JP5003317B2 - 記憶媒体収納体及び無線綴じ冊子体 - Google Patents

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Description

本発明は、コンパクトディスク(CD;Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disk)等の記憶媒体を収納する記憶媒体収納体及びその記憶媒体収納体に記憶媒体を収納し、無線綴じされた無線綴じ冊子体に関する。
コンパクトディスク、DVDなど記憶媒体を紙製の記憶媒体収納体に入れ、これを綴じ込んだ冊子体は、音声等を記憶媒体に入れて添付することができることから、読者に多様なニーズに応えることができる。例えば、英語等の語学教材、コンピューター雑誌が代表的な例である。そして、このような記憶媒体収納体としては、種々の構造が提案されている。このように、記憶媒体を記憶媒体収納体に収納し、本や雑誌に添付することは公知である。
公知文献を以下に示す。
特開2002−284279号公報 実開平3−81766号公報 特開平8−324667号公報
特開2002−284279号公報には、図8に示す記憶媒体収納体が記載されている。すなわち、一枚の板紙に孔開け加工部2、筋押し加工部3、切込み加工部4、ミシン目加工部7、8を形成し、綴じ込み用端部6のみが、一枚になるように、切込み加工部4で折り込んだ記憶媒体収納体である。そして、記憶媒体5を収納し、切込み加工部4とミシン目加工部7の交点に、小穴9を設けた記憶媒体収納体1である。
この記憶媒体収納体は、綴じ込み用端部6で冊子体に綴じ込まれ、その際には、無線綴じ製本機で冊子体とすることが開示されている。そして、ミシン目加工部8で冊子体から切り離される。そして、ミシン目加工部7を切り取ることにより、記憶媒体収納体の上部が開き、記憶媒体5を取り出すことが可能となる。
なお、この収納体には、コートボール(270グラム/平方メートル)を用いること、板紙として190グラム/平方メートル〜400グラム/平方メートルの範囲にあることが好ましく、190グラム/平方メートルより軽いと剛性が小さく薄板状記憶媒体の保護という作用がなくなり、400グラム/平方メートルを超えて重いと、冊子体(本、雑誌、書籍、パンフレットカタログ等)を見るとき剛性が大きすぎフレキシブルでなく、冊子体が読みにくいことが、その公報に記載されている。
この記憶媒体収納体は、冊子体の一部として綴じ込まれ、添付されることができ、非常に有用なものであったが、開口部が記憶媒体収納体の上部のみである。そのため、記憶媒体を取り出すときには、上部の両端を挟むように押して開口部を広げ、開口部から指を入れたり、開口部を下にして記憶媒体を自然落下させて記憶媒体を取り出す方法によることが考えられる。
しかし、第一の課題として、子供や老人にとっては、上部の両端を挟むように押す動作をすることは必ずしも容易でなく、より記憶媒体を取り出しやすい形態の記憶媒体収納体を提供することが望まれていた。
また、この記憶媒体収納体は、書籍に綴じ込んだ場合に、綴じ込み用端部6が一枚であることで、フレキシブルとなり冊子体が読みやすいという効果を主眼としたもので、冊子体から切り離した後の記憶媒体の保存性を強く意識したものではなかった。
第二の課題として、記憶媒体が冊子体の一部として添付された場合でも、記憶媒体の使用時には、記憶媒体はコンパクトディスクプレーヤーやDVDプレーヤー等の再生機器やパソコン機器で用いられることから、これらの機器の近くに置くことが使用上は便利であり、長期間にわたって、より見栄えがよく、これらの機器の近くで保存することができる記憶媒体収納体が望まれていた。
ところで、本や雑誌等の冊子体は、書店の店頭で平積みされて販売されたり、書棚にぎっしりと詰め込んで、販売や保管がされることがある。このような場合に、記憶媒体が添付されている冊子体においては、記憶媒体収納体が複雑な構造で、厚い部分と薄い部分を入り混じって有していると、綴じ込まれた記憶媒体収納体が接する、あるいは近接する数枚の頁に記憶媒体収納体の厚みによる跡がつくことがあった。
そこで、第三の課題として、このように記憶媒体収納体の厚みにより、綴じ込まれた記憶媒体収納体が接する、あるいは近接する数枚の頁に跡がつく現象を生じさせないことが望まれていた。
さらに、第四の課題として、冊子体の輸送や取扱い、さらに冊子体から記憶媒体収納体を分離した後の記憶媒体の輸送や取扱い時に、記憶媒体に傷が生ずるおそれがないような構造が求められていたところであるが、上記したように、記憶媒体の出し入れ動作が容易でないと、出し入れ時に無理が生じ、記憶媒体に傷をつけてしまう可能性も否定しきれなかった。
