JP4997764B2 - 液体検出機能を備えた容器 - Google Patents

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Description

本発明は、特にインクジェット式記録装置等の液体噴射装置(または液体消費装置)に適用される液体検出機能(主にインク残量検出機能)付きの容器に関する。
従来の液体噴射装置の代表例としては、画像記録用のインクジェット式記録ヘッドを備えたインクジェット式記録装置がある。その他の液体噴射装置としては、例えば液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレイ、面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置等が挙げられる。
液体噴射装置の代表例であるインクジェット式記録装置においては、圧力発生室を加圧する圧力発生手段と加圧されたインクをインク滴として射出するノズル開口とを有するインクジェット記録ヘッドが、キャリッジに搭載されており、インク容器内のインクが流路を介して記録ヘッドに供給され続けることにより、印刷を継続可能に構成されている。インク容器は、例えばインクが消費された時点でユーザーが簡単に交換できる、着脱可能なカートリッジとして構成されている。
従来、インクカートリッジのインク消費の管理方法としては、記録ヘッドでのインク滴の射出数やメンテナンスにより吸引されたインク量をソフトウエアにより積算してインク消費を計算により管理する方法や、インクカートリッジに液面検出用の電極を取付けることにより実際にインクが所定量消費された時点を管理する方法などがある。
しかしながら、ソフトウェアによりインク滴の吐出数やインク量を積算してインク消費を計算上管理する方法には、次のような問題がある。ヘッドの中には吐出インク滴に重量バラツキを有するものがある。このインク滴の重量バラツキは画質には影響を与えないが、バラツキによるインク消費量の誤差が累積した場合を考慮して、マージンを持たせた量のインクをインクカートリッジに充填してある。従って、個体によってはマージン分だけインクが余るという問題が生ずる。
一方、電極によりインクが消費された時点を管理する方法は、インクの実量を検出できるので、インク残量を高い信頼性で管理できる。しかしながら、インクの液面の検出をインクの導電性に頼ることになるので、検出可能なインクの種類が限定されてしまったり、電極のシール構造が複雑化してしまうという欠点がある。また、電極の材料としては、通常は導電性が良く耐腐食性も高い貴金属が使用されるので、インクカートリッジの製造コストがかさむ。さらに、2本の電極を装着する必要があるため、製造工程が多くなり、結果として製造コストがかさんでしまう。
そこで、上記の課題を解決すべく開発された装置が、特許文献1に圧電装置(ここでは、センサユニットと言う)として開示されている。このセンサユニットは、圧電素子が積層された振動板に対向するキャビティの内部に、インクが存在する場合とインクが存在しない場合とで、強制振動後の振動板の残留振動(自由振動)に起因する残留振動信号の共振周波数が変化することを利用して、インクカートリッジ内のインク残量を監視するというものである。
特開2001−146030号公報
ところで、特許文献1に記載のセンサユニットを使用する場合、振動板に対向するキャビティまではインクが自由に入り込むようにしておく必要があるが、電気的な要素である圧電素子等を配置した側には、インクが侵入しないようにしておく必要があり、そのため、取り付けに当たっては隣接する部材間は厳密にシールしておかなければならない。
そのシール構造としては、センサユニットを容器本体の開口の周縁に直接接着する構造、あるいは、モジュールの開口の周縁に直接接着した上で、モジュールをOリングを介して容器本体に取り付ける構造が示されているが、いずれも開口の周縁にセンサユニットを接着しているので、寸法のバラツキがあると、シール性の確保が難しい。また、容器本体の開口の周縁やモジュールの開口の周縁に直接接着すると、インクの波動やインク中の気泡の影響を受けやすく、誤検出を起こす懸念もある。
また、この種のセンサを完成させる場合、多数の部品を適切に組み付けなくてはならないが、万一組み付けの向きが間違っていると、それだけで不良品となってしまい、歩留まりが悪化するという問題もあった。
