JP5002187B2 - カーボンナノコイルの成長方法 - Google Patents

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本発明は、カーボンナノコイルの成長方法、特に基板と触媒との間に特定の膜を設けて、カーボンナノコイルを成長させる方法に関する。
カーボンナノコイルは、カーボンナノファイバーの一種であり、コイル状をしたファイバーである。このカーボンナノコイルは、その形状とサイズから、電子源、微小な磁場発生源や微小領域の磁場検出素子、バネなどのナノデバイスとして、また、電気や熱の伝導性、機械的強度、伸縮性等を活かした高機能性材料のナノコンポジット素材としての技術分野での利用が期待されている。
従来のカーボンナノコイルの成長方法としては、例えば、炭素を含む原料ガスを使用した触媒CVD法により、Cu、Mn、Fe、Co、Ni又はこれらの酸化物よりなる群から選ばれた1つの材料と、Zn、In、Sn、Sb又はこれらの酸化物よりなる群から選ばれた1つ又は複数の材料とを含む2種以上の特定の金属を含んでなる触媒上に、カーボンナノコイル、カーボンナノツイスト、カーボンナノロープなどのカーボン繊維を成長させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、Ni又はZnで被覆されたCu基板上にツイスト状カーボンナノコイルを成長させる方法(例えば、非特許文献1参照)や、ITO透明電極を塗布したガラス基板上に鉄薄膜を形成したものを基板として用いて、この触媒上にアセチレン及びヘリウムを供給して700℃、30分間でカーボンナノコイルを生成せしめる方法(例えば、非特許文献2参照)や、触媒として鉄被覆インジウム錫酸化物を用い、アセチレンの接触熱分解によりカーボンナノコイルを作製する方法(例えば、非特許文献3参照)や、CVD装置内で、Fe粒子とSnO粒子との混合物上でのアセチレンの接触熱分解によりカーボンナノコイルを合成する方法(例えば、非特許文献4参照)が知られている。
特開2003−213530号公報(特許請求の範囲) JJAP, Vol. 39 (2000), pp. 5177-5719(5177頁、5178頁及び図5) 表面科学、Vol. 25, No. 6, pp. 332-338, 2004(333頁) L. Pan et al., JAP, 91, 10058-10061(2002) JJAP, Vol. 44, No. 4A, 2005, pp. 1569-1576(1569頁)
上記従来技術においては、例えば、触媒の下地として、NiやZn等の金属やITOやSnO等の金属酸化物を利用し、これらの金属が触媒金属にとけ込んだ状態で熱CVD法によりカーボンナノコイルを成長させている。この場合、触媒以外の金属を使用する必要がある上、使用する低融点金属により装置内に汚染が生じたり、また、これらの金属が成長後のカーボンナノコイルに付着して、得られたカーボンナノコイルの用途などが制限されてしまうという問題がある。
本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解決することにあり、用途に制限のないカーボンナノコイルを、成長プロセス中に装置内を汚染することなく成長させるために、低融点の金属を用いずに、通常バッファ層として使われているTiを利用した触媒下地膜を設けてカーボンナノコイルを成長させる方法を提供することにある。
本発明のカーボンナノコイルの成長方法は、触媒を成膜した基板上にカーボンナノコイル成長用原料ガスを供給し、CVD法でカーボンナノコイルを成長させる方法において、基板と触媒膜との間にTi−O−N結合を有する膜を設けて触媒上にカーボンナノコイルを成長させることを特徴とする。このように触媒膜の下地としてTi−O−N結合を有する膜を用いることにより、効率よくカーボンナノコイルを成長させることが可能となる。
前記Ti−O−N結合を有する膜は、Tiスパッタリングターゲットを用い、窒素ガスに、窒素ガス基準で酸素ガスを0.1〜20%混入してなる雰囲気中でスパッタして、基板上に形成されることを特徴とする。酸素ガス量が0.1%未満であると、触媒を成膜したときに酸化が不十分となり、カーボンナノコイルを成長させるための十分な欠陥を与えられず、カーボンナノコイルの収量が減少し、直線状のカーボンナノファイバーが増加する。また、酸素ガス量が20%を超えると触媒を成膜したときに酸化しすぎてしまい、カーボンナノコイルが成長しなくなる。