第五の課題として、記憶媒体収納体を冊子体から分離する前の記憶媒体収納体、記憶媒体収納体の記憶媒体が収納された部分が分離された後に冊子体に残存する部品により冊子体が読みにくくならないことも望まれていた。
また、第六の課題として、製造工程も簡易である記憶媒体収納体が望まれていた。
次に、実開平3−81766号公報には、折丁の一部に、袋状に形成されてなるコンパクトディスク収納用容器を貼り付ける構造が記載されている。図9に示すもので、所定の内容が印刷された折丁11の一部に、コンパクトディスク収納用容器12を貼り付けていたものである。このコンパクトディスク収納用容器12は、その一部分である12Aが袋状に形成されており、内部にコンパクトディスク13が収納される。袋部分12Aの口部が接着剤により貼着されることで封止され、他の部分である12Bの下側に折り込み、貼り付け部分12Cを、接着剤により折丁11に貼着しているというものである。
このコンパクトディスク収納用容器を貼り付ける構造は、非常に有用なものであったが、コンパクトディスクを取り出す開口部が、他の部分12Bの側のみであり、上記第一の課題である、コンパクトディスクを容易に取り出すことについては、上述の特開2002−284279号公報記載の技術と同様の課題を有していた。
また、記憶媒体収納体を折丁に貼り付けていることから、折丁から剥がして記憶媒体の長期的な保存に用いることは想定されておらず、剥がして用いようとしても、剥がした部分の接着剤の跡で、美しい外観を保つことはできなかった。
そして、袋部分12Aの部分をいったん袋状に加工し、中にコンパクトディスクを入れ、口部を接着剤により貼着する、という工程が複雑であり、さらに、袋部分12Aを他部分12Bの下側に折りこむことは、製造工程の機械化が困難であるという課題を有していた。
さらに、折丁11にコンパクトディスク収納用容器12を貼り付けるという工程も、通常の製本工程に加えて必要となる工程であり、工程が増加することは否めなかった。そのため、上記第六の課題である簡易な製造工程で製造できること、という課題を有していた。
次に、特開平8−324667号公報には、正面板上のコンパクトディスクを載置し、正面板の四方に連接された板、すなわち、正面板の下側に連接された背面板、両側に連接された糊代板、上側に連接された開閉蓋板を折り曲げることによって、コンパクトディスクを保持する収納体が開示されている。
このコンパクトディスク収納体は、上述した第一の課題であるコンパクトディスクの取り出しやすさの点では、上述した従来技術よりは向上しているものの、糊代板がコンパクトディスクの大きな面積を覆っていることから、子供や老人にとっては、出し入れがスムーズに行えない場合もあり、出し入れ時に記憶媒体に爪等で傷をつけてしまう可能性もあった。
上記第三の課題についても、糊代板を両側から折り込む構造となっており、この部分では、板紙が少なくとも4枚重なる構造となっており、また、その部分で4枚重なる構造の場合、糊代板の間の部位では、3枚重なる構造となり、U字状の切り込みの部分では2枚が重なる構造となるという状態であり、厚みのばらつきが大きく、綴じ込まれた記憶媒体収納体が接する、あるいは近接する数枚の頁に跡がつく可能性があった。
また、上記第六の課題については、正面板の四方に連接された板を折り曲げるため、方向の異なる折加工が必要であり、製造工程の自動化を図るためには、製造設備、製造工程が複雑にならざるを得ないという課題を有していた。
上述してきたように、記憶媒体収納体としては種々の形態が知られており、それぞれの形態について開発目的の相違もあるものの、結果的に冊子体の一部として綴じ込む記憶媒体収納体としては、以下のような課題を有していた。
すなわち、第一の課題として、子供や老人にとっても、より記憶媒体を取り出しやすい形態の記憶媒体収納体を提供することが望まれていた。
第二の課題として、記憶媒体が冊子体の一部として添付された場合でも、記憶媒体の使用時には、記憶媒体は、コンパクトディスクプレーヤーやDVDプレーヤー等の再生機器やパソコン機器で用いられることから、それらの機器の近くに置くことが使用上は便利であり、長期間にわたって、より見栄えがよく、これらの機器の近くで保存することができる記憶媒体収納体が望まれていた。
第三の課題として、記憶媒体収納体の厚みにより、綴じ込まれた記憶媒体収納体が接する、あるいは近接する数枚の頁に跡がつく現象を生じさせないことが望まれていた。
第四の課題として、冊子体の輸送や取扱い、さらに冊子体から記憶媒体収納体を分離した後の記憶媒体の輸送や取扱い時に、記憶媒体に傷が生ずるおそれがないような構造であることが望まれていた。
