JP5001104B2 - 車両天井材用補強材 - Google Patents

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Description

本発明は、車両天井材用補強材、詳しくは、自動車天井材などの車両天井材を補強するための車両天井材用補強材に関する。
従来より、自動車のルーフには、ルーフパネル(鋼板)に対する車室側に、天井材が設けられている。この天井材は、一般的に、内装材、発泡層および非発泡層などの積層体として形成されている。
このような天井材として、例えば、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる発泡シートの残存揮発成分量が3〜5重量%であり、目付量が100〜280g/m2である自動車内装材用発泡シートと、自動車内装材用発泡シートに積層された熱可塑性樹脂からなる非発泡層とから構成される自動車内装材用積層シートを、ホットメルト接着剤を介して表皮材(内装材)に仮止めした後、135℃で30秒間加熱して、発泡および硬化させた自動車内装材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−343358号公報
しかるに、特許文献1に記載される自動車内装材において、剛性の向上を図るためには、自動車内装材用積層シートの坪量(目付量)を増やしたり、あるいは、別途、鉄製のフレームを自動車内装材に設けることが知られている。
しかし、自動車内装材用積層シートの坪量を増やすと、天井材がその分重くなり、天井材の軽量性を確保することができないという不具合がある。また、坪量を増やすと、その分だけ、多くの材料が必要とされ、製造コストが増大するという不具合もある。さらに、坪量を増やして、厚みを厚くすることは、内装材とルーフパネルとの間の間隔が狭いときには、困難となる場合がある。
また、鉄製のフレームを設ける場合には、フレームを、車種に対応した天井材の形状に合わせて作製する必要があるため、煩雑であり非常に手間がかかるという不具合がある。
本発明の目的は、車両天井材の軽量性を維持できながら、低コスト、かつ、簡便に車両天井材の剛性の向上を図ることのできる車両天井材用補強材を提供することにある。
上記目的を解決するために、本発明の車両天井材用補強材は、ポリエステル不織布に対する90°剥離試験による粘着力が1.0N/25mm以上であり、厚み0.8mmの鋼板に貼着し、200℃で1分間加熱後における、1mm変位時の曲げ強度が10N以上で、かつ、最大曲げ強度が40N以上であり、拘束層と補強層とを備え、前記補強層は、発泡剤を含まず、加熱により硬化する硬化性組成物から形成されていることを特徴としている
また、本発明の車両天井材用補強材では、厚みが1mm以下であることが好適である。
また、本発明の車両天井材用補強材では、下記のテドラーバッグ法におけるホルムアルデヒド量が、100μg/m3以下であることが好適である。
テドラーバッグ法:車両天井材用補強材(80cm2)を、容量10Lのテドラーバッグに入れて密閉し、65℃で2時間加熱した後のテドラーバッグ内のホルムアルデヒド量を測定し、下記式から定量する。
ホルムアルデヒド量(μg/m3)=テドラーバッグ内のホルムアルデヒド量(μg)/テドラーバッグ内の容積(m3
また、本発明の車両天井材用補強材では、下記の試験条件によるガラス板のヘイズ値を15以下にできることが好適である。
試験条件:長さ100mm、幅50mm、厚み10mmの車両天井材用補強材を封入した口部付有底円筒ガラス瓶(口部内径40mm、円筒内径70mm、高さ170mm)を、80℃のオイルバス(オイル深さ110mm)に入れ、口部を前記ガラス板で蓋をしてその上に鉄板の重石をし20時間放置後、前記ガラス板のヘイズ値を測定する。
本発明の車両天井材用補強材によれば、車両天井材の所望の部分、すなわち、車両天井材における剛性の向上が必要とされる部分に貼着して、これを加熱して硬化させることにより、車両天井材の剛性を向上させることができる。
そのため、車両天井材の坪量を増やすことなく、剛性の向上を図ることができるので、軽量性を確保することができ、また、多くの材料を必要とすることがないので、製造コストの低減を図ることができる。さらに、車両天井材の厚みを厚くしないので、車両天井材用補強材の貼着位置を確保できれば、車両天井材とルーフパネルとの間の間隔が狭い場合でも、車両天井材を補強することができる。
また、車種に応じてフレームをそれぞれ作製する必要がなく、車両天井材を形成した後、車両天井材における剛性の向上が必要とされる部分に貼着して、車両天井材を簡便に補強することができる。
本発明の車両天井材用補強材は、例えば、自動車のルーフにおいて、ルーフパネル(鋼板)に対する車室側に設けられる車両天井材を補強するための補強材であって、例えば、拘束層と樹脂層とを備えている。
拘束層は、硬化後の樹脂層(以下、硬化体層とする。)に靭性を付与するものであり、シート状をなし、また、軽量および薄膜で、硬化体層と密着一体化できる材料から形成されていることが好ましく、そのような材料として、例えば、ガラスクロス、樹脂被覆ガラスクロス、不織布、金属箔、カーボンファイバーなどが用いられる。
ガラスクロスは、ガラス繊維を布にしたものであって、より具体的には、複数のガラスフィラメントを束ねたガラス繊維束を製繊してなるガラスクロスであり、公知のガラスクロスが用いられる。
樹脂被覆ガラスクロスは、上記したガラスクロスに、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などの合成樹脂が含浸されることにより、この合成樹脂で被覆したものが用いられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂などが用いられる。また、熱可塑性樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩化ビニル樹脂、EVA−塩化ビニル樹脂共重合体などが用いられる。また、上記した熱硬化性樹脂と上記した熱可塑性樹脂と(例えば、エポキシ樹脂と酢酸ビニル樹脂と)を混合して用いることもできる。
