(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における受信装置のブロック図である。
図1において、受信装置1は、第1基準発振信号を出力する第1基準発振器4と、第1基準発振信号に基づいて第1局部発振信号を生成する第1シンセサイザ部3と、第1局部発振信号に基づいて受信信号を周波数変換する第1周波数変換器2と、温度を検出する温度センサー部5と、温度センサー部5の検出温度に基づいて第1局部発振信号の周波数調整を行う第1周波数調整部6と、第2基準発振信号を出力する第2基準発振器9と、第2基準発振信号に基づいて第2局部発振信号を生成する第2シンセサイザ部8と、第2局部発振信号に基づいて第1周波数変換器2から出力された信号を周波数変換する第2周波数変換器7と、第2周波数変換器7の出力信号に基づいて第2局部発振信号の周波数調整を行う第2周波数調整部10を備える。
尚、この受信装置1を搭載した電子機器(図示せず)は、第2周波数変換器7の出力側に接続された復調部11と、この復調部11の出力側に接続された信号処理部(図示せず)と、信号処理部の出力側に接続された表示部(図示せず)とを備える。
以下、第2周波数調整部10を用いた従来の周波数調整方法を説明する。なお、以下においては、受信装置1はデジタル放送信号の受信装置として説明する。第2周波数調整部10は、特許文献1に開示されているように、広帯域キャリア周波数偏差算出回路(図示せず)と狭帯域キャリア周波数偏差算出回路(図示せず)の2つの周波数偏差算出回路を有する。広帯域キャリア周波数偏差算出回路は、送信側において所定の周期で挿入された周波数同期用の基準シンボルを用いることにより、キャリア間隔単位の周波数偏差を算出することができる。日本のデジタル放送方式(ISDB−T)においては直交周波数分割多重方式(以下、OFDM)が採用され、その受信帯域幅5.6MHzの中に周波数同期用の基準シンボルの配置パターンが4周期あるため、1周期は約1.4MHz(=5.6MHz/4周期)となる。従って、第2周波数調整部10は内部で生成した既知信号と、第2周波数変換器7の出力信号(ベースバンド信号、以下BB信号という)に含まれる既知信号とを比較することにより、±700kHz(=1.4MHz/2)の周波数偏差を検出することができる。一方、狭帯域キャリア周波数偏差算出回路は、OFDM信号の中のガード期間信号が有効シンボル期間信号の後部のコピーであることから、それらの間の相関を利用することにより、キャリア間隔以内の周波数偏差を検出する。非特許文献1に開示されているように、この狭帯域キャリア周波数偏差算出回路は、第2周波数調整部10の中の積分器であるループフィルタ(図示せず)のループ利得を適切に設定することによりキャリア間隔の1%以内の周波数偏差を検出することが可能である。ISDB−Tにおいては、Mode3の場合、キャリア間隔は約1kHzであるため、10Hz以下の分解能で周波数偏差検出を行うことが可能である。第2周波数調整部10は第2シンセサイザ部8の設定値に対して、広帯域キャリア周波数偏差算出回路及び狭帯域キャリア周波数偏差算出回路で検出した周波数偏差を加算することにより、第2局部発振信号を調整し、当該周波数偏差を除去する。第2周波数調整部10は、以上のような周波数偏差検出手段及び調整手段により、送信側の局部発振信号と第1局部発振信号の周波数偏差、若しくは伝送路に起因して発生した周波数偏差を除去することができる。
ここで、従来の受信装置においては、基準発振器として水晶振動子を用いたものが一般に用いられ、その周波数変動幅は受信装置及び電子機器の使用温度範囲内(−40℃〜+85℃)において高々±30ppmである。この変動幅が第2周波数調整部10に与える影響を考えると、デジタル放送ではUHF帯(470MHz〜770MHz)が用いられるため、第1周波数変換器2の出力信号(以下、中間周波数信号)の周波数を例えば57MHzとすると、第1局部発振信号は最大で713MHz(=770−57)となる。従って、使用温度範囲内の変動幅は最大で約±21kHz(=713MHz×30×10^−6)となる。中間周波数信号の周波数は受信信号と第1局部発振信号の差分となるので、その変動幅は同じく約±21kHzとなるが、これは第2周波数調整部10の調整範囲である±700kHzに比べて十分小さいため、問題とならなかった。しかし、シリコン振動子を用いて第1基準発振器4を構成した場合は、温度特性が約−30ppm/℃となるため、−40℃〜+85℃の温度範囲で3750ppmもの周波数変動幅となる。同様に第2周波数調整部10に与える影響を考えると、第1局部発振信号の周波数変動幅は約2674kHz(=713MHz×3750×10^−6)となり、中間周波数信号の変動幅も約2674kHzとなる。これは第2周波数調整部10の調整範囲を超えるので、第2周波数変換器7においてこの周波数偏差を調整することができず、復調部11において周波数同期が取れないため復調処理ができなくなる。これは、近年実用化段階に入ったシリコン振動子を用いることにより新たに発生した課題であり、小型で低コストなシリコン振動子をデジタル放送受信装置等の高周波受信装置に適用する上で、大きな弊害となることが分かった。