第五の課題として、記憶媒体収納体を冊子体から分離する前の記憶媒体収納体、記憶媒体収納体の記憶媒体が収納された部分が分離された後に冊子体に残存する部品により冊子体が読みにくくならないことが望まれていた。
第六の課題として、簡易で、効率の高い製造工程で製造できる記憶媒体収納体が望まれていた。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、これらの課題を一挙に解決し、冊子体の一部として綴じ込むことに特に適した記憶媒体収納体を提供すること、そして、その記憶媒体収納体に記憶媒体が収納され、無線綴じされた記憶媒体を添付することに非常に適した無線綴じ冊子体を提供することを目的とする。
すなわち、請求項1記載の発明は、一枚の板紙からなる記憶媒体収納体であって、略矩形状の背面部材と、背面部材の一辺に折目線を介して連接され、連接される方向の長さが前記背面部材の長さより短い前板部材と、前記背面部材の、前記前板部材が連接される側とは反対側に、折目線を介して連接される略矩形状の前面部材を備え、これら三つの部材の、連接される方向とは直交する方向の両端には、それぞれ、三つの部材を貫くミシン目が形成されてなり、前記前面部材の、背面部材が連接される側とは反対側に、ミシン目を介して綴じ込み部材が連接され、前記前板部材が、前記背面部材と重なるようにそれらを接続する折目線で折られ、さらに、前記前面部材が、前記背面部材及び前板部材と重なるように前面部材と背面部材を接続する折目線で折られており、前記前板部材と前記背面部材は、前記三つの部材を貫くミシン目の内側で接着され、前記前面部材と前記背面部材及び前板部材とは、前記三つの部材を貫くミシン目の外側で接着されてなる記憶媒体収納体である。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明を前提とし、前記板紙が、一平方メートルあたり250グラム以上、300グラム以下の板紙であり、かつ、紙目方向が前記三つの部材を貫くミシン目と直交する方向であることを特徴としている。
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明を前提とし、収納が予定される記憶媒体が円盤状記憶媒体であり、前記背面部材と前記前板部材が連接される方向の、背面部材の長さが、収納が予定される円盤状記憶媒体の直径に5ミリメートルを加えた長さより長く、直径に15ミリメートルを加えた長さより短く、前板部材の長さが、収納が予定される円盤状記憶媒体の直径の2分の1より長く、前板部材が背面部材上に折り込まれた状態で、前板部材の端から背面部材と前面部材が連接される折目線までの距離が、収納が予定される円盤状記憶媒体の2分の1から8ミリメートルを引いた長さより長くなるように設計されており、かつ、前板部材の背面部材と連接される側とは反対側の辺の中央部分に、深さが8ミリメートル以上の凹部が形成されていることを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の記憶媒体収納体に、記憶媒体が収納され、前記綴じ込み部材の部分で無線綴じされてなる無線綴じ冊子体である。
請求項1記載の発明によれば、一枚の板紙からなる記憶媒体収納体であって、略矩形状の背面部材と、背面部材の一辺に折目線を介して連接され、連接される方向の長さが前記背面部材の長さより短い前板部材と、前記背面部材の、前記前板部材が連接される側とは反対側に、折目線を介して連接される略矩形状の前面部材を備え、これら三つの部材の、連接される方向とは直交する方向の両端には、それぞれ、三つの部材を貫くミシン目が形成されてなり、前記前面部材の、背面部材が連接される側とは反対側に、ミシン目を介して綴じ込み部材が連接され、前記前板部材が、前記背面部材と重なるようにそれらを接続する折目線で折られ、さらに、前記前面部材が、前記背面部材及び前板部材と重なるように前面部材と背面部材を接続する折目線で折られており、前記前板部材と前記背面部材は、前記三つの部材を貫くミシン目の内側で接着され、前記前面部材と前記背面部材及び前板部材とは、前記三つの部材を貫くミシン目の外側で接着されてなる記憶媒体収納体であるため、冊子体から用意に切り離すことができ、さらに、ミシン目を切り取ることで、二つ折り形態の記憶媒体収納体を得ることができ、子供や老人にとっても、記憶媒体を取り出すことが非常に容易である形態の記憶媒体収納体を得ることができる。
