JP5000212B2 - フレッチングを最小限に抑えるためのチタン処理方法 - Google Patents

フレッチングを最小限に抑えるためのチタン処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、チタンおよびチタン合金を表面処理するための方法に関する。特に、本発明は、ガスタービンエンジン構成要素の表面処理に関する。
ガスタービンエンジンは、一般に、圧縮機内で空気を加圧し、その空気を燃焼器内で燃料と混合させることによって動作する。空気/燃料混合気が点火され、高温の燃焼ガスが生じ、それがタービン区間を通って下流に流れる。圧縮機は通常、圧縮機ディスク内にあり継されたエーロフォイルを有する圧縮機ディスクを備える。圧縮機は、複数のエーロフォイルをそれぞれ有する多数のディスクを備えることができる。
通常、圧縮機ディスクおよびエーロフォイルはそれぞれ、大抵はチタン合金の形でチタンを含む。チタン同士の表面接触は、フレッチング磨耗およびフレッチング疲労を生じやすい。フレッチングとは、通常表面が互いに対して摺動するときに接触表面間の局所的な付着によって生じる、表面の劣化である。フレッチングの問題は、別のチタン含有表面に接触するチタン含有表面を有するシステム内でより重大となる。たとえば、チタン圧縮機ディスクおよびチタンエーロフォイルを含むシステムでは、エーロフォイルのダブテイルが圧縮機ディスクのスロット内で動くことによって、フレッチング疲労が生じることがある。ディスクが高い回転速度で回転するとき、エーロフォイルにかかる遠心力によって、ブレードが外側に動かされ、ダブテイルの表面に沿って摺動する。ディスクが低い回転速度で回転するとき、エーロフォイルにかかる遠心力はより小さく、エーロフォイルが圧縮機ディスクに向かって内側に摺動することがある。ダブテイルシステムでフレッチング疲労を生じる動きの第2の原因は、エーロフォイルからくる振動である。空力力によって、ダブテイルスロット内でエーロフォイルの振動が生じることがある。振動は、エーロフォイルを通ってエーロフォイルのダブテイル部分へと至る、振動数の高い振動に変わる。エーロフォイルが振動するとき、エーロフォイルのダブテイル区間の表面が圧縮機ディスクのスロット表面に対して摺動し、フレッチング疲労を生じる。
フレッチング磨耗および疲労の問題を解決するための試みにおいて、エーロフォイルのチタンダブテイル表面をショットピーニングして、エーロフォイル表面の圧縮応力を生み出すことができる。表面の圧縮応力を増大させることによって硬度が高まり、これにより表面間の付着が低減されることによってフレッチング疲労および磨耗が減少する。しかしショットピーニング加工は、高価な設備での追加加工段階を必要とし、粗さおよび寸法精度にばらつきのある表面を生じることがある。さらに、ショットピーニングされた表面は、フレッチング疲労および磨耗に対する耐性が不十分である。
フレッチング磨耗およびフレッチング問題を解決するための別の試みにおいて、CuNiIn被膜、アルミニウム青銅、またはMoS潤滑剤で、エーロフォイルのダブテイル表面を被覆して、表面間の付着が生じることが少ない表面を提供することができる。MoSなどの潤滑剤を適用することによって、局部的な付着に対する多少の保護が提供されるが、潤滑剤のみ、すなわちさらなる被覆層なしでは、フレッチング疲労および磨耗に対する十分な耐性をもたらすことができない。
浸炭は、表面の硬度を高めるために使用されてきた方法である。これは、磨耗特性を向上させるために鋼の表面を硬化させるためのよく知られた方法である。知られている浸炭方法は、927℃(1700°F)を超える高温で行われる。高温浸炭方法は、高温下で動作することができる高価かつ特殊な設備を必要とするという欠点を有する。ブレードのダブテイルおよびディスクの高温熱処理には、従来の浸炭手法を使用することができない。
従来技術の欠点をもたず、フレッチング疲労および磨耗を低減させる、安価な低温チタン処理が必要とされている。
米国特許出願公開第2004/0223850号明細書 米国特許第6,447,924号明細書 米国特許出願公開第2002/0108682号明細書 米国特許第6,190,133号明細書 米国特許第5,910,376号公報 米国特許第5,797,239号公報 米国特許第5,573,604号公報 米国特許第5,315,822号公報 米国特許第5,074,970号公報 米国特許第4,943,485号公報 米国特許第4,704,336号公報 米国特許第3,628,921号公報 欧州特許第1422307号明細書 欧州特許第1380657号明細書 ドイツ国特許第0282831号明細書
