JP5005993B2 - 不揮発性半導体メモリ装置及びその製造方法と半導体メモリ・システム - Google Patents

不揮発性半導体メモリ装置及びその製造方法と半導体メモリ・システム Download PDF

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Description

この発明は、複数の絶縁膜からなる積層膜に電荷をトラップさせて情報を記憶する不揮発性半導体メモリ装置及びその製造方法と、その不揮発性半導体メモリ装置と電源装置とからなる半導体メモリ・システムとに関するものである。
不揮発性半導体メモリは、電荷を電荷蓄積膜に蓄積することで情報を記憶する。EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory:電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ)には、大別して電荷蓄積膜の種類が異なる2つの構造がある。1つは、ゲート絶縁膜上に電荷蓄積膜となる浮遊ゲートと呼ばれる導電体を酸化膜などで囲って電気的に絶縁された状態で設け、その浮遊ゲートに電荷を蓄積するFG(Floating Gate:フローティングゲート)型である。もう1つは、複数の絶縁膜を積層させた電荷蓄積膜を有し、この電荷蓄積膜内の電荷トラップに蓄積する電荷量を制御することによって情報の記憶を行うMNOS(Metal-Nitride-Oxide-Silicon)型やMONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)型である。
電荷を電荷蓄積膜に蓄積するには、絶縁膜内での電荷のトンネル現象を利用するFN(Fowler-Nordheim tunneling)書き込み方法と、CHE(Channel Hot Electron:チャネルホットエレクトロン)注入と呼ばれる最下層の絶縁膜の絶縁障壁を乗り越えられる程度にまで電荷をエネルギー的に励起する方法とがある。この電荷を励起して注入する方法には多くの提案をみる(例えば、特許文献1参照。)。
ここで、特許文献1に示されている従来技術を説明する。図23は、そのEEPROMの1つであるMONOS型の不揮発性半導体メモリ装置の構造を説明する模式的断面図であり、説明しやすいように特許文献1に示された従来技術の趣旨を逸脱しないように書き直した図である。
図23において、10はMONOS型の不揮発性半導体メモリ装置、11はp型の半導体基板、12はn型のソース領域、13はn型のドレイン領域、24は3層の絶縁膜からなる積層膜、15はゲート電極である。
積層膜24は、最も半導体基板11に近いトンネル酸化膜241と、中間層の窒化シリコン膜であるメモリ窒化膜242と、最上層に設けるトップ酸化膜243とからなる。
さらに、この不揮発性半導体メモリ装置10は、半導体基板11におけるソース領域12とドレイン領域13との間のチャネル領域17の端のドレイン領域13と接する部分に、半導体基板11より不純物濃度が高いp型の高濃度領域16を設けている。このチャネル領域17の上部に積層膜24を設けている。
情報の書き込み時には、ソース領域12の電位を基準としてドレイン領域13に書き込みドレイン電圧を印加し、ゲート電極15に書き込みゲート電圧を印加する。これにより、電位の基準としたソース領域12から、p型の半導体基板11にとっての少数キャリアである電子が供給される。この少数キャリアは、チャネル領域17内でチャネル方向の電界によって加速される。少数キャリアは、チャネル領域のドレイン領域13の端付近で高エネルギーを得て、積層膜24のトンネル酸化膜241の電位障壁を乗り越えて積層膜24に注入され、メモリ窒化膜242に蓄えられる。
このとき、高濃度領域16の存在により、チャネル方向の電界の集中性がチャネル領域17のドレイン領域13の端付近で高くなり、より多くの電荷が積層膜24に効率良く注入されてメモリ窒化膜242に蓄えられる。
情報の読み出し時には、ソース領域12とドレイン領域13のいずれか一方の電位を基準として他方に読み出し電圧を印加し、ゲート電極15に読み出しゲート電圧を印加する。ソース領域12とドレイン領域13との間に電流が流れ始めるゲート電圧の閾値が、積層膜24の電荷蓄積量に応じて変化するので、このMONOS型の不揮発性半導体メモリ装置に上記のように読み出し電圧を印加した時のソース・ドレイン電流の大小あるいは有無によって、記憶情報の有無を判別する(読み出す)ことができる。
書き込み時と同様に、このときも高濃度領域16の存在により、チャネル方向の電界の集中性が一部で高まるが、トンネル酸化膜241の電位障壁を乗り越える程のエネルギーは付与されず、誤書き込みは防止される。
情報の消去時には、半導体基板11の電位を基準としてドレイン領域13に正電圧を印加し、ゲート電極15に負電圧を印加する。
これにより、書き込まれた電荷(電子)と逆極性の電荷(ホール)がドレイン領域13から積層膜24内に供給され、メモリ窒化膜242内で極性の異なる電荷同士が結合して中和するため、情報が消去される。
特許文献1に示された従来技術は、高濃度領域16を設けたことにより、情報の書き込み時には、より多くの電荷が積層膜24に効率良く注入されるため、書き込み電圧を低電圧化することができる。また、読み出し時には、積層膜24への不要な電荷の注入がないため、誤書き込みがないという特徴を有する。
特開2004−214365号公報
特許文献1に示された従来技術は、このように高濃度領域16を設けたことによって、その上部の積層膜24への電荷の注入を効率よくしているが、情報の書き込み時にさらに効率を上げようとすると、ゲート電極15に印加する書き込みゲート電圧を上げる必要がある。それによって、高濃度領域16の上部の積層膜24に注入される電荷は増加する。
ところが、積層膜24はチャネル領域17全体に亘って同じ厚さに形成されているから、チャネル領域全体に高い電界が印加されてしまう。そうすると、チャネル領域17のドレイン領域13の端付近の高濃度領域16近傍で高エネルギーを得て積層膜24に注入されるはずの電荷(電子)が、この高濃度領域16に到達する前の領域で、ある確率で積層膜24に注入されてしまう。
また、ゲート電極15に印加する書き込みゲート電圧が大きくなると、ドレイン領域13に印加する書き込みドレイン電圧との差も大きくなり、チャネル領域17のチャネル方向の電界よりそれと直交する方向の電界によりソース領域12の近傍で発生した電荷はその加速が十分になされず、ドレイン領域13の近傍まで到達しても積層膜24の電位障壁を乗り越えるために必要な高エネルギーを得られず、正常な書き込み自体もなされなくなる恐れがある。
このように、積層膜24の所定の部分への正常な電荷の注入が減り、意図しない部分への電荷の注入がなされると、不揮発性半導体メモリ装置の閾値は、正常な書き込みがなされたものとは異なる値になってしまう。
そのような状況は誤書き込みの一種であって、情報が正常に書き込まれているものではないから、書き込み状態が安定せず、書き込み後の閾値を制御できないことになる。
不揮発性半導体メモリ装置は、その閾値の変化で書き込みや消去の状態を知ることができる。すなわち閾値がどの範囲にあるかによって、書き込まれた情報の意味が確定している。そのため、意図しない閾値になってしまっては、書き込んだ時点で情報の意味が誤ったものとなるか、もしくは時間経過による閾値の変動に対するマージン、すなわち記憶保持特性が悪化してしまう。いずれにしても、記憶装置としての信頼性が低下してしまうことになる。
さらに、近年の半導体装置は、半導体素子の微細化や高集積化に伴って、駆動電圧の低電圧化が要求されている。不揮発性半導体メモリ装置においても同様であるが、さらにメモリ装置は、書き込み電圧や消去電圧の低電圧化も要求されている。しかし、上述のように情報の書き込み時にさらに効率を上げようとして書き込みゲート電圧を上げることは、その要求に逆行する。
したがって、特許文献1に示されている不揮発性半導体メモリ装置は、より効率を上げた書き込みを実施しようとすると、ゲート電極に印加する書き込みゲート電圧を大きくしなければならず、そうすると、不揮発性半導体メモリ装置として安定しなくなり、かつ、近年の半導体装置の微細化に伴う低電圧化の要求にも対応できないという問題があった。
また、近年注目を集めている不揮発性半導体メモリに多値メモリがある。多値メモリとは、1つの記憶素子に複数の情報を記憶させるものであって、記憶素子1つ当たりに蓄積できる情報量が増えるため、同じメモリチップの集積度でも飛躍的に蓄積情報量が増える技術として注目されている。