また、二つ折りの形態の記憶媒体収納体は、その背面部材及び前面部材に自由な印刷をすることやシールやラベル等を貼ることも可能であり、市販のコンパクトディスクケース等と並べて保管することも可能である。そのため、再生機器やパソコン機器の近傍に立てる等して保管した場合でも、見栄えがよい保管が可能である。さらに、長期間にわたって保管しても、この発明の形態であれば、紙が自然に折れる等の問題は生じず、長期間の保管が可能である。そして、記憶媒体の出し入れは非常にスムーズに行うことができ、子供や老人が扱った場合でも、記憶媒体に傷をつけてしまう可能性が非常に低い。
記憶媒体収納体が単純な構造であり、小さな部材等によって厚みに差が生じにくく、綴じ込まれた記憶媒体収納体が接する、あるいは近接する数枚の頁に跡がつくことがない。
さらに、記憶媒体の出し入れが行いやすいため、記憶媒体収納体に収納する際も確実に収納することができ、記憶媒体収納体中における記憶媒体収納体の位置も安定する。したがって、冊子体の輸送や取扱い、さらに冊子体から記憶媒体収納体を分離した後の記憶媒体の輸送や取扱い時に、記憶媒体に傷が生ずるおそれがない。
綴じ込み用端部は、一枚の板紙からなる構造とすることができ、記憶媒体収納体の記憶媒体が収納された部分が分離された後に冊子体に残存しても、冊子体が読みにくくなることがない。
そして、特に顕著な効果として、製造工程においても、一枚の板紙にミシン目加工や筋押し加工を施し、接着部分への接着剤の塗布加工後、平行に形成された折目線を二回折り曲げるのみで製造でき、非常に簡易な工程で製造することが可能である。また、背面部材と前板部材の間及び背面部材と前面部材の間のそれぞれの折目線で曲げる際も、紙目方向と折目線が平行になるため折り曲げやすく、機械加工で折り曲げる際に効率よく折り曲げることができる。
このようなことから、製造装置の構造も非常に簡易にすることができる。また、接着剤の塗布加工の前、または後に、背面部材上に記憶媒体を載置する工程を加えることで、記憶媒体を入れることも一連の製造工程で可能になり、高い効率で製造することが可能となる。
請求項2記載の発明によれば前記板紙が、一平方メートルあたり250グラム以上、300グラム以下の板紙であり、かつ、紙目方向が前記三つの部材を貫くミシン目と直交する方向であるため、記憶媒体収納体が適度な剛性を備えることができ、その剛性により、背面部材と前板部材で記憶媒体を適度な力で押さえることができ、記憶媒体が脱落することがなく、かつ取り出しも行いやすい保管に適した剛性を得ることができる。また、紙目と平行する方向に曲線が生じにくく、このような曲線が生じにくいということは、背面部材と前面部材を接続する折目が、背になるように立てて保管をする、という最もよく行われる保管形態を、長年にわたって採用した場合でも、自重で曲がりが生ずることを避けることができる。
さらに、最も厚い部分でも背面部材、前面部材及び前板部材という3枚の板紙が重なる厚みであり、一平方メートルあたり250グラム以上、300グラム以下の板紙であれば、綴じ込まれた記憶媒体収納体が接する、あるいは近接する数枚の頁に跡がつく現象を生じにくくすることができる。
請求項3記載の発明によれば、収納が予定される記憶媒体が円盤状記憶媒体であり、前記背面部材と前記前板部材が連接される方向の、背面部材の長さが、収納が予定される円盤状記憶媒体の直径に5ミリメートルを加えた長さより長く、直径に15ミリメートルを加えた長さより短く、前板部材の長さが、収納が予定される円盤状記憶媒体の直径の2分の1より長く、前板部材が背面部材上に折り込まれた状態で、前板部材の端から背面部材と前面部材が連接される折目線までの距離が、収納が予定される円盤状記憶媒体の2分の1から8ミリメートルを引いた長さより長くなるように設計されており、かつ、前板部材の背面部材と連接される側とは反対側の辺の中央部分に、深さが8ミリメートル以上の凹部が形成されているため、円盤状記憶媒体が背面部材と前板部材が連接される方向に動くことが可能な量が5ミリメートルより大きく、15ミリメートルより小さくなる。
そして、前板部材に形成された凹部に、円盤状記憶媒体に通常存在する中央の穴が確実に重なり、子供や老人でも円盤状記憶媒体の穴に指を入れて、極めて容易に取り出すことができ、しかも、記憶媒体が落下しにくく、かつ取り出しやすい記憶媒体収納体を得ることができる。
請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の記憶媒体収納体に、記憶媒体が収納され、前記綴じ込み部材の部分で無線綴じされてなる無線綴じ冊子体であるため、無線綴じという安価な製本方法で、上記のような優れた効果を有する記憶媒体収納体を備えた無線綴じ冊子体を得ることができ、記憶媒体を添付することに非常に適し、かつ、記憶媒体を非常に使用しやすい無線綴じ冊子体を得ることができる。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施例を図1乃至7に従って説明する。