また、樹脂被覆ガラスクロスとしては、好適には、ガラスクロスに、エポキシ樹脂組成物が含浸されている樹脂被覆ガラスクロス(以下、第1の樹脂被覆ガラスクロスという。)、または、ガラスクロスを第1樹脂エマルションで被覆し、その後に、その第1樹脂エマルションと異なる第2樹脂エマルションでさらに被覆して得られる樹脂被覆ガラスクロス(以下、第2の樹脂被覆ガラスクロスという。)が用いられる。
第1の樹脂被覆ガラスクロスは、ガラスクロスに、エポキシ樹脂組成物の水分散液を含浸し、次いで、これを乾燥することにより、エポキシ樹脂組成物でガラスクロスを被覆することにより、得ることができる。
第1の樹脂被覆ガラスクロスに用いられるガラスクロスは、溶融ガラスを延伸して得られるガラスフィラメントを、複数本束にしてガラス繊維束とし、これを、例えば、ジェット織機などにより、製織して得ることができる。
また、このガラスクロスにおける織り組織は、通常、平織りが一般的であるが、これに限定されず、例えば、ななこ織り、畝織りなどの変形平織りや、綾織り、朱子織りなどであってもよい。好ましくは、平織りである。
また、ガラス繊維束の打ち込み密度は、例えば、樹脂の被覆処理前のガラスクロスの質量(坪量)が、150〜300g/m2、好ましくは、180〜260g/m2となるように製繊する。なお、ガラスクロスの質量は、JIS R3420 7.2に準拠した測定方法により、算出することができる。
また、このようにして製繊されるガラスクロスでは、通常、厚みは、100〜300μm、通気度は、2〜20cm3/cm2/secである。なお、通気度は、JIS R3420 7.14に準拠した測定方法によって、算出することができる。
また、第1の樹脂被覆ガラスクロスに用いられるガラスクロスとして、より具体的には、例えば、ガラス繊維束の番手が、5〜250tex(テックス番手)、ガラスフィラメント径が、3〜13μm、束数が、100〜800本、ガラス繊維束の撚り数が、0.1〜5.0回/25mm、ガラス繊維束の打ち込み密度が、30〜80本/25mmのものを用いればよい。
また、第1の樹脂被覆ガラスクロスに用いられるガラスクロスの製造においては、通常、ガラス繊維束に公知のサイズ剤を付着処理する。
また、この第1の樹脂被覆ガラスクロスの製造においては、サイズ剤を付着させたままのガラスクロスに、エポキシ樹脂組成物の水分散液を含浸してもよく、ガラスクロスを脱油することによりサイズ剤を除去した後に、エポキシ樹脂組成物の水分散液を含浸してもよい。また、ガラスクロスをシランカップリング剤で処理してもよい。
このようなシランカップリング剤としては、具体的には、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが用いられる。これらのシランカップリング剤は、単独で使用してもよく、あるいは併用してもよい。なかでも、好ましくは、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが用いられる。このシランカップリング剤のガラスクロスに対する付着量は、ガラスクロスに対して、例えば、0.01〜2重量%、好ましくは、0.05〜0.5重量%である。
さらに、ガラス繊維束を製織して、ガラスクロス(サイズ剤で付着処理したガラスクロスおよびシランカップリング剤で付着処理したガラスクロスを含む。)を得た後、高圧水流や液中での超音波処理などの開繊処理を施して、ガラス繊維束の経糸および緯糸を拡幅することにより、ある程度目詰めした開繊処理ガラスクロスを用いることもできる。
第1の樹脂被覆ガラスクロスにおいて、エポキシ樹脂組成物は、少なくとも、エポキシ樹脂および硬化剤を含んでいる。さらに、好ましくは、アクリル酸系重合体を含んでいる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性ビスフェノール型エポキシ樹脂など)、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂など)、ナフタレン型エポキシ樹脂などの芳香族系エポキシ樹脂、例えば、トリエポキシプロピルイソシアヌレート(トリグリシジルイソシアヌレート)、ヒダントインエポキシ樹脂などの含窒素環エポキシ樹脂、例えば、脂肪族系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂(例えば、ジシクロ環型エポキシ樹脂など)、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが用いられる。これらは単独で使用してもよく、または、併用してもよい。これらエポキシ樹脂のうち、硬化速度および作業効率の観点から、好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、さらに好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が用いられる。
硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として通常使用されるものであれば、限定されないが、例えば、ポリアミンなどのアミン系化合物、例えば、ジシアンジアミドなどのアミド系化合物、例えば、イソシアネート系化合物などが用いられる。これら硬化剤は、単独または2種類以上併用して用いることができる。好ましくは、ポリアミン、ジシアンジアミドが用いられる。
硬化剤の配合割合は、エポキシ樹脂組成物(固形分)100重量部に対して、例えば、1〜15重量部、好ましくは、1.2〜4.0重量部である。
アクリル酸系重合体としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルなど、およびそれらの誘導体、さらにはそれらの共重合体などが用いられる。アクリル酸系重合体の配合割合は、エポキシ樹脂組成物の水分散液の全量に対して、例えば、0.2〜2.0重量%、好ましくは、1〜10重量部、さらに好ましくは、1.5〜5重量%である。