以下、従来の受信装置において、シリコン振動子を用いて構成した第1基準発振器4を用いた場合の周波数変動の様子を、図を用いて説明する。図4は第1基準発振器4の出力である第1基準発振信号の周波数変動を示した図である。例として770MHzの信号を受信する場合を説明する。図の横軸は時間、縦軸は周波数を表し、この例ではt=t0において25℃で、その後線形に上昇し、t=t1で65℃となっている。25℃におけるシリコン振動子の発振周波数を10MHzとすると、シリコン振動子は温度係数が−30ppm/℃であるので、65℃まで上昇することにより−1200ppm(=30×(65−25))の周波数変動が生じ、第1基準発振信号は9.988MHzとなる。図5はこの場合の第1局部発振信号の周波数変化を表したものである。中間周波数信号を例えば57MHzとすると、t=t0において、第1局部発振信号を713MHzに設定するが、第1基準発振信号の周波数変動に起因して、65℃では712.144MHzまで下降する。図6は中間周波数信号の周波数変化を表している。t=t0では57MHzだが、65℃では56.144MHzまで下降する。これは、第1周波数変換器2が受信信号と第1局部発振信号の差分周波数を中間周波数信号として出力するため、第1局部発振信号の周波数変動の絶対値(856kHz)がそのまま中間周波数信号の周波数変動となるためである。図7は第2周波数調整部10を動作させない場合の、BB信号の周波数変動を表している。第2シンセサイザ部8には中間周波数信号と同じ57MHzが設定され、これにより中間周波数信号帯域をBB信号帯域に変換するため、t=t0では0Hz(ベースバンド)となるが、65℃では−856Hzまで下降する。図8は細線が図7と同条件のBB信号であり、太線は第2周波数調整部10を動作させた場合のBB信号を表している。第2周波数調整部10は±700kHzまで調整可能であるので、BB信号の周波数偏差が−700kHzとなる57.7℃までは第2局部発振信号の周波数調整により0Hzとすることができる。しかし、57.7℃以上ではBB信号の周波数偏差が第2周波数調整部10の調整範囲を超えるため、周波数調整を行わない場合と同じ傾きで下降する。この状態では復調部11では周波数同期がとれず、復調処理を行うことはできない。従って、57.7℃以上では受信不可となる。同様に、温度が下降する場合には、−7.7℃までしか第2周波数調整部10が機能しない。つまり、シリコン振動子を用いた場合は−7.7℃〜+57.7℃の温度範囲しか受信処理を行うことはできず、受信装置及び電子機器に求められる使用温度範囲(−40℃〜+85℃)をカバーすることができない。
そこで、本願発明は、第2の周波数調整方法として、温度センサー部5の温度検出結果に基づいて第1局部発振信号を調整することにより、温度変化に起因する第1基準発振信号の周波数変化を除去する。以下、図3を用いてこの調整方法を説明する。図3において、第1シンセサイザ部201は第1基準発振信号と比較信号の位相差に比例したパルス幅信号を出力する位相比較器202と、パルス幅信号を入力し低域濾過後信号を出力するループフィルタ203と、低域濾過後信号に基づいた周波数の信号を出力するVCO204と、第1周波数調整部6が設定した分周比に従ってVCO204の出力信号を分周し比較信号を出力する分周器205とからなり、これらはPhased Lock Loop(以下、PLL)を構成している。この構成において、第1基準発振信号の周波数をfref、VCO204の周波数をfvco、分周器205に設定された分周比をMとすると、位相比較器202にはfrefとfvco/Mの2つの信号が入力されるが、ループ構成により、この2つの信号の周波数が同一になるようにループフィルタ203の出力電圧が収束する。従って、fvcoは(数1)で表される。
この関係を用いて、第1周波数調整部6は分周器205の分周比Mを制御することにより、第1シンセサイザ部201から所望の周波数を出力させることができる。また、分周器205において分数分周を実現する方法としてフラクショナルN方式やΔΣ方式が用いられており、これらの方式を用いることにより、fvcoの設定分解能を格段に小さくすることが可能となる。
この構成を用いて、第1基準発振信号が10MHzの場合に、第1局部発振信号として713MHzを出力するためには、第1周波数調整部6は分周器205に対して分周比Mを71.3とする設定を行えばよい。
ここで第1基準発振器4にシリコン振動子を用いた場合には、温度変動に対応して第1基準発振信号、すなわちfrefが大きく変動する。このfrefの変動を調整するために、温度センサー部5は第1基準発振器4の周囲温度を検出し、第1周波数調整部6はこの検出温度に基づいて分周器205を制御し、fvcoを一定の値に保つことができる。以下、シリコン振動子で構成された第1基準発振器4の出力周波数(fref)が25℃の場合に10MHzであり、fvcoとして713MHzを得る場合について説明する。シリコン振動子の温度が25℃である場合には、前述の通り、第1周波数調整部6は分周器205に対して分周比Mを71.3と設定すればよい。シリコン振動子の温度が30℃となった場合には、温度係数が−30ppm/℃なので、fref=9.9985MHz(Δf=10MHz×30ppm/℃×5℃=0.0015MHz)となる。従って、第1周波数調整部6は分周器205に対して分周比を71.3107(=713MHz/9.9985MHz)を設定すればよい。このようにして、第1周波数調整部6は温度センサー部5の検出結果に基づき、分周器205の分周比Mを制御することによりfvcoを一定の値に保つことができる。なお、第1周波数調整部6は温度センサー部5の検出温度及びシリコン振動子の温度係数を用いてfvcoを得るための分周比Mを演算により求めてもよいし、予めメモリに格納した温度と分周比の対応テーブルに基づいて分周比Mを設定してもよい。
