交換器及び圧力調整弁に粘度の高い重質油が付着しないので、熱交換器の性能を低下させることなく、中質油、軽質油及びガスと高温高圧水の残部の持つ熱エネルギを効率良く回収できるとともに、圧力調整弁の制御性を低下させることがない。即ち、熱交換器や圧力調整弁への重質油の付着・蓄積による劣化や作動不良が発生しないため、これらの性能及び制御性を維持することができる。更にエマルジョンの形成の原因となるアスファルテンやレジンといった主に重質油に含まれる成分が第1分離手段11にて分離されるため、水と中質油及び軽質油とを分離する油水分離の際にエマルジョンを形成し難く、効率良く水と中質油及び軽質油とを分離できる。
<第2の実施の形態>
図2は本発明の第2の実施の形態を示す。図2において図1と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、第2分離手段12で分離された気相状態の高温高圧水が供給手段31により第3分離手段13に供給される。供給手段31は、第2アッパ排出管12fとアッパ分岐管13aとを接続する連通管31aと、この連通管31aに設けられ第2密閉容器12c内の気相状態の高温高圧水の圧力を下げる連通用圧力調整弁31bとを有する。連通管31aの一端は第2アッパ排出管12fのうち第2密閉容器12cと第2アッパ圧力調整弁12gとの間に接続され、連通管31aの他端はアッパ分岐管13aのうち第3メイン圧力調整弁13cとサブ熱交換器13dとの間に接続される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
このように構成された高温高圧水と油分の分離装置では、第2密閉容器12c内の圧力が第3密閉容器13e内の圧力より高い場合、気相状態の高温高圧水が連通用圧力調整弁31bにより所定の圧力に下げられた後にサブ熱交換器13dに供給されるので、高温高圧水の持つ熱エネルギを更に効率良く回収できる。上記以外の動作は第1の実施の形態の動作と略同様であるため、繰返しの説明を省略する。
<第3の実施の形態>
図3は本発明の第3の実施の形態を示す。図3において図1と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、第2分離手段12,112が互いに並列に2系統設けられる、即ち一方の第2分離手段12と他方の第2分離手段112が同一に構成される。具体的には、一方の第2分離手段12は、ロア分岐管12aと、第2メイン圧力調整弁12bと、第2密閉容器12cと、第2ロア排出管12dと、第2ロア圧力調整弁12eと、第2アッパ排出管12fと、第2アッパ圧力調整弁12gと、ロア熱交換器12hとを有し、他方の第2分離手段112は、ロア分岐管112aと、第2メイン圧力調整弁112bと、第2密閉容器112cと、第2ロア排出管112dと、第2ロア圧力調整弁112eと、第2アッパ排出管112fと、第2アッパ圧力調整弁112gと、ロア熱交換器112hとを有する。他方の第2分離手段112のロア分岐管112aの一端は、一方の第2分離手段12のロア分岐管12aのうち第1密閉容器11cと第2メイン圧力調整弁12bとの間に接続される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
このように構成された分離装置を用いた高温高圧水と油分の分離方法を説明する。
先ず一方の第2分離手段12の第2メイン圧力調整弁12bを開くとともに、他方の第2分離手段112の第2メイン圧力調整弁112bを閉じて、一方の第2分離手段12により第1密閉容器11cから排出された重質油を高温高圧水の一部とともに処理する。そして所定の時間が経過したとき、一方の第2分離手段12の第2メイン圧力調整弁12bを閉じるとともに、他方の第2分離手段112の第2メイン圧力調整弁112bを開いて、他方の第2分離手段112により第1密閉容器11cから排出された重質油を高温高圧水の一部とともに処理する。この間に、使用を停止した一方の第2分離手段12の第2メイン圧力調整弁12b、第2密閉容器12c、第2ロア圧力調整弁12e等に付着した粘度の高い重質油を除去する。