しかし、特許文献1に示されている不揮発性半導体メモリ装置は、多値メモリとして用いることはできなかった。
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、MONOS型に代表される複数の絶縁膜からなる積層膜に電荷をトラップさせて情報を記憶する不揮発性半導体メモリ装置において、ゲート電極に印加する書き込み電圧を上げることなく、積層膜に効率よく電荷を注入して情報を書き込めるようにすることを共通の目的とする。さらに、情報の高密度記憶を可能にする多値メモリとして使用できるようにすることや、ゲート電極に電圧を印加しなくても記憶情報を読み出せるようにすること、あるいは情報の書き込みと消去を行うための電源装置の構成を簡単にした半導体メモリ・システムを提供することも目的とする。
この発明による不揮発性半導体メモリ装置は、第1導電型の半導体基板の表面付近に互いに離間して第2導電型の第1拡散領域と第2拡散領域とを有し、その第1拡散領域と第2拡散領域との間のチャネル領域の上部に複数の絶縁膜を積層してなる積層膜を設け、その積層膜の上部にゲート電極を有する不揮発性半導体メモリ装置であって、上記共通の目的を達成するために次のように構成する。
上記チャネル領域の一部に、上記第1拡散領域と第2拡散領域とのいずれか一方にのみ接し、上記半導体基板より不純物濃度が高い第1導電型の第3拡散領域を少なくとも1つ設け、上記積層膜を構成する複数の絶縁膜のうちの最上層の絶縁膜は、上記第3拡散領域と平面的に重なる部分だけ上記第3拡散領域と平面的に重ならない部分に比べて膜厚を薄くしたものである。
上記第3拡散領域を、上記第1拡散領域にのみ接する領域と上記第2拡散領域にのみ接する領域とにそれぞれ設けることにより、2ビットの情報を記憶できる多値メモリとすることができる。
上記積層膜を構成する最上層の絶縁膜は、上記チャネル領域と第3拡散領域との境界部の上部に段差部を有するのが望ましい。
上記積層膜は、下層からトンネル酸化膜、メモリ窒化膜、及びトップ酸化膜を順次積層してなり、そのトップ酸化膜が上記最上層の絶縁膜であるとよい。
これらの不揮発性半導体メモリ装置において、上記第1拡散領域と第2拡散領域との間のチャネル領域における上記第3拡散領域が設けられていない領域に、上記第1拡散領域及び第2拡散領域より不純物濃度が低い第2導電型の第4拡散領域を設けるとよい。
この発明による半導体メモリ・システムは、上記いずれかの不揮発性半導体メモリ装置と、その不揮発性半導体メモリ装置に情報を書き込む書き込み時に印加する書き込み電圧と書き込まれた情報を消去する消去時に印加する消去電圧として同極性の電圧を発生する電源装置とによって構成したものである。
上記電源装置は、上記不揮発性半導体メモリ装置の半導体基板を常に接地電位にする接地回路と、上記書き込み時に上記第1拡散領域又は第2拡散領域と上記ゲート電極に印加するための正又は負の書き込み電圧を発生する書き込み電圧発生回路と、上記消去時に上記ゲート電極に印加するために上記書き込み電圧より絶対値が大きく同極性の消去電圧を発生する消去電圧発生回路とを有するのが望ましい。
この発明による不揮発性半導体メモリ装置の製造方法は、次の各工程を有することを特徴とする。
第1導電型の半導体基板の表面付近に第2導電型の拡散領域によるソース領域とドレイン領域を互いに離間して形成する工程、
上記半導体基板の上記ソース領域とドレイン領域との間の領域の一部に上記ソース領域とドレイン領域とのいずれか一方にのみ接するように、上記半導体基板より不純物濃度が高い第1導電型の高濃度領域を少なくとも1つ形成する工程、
上記ソース領域とドレイン領域との間の領域の上記半導体基板の上部に複数の絶縁膜を積層して積層膜を形成し、その積層膜と上記高濃度領域とが平面的に重なる部分の該積層膜を構成する最上層の絶縁膜の膜厚を他の部分に比べて薄くする工程、
上記積層膜の上部にゲート電極を形成する工程、
この発明による不揮発性半導体メモリ装置の製造方法はまた、次の各工程を有するようにしてもよい。
第1導電型の半導体基板の表面付近に該半導体基板より不純物濃度が高い第1導電型の高濃度領域を1つ又は間隔をあけて2つ形成する工程、
上記半導体基板の後工程でソース領域とドレイン領域とを互いに離間して形成する領域の間の領域の上部に複数の絶縁膜を積層して積層膜を形成し、その積層膜と上記高濃度領域とが平面的に重なる部分の該積層膜を構成する最上層の絶縁膜の膜厚を他の部分に比べて薄くする工程、
上記積層膜の上部にゲート電極を形成する工程、
上記半導体基板の表面付近に上記高濃度領域を挟んで互いに離間して対向する第2導電型の拡散領域によるソース領域とドレイン領域とを、上記高濃度領域が1つの場合はいずれか一方のみが該高濃度領域に接するように、上記高濃度領域が2つの場合は上記ソース領域が一方の高濃度領域にのみ、上記ドレイン領域が他方の高濃度領域にのみ接するように形成する工程、
これらの不揮発性半導体メモリ装置の製造方法において、上記半導体基板の上記ソース領域とドレイン領域との間の上記高濃度領域を設けない領域に、上記ソース領域及びドレイン領域より不純物濃度が低い第2導電型の拡散領域を形成する工程を有するとなおよい。
この発明による不揮発性半導体メモリ装置は、上記積層膜を構成する複数の絶縁膜のうちの最上層の絶縁膜は、上記第3拡散領域と平面的に重なる部分だけ重ならない部分に比べて膜厚を薄くしたので、情報の書き込み時において、ゲート電極からの電界を第3拡散領域の上部により強く印加できるため、積層膜の第3拡散領域と平面的に重なる部分への電荷の注入効率が向上する効果がある。
したがって、ゲート電極に印加する書き込みゲート電圧は一定であっても、チャネル領域における第3拡散領域の上部にのみ強い電界が加わるので、第3拡散領域の上部の積層膜に効率よく電荷を注入してその中間層に電荷を蓄えることができ、チャネル領域の他の部分での不測の誤書き込みが発生しない。
そのため、書き込みゲート電圧を下げても、チャネル領域の所定の部分すなわち第3拡散領域の上部の積層膜に正常に書き込みができることになり、近年の半導体装置の低電圧化に対応できる。
さらに、第3拡散領域をソース領域側とドレイン領域側とにそれぞれ独立して設けることによって、書き込み時のソース領域とドレイン領域との電圧印加条件を入れ換えることにより、積層膜の両端部のどちらにでも電荷を蓄えることができる。すなわち、積層膜の両端部を独立したビットとして扱うことができ、多値メモリである2ビットメモリの実現が可能になる。
多値メモリは、メモリ素子の所定の部分にのみ所定量の電荷を注入する必要があるが、この発明の不揮発性半導体メモリ装置は、所定の部分である第3拡散領域の上部以外への誤書き込みがないので、多値メモリに好適である。
また、チャネル領域における第3拡散領域が設けられていない領域に、第1拡散領域及び第2拡散領域より濃度が低い第2導電型の第4拡散領域を設けることにより、消去後の閾値を0V以下まで下げてデプレッションにすることができ、ゲート電極に電圧を印加しなくても記憶情報の読み出しが可能になる。それによって、誤書込みによる記憶情報の劣化を防ぐことができる。
この発明による半導体メモリ、システムは、不揮発性半導体メモリ装置に情報を書き込む際に印加する書き込み電圧と情報を消去する際に印加する消去電圧が全て同極性の電圧であるから、情報の書き込みと消去とを行うための電源装置の構成を簡単にすることができる。
また、半導体基板の電位を常に0Vにすることができるので、複数の素子を同一の半導体基板上に形成する際に、絶縁膜によって素子分離をする必要がなくなり、半導体装置のスペース効率を高められる。
この発明による不揮発性半導体メモリ装置の製造方法によれば、上記不揮発性半導体メモリ装置を効率よく安価に製造することができる。
〔不揮発性半導体メモリ装置の第1実施例:図1〕
図1は、この発明による不揮発性半導体メモリ装置の第1実施例を説明するための模式的断面図である。
図1において、1はMONOS型の不揮発性半導体メモリ装置であり、11は第1導電型(この例ではp型)の半導体基板、12は半導体基板11と反対の第2導電型(この例ではn型)の第1拡散領域であるソース領域、13は同じく第2導電型(n型)の第2拡散領域であるドレイン領域である。
ソース領域12及びドレイン領域13は、半導体基板11の表面付近に互いに離間して所定の間隔をあけて形成されている。この半導体基板11のソース領域12とドレイン領域13との間の領域はチャネル領域17であり、その上部に複数層の絶縁膜を積層してなる積層膜14を設けている。その積層膜14上にはゲート電極15を設けている。
