JP5005449B2 - 密閉型圧縮機、冷凍サイクル装置 - Google Patents

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本発明は密閉型圧縮機およびこれを用いた冷凍サイクル装置に係り、特に動作特性を改良した圧力スイッチを備える密閉型圧縮機およびこれを用いた冷凍サイクル装置に関する。
一般に、密閉型圧縮機において、密閉ケースの耐圧強度や配管強度、又は圧縮機構部の保護等のため、凝縮温度が65℃に相当する条件以下で、モータの電流を検知して保護する電流保護装置、密閉ケース又は吐出ガス温度を検知して保護する温度保護装置、圧力スイッチ等の保護装置が働き、密閉型圧縮機の回転数を下げて負荷を低減したり、停止する等の制御を行っている。
これらの保護装置は、いずれも負荷を低減して運転を継続したり、密閉型圧縮機を停止する場合も、温度や圧力が低下したときに保護装置が復帰し、密閉型圧縮機を再起動可能とするものである。
通常は、冷凍サイクルの一時的な過負荷条件である場合がほとんどであり、上記保護装置で何等問題がなく、また、圧縮機の運転の継続又は再起動が可能であり、都合が良い。
しかしながら、例えば吸込側がリーク等により外気と連通し、かつ、圧縮機の吐出側の冷媒配管で詰まりを起こした場合等は、低圧圧力が低いため、モータ電流が小さく、また、ガス流量が小さいためケース外側の温度はあまり上昇しない。そのため、電流保護装置や温度保護装置では検知できないまま密閉型圧縮機の運転が継続されて密閉ケース内の圧力が異常高圧になり、機械部の破損や密閉ケースまたは密封端子、吐出配管等のケース付属品の破損に至る可能性がある。
さらに、圧力スイッチを設けた場合も、復帰可能なものにおいては、密閉ケース内が繰り返し異常高圧になり、その圧力が、凝縮温度が65℃であるときの凝縮圧力以下であっても、繰り返し応力により、密閉ケースやケース付属品が破損する可能性がある。
上記圧力スイッチが、一旦動作した後は復帰しないものにあっては、冷凍サイクルの一時的な過負荷条件であっても、その都度修理・交換を依頼しなければならず、不具合がある。
なお、特許文献1には、密閉型圧縮機を温度及び圧力の両方の異常上昇から保護するための圧力スイッチが提案されているが、この圧力スイッチの動作圧力が特定されておらず、また、取り付け構造は圧縮機の高圧シェルに孔を開ける等複雑である。
特開平10−122155号公報
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、動作圧力を特定して確実に圧縮機を保護でき、取り付けが容易な圧力スイッチを備えた密閉型圧縮機およびこれを用いた冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明に係る密閉型圧縮機は、密閉ケース内に、電動機部と、この電動機部によって駆動される圧縮機構部を収容し、上記圧縮機構部で圧縮された冷媒を密閉ケース内空間に吐出する密閉ケース内高圧型の密閉型圧縮機において、密閉ケース内に密閉ケース内の圧力が以上高圧となったときに動作して密閉型圧縮機を停止させる圧力スイッチを設け、前記圧力スイッチは使用する冷媒の凝縮温度が65℃であるときの凝縮圧力より、0.1〜1.5MPa高い圧力で動作するように設定されるとともに、一旦動作した後は復帰しないことを特徴とする。
また、本発明に係る冷凍サイクル装置は、上記密閉型圧縮機と凝縮器と膨張装置と蒸発器とを備えることを特徴とする。
本発明に係る密閉型圧縮機によれば、動作圧力を特定して確実に圧縮機を保護でき、取り付けが容易な圧力スイッチを備えた密閉型圧縮機を提供することができる。
また、本発明に係る冷凍サイクル装置によれば、動作圧力を特定して確実に圧縮機を保護でき、取り付けが容易な圧力スイッチを設けた密閉型圧縮機を備えた冷凍サイクル装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機及びこれを用いた冷凍サイクル装置について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機及びこれを用いた冷凍サイクル装置の概念図である。