そして所定時間が経過したときに、一方の第2分離手段12の第2メイン圧力調整弁12bを開くとともに、他方の第2分離手段112の第2メイン圧力調整弁112bを閉じて、一方の第2分離手段12により第1密閉容器11cから排出された重質油を高温高圧水の一部とともに処理する。この間に、使用を停止した他方の第2分離手段112の第2メイン圧力調整弁112b、第2密閉容器112c、第2ロア圧力調整弁112e等に付着した粘度の高い重質油を除去する。このように、一方の第2分離手段12と他方の第2分離手段112とを交互運転して、不使用側の第2分離手段の各機器を洗浄することにより、第2メイン圧力調整弁や第2ロア圧力調整弁等の制御性を低下させることなく、重質油と高温高圧水との分離を連続的に行うことができる。
なお、第3の実施の形態では、一方の第2分離手段と他方の第2分離手段の切換え操作を所定時間毎に行ったが、第2メイン圧力調整弁又は第2ロア圧力調整弁のいずれか一方又は双方の前後に圧力センサを設け、この圧力センサの検出出力に基づいて一方の第2分離手段と他方の第2分離手段の切換え操作を行ってもよい。
次に本発明の実施例を詳しく説明する。
<実施例1>
原料として石油アスファルトを用い、超臨界水からなる高温高圧水による改質条件、即ち改質温度を480℃とし、改質圧力を25MPaとした。油分と高温高圧水の合計量を100重量%としたとき、上記改質後の各成分を次のように設定した。重質油を8重量%とし、中質油を3重量%とし、軽質油を2重量%とし、ガスを19重量%とし、高温高圧水を68重量%とした。この油分を含む高温高圧水を第1分離手段により、高温高圧水と軽質油及び中質油とを気相状態で分離し、減圧残油相当の重質油を液相状態で分離し、第1分離手段の第1密閉容器の温度条件及び圧力条件を変えて上記分離挙動の変化をコンピュータを用いて計算した。その結果を図4に示す。
図4から明らかなように、第1密閉容器内の温度が高いほど水と軽質油及び中質油の気相移行率が高くなるけれども、重質油の気相への移行も多くなることが分った。また圧力の影響としては、第1密閉容器内の圧力が低圧になるほど重質油の気相側への同伴が少なくなるけれども、製品の一つである中質油の軽油が液相へ残留し易くなる傾向があることが分った。これらのことから推測される第1密閉容器内での適切な分離条件は、圧力が20MPaであるとき温度は380〜420℃であり、圧力が15MPaであるとき温度は360〜420℃であり、圧力が10MPaであるとき温度は340〜420℃であると考えられる。
<実施例2>
第1分離手段の第1密閉容器から排出された液相状態の重質油を高温高圧水の一部とともに第2分離手段により、高温高圧水を気相状態で分離し、重質油を液相状態で分離し、第2分離手段の第2密閉容器の温度条件及び圧力条件を変えて上記分離挙動の変化をコンピュータを用いて計算した。その結果を図5に示す。
図5から明らかなように、重質油は液相状態であり、高温高圧水は圧力が低くなるに従って気相への移行率が増加することが分った。また第2密閉容器内の圧力が0.1MPa未満になると、重質油の粘度が増大し、ハンドリングが困難になるおそれがあると考えられるため、第2密閉容器内での適切な分離圧力は0.1〜4MPaの範囲内であると推測される。なお、第2密閉容器内での分離温度については、圧力が1MPaであるとき温度を180〜350℃とし、圧力が4MPaであるとき温度を250〜350℃とする必要であるけれども、重質油の粘度を低く維持するためには、より高い温度での分離操作が適切であると考えられる。
<実施例3>
第1分離手段の第1密閉容器から排出された気相状態の中質油、軽質油及びガスを高温高圧水の残部とともに第3分離手段により、ガスを気相状態で分離し、中質油及び軽質油と水とを液相状態で分離し、第3分離手段の第3密閉容器の温度条件及び圧力条件を変えて上記分離挙動の変化をコンピュータを用いて計算した。その結果を図6に示す。