チタンまたはチタン合金を含む表面に関し、フレッチングを最小限に抑えることができる表面処理方法の提供を課題の一つとする。
本発明は、チタンまたはチタン合金を含むガスタービンエンジン構成要素を表面処理するための方法を含む。この方法は、チタン含有表面を有するガスタービンエンジン構成要素を提供することを含む。構成要素は、チタン中に炭素を拡散させるのに十分な温度で且つ約538℃(1000°F)未満に加熱される。炭素を表面中に拡散させて炭化物および/または侵入型炭素を形成するために、表面を炭素含有ガスに接触させる。その後、表面間の摩擦係数をさらに低減させるために、炭素含有表面を潤滑剤で被覆することができる。この表面と別のチタン含有表面との間の摩擦係数は、好ましくは約0.6未満である。
本発明によれば、チタンを含む金属表面は、安定した炭化物および/または格子間炭素を制御され予め選択された距離で表面の下に形成し、かつ/または炭素をチタンマトリックス内で格子間に拡散させるために、制御された条件下で、メタン、プロパン、エチレンまたはアセチレンガス、あるいはそれらの組合せなどの炭素含有ガスを浸炭剤として使用して浸炭される。表面中に形成された炭化物によって表面が硬化され、摩擦係数が低下し、フレッチングが低減される。
本発明の別の実施形態は、チタン含有圧縮機ディスクを有するガスタービンエンジン構成要素を含む。圧縮機ディスクは、炭化物および/または侵入型炭素を含有する表面、ならびにその上に、バインダおよび摩擦改質剤を有する潤滑剤被膜を備える。バインダは、好ましくは酸化チタンを含み、摩擦改質剤は、好ましくは硫化タングステンを含む。
本発明の別の実施形態は、チタン含有エーロフォイルを有するガスタービンエンジン構成要素を含む。エーロフォイルは、炭化物および/または侵入型炭素、ならびにその上の潤滑剤被膜を有する1つまたは複数の表面を備える。
本発明は、炭化チタンの形成を意図するが、チタン合金は、たとえばバナジウムなど、その他の炭化物形成要素を含むことができる。たとえば、炭化チタン以外に、本発明に従って処理されるバナジウム含有合金は、炭化バナジウムを含むことができる。
本発明による一実施形態の1つの利点は、本発明による方法によって、表面のフレッチングに対する脆弱性が低減されることである。
本発明の一実施形態の別の利点は、本発明による方法によって、炭化物および/または格子間炭素を有し耐腐食性を有する、硬化された表面がもたらされることである。
本発明の一実施形態の別の利点は、本方法によって、耐侵食性を有する硬化された表面がもたらされることである。
本発明の一実施形態の別の利点は、浸炭が約538℃(1000°F)未満の低温で行われ、それによって、浸炭区域を製作するために必要とされる設備のコストが低減されることである。
本発明の一実施形態の別の利点は、フレッチング磨耗および疲労を受ける表面を、より低い頻度で交換し、修理コスト及び責任を低減させることができることである。
本発明のその他の特徴および利点は、以下の好ましい実施形態のより詳細な説明を、本発明の原理を例として示す添付の図面と併せて読むことによって明らかになるであろう。
図1は、本発明による、タービンエンジン用の高圧圧縮機の一区間を示す切断図である。圧縮機は、複数のブレード100を備える。ブレード100は、エーロフォイル101、および圧縮ディスク107のダブテイルスロット105内に配置されたダブテイル103を備える。ブレード100のダブテイル103は、ガスタービンエンジンの動作中にブレード100を保持する。本発明によるブレード100および圧縮ディスク107はチタンを含み、かつ、浸炭区域401(図4〜図9参照)を有する表面を製作するために浸炭された摩擦接触する1つまたは複数の表面を有する。さらに、ダブテイル103および圧縮ディスク107のダブテイルスロット105の、1つまたは複数の表面は、潤滑剤被膜601(図6〜図9参照)で被覆できる。図1は、圧縮機ディスク107およびブレード100を示すが、本発明に従って、いかなるチタンまたはチタン合金も処理することができる。
図2は、本発明の一実施形態による圧縮機ディスク107を示す斜視図であり、図2は、ブレード100のダブテイル103区間がその中に配置されているダブテイルスロット105を示す。ダブテイルスロット105の表面は、ブレード100のダブテイル103との摺動摩擦を受け、フレッチングを生じやすい。圧縮機ディスク107の表面は、浸炭区域401、および好ましくは潤滑剤被膜601(図4〜図9参照)を備える。