図1に示すように、本発明に係る冷凍サイクル装置21は、本実施形態の密閉型圧縮機1と、凝縮器22と、膨張装置23と、蒸発器24とが高圧側配管25a、低圧側配管25bによりサイクル状に接続される。
密閉型圧縮機1は、密閉ケース2を備え、この密閉ケース2内に収容される電動機部3と、この電動機部3に回転軸4を介して連結された圧縮機構部5からなる。
電動機部3は密閉ケース2に圧入された固定子31と、この固定子31の内周部に回転可能に配置され、回転軸4の上端部に固着された回転子32を備える。
密閉型圧縮機1は、圧縮機構部5で圧縮された冷媒を密閉ケース2内空間に吐出する密閉ケース内高圧型であり、圧縮機構部5は、電動機部3の下方に配され、回転軸4の下部に位置するシリンダ51を備える。
このシリンダ51の上面部には、主軸受52が取り付け固定され、下面部には副軸受53が取り付け固定され、シリンダ51と主軸受52および副軸受53で囲続される空間部にシリンダ室54が形成される。
このシリンダ室54には、回転軸4に一体に設けられる偏心部4aと、この偏心部4aの周面に係合されるローラ55が配される。
ローラ55は、その周方向に沿う肉厚は全て同一であり、回転軸4の回転にともなって偏心部4aとともに偏心回転をなす。
ローラ55の軸方向に沿う外周壁一部はシリンダ51の内周壁に略接触するようになっており、ローラ55の偏心回転に伴って、その接触位置がシリンダ51の周方向に沿って徐々に変位する。
また、ローラ55の外周壁には軸方向に沿ってブレード(図示せず)が当接している。
ブレードの一端部は、いずれも図示しない、ばね収容孔に収容されるばね部材によって弾性的に押圧付勢され、よってブレードの他端部はローラ55の周面に弾性的に当接している。
ブレードはシリンダ室54に突出するとともに、一端がシリンダ室54に開口し、他端が背面孔(図示せず)に開口するブレード溝(図示せず)内を摺動して、シリンダ室54を主軸受52に設けられる吐出部52hに連通する圧縮室側と、吸込孔(図示せず)に連通する吸込室側とに仕切っている。
図1および図2に示すように、密閉ケース2の上部外面に形成された取付平坦部には、密封端子6が取り付けられる。この密封端子6には3本のリード端子ピン6a、6b、6cが互いに平行な状態で貫通され、ガラス溶着部6dを介して密封端子6に取り付けられる。
3本のリード端子ピン6a、6b、6cの密閉ケース2内側の端部は、クラスタ7の3個のクラスタ端子7a、7b、7cに挿入されて電気的に接続され、リード端子ピン6a、6b、6cの密閉ケース2外側の端部は、リード線を介して市中電源(いずれも図示しない)と電気的に接続される。
また、クラスタ7と密閉ケース2内の電動機部3は、保護装置8を設けた1本のリード線9aと、保護装置を設けないリード線9b、9cを介して電気的に接続され、保護装置8はモータの電流を検知して保護するモータ電流保護装置および密閉ケース内温度を検知して保護する温度保護装置を兼ねている。
保護装置8がモータの電流または密閉ケース内温度の異常値を検知して動作すると、1本のリード線9aが遮断し欠相運転となるが、この欠相をインバータ回路(図示せず)が検知し、密閉型圧縮機1の回転を停止させる。
この密封端子6には、圧力スイッチ10が取り付けられる。この圧力スイッチ10の取り付けは、次のようにして行う。
例えば、圧力スイッチ10の2個のスイッチ端子10a、10bをそれぞれ、リード線9a、クラスタ端子7aに溶着して電気的に接続してクラスタ7と一体的に形成し、この圧力スイッチ10が取り付いたクラスタ7をクラスタ端子7a、7b、7cをリード端子ピン6a、6b、6cに挿入、固定することで、圧力スイッチ10をリード端子ピン6a、6b、6cに取り付ける。
このように、既存のクラスタ7とリード端子ピン6a、6b、6cを用いて、圧力スイッチ10の取り付けを行うので、特別な取り付け部あるいは取り付け部材を用意する必要がなく、構造が簡略化されるとともに、組立時にはクラスタを取り付けるだけで、圧力スイッチ10も同時に取り付けが完了し、密閉型圧縮機の組立性が向上する。なお、圧力スイッチ10はクラスタ7とは一体化せず、圧力スイッチ10単体でリード端子ピンに取り付けるようにしても良い。