図1は、本発明の記憶媒体収納体の展開説明図である。本実施例では、記憶媒体収納体に収納される予定の記憶媒体が、直径12cmの円盤状記憶媒体であることを想定して、説明している。
縦が210mm、横が360mmの大きさで、一平方メートルあたり260グラムである一枚の板紙21を用意した。なお、図の縦方向の板紙長さは、210mmに設定しているが、綴じ込まれる冊子体の長さに合わせた大きさにしてもよい。
この図は、板紙21を裏面側から見た図である。図の横方向の長さが130mmである背面部材25の一辺に、折目線O2を介して、前板部材26が連接されている。直径12cmの円盤状記憶媒体が収納されると、図の横方向には、最大10mmしか動かないことになり、記憶媒体収納体中における記憶媒体収納体の位置が安定する。したがって、冊子体の輸送や取扱い、さらに冊子体から記憶媒体収納体を分離した後の記憶媒体の輸送や取扱い時に、記憶媒体に傷が生ずるおそれがない。
本発明において、好適に使用できる板紙21の材料としては、いわゆるマニラボールの両面コートカード紙が最も好ましい。例示すれば、王子製紙(株)製のサンカード、エルカード、Sカードグリーン100、北越製紙(株)製のノーバックW、ハイラッキー、クリーンコートW、日本大昭和板紙(株)製のユニフェイスW、F−1カードが挙げられる。
その他に、マニラボールの片面コートのカード紙が好ましい。三菱製紙(株)製のハイパール、北越製紙(株)製のハイクリーンコート、日本大昭和板紙(株)製のリファイン、北越製紙(株)製のNew−DV、王子製紙(株)製のNewビジョン、PCグリーン100、日本大昭和板紙(株)製のJETエースが挙げられる。
さらに、コートボールである、王子製紙(株)製のUFコート、OKボール、サンコート、レンゴー(株)製のCRC、北越製紙(株)製のマリコート、日本大昭和板紙(株)製のJETスターも好ましく使用することができる。
なお、本実施例における折目線は、すべて、筋押し加工からなっている。筋押しに代えて、接続部分の間隔が長いミシン目を形成してもよいが、ミシン目の場合は経時的に切断される可能性があることを考慮すると、筋押し加工が好ましい。
前板部材は、図の横方向、すなわち背面部材と連接される方向の長さが75mmであり、背面部材と連接される側とは反対側の辺の中央部分に、深さが8mmの半円状の凹部Cが打ち抜かれて形成されている。なお、深さとは、凹部の深さのことを意味している。
そして、背面部材25の前板部材26が連接される側とは反対側に、折目線O1を介して、前面部材24が連接されている。
前面部材の、背面部材と連接される方向の長さは130mmであり、背面部材と同じ大きさである。前面部材と背面部材を同じ大きさとすることで、コンパクトディスクとして市販されているプラスチックケース等に入れられた音楽用等のコンパクトディスクと一緒に棚に立てて保管する場合にも、見栄えよく保管することができる。
そして、前板部材26、背面部材25、前面部材24の、これらの部材が連接される方向とは直交する方向の両端には、これら三つの部材を貫くようにミシン目M2、M3が形成されている。ミシン目M2、M3の紙端からの長さは、15mmである。この長さが短すぎると切り取りにくく、長すぎると材料の無駄につながることから、10mmから25mmが好ましい。ただ、上述したように、冊子体の一部として綴じ込まれた状態の記憶媒体収納体を、綴じ込まれる冊子体の長さに合わせた大きさにしてもよく、その場合は、ミシン目の紙端からの長さを長くし、ミシン目が切り取られた状態は、保存に適したコンパクトな大きさにすることが便利である。また、前面部材24の、背面部材が連接される側とは反対側に、ミシン目M1を介して、綴じ込み部材23が連接されている。綴じ込み部材の、背面部材と連接される方向の長さは25mmである。
なお、板紙1の紙目方向が、矢印Kの方向になるように、板紙1が切断されている。この方向に紙目方向が設計されていると、折目線O1、O2を折る場合には、紙目に沿って折れるため、容易に折ることができる。そして、それと直交する方向に折ろうとすると、折りにくいことになる。このことは、記憶媒体収納体が折目線O1を書籍の背となるような状態で、台の上に立てて保管した場合に、台面と平行な方向には折れたり、曲がったりしにくいこととなる。そのため、長期にわたって保管した場合でも、自重で台面と平行な方向に反ってしまうことが生じにくいという効果を奏することになる。