前記触媒は、Fe、Co、Ni及びこれら金属の少なくとも1種を含む合金から選ばれた少なくと1種であることを特徴とする。この触媒の膜厚は、10nm以下であることが好ましい。触媒膜厚が10nmを超えると、カーボンナノコイルはほとんど成長しない。
前記カーボンナノコイル成長用原料ガスは、炭化水素ガス、アルコールガス及び一酸化炭素ガスから得ればれた少なくとも1種のガス、又はこれらの少なくと1種のガスと水素原子含有ガスとの混合ガスであることを特徴とする。
前記炭化水素ガスは、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン及びアセチレンから選ばれたガスであり、前記アルコールガスは、メチルアルコール、エチルアルコール及びイソプロピルアルコールのガスから選ばれたガスであり、前記水素原子含有ガスは、水素ガス又はアンモニアガスであることが望ましい。
前記カーボンナノコイル成長用原料ガスは、さらに窒素ガス、ヘリウムガス及びアルゴンガスから選ばれた希釈ガスを含んでいてもよい。
前記CVD法は、熱CVD法、リモートプラズマCVD法又はホットフィラメント法であることを特徴とする。
本発明によれば、基板と触媒膜との間にTi−O−N結合を有する膜を設けることにより、効率よくカーボンナノコイルを成長させることができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明によれば、基板上にTi−O−N結合を有する膜(以下、単に、「Ti−O−N膜」とも称する)、触媒の順に成膜し、CVD法によりカーボンナノコイルを成長させることにより、効率よくカーボンナノコイルを作製することができる。
本発明で用いる基板としては、特に制限はないが、例えば、シリコン若しくはGaN等の半導体、石英若しくはサファイア、Cu、Al、Au、W等の金属若しくはこれらの金属の少なくとも1種を含む合金、又は酸化物若しくは窒化物からなる基板を使用できる。下地膜成分中のTiの酸化状態を保つためには、Cu、Al等の金属が好ましい。
下地としてのTi−O−N膜の作製条件は酸化及び窒化ができる条件が必要であり、その成膜手法としては、公知のスパッタ法やEB蒸着法等で可能である。この酸化及び窒化できる条件で行われ得る成膜手法としては、スパッタ法で成膜する場合、例えば、(1)TiNターゲットを用いて0.1〜20%の酸素雰囲気中で、基板とターゲットとの距離、パワー、基板温度等の条件を適宜選択してスパッタ成膜(例えば、Ar使用)することや、(2)Tiターゲットを用いて、窒素ガスと窒素ガス基準で0.1〜20%の酸素ガスとを含む雰囲気中で、基板とターゲットとの距離、パワー、基板温度等の条件を適宜選択してスパッタ成膜(例えば、Ar使用)することや、(3)TiOターゲットを用いて窒素ガス雰囲気中で基板とターゲットとの距離、パワー、基板温度等の条件を適宜選択してスパッタ成膜(例えば、Ar使用)することを挙げることができる。また、EB蒸着法で成膜する場合、例えば、(1)TiNターゲットを用いて所定濃度の酸素ガスを導入(酸素ガス圧は、成膜レートにより、任意に、例えば10−3Torr程度に設定する)して成膜することや、(2)Tiターゲットを用いて酸素ガス及びRFプラズマ等で分解生成せしめた窒素を所定の比率で導入して成膜することや、(3)TiOターゲット又はTiOターゲットを用いてRFプラズマ等で分解生成せしめた窒素を所定の量で導入して成膜することを挙げることができる。これらの成膜手法のうち、スパッタ法の上記(1)及び(2)が好ましく、特に窒素ガスからなるスパッタ雰囲気中に所定濃度の酸素ガスを混入して成膜することがより効果的である。
このTi−O−N膜におけるTi−O−N結合の組成は、以下述べるような成膜時の条件に依存し、例えば一般式:TiO2−xで表記できるが、Ti−O−N結合を有するものであれば、本発明の目的を達成できるものと考える。例えば、O:N=1:1よりも酸素濃度が高いと、触媒が酸化してしまうためか、カーボンナノコイルの成長があまり良くなく、また、O:N=0.2:1程度までの酸素濃度であれば、カーボンナノコイルの満足な成長が得られる。