また、エポキシ樹脂組成物は、上記したエポキシ樹脂、硬化剤およびアクリル酸系重合体以外にも、例えば、硬化促進剤、有機シラン化合物、乳化剤、消泡剤、pH調整剤などの公知の添加剤、さらには、エポキシ樹脂以外の樹脂を、適宜配合してもよい。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、3級アミン化合物、リン化合物などが用いられる。硬化促進剤の配合割合は、エポキシ樹脂組成物(固形分)100重量部に対して、例えば、0.5〜2重量部である。
有機シラン化合物としては、例えば、アミノシラン類、エポキシシラン類などが用いられる。有機シラン化合物の配合割合は、第1の樹脂被覆ガラスクロスに用いられるガラスクロス100重量部に対して、0.01〜0.5重量部である。
そして、第1の樹脂被覆ガラスクロスを得るには、まず、上記したガラスクロスにエポキシ樹脂組成物の水分散液を含浸させる。
エポキシ樹脂組成物の水分散液は、上記したエポキシ樹脂、硬化剤およびアクリル酸系重合体、および必要によりその他の成分などを、水に加えて攪拌混合することにより、調製する。このエポキシ樹脂組成物の水分散液の調製においては、例えば、さらに、アンモニア水などのアルカリ水溶液を加えて、エポキシ樹脂組成物の水分散液のpHを8〜12程度に調整する。このpHの調整により、エポキシ樹脂組成物の水分散液の粘度を、例えば、300×10-3〜900×10-3Pa・sec、好ましくは、400×10-3〜800×10-3Pa・secに調整する。
また、このエポキシ樹脂組成物の水分散液の調製において、エポキシ樹脂組成物の水分散液の固形分(すなわち、エポキシ樹脂組成物の固形分)が、例えば、10〜30重量%、好ましくは、15〜25重量%となるように調整する。
含浸は、浸漬、スプレー、キスロール、アプリケーター、ナイフコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、ロッドコーターまたは刷毛による塗布など、公知の浸漬方法を用いることができる。また、含浸後には、例えば、マングル、コーティングナイフなどを用いて、余剰量のエポキシ樹脂組成物の水分散液を絞液する。この絞液により、ガラスクロスに対するエポキシ樹脂組成物の含浸量(すなわち、付着量)および通気度を制御することができる。
次いで、これを乾燥することにより、ガラスクロスがエポキシ樹脂組成物によって被覆され、これによって、第1の樹脂被覆ガラスクロスを得ることができる。乾燥は、通常、100〜250℃で加熱することにより乾操させ、水分を揮発させればよい。
このようにして得られた第1の樹脂被覆ガラスクロスにおいて、乾操後のエポキシ樹脂組成物のガラスクロスに対する含浸量は、ガラスクロス100重量部に対して、例えば、2〜15重量部、好ましくは、3〜10重量部である。
また、通気度は、例えば、0.5cm3/cm2/sec以下であり、好ましくは、0.1cm3/cm2/sec以下である。
また、ガラス繊維束に対するエポキシ樹脂組成物の浸透率は、例えば、20〜70%、好ましくは、30〜60%である。
なお、このガラス繊維束に対するエポキシ樹脂組成物の浸透率は、下記式(1)により算出することができる。
浸透率(%)=S2/(S0−S1)×100・・・(1)
S0;ガラス繊維束の断面積
S1;ガラス繊維束内のガラスフィラメントの総断面積
S2;ガラス繊維束におけるエポキシ樹脂組成物が浸透した断面積
なお、浸透率の算出は、実際には、ガラスクロスにエポキシ樹脂組成物の水分散液を含浸して、絞液および乾燥することにより、第1の樹脂被覆ガラスクロスを得て、その第1の樹脂被覆ガラスクロスの断面を、アビオニクス社製のTVIP−4100で画像処理し、解析する。
また、このようにして得られた第1の樹脂被覆ガラスクロスは、その引張強度が、例えば、650〜1000Nである。なお、引張強度は、JIS R3420 7.4(a)に準拠した測定方法によって、算出することができる。
また、第1の樹脂被覆ガラスクロスは、その弾性率が、例えば、9000N/mm2以上である。なお、弾性率は、幅25mmの第1の樹脂被覆ガラスクロスをつかみ間隔150mmになるようにつかみ、引張強度試験機で100mm/分の速度で98Nの引張強度になるまで引っ張り、試験片の伸びL(mm)を測定し、第1の樹脂被覆ガラスクロスの厚みをガラスクロスの厚みH(mm)に等しいものとして、98/(H×25)×(150/L)として算出する。
また、第1の樹脂被覆ガラスクロスの樹脂被覆ガラスクロスは、その曲げ反発性が、例えば、700〜850mgである。なお、曲げ反発性は、JIS L1096 8.20.1に準拠した測定方法によって、算出することができる。
第2の樹脂被覆ガラスクロスに用いられるガラスクロスのガラス繊維は、上記した第1の樹脂被覆ガラスクロスに用いられるガラスクロスのガラス繊維と同様の方法により、得ることができる。
また、第2の樹脂被覆ガラスクロスに用いられるガラスクロスにおける織り組織は、第1の樹脂被覆ガラスクロスに用いられるガラスクロスと同様の織り組織であり、好ましくは、平織りである。
また、第2の樹脂被覆ガラスクロスに用いられるガラス繊維は、そのガラス繊維束の打ち込み密度、ガラスクロスの厚みおよびガラスクロスの通気度が、上記した第1の樹脂被覆ガラスクロスに用いられるものと同様のものが用いられる。
また、第2の樹脂被覆ガラスクロスに用いられるガラスクロスは、より具体的には、その単糸径が、例えば、6〜11μm、好ましくは、9〜11μm、単糸本数が、例えば、50〜800本、好ましくは、200〜800本である。このようなガラス繊維として、市販品を用いることができ、より具体的には、例えば、DE300、DE150、DE75、E225、E113、G150、G75、G37などと称されるものが用いられる。なかでも、好ましくは、G75、DE75が用いられる。このようなガラス繊維の原料ガラスとしては、例えば、Eガラス(無アルカリガラス)と呼ばれるガラスが用いられるが、これ以外にもシリカガラス、Dガラス(低誘電)、Sガラス(高強度)、Cガラス(アルカリ石灰)およびHガラス(高誘電)なども用いられる。