次に、記憶媒体収納体の製造工程に沿って説明する。図1に示す板紙1が、コンベア(図示せず)の上を矢印Aで示す方向に、流れていく。そして、板紙上に接着剤が付着される。すなわち、背面部材25の、ミシン目M2、M3の外側に接着剤5S、5Tが付着され、ミシン目M2、M3の内側に接着剤5U、5Vが付着される。また、前面部材24のミシン目M2、M3の外側に接着剤4S、4Tが付着される。この接着剤は、板紙1がコンベア上を流れていく際に、接着剤が付着されたローラを転がすことによって、容易に付着させることができる。接着剤は、通常製本工程で使用される圧着性接着剤などを使用できるが、生産量が少ない場合には、粘着テープを使用して行っても構わない。
なお、ミシン目M2、M3の内側に付着される接着剤5U、5Vの位置は、内側に寄りすぎると、本実施例のように前板部材を背面部材に貼り合わせる前の状態でコンパクトディスクを載置する場合には、コンパクトディスクに接着剤が付着する可能性があり、また、前板部材を背面部材に貼り合わせた後には、コンパクトディスクが収納される開口部が狭くなり、出し入れしにくくなってしまう。
したがって、接着剤5Uの端と接着剤5V端の間の距離が、収納される予定の記憶媒体の直径に35mmを加えた長さより短く、記憶媒体の直径に8mmを加えた長さより長く設定すると好ましく、特に、板紙21として、一平方メートルあたり250グラム以上、300グラム以下の板紙を用いた場合には、記憶媒体の直径に35mmを加えた長さより短く、記憶媒体の直径に10mmを加えた長さより長く設定すると、記憶媒体が、保管時や記憶媒体収納体の持ち運び時に折目線O2に平行な方向に動き得る量が小さくなり、記憶媒体に傷が付く可能性を低減できる。しかも、記憶媒体が取り出しにくくない、記憶媒体収納体を得ることができる。すなわち、折目線O2に平行な方向に動き得る量を少なくしようとして、接着剤5Uの端と接着剤5V端の間の距離を上記範囲に設定すると、記憶媒体の取り出し時に、前板部材と背面部材がコンパクトディスクを挟む力が大き過ぎず、記憶媒体の取り出しが、子供や老人にとっても行いやすくなる。本実施例では、接着剤5Uの端と接着剤5V端の間の距離は、14.5cmに設定した。
そして、背面部材25上に記憶媒体であるコンパクトディスク22を載置する。これも、コンパクトディスク22を吸盤で吸着し、コンベア上を流れる板紙に載置すればよい。
なお、図2は、図1の板紙21の表面側であり、前面部材24、背面部材25には、それぞれ表示4A、5Aが印刷されている。本実施例では、左開きの冊子体の一部として綴じこまれる記憶媒体収納体を例にとっているため、表示4Aがコンパクトディスク22の表題を示しており、「○○シリーズ」の文字と山の絵が印刷されている。
表示5Aにはコンパクトディスクの内容の説明が示されており、「このCDは、・・・・・」という文字が印刷されている。これらの印刷は、通常のオフセット輪転印刷機、オフセット平台印刷機、グラビア輪転印刷機等の印刷機により行うことができる。
そして、図1の折目線O2が折られ、前板部材26が背面部材25上に折り込まれ、図3の状態が得られた。この際、前板部材は、接着剤5S、5T、5U、5Vで、背面部材に接着されている。折目線O2は、あらかじめ筋押し加工がされているため、コンベアで板紙21が運ばれる工程で、容易に折り込むことが可能である。さらに、折目線O1で、前面部材24が、背面部材25及び前板部材26上に折り込まれる。そして、接着剤4S、4Tで前面部材24と前板部材26が接着され、接着剤5S、5Tで前面部材24と背面部材25が接着される。折目線O1にも、あらかじめ筋押し加工がされているため、コンベアで板紙21が運ばれながら、容易に折り込むことが可能である。
また、図3で、前板部材26の折目線O2に対向する辺の中央部分に、深さが8mmの半円状の凹部Cが形成されているが、この半円状の凹部の直径は、コンパクトディスク22の中心の穴の径よりも大きく、凹部Cに指を入れるとコンパクトディスク22を容易に取り出すことができる。
この図3の状態で、前板部材の横方向の長さは75mmであり、その端はコンパクトディスク22の中央部を縦に横切っているが、この端から背面部材と前面部材が連接される折目線O1までの距離は、65mmとなっている。以上のようにして、図4に示す記憶媒体収納体27が製造された。
ここで、それぞれの部材の接着状態を図1に戻って説明すると、背面部材と前板部材は、ミシン目M2、M3の外側の接着剤5S、5Tだけでなく、ミシン目M2、M3の内側の接着剤5U、5Vによっても貼り合わせられ、コンパクトディスクの使用時にミシン目M2、M3が切り取られた際にも、接着剤5U、5Vによって貼り合わされた状態を維持することができ、引き続きコンパクトディスク22を保持することができる。