上記下地膜を作製する場合、酸素ガスを混入して行うスパッタ法による成膜条件は、その成膜圧力と触媒膜厚に依るが、酸素濃度0.1〜20%程度、好ましくは1〜12%程度で所期の目的を達成できる。酸素混入量が0.1%未満であると、触媒を成膜したときに酸化が不十分となり、カーボンナノコイルを作製するための十分な欠陥を触媒に与えられないという問題がある。また、酸素混入量が20%を超えると触媒が酸化しすぎてしまい、所期の目的を達成できないという問題がある。すなわち、酸素混入量が少ないとカーボンナノコイルの収量が減少し、コイルではない直線状カーボンナノファイバーの収量が増加してしまい、一方、酸素混入量が多すぎると触媒が酸化されすぎて、カーボンナノコイルが成長しなくなる。
通常、触媒結晶の表面の所定の面からグラファイトカーボン(グラフェンシート)が析出し、カーボンナノファイバーが形成されるが、その際に触媒結晶に欠陥(例えば、酸素原子等による欠陥)があると、コイル状のカーボンナノファイバーとなる。しかし、酸素原子で欠陥を入れようとしても、通常は、この酸素原子はカーボンナノコイル成長プロセス中に還元されて消失してしまう。そのため、酸素原子がプロセス中に還元され難い状態で存在していることが必要となる。本発明によれば、下地としてTi−O−N膜を用いることにより、触媒表面を酸化しているが、この酸素原子は、Ti、Nとも結合しているために還元され難い状態になっている。その結果、触媒結晶の表面に欠陥が入った状態になって、グラフェンシートにも欠陥が入り、カーボンナノコイルを継続的に成長せしめ得るものと考えられる。
上記したように、下地としてTi−O−N膜を用いることにより、CVD法により目的とするカーボンナノコイルを成長させることができる。この下地膜中の窒素の役割は、恐らく触媒の酸化状態を抑制して、触媒結晶の表面へ欠陥がうまく入るようにしているものと考えられる。
下地Ti−O−N膜の作製温度は、300℃以上であれば良く、この温度より低いと窒化が進み難く、うまくコイル状にならないことがある。作製温度の上限は、特に制限はないが、使用する基板の耐熱温度より低いことが必要である。また、作製圧力は、0.1〜10Pa程度である。圧力が0.1Pa未満であると窒化、酸化が十分にできず、10Paを超えると成膜速度が遅くなりすぎ、或いは酸化しすぎてしまう。
上記したようにスパッタ法で下地膜を作製する場合、スパッタ雰囲気(窒素ガス)中に混入する酸素ガスの量は、以下述べるように、触媒膜厚に依り変化する。この触媒膜厚は、10nm以下であることが好ましく、下限は、膜厚のコントロールが可能であってカーボンナノコイルが成長できる厚さ(例えば、0.5nm程度)以上であれば良く、好ましくは3nm程度であれば良い。10nmを超えるとカーボンナノコイルはほとんど成長しない。
触媒としては、カーボンナノファイバーを成長せしめることが知られている既知の触媒であれば使用可能であるが、上記したように、Fe、Co、Ni及びこれら金属の少なくとも1種を含む合金から選ばれた少なくと1種を使用することが好ましい。これらの触媒の膜厚と酸素ガス量(窒素ガス量基準)との関係は、例えば、膜厚が3nmの時には、酸素ガス量は1%程度が好ましく、10%程度まで増やしていくにつれて徐々にカーボンナノコイルの収量が減少していく。この場合、酸素ガス量が1%未満であると通常の直線状のカーボンナノファイバーの量が増えてしまうことがあるという問題がある。触媒膜厚が5nmの時には、酸素ガス量は2%程度が好ましく、10%程度まで増やしていくにつれて徐々にカーボンナノコイルの収量が減少していく。触媒膜厚が10nmの時には、酸素ガス量は2〜3%程度が好ましく、12%程度まで増やしていくにつれて徐々にカーボンナノコイルの収量が減少していく。なお、触媒膜厚が10nmを超えると、アモルファスの太いファイバーが成長を始めて、カーボンナノコイルの成長はし難くなる。
本発明に係るカーボンナノコイル成長方法によれば、まず、基板をTiスパッタリングターゲットを備えた公知のCVD装置内へ載置し、装置内へ窒素ガス中に所定量の酸素を混入した混合ガスを供給し、所定の電力(例えば、100〜500W)、所定の圧力(例えば、0.2〜0.6Pa)下、酸化及び窒化ができる条件でスパッタ成膜せしめ、所定の膜厚(例えば、10〜100nm)のTi−O−N結合を有する下地膜を作製する。得られた膜は、TiNの金色ではなく、銀色の外観を呈しており、オージェ電子分光法(AES)分析によりTi−O−N結合を有する膜であることが分かる。下地膜の厚さが10nm未満であると、触媒が失活してコイル(ファイバー)の成長がしにくなり、100nmを超えるとファイバーの成長後に基板、特に金属からなる基板の場合、応力で剥がれ易くなる。