本発明は、上記事情を考慮し、部品の寸法精度の影響をあまり受けずに、センサユニットを容器本体に取り付ける際のシールを簡単かつ確実に行うことができ、また、インクの波動やインク中の気泡の影響を受けにくく、しかも、組み付け性の改善により、歩留まりの向上と生産性の向上が図れるようにした液体検出機能を備えた容器を提供することを目的とする。
本発明は、内部に貯留した液体を外部に送出する送出通路を有する容器本体と、
前記送出流路の終端付近に位置させて前記容器本体に設けられたセンサ収容部と、
前記センサ収容部に装着された液体検出用のセンサユニットと、
前記容器本体に設けられ、センサ受壁を介して前記センサ収容部と隣接すると共に、前記送出通路の上流側と下流側にそれぞれ連通することで前記送出通路に直列に介在されたバッファ室と、
前記センサユニットと前記センサ受壁との間をシールする弾性を有したシール部材と、
前記センサユニットを前記センサ受壁に向けて押圧することで、前記シール部材を潰しながら、該シール部材とセンサユニット及びセンサ受壁との間に、シールに必要なだけの面圧を付与する押圧バネと、を具備し、
前記センサユニットは、
検出対象の液体を受け入れるセンサキャビティを有し、且つ、該センサキャビティの下面を液体の受け入れを可能とするために開放し、上面を振動板で塞いで、該振動板の上面に圧電素子を配した構成をなすセンサチップと、
該センサチップを載置固定する金属製のセンサベースと、
自身の上面の凹所に前記センサベースを載置固定すると共に、前記センサ収容部にセンサユニットを装着した際に、下面が前記センサ受壁に対面するユニットベースと、
該ユニットベースの上部に前記センサチップを覆うように載置固定され、前記押圧バネの押圧力を受けて前記ユニットベースにその力を伝える押さえカバーと、
前記ユニットベース上に載置固定され、前記センサチップの一対の電極に導通する一対の端子プレートと、
を有しており、
前記ユニットベースには、前記センサキャビティに連通する液溜まり空間が形成されると共に、
前記センサ受壁には、前記液溜まり空間と前記バッファ室を連通する流路が設けられ、
さらに、前記センサユニットと容器本体の間、前記センサベースとユニットベースの間、前記ユニットベースと端子プレートの間、前記ユニットベースと押さえカバーの間、の少なくとも1組の部品間に、適正な向きで部品を相互に組み付けようとした場合にのみ組み付けを可能とし、且つ、不適正な向きで部品を相互に組み付けようとした場合に、互いの干渉により組み付けを阻止する誤組付防止構造が設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、上記に記載の容器であって
前記センサユニットと容器本体の間に、センサユニットを容器本体のセンサ収容部に適正な向きで挿入しようとした場合に挿入を可能とし、且つ、不適正な向きで挿入しようとした場合に、センサユニットと容器本体の干渉により挿入を阻止する前記誤組付防止構造が設けられていてもよい。
また、この場合、該誤組付防止構造が、
前記センサユニットのセンサ収容部に対する挿入方向の両側面に突設されて、センサユニットをセンサ収容部に適正な向きで挿入しようとした場合に、傾斜壁で前記センサ収容凹部の両側壁を外側に押し広げながらセンサ収容部の奥に進むことができ、且つ、不適正な向きで挿入しようとした場合に、前記傾斜壁と反対側の端面壁がセンサ収容部の入口の周辺部に突き当たることで、センサユニットの挿入を阻止する係合爪と、
前記センサ収容部の両側壁に設けられ、適正な向きでセンサユニットがセンサ収容部の所定位置まで挿入された際に、過度の干渉を避けた状態で前記係合爪を受容する係合凹部と、で構成されていてもよい。
また、本発明は、上記に記載の容器であって
前記係合爪が、前記ユニットベースまたは前記押さえカバーの両側面に突設されていてもよい。
また、本発明は、上記に記載の容器であって
前記センサベースとユニットベースの間に、センサベースをユニットベースの上面の凹所に適正な向きで挿入しようとした場合に挿入を可能とし、且つ、不適正な向きで挿入しようとした場合に、センサベースとユニットベースの干渉により挿入を阻止する前記誤組付防止構造が設けられていてもよい。
また、この場合、該誤組付防止構造が、
前記センサベースの周縁に突設され、センサベースをユニットベースの上面の凹所に不適正な向きで挿入しようとした場合に、前記ユニットベースの凹所の周辺部と干渉することで凹所への前記センサベースの挿入を阻止する位置決め凸部と、