また、ガラスクロスは、ガラス繊維を整経した後、必要により糊付処理した後、ジェット織機(エアージェット織機、ウオータージェット織機など)、スルザー織機またはレビヤー織機などの公知の方法により織製することもできる。上記した糊付処理では、例えば、整経されたガラス繊維に対して集束剤(2次バインダー)を公知の方法により処理する。このような集束剤としては、例えば、澱粉、界面活性剤、潤滑剤、合成油剤、ポリビニルアルコール(ポバール)またはアクリル系ポリマーなどが用いられる。
また、ガラスクロスは、例えば、製繊されたガラスクロスをそのまま生機ガラスクロスとして用いることもでき、また、その生機ガラスクロスを加熱処理した仮焼きガラスクロスとして用いることもでき、また、生機ガラスクロスを加熱処理して、集束剤などを燃焼して除去させた(ヒートクリーニングした)ガラスクロスとして用いることもできる。
さらに、ガラス繊維束を製織して、ガラスクロス(生機ガラスクロス、仮焼きガラスクロスおよびヒートクリーニングしたガラスクロスを含む。)を得た後、必要により高圧水流や液中での超音波処理などの開繊処理を施して、ガラス繊維束の経糸および緯糸を拡幅することにより、ある程度目詰めした開繊処理ガラスクロスを用いることもできる。
さらに、上記したガラスクロスを、必要により上記と同様のシランカップリング剤で処理した後、上記と同様の方法によって乾燥してもよい。
また、第2の樹脂被覆ガラスクロスに用いられるガラスクロスは、例えば、ガラスクロスを構成する経糸または緯糸間の空隙率Xが、下記式(2)より得られ、さらにこの空隙率Xが下記式(3)で示される範囲を満たしている。
X=(b/a)×100・・・(2)
X≦5・・・(3)
(式(2)および(3)中、Xはガラスクロスを構成する経糸間または緯糸間の空隙率(%)を示し、aは隣接する2本の経糸幅のそれぞれの中心から中心までの長さ(μm)または緯糸幅のそれぞれの中心から中心までの長さ(μm)を示し、bは隣接する2本の経糸または緯糸の隙間(μm)を示す。)
そして、上記のようにして得られたガラスクロスを、第1樹脂エマルションで被覆する(以下、第1次被覆処理という。)。
第1次被覆処理に用いられる第1樹脂エマルションとしては、例えば、スチレン系樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、エチレン−酢酸ビニル(EVA)樹脂エマルションなどが用いられる。これら第1樹脂エマルションのなかでも、好ましくは、スチレン系樹脂エマルションが用いられる。
スチレン系樹脂エマルションとしては、例えば、ポリスチレン樹脂エマルションまたはHIPS(ハイインパクトポリスチレン;耐衝撃性)樹脂エマルション、AS(アクリロニトリル・スチレン共重合体)樹脂エマルション、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)樹脂、ACS(アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合体)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合体)樹脂、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体)樹脂、および、AAS(アクリロニトリル・アクリレート・スチレン共重合体)樹脂などが用いられる。
これら第1樹脂エマルションは、単独使用または併用してもよい。
第1次被覆処理では、上記した第1の樹脂被覆ガラスクロスにおける含浸と同様の方法により、含浸し、その後、上記と同様の方法により、余剰量の第1樹脂エマルションを絞液し、その後、上記と同様の方法により乾燥する。
第1次被覆処理において、第1樹脂エマルションの含浸(付着)量は、乾燥重量としてガラスクロス100重量部に対して、例えば、2〜15重量部、好ましくは、5〜8重量部である。
次いで、第1次被覆処理したガラスクロスを、第1樹脂エマルションと異なる第2樹脂エマルションで被覆する(以下、第2次被覆処理という。)。
第2次被覆処理に用いられる第2樹脂エマルションとしては、例えば、エポキシ樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、オレフィン樹脂エマルションなどが用いられる。これらのなかでも、好ましくは、エポキシ樹脂エマルションが用いられる。
エポキシ樹脂エマルションのエポキシ樹脂としては、上記した第1の樹脂被覆ガラスクロスに用いられるエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂と同様のものが用いられ、好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂が用いられる。
これら第2樹脂エマルションは、単独使用または併用してもよい。
第2次被覆処理では、上記した第1の樹脂被覆ガラスクロスにおける含浸と同様の方法により、含浸し、その後、上記と同様の方法により、余剰量の第2樹脂エマルションを絞液し、その後、上記と同様の方法により乾燥する。
第2次被覆処理において、第2樹脂エマルションの含浸(付着)量は、乾燥重量としてガラスクロス100重量部に対して、例えば、0.01〜5重量部、好ましくは、0.05〜2.5重量部である。
不織布は、繊維シートを融着したものであって、ポリエステル不織布などの公知の不織布が用いられる。また、不織布には、上記した熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などの合成樹脂を含浸処理したものを用いることもできる。
金属箔としては、例えば、アルミニウム箔やスチール箔などの公知の金属箔が用いられる。
拘束層は、上記のなかでは、好ましくは、重量、密着性、剛性およびコストを考慮すると、ガラスクロスおよび樹脂被覆ガラスクロスが用いられ、さらに好ましくは、ホルムアルデヒド発生量を考慮すると、ガラスクロスが用いられる。