かくして得られたTi−O−N結合を有する膜の上に、EB蒸着法、スパッタ法等により、Fe、Co、Ni及びこれら金属の少なくとも1種を含む合金から選ばれた少なくと1種の触媒を、カーボンナノコイルが成長し得る下限の厚さから10nmの厚みまでの範囲で成膜する。
次いで、触媒の形成された基板を公知のCVD装置内へ載置して、所定流量(例えば、500〜2000sccm)の窒素ガス雰囲気で、所定圧力(例えば、4×10〜1.013×10Pa)下、所定温度(例えば、600〜800℃)まで昇温させた後、上記したような炭化水素ガス、アルコールガス及び一酸化炭素ガスから選ばれた少なくとも1種のガス、又はこれらの少なくと1種のガスと水素原子含有ガスとの混合ガスからなるカーボンナノコイル成長用原料ガスを、所定流量(例えば、10〜500sccm)で、所定時間(例えば、10〜60秒)CVD装置内へ導入して、CVD法でカーボンナノファイバーを成長せしめ、カーボンナノコイルを得る。この場合、上記カーボンナノコイル成長用原料ガスに、さらに窒素ガス、ヘリウムガス又はアルゴンガス等の希釈ガスを含ませてカーボンナノファイバーを成長させてもよい。
本発明によれば、カーボンナノコイルの成長方法としては、熱CVD法、リモートプラズマCVD法、ホットフィラメント法等を使用することが好ましい。通常のプラズマCVD法では、カーボンナノコイルは成長しないため好ましくない。これは、本発明で用いる基板をプラズマ中に入れると下地膜中の酸素がとれてしまったり、還元されてしまうためと考えられる。
以下に、本発明を具体的な実施例を挙げて詳細に説明する。
本実施例では、基板としてCu板を使用した。このCu板を、Tiスパッタリングターゲットを備えた公知のCVD装置内へ載置し、装置内へ窒素ガス中に1%の酸素を混入した混合ガスを0.5sccm流量で供給し、500W、0.5Paの圧力下、50nm、75nm及び100nmの膜厚になるようにスパッタ成膜せしめた。得られた各膜は、TiNの金色ではなく、銀色の外観を呈しており、AES分析によりTi−O−N結合を有する膜であることが確認された。得られたTi−O−N結合を有する各膜の上に、EB蒸着法により、触媒としてNiを3nmの厚みで成膜した。
次いで、触媒の形成された基板を赤外線イメージ炉中にセットし、窒素流量1000sccm、圧力760Torrで、700℃まで昇温させた後、アセチレンを流量300sccmで40秒間導入して、熱CVD法によりカーボンナノファイバーを成長せしめた。厚み75nmのTi−O−N膜上に成長せしめたファイバーは、図1のSEM写真に示すように、ツイストしていないカーボンナノコイル100%であり、ファイバー径20〜50nmのものが巻かれてコイル状になっており、コイル全体の径は150〜200nmであった。また、厚み50nm及び100nmのTi−O−N膜の場合も、同様な結果が得られた。
実施例1におけるNi触媒膜厚を3nmから10nm以上までの間で変えて、実施例1の方法を繰り返してカーボンナノファイバーを成長せしめた。その結果、膜厚が3〜10nmの間では、実施例1と同様なカーボンナノコイルが得られたが、膜厚が10nmを超えるとカーボンナノコイルが成長し難くなり、コイル状と直線状のものが混合し始めると共に、アモルファス状の太いグラファイトのファイバーが成長してきた。なお、触媒膜厚を薄くして、同様に成長せしめると、0.5nm程度、好ましくは1nm程度の膜厚までは同様なカーボンナノコイルが成長したが、0.5nmより薄い膜厚のコントロールは不可能であった。
本実施例では、触媒の膜厚と酸素ガス量(窒素ガス量基準)との関係を検討するため、触媒膜厚を3nm、5nm及び10nmとし、それぞれの場合に、酸素ガス量を1%程度から12%までの範囲に設定し、実施例1の方法を繰り返した。
その結果、Ni触媒膜厚が3nmの時には、酸素ガス量は1%程度が好ましく、10%程度まで増やしていくにつれて徐々にカーボンナノコイルの収量が減少していった。この場合、酸素ガス量が1%未満であると通常の直線状のカーボンナノファイバーの量が増えた。
触媒膜厚が5nmの時には、酸素ガス量は2%程度が好ましく、10%程度まで増やしていくにつれて徐々にカーボンナノコイルの収量が減少した。
触媒膜厚が10nmの時には、酸素ガス量は2〜3%程度が好ましく、12%程度まで増やしていくにつれて徐々にカーボンナノコイルの収量が減少した。
