JP5004224B2 - 短距離離着陸航空機 - Google Patents

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Description

本発明は、短距離離着陸航空機、特に駆動輪の推進力と推進装置の推進力を併用し短距離で離陸滑走すると共に駆動輪の制動力を利用して短距離で着陸滑走することが可能な短距離離着陸航空機に関する。
日本の主要空港のほとんどは僻地あるいは沖合にあるため、空港への移動時間が大幅にかかり、国内航空交通では、結果的に鉄道や自動車や船に対する移動速度の優位性が無くなってしまうことも珍しくない。上記アクセスに不便な空港は旅客離れを誘発し、便数の減少のみならず路線の廃止にまで至る場合が近年少なくない。また、低頻度の海上交通手段しか持たない離島においては、島民の生活の足や観光客誘致の手段として航空輸送への要求が高くても、環境に与える影響が懸念されるため空港の建設は一般的に容易ではない。その一方で、首都圏への旅客需要は年々高まり、首都圏の航空便発着枠は慢性的に不足している。
このような現在の日本の航空輸送に存在する問題点を解決するには、市街地の近くや離島にも空港を新設することが理想的な解決策であるが、これらの場所に長大な滑走路用地を確保するのは建設コストや環境負荷の点からも甚だ困難であるため、短い滑走路を持つ小規模空港の建設がひとつの解決策となる。しかし、短距離で離着陸することができる航空機は、通常、エンジンのパワーを増大することと高揚力を発生するための特別な空力デバイスを主翼に装備することによりその目的を達成しているが、この手法は重量増加や空気抵抗の増加も伴うため巡航性能を犠牲にしがちであるという短所がある。さらに、短距離離着陸機としての特別な全機的開発が必要であるため、現在日常的に運航されている通常の航空機との互換性を開発・設計プロセスに持たせることも難しく、歴史的に見ても短距離離着陸機は普及してはいない。
市街地近くの空港が近隣住民に受け入れられるためには、短距離離着陸性能だけでなく、さらに離着陸時における低排出ガス及び低騒音性能も強く要求される。
しかし、現在の航空機は空港内でタキシング及び離陸滑走を行う場合にも、飛行中に用いるプロペラまたはジェットエンジン等の推進器をそのまま用いている。これらは通常、巡航速度において、最大効率が達成されるよう設計されており、タキシングや滑走時のように機速が低い場合、推進効率が低いので燃料消費量がかさむ上、騒音の原因にもなる。
これについてBoeing社から米国特許第3977631号に示すように、降着装置に電動モータを内蔵し、車輪を動力で駆動することにより、タキシングを静粛かつ高効率に行う手法が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
わが国においても、降着装置の車輪を回転させるという手法は、様々な形で提案されている(例えば、特許文献2から6を参照。)。しかし、これらの特許文献に示されている機構は着陸接地時の衝撃を和らげる目的で接地直前に車輪を回転させる機構であるため、地上において機体全体を加速させるほどの出力はない。また、特許文献6の航空機の車輪は、タキシング時の推進器燃料を節約する目的で降着装置の車輪に駆動機構を持たせているが、やはり車輪に機体全体を離陸速度まで加速させるほどの駆動力を持たせるには駆動機構全体の重量が航空機には受け入れ難いほど大きくなる欠点がある。
近年は永久磁石の性能が向上し、特許文献7に示される小型高出力なインホイールモータ式電気自動車が開発されている。ここで用いられているインホイールモータは小型航空機の離陸滑走に必要な出力を備えていると同時に、インホイールであるため駆動機構の重量が小さい。これらを航空機の車輪にも適用することでわずかな重量増加でタキシングのみならず、離陸滑走時の推進力を補強できる可能性がある。
米国特許第3977631号 特開平09−095299号公報 特開平09−150796号公報 特開2004−058978号公報 特開2004−203223号公報 特開平05−193577号公報 特開2002−186119号公報
離陸滑走距離の長い航空機ほど、より長い滑走路が必要であり、空港の建設あるいは運用に伴う環境負荷は、より大きくなる。しかし、短い滑走路で済む短距離離着陸航空機を従来提案されてきたようなエンジンパワーの増加と空力デバイスの付加によって実現したとしても、上述した理由により市場で広く普及する航空機にはなり難い。