このような拘束層の厚みは、例えば、0.3mm以下、好ましくは、0.25mm以下、通常、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.15mm以上である。
また、拘束層の坪量は、例えば、300g/m3以下、好ましくは、250g/m3以下、通常、例えば、100g/m3以上、好ましくは、150g/m3以上である。
樹脂層は、拘束層に積層されて、硬化により拘束層と密着一体化して車両天井材を補強するものであって、加熱により硬化する硬化性組成物が、シート状に形成されている。この硬化性組成物は、例えば、樹脂と硬化剤とを含んでいる。
樹脂は、例えば、エポキシ樹脂であって、例えば、上記した第1の樹脂被覆ガラスクロスに用いられるエポキシ樹脂と同様のものが用いられる。補強性を考慮すると、好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、さらに好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が用いられる。これら樹脂は、単独使用または併用してもよい。
このようなエポキシ樹脂は、そのエポキシ当量が、例えば、180〜700g/eqiv.である。なお、エポキシ当量は、臭化水素を用いた滴定によって測定されたオキシラン酸素濃度から算出することができる。
また、このようなエポキシ樹脂は、例えば、常温で液状のものが用いられ、より具体的には、低温で良好な粘着性を発現させるべく、25℃における粘度が、例えば、25Pa・s以下、通常、1.0Pa・s以上である。
エポキシ樹脂の配合割合は、硬化性組成物100重量部に対して、例えば、40〜99重量部、好ましくは、70〜99重量部である。
硬化剤としては、例えば、アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、ヒドラジド系化合物、イミダゾール系化合物、イミダゾリン系化合物などが用いられる。また、その他に、フェノール系化合物、ユリア系化合物、ポリスルフィド系化合物なども用いられる。
アミン系化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアミン、または、これらのアミンアダクトなど、例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどが用いられる。
酸無水物系化合物としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ピロメリット酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ジクロロコハク酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、クロレンディック酸無水物などが用いられる。
アミド系化合物としては、例えば、ジシアンジアミド、ポリアミドなどが用いられる。
ヒドラジド系化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジドなどが用いられる。
イミダゾール系化合物としては、例えば、メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、ウンデシルイミダゾール、ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどが用いられる。
イミダゾリン系化合物としては、例えば、メチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、エチルイミダゾリン、イソプロピルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、フェニルイミダゾリン、ウンデシルイミダゾリン、ヘプタデシルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリンなどが用いられる。
これら硬化剤は、単独で使用してもよく、また、併用してもよい。また、これら硬化剤を変性したものを用いることもできる。
また、これら硬化剤のうち、硬化時間および硬化温度を考慮すると、好ましくは、潜在性硬化剤が用いられる。
潜在性硬化剤は、常温で個体であって、所定温度で液状となって樹脂を硬化する硬化剤であって、例えば、アミン系化合物、アミド系化合物などが用いられ、好ましくは、ポリアミン、ジシアンジアミド、または、これらを変性したもの、もしくは、誘導体化したものなどが用いられる。
また、本発明において、潜在性硬化剤は、その融点が、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上、通常、300℃以下である。融点が上記した範囲未満である場合には、硬化性組成物の混練途中または成形途中に、硬化反応が進行する場合がある。
このようなポリアミンおよびジシアンジアミド(これらを変性または誘導体化したものを含む。)は、市販品を用いることができ、より具体的には、例えば、アデカハードナーEH−4370S(変性脂肪族ポリアミン、融点:125℃、ADEKA社製)、アデカハードナーEH−4388S(ジシアンジアミド誘導体および有機化合物の混合物、融点:170℃、ADEKA社製)などが用いられる。硬化剤は、単独使用してもよく、あるいは、併用してもよい。
硬化剤の配合割合は、樹脂の当量(例えば、エポキシ樹脂のエポキシ当量)にもよるが、樹脂100重量部に対して、例えば、7〜50重量部、好ましくは、10〜40重量部である。硬化剤の配合割合が7重量部より少ないと、補強性が低下する場合があり、一方、50重量部より多いと、貯蔵安定性が低下する場合がある。