図3は、本発明の一実施形態による、圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105内に配置されたブレード100の切断図を示す。スロット105の表面の少なくとも一部分は、ダブテイル103の表面の少なくとも一部分と摩擦接触する。ガスタービンエンジンが動作するとき、圧縮機ディスク107の回転速度の変化によってもたらされる遠心力により、ダブテイル103の表面と圧縮機ディスク107内のダブテイルスロット105の表面との間に摩擦が生じる。ダブテイル103の表面とスロット105の表面との間の摩擦係数は、好ましくは0.6より低く維持される。好ましくは、摩擦係数は、0.4より低い。より好ましくは、摩擦係数は0.2より低い。摩擦係数の低下は、浸炭により硬化された表面によって生じる。浸炭区域401(図4〜図9参照)は、処理されていないチタン含有表面よりもはるかに硬質である。さらに、潤滑剤被膜601(図6〜図9参照)を適用することによって、摩擦係数がさらに低減される。摩擦係数のさらなる低下が、潤滑剤被膜601の組成の摩擦特性によって生じる。
図4〜図9は、本発明による代替被膜構成を示す、図3の領域301から取った拡大断面図を示す。図4〜図9の断面図はそれぞれ、摩擦接触する、圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105とダブテイル103を含む。圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105の表面、およびダブテイル103の表面は、浸炭区域401および潤滑剤被膜601をその上に適用することができる、対向表面を形成する。図4〜図9は、浸炭区域401および潤滑剤被膜601の配置の代替位置を示す。潤滑剤被膜601は、ダブテイル103、圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105、浸炭ダブテイル103、または圧縮機ディスク107の浸炭されたダブテイルスロット105上、あるいはそれらの組合せ上に堆積させることができる。任意の被膜601は、限定はされないが、グラファイト、CuNiIn、アルミニウム青銅、またはMoSを含むことができる。図4〜図9で、圧縮機ディスク107およびダブテイル103上の被膜の間に空間を示したが、この空間は被膜の配置を説明するためのものに過ぎない。ダブテイルスロット105およびダブテイル103の各表面上の被膜システムは、互いに摩擦接触し、そこで、表面が隣接し摺動または摩擦を受ける。また、図4〜図9で示す浸炭区域401および潤滑剤被膜601の厚さは、説明のためのものに過ぎず、浸炭区域401または潤滑剤被膜601の相対的な厚さを示すものではない。
図4は、本発明の一実施形態を示す、図3の領域301から取った拡大断面図を示す。図4は、圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105と接触する、ダブテイル103を含む。圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105の表面403、およびダブテイル103の表面409は、それぞれ浸炭されており、浸炭区域401を備える。表面405は、圧縮機ディスク上の浸炭被膜401の表面を含み、表面407と摩擦接触する。表面407は、ダブテイル103の表面409上にある浸炭区域401の表面である。図4に示す実施形態は、ダブテイルおよび圧縮機ディスク107の両方の上に浸炭区域401が設けられており、望ましい摩擦特性を示し互いに対して摺動する硬化された摺動表面がもたらされるという利点を有する。特に、互いに対して摺動する、硬質の、耐摩耗性を有する浸炭区域401の組合せによって、低い摩擦係数がもたらされ、フレッチング耐性が高まる。
図5は、本発明の一代替実施形態を示す、図3の領域301から取った拡大断面図を示す。図5は、図4に示すような、ダブテイル103、および圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105を含む。圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105の表面403は浸炭されており、浸炭区域401を備える。表面405は、圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105上にある浸炭区域401の表面を含み、ダブテイル103の表面409と摩擦接する。図5に示す実施形態は、浸炭区域401が、圧縮機ディスク107上のみを被覆するという利点を有する。したがって、浸炭区域401を圧縮機ディスク107およびブレード100の両方に適用するのに比べ、浸炭区域401の適用に必要とされる設備および労力は少ない。