ところで、航空機の車輪にインホイールモータを内蔵させ、エンジンの推進力と車輪が発生する駆動推進力を併用することにより、離陸滑走時の推進力が補強され、短距離で離陸速度に達することが可能となる。
しかし、航空機の車輪に機体全体を加速させる駆動推進力を持たせると次のようなピッチアップの問題が生じる。つまり、航空機は自動車の場合と異なり機体の重心が高い位置にあることから、重心回りに発生するピッチアップモーメント(機首を上げようと作用するモーメント)が重力によるピッチダウンモーメントと同程度の大きさを持つ。そのため、車輪の駆動推進力が大きくなると、ピッチアップモーメントがピッチダウンモーメントより大きくなり、その結果、機体がピッチアップして機体の尾部が地面に接触するという問題が発生する。
そこで、本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は既存航空機の機体形状やエンジンといった設計の根幹に関わる部分を変更しなくても、わずかなデバイスの付加だけで簡単に離着陸滑走距離を短縮できる手段を備えた短距離離陸航空機を提供することにある。
前記目的を達成するために請求項1に記載の短距離離着陸航空機は、機体重心から斜め後方かつ機軸に対し対称に配置され各々1又は複数の駆動輪を備えた左右主脚と、機体重心前方に配置され1又は複数の遊動輪を備えた前脚と、スロットル操作により制御される主推進装置とを有する航空機であって、機体がピッチアップ運動を開始する予兆を検出するピッチアップ予検出手段と、該ピッチアップ予検出手段からの検出信号および前記主推進装置を制御するスロットル操作量に基づいて前記駆動輪の推進力のみを制御する推進力可変手段とを備え、離陸滑走時において前記主推進装置の推進力と前記各駆動輪の推進力を併用して加速しながら離陸滑走することを特徴とする。
上記短距離離着陸航空機では、上記ピッチアップ予検出手段は、左右駆動輪の推進力に起因して発生するピッチアップモーメントによって機体がピッチアップ運動を開始する予兆を素早く検出して、その検出信号を推進力可変手段に送信する一方、その検出信号を受信した推進力可変手段は、主推進装置の推進力を変化させることなく機体がピッチアップ運動を起こさない範囲内に駆動輪の推進力を制御して機体のピッチアップ運動を抑制する。これにより、安定して駆動輪の推進力を機体の加速に寄与させることができる。その結果、駆動輪の推進力と主推進装置の推進力を併用することにより、機体を短距離で離陸速度まで加速させることが可能となる。
請求項2に記載の短距離離着陸航空機では、前記ピッチアップ予検出手段は、機体の姿勢角、機体の角速度、機体の一部と地面との距離、または前脚に作用する地面からの荷重を基にして機体がピッチアップ運動を開始する予兆を検出し、前記推進力可変手段は、前記駆動輪の推進力をスロットル操作量に比例させつつ、逐次、前記ピッチアップ予検出手段からの検出信号に基づいて駆動輪の推進力の上限を設定することとした。
上記短距離離着陸航空機では、上記姿勢角、角速度、対地距離または荷重を利用することにより、上記機体がピッチアップ運動を開始する予兆を好適に検出し、ピッチアップ運動を起こさない範囲内で駆動輪の推進力を好適に制御することが可能となる
請求項3に記載の短距離離着陸航空機では、前記駆動輪は電動モータによって駆動されることとした。
上記短距離離着陸航空機では、駆動輪の駆動手段として電動モータを採用することにより左右駆動輪のトルクを容易に制御することが可能となる。更に、電動モータが車輪内に収納されたインホイールモータの場合は、ロータの回転軸と車輪の回転軸が直結し、これにより動力伝達に係る機構・部品が大幅に省略され機体は軽量化されることになる。従って、駆動輪の推進力と、主推進装置の推進力とを併用することにより、機体を短距離で離陸速度までより効率良く加速させることが可能となる。また、機体の軽量化は、燃料消費率の向上の他、後述する着陸距離の短縮に対しても大きく寄与することになる。
請求項4に記載の短距離離着陸航空機では、前記推進力可変手段は着陸滑走時においては前記電動モータに制動トルクを発生させることとした。
上記短距離離着陸航空機では、電動モータに制動トルクを発生させることにより、着陸時において主推進装置のリバーススラストと、電動モータの制動トルクに比例した駆動輪の制動力とを併用することが可能となり、その結果、着陸滑走距離を短縮するようになる。
請求項5に記載の短距離離着陸航空機では、前記航空機の主推進装置を駆動する原動機は内燃機関を備えることとした。