この半導体基板11のチャネル領域17の表層部には、ソース領域12とドレイン領域13のうちのドレイン領域13とのみ接する高濃度領域16を設けている。この高濃度領域16は、半導体基板11より不純物濃度が高い第1導電型であるp型の第3拡散領域である
積層膜14の複数層の絶縁膜としては、半導体基板11に接する最下層のトンネル酸化膜141と、中間層の窒化シリコン膜であるメモリ窒化膜142と、最上層のトップ酸化膜143が順次積層されている。
そして、最上層の絶縁膜であるトップ酸化膜143は、第3拡散領域である高濃度領域16と平面的に重なる部分だけが高濃度領域16と平面的に重ならない部分に比べて膜厚が薄い。図1に示す例では、ドレイン領域13側の膜厚が薄く、その他の部分の膜厚が厚い。つまり、チャネル領域17における高濃度領域16がある領域とない領域との境界部分の上部のトップ酸化膜143に段差部20を有している。
この段差部20は、トップ酸化膜143の膜厚が厚い部分と薄い部分の間の急峻な膜厚の変化によって形成される膜厚方向の面である。
なお、トップ酸化膜143以外の各層、すなわちトンネル酸化膜141とメモリ窒化膜142は、チャネル領域17上の全体に亘って均一な厚さを有する。ゲート電極15は、トップ酸化膜143の膜厚が薄くなった部分も含め、トップ酸化膜143上に形成する。
この発明の不揮発性半導体メモリ装置は、チャネル領域の一部にソース領域12とドレイン領域13とのいずれか一方にのみ接するように設けた高濃度領域16と、積層膜14の最上層であるトップ酸化膜143の膜厚がこの高濃度領域16の上部だけ他の部分より薄いこととが特徴である。
したがって、高濃度領域16をソース領域12にのみ接するように設け、その上部のトップ酸化膜143の膜厚を他の部分より薄くして、図1と左右反対に構成してもよい。
さらに、高濃度領域16をソース領域12側とドレイン領域13側との両方に独立して設けてもよいが、それは次の第2実施例で説明する。
次に、この実施例の不揮発性半導体メモリ装置1の動作を引き続き図1を用いて説明する。ここでは、高濃度領域16を図示のようにドレイン領域13側に設けた例によって説明する。
情報の書き込み時には、ソース領域12の電位を基準としてドレイン領域13に書き込みドレイン電圧を印加し、ゲート電極15に書き込みゲート電圧を印加する。
これにより、電位の基準としたソース領域12から、p型の半導体基板11にとっての少数キャリアである電子がチャネル領域17に供給され、その少数キャリアは、チャネル領域17内をチャネル方向の電界によって加速される。
それは、図1においてチャネル領域17に左から右に向かう矢印方向である。その加速された少数キャリアは、チャネル領域17のドレイン領域13の近傍で高エネルギーを得て、積層膜14のトンネル酸化膜141の電位障壁を乗り越えてメモリ窒化膜142に注入される。図1における高濃度領域16から上向きの矢印方向に注入される。
トップ酸化膜143には段差部20があり、この段差部20は切り立った縦端面を有している。これにより急激に膜厚に差ができ、書き込みゲート電圧の電界が強く印加される部分とそうでない部分とがより強く区別される。その境界である縦端面は、チャネル領域17の高濃度領域16が有る部分と無い部分との境界と平面的にほぼ一致している。
したがって、トップ酸化膜143の膜厚が薄い部分と高濃度領域16とが平面的に重なる部分にだけ、より強い電界が印加され、ゲート電極15の右端部のトップ酸化膜143の膜厚が薄い領域の積層膜14中に局所的に効率良く電荷(電子による負電荷)が蓄えられる。
積層膜14の電荷を蓄える場所がドレイン領域13の近傍であるため、ソース領域12の近傍の積層膜14は、その膜厚を厚くしてもよい。重要なことは、高濃度領域16と積層膜14とが平面的に重なる部分のトップ酸化膜143の膜厚が薄いということである。
ソース領域12の近傍の積層膜14全体の総膜厚又はトップ酸化膜143の膜厚を厚くすると、その場所ではチャネル領域17と直交する方向の電界が弱まる。よって、ソース領域12から半導体基板11に供給された少数キャリアが加速される初期の段階においては、チャネル領域17方向、すなわち図1では左から右に向かう矢印方向の電界の影響のみを強く受けるため、ソース領域12の近傍の積層膜14に誤って電荷が蓄えられてしまうのを防止することができる。
この実施例の不揮発性半導体メモリ装置1の電圧条件は、特に限定しないが、次のようなものが好ましい。ここで、「ゲート電圧」は、ゲート電極15に印加する電圧、「ドレイン電圧」はドレイン領域13に印加する電圧である。
書き込み時は、例えば、ゲート電圧を+4V、ドレイン電圧を+3V、ソース領域12と半導体基板11とは0Vとする。
消去時は、例えば、ゲート電圧を−3V、ドレイン電圧を+5V、ソース領域12と半導体基板11とは0Vとする。
読み出し時は、例えば、ゲート電圧を+1.5V、ドレイン電圧を+1.5V、ソース領域12と半導体基板11とは0Vとする。
このように、ソース領域12と半導体基板11とは常に0V(接地電位)であるから、
同一の半導体基板に複数の素子を作り込む集積型のデバイスにこの不揮発性半導体メモリ装置1を組み込んでも、動作中に半導体基板の電圧が変化することがなく、他の素子に影響を与えないので好ましい。
そして、書き込みゲート電圧を低くしても、情報の書き込みを確実に行うことができ、近年の半導体装置の低電圧化に対応できる。さらに、読み出し時のゲート電圧も小さくて済むので、誤書き込みによる記憶情報の劣化を防ぐことができる。読み出し回数は書き込みや消去回数に比べて非常に多いので、1回ごとの読み出しでは誤書き込みが発生しなくても、読み出し時間の累積によって誤書き込みが発生する。しかし、読み出し時のゲート電圧を小さくすれば、その累積時間を長くすることができる。
高濃度領域16と積層膜14のトップ酸化膜143の膜厚が薄い部分とを、図1と左右反転してソース領域12側に設けた場合には、上記電圧条件を、ドレイン領域13と半導体基板11とを常に0Vにし、ドレイン電圧をソース領域12に印加するソース電圧に変更すればよい。
〔不揮発性半導体メモリ装置の第2実施例:図2〕
図2は、この発明による不揮発性半導体メモリ装置の第2実施例を説明するための模式的断面図である。図2において、図1と対応する部分には同じ符号を付してあり、それらの説明は省略する。なお積層膜14は、その最上層の絶縁膜であるトップ酸化膜143の形状が図1の実施例とは異なっているが、便宜上同じ符号を付している。
このMONOS型の不揮発性半導体メモリ装置2は、半導体基板11の第1拡散領域であるソース領域12と第2拡散領域であるドレイン領域13との間のチャネル領域17の表層部に、第3拡散領域としてソース領域12とのみ接する第1の高濃度領域16aと、ドレイン領域13とのみ接する第2の高濃度領域16bとを独立して設けている。
そして、積層膜14を構成する複数の絶縁膜のうちの最上層のトップ酸化膜143は、第1の高濃度領域16a及び第2の高濃度領域16bとそれぞれ平面的に重なる部分の膜厚を、それらと重ならない他の部分より薄くして、高濃度領域16a側の境界部の上方に段差部21を、第2の高濃度領域16b側の境界部の上方に段差部20を有している。
このような構成にすることによって、半導体基板11とゲート電極15との間に電圧を印加した場合に、トップ酸化膜143の膜厚が薄い箇所に発生する電界が他の箇所に発生する電界よりも強まるため、局所的に効率良く積層膜14に電荷を注入することができる。その際、第1の高濃度領域16aと第2の高濃度領域16bとがその直下にあるために、少数キャリアは、チャネル領域17のこれら高濃度領域16a,16b付近で高エネルギーを得て、さらに効率よく積層膜14に注入され、メモリ窒化膜142の両端部付近に蓄積される。したがって、その両端部を独立した記憶ビットとする多値メモリである2ビットメモリとして使用することができる。
次に、この不揮発性半導体メモリ装置2の多値メモリとしての動作を説明する。ここでは、積層膜14のソース領域12の近傍に情報を書き込む場合を説明する。もちろんこの書き込みを、すでに第1実施例で説明した積層膜14のドレイン領域13の近傍に情報を書き込む前に行っても後に行ってもよい。
この場合の情報の書き込み時には、ドレイン領域13の電位を基準としてソース領域12に書き込みソース電圧を印加し、ゲート電極15に書き込みゲート電圧を印加する。