第1周波数調整部6は上述のように分周器205を制御することにより、VCO204の周波数可変幅(数百MHz〜数GHz)にわたってfvcoを調整することができる。また、温度センサーは半導体ベースのものや、サーミスタなどが用いられるが、その温度検出範囲は使用温度範囲(−40℃〜+85℃)に比べて十分に広い。すなわち、従来の第2周波数調整部10による調整範囲が±700kHzであったのに対し、第1周波数調整部6を用いた場合はシリコン振動子の温度特性に起因する第1局部発振信号の周波数変化幅(約2674kHz)を十分に調整することができる。
ここで、従来の第2周波数調整部110は、送信側の局部発振信号と第1局部発振信号の周波数偏差、若しくは伝送路に起因して発生した周波数偏差を調整することができるのに対し、第1周波数調整部6はシリコン振動子の周囲温度のみに基づいて調整を行うため、送信側の局部発振信号がオフセットを有する場合や、伝送路に起因して受信信号に周波数オフセットが生じた場合には、これらの周波数偏差を調整することができない。本願発明は、第1周波数調整部6の広範な調整範囲を利用してシリコン振動子の温度特性に起因する第1局部発振信号の広範な周波数変化を調整するとともに、第2周波数調整部10により、送信側の局部発振信号がオフセットと伝送路に起因する周波数オフセットを調整することができ、それぞれの調整方法が有する固有の課題を解決することができる。
また、本願発明を用いれば周波数同期が未確立の期間でも、第1局部発振信号の周波数偏差を調整することができる。つまり、受信信号レベルが低い等により基準シンボルを検出できず周波数同期が取れない場合、または選局後の周波数同期確立前の期間は、第2周波数調整部10は機能しないため、第1局部発振信号の周波数偏差を調整することができないが、第1周波数調整部6は温度センサー部5の検出温度に基づくため、周波数同期の有無に関わらず、常に周波数調整が可能である。
また、本願発明は、温度変化に対する追従性を上げる効果をも有する。第2周波数調整部10は通常、数百ミリ秒の追従性を有する。例えば、非特許文献1によると、キャリア間隔の0.4倍の周波数偏差を約250シンボルで収束させられることが示されている。ISDB−Tにおいては、キャリア間隔は約1kHz、シンボル期間は約1ミリ秒であるので、約400Hzの周波数偏差を約250ミリ秒で収束させられることとなり、1.6kHz/秒(=400Hz/0.25秒)の周波数調整速度となる。従って、シリコン振動子で構成される第1基準発振器4が2.24ppm/秒(=1.6kHz/713MHz)を超える周波数変動となる場合には追従できない。これは、シリコン振動子が0.075℃/秒(=2.24/30)以上の温度変化をした場合には追従できず、受信品質が劣化することを意味する。一方、温度センサー部5の温度検出速度は第2周波数調整部10の収束速度に比べて十分に速いため、第1周波数調整部6が十分速い周期で調整を行うことにより、0.075℃/秒を超える温度変化に対しても第1局部発振信号の周波数偏差を調整することができる。
また、復調部11の後段に表示部(図示せず)を接続することにより、電子機器を構成することができる。これにより、シリコン振動子を用いた受信装置1を採用し、小型で低価格な電子機器を実現することができる。
なお、以上、説明した実施の形態で説明した温度センサーとしては、一般的に用いられている半導体を流れる電流の温度特性を利用したような半導体ベースのものや、サーミスタなどが挙げられるが、これに限るものではない。例えば温度特性の異なる振動子を2つ用意し、その周波数差から、間接的に温度をセンシングすることが可能である。或いは、別のクロックや周波数情報を有する信号との比較や乗算により、その差分を検知して、温度に起因する基準周波数のずれをセンシングしても良い。別のクロックとしては、希望波となる受信信号そのものや、GPS(Global Positioning System)用の信号、或いは、電子機器なら、他の回路ブロックから、供給してもらった信号などが挙げられる。要は、温度情報を直接、或いは間接に検知できる手段であれば良い。
また、受信装置1には第1基準発振器4が内蔵される構成としたが、基準発振信号の入力端子を設け、外部に設置した基準発振器と接続してもよい。これにより、受信装置1を含む電子機器は、他の回路ブロックと基準発振器を共用化することができる。