前記ユニットベースの凹所の周縁に形成され、前記センサベースをユニットベースの上面の凹所に適正な向きで挿入しようとした場合に、前記位置決め凸部を受容する位置決め凹部と、で構成されていてもよい
また、本発明は、上記に記載の容器であって
前記ユニットベースと端子プレートの間に、端子プレートをユニットベースの上面に適正な向きで組み付けようとした場合に組み付けを可能とし、且つ、不適正な向きで組み付けようとした場合に、端子プレートとユニットベースの干渉により組み付けを阻止する前記誤組付防止構造が設けられていてもよい。
また、この場合、前記端子プレートとして、2つの取付孔を有する一対の同一形状の端子プレートが使用され、
前記ユニットベースには、前記各端子プレートの2つの取付孔を嵌める4つの支持ピンが、仮想長方形の各頂点に位置させて突設され、
前記仮想長方形の縦に並ぶ前記支持ピンの間隔は前記端子プレートの2つの取付孔の間隔に同じで、且つ、横に並ぶ前記支持ピンの間隔は前記端子プレートの2つの取付孔の間隔と異なり、
前記縦と横に並ぶ方向の間隔を違えた支持ピンと、前記端子プレートの取付孔によって、前記誤組付防止構造が構成されていてもよい。
また、本発明は、上記に記載の容器であって
前記ユニットベースと押さえカバーの間に、押さえカバーをユニットベースに適正な向きで組み付けようとした場合に組み付けを可能とし、且つ、不適正な向きで組み付けようとした場合に、押さえカバーとユニットベースの干渉により組み付けを阻止する前記誤組付防止構造が設けられていてもよい。
また、この場合、該誤組付防止構造が、
前記押さえカバーの下面に突設され、押さえカバーをユニットベースの上面に不適正な向きで挿入しようとした場合に、ユニットベースの凹所の周辺部と干渉することによりユニットベースの上面への前記押さえカバーの組み付けを阻止する位置決め突起と、
前記ユニットベースの凹所の周縁に形成され、前記押さえカバーをユニットベースの上面に適正な向きで組み付けようとした場合に、前記位置決め突起を受容する位置決め凹部と、で構成されていてもよい。
本発明によれば、センサユニットとセンサ受壁との間に弾性を有する環状のシール部材を介在させ、センサユニットを押圧バネでセンサ受壁に向けて押圧することにより、シール部材を潰しながら、センサユニットとセンサ受壁との間をシールするようにしたので、予めセンサユニットを別に組み立て、後からそのセンサユニットを容器本体に装着する際の組み付けが、接着剤を使う場合と比べて簡単にできる。また、シール部材の弾性で部品間の寸法のバラツキを吸収できるから、簡単な組み付けで確実なシールを行うことができる。また、センサキャビティの前方(開放側)に、前記シール部材によってシールされた液溜まり空間を確保しているので、インクの波動やインク中の気泡の影響を受けにくい。
また、センサチップの上側に、センサチップを保護する押さえカバーを配設し、その押さえカバーを介してユニットベースに押圧バネの荷重を作用させるので、センサチップに悪影響を与えずに、必要なシール性能と振動性能を容易に確保することができる。
また、センサユニットと容器本体の間、センサベースとユニットベースの間、ユニットベースと端子プレートの間、ユニットベースと押さえカバーの間、の少なくとも1組の部品間に、誤組付防止構造を設けているので、部品を適正に組み付けることができて、組み付け時の煩雑さを改善することができ、その結果、歩留まりの向上と生産性の向上が図れる。
また、本発明によれば、不適正な向きでセンサユニットをセンサ収容部に挿入しようとすると、係合爪の端壁面がセンサ収容部の入口の周辺部に突き当たることで、センサユニットの挿入が阻止される。また、適正な向きでセンサユニットをセンサ収容部に挿入しようとすると、係合爪が、傾斜壁によってセンサ収容凹部の両側壁を外側に押し広げながらセンサ収容部の奥に進むことができるので、センサユニットの挿入が可能となる。しかも、適正な向きでセンサユニットがセンサ収容部の所定位置まで挿入された際には、過度の干渉を避けた状態で係合爪が係合凹部に受容される。従って、180°逆の向きで、センサユニットがセンサ収容部に挿入される間違いが未然に防止される。
この場合、係合爪をセンサユニットの両側部に設けると共に、係合凹部をセンサ収容部の両側壁に形成しているので、センサ収容部の奥壁の裏側に液体の貯留空間がある場合に、液体の貯留空間を縮小することなく、つまり、液体の貯留空間に影響を及ぼすことなく、誤組付防止機能を果たすことができる。