これにより、電位の基準としたドレイン領域13から、p型の半導体基板11にとっての少数キャリアである電子が供給される。この少数キャリアは、チャネル領域17内でチャネル方向の電界によって、図2で右から左に向かう矢印方向に加速される。その少数キャリアは、チャネル領域17のソース領域12の近傍で高エネルギーを得て、積層膜14のトンネル酸化膜141の電位障壁を乗り越えて積層膜14内に注入され、メモリ窒化膜142に蓄積される。
このとき、積層膜14のドレイン領域13の近傍への情報の書き込み時と同様に、ソース領域12の近傍の積層膜14の膜厚が薄い部分では、それ以外の部分と比べて、より強い電界が発生するため、積層膜14の左端部のメモリ窒化膜142内に局所的に効率良く電荷が蓄えられる。
積層膜14のドレイン領域13の近傍に記憶された情報を消去する場合には、半導体基板11の電位を基準としてドレイン領域13に正電圧を印加し、ゲート電極15に負電圧を印加する。
これにより、書き込まれた電荷と逆極性の電荷(ホール)がドレイン領域13から積層膜14内に供給され、極性の異なる電荷同士が結合して中和されるため、図2において右端部の蓄積電荷による情報が消去される。
積層膜14のソース領域12の近傍に記憶された情報を消去する場合には、半導体基板11の電位を基準としてソース領域12に正電圧を印加し、ゲート電極15に負電圧を印加する。
これにより、書き込まれた電荷と逆極性の電荷がソース領域12から積層膜14内に供給され、図2において左端部の蓄積電荷による情報が消去される。
このように、この実施例によれば、積層膜14の両端部に局所的に効率良く電荷を蓄えられるため、その両端部を独立した記憶ビットとする多値(2ビット)メモリとして使用できる。
この書き込み情報の読み出し方法については、従来から試みられている種々の方法を適用可能であるが、この発明に特有のことではないので、説明を省略する。
〔不揮発性半導体メモリ装置の第3実施例:図3、図5〕
図3は、この発明による不揮発性半導体メモリ装置の第3実施例を説明するための模式的断面図である。この図3においても、図1と対応する部分には同じ符号を付しており、それらの説明は省略する。
この第3実施例の不揮発性半導体メモリ装置3は、図1に示した不揮発性半導体メモリ装置1とほぼ同様な構造であり、半導体基板11の第1拡散領域であるソース領域12と第2拡散領域であるドレイン領域13との間のチャネル領域17の表層部の第3拡散領域である高濃度領域16が設けられていない領域に、ソース領域12及びドレイン領域13より不純物濃度が低い第2導電型(n型)の第4拡散領域18を設けた点だけが相違している。
この不揮発性半導体メモリ装置3においては、チャネル領域17の不純物濃度の違いや積層膜14の膜厚の違いにより、第4拡散領域18での閾値電圧VTaと第3拡散領域である高濃度領域16での閾値電圧VTbとの2つの異なる閾値電圧が存在する。そのため、不揮発性半導体メモリ装置3としての閾値電圧VTは、閾値電圧VTaとVTbのうち、値の高い(プラス側の)方の閾値になる。
高濃度領域16での閾値電圧VTbは、積層膜14への電荷の蓄積状態によって可変である。そのため、情報書き込み後はその閾値電圧VTbが高くなり、不揮発性半導体メモリ装置3の閾値電圧VTは、VT=VTbとなるので、積層膜14への電荷の蓄積状態をコントロールすることにより、所望の閾値電圧VTとすることができる。
一方、消去後の閾値電圧VTは、積層膜14に蓄積された負電荷が正電荷の注入によって中和され、高濃度領域16での閾値電圧VTbが低い値になるため、VT=VTaとなり、この不揮発性半導体メモリ装置3が製造された時点で決まった値になる。
したがって、チャネル領域17に第4拡散領域18を形成することによって、消去後の閾値電圧VTを0V以下に下げ、デプレッションにすることができる。
図5は、この不揮発性半導体メモリ装置3のソース領域12とドレイン領域13の間(S−D間)に1.5Vの電圧を印加した状態で、ゲート電圧(ゲート電極15に印加する電圧)とソース・ドレイン電流(ソース領域12とドレイン領域13の間に流れる電流)との関係を示す線図である。曲線bは情報書き込み後の特性を示し、閾値電圧VT=VTbが+1Vの例である。曲線aは消去後の特性を示し、閾値電圧VT=VTaが−1Vの例である。
このように、書き込み後の閾値電圧をプラス方向、消去後の閾値電圧をマイナス方向にすることによって、読み出し時にはゲート電極15に電圧を印加することなくデータの読み出し(判別)が可能になり、読み出し電圧を印加することによる誤書き込みを防ぐことができる。したがって、繰り返し多数回の読み出しに耐えられる信頼性の高い不揮発性半導体メモリ装置を実現できる。
すなわち、図5においてゲート電圧を0Vにした時に、ソース・ドレイン電流が流れれば消去状態(情報なし:0)、ソース・ドレイン電流が流れなければ書き込み状態(情報あり:1)と判別できる。
書き込み時及び消去時の電圧条件は第1実施例の場合と同様である。
〔不揮発性半導体メモリ装置の第4実施例:図4〕
図4は、この発明による不揮発性半導体メモリ装置の第4実施例を説明するための模式的断面図である。この図4においても、図1から図3と対応する部分には同じ符号を付してあり、それらの説明は省略する。
この第4実施例の不揮発性半導体メモリ装置4は、図2に示した不揮発性半導体メモリ装置2とほぼ同様な構造であり、チャネル領域17の表層部の第3拡散領域である2つの高濃度領域16aと16bとが設けられていない領域に、ソース領域12及びドレイン領域13より不純物濃度が低い第2導電型(n型)の第4拡散領域18を設けた点だけが相違している。
この不揮発性半導体メモリ装置においては、第4拡散領域18での閾値電圧VTaと第3拡散領域である高濃度領域16bでの閾値電圧VTbと高濃度領域16aでの閾値電圧VTcの3つの異なる閾値電圧が存在する。
消去後の閾値電圧VTは、積層膜14に蓄積された負電荷が正電荷の注入によって中和され、高濃度領域16aでの閾値電圧VTcと高濃度領域16bでの閾値電圧VTbとが十分低い値になるため、VT=VTaとなり、この不揮発性半導体メモリ装置が製造された時点で決まった値になる。
したがって、チャネル領域17に第4拡散領域18を形成することによって、消去後の閾値電圧VTを0V以下に下げ、デプレッションにすることができる。
しかし、書き込み後の閾値電圧VTは、積層膜14のいずれの端部に電荷が蓄積されているか、あるいは両端部に電荷が蓄積されているかによって異なる。
この書き込み情報の読み出し方法は、従来から試みられている多値メモリの読み出し方法と同様であり、ソース領域に印加する電圧とドレイン領域に印加する電圧とを入れ換えて2回の読み出しを実施することにより、多値情報の読み出しができる。
この不揮発性半導体メモリ装置4も、第2実施例の不揮発性半導体メモリ装置2と同様に多値メモリとして使用できる。書き込み時及び消去時の電圧条件は第2実施例の場合と同様である。
〔半導体メモリ・システムの実施例:図6〜図10〕
次に、この発明による半導体メモリ・システムの実施例について説明する。
この発明による前述した各実施例の不揮発性半導体メモリ装置は、いずれも半導体基板11を常に0V(接地電位)に保ち、ゲート電極15及びソース領域12又はドレイン領域13に同極性の書き込み電圧を印加して情報を書き込み、ゲート電極15に書き込み電圧と同極性の消去電圧を印加することによってその情報を消去することができる。
そのための半導体メモリ・システムの実施例について以下に説明する
ここで、一般的なNOR型回路及びNAND型回路に用いられる不揮発性半導体メモリ装置と、本発明による不揮発性半導体メモリ装置とについて、書き込み時(Write)と消去時(Erase)との各部に印加する電圧の例を比較して、図6及び図7に示す。図6は各印加電圧の正負と0V(接地電位)との種別を示し、図7はその具体的な電圧値を例示している。
これらの図中で、使用している各記号はそれぞれ次の意味である。
CHE:チャネルホットエレクトロン
FN:電荷のトンネル現象を利用する
VG:ゲート電圧 VD:ドレイン電圧 VS:ソース電圧
VB:バルク(半導体基板)電圧 HV:正電圧 NV:負電圧
HHV:HVより高い正電圧
この図6及び図7から判るように、一般的なNOR型回路では正負の電源が必要であり、NAND型回路では半導体基板(バルク)の電位VBが0VとHV(+7V)に変動する。この発明の不揮発性半導体メモリ装置では、半導体基板(バルク)の電位VBは常に0Vであり、正電圧を発生する電源のみで書き込みと消去を行うことができる。