また、第2基準発振器9に基づいて第2局部発振信号を生成する構成としたが、この第2基準発振器をシリコン振動子により構成してもよい。或いは、第2基準発振器9を削除し、第1基準発振器4に基づいて第2局部発振信号を生成してもよい。これにより、更に小型化、低コスト化を実現することが可能となる。これらの場合は、第2局部発振信号もシリコン振動子の温度特性に起因して周波数変動が生じるが、第2局部発振信号の周波数が小さい場合には、その周波数変動幅は、第2周波数調整部10の調整範囲内となるため問題とならない。具体例として、中間周波数信号が57MHzの場合は、使用温度範囲内において、第1局部発振周波数は約2674kHzの変動幅を有するのに対し、第2局部発振周波数は約214kHz(=57MHz×3750×10^−6)となるからである。
また、第1周波数変換器2は受信信号を周波数変換するとしたが、さらに前段に受信信号を処理する他のブロックを有してもよく、また第1周波数変換器2と第2周波数変換器7の間にさらに他のブロックを有してもよい。
また、第2周波数調整部10は第2周波数変換器7の出力信号に基づいて第1局部発振信号を調整してもよいし、第1周波数調整部6は温度センサー部5の検出温度に基づいて第2局部発振信号を調整しても、本実施の形態の効果を実現することができる。
また、第1周波数調整部6は温度センサー部5の検出温度の時間変化率に基づいて第1局部発振信号を調整してもよい。例えば、温度の時間変化率に基づき、第1周波数調整部6が分周器205の分周比を所定周期で所定単位ずつ増加あるいは減少させることにより、基準発振信号の周波数変化率を分周比の制御速度で相殺することができ、第1局部発振信号の時間変動を抑制することができる。同様に、第2周波数調整部10は、第2周波数変換器7が出力する周波数の時間変化率に基づいて第1局部発振信号又は第2局部発振信号を調整してもよい。
また、受信装置1はデジタル放送信号の受信装置として説明したが、携帯電話受信装置や無線LAN装置等の受信装置においては、デジタル放送よりも高い周波数(携帯電話は約1.8GHz、無線LANは約2.4GHz)を用いるため、第1基準発振信号の周波数変動に起因する第1局部発振信号の周波数変動幅は更に大きくなる。従って、シリコン振動子で構成した第1基準発振器4を用いた場合は、従来の第2周波数調整部110のみで調整を行うことは更に困難となり、本願発明の効果は更に高まる。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2における受信装置のブロック図である。
図9において、制御部903は、第2周波数調整部10が出力する周波数調整量に基づいてイネーブル信号を出力し、第1周波数調整部902はイネーブル信号に基づいて周波数調整を実行する。また、制御部903は、閾値を格納する閾値メモリ904と、周波数調整量と閾値メモリ904に格納された値を比較しイネーブル信号を出力する比較器905とで構成される。
この構成により、さらに安定して周波数調整を行うことができる。
前述の通り、第1周波数調整部902を用いることにより、シリコン振動子の温度特性に起因する第1局部発振信号の周波数変化幅にわたって調整を行うことが可能となった。しかし、第1周波数調整部902の使用に付随して、従来の第2周波数調整部110にはなかった課題が発生する場合があることが分かった。この付随課題は、温度センサー部5の検出分解能に起因するものであり、以下具体例を用いて説明する。温度センサーは、半導体を用いたものであっても、サーミスタを用いたものであっても、周囲温度と関連して生じる電圧をADコンバータでデジタル化することにより温度を検出するが、主にこのADコンバータの量子化雑音がボトルネックとなり、温度の検出分解能は高々±0.1℃である。この検出分解能により、第1周波数調整部902の周波数調整分解能が律束されることになる。具体的には、シリコン振動子の温度係数が−30ppm/℃であるので、温度センサーの検出分解能を0.1℃とすると3ppm(=30ppm/℃×0.1℃)が最小の制御単位となる。従って、第1局部発振信号が713MHzの場合は、2.14kHzが最小の制御単位となる。これは送受信システムで用いられている変復調方式によっては、復調部11の復調処理に悪影響を与える場合がある。例えばISDB−Tでは、OFDM信号を構成する各キャリアは約1kHz間隔で配置されているが、第1シンセサイザ部3の出力信号を2.14kHzだけ変動させると、2キャリア分以上の周波数変動をもたらすこととなり、復調部11の周波数同期に悪影響を与え、受信品質の劣化をもたらす。
以下、この場合の周波数変動の様子を図11を用いて説明する。ここでは、実施の形態1における動作説明と同様、シリコン振動子の温度が25℃から65℃まで上昇し、図4〜図7と同様の周波数関係となる場合を前提とする。図11で細線は第1周波数調整部902も第2周波数調整部10も動作させない場合のBB信号、太線はともに動作させた場合のBB信号を表している。第1周波数調整部902は十分広範囲に行うことができるので−856kHz(t=65℃)となった場合でもBB信号を0Hzとすることが可能である。しかし、2.14kHzの単位でしか調整を行うことができないため、温度変化に対して十分速い周期で第1シンセサイザ部3の制御を行ったとしても、調整を行うたびに2.14kHz幅の周波数変動(以下、調整リップル)を生じる。この調整リップルは、前述の通り、復調部11に悪影響を与え、受信品質の劣化をもたらす場合がある。