上記短距離離着陸航空機では、原動機として内燃機関を備えた航空機の離陸滑走距離および着陸滑走距離を短縮し、更に自力でタキシングをすることができるようになる。
請求項6に記載の短距離離着陸航空機では、前記航空機の主推進装置を駆動する原動機は電動モータであることとした。
上記短距離離着陸航空機では、原動機として電動モータを備えた航空機の離陸滑走距離および着陸滑走距離を短縮し、更に自力でタキシングをすることができるようになる。
本発明の短距離離着陸航空機によれば、以下に記す効果が期待される。
(1)航空機の離着陸滑走距離が短縮されることで利用可能な滑走路の数が増え、さらに空港の規模が小規模で済むため、従来建設が難しかった市街地付近などにも空港の新設が可能となり、旅客の利便性が大幅に向上する。
(2)航空機単体で自在なタキシングが可能となることで牽引車やそのための人員コストも削減でき、タキシングの際に発生する空港騒音や過剰な燃料消費を低減することができる。
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明に係る短距離離着陸航空機100を示す説明図である。なお、図1の(a)は平面図であり、同(b)は側面図である。
この短距離離着陸機100は、胴体1のノーズ部下部に配設され操舵輪12を有する前脚11と、左右主翼2,3下部に配設され左右駆動輪22,32を有する左右主脚21,31とを備える。なお、後述するように、左右駆動輪22,32にはインホイールブラシレスモータが内蔵され、これら左右駆動輪22,32はそのモータによって直接駆動され、機体を前方に押し出す駆動推進力を発生する。これにより、機体は左右エンジン24,34の推進力と、これら左右駆動輪22,32の推進力を併用して離陸滑走するようになり、主エンジンの推進力のみで離陸滑走する従来の航空機に比べ短距離で離陸することができるようになる。また、後述するように前脚11は、ピッチアップ予検出手段としてのリニアポテンションメータ14を備える。つまり、リニアポテンションメータ14は、左右駆動輪22,32の推進力に起因して発生するピッチアップモーメントによって尾部が下がる予兆を素早く検出して、その検出信号を左右駆動輪22,32の推進力可変手段であるトルク制御装置に送信する。他方、その検出信号を受信したトルク制御装置は機体がピッチアップ運動を起こさない範囲内に左右駆動輪22,32の推進力を制御することにより、尾部の地面との接触を防止すると共に左右駆動輪22,32の推進力を安定して機体の加速に使用し、離陸距離の短縮に大きく寄与するようになる。
つまり、この短距離離着陸航空機100は、機体のピッチアップの予兆を機体前脚に作用する荷重により検出し、この荷重は前脚のダンパー変位としてリニアポテンションメータ14により計測され、荷重がある閾値を下回ったときに機体がピッチアップを起こしかけたと判断し、駆動輪のトルクを制御することで駆動輪推力をピッチアップ運動を起こさない範囲に制御する。
胴体1には重心XGより前方に配置された前脚11が配設され、また前脚11には駆動力を発生させない操舵機能を有する操舵輪12が備わる。なお、前脚11には、ダンパー13(図2を参照。)の変位を検出するリニアポテンションメータ14が備わる。操舵輪12は地面から垂直荷重Nfを受け、ダンパー13の変位信号Snはその垂直荷重Nfに比例する。従って、操舵輪12が地面から離れる直前(機体がピッチアップ運動を開始する直前)の変位信号Snの閾値εを予め取得しておくことにより、機体が加速している間、変位信号Snをリアルタイムに取り込みながら変位信号Snがその閾値ε以下か否かをチェックすることにより、機体がピッチアップ運動を開始する予兆を検出することが可能となる。
左右主翼2,3には重心XGより斜め後方に左右主脚21,31が各々備わり、また、巡航時または滑走時に推進力を発生させる左右エンジン24,34が各々備わる。更に、左右主脚21,31には離陸滑走時の駆動推進力を発生させる左右駆動輪22,32が各々備わる。従って、離陸滑走時には左右エンジン24,34の推進力に左右駆動輪22,32の推進力が加わり、従来よりも短い滑走距離で離陸速度に達することが可能となる。