そして、前面部材と背面部材は、ミシン目M2、M3の外側である、接着剤5S、5Tの前面部材寄りの部分で接着され、前面部材と前板部材はミシン目M2、M3の外側である、接着剤4S、4Tで接着されるが、これらの接着部分は、コンパクトディスクの使用時にミシン目M2、M3が切り取られることで、除去され、前面部材と、背面部材及び前板部材との接着された状態は解消され、前面部材は開閉可能な状態となる。
したがって、図1では、接着剤4S、4T、5S、5Tは、かなり大きな面積となっているが、コンパクトディスクが使用されるまでの間、接着状態を保持するものであるため、接着剤の節約によるコスト削減のためには、その接着状態の保持ができる強度を有する限度で、小さな面積にしてもよい。他方、接着剤5U、5Vは、記憶媒体収納体として機能しつづける間、接着状態を保持しなければならず、また、コンパクトディスクが移動したり、収納される際に、コンパクトディスクが接着部に接触し、接着部が剥離する可能性があるため、それに耐えるだけの接着強度が必要とされる。
次に、この記憶媒体収納体を冊子体の一部として綴じ込む場合の例を示す。図5は、本発明の記憶媒体収納体27を、本文28と共に綴じ込んだ、無線綴じ冊子体29の説明図である。なお、無線綴じは、いわゆるアジロ綴じも含む概念である。
図4に示す形態となった本発明の記憶媒体収納体を用い、無線綴じによって冊子体を製造した。本文の折丁を8頁折りにして、製本機で丁合を行った。この際、記憶媒体収納体も同時に丁合を行い、背の部分をミーリングカットし、ホットメルト型接着剤を塗布した後に、表紙でくるみを行い、冊子体を製造した。
この冊子体は、左開きの冊子体であり、ノンブル30から明らかなように、本文の20頁と21頁の間に、記憶媒体収納体27を綴じ込み、冊子体としたものである。記憶媒体収納体27は、本文に比較して小さい大きさであり、左開きの冊子体であることから、冊子体の天側で位置合わせをしている。
このように、本発明の記憶媒体収納体は、無線綴じで製本を行う際に、本文の折丁と同時に製本機で丁合を行うことができ、効率的な生産が可能であった。
図6は、冊子体29から記憶媒体収納体27を切り離した状態の説明図である。コンパクトディスク等の記憶媒体を使用する際には、まず、小冊子29から、記憶媒体収納体27を、ミシン目M1で切り離す。そして、記憶媒体収納体27のミシン目M2、M3で、前面部材と前板部材及び背面部材との接着部分31、32をそれぞれ切り離す。記憶媒体収納体27を切り離す際はミシン目M1が、接着部分31、32を切り離す際はミシン目M2、M3があることから、子供や老人であっても、手で容易に切り離すことが可能である。
これによって、図7に示すように、背面部材25及び前板部材26から、前面部材24が、接着された状態から開放され、折目線O1を伸ばすことによって、コンパクトディスク22が前板部材26から露出する。そして、凹部Cと重なっている記憶媒体の中央の穴に、指をかけることによって、記憶媒体収納体27から、コンパクトディスク22を容易に取り出すことができるものである。
前面部材24は、折目線O1によって開閉可能な状態となり、コンパクトディスク22の使用後は、再び記憶媒体収納体27に入れて、前面部材24を閉じることによって、二つ折り形態の記憶媒体収納体となり、コンパクトディスク22を傷つけることなく、また、外観上も美しい状態で、長期的な保管を図ることができる。
この記憶媒体収納体は、前面部材24の開閉もスムーズであり、コンパクトディスク22の出し入れも極めて行いやすく、前板部材及び背面部材で形成された開口部の剛性も適度で、コンパクトディスクが容易に抜け落ちることがなかった。また、開口部に沿った方向には、コンパクトディスク22は動きにくく、安定した保持が可能であった。
さらに、折目線O1を背にして、立てて保管したが、見た目にも美しく保管をすることができた。
なお、冊子体29から記憶媒体収納体27を切り離した状態で、冊子体側には、綴じ込み部材が残るが、冊子体が破壊されない程度に、限界まで広げた場合に、綴じ込み部材は5mm露出していた。この露出量は、10mm以下が好ましい。10mmを超えると、冊子体として綴じ込み部材が残っている頁の近傍の頁を読むときに、綴じ込み部材のために広げにくくなるためである。この問題を解消するためには、さらに好ましくは5mm以下であるが、逆に、記憶媒体収納体を切り離す際に、切り離しにくくなることがあるため、5mmから10mmの露出量としておくことが好ましい。