実施例1記載の方法に従ってTi−O−N結合を有する膜及び触媒の形成された基板を作製した。次いで実施例1の熱CVD法ではなく、リモートプラズマCVD法に従ってカーボンナノファイバーを成長せしめた。その成長プロセスは、成長用ガスとしてCH:H=20:80sccmを用い、2.0Torrの圧力下、マイクロ波を発生させ(2.54GHz、500W)、基板温度550℃で20分間の条件で行った。かくして得られたカーボンナノファイバーは、実施例1の場合と同様なカーボンナノコイルであった。
本実施例では、Ti−O−N膜(膜厚:75nm)形成の際の酸素ガス量(窒素ガス量基準)と得られるカーボンナノコイルの太さとの関係を検討するために、酸素ガス量を1、5、10及び15%として、実施例1の方法を繰り返した。その結果、得られたそれぞれのカーボンナノコイルは、1%の場合に5巻き/μmで径150〜200nm程度であり、5%の場合に6巻き/μmで径180〜230nm程度、10%の場合に7巻き/μmで径200〜250nm程度、そして15%の場合に8巻き/μmで径230〜280nm程度のものが得られた。酸素量が多い程、単位長さあたりのコイルの巻数が増加し、その分コイル全体の径が太くなった。
本発明によれば、効率良くカーボンナノコイルを成長させることができるので、本発明は、電子源、微小な磁場発生源や微小領域の磁場検出素子、バネなどのナノデバイスとして、また、電気や熱の伝導性、機械的強度、伸縮性等を活かした高機能性材料のナノコンポジット素材としての技術分野で利用可能である。
実施例1で得られたカーボンナノコイルのSEM写真。

Claims (10)

  1. 触媒を成膜した基板上にカーボンナノコイル成長用原料ガスを供給し、CVD法でカーボンナノコイルを成長させる方法において、基板と触媒膜との間にTi−O−N結合を有する膜を設けて触媒上にカーボンナノコイルを成長させることを特徴とするカーボンナノコイルの成長方法。
  2. 前記Ti−O−N結合を有する膜を、Tiスパッタリングターゲットを用い、窒素ガスに、窒素ガス基準で酸素ガスを0.1〜20%混入してなる雰囲気中でスパッタして、基板上に形成することを特徴とする請求項1記載のカーボンナノコイルの成長方法。
  3. 前記触媒がFe、Co、Ni及びこれら金属の少なくとも1種を含む合金から選ばれた少なくと1種であることを特徴とする請求項1又は2記載のカーボンナノコイルの成長方法。
  4. 前記触媒の膜厚が10nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカーボンナノコイルの成長方法。
  5. 前記カーボンナノコイル成長用原料ガスが、炭化水素ガス、アルコールガス及び一酸化炭素ガスから得ればれた少なくとも1種のガス、又はこれらの少なくと1種のガスと水素原子含有ガスとの混合ガスであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカーボンナノコイルの成長方法。
  6. 前記炭化水素ガスが、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン及びアセチレンから選ばれたガスであることを特徴とする請求項5記載のカーボンナノコイルの成長方法。
  7. 前記アルコールガスが、メチルアルコール、エチルアルコール及びイソプロピルアルコールのガスから選ばれたガスであることを特徴とする請求項5又は6記載のカーボンナノコイルの成長方法。
  8. 前記水素原子含有ガスが、水素ガス又はアンモニアガスであることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のカーボンナノコイルの成長方法。
  9. 前記カーボンナノコイル成長用原料ガスが、さらに窒素ガス、ヘリウムガス及びアルゴンガスから選ばれた希釈ガスを含んでいることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載のカーボンナノコイルの成長方法。
  10. 前記CVD法が、熱CVD法、リモートプラズマCVD法又はホットフィラメント法であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のカーボンナノコイルの成長方法。
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