図6は、本発明の一代替実施形態を示す、図3の領域301から取った拡大断面図を示す。図6は、図4に示すような、ダブテイル103、および圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105を含む。圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105の表面403は浸炭されており、浸炭区域401を備える。浸炭区域401の表面405上に、潤滑剤被膜601が堆積されている。潤滑剤被膜601の表面603は、ダブテイル103の表面409と摩擦接触する。図6の実施形態は、浸炭区域401および潤滑剤被膜601が、圧縮機ディスク107のみを被覆するという利点を有する。したがって、浸炭区域401を圧縮機ディスク107のダブテイルスロットおよびエーロフォイルの両方に製作するのに比べ、浸炭区域401の製作に必要とされる設備および労力が少ない。さらに、より安価で交換が容易なブレード100が特別に処理されていないとしても、圧縮機ディスク107は、フレッチングによる損傷から保護される。浸炭区域401および潤滑剤被膜601は、ブレード100に費用を追加することなく、圧縮機ディスク107およびブレード100のシステムの保護を提供する。
図7は、本発明の一代替実施形態を示す、図3の領域301から取った拡大断面図を示す。図7は、図4に示すような、ダブテイル103、および圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105を含む。ブレード100のダブテイル103の表面403は浸炭されており、浸炭区域401を備える。浸炭区域401の表面407上に、潤滑剤被膜601が堆積されている。潤滑剤被膜601の表面603は、圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105の表面403と摩擦接触する。図7の実施形態は、浸炭区域401および潤滑剤被膜601が、ブレード100のダブテイル103のみを被覆するという利点を有する。ダブテイル103のみを被覆することは、ブレード100を、本発明に従って被覆するために圧縮機ディスク107から容易に取り外すことができるという利点を有する。本発明の圧縮機ディスク107およびブレード100のシステムは、圧縮機ディスク107からブレード100を取り外すことによって、既存のガスタービンエンジン内に新しく付け替えることができ、圧縮機ディスク107をエンジンから取り外す必要がない。この実施形態では、ダブテイル103によって、圧縮機ディスク107をエンジンから取り外したり交換したりする必要なく、フレッチングに対する耐性がもたらされる。
図8は、本発明の一代替実施形態を示す、図3の領域301から取った拡大断面図を示す。図8は、図4に示すような、ダブテイル103、および圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105を含む。圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105の表面403は浸炭されており、浸炭区域401を備える。ダブテイル103の表面409上に、潤滑剤被膜601が堆積されている。潤滑剤被膜601の表面603は、圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105上にある浸炭区域401の表面405と摩擦接触する。図8の実施形態は、圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105上に浸炭区域401が存在し、表面をフレッチングから保護するという利点を有する。さらに、ブレード100のダブテイル103は、潤滑剤被膜601で被覆される。潤滑剤被膜601は、ブレード100を圧縮機ディスク107から取り外し、ブレード100のダブテイル103を潤滑剤被膜601で被覆することによって、容易に補充することができる。本実施形態の潤滑剤被膜601によって、潤滑剤被膜601が磨耗して薄くなりまたは磨耗して完全に取れたときに、潤滑剤被膜601を容易に補充することが可能になる。