図8は、この発明による半導体メモリ・システムの基本的な構成を示すシステム構成図である。この半導体メモリ・システムは、前述したこの発明による不揮発性半導体メモリ装置1〜4のいずれかと、その不揮発性半導体メモリ装置に情報を書き込む書き込み時に印加する書き込み電圧と書き込まれた情報を消去する消去時に印加する消去電圧として、いずれも正電圧を発生する電源装置30とからなる。
図9はその具体的な実施例を示すブロック図であり、不揮発性半導体メモリ装置が図1又は図3に示した不揮発性半導体メモリ装置1又は3(以下代表して1とする)の場合の例である。図中不揮発性半導体メモリ装置1の半導体基板11の端子をB端子、第1拡散領域であるソース領域12の端子をS端子、第2拡散領域であるドレイン領域13の端子をD端子、ゲート電極15の端子をG端子とする。図9に示す外枠内の不揮発性半導体メモリ装置1を除く部分が電源装置30を構成している。
この電源装置30は、不揮発性半導体メモリ装置1のB端子とS端子とを常に接地電位にする接地回路31と、書き込み時にD端子に印加する書き込みドレイン電圧VDw及びG端子に印加する書き込みゲート電圧VGwを発生する書き込み電圧発生回路32と、消去時にG端子に印加する消去ゲート電圧VGeを発生する消去電圧発生回路33と、2つの切替スイッチS1,S2とを有する。
書き込み電圧発生回路32が発生する書き込みゲート電圧VGwと書き込みドレイン電圧VDw、消去電圧発生回路33が発生する消去ゲート電圧VGe、及び消去時にD端子に印加される消去ドレイン電圧VDeは、次のような電圧である。
VGw≧VDw VGe>VGw VGw,VGe,VDwは全て正電圧、VDe=0Vである。図7に示した本発明の例を実施する場合は、VGw=+4V,VDw=+3V,VGe=+8Vにする。
書き込み電圧発生回路32及び消去電圧発生回路33は1つの回路であってもよい。そして、発生する各電圧を外部から供給されるか、外部から1つの低い電圧(例えば1.5V)を供給され、その電圧を元に内部の昇圧回路によって各電圧VDw(3V),VGw(4V),VGe(8V)を生成するようにしてもよい。
この実施例の切替スイッチS1,S2は、次のように切り替わる。
○書き込み状態
切替スイッチS1の可動接点は固定接点S1Wに、切替スイッチS2の可動接点は固定接点S2Wに切り替わる。これにより、G端子に書き込みゲート電圧VGwが、D端子に書き込みドレイン電圧VDwがそれぞれ印加され、S端子とB端子は0Vになる。
○消去状態
図9に示すように、切替スイッチS1の可動接点は固定接点S1Eに、切替スイッチS2の可動接点は固定接点S20に切り替わる。これにより、G端子に消去ゲート電圧VGeが印加され、D端子とS端子とB端子は0Vになる。
○書き込みも消去も行わない定常状態
切替スイッチS1の可動接点は固定接点S10に、切替スイッチS2の可動接点は固定接点S20に切り替わる。これにより4つの端子は全て0Vになる。
この半導体メモリ・システムによれば、不揮発性半導体メモリ装置の正電圧消去(ゲート電極15に正電圧を印加することによる消去)が可能であり、半導体基板11に電圧を印加する必要がないため、半導体基板11の電位を常に0Vにすることができる。
半導体基板の電位が常に0Vであることにより、複数の素子(メモリ素子以外の素子も含む)を同一の半導体基板上に形成する際に、絶縁膜によって素子分離をする必要がなくなり、スペース効率を高められる。
また、メモリ素子だけに着目しても、半導体基板の電位が変動するシステムでは、その時に書き込み若しくは消去を所望するメモリ素子以外のメモリ素子にも一様に電圧が印加されてしまうため、誤書き込み若しくは誤消去を防ぐための手立てが必要であるが、この半導体メモリ・システムを用いればその必要がない。
そして、書き込み電圧も消去電圧も全て正電圧(同極性の電圧)であるから、電源装置の構成が簡単で安価になる。
不揮発性半導体メモリ装置が、図1及び図3に示した不揮発性半導体メモリ装置1,3と異なって、第3の拡散領域である高濃度領域16がソース領域12側に接して設けられ、積層膜14もトップ酸化膜143の厚さが薄い部分もその高濃度領域16と平面的に重なるソース領域12側の端部にある場合には、図9の実施例の構成を次のように変更する。
切替スイッチS2をS端子側に設け、その可動接点をS端子に、固定接点S2Wを書き込み電圧発生回路32の書き込みソース電圧(書き込みドレイン電圧VDwと同じ)出力端子に、固定接点S20を0V(接地電位)にそれぞれ接続する。そして、D端子は直接0V(接地電位)に接続する。
それによって書き込み状態では、G端子に書き込みゲート電圧VGwが、S端子に書き込みソース電圧VSw(VDwと同じ)がそれぞれ印加され、D端子とB端子は0Vになる。消去状態と定常状態では前述の場合と同じになる。
図8の不揮発性半導体メモリ装置が、図2及び図4に示したように、ソース領域12側とドレイン領域13側との両側に第3の拡散領域である高濃度領域16a,16bがあり、積層膜14の両端部に電荷を個別に蓄積できる不揮発性半導体メモリ装置2,4(以下代表して2とする)の多値メモリの場合、その半導体メモリ・システムの具体的実施例を図10に示す。この図10において、図9と同じ部分には同じ符号を付してあり、それらの説明は省略する。なお、この実施例の電源装置30は、図9の実施例の電源装置30に切替スイッチS3が追加されている点が異なっているが、便宜上同一の符号を付している。
切替スイッチS3は、その可動接点をS端子に、固定接点S3Wを書き込み電圧発生回路32の書き込みドレイン電圧VDw(書き込みソース電圧を兼ねる)出力端子に、固定接点S30を0V(接地電位)にそれぞれ接続する。
図10に示す各切替スイッチS1,S2,S3の切替状態は、消去状態を示しており、この状態では、G端子に消去ゲート電圧VGeが印加され、D端子とS端子とB端子は全て0Vになっており、図9に示した実施例の場合と同じである。
書き込み状態では、不揮発性半導体メモリ装置2の積層膜14のドレイン領域13に近い端部側に情報を書き込む場合は、切替スイッチS3は図10に示す状態のままで、切替スイッチS1の可動接点を固定接点S1Wに、切替スイッチS2の可動接点を固定接点S2Wに切り替える。これにより、G端子に書き込みゲート電圧VGwが、D端子に書き込みドレイン電圧VDwがそれぞれ印加され、S端子とB端子は0Vになる。これも図9の実施例の場合と同じである。
不揮発性半導体メモリ装置2の積層膜14のソース領域12に近い端部側に情報を書き込む場合は、切替スイッチS3の可動接点を固定接点S3Wに、切替スイッチS1の可動接点を固定接点S1Wに、切替スイッチS2の可動接点を固定接点S20にそれぞれ切り替える。これにより、G端子に書き込みゲート電圧VGwが、S端子に書き込みソース電圧(書き込みドレイン電圧VDwと同じ)がそれぞれ印加され、D端子とB端子は0Vになる。
書き込みも消去も行わない定常状態では、図10に示す状態から、切替スイッチS1の可動接点を固定接点S10に切り替える。これにより4つの端子は全て0Vになる。
なお、これらの実施例における各切替スイッチS1〜S3を省略して、不揮発性半導体メモリ装置のS端子、D端子、及びG端子をそれぞれ高抵抗を介して接地しておき、書き込み時にだけ、書き込み電圧発生回路32が書き込みゲート電圧VGwを発生してG端子に印加するとともに、書き込みドレイン電圧VDw又は書き込みソース電圧を発生してD端子又はS端子に印加し、消去時にだけ、消去電圧発生回路33が消去ゲート電圧VGeを発生してG端子に印加するようにしてもよい。書き込み電圧発生回路32及び消去電圧発生回路33が電圧を発生しないときは、その各電圧出力端子はハイインピーダンス(又はオープン)になるようにする。
ところで、これまで説明してきた各実施例は、いずれも不揮発性半導体メモリ装置の半導体基板11の導電型である第1導電型がp型で、第1拡散領域であるソース領域12と第2拡散領域であるドレイン領域13の導電型である第2導電型がn型、したがって第3拡散領域である高濃度領域16(又は16a,16b)はp型、第4拡散領域18はn型の場合の例であったが、この導電型を反対にして、第1導電型をn型にし、第2導電型をp型にしても、この発明による各不揮発性半導体メモリ装置を構成し、同様の効果を得ることができる。
しかし、書き込み、消去、及び読み出しの際に各不揮発性半導体メモリ装置の各端子に印加する0V以外の電圧は、その絶対値は上述した各実施例の場合と同じであるが、極性は全て反対になる。したがって、図8〜図10によって説明した半導体メモリ・システムと同様なシステムをこのような導電型が反対な不揮発性半導体メモリ装置を用いて構成した場合には、電源装置30が発生して不揮発性半導体メモリ装置の各端子に印加する電圧は全て負電圧になる。しかし、その各電圧の絶対値は前述した実施例と同じである。