また、適正に組み付けた際に、係合凹部が係合爪に対し過度の干渉を避ける状態で嵌合するので、押圧バネによるシール部材の潰し状態に悪影響を与えることもなく、センサユニットの振動特性に無用な影響を与えずに済む。
また、本発明によれば、係合爪をユニットベースまたは押さえカバーの両側面に突設したので、センサチップに全く影響を与えずに、誤組付防止を図ることができる。
また、本発明によれば、不適正な向きでセンサベースをユニットベースの凹部に挿入しようとすると、位置決め凸部がユニットベースの凹部の周辺部に干渉することで、センサベースの挿入が阻止される。また、適正な向きでセンサベースをユニットベースの凹部に挿入しようとすると、位置決め凸部が位置決め凹部に受容されることにより、センサベースの挿入が可能となる。従って、ユニットベースに対して間違った向きでセンサベースが固定されることがなくなる。
また、本発明においては、端子プレートは、自身の2つの取付孔をユニットベース側の2つの支持ピンに嵌めることで、位置決めするようになっている。ここで、4つの支持ピンのうち隣り合う2つの支持ピンの間隔が縦方向にも横方向にも同じであると、端子プレートを90°回転させた向きで取り付けてしまうおそれがあるが、本発明では、隣り合う支持ピンの間隔を縦方向と横方向とで違えてあり、縦方向の間隔だけを端子プレートの取付孔の間隔に揃えてあるので、縦方向に並ぶ2つの支持ピンに対してのみ、端子プレートの2つの取付孔を嵌めることができる。つまり、端子プレートは、縦に並ぶピンには取り付けることができるが、横に並ぶピンには取り付けることができない。従って、取付方向の間違いを防止することができる。
また、本発明によれば、不適正な向きで押さえカバーをユニットベースの上面に組み付けようとすると、位置決め突起がユニットベースの凹部の周辺部に干渉することで、押さえカバーの組み付けが阻止される。また、適正な向きで押さえカバーをユニットベースに組み付けようとすると、位置決め突起が位置決め凹部に受容されることにより、押さえカバーの組み付けが可能となる。従って、ユニットベースに対して間違った向きで、押さえカバーが組み付けられることがない。
以下、本発明の実施形態の液体検出機能付きのインクカートリッジ(液体容器)について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態のインクカートリッジが使用されるインクジェット式記録装置(液体噴射装置)の概略構成を示す。図1中符号1はキャリッジであり、このキャリッジ1は、キャリッジモータ2により駆動されるタイミングベルト3を介して、ガイド部材4に案内されてプラテン5の軸方向に往復移動されるように構成されている。
キャリッジ1の記録用紙6に対向する側にはインクジェット式記録ヘッド12が搭載され、またその上部には記録ヘッド12にインクを供給するインクカートリッジ100が着脱可能に装着されている。
この記録装置の非印字領域であるホームポジション(図中、右側)にはキャップ部材13が配置されており、このキャップ部材13はキャリッジ1に搭載された記録ヘッド12がホームポジションに移動した時に、記録ヘッド12のノズル形成面に押し当てられてノズル形成面との間に密閉空間を形成するように構成されている。そして、キャップ部材13の下方には、キャップ部材13により形成された密閉空間に負圧を与えてクリーニング等を実施するためのポンプユニット10が配置されている。
また、キャップ部材13における印字領域側の近傍には、ゴムなどの弾性板を備えたワイピング手段11が記録ヘッド12の移動軌跡に対して例えば水平方向に進退できるように配置されていて、キャリッジ1がキャップ部材13側に往復移動するに際して、必要に応じて記録ヘッド12のノズル形成面を払拭することができるように構成されている。
図2は、インクカートリッジ100の概略構成を示す斜視図である。このインクカートリッジ100には、液体検出機能を果たす主要素であるセンサユニット200が内蔵されている。
インクカートリッジ100は、内部にインク貯留部(図示略)を備える樹脂製のカートリッジケース(容器本体)101と、カートリッジケース101の下端面を覆うように装着された樹脂製のカバー102とを有する。カバー102は、カートリッジケース101の下端面に貼られた各種の封止フィルムを保護するために設けられている。カートリッジケース101の下端面にはインク送出部103が突設され、インク送出部103の下端面には、インク送出口(液体の排出口、図示略)を保護するためのカバーフィルム104が貼られている。