図6から明らかなように、軽質油と水が気相側へ移行し難い分離条件としては、第3密閉容器内の圧力が1〜4MPaの範囲内の低温条件側が適切であると考えられる。
本発明第1実施形態の高温高圧水と油分の分離装置を示す構成図である。 本発明第2実施形態の高温高圧水と油分の分離装置を示す構成図である。 本発明第3実施形態の高温高圧水と油分の分離装置を示す構成図である。 第1分離器における各油分の温度変化及び圧力変化による気相移行率を示す図である。 第2分離器における各油分の温度変化及び圧力変化による気相移行率を示す図である。 第3分離器における各油分の温度変化及び圧力変化による気相移行率を示す図である。
符号の説明
11 第1分離手段
12,112 第2分離手段
13 第3分離手段
31 供給手段

Claims (6)

  1. 超臨界水又は亜臨界水からなる高温高圧水により改質して得られた重質油、中質油、軽質油及びガスからなる油分を含む前記高温高圧水を、第1分離手段にて300〜450℃の範囲内の所定の温度に下げかつ5〜22MPaの範囲内の所定の圧力に下げることにより、前記油分のうち前記重質油を前記高温高圧水の一部とともに液相状態のままとしかつ前記油分の残部である前記中質油、前記軽質油及び前記ガスを前記高温高圧水の残部とともに気相状態にして分離する工程と、
    前記第1分離手段で分離された前記重質油を前記高温高圧水の一部とともに、第2分離手段にて100〜350℃の範囲内の所定の温度に下げかつ0.1〜4MPaの範囲内の所定の圧力に下げることにより、前記重質油を液相状態のままとしかつ前記高温高圧水を気相状態にして分離する工程と、
    前記第1分離手段で分離された前記中質油、前記軽質油及び前記ガスを前記高温高圧水の残部とともに、第3分離手段にて0〜50℃の範囲内の所定の温度に下げかつ1〜10MPaの範囲内の所定の圧力に下げることにより、前記ガスを気相状態のままとしかつ前記中質油、前記軽質油及び前記高温高圧水を液相状態にして分離する工程と
    を含む高温高圧水と油分の分離方法。
  2. 第2分離手段で分離された気相状態の高温高圧水を第3分離手段に供給する工程を更に含む請求項1記載の高温高圧水と油分の分離方法。
  3. 第2分離手段が互いに並列に2系統設けられ、前記2系統の第2分離手段が交互に使用されるように構成された請求項1記載の高温高圧水と油分の分離方法。
  4. 超臨界水又は亜臨界水からなる高温高圧水により改質して得られた重質油、中質油、軽質油及びガスからなる油分を含む前記高温高圧水を、300〜450℃の範囲内の所定の温度に下げかつ5〜22MPaの範囲内の所定の圧力に下げることにより、前記油分のうち前記重質油を前記高温高圧水の一部とともに液相状態のままとしかつ前記油分の残部である前記中質油、前記軽質油及び前記ガスを前記高温高圧水の残部とともに気相状態にして分離する第1分離手段と、
    前記第1分離手段で分離された前記重質油を前記高温高圧水の一部とともに、100〜350℃の範囲内の所定の温度に下げかつ0.1〜4MPaの範囲内の所定の圧力に下げることにより、前記重質油を液相状態のままとしかつ前記高温高圧水を気相状態にして分離する第2分離手段と、
    前記第1分離手段で分離された前記中質油、前記軽質油及び前記ガスを前記高温高圧水の残部とともに、0〜50℃の範囲内の所定の温度に下げかつ1〜10MPaの範囲内の所定の圧力に下げることにより、前記ガスを気相状態のままとしかつ前記中質油、前記軽質油及び前記高温高圧水を液相状態にして分離する第3分離手段と
    を備えた高温高圧水と油分の分離装置。
  5. 第2分離手段で分離された気相状態の高温高圧水を第3分離手段に供給する供給手段を更に備えた請求項4記載の高温高圧水と油分の分離装置。
  6. 第2分離手段が互いに並列に2系統設けられ、前記2系統の第2分離手段が交互に使用されるように構成された請求項4記載の高温高圧水と油分の分離装置。
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