左右駆動輪22,32の各車輪(ホイール)にはインホイールブラシレスモータが内蔵されている。ここで、インホイールモータを用いることにより、動力伝達機構に使用される部品を省略することができ、その結果、部品点数を大幅に削減することができると共に、モータの後述する電流制御(トルク制御)により左右駆動輪22,32のトルクを容易に制御することができるようになる。これにより、機体がピッチアップ運動を起こさない範囲内に左右駆動輪22,32の推進力を制御することが可能となり、尾部の地面との接触を防止すると共に左右駆動輪22,32の推進力を安定して機体の加速に使用し、離陸距離の短縮に大きく寄与するようになる。また、ブラシレスモータを用いることにより、後述するように各相に直流電圧を印加する或いは各相の端子を短絡させることにより、モータに制動トルクを発生させ機体に制動をかけることができ、その結果、着陸滑走距離が短縮されると共に、メンテナンスが不要となり、運用コストを軽減することができるようになる。なお、左右駆動輪22,32を駆動するモータとしては、各駆動輪のトルク制御の容易さだけでなく上述した部品点数の削減およびメンテナンスフリーまでを考慮するならば、インホイールタイプが望ましいが、各駆動輪のトルク制御の容易さのみを考慮するならばギヤあるいはプーリ等の動力伝達機構を介したアウトホイールタイプでも良い。
図2は、本発明のトルク制御システム200を示す構成説明図である。
このトルク制御システム200は、ダンパー13の変位を検出するリニアポテンションメータ14と、推進器(左右エンジン24,34)の出力を調整するスロットル15と、スロットル操作量Thおよびリニアポテンションメータ14の変位信号Snの入力を受けて、左右モータ23,33に給電する電流Imを決定するトルク制御装置16と、トルク制御装置16に電力を供給する電源17と、充電回路18とから構成されている。
リニアポテンションメータ14は、前脚11に作用する垂直荷重Nfに比例した変位信号Snを出力する。そして、トルク制御装置16はその変位信号を基に機体のピッチアップ運動の予兆を検出する。
トルク制御装置16は、上記操作量Thおよび変位信号Snの入力を受けて、図3に示すシーケンスにより左右駆動輪22,32を駆動するインホイールブラシレスモータである左右モータ23,33に電源17から各々に与える電流Imを制御することで、その電流に比例する左右駆動輪22,32のトルク、さらにはこれらに比例する駆動推進力Fwを制御する。
図3は、トルク制御装置16による左右モータ23,33のトルク制御シーケンスの例を示すフロー図である。
駆動推進力Fwが増すにつれて垂直荷重Nfおよび変位信号Snは減少するが、このフロー図では駆動推進力Fwが増加した結果、変位信号Snが閾値ε以下となったときを機体のピッチアップ運動の開始と判断し、その時のモータに供給される電流を電流の最大値とする。また、このフロー図は、以降の供給電流をこれ以下に制御するループによって機体がピッチアップ運動を起こさない範囲内に駆動推進力Fwを制御することを目的としている。以下、このフロー図について詳細に説明する。
ステップS1では、機体が加速開始後、トルク制御装置16はスロットル操作量ThにゲインCthを乗じた値を供給電流Imとし、左右モータ23,33に入力する。
次いで、ステップS2では、リニアポテンションメータ14からの変位信号Snを受信して、予め設定した閾値εとの大小をチェックする。すなわち、変位信号Snが閾値εより大きい間は、ステップS1に戻り、スロットル操作量ThにゲインCthを乗じて算出された供給電流Imを、左右モータ23,33に入力し続ける。一方、駆動推進力Fwが増加して変位信号Snが閾値εを下回った時は、ステップS3に進み、その時のスロットル操作量Thの値をThrefとし、その時の供給電流Imの値をImmaxとする。
ステップS4では、スロットル操作量ThとThrefとの大小をチェックする。すなわち、Th≧Threfの場合には、ステップS5に進み、供給電流Im=Immaxとし、他方、Th<Threfの場合には再度、ステップS1に戻りスロットル操作量ThにゲインCthを乗じて得られる値を供給電流Imとして左右モータ23,33に入力する。
さらに、トルク制御装置16は、上記算出された供給電流Imに応じて左右モータ23,33に印加されるパルス電圧のデューティ比を調節することで実際にモータに供給される電流を制御する。このように電源17から左右モータ23,33に供給される電流の最大値を制御することで駆動輪のトルク、ひいては駆動推進力Fwを機体がピッチアップ運動を起こさない範囲内に制御しながら機体を離陸速度まで短距離で加速することが可能となる。