このような冊子体は、英語等の会話が録音された語学教材、音楽、映画、動画、広告、電子書籍等を入れた雑誌、ソフトウェアを入れたコンピューター雑誌、ソフトウェアを販売する際にソフトウェアを入れたDVDに取り扱い説明やマニュアルとして印刷物の小冊子を用いる場合等、多くの用途に好適に用いることができる。
本発明の記憶媒体収納体及び無線綴じ冊子体は、上記実施例の記載に限定されることなく、種々の変形が可能である。
例えば、前面部材24と背面部材25に印刷によって設けた表示4A、5Aも、必ず設けなければならないものではなく、また、印刷によらず、ラベルを貼って表示をしてもよい。また、表示の位置も任意の場所で構わない。
また、コンパクトディスクの代わりに、DVD等の様々な記憶媒体を収納することも可能である。
コンパクトディスクの情報記憶面を保護するために、コンパクトディスクを、いったん不織布を備える袋に入れてから、本発明の記憶媒体収納体に入れてもよい。また、記憶媒体収納体の背面部材に不織布を貼り付けておいてもよい。
本発明に係る記憶媒体収納体の裏面側展開説明図 本発明に係る記憶媒体収納体の表面側展開説明図 本発明に係る記憶媒体収納体の製造工程の説明図 本発明に係る記憶媒体収納体の説明図 本発明に係る無線冊子体の説明図 冊子体から記憶媒体収納体を切り離した状態の説明図 本発明に係る記憶媒体収納体の説明図 従来技術に係る記憶媒体収納体の説明図 他の従来技術に係る記憶媒体収納体の説明図
符号の説明
1…記憶媒体収納体
2…孔あけ加工部
3…筋押し加工部
4…切込み加工部
5…記憶媒体
6…綴じ込み用端部
7、8…ミシン目加工部
9…小穴
11…折丁
12…コンパクトディスク収納用容器
12A…袋部分
12B…他の部分
12C…貼り付け部分
12D…切り取り線
13…コンパクトディスク
21…板紙
22…コンパクトディスク
23…綴じ込み部材
24…前面部材
25…背面部材
26…前板部材
O1、O2…折目線
M1、M2、M3…ミシン目
4S、4T、5S、5T、5S、5T…接着剤
A…板紙の流れ方向
C…凹部
K…紙目方向
4A、5A…表示
27…記憶媒体収納体
28…本文
29…無線綴じ冊子体
30…ノンブル
31、32…接着部分

Claims (4)

  1. 一枚の板紙からなる記憶媒体収納体であって、略矩形状の背面部材と、背面部材の一辺に折目線を介して連接され、連接される方向の長さが前記背面部材の長さより短い前板部材と、前記背面部材の、前記前板部材が連接される側とは反対側に、折目線を介して連接される略矩形状の前面部材を備え、
    これら三つの部材の、連接される方向とは直交する方向の両端には、それぞれ、三つの部材を貫くミシン目が形成されてなり、
    前記前面部材の、背面部材が連接される側とは反対側に、ミシン目を介して綴じ込み部材が連接され、
    前記前板部材が、前記背面部材と重なるようにそれらを接続する折目線で折られ、さらに、前記前面部材が、前記背面部材及び前板部材と重なるように前面部材と背面部材を接続する折目線で折られており、
    前記前板部材と前記背面部材は、前記三つの部材を貫くミシン目の内側で接着され、前記前面部材と前記背面部材及び前板部材とは、前記三つの部材を貫くミシン目の外側で接着されてなる記憶媒体収納体。
  2. 前記板紙が、一平方メートルあたり250グラム以上、300グラム以下の板紙であり、かつ、紙目方向が前記三つの部材を貫くミシン目と直交する方向であることを特徴とする請求項1記載の記憶媒体収納体。
  3. 収納が予定される記憶媒体が円盤状記憶媒体であり、
    前記背面部材と前記前板部材が連接される方向の、背面部材の長さが、収納が予定される円盤状記憶媒体の直径に5ミリメートルを加えた長さより長く、直径に15ミリメートルを加えた長さより短く、
    前板部材の長さが、収納が予定される円盤状記憶媒体の直径の2分の1より長く、前板部材が背面部材上に折り込まれた状態で、前板部材の端から背面部材と前面部材が連接される折目線までの距離が、収納が予定される円盤状記憶媒体の2分の1から8ミリメートルを引いた長さより長くなるように設計されており、
    かつ、前板部材の背面部材と連接される側とは反対側の辺の中央部分に、深さが8ミリメートル以上の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の記憶媒体収納体。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の記憶媒体収納体に、記憶媒体が収納され、前記綴じ込み部材の部分で無線綴じされてなる無線綴じ冊子体。
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