圧力スイッチ10は、使用する冷媒の凝縮温度が65℃であるときの凝縮圧力より、0.1〜1.5MPa、好ましくは、0.5〜1.5MPa高い圧力で動作するように設定され、また、一旦動作した後は復帰しない構造をなす。圧力スイッチ10が密閉ケース内の異常高圧を検知して動作すると、上記保護装置8の動作時と同様に作用して密閉型圧縮機1の回転を停止させる。圧力スイッチ10を使用する冷媒の凝縮温度が65℃であるときの凝縮圧力より0.1〜1.5MPa高い圧力で動作するようにするのは、0.1MPaより小さい圧力で動作すると、最終的保護手段である圧力スイッチが、他の保護装置に先んじて動作してしまい、容易に復帰ができず、また、1.5MPaを越える圧力で動作するようにすると、密閉型圧縮機の密閉ケースやケース付属品等が破損するおそれがある。
保護装置8は冷凍サイクルの低圧側配管25bがリーク等により外気と連通して外気を吸込み、かつ、高圧側配管25aが閉塞したとき以外の条件では、圧力スイッチ10よりも先に動作するように設定される。
従って、密閉型圧縮機1は通常の保護装置では保護できない冷凍サイクルの低圧側の配管がリーク等により外気と連通し、かつ、高圧側の配管が閉塞した条件のときに、圧力スイッチ10が動作し、一旦動作した後は復帰しない。
これにより、圧力スイッチは、通常の電流保護装置、温度保護装置が動作しない場合において最終的に動作し、密閉ケース内圧力が異常となって破損する等の事故を防ぐ。また高圧密閉ケース内に設けることにより、サイクル配管にロー詰まり等があった場合でも保護が可能となる。
これに対して、従来の方式の場合、例えば、吸込側がリークを起こした場合等は、低圧圧力が低いため、モータ電流が小さく電流保護が働かないままケース内圧力が異常値になる可能性がある。
なお、主軸受52は通気孔(図示せず)を備えマフラー機能をなす主軸受カバー56に覆われる。また、吐出部52hは凝縮器22に、吸込孔は蒸発器24に各々連通する。
上記実施形態では、圧力スイッチ10が使用する冷媒の凝縮温度が65℃であるときの凝縮圧力より、0.1〜1.5MPa高い圧力で動作するように設定した。
次に圧力スイッチの取り付けの第1変形例について説明する。
本第1変形例は、上記実施形態が圧力スイッチをクラスタと一体化して密封端子に取り付けるのに対して、さらに圧力スイッチ、保護装置及びクラスタを一体的にして、密封端子に取り付ける。
例えば、図3に示すように、本第1変形例は、圧力スイッチ10と保護装置8を一体的に形成し、さらにクラスタ7と一体化して密封端子6に取り付ける。
これにより、特別な取り付け部あるいは取り付け部材を用意する必要がなく、構造が簡略化されるとともに、組立時にはクラスタを取り付けるだけで、圧力スイッチと保護装置も同時に取り付けが完了し、圧縮機の組立性が向上する。
他の構成は図2に示すクラスタおよび圧力スイッチと異ならないので、同一符号を付して説明は省略する。
また、圧力スイッチの取り付けの第2変形例について説明する。
本第2変形例は、上記実施形態が圧力スイッチを密封端子に取り付けるのに対して、圧力スイッチをモータコイルエンド部に取り付ける。
例えば、図4および図5に示すように、本第2変形例は、圧力スイッチ10をモータコイルエンド部31aに結束部材31bにより縛り着けることで取り付ける。
これにより、特別な取り付け部あるいは取り付け部材を用意する必要がなく、構造が簡略化される。
他の構成は図1に示す密閉型圧縮機と異ならないので、同一符号を付して説明は省略する。
また、圧力スイッチの取り付けの第3変形例について説明する。
本第3変形例は、圧力スイッチと保護装置のみ一体的に形成したものである。
例えば、図6に示すように、本第3変形例は、圧力スイッチ10と保護装置8を一体的に形成し、1本のリード線9aに取り付ける。
これにより、特別な取り付け部あるいは取り付け部材を用意する必要がなく、構造が簡略化される。
他の構成は図1に示す密閉型圧縮機と異ならないので、同一符号を付して説明は省略する。
なお、上記各実施形態の密閉型圧縮機において、保護装置8はモータ電流保護装置と温度保護装置に分けて別々に構成しても良く、また、モータ電流保護装置および温度保護装置の一方のみを設けても良い。また、上記保護装置8及び圧力スイッチ10は、電動機部のリード線の2本以上を遮断して密閉型圧縮機を停止させるようにしても良い。
上記各実施形態の密閉型圧縮機によれば、動作圧力を特定して確実に圧縮機を保護でき、取り付けが容易な圧力スイッチを備えた密閉型圧縮機が実現する。
また、本発明に係る冷凍サイクル装置によれば、動作圧力を特定して確実に圧縮機を保護でき、取り付けが容易な圧力スイッチを設けた密閉型圧縮機を備えた冷凍サイクル装置が実現する。
本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機の縦断面図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる圧力スイッチの取り付け状態を示し、(a)密閉端子(b)クラスタと圧力スイッチの平面図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる第1変形例の圧力スイッチの取り付け状態を示し、(a)密閉端子(b)クラスタと圧力スイッチの平面図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる第2変形例の圧力スイッチの取り付け状態を示す縦断面図。 図4の第2変形例の圧力スイッチの取り付け状態を拡大して示す縦断面図。 本発明の一実施形態に係る密閉型圧縮機に用いる第3変形例の圧力スイッチの取り付け状態を示す縦断面図。
符号の説明
1…密閉型圧縮機、2…密閉ケース、3…電動機部、31…固定子、32…回転子、4…回転軸、4a…偏心部、5…圧縮機構部、51…シリンダ、52…主軸受、52h…吐出部、53…副軸受、54…シリンダ室、55…ローラ、56…主軸受カバー、6…密封端子、6a、6b、6c…リード端子ピン、6d…ガラス溶着部、7…クラスタ、7a、7b、7c…クラスタ端子、8…保護装置、9a…リード線、9b、9c…リード線、10…圧力スイッチ、10a、10b…スイッチ端子、21…冷凍サイクル装置、22…凝縮器、23…膨張装置、24…蒸発器、25a…高圧側配管、25b…低圧側配管。

Claims (5)

  1. 密閉ケース内に、電動機部と、この電動機部によって駆動される圧縮機構部を収容し、この圧縮機構部で圧縮された冷媒を密閉ケース内空間に吐出する密閉ケース内高圧型の密閉型圧縮機において、
    密閉ケース内に、密閉ケース内の圧力が所定値以上になったときに動作して密閉型圧縮機を停止させる圧力スイッチを設け、
    この圧力スイッチは使用する冷媒の凝縮温度が65℃であるときの凝縮圧力より0.1〜1.5MPa高い圧力で動作するように設定されるとともに、一旦動作した後は復帰しないことを特徴とする密閉型圧縮機。
  2. モータの電流を検知して保護する電流保護装置及び、密閉ケース温度あるいは吐出ガス温度を検知して保護する温度保護装置の少なくとも一方をさらに備え、前記電流保護装置または前記温度保護装置は冷凍サイクルの低圧側配管が外気と連通し、かつ、高圧側配管が閉塞したとき以外の条件では、前記圧力スイッチよりも先に動作するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  3. 前記圧力スイッチを密封端子の密閉ケース内のリード端子ピンにあるいはモータコイルエンド部に固定することを特徴とする請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
  4. 前記圧力スイッチをモータ口出線の密封端子接続用のクラスタあるいはケース内のモータ電流保護装置と一体化することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機と凝縮器と膨張装置と蒸発器とを備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。
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