他方、機体が着陸する際には上記左右モータ23,33のコイルの各相に直流電圧を印加する或いは各相の端子を短絡させることで、左右モータ23,33に制動トルクを発生させ機体に制動をかけることが可能となる。あるいは、大きな制動力が必要でない場合は充電回路18により、左右モータ23,33に発生した回転エネルギを回生し電源17を充電する。
また、上記実施例では前脚に作用する荷重をピッチアップ運動の予兆として検出する場合について説明したが、他にもジャイロなどを用いて機体の角速度を検出する方法、あるいは加速度センサや傾斜計を用いることで機体の姿勢角を検出する方法なども考えられる。また、前脚に作用する荷重を検出する方法もダンパー変位だけではなく、ロードセルなどを用いる方法も考えられる。左右モータ23,33のトルク制御手法(シーケンス)についても、対気速度から主翼に発生するピッチモーメントを推定し、制御則に組み込むことでより精度の高い制御を行う方法も考えられる。
さらに本発明は推進器用原動機がエンジンの場合だけでなく、図4に示すように原動機が電動モータの場合にも同様に適用することが可能である。
ここで、本発明をCessna社Skyhawk172に適用した場合の、離陸滑走距離(機体が失速速度の1.2倍に達するまでの距離)の短縮効果を定量的に検討した結果を図5に示す。ここでは電気自動車に用いられている規模のインホイールモータ(重量26kg、最大トルク46.73Nm)を2個用いた。図5に示されるように、本発明により離陸滑走距離が既存機に比べ約40%低減されることが見込まれる数値解析結果が得られた。
本発明の短距離離着陸機は、さまざまな形態の航空機の離着陸装置に適用可能であるが、今後需要の伸びが予想される小型航空機に好適に適用することが出来る。特に国土が小さく山がちなわが国では、この技術により現在利用数の低迷する地方空港の活性化、首都圏空港の滑走路の効率的な運用が可能となる。
本発明の短距離離着陸航空機を示す説明図である。 本発明のトルク制御システムを示す構成説明図である。 トルク制御装置による左右モータのトルク制御シーケンスの例を示すフロー図である。 本発明の他のトルク制御システムを示す構成説明図である。 本発明による離陸滑走距離の短縮効果の数値解析結果を示すグラフである。
符号の説明
1 胴体
2 左主翼
3 右主翼
4 左水平尾翼
5 右水平尾翼
6 垂直尾翼
11 前脚
12 操舵輪
13 ダンパー
14 リニアポテンションメータ
15 スロットル
16 トルク制御装置
17 電源
18 充電回路
21 左主脚
22 左駆動輪
23 左モータ
31 右主脚
32 右駆動輪
33 右モータ
100 短距離離着陸機
200,300 トルク制御システム

Claims (6)

  1. 機体重心から斜め後方かつ機軸に対し対称に配置され各々1又は複数の駆動輪を備えた左右主脚と、機体重心前方に配置され1又は複数の遊動輪を備えた前脚と、スロットル操作により制御される主推進装置とを有する航空機であって、機体がピッチアップ運動を開始する予兆を検出するピッチアップ予検出手段と、該ピッチアップ予検出手段からの検出信号および前記主推進装置を制御するスロットル操作量に基づいて前記駆動輪の推進力のみを制御する推進力可変手段とを備え、
    離陸滑走時において前記主推進装置の推進力と前記各駆動輪の推進力を併用して加速しながら離陸滑走することを特徴とする短距離離着陸航空機。
  2. 前記ピッチアップ予検出手段は、機体の姿勢角、機体の角速度、機体の一部と地面との距離、または前脚に作用する地面からの荷重を基にして機体がピッチアップ運動を開始する予兆を検出するものであり、
    前記推進力可変手段は、前記駆動輪の推進力をスロットル操作量に比例させつつ、逐次、前記ピッチアップ予検出手段からの検出信号に基づいて駆動輪の推進力の上限を設定するものであることを特徴とする請求項1に記載の短距離離着陸航空機。
  3. 前記駆動輪は電動モータによって駆動される請求項1又は2に記載の短距離離着陸航空機。
  4. 前記推進力可変手段は着陸滑走時においては前記電動モータに制動トルクを発生させる請求項1から3の何れかに記載の短距離離着陸航空機。
  5. 前記航空機の主推進装置を駆動する原動機は内燃機関を備える請求項1から4の何れかに記載の短距離離着陸航空機。
  6. 前記航空機の主推進装置を駆動する原動機は電動モータである請求項1から4の何れかに記載の短距離離着陸航空機。
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