そのため、この発明による半導体メモリ・システムの図8に示したような基本的な構成は、この発明による不揮発性半導体メモリ装置と、その不揮発性半導体メモリ装置に情報を書き込む書き込み時に印加する書き込み電圧と書き込まれた情報を消去する消去時に印加する消去電圧として同極性の電圧を発生する電源装置とからなることになる。
さらに、その電源装置に共通する構成は、不揮発性半導体メモリ装置の半導体基板11を常に接地電位にする接地回路と、書き込み時に第1拡散領域(ソース領域12)又は第2拡散領域(ドレイン領域13)とゲート電極15に印加するための正又は負の書き込み電圧を発生する書き込み電圧発生回路と、消去時にゲート電極15に印加するために上記書き込み電圧より絶対値が大きく同極性の消去電圧を発生する消去電圧発生回路とを有することである。
この発明による各不揮発性半導体メモリ装置は、第1、第2実施例の説明において例示した電圧条件で書き込み及び消去を行うことも勿論できる。しかし、その場合は消去時のゲート電圧を、書き込み時のソース電圧又はドレイン電圧及びゲート電圧とは異極性の電圧にするので、この半導体メモリ・システムは構成しない。
〔半導体メモリ装置の製造方法の第1実施例:図11〜図16〕
次に、この発明による不揮発性半導体メモリ装置の製造方法の第1実施例について、図11から図16を参照しながら説明する。図11から図16はその各工程を説明するための図2と同様な模式的断面図であり、図2と対応する部分には同一の符号を付してある。
まず、図11に示すように、第1導電型(p型)の半導体基板11上にフォトレジスト41を知られているフォトリソグラフィ技術を用いて形成する。ここでフォトレジスト41を形成する領域は、ソース領域12及びドレイン領域13を形成する領域を除く領域である。
次いで、知られているイオン注入法により、第2導電型(n型)の拡散領域によるソース領域12及びドレイン領域13を互いに離間して形成する。その後、フォトレジスト41をウェットエッチングにより除去する。
次に、図12に示すように、半導体基板11上にフォトレジスト42を知られているフォトリソグラフィ技術を用いて形成する。ここでフォトレジスト42を形成する領域は、第1の高濃度領域16a及び第2の高濃度領域16bを形成する領域を除く領域である。また、フォトレジスト42は、ソース領域12及びドレイン領域13の上部を覆っている。
次いで、知られているイオン注入法により、半導体基板11より不純物濃度が高い第1導電型(p型)の第1の高濃度領域16a及び第2の高濃度領域16bを、ソース領域12とドレイン領域13との間の領域の一部に形成する。その第1の高濃度領域16aは第1拡散領域であるソース領域12にのみ接し、第2の高濃度領域16bは第2拡散領域であるドレイン領域13にのみ接するように、それぞれ形成する。
その後、フォトレジスト42をウェットエッチングにより除去する。
次に、図13に示すように半導体基板11上に複数の絶縁膜を積層して積層膜14を形成する。すなわち、先ず半導体基板11の表面全体に第1の酸化膜形成工程によってトンネル酸化膜141を形成する。次いで、そのトンネル酸化膜141上の全面に窒化膜形成工程によってメモリ窒化膜142を形成し、そのメモリ窒化膜142上の全面に第2の酸化膜形成工程によってトップ酸化膜143を形成する。
第1の酸化膜形成工程は、知られている酸化方法を用いる。例えば、酸素(O)と窒素(N)とを混合した雰囲気中の熱酸化によりトンネル酸化膜141を形成する。窒化膜形成工程は、例えば、反応ガスにジクロルシラン(SiHCl)とアンモニア(NH)とを用いたCVD法によりメモリ窒化膜142を形成する。第2の酸化膜形成工程は、例えば、酸化拡散炉を用いた水蒸気雰囲気中の熱酸化により形成するトップ酸化膜143を形成する。
次に、図14を用いてトップ酸化膜143に段差部を形成する工程を説明する。まず、トップ酸化膜143上にフォトレジスト43を知られているフォトリソグラフィ技術を用いて形成する。ここでフォトレジスト43を形成する領域は、ソース領域12とドレイン領域13との間の領域で、トップ酸化膜143の直下に第1の高濃度領域16a又は第2の高濃度領域16bがない領域、すなわち、トップ酸化膜143の膜厚を厚くしたい領域である。
次に、このフォトレジスト43をマスクとして、トップ酸化膜143をドライエッチング技術を使って除去する。それによって図14に示すように、トップ酸化膜143のソース領域12とドレイン領域13との間の部分では、第1の高濃度領域16a及び第2の高濃度領域16bとそれぞれ平面的に重なる部分の膜厚が他の部分に比べて薄くなる。これによりトップ酸化膜143には、第2の高濃度領域16bの内側の境界部の上部に段差部20が、第1の高濃度領域16aの内側の境界部の上部に段差部21がそれぞれ形成される。
この工程によるトップ酸化膜143の除去量は自由に選ぶことができる。すなわち、直下に第1の高濃度領域16a又は第2の高濃度領域16bがある部分とない部分との膜厚差は、不揮発性半導体メモリ装置の電気特性に応じて選択するものである。多値メモリを構成する場合においては、この膜厚と高濃度領域の不純物濃度は特に重要である。
このようにトップ酸化膜143に段差部20,21を形成した後、フォトレジスト43をウェットエッチングにより除去する。
次に、図15に示すように、トップ酸化膜143上にフォトレジスト44を知られているフォトリソグラフィ技術を用いて形成する。そして、そのフォトレジスト44をマスクとして、積層膜14を構成するトップ酸化膜143とメモリ窒化膜142とトンネル酸化膜141とをドライエッチングして除去する。
この工程によって積層膜14を整形し、ソース領域12とドレイン領域13との間のチャネル領域の上部にのみ積層膜14を形成することになる。その後、フォトレジスト44をウェットエッチングにより除去する。
次に、ゲート電極の形成工程を図16を参照しながら説明する。
まず、図示はしていないが、CVD法を用いてゲート電極を形成するためのポリシリコン膜を半導体基板11の上部全面に成膜する。その後、ゲート電極を形成したい部分にフォトレジスト45を知られているフォトリソグラフィ技術を用いて形成し、それをマスクとしてポリシリコン膜をドライエッチングする。この工程によって、図16に示すように積層膜14の上部にゲート電極15が形成される。
その後、フォトレジスト45をウェットエッチングにより除去する。これによって、図2に示した多値メモリとして使用できる不揮発性半導体メモリ装置2の構造が完成する。その後、公知の技術を用いて、図示しない層間絶縁膜や種々の配線等を形成して、不揮発性半導体メモリ装置2を有する半導体装置が完成する。
なお、図1に示した不揮発性半導体メモリ装置1あるいはその高濃度領域16がソース領域12側のみにある不揮発性半導体メモリ装置を製造する場合には、上述した製造方法を次のように変更すればよい。
すなわち、図12によって説明した高濃度領域を形成する工程で、半導体基板11のソース領域12とドレイン領域13の間の領域の一部にソース領域とドレイン領域のいずれか一方にのみ接するように、半導体基板より不純物濃度が高い第1導電型(p型)の高濃度領域16を1つ形成する。
そして、図14によって説明したトップ酸化膜143に段差部を形成する工程では、フォトレジスト43を形成する領域を、ソース領域12とドレイン領域13との間の領域で、トップ酸化膜143の直下に高濃度領域16がない領域にする。すなわち、図14における高濃度領域16a又は16bの上部までフォトレジスト43を形成する。
そして、そのフォトレジスト43をマスクとして、トップ酸化膜143をエッチング除去し、トップ酸化膜143のソース領域12とドレイン領域13との間の部分では、高濃度領域16と平面的に重なる部分の膜厚が他の部分に比べて薄くなるようにする。これによりトップ酸化膜143には、高濃度領域16の内側の境界部分の上部に1つの段差部20又は21が形成される。
ところで、図4に示した不揮発性半導体メモリ装置4あるいは図3に示した不揮発性半導体メモリ装置3を製造する場合には、上述した各工程に加えて、半導体基板11のソース領域12とドレイン領域13との間の第1、第2の高濃度領域16a、16bあるいは1つの高濃度領域16を設けない領域に、ソース領域12及びドレイン領域13より不純物濃度が低い第2導電型の拡散領域(第4の拡散領域18)を形成する工程を有するようにすればよい。この工程は、半導体基板11上に積層膜14を形成する工程より前に実施することになる。