また、硬化性組成物は、上記の成分に加えて、必要により、さらに硬化促進剤、充填剤を含んでいてもよい。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、尿素化合物、3級アミン化合物、リン化合物、4級アンモニウム塩化合物、有機金属塩化合物などが用いられる。これら硬化促進剤は、単独で使用または併用してもよく、その配合割合は、樹脂および硬化剤の総量100重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは、0.2〜5重量部である。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム(例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、白艶華など。)、タルク、マイカ、クレー、雲母粉、ベントナイト(有機ベントナイトを含む。)、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム(アルミナ)、アルミニウムシリケート、水酸化マグネシウム、酸化チタン、カーボンブラック、アルミニウム粉、ガラスパウダー、ガラスバルーンなどが用いられる。これら充填剤は、単独使用あるいは併用してもよく、その配合割合は、樹脂100重量部に対して、例えば、10〜500重量部、好ましくは、50〜300重量部である。このような充填剤を含有させれば、補強効果を向上させることができる。特に、ガラスバルーンなどの、中空で比重の小さい充填剤を含有させることにより、軽量性を確保しながら、補強効果を向上させることができる。
また、硬化性組成物には、さらに必要に応じ、上記成分に加えて、例えば、粘着付与剤(例えば、ロジン系樹脂、ロジンエステル類、テルペン系樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂など。)、着色剤(例えば、顔料など。)、揺変剤(例えば、モンモリロナイトなど。)、スコーチ防止剤、安定剤、滑剤、軟化剤、可塑剤、老化防止剤(例えば、アミン−ケトン系、芳香族第2アミン系、フェノール系、ベンズイミダゾール系、チオウレア系、亜リン酸系など。)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防カビ剤、難燃剤などの公知の添加剤を適宜含有させてもよい。
そして、硬化性組成物は、樹脂および必要により配合される充填剤を、上記した配合割合において配合し、例えば、予め加熱したミキシングロール、加圧式ニーダーなどによって混練し、次いで、冷却した後、さらに、硬化剤、必要により配合される硬化促進剤および必要により配合される添加剤を配合して、これらを混練して、混練物として調製することができる。
なお、このようにして得られた混練物のフローテスター粘度(60℃、20kg荷重)が、例えば、100〜2000Pa・s、さらには、200〜500Pa・sとなるように調製する。
その後、得られた混練物を、硬化反応が実質的に進行しない温度条件下(例えば、80℃以下)で、例えば、カレンダー成形、押出成形またはプレス成形などによって圧延することにより、例えば、離型紙の表面に樹脂層を積層して、樹脂層を形成する。次いで、その樹脂層における離型紙が積層する側と反対側の表面に、拘束層を積層する(貼り合わせる)ことにより、車両天井材用補強材を得る。
このようにして形成される樹脂層の厚みは、例えば、0.8mm以下、好ましくは、0.6mm以下であり、通常、例えば、0.3mm以上、好ましくは、0.4mm以上である。
また、樹脂層と拘束層との合計の厚み、すなわち、車両天井材用補強材の厚みが、例えば、1mm以下、好ましくは、0.8mm以下、通常、例えば、0.4mm以上、好ましくは、0.5mm以上となるように設定する。車両天井材用補強材の厚みが上記した範囲を超過すると、車両天井材とルーフパネルとの間の間隔が狭いときに、車両天井材用補強材を車両天井材に確実に貼着(仮止め)できない場合がある。
また、この車両天井材用補強材は、ポリエステル不織布に対する90°剥離試験による粘着力が、1.0N/25mm以上であり、好ましくは、1.5N/25mm以上であり、さらに好ましくは、2N/25mm以上であり、通常、50N/25mm以下である。ポリエステル不織布に対する90°剥離試験による粘着力が上記した範囲未満の場合には、車両天井材用補強材をポリエステル不織布を介して車両天井材に確実に貼着(仮止め)することができない。
なお、90°剥離試験は、JIS Z2037の「粘着テープ・粘着シート試験方法」の記載に準拠して測定される。また、ポリエステル不織布は、その坪量が、通常、10〜300g/m3であり、例えば、30g/m3である。なお、このポリエステル不織布(坪量30g/m3)としては、より具体的には、例えば、スパンボンド(東洋紡績社製)が用いられる。
また、車両天井材用補強材は、厚み0.8mmの鋼板(冷間圧延鋼板、SPCC−SD、日本テストパネル社製)に貼着し、200℃で1分間加熱後における、1mm変位時の曲げ強度が10N以上、好ましくは、11N以上、さらに好ましくは、12N以上、通常、30N以下であり、最大曲げ強度が40N以上、好ましくは、45N以上、さらに好ましくは、50N以上、通常、200N以下である。
1mm変位時の曲げ強度および最大曲げ強度が、上記した範囲未満の場合には、車両天井材を、十分に補強することができない。
また、車両天井材用補強材は、上記した鋼板に貼着し、200℃で1分間加熱後における、2mm変位時の曲げ強度が、好ましくは、20N以上、さらに好ましくは、23N以上、通常、50N以下である。
なお、上記した曲げ試験は、長さ150mm、幅25mmに形成した車両天井材用補強材を、上記した鋼板に貼着し、これらを200℃で1分間加熱した後、万能試験機により、支点間距離を100mmとし、その中央(長さ方向および幅方向中央)を直径10mmの圧子で5mm/分の速度で押圧する三点曲げ試験により、測定する。なお、曲げ試験で用いられる鋼板(車両天井材用補強材を貼着しない状態)は、例えば、1mm変位時の曲げ強度が9N程度、2mm変位時の曲げ強度が18N程度、最大曲げ強度が35N程度である。
また、この車両天井材用補強材は、下記のテドラーバッグ法におけるホルムアルデヒド量が、例えば、100μg/m3以下、好ましくは、90μg/m3以下、さらに好ましくは、80μg/m3以下である。テドラーバッグ法におけるホルムアルデヒド量が上記した範囲を超過する場合には、環境対策の観点から、その使用が制限される場合がある。