また、カートリッジケース101の細幅の側面には、センサユニット200を収容するためのセンサ収容凹部(センサ収容部)110が設けられ、そのセンサ収容凹部110には、センサユニット200と圧縮コイルスプリング(押圧バネ)300とが収容されている。
この圧縮コイルスプリング(以下、単にスプリングという)300は、後述するが、センサユニット200を、センサ収容凹部110の内底部のセンサ受壁120(図7、図8参照)に押し付けてシールリング270を押し潰すことにより、センサユニット200とカートリッジケース101との間のシール性の確保を行うものである。
センサ収容凹部110は、カートリッジケース101の細幅の側面に開口しており、その側面の開口からセンサユニット200とスプリング300とが挿入されている。そして、センサ収容凹部110の側面の開口は、センサユニット200及びスプリング300を内部に収納した状態で、外側から基板500の付いた封止カバー400で塞がれている。
図3はセンサユニット200と、スプリング300と、封止カバー400と、基板500の各構成を示す分解斜視図である。また、図4はセンサユニット200の分解斜視図、図5は別の角度から見たセンサユニット200の分解斜視図、図6はセンサ収容凹部110にセンサユニット200とスプリング300を組み込んだ部分の正面図、図7は図6のVII−VII矢視断面図、図8はセンサ収容凹部110にセンサユニット200とスプリング300を組み込んだ部分の正面方向から見た断面図、図9は同部分の水平断面図である。また、図10はセンサユニットの主要部品の寸法関係の説明に用いる平面図、図11はセンサユニット200の要部の断面図、図12は図11のXII−XII矢視断面図である。
図7、図8に示すように、カートリッジケース101のセンサ収容凹部110の内底部には、センサユニット200の下端を受けるためのセンサ受壁120が設けられている。センサ受壁120は、その平坦な上面にセンサユニット200が載り、スプリング300の弾性力で、センサユニット200の下端のシールリング(環状のシール部材)270が圧接する部分である。
このセンサ受壁120の下側には、隔壁127(図8参照)を挟んで左右方向に互いに区分された上流側と下流側の一対のセンサバッファ室122、123が設けられ、センサ受壁120には、センサバッファ室122、123に対応させて一対の連通口(流路)132、133が設けられている。カートリッジケース101の内部には、図示しないが、貯留したインクを外部に送出するための送出流路が設けられており、その送出流路の終端付近(インク送出口付近)に位置させて、センサバッファ室122、123及びセンサユニット200が配設されている。
この場合、上流側センサバッファ室122は、連絡孔124を介して上流側の送出通路に連通され、下流側センサバッファ室123は、連絡孔125を介して、インク送出口に近い下流側の送出通路に連通されている。また、センサバッファ室122、123の下面は、剛性壁で封じられるのではなく開口しており、その開口は樹脂製の封止フィルム105によって覆われている。
センサユニット200は、図4、図5に示すように、上面に凹所211を有する樹脂製でプレート状のユニットベース210と、ユニットベース210の上面の凹所211に収容された金属製でプレート状のセンサベース220と、センサベース220の上面に載置固定されたセンサチップ230と、センサベース220とユニットベース210を固着する接着フィルム240と、ユニットベース210の上側に配された同形状の一対の端子プレート250と、端子プレート250の押さえカバー260と、ユニットベース210の下面に配されたゴム製のシールリング270と、から構成されている。
各部品の詳細を述べると、図5に示すように、ユニットベース210は、上面中央にセンサベース220の嵌まる凹所211を有すると共に、凹所211の周囲の上面壁214の外側に、上面壁214よりも一段高く設定された取付壁215を有する。取付壁215は凹所211を挟んで対向するように一対設けられており、取付壁215上に位置させて、ユニットベース210の上面の四隅には4つの支持ピン216が立設されている。