ここで、この調整リップルの発生は、第1周波数調整部902と第2周波数調整部10がそれぞれ独立に動作していることに起因する。それぞれの周波数調整方法の特徴をまとめると、第2周波数調整部10は、受信信号に含まれる基準シンボルや信号形式の特徴を用いて周波数偏差を検出するため、調整分解能は十分小さくできる利点を有する。実施の形態1で説明した例では、調整分解能は10Hz以下に抑えられ、調整リップルはこの調整分解能以下となる(図8に示すように、調整リップルはほとんどない)。一方、調整幅が例えば±700kHzと狭くなる不利を有する。第1周波数調整部902は温度センサーを用いて周波数偏差を算出するため、調整幅が十分大きくできる利点がある一方、調整分解能が温度センサーの分解能に起因して悪くなる不利を有する。上述の例では、2.14kHzの調整リップルをもたらす。この特徴は、デジタル放送の受信装置に限らず携帯受信装置や無線LAN装置等に対して適用した場合でも同様である。
そこで、これら2種類の周波数調整方法がそれぞれ有する利点と不利な点が互いに相反する関係にあることに着目し、制御部903が互いに補い合うように連係動作させることにより、復調部11に与える悪影響を軽減することができる。
具体的には、制御部903は、第2周波数調整部10が出力する周波数調整量が所定の閾値以下である場合には第1周波数調整部902を実行させずに第2周波数調整部10のみを実行させ、所定の閾値を超えた場合に第1周波数調整部902を実行するように、2つの調整方法を制御する。以下、制御部903の動作について、これまでの具体数値を用いて説明する。閾値メモリ904には、例えば、第2周波数調整部10の調整範囲である700kHzを設定する。比較器905は第2周波数調整部10が出力する周波数調整量と閾値メモリ904に格納された値を比較し、周波数調整量の絶対値が閾値メモリの値よりも小さい場合には、イネーブル信号を出力しない(ディセーブルとする)。この場合、第1周波数調整部902は動作しない。一方、周波数調整量の絶対値が閾値メモリの値よりも大きい場合には、比較器905はイネーブル信号を出力する。これにより、第1周波数調整部902が動作し、温度センサー部5の検出温度に基づいて第1局部発振信号を調整する。これにより、第1局部発振信号及び中間周波数信号の周波数偏差が除去される。この結果、第2周波数調整部10の周波数調整量は徐々に0Hzに収束し、第2周波数調整部10はさらに±700kHzの範囲にて周波数調整が可能となる。また、これにより周波数調整量の絶対値が閾値メモリ904の設定値以下となるので、比較器905の出力はディセーブルとなる。従って、第1局部発振信号にさらに700kHzの偏差が生ずるまでは第1周波数調整部902は動作しないこととなるため、第1周波数調整部902の動作に起因する調整リップルの発生が大幅に抑制される。
このBB信号の周波数変動を図12を用いて説明する。図12では細線が第1周波数調整部902も第2周波数調整部10も実行しない場合のBB信号、太線は制御部903が第1周波数調整部902と第2周波数調整部10を連係動作させて制御した場合のBB信号を表している。閾値メモリ904には700kHzが設定されているので、第2周波数調整部10の周波数調整量が−700kHzとなるまでは比較器905はイネーブル信号を出力しない。従って、第1周波数調整部902は動作せず、第2周波数調整部10のみが動作している。この場合、図8と同様に調整リップルはほとんど生じない。第2周波数調整部10の周波数調整量が−700kHzを越えた時点で、比較器905はイネーブル信号を出力する。これにより第1周波数調整部902が動作し、温度センサー部5の検出温度に基づいて第1局部発振信号を調整する。これにより第1局部発振信号及び中間周波数信号の周波数偏差が除去される。一方、この時点で第2周波数調整部10の調整量は−700kHzであるため、BB信号は+700kHzとなる。しかしながら、第2周波数調整部10は数百ミリ秒で追従し、BB信号は0Hzに収束するため、復調部11へ与える影響は高々数百ミリ秒である。また、この後は更に第2周波数調整部10の周波数調整量の絶対値が700kHzを超えるまでは第1周波数調整部902が動作せず、第2周波数調整部10のみが動作することになるため、第1周波数調整部902の動作に起因する調整リップルの発生を抑制することができる。
以上に説明したように、本願発明を用いることにより、第2周波数調整部10の調整分解能の利点を活かしてBB信号の周波数を安定的に調整するとともに、調整範囲の不利を第1周波数調整部902により補い、また第1周波数調整部902の実行頻度を減らすことにより、第1周波数調整部902が有する調整リップルの不利を抑制することが可能となる。