〔半導体メモリ装置の製造方法の第2実施例:図17〜図22〕
次に、この発明による不揮発性半導体メモリ装置の製造方法の第2実施例について、図17から図22を参照しながら説明する。図17から図22はその各工程を説明するための図2と同様な模式的断面図であり、図2と対応する部分には同一の符号を付してある。
まず、図17に示すように、第1導電型(p型)の半導体基板11上にフォトレジスト46を知られているフォトリソグラフィ技術を用いて形成する。ここでフォトレジスト46を形成する領域は、第1の高濃度領域16a及び第2の高濃度領域16bを間隔をあけて2箇所に形成する領域を除く領域である。
次いで、知られているイオン注入法により、第2導電型(n型)の拡散領域による第1の高濃度領域16a及び第2の高濃度領域16bを間隔をあけて形成する。その後、フォトレジスト46をウェットエッチングにより除去する。
次に、図18に示すように半導体基板11上に複数の絶縁膜を積層して積層膜14を形成する。すなわち、先ず半導体基板11の表面に第1の酸化膜形成工程を用いてトンネル酸化膜141を形成する。次いで、そのトンネル酸化膜141上の全面に窒化膜形成工程によってメモリ窒化膜142を形成し、そのメモリ窒化膜142上の全面に第2の酸化膜形成工程によってトップ酸化膜143を形成する。
これらの、第1の酸化膜形成工程、窒化膜形成工程、及び第2の酸化膜形成工程は、上述した第1実施例の場合と同様である。
次に、図19を用いてトップ酸化膜143に段差部を形成する工程を説明する。まず、トップ酸化膜143の上にフォトレジスト47を知られているフォトリソグラフィ技術を用いて形成する。ここでフォトレジスト47を形成する領域は、トップ酸化膜143の直下に第1の高濃度領域16a又は第2の高濃度領域16bがない領域、すなわち、トップ酸化膜143の膜厚を厚くしたい領域である。
次に、このフォトレジスト47をマスクとして、トップ酸化膜143をドライエッチング技術を使って除去する。それによって図19に示すように、トップ酸化膜143の後工程でソース領域12とドレイン領域13とを互いに離間して形成する領域の間の部分では、第1の高濃度領域16a及び第2の高濃度領域16bとそれぞれ平面的に重なる部分の膜厚が他の部分に比べて薄くなる。これによりトップ酸化膜143には、第2の高濃度領域16bの内側の境界部の上部に段差部20が、第1の高濃度領域16aの内側の境界部の上部に段差部21がそれぞれ形成される。
この工程によるトップ酸化膜143の除去量は、第1実施例ですでに説明したとおり、自由に選ぶことができる。このようにトップ酸化膜143に段差部20,21を形成した後、フォトレジスト47をウェットエッチングにより除去する。
次に、図20に示すように、トップ酸化膜143上にフォトレジスト48を知られているフォトリソグラフィ技術を用いて形成する。そして、そのフォトレジスト48をマスクとして、積層膜14を構成するトップ酸化膜143とメモリ窒化膜142とトンネル酸化膜141とをドライエッチングして除去する。
この工程によって積層膜14を整形し、半導体基板11の後工程でソース領域12とドレイン領域13とを互いに離間して形成する領域の間の領域の上部にのみ積層膜14を形成することになる。その後、フォトレジスト48をウェットエッチングにより除去する。
次に、ゲート電極の形成工程を図21を参照しながら説明する。
まず、図示はしないが、例えば、反応ガスにモノシラン(SiH)を用いるCVD法を用いて、ゲート電極を形成するためのポリシリコン膜を半導体基板11の上部全面に成膜する。
その後、ゲート電極を形成したい部分にフォトレジスト49を知られているフォトリソグラフィ技術を用いて形成し、そのフォトレジスト49をマスクとしてポリシリコン膜をドライエッチングする。この工程によって、図21に示すように積層膜14の上部にゲート電極15が形成される。その後、フォトレジスト49をウェットエッチングにより除去すると、図22に示すように積層膜14上にゲート電極15が完成する。
次いで、知られているイオン注入法により、半導体基板11の表面付近に高濃度領域16a,16bを挟んで互いに離間して対向する第2導電型(n型)の拡散領域によるソース領域12とドレイン領域13を、図22に示すようにソース領域12が一方の高濃度領域16aにのみ接し、ドレイン領域が他方の高濃度領域16bにのみ接するように形成する。これによって、図2に示した多値メモリとして使用できる不揮発性半導体メモリ装置2の構造が完成する。この後、公知の技術を用いて、図示しない層間絶縁膜や種々の配線等を形成し、この発明の不揮発性半導体メモリ装置2を有する半導体装置が完成する。
なお、図1に示した不揮発性半導体メモリ装置1あるいはその高濃度領域16がソース領域12側のみにある不揮発性半導体メモリ装置を製造する場合には、上述した製造方法を次のように変更すればよい。
すなわち、図17によって説明した高濃度領域を形成する工程で、第1導電型の半導体基板の表面付近に、半導体基板11より不純物濃度が高い第1導電型(p型)の高濃度領域を1つ形成する。
また、図19によって説明したトップ酸化膜143に段差部を形成する工程では、フォトレジスト47を形成する領域を、後工程でソース領域12とドレイン領域13を互いに離間して形成する領域の間の領域で、トップ酸化膜143の直下に高濃度領域16がない領域にする。すなわち、図19における高濃度領域16a又は16bの上部までフォトレジスト47を形成する。
そして、そのフォトレジスト47をマスクとして、トップ酸化膜143をエッチング除去し、トップ酸化膜143の後工程でソース領域12とドレイン領域13を互いに離間して形成する領域の間の部分では、高濃度領域16と平面的に重なる部分の膜厚が他の部分に比べて薄くなるようにする。これによりトップ酸化膜143には、高濃度領域16の内側の境界部分の上部に1つの段差部20又は21が形成される。
また、図4に示した不揮発性半導体メモリ装置4あるいは図3に示した不揮発性半導体メモリ装置3を製造する場合には、上述した各工程に加えて、半導体基板11の後工程でソース領域12とドレイン領域13とを互いに離間して形成する領域の間の第1、第2の高濃度領域16a,16bあるいは1つの高濃度領域16を設けない領域に、ソース領域12及びドレイン領域13より不純物濃度が低い第2導電型の拡散領域(第4の拡散領域18)を形成する工程を有するようにすればよい。この工程は、半導体基板11上に積層膜14を形成する工程より前に実施することになる。
上述の各実施例では、半導体基板の第1導電型をp型とし、第1、第2拡散領域であるソース領域12とドレイン領域13との第2導電型をn型とした場合の例で説明したが、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としてもよいことは前述のとおりである。
なお、これらの製造方法の実施例を説明するための各工程を示す図におけるソース領域12とドレイン領域13及び高濃度領域16a,16bの形状が、図2又は図4に示した不揮発性半導体メモリ装置のそれらの形状と若干相違しているが、これらの図はあくまでも模式的な図であって、正確な形状を示すものではない。これらの各拡散領域の境界部の形状は、拡散の状況等によって種々変わるものである。
この発明の不揮発性半導体メモリ装置は、書き込みゲート電圧を低くしても情報の書き込みを確実に行うことができ、半導体装置の低電圧化に対応できる。さらに、読み出し時のゲート電圧も小さくて済み、0Vにすることも可能なため誤書き込みによる記憶情報の劣化を防ぐことができ、信頼性を要求される電子機器用の記憶装置に適用することができる。また、信頼性の高い多値メモリが実現できるため、高い集積度を求められるコンピュータ装置用や電子機器用としても好適である。
さらに、この発明の半導体メモリ・システムは、半導体基板11の電位を常に0Vにすることができるので、複数の素子を同一の半導体基板上に形成する際に、絶縁膜によって素子分離をする必要がなくなり、半導体装置のスペース効率を高められる。また、書き込み電圧も消去電圧も全て同極性の電圧でよいので、電源装置の構成が簡単で安価になる。
この発明による不揮発性半導体メモリ装置の第1実施例を説明するための模式的断面図である。 この発明による不揮発性半導体メモリ装置の第2実施例を説明するための模式的断面図である この発明による不揮発性半導体メモリ装置の第3実施例を説明するための模式的断面図である この発明による不揮発性半導体メモリ装置の第4実施例を説明するための模式的断面図である