また、図4に示すように、凹所211の底壁には、円形の貫通孔よりなる入側流路212と出側流路213(液溜まり空間)が設けられている。また、ユニットベース210の下面には、シールリング270の嵌まる長円形の凸部217が設けられ、前記入側流路212と出側流路213はこの凸部217上に位置している。なお、シールリング270は、ゴム製のリングパッキンよりなり、下面に断面半円状の環状凸部を有している。
センサベース220は、センサの音響特性の向上を図る目的で、樹脂よりも剛性の高いステンレス等の金属プレートによって構成されている。センサベース220は、四つの角を面取りした矩形板状をなし、ユニットベース210の入側流路212及び出側流路213に対応した、2つの貫通孔よりなる入側流路222及び出側流路223(液溜まり空間)を有している。
このセンサベース220の上面には、例えば両面接着フィルムの貼り付けや接着剤の塗布などによって接着層242が形成されており、この接着層242の上に、センサチップ230が搭載され固着されている。
センサチップ230は、図7、図8、図11に示すように、検出対象のインク(液体)を受け入れるセンサキャビティ232を有しており、センサキャビティ232の下面をインクの受け入れを可能とするために開放し、上面を振動板233で塞いで、振動板233の上面に圧電素子234を配した構成をなしている。
具体的に述べると、図11、図12に示すように、センサチップ230は、円形開口よりなるセンサキャビティ232を中心に有するセラミック製のチップ本体231と、チップ本体231の上面に積層され、センサキャビティ232の底面壁を構成する振動板233と、振動板233の上に積層された圧電素子234と、チップ本体231の上に積層された電極235、236とで構成されている。
センサチップ230のチップ本体231は、センサベース220側の第1層231Aと振動板233側の第2層231Bの2層構造とされ、第1層231Aに、上流側及び下流側の流路の一部をなす2つの円形の孔231hが設けられ、第2層231Bにのみセンサキャビティ232が形成されている。この場合、第2層231Bのセンサキャビティ232は、第1層231Aの2つの孔231hを含むように長円形に形成されている。また、第1層231Aの孔231hは、センサベース220の入側流路222と出側流路223に重なるように形成されている。
圧電素子234は、具体的に図示しないが、前記各電極235、236に接続された上下の電極層と、上下の電極層の間に積層された圧電層とからなるものであり、例えば、センサキャビティ232内のインクの有無による電気特性の違いでインクエンドを判断する機能を果たす。圧電層の材料としては、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)、または、鉛を使用しない鉛レス圧電膜、等を用いることができる。
センサチップ230は、チップ本体231の下面をセンサベース220の上面中央部に載せることにより、前記接着層242によってセンサベース220に一体に固着されており、その接着層242によって同時に、センサベース220とセンサチップ230間がシールされている。そして、センサベース220及びユニットベース210の入側流路222、212と出側流路223、213(液溜まり空間)は、センサチップ230のセンサキャビティ232に連通している。この構成により、インクは、入側流路212、222を介してセンサキャビティ232に入り、出側流路223、213を介してセンサキャビティ232から排出されるようになる。
このようにセンサチップ230が搭載された金属製のセンサベース220は、ユニットベース210の上面の凹所211に収容されている。そして、その上から樹脂製の接着フィルム240を被せることにより、センサベース220とユニットベース210が一体に接着されている。
即ち、接着フィルム240は、中央に開口241を有しており、センサベース220をユニットベース210の上面の凹所211に収容した状態でその上から被せることにより、中央の開口241からセンサチップ230を露出させている。また、接着フィルム240の内周側を、センサベース220の上面に接着層242を介して接着させ、且つ、外周側をユニットベース210の凹所211の周囲の上面壁214に接着させることにより、つまり、接着フィルム240を2部品(センサベース220とユニットベース210)の上面に跨って貼り付けることにより、センサベース220とユニットベース210間を互いに固着すると同時にシールしている。