図9は、本発明の一代替実施形態を示す、図3の領域301から取った拡大断面図を示す。図9は、図4に示すような、ダブテイル103、および圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105を含む。圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105の表面403は浸炭されており、浸炭区域401を備える。ブレード100のダブテイル103の表面409もまた浸炭されており、浸炭区域401を備える。潤滑剤被膜601が、ブレード100のダブテイル103および圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105両方の上で、浸炭被膜401の表面407上に堆積されている。圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105上の浸炭区域401上にある潤滑剤被膜601の表面603は、ブレード100のダブテイル103上の浸炭区域401上にある潤滑剤被膜601の表面603と摩擦接触する。図9に示す実施形態は、浸炭区域401および潤滑剤被膜601が、ブレード100のダブテイル103と圧縮機ディスク107上のダブテイルスロット105両方の上に存在し、フレッチングに対する追加の保護を両方の表面にもたらすという利点を有する。この実施形態では、これらの被覆は、2つの潤滑剤被膜601により、潤滑剤被膜601が磨り減ることに対するさらなる保護を有する。さらにこの実施形態によって、硬質の耐摩耗性を有する浸炭区域401の対向表面が、互いに対して摺動し、低い摩擦係数をもたらし、フレッチング耐性を向上させることが可能となり、その上に堆積された潤滑剤被膜601によって、さらなるフレッチング耐性がもたらされる。
本発明はまた、チタンを含む金属表面を浸炭するための方法を提供する。一実施形態では、ガスタービンエンジン内で使用するための、チタン含有ブレード100または圧縮機ディスク107が浸炭される。本発明による被膜用の表面は、好ましくはチタン合金である。一実施形態では、チタン合金は、約6重量%のアルミニウム、約4重量%のバナジウム、および基本的にチタンである残部を有する、Ti−6−4チタン合金である。ブレード100で使用するのに適した他の合金は、限定はされないが、Ti−4−4−2(約4重量%のアルミニウム、約4重量%のモリブデン、約2重量%のスズ)、Ti−6−2−4−2(約6重量%のアルミニウム、約2重量%のモリブデン、約4重量%のジルコニウム、および約2重量%のスズ)、Ti−8−1−1(約8重量%のアルミニウム、約1重量%のモリブデン、および約1重量%のバナジウム)を含む。圧縮機ディスク107で使用するのに適した他の合金は、限定はされないが、Ti−17(約5重量%のアルミニウム、約4重量%のクロム、約4重量%のモリブデン、約2重量%のジルコニウム、および約2重量%のスズ)、およびTi−6−2−4−2(約6重量%のアルミニウム、約2重量%のモリブデン、約4重量%のジルコニウム、および約2重量%のスズ)を含む。浸炭区域401を有するブレード100と共に使用するための圧縮機ディスク107の製作に適した他の合金としては、限定はされないが、INCONEL(登録商標)718、R−95、またはR−88などの、ニッケルベースの合金を含む。INCONEL(登録商標)は、ウェストバージニア州ハンティントンのHuntington Alloys Corporation社が所有する、連邦登録商標である。INCONEL(登録商標)718の組成は、当技術分野ではよく知られており、これは、約18重量%のクロム、約19重量%の鉄、約5重量%のニオビウムおよびタンタル、約3重量%のモリブデン、約0.9重量%のチタン、約0.5重量%のアルミニウム、約0.05重量%の炭素、約0.009重量%のボロン、最大約1重量%のコバルト、最大約0.35重量%のマンガン、最大約0.35重量%のシリコン、最大約0.1重量%の銅、およびニッケルである残部を含む、ニッケルベースの超合金の呼称である。R95は、約8%のコバルト、約13%のクロム、約3.5%のモリブデン、約3.5%のタングステン、約3.5%のアルミニウム、約2.5%のチタン、約3.5%のニオビウム、約0.03%のボロン、約0.03%の炭素、約0.03%のジルコニウム、約0.01%以下のバナジウム、約0.3%以下のハフニウム、約0.01%以下のイットリウム、および基本的にニッケルである残部を有する組成を含む。R−88は、約13%のコバルト、約16%のクロム、約4%のモリブデン、約4%のタングステン、約2%のアルミニウム、約3.7%のチタン、約0.75%のニオビウム、約0.4%のジルコニウム、約0.06%の炭素、約0.010%のボロンを有し、基本的にニッケルである残部を有する組成を含む。