テドラーバッグ法:車両天井材用補強材(80cm2)を、容量10Lのテドラーバッグに入れて密閉し、65℃で2時間加熱した後のテドラーバッグ内のホルムアルデヒド量を測定し、下記式から定量する。
ホルムアルデヒド量(μg/m3)=テドラーバッグ内のホルムアルデヒド量(μg)/テドラーバッグ内の容積(m3
なお、テドラーバッグ内のホルムアルデヒド量は、ガスクロマトグラフ法により、測定する。
また、この車両天井用補強材は、図3が参照される下記の試験条件によるガラス板のヘイズ値を、例えば、15以下にすることができ、好ましくは、13以下にすることができ、さらに好ましくは、10以下にすることができるものである。ヘイズ値が上記した範囲を超過する場合には、フォギングが発生することによって、車両の窓ガラスなどにおける良好な視認性を確保することが困難となる場合がある。
試験条件:長さ100mm、幅50mm、厚み10mmの車両天井材用補強材3を封入した口部付有底円筒ガラス瓶8(口部内径40mm、円筒内径70mm、高さ170mm)を、80℃のオイルバス11(オイル深さ110mm)に入れ、口部をガラス板9で蓋をしてその上に鉄板としてのクーリングプレート(図示せず)をのせ、20時間放置後、ガラス板のヘイズ値を測定する。
なお、図示しないクーリングプレートは、ガラス板9を冷却するプレートである。
なお、上記試験条件における口部付有底円筒ガラス瓶8は、例えば、円筒内径70mmの部分の高さが140mmであり、その上端から、口部の下端に向かって徐々に狭くなる形状に形成されている。また、ガラス板9は、平面視略矩形状に形成され、長さが47mm、幅が47mm、厚みが3mmである。また、クーリングプレートの温度は、20±2℃に設定される。
なお、ヘイズ値は、上記した試験後のガラス板3の拡散光の透過率および透過光の透過率を、ヘイズメーターにより測定することによって、算出する。
また、ヘイズ値は、その値が低いほど、光透過性に優れ、ガラス板の曇り(フォギング)の度合いが低いことを示す。
そして、このようにして得られた車両天井材用補強材は、例えば、自動車などの各種車両の天井材に貼着して、その天井材を補強するために用いられる。
より具体的には、図1(a)に示すように、車両天井材用補強材3は、拘束層1に樹脂層2が積層され、その樹脂層2の表面に必要により離型紙10が貼着されており、使用時には、仮想線で示すように、樹脂層2の表面から離型紙10を剥がして、図1(b)に示すように、その樹脂層2の表面を、車両天井材4の車外側(仮想線で示すルーフパネル6に対向配置する面であって、例えば、その面は、ポリエステル不織布などからなる。)に貼着(仮止め、もしくは、仮固定)し、その後、図1(c)に示すように、所定温度(例えば、160〜210℃)で加熱、または、加熱・加圧(例えば、160〜210℃、0.15〜10MPa)することにより、硬化させて、硬化体層5を形成して、車両天井材用補強材3を貼着(本止め、もしくは、本固定)するようにして、用いられる。
より具体的には、例えば、車両天井材4を形成した後、上記したように得られた車両天井材用補強材3を、車両天井材4の所望の部分、すなわち、車両天井材4における剛性の向上が必要とされる部分、例えば、図2に示すように、車両前後方向に長く延び、平面視略矩形状に形成される車両天井材4の車幅方向両端部において、車両前後方向に沿って平行に貼着する。次いで、これを、車両天井材4の後加工時の加熱や加熱・加圧により、硬化させる。これにより、車両天井材4の幅方向両端部を、車両天井材用補強材3によって、補強する。
なお、車両天井材用補強材3の貼着位置はこれに制限されず、例えば、仮想線で示すように、車幅方向に沿って複数設けることもできる。
そして、この車両天井材用補強材3では、車両天井材4の所望の部分、すなわち、車両天井材4における剛性の向上が必要とされる部分に確実に貼着して、これを加熱して硬化させることにより、車両天井材4の剛性を確実に向上させることができる。
そのため、車両天井材4の坪量を増やすことなく、剛性の向上を図ることができるので、軽量性を確保することができ、また、多くの材料を必要とすることがないので、製造コストの低減を図ることができる。さらに、車両天井材4の厚みを厚くしないので、車両天井材用補強材3の貼着位置を確保できれば、車両天井材4とルーフパネル6との間の間隔が狭い場合でも、車両天井材4を補強することができる。
また、車種に応じてフレームをそれぞれ作製する必要がなく、車両天井材4を形成した後、車両天井材4における剛性の向上が必要とされる部分に貼着して、車両天井材4を簡便に補強することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、何らこれらに限定されるものではない。
実施例1〜4、比較例1および2
表1に示す配合処方において、各成分を配合し、これをミキシングロールで混練することにより混練物を調製した。なお、この混練においては、まず、エポキシ樹脂、充填剤およびゴム(比較例2のみ)を、120℃に予め加熱したミキシングロールで混練した後、この混練物を、50〜80℃に冷却し、さらに、硬化剤、硬化促進剤および発泡剤(比較例1および2のみ)を加えて、ミキシングロールで混練して、混練物(硬化性組成物)を得た。次いで、得られた混練物を、プレス成形により、シート状に圧延して、離型紙の表面に積層して、厚み0.5mmの樹脂層を形成した。
その後、樹脂層における離型紙が積層された反対側の表面に、厚み0.2mmのガラスクロスからなる拘束層を貼着し、樹脂層および拘束層の合計の厚みが0.7mmの車両天井材用補強材を作製した。
Figure 0005001104
なお、表1中の略号などを以下に示す。
・♯828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、品名「♯828」、エポキシ当量190g/eqiv.、ジャパンエポキシレジン社製