この場合、センサベース220の上面は、ユニットベース210の凹所211より上側に突出しており、接着フィルム240は、ユニットベース210の凹所211の周囲の上面壁214に対する接着位置よりも高い位置で、センサベース220の上面に接着されている。このように、センサベース220に対するフィルム接着面の高さを、ユニットベース210に対するフィルム接着面の高さよりも上の位置に設定したことにより、段差をもってセンサベース220を接着フィルム240で押え付けることができ、ユニットベース210に対するセンサベース220の固着力の強化を図ることができる。また、ガタツキのない取付も可能となる。
また、各端子プレート250は、図4、図5に示すように、帯状の基板部251と、基板部251の側縁に突設されたバネ片252と、基板部251の両側に形成された取付孔253と、基板部251の両端に形成された折曲片254とを有するもので、それぞれ取付孔253に支持ピン216を通して位置決めした状態で、ユニットベース210の取付壁215の上面に配置されている。
そして、その上から押さえカバー260を載せることで、端子プレート250はユニットベース210と押さえカバー260とにより挟持され、その状態で、各バネ片252が、センサチップ230の上面の電極235、236に接触導通している。なお、この押さえカバー260は、端子プレート250を挟みながらユニットベース210の取付壁215の上面に載る平板枠状のものである。
押さえカバー260は、端子プレート250の基板部251を挟みながらユニットベース210の取付壁215の上面に載る平板部261と、平板部261の四隅に配され、ユニットベース210の支持ピン216に嵌まる4つの取付孔262と、平板部261の中央上面に設けられた立壁263と、立壁263に設けられたスプリング受座264と、平板部261の下面に設けられ、端子プレート250のバネ片252の逃げを作る凹部265とを有し、端子プレート250を上から押さえ付けながらユニットベース210の上面に載せられることで、ユニットベース210の上面の凹所211に収容されたセンサプレート220及びセンサチップ230を保護している。
以上の部品によりセンサユニット200を組み立てるには、まず、センサベース220の上面全面に接着層242を形成し、その接着層242の上にセンサチップ230を載置することで、センサチップ230とセンサベース220間を接着層242によって一体に固着すると共にシールする。
次いで、そのセンサチップ230と一体になったセンサベース220を、ユニットベース210の上面の凹所211に収容し、その状態で、上方から接着フィルム240を被せることで、接着フィルム240の内周側をセンサベース220の上面に接着層242を介して接着させ、外周側をユニットベース210の凹所211の周囲の上面壁214に接着させる。それにより、センサベース220とユニットベース210間を、接着フィルム240によって一体に固着すると共にシールすることができる。
次に、端子プレート250を、取付孔253をユニットベース210の支持ピン216に嵌めながら、ユニットベース210の上に配設し、その上から押さえカバー260を配置する。また、任意の段階で、ユニットベース210の下面の凸部217にシールリング270を嵌めておく。以上により、センサユニット200を組み立てることができる。
センサユニット200は、以上のように構成されており、カートリッジケース100のセンサ収容凹所110に、圧縮状態にされたスプリング300と一緒に収容されている。そして収容された状態で、スプリング300が押さえカバー260を下向きに押圧することにより、ユニットベース210の下面に設けたシールリング270が潰れながら、センサ収容凹所110内のセンサ受壁120に圧接し、これにより、センサユニット200とカートリッジケース101の間のシール性が確保されている。
このような組み付けが行われることにより、シール性が確保された条件の下で、カートリッジケース101内の上流側バッファ室122が、センサ受壁120の連通孔132を介してセンサユニット200内の入側流路212、222に連通され、カートリッジケース101内の下流側バッファ室123が、センサ受壁120の連通孔133を介してセンサユニット200内の出側流路213、223に連通される。そして、入側流路212、222、センサキャビティ232、出側流路213、223は、この順に上流側から並ぶように、カートリッジケース101内の送出流路に直列に介在することになる。
ここで、センサキャビティ232につながる上流側の流路は、流路断面の大きな上流側バッファ室122、連通口132、及び、流路断面の小さなセンサユニット200内の入側流路212、222(上流側狭小流路)で構成される。また、センサキャビティ232につながる下流側の流路は、流路断面の大きな下流側バッファ室123、連通口133、及び、流路断面の小さなセンサユニット200内の出側流路213、223(下流側狭小流路)で構成される。
従って、送出通路の上流側から流れてきたインクは、導入孔124から上流側バッファ室122に流れ込み、上流側連通路(連通口132、入側流路212、222)を介してセンサキャビティ232に入り、次いで、センサキャビティ232から下流側連通路(出側流路223、213)及び下流側バッファ室123を通って、導出孔125から送出通路の下流側に排出されることになる。
なお、センサキャビティ232につながる流路のうち、バッファ室122、123に比較して流路断面の小さな連通路(連通口132、133、入側流路212、222、213、223)は、狭隘流路となっている。
また、センサ収容凹所110の側面開口を塞ぐ封止カバー400は、図3に示すように、板状のカバー本体401の外面に回路基板500の嵌まる凹部402を設け、その凹部402の底壁に、各端子プレート250の折曲片254の露出する2つの開口403と、回路基板500の位置決め用のピン406、407とを設け、更にカバー本体401の内面に、センサ収容凹所110内の所定部位に係止する係止爪405を突設した構成を有しており、センサユニット200及びスプリング300をセンサ収容凹所110の内部に収容した状態で、カートリッジケース101に取り付けられている。この状態で、封止カバー400の凹部402に基板500を取り付けることにより、基板500の所定の接点501と端子プレート250とが接触導通する。なお、基板500には、位置決め用のピン406、407と係合する切欠506や孔507が設けられている。
次に、センサユニット200とカートリッジケース101の間、センサベース220とユニットベース210の間、ユニットベース210と端子プレート250の間、ユニットベース210と押さえカバー260の間に設けられた誤組付防止構造について説明する。
誤組付防止構造とは、前記の組をなす部品間において、適正な向きで部品を相互に組み付けようとした場合にのみ組み付けを可能とし、且つ、不適正な向きで部品を相互に組み付けようとした場合に、互いの干渉により組み付けを阻止するための構造である。
まず、センサユニット200とカートリッジケース101の間には、センサユニット200をカートリッジケース101のセンサ収容凹部110に適正な向きで挿入しようとした場合に挿入を可能とし、且つ、不適正な向き(180°逆の向き)で挿入しようとした場合に、センサユニット200とカートリッジケース101の干渉により挿入を阻止する誤組付防止構造として、図9に示すように、押さえカバー260に係合爪267、センサ収容凹部110の左右両側壁に係合凹部110kが設けられている。
即ち、係合爪267は、センサユニット200を構成する1部品である押さえカバー260のセンサ収容部に対する挿入方向の左右両側面に突設されており、センサユニット200をセンサ収容凹部110に適正な向きで挿入しようとした場合には、傾斜壁267aでセンサ収容凹部110の両側壁を外側に押し広げながらセンサ収容凹部の奥に進むことができ、且つ、不適正な向きで挿入しようとした場合には、傾斜壁267aと反対側の端面壁267bがセンサ収容凹部110の入口の周辺部に突き当たることで、センサユニット200の挿入を阻止するように構成されている。また、係合凹部110kは、センサ収容凹部110の左右両側壁に設けられ、適正な向きでセンサユニット200がセンサ収容凹部110の所定位置まで挿入された際に、過度の干渉を避けた状態で(つまり、強く当たることなく)、前記係合爪267を受容することができるように構成されている。
このように、センサユニット200側に係合爪267を設け、カートリッジケース101側に係合凹部110kを設けた場合、不適正な向きでセンサユニット200をセンサ収容凹部110に挿入しようとすると、係合爪267の