本発明によれば、チタンを含む金属表面は、安定した炭化物を制御され予め選択された距離で表面の下に形成するために、制御された条件下で、メタン、プロパン、エチレンガス、アセチレン、二酸化炭素、一酸化炭素、またはそれらの組合せなどの炭素含有ガスを浸炭剤として使用して浸炭される。炭化物は、炭化チタン、炭化バナジウム、および、チタン−バナジウム炭化物複合体を含めてそれらの混合物を含むことができる。これらのガスは、組み合わせて混合させることができ、または、浸炭ガスの反応性を制御するために、アルゴン、ヘリウム、または水素など、非反応性のガスをこれらのガスに加えることができる。表面中に形成された炭化チタンによって表面が硬化され、摩擦係数が低下し、フレッチングが減少する。チタンマトリックス中の格子間炭素の濃度および/または存在もまた、プロセスにおける制御要素となり得る。
本発明は、製品の表面を清浄化する段階を含むことができる。製品表面の清浄化は、基板表面から部分的または実質的にすべての酸化物を除去すること、および、浸炭されるべき酸化物が表面から再形成されることを防止することを伴う。浸炭されるべき表面には、好ましくは酸化物が存在しない。酸化物の除去は、基板表面を損傷せずまたはそうでなくても基板表面に悪影響を与えない、機械的または化学的な方法によって実現することができる。機械的または化学的な酸化物除去方法は、限定はされないがグリットブラストまたは化学エッチングを含めて、当技術分野で知られるいかなる酸化物除去方法でもよい。そのような清浄化の後、酸化物の形成を回避しながら、表面を適当な溶液で清浄化することができる。酸化物は回避されるべきであるが、表面のいくつかの部分が浸炭されるのを防ぐために、これらの部分をマスクすることが望ましいことがある。これは、チタン含有表面が他のチタン含有表面と接触しない、かつ/またはフレッチングもしくは磨耗を受けにくいなど、いくつかの理由のうちの1つのために望ましいことがある。したがって、必要に応じて、浸炭を必要としない部分をマスクすることができる。
圧縮機ディスク107および/またはブレード100の表面の部分にマスクを設けることができるが、圧縮機ディスク107および/またはブレード100全体を浸炭することによって、圧縮機ディスク107およびブレード100に所望の表面特性をもたらすことができる。たとえば、浸炭区域401を有するブレード100のエーロフォイル101部分は、表面にある炭化物および/または格子間炭素の存在により、耐腐食性とすることができる。耐腐食性は、エーロフォイル101および圧縮機ディスクが、水、および/または塩などの腐食促進物質を含む空気と接触する可能性があるため、エーロフォイル101および圧縮機ディスク107にとって望ましい。さらに、圧縮機ディスク107および/またはブレード100全体の浸炭によって、硬化され耐摩耗性を有する浸炭区域401による侵食に対する保護を、圧縮機ディスク107およびブレード100にもたらすことができる。耐侵食性は、砂または埃など研磨物質を含む空気と接触することから、たとえばエーロフォイル101および圧縮機ディスク107にとって望ましい。したがって、本発明の方法は有利には、圧縮機ディスク107および/またはブレード100全体を被覆するために利用することができる。
清浄化された製品は、次いで浸炭プロセスの実施に適当な炉内に配置される。適当な炉は、真空炉、または制御された雰囲気を維持することができる炉を含む。炉は、チタン中への炭素の拡散を可能にするのに十分な温度、かつ538℃(1000°F)未満に加熱することができる。好ましくは、炉は400℃(750°F)に加熱される。チタン含有製品が浸炭温度に到達した後、酸素の導入を防止する何らかの方法によって浸炭ガスを炉内に導入することができる。さらに、浸炭ガスの導入は、炭素含有ガスの濃度を変えることができるようなものであるべきである。浸炭温度までの加熱中および浸炭中は製品表面の酸化および浸炭ガスと酸素の反応が防止されなければならないので、制御された雰囲気を維持する場合、その雰囲気は非酸化雰囲気でなくてはならない。浸炭温度に到達すると、浸炭ガス、すなわちメタン、プロパン、エチレン、またはアセチレンが、炉内に導入される。これらの浸炭ガスは、浸炭温度より低い温度で、水素と共に、または水素を徐々に置き換えるように導入することができるが、過度にすすを形成することになる温度または体積で加えるべきではない。浸炭ガスは、炭素が拡散され、炭化チタンを有する層中に形成され、かつ/または炭素が格子間に拡散されるよう、所望の浸炭に十分な炭素が製品表面上に存在することが保証されるように供給される。炭化物および/または格子間炭素によって、表面の硬度が増大され、フレッチングが低減される。表面の硬度が増大するので、チタン含有表面間の局所的な付着の発生が減少する。局所的な付着の減少によって、フレッチング疲労および磨耗に対するより高い耐性がもたらされる。炭化物層形成の深さが限定されるように、浸炭プロセスの炭素含有ガス中における炭素の持続時間、温度、および濃度を制御することができる。相中に存在する炭素の量は、別のチタン含有表面と接触するときの、チタン含有表面のフレッチングに対する脆弱性を低減させるのに十分である。浸炭区域401中に存在する炭素の量は、1000°Fを超える温度などの高温で浸炭された、従来の浸炭表面中に存在する炭素の量よりも多い。