また、閾値メモリ904には周波数調整量の時間変化率を格納し、制御部903は、第2周波数調整部10が出力する周波数調整量の時間変化率の絶対値が閾値メモリ904の値を超えた場合に、比較器905がイネーブル信号を出力するように構成してもよい。第2周波数調整部10は所定の周波数調整速度を有し、実施の形態1に記載した例では、1.6kHz/秒である。この調整速度を超えて第1局部発振信号の周波数偏差が生ずる場合には、第2周波数調整部10の調整範囲内であってもBB信号は周波数偏差が生じ、受信品質が劣化するが、周波数調整量の時間変化率に基づいて比較器905がイネーブル信号を出力し、第1周波数調整部902を動作させることにより、シリコン振動子の温度の時間変化率が大きい場合でも、受信品質の劣化を抑制することが可能となる。
また、制御部は温度センサー部5の検出温度に基づいて、第1周波数調整部902の動作を制御してもよい。この場合の構成を図10に示す。図10において、制御部1003は温度センサー部5の検出温度に基づいて、第1周波数調整部1002にイネーブル信号を出力している。また、制御部1003は、閾値温度を格納する閾値メモリ1004と、温度センサー部5の検出温度と閾値メモリ1004に格納された値を比較しイネーブル信号を出力する比較器1005とで構成される。この構成により、検出温度の絶対値が所定の閾値を超えた場合のみ、第1周波数調整部1002を動作させることができる。このように構成することにより、未受信時等の期間において第2周波数調整部10が周波数偏差を検出できない場合であっても、第1局部発振信号の周波数調整を行うことができる。また、検出温度の時間変化率に基づいて第1周波数調整部1002の動作を制御してもよい。これにより、第2周波数調整部10の調整速度を超える温度変化が発生した場合に、第1周波数調整部1002を動作させることができる。
なお、制御部903及び制御部1003は、回路で構成してもよいし、ソフトウェアで実現してもよい。また受信装置の具体的構成に合わせて、復調部11に内蔵してもよいし、復調部11の後段に接続される表示部(図示せず)から制御を行ってもよい。また、上記説明に用いた各種の数値も具体的構成に合わせて適宜設計可能である。例えば、第2周波数調整部10の調整範囲を±700kHzとしたが、実際には第2周波数調整部10に含まれる基準シンボルとの比較用メモリ(図示せず)のサイズ削減のため、±100kHz程度としている場合が多く、このような場合には閾値メモリ904に格納する値を100kHzとすればよい。また、さらにマージンを確保するために50kHz等の値としてもよい。また、シリコン発振器の温度係数を−30ppm/℃として説明したが、例えば振動子を多結晶シリコンで形成することにより約−22ppm/℃にまで改善される見込みがあり、さらにシリコンと周波数温度特性が、逆であるSiO2とを組み合わせることで数ppm/℃程度に改善できる可能性がある。これらの改良により温度係数が小さくなった場合には閾値メモリ1004に格納する閾値温度を上げればよい。
(実施の形態3)
図13は、本発明の実施の形態3における受信装置のブロック図である。
図13における受信装置1301は、制御部1303が、復調部1305の出力するタイミング信号に基づいて第1周波数調整部902の動作を制御している。また、復調部1305は、周波数変動に伴う復調処理への影響が軽微な期間を検出し、この検出期間にタイミング信号を出力する。これにより、図12に示した、第1周波数調整部902の実行に起因する一時的な周波数ずれ(以下、調整ずれ)による受信品質の劣化を回避することができる。
調整ずれにより通常は復調部1305が行う復調処理に悪影響を与えるが、送受信システムによっては必ずしも全ての時間で大きな影響を与えるわけではない。例えば、時分割多元接続方式(TDMA)では、自端末に割り当てられた通信時間以外は周波数変動が発生しても復調処理に与える影響は小さい。また、デジタル放送の受信装置においても、OFDMのガードインターバル期間であれば、有効シンボル期間と比べて周波数変動が復調処理に与える影響は小さい。また、チャンネル選局時などは復調処理が中断するタイミングであるため、周波数変動は許容される。復調部1305はこのような期間を検出してタイミング信号を出力し、制御部1303はタイミング信号が出力されている期間に、第2周波数調整部10の周波数調整量に基づいてイネーブル信号を出力する。具体的には、比較器905の出力信号と復調部1305のタイミング信号をAND回路1304に入力し、両方が有効な期間のみイネーブル信号を出力すればよい。図12に示した例のように、第1周波数調整部902の調整実行によりBB信号の調整ずれを生じ、復調部1305に悪影響をもたらす場合があるが、この調整実行は復調部1305への影響が軽微な期間に行われるため、復調処理へ与える影響は軽微なものとなる。このように、制御部1303は復調部1305からのタイミング信号を参照して第1周波数調整部902を動作させることにより、さらに本願発明の付随課題を軽減することができる。
(実施の形態4)