図3に示した不揮発性半導体メモリ装置3のソース領域12とドレイン領域13との間に1.5Vの電圧を印加した状態でのゲート電圧とソース・ドレイン電流との関係を示す線図である。 一般的な不揮発性半導体メモリ装置と本発明による不揮発性半導体メモリ装置とについて、書き込み時と消去時とに各部に印加する電圧の種別を比較して示す表図である。 同じくその具体的な電圧例を示す表図である。 この発明による半導体メモリ・システムの基本的な構成を示すシステム構成図である。 図8における電源装置30の一例を示すブロック図である。 図8における電源装置30の他の例を示すブロック図である。
この発明による不揮発性半導体メモリ装置の製造方法の第1実施例におけるソース領域及びドレイン領域を形成する工程を説明するための模式的断面図である。 同じくその高濃度領域を形成する工程を説明するための模式的断面図である。 同じくその積層膜を形成する工程を説明するための模式的断面図である。 同じくそのトップ酸化膜に段差部を形成する工程を説明するための模式的断面図である。 同じくその積層膜を整形する工程を説明するための模式的断面図である。 同じくそのゲート電極を形成する工程を説明するための模式的断面図である。
この発明による不揮発性半導体メモリ装置の製造方法の第2実施例における高濃度領域を形成する工程を説明するための模式的断面図である。 同じくその積層膜を形成する工程を説明するための模式的断面図である。 同じくそのトップ酸化膜に段差部を形成する工程を説明するための模式的断面図である。 同じくその積層膜を整形する工程を説明するための模式的断面図である。 同じくそのゲート電極を形成する工程を説明するための模式的断面図である。 同じくそのソース領域及びドレイン領域を形成する工程を説明するための模式的断面図である。 従来の不揮発性半導体メモリ装置の一例を説明するための模式的断面図である。
符号の説明
1,2,3,4:不揮発性半導体メモリ装置 11:半導体基板
12:第1拡散領域であるソース領域 13:第2拡散領域であるドレイン領域
14:積層膜 15:ゲート電極 16:第3拡散領域である高濃度領域
17:チャネル領域 18:第4拡散領域 20,21:段差部
30:正電圧を発生する電源装置 31:接地回路 32:書き込み電圧発生回路
33:消去電圧発生回路 41〜49:フォトレジスト
141:トンネル酸化膜 142:メモリ窒化膜 143:トップ酸化膜
S1,S2,S3 切替スイッチ

Claims (11)

  1. 第1導電型の半導体基板の表面付近に互いに離間して第2導電型の第1拡散領域と第2拡散領域とを有し、該第1拡散領域と該第2拡散領域との間のチャネル領域の上部に複数の絶縁膜を積層してなる積層膜を設け、該積層膜の上部にゲート電極を有する不揮発性半導体メモリ装置であって、
    前記チャネル領域の一部に、前記第1拡散領域と前記第2拡散領域とのいずれか一方にのみ接し、前記半導体基板より不純物濃度が高い第1導電型の第3拡散領域を少なくとも1つ設け、
    前記積層膜を構成する前記複数の絶縁膜のうちの最上層の絶縁膜は、前記第3拡散領域と平面的に重なる部分だけ前記第3拡散領域と平面的に重ならない部分に比べて膜厚が薄いことを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置。
  2. 前記第3拡散領域を、前記第1拡散領域にのみ接する領域と前記第2拡散領域にのみ接する領域とにそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体メモリ装置。
  3. 前記積層膜を構成する前記最上層の絶縁膜は、前記チャネル領域と前記第3拡散領域との境界部の上部に段差部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の不揮発性半導体メモリ装置。
  4. 前記積層膜が、下層からトンネル酸化膜、メモリ窒化膜、及びトップ酸化膜を順次積層してなり、該トップ酸化膜が前記最上層の絶縁膜であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の不揮発性半導体メモリ装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の不揮発性半導体メモリ装置において、前記第1拡散領域と第2拡散領域との間のチャネル領域における前記第3拡散領域が設けられていない領域に、前記第1拡散領域及び第2拡散領域より不純物濃度が低い第2導電型の第4拡散領域を設けたことを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の不揮発性半導体メモリ装置と、該不揮発性半導体メモリ装置に情報を書き込む書き込み時に印加する書き込み電圧と書き込まれた情報を消去する消去時に印加する消去電圧として同極性の電圧を発生する電源装置とからなることを特徴とする半導体メモリ・システム。
  7. 前記電源装置が、
    前記不揮発性半導体メモリ装置の前記半導体基板を常に接地電位にする接地回路と、
    前記書き込み時に前記第1拡散領域又は第2拡散領域と前記ゲート電極に印加するための正又は負の書き込み電圧を発生する書き込み電圧発生回路と、
    前記消去時に前記ゲート電極に印加するために前記書き込み電圧より絶対値が大きく同極性の消去電圧を発生する消去電圧発生回路と
    を有することを特徴とする請求項6記載の半導体メモリ・システム。
  8. 第1導電型の半導体基板の表面付近に第2導電型の拡散領域によるソース領域とドレイン領域とを互いに離間して形成する工程と、
    前記半導体基板の前記ソース領域とドレイン領域との間の領域の一部に前記ソース領域とドレイン領域とのいずれか一方にのみ接するように、前記半導体基板より不純物濃度が高い第1導電型の高濃度領域を少なくとも1つ形成する工程と、
    前記ソース領域とドレイン領域との間の領域の前記半導体基板の上部に複数の絶縁膜を積層して積層膜を形成し、その積層膜と前記高濃度領域とが平面的に重なる部分の該積層膜を構成する最上層の絶縁膜の膜厚を他の部分に比べて薄くする工程と、
    前記積層膜の上部にゲート電極を形成する工程と
    を有することを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置の製造方法。
  9. 第1導電型の半導体基板の表面付近に該半導体基板より不純物濃度が高い第1導電型の高濃度領域を1つ又は間隔をあけて2つ形成する工程と、
    前記半導体基板の後工程でソース領域とドレイン領域とを互いに離間して形成する領域の間の領域の上部に複数の絶縁膜を積層して積層膜を形成、その積層膜と前記高濃度領域とが平面的に重なる部分の該積層膜を構成する最上層の絶縁膜の膜厚を他の部分に比べて薄くする工程と、
    前記積層膜の上部にゲート電極を形成する工程と、
    前記半導体基板の表面付近に前記高濃度領域を挟んで互いに離間して対向する第2導電型の拡散領域によるソース領域とドレイン領域とを、前記高濃度領域が1つの場合はいずれか一方のみが該高濃度領域に接するように、前記高濃度領域が2つの場合は前記ソース領域が一方の高濃度領域にのみ、前記ドレイン領域が他方の高濃度領域にのみ接するように形成する工程と
    を有することを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置の製造方法。
  10. 請求項8に記載の不揮発性半導体メモリ装置の製造方法において、
    前記半導体基板の前記ソース領域とドレイン領域との間の前記高濃度領域を設けない領域に、前記ソース領域及びドレイン領域より不純物濃度が低い第2導電型の拡散領域を形成する工程を有することを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置の製造方法。
  11. 請求項9に記載の不揮発性半導体メモリ装置の製造方法において、
    前記半導体基板の後工程でソース領域とドレイン領域とを互いに離間して形成する領域の間の前記高濃度領域を設けない領域に、前記ソース領域及びドレイン領域より不純物濃度が低い第2導電型の拡散領域を形成する工程を有することを特徴とする不揮発性半導体メモリ装置の製造方法。
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