浸炭は、所望の浸炭深さに到達するまで続行され、到達された時点で、不活性ガスを炉内に導入することによって操作を停止させる。浸炭深さは、温度、時間および濃度に依存しており、結果的に得られる深さは、物質移動の法則、特に、フィックの第1および第2拡散法則に従うことがある。炭素が拡散する温度よりも製品の表面温度が低くなると、浸炭が止まる。浸炭深さは、製品が炭素含有ガスに暴露される時間、炭素含有ガス中の炭素濃度、および製品の温度を含めて、様々な要因に基づいて変わる。浸炭被膜401のための好ましい深さは、0.0254cm(0.01インチ)以下である。より好ましくは、0.00254cm(0.001インチ)以下である。本発明による浸炭プロセスは、所望の浸炭被覆401深さを達成するために、約1500時間以下の時間で行われる。好ましくは、浸炭は約1000時間以下の時間で行われる。
浸炭プロセスは、浸炭ガスのチャンバをパージすることによって完了する。これは、浸炭ガスの流れを停止し、不活性ガス、すなわち窒素または水素をチャンバ内に導入することによって実現することができる。これはまた、製品を冷却する働きをする。表面上に存在するいかなるマスクも除去することができる。
当業者には認識されるように、いくつかの操作パラメータを変えることができ、したがって、所望の炭化物層厚さが制御されるように、それらのパラメータを制御しなければならない。それらのパラメータは、限定はされないが、ガス分圧を決定するガス流量、温度、炉のタイプ、作業区域のサイズ、作業装填物、および時間を含む。
加工および冷却の後、複数の製品を含むことがある作業装填物を、作業区域から取り出すことができる。いかなる任意のマスキングも、随意の潤滑剤被膜601を適用する前または後に除去することができる。マスキングは、化学的ストリッピング、ブラスティングなどの機械的手段、またはマスキング材料に適合するその他の知られた方法など、基板表面に悪影響を及ぼさないいかなる適当な方法によって除去することもできる。
チタンを含む圧縮機ディスク107およびエーロフォイル101は、本発明の方法で使用するのに特に適している。浸炭された圧縮機ディスク107、および/または潤滑剤被膜601で被覆されたダブテイル103は、望ましい摩擦特性をもたらす。本発明は、比較的硬質の浸炭区域401と、磨耗しやすい表面上に配置することができる比較的軟質の滑らかな潤滑剤被膜601との組合せを利用する。適当な表面は、ガスタービンエンジンの圧縮機内の構成要素の表面を含む。浸炭区域401によって、圧縮機ディスク107とブレード100の間の摩擦係数が低下する。潤滑剤被膜601によってさらに、圧縮機ディスク107とブレード100の間の摩擦係数が低下し、表面間の付着が減少し、それによってフレッチングが減少する。
好ましくは、摩擦係数は、ダブテイルスロット105およびダブテイル103の磨耗システム内で、0.6以下、好ましくは0.4以下に維持される。より好ましくは、摩擦係数は、ダブテイルスロット105およびダブテイル103の磨耗システム内で、0.2以下に維持される。摩擦係数は、互いに摩擦し合う2つの面の間で測定される。図4〜図9に示す本発明の実施形態で、ブレード100のダブテイル103と圧縮機ディスク107のダブテイルスロット105の間の摩擦係数は、約0.6以下である。圧縮機ディスク107およびブレード100は、限定はされないが、金属および金属合金を含めていかなる適当な材料で製作することもできる。好ましい材料は、チタンおよびその合金を含む。その他の適当な合金は、限定はされないが、INCONEL(登録商標)718など、ニッケルベースの合金を含む。さらに、圧縮機ディスク107は、R−95およびR−88など、ニッケルベースの合金で製作することができる。