図14を用いて、本発明の実施の形態4を説明する。図14において、制御部1403は第2周波数調整部1402に接続されている。この構成において、制御部1403は第1周波数調整部902を動作させた際に、第2周波数調整部1402に対して所定値を出力する。第2周波数調整部1402は所定値が入力されると、当該所定値に基づいて第2局部発振信号の周波数調整を行う。典型的には、制御部1403は第1周波数調整部902を動作させた際に、第2周波数調整部1402に対して所定値を0Hzとして出力する(第1シンセサイザ部3の出力周波数または受信信号の周波数が所定のオフセットを有する場合は、このオフセット値を所定値とすればよい)。このように構成することにより、第1周波数調整部902の動作に起因して生ずる調整ずれの影響を軽減することができる。この様子を図15を用いて説明する。図15は比較器905がイネーブル信号を出力した際に、第2周波数調整部1402に対して所定値を0Hzとして出力した場合である。この場合、第1周波数調整部902が動作することにより、第1局部発振信号の周波数偏差は除去されるが、同時に第2周波数調整部1402が出力する周波数調整量も0Hzとなるので、調整ずれは発生しない。実際には、第1周波数調整部902の動作により第1局部発振信号の周波数偏差が除去されるタイミングと、第2周波数調整部1402が所定値を基に周波数調整信号を出力するタイミングの調整が必要となるが、このように構成することにより、第1周波数調整部902の実行に伴う復調部1305への悪影響を大幅に軽減することが可能となる。
(実施の形態5)
図16を用いて、本発明の実施の形態5を説明する。図16において、第1シンセサイザ部1602は、第1基準発振信号と比較信号の位相差に比例したパルス幅信号を出力する位相比較器1603と、パルス幅信号を入力し低域濾過後信号を出力するループフィルタ1604と、低域濾過後信号に基づいた周波数の信号を出力するVCO1605と、第1基準発振信号及び第1周波数調整部1608からの設定値に基づいてオーバーフロー信号を出力するアキュムレータ1607と、VCO1605の出力信号を入力し第1周波数調整部1608からの設定値及びオーバーフロー信号に基づいて比較信号を出力する可変分周器1606とからなり、PLLを構成している。また、制御部1609は第2周波数調整部10の出力信号に基づいて第1周波数調整部1608の動作を制御している。
この構成において、第1シンセサイザ部1602は分数分周のPLLを実現することができる。以下、動作の概略を説明する。アキュムレータ1607は第1周波数調整部1608から最大値Q以下の分数分周比Fを設定することができ、内部に有する累積加算器(図示せず)は第1基準発振信号に基づいて累積加算器の値をFずつ加算する。この累積加算器の値が最大値Qを超えた時点で、アキュムレータ1607はオーバーフロー信号を出力する。また、可変分周器1606は第1周波数調整部1608から整数分周比Mを設定することができ、アキュムレータ1607からのオーバーフロー信号が入力されるたびに分周比をMまたはM+1に切替える。その結果、可変分周器1606が位相比較器1603に対して出力する比較信号は、VCO1605の出力周波数をM分周した周波数と、M+1分周した周波数が交互に切り替わることとなり、平均的にはM分周以上でM+1分周以下の分数分周を実現することができる。従って、第1基準発振信号の周波数をfrefとすると、VCO1605が出力する周波数fvcoは(数2)で表される。
第1シンセサイザ部1602をこのように構成することにより、基準周波数を下げずに、非常に小さな調整分解能を得ることができる。例えば、アキュムレータ1607を20ビットとした場合には、Q=2^20となり、fref=10MHzとすると第1周波数調整部1608が調整可能な分解能は約9.54Hz(=10MHz/2^20)となる。なお、ここでは分数分周を実現するための概略を説明したが、実際には第1基準発振器4の後段にさらに整数分周器が設置される場合があり、またVCO1605と可変分周器1606の間にプリスケーラを挿入する場合が多い。また、分数分周を実現する方法としては他にも様々なものがあるが、本実施の構成は、後述する許容周波数変動量より小さい調整が可能であれば、第1シンセサイザ部1602の具体的構成に関わらず実施することができる。
このような第1シンセサイザ部1602を用いることにより、第1周波数調整部1608を動作させることに起因して発生する調整リップルをなくすと共に、調整ずれの発生頻度を抑制することが可能となる。前述の通り、第1周波数調整部1608を使用することにより、第2周波数調整部10の調整範囲を超えないようにすることができるが、第1周波数調整部1608は温度センサー部5の検出分解能が高々0.1℃となることに起因して、2.14kHz単位の調整リップルをもたらし、受信品質が劣化する。しかしながら、第1周波数調整部1608は0.1℃の温度変化を検出した場合に一度に2.14kHzの周波数調整を行わず、復調部11の復調処理に影響を与えない単位(以下、許容周波数変動量)で調整を行うことにより、受信品質の劣化を引き起こさず調整をすることが可能となる。ここで、許容周波数変動量は主として受信装置のドップラー耐性で規定される。一般に携帯電話やポータブルテレビなどは移動しながら受信するため、受信信号の受信レベルは時間変動するが、この時間変動は移動速度及び受信信号の周波数から定まるドップラー周波数と相関がある。受信装置が信号を正しく受信することができる最大のドップラー周波数をドップラー耐性と言う。例えば、ドップラー耐性が100Hzの場合、受信信号の周波数が100Hzで変動しても受信が可能である。これは、100Hzのドップラー周波数に対応する移動速度で受信可能なことを意味する。受信装置のドップラー耐性は主として復調部11の伝送路推定方法で決まる。