・♯834:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、品名「♯834」、エポキシ当量250g/eqiv.、ジャパンエポキシレジン社製
・EH−4388S:ジシアンジアミド誘導体および有機化合物の混合物、品名「アデカハードナーEH−4388S」、融点:170℃、ADEKA社製
・EH−4370S:変性脂肪族ポリアミン、品名「アデカハードナーEH−4370S」、融点:125℃、ADEKA社製
・イミダゾール化合物:2MAOK(硬化促進剤)、四国化成社製
・タルク:品名「Sタルク」、日本滑石製練社製
・有機ベントナイト:品名「オルガナイト」、日本有機粘土社製
・カーボンブラック:絶縁性カーボンブラック、品名「旭#50」、旭カーボン(株)製
・ガラスパウダー:品名「PF70E−001」、比重2.58、平均繊維長10.5μm、日東紡社製
・ガラスバルーン:品名「セルスターZ−36」、見掛比重0.36、平均粒子径52μm、東海工業社製
・NBR1042:アクリロニトリル・ブタジエンゴム、品名「NBR1042」、アクリロニトリル含量33.5重量%、ムーニー粘度77.5(ML1+4、100℃)、日本ゼオン社製
・OBSH:4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、品名「ネオセルボン(登録商標)N#1000S」、永和化成社製
車両天井材用補強材の評価
(1) ポリエステル不織布に対する粘着力
各実施例および各比較例の車両天井材用補強材を、幅25mm、長さ150mmに裁断し、室温で、ポリエステル不織布(坪量30g/m3、東洋紡績社製)に対する粘着力を測定した。なお、粘着力は、JIS Z2037の「粘着テープ・粘着シート試験方法」の記載される90°剥離試験に準拠して測定した。その結果を、表1に示す。
(2)曲げ強度
各実施例および各比較例の車両天井材用補強材を、上記した寸法に裁断し、これを、上記した厚み0.8mmの鋼板(冷間圧延鋼板、SPCC−SD、日本テストパネル社製)に貼着し、これらを200℃で1分間加熱した後、三点曲げ試験により、1mm変位時の曲げ強度、2mm変位時の曲げ強度および最大曲げ強度を、それぞれ測定した。なお、参考例1として、車両天井材用補強材を貼着していない鋼板についても、同様に測定した。その結果を、表1に示す。
(3)ホルムアルデヒド量
各実施例および各比較例の車両天井材用補強材をその面積が80cm2になるように裁断した。次いで、これをテドラーバッグに入れ、上記したテドラーバッグ法により、65℃で2時間加熱した後のテドラーバッグ内のホルムアルデヒド量を測定した。なお、テドラーバッグ内のホルムアルデヒド量は、ガスクロマトグラフ(検出限界10μg/m3)により、測定した。その結果を、表1に示す。
(4)ガラス板のヘイズ値
各実施例および各比較例の車両天井材用補強材を、図3に示すように、上記した試験条件により加熱し、その後、ガラス板(厚み3mm)のヘイズ値をヘイズメーター(型番HM−150型、村上色彩技術研究所社製)により測定した。その結果を、表1に示す。
(5)重量(坪量)測定
各実施例および各比較例の車両天井材用補強材を、幅25mm、長さ150mmに裁断し、これの重量を電子天秤(型番:BL320H、島津製作所社製)により測定し、1m2当たりの重量に換算することにより、坪量[g/m2]を算出した。その結果を、表1に示す。
本発明の車両天井材用補強材を用いて車両天井材を補強する方法の一実施形態を示す工程図であって、(a)は、車両天井材用補強材を用意して、離型紙を剥がす工程、(b)は、車両天井材用補強材を車両天井材に貼着する工程、(c)は、車両天井材用補強材を加熱して硬化させる工程を示す。 図1に示す車両天井材用補強材が貼着された車両天井材の平面図である。 ガラス板のヘイズ値を測定するための試験条件における、車両天井材用補強材を封入した口部付有底円筒ガラス瓶を、オイルバスに浸けた状態の説明図である。
符号の説明
1 拘束層
2 樹脂層
3 車両天井材用補強材
8 口部付有底円筒ガラス瓶
9 ガラス板
11 オイルバス

Claims (4)

  1. ポリエステル不織布に対する90°剥離試験による粘着力が1.0N/25mm以上であり、
    厚み0.8mmの鋼板に貼着し、200℃で1分間加熱後における、1mm変位時の曲げ強度が10N以上で、かつ、最大曲げ強度が40N以上であり、
    拘束層と補強層とを備え、
    前記補強層は、発泡剤を含まず、加熱により硬化する硬化性組成物から形成されている
    ことを特徴とする、車両天井材用補強材。
  2. 厚みが1mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の車両天井材用補強材。
  3. 下記のテドラーバッグ法におけるホルムアルデヒド量が、100μg/m以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両天井材用補強材。
    テドラーバッグ法:車両天井材用補強材(80cm)を、容量10Lのテドラーバッグに入れて密閉し、65℃で2時間加熱した後のテドラーバッグ内のホルムアルデヒド量を測定し、下記式から定量する。
    ホルムアルデヒド量(μg/m)=テドラーバッグ内のホルムアルデヒド量(μg)/テドラーバッグ内の容積(m
  4. 下記の試験条件によるガラス板のヘイズ値を15以下にできることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の車両天井材用補強材。
    試験条件:長さ100mm、幅50mm、厚み10mmの車両天井材用補強材を封入した口部付有底円筒ガラス瓶(口部内径40mm、円筒内径70mm、高さ170mm)を、80℃のオイルバス(オイル深さ110mm)に入れ、口部を前記ガラス板で蓋をしてその上に鉄板の重石をし20時間放置後、前記ガラス板のヘイズ値を測定する。
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