本発明の別の実施形態では、被膜システムにさらなる望ましい特性をもたらすために、潤滑剤被膜601に添加剤を含むことができる。さらなる添加剤は、より高い滑性、潤滑剤被膜601の表面に対するより高い付着度、または被膜のより高い均質性などの、望ましい特性を組成物にもたらす添加剤である。さらなる適当な添加剤は、限定はされないが、ポリテトラフルオロエチレン、定着剤、分散剤、およびそれらの組合せを含む。さらなる添加剤の例として、グラファイト、硫化モリブデン、二セレン化モリブデン、および銅が挙げられる。
本発明での用途が見出される代替システムは、アクチュエータ機構、エンジン内の他の部分のダブテイル表面、および低い摩擦係数が必要とされるまたは望ましいその他の表面を含めて、ガスタービンエンジンのチタン含有構成要素を含む。特に、本発明は、1つのチタン含有表面が第2のチタン含有表面に対して摺動する応用例を含めて、フレッチングが生じやすい応用例における用途が見出される。摩擦接触する表面の片方または両方を処理することによって、摩擦係数が低下し、フレッチング疲労および磨耗も低減される。
本発明を好ましい実施形態を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、同等物でその要素を置き換えることができることが、当業者には理解されるであろう。さらに、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、その基本的な範囲から逸脱することなく多くの修正を加えることができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために意図された最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲に包含されるすべての実施形態を含むものである。
本発明によるタービンエンジンの、知られている高圧圧縮機の区間を示す切断図である。 本発明の一実施形態による圧縮機ディスクの斜視図である。 本発明による、圧縮機ディスクのスロット内に配置されたエーロフォイルダブテイルを示す切断図である。 本発明の一実施形態を示す、図3から取った拡大断面図である。 本発明の一代替実施形態を示す、図3から取った拡大断面図である。 本発明の一代替実施形態を示す、図3から取った拡大断面図である。 本発明の一代替実施形態を示す、図3から取った拡大断面図である。 本発明の一代替実施形態を示す、図3から取った拡大断面図である。 本発明の一代替実施形態を示す、図3から取った拡大断面図である。
符号の説明
100 ブレード
101 エーロフォイル
103 ダブテイル
105 ダブテイルスロット
107 圧縮機ディスク
301 領域
401 浸炭区域
403 表面
405 表面
407 表面
409 表面
601 潤滑剤被膜
603 表面

Claims (8)

  1. チタン含有基板を表面処理するための方法であって、
    チタン含有表面を有する基板を準備する段階と
    前記チタン中に炭素を拡散させるのに十分な高さで且つ538℃未満の温度に前記基板を加熱する段階と
    前記基板中に炭素を拡散させて1種以上の炭化物及び格子間炭素を含む表面層を形成するのに十分な時間、素含有ガスに前記表面を接触させる段階(ただし、プラズマ浸炭処理を含むものを除く。)と
    含む方法。
  2. 前記基板が、Ti−6−4、Ti−17、Ti−4−4−2、Ti−6−2−4−2、Ti−8−1−1及びチタン含有超合金からなる群から選択されるチタン含有合金である、請求項1記載の方法。
  3. 前記基板を、前記炭素含有ガスに接触させる前に清浄にすることをさらに含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記炭素含有ガスが、メタン、プロパン、エチレンガス、アセチレン、二酸化炭素、一酸化炭素及びこれらの組合せからなる群から選択されるガスをむ、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記炭素含有ガスが、アルゴン、ヘリウム又は水素を含む群から選択される非反応性ガスをさらに含む、請求項4記載の方法。
  6. 前記接触段階が500時間以下で行われる、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記基板が400℃に加熱される、請求項1乃至請求項請求項のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記表面層の深さが0.0254cm(0.01インチ)以下である、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の方法。
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