ここで、復調部11からみると、受信信号の周波数変動と、第1局部発振信号の周波数変動は等価である。つまり、第1周波数変換器2は受信信号と第1局部発振信号の周波数差を出力するため、第1局部発振信号の周波数変動も受信信号のドップラー周波数に起因する変動と同じように復調部11へ入力信号されるBB信号に周波数変動をもたらすこととなる。従って、復調部11が100Hzのドップラー耐性を有する場合は、第1局部発振信号の周波数変動が100Hz以内であれば受信可能である。
このように復調部11の許容周波数変動量は主としてドップラー耐性で規定され、第1周波数調整部1608はこの許容周波数変動量より小さい単位で分周比の制御を行うことにより、調整リップルをなくすことができる。ここで、許容周波数変動量より小さい単位の分周比制御を行うために、第1シンセサイザ部1602のような分数分周方式のPLLを用いることができる。上述の例では、20ビットのアキュムレータを用いることにより、約9.54Hzの単位で周波数調整を行うことができる。従って、復調部11の許容周波数変動量が100Hzである場合は、第1周波数調整部1608は分数分周比Fを10ずつ増やす、あるいは減ずるように設定すれば、局部発振信号は約95.4Hzずつ小さくなる、あるいは大きくなり、この周波数変動量は復調部11の許容周波数変動量より小さいので復調処理を行うことができる。
以下、制御部1609が第1周波数調整部1608を動作させることに起因して発生する調整ずれの発生頻度を抑制する方法について説明する。第2周波数調整部10はBB信号に基づいて周波数調整量を出力し、制御部1609はこの周波数調整量が閾値を超えたらイネーブル信号を出力する。また、第1周波数調整部1608はイネーブル信号が出力された場合に、温度センサー部5の温度検出結果に基づいて、第1シンセサイザ部1602の分数分周F及び整数分周Mを設定する。なお、制御部1609は、この際に第2周波数調整部10に対して所定値を出力してもよい。一方、制御部1609がイネーブル信号を出力していない時(ディセーブルの時)には、第1周波数調整部1608は温度センサー部5の温度検出結果に基づいて、復調部11の許容周波数変動量より小さい単位で第1シンセサイザ部1602の分数分周Fを設定する。具体的には、温度が0.1℃上昇した場合には、第1局部発振信号を約2.14kHzだけ小さくする必要があるが、分数分周Fを10ずつ増加することにより、第1局部発振信号を約95.4Hzずつ小さくする。従って、第1周波数調整部1608は所定の周期で23回(2.14kHz/95.4Hz)の分周比設定を行えば、復調処理を継続したまま、第1局部発振信号を2.14kHzだけ小さくすることができる。例えば、分周比の設定周期を10ミリ秒とすると、0.1℃の温度変化に起因する第1基準発振信号の周波数偏移を230ミリ秒で調整することができる(この場合の調整速度は0.43℃/秒となる)。図12を用いて説明した例では、第2周波数調整部10の周波数調整量が−700kHzを超えたときに第1周波数調整部1608が動作し、BB信号に調整ずれを生じたが、本実施の形態の方法を用いることにより、制御部1609の出力がディセーブルの場合であっても、第1周波数調整部1608は許容周波数変動量より小さい単位で第1局部発振信号を調整するので、温度変化率が0.43℃/秒以下の場合は、第2周波数調整部10の調整範囲を超えない。このように、温度変化率が所定値以下であれば、第2周波数調整部10と、許容周波数変動量以下で調整する第1周波数調整部1608を同時に実行することにより、分周比の大幅調整に起因するBB信号の調整ずれの発生を防ぐことができる。
(実施の形態6)
図17を用いて、本発明の実施の形態6を説明する。図17において、受信装置1701は、復調部1703が同期検出信号を出力し、第1周波数調整部1702は同期検出信号と、第2周波数調整部10が出力する周波数調整量が入力されている。
この構成において、周波数同期が取れている期間は、周波数偏差の検出分解能の高い第2周波数調整部10のみに基づいた周波数調整を行うことができる。具体的な実施形態を以下に説明する。
復調部1703は、BB信号に基づいて周波数同期を取った後に復調処理を行うが、周波数同期が取れている期間に同期検出信号を出力し、周波数同期が取れていない期間は同期検出信号を出力しない。第1周波数調整部1702は、同期検出信号が入力されている期間は、第2周波数調整部10から得られる周波数調整量に基づいて第1局部発振信号を調整し、同期検出信号が入力されていない期間は温度センサー部5の検出温度に基づいて第1局部発振信号を調整する。これにより、周波数同期が取れている期間は調整分解能を高くすることができ、また周波数同期が取れていない期間は温度センサーに基づいて周波数調整を行うことができる。
なお、復調部1703ではなく、第2周波数調整部10が同期検出信号を出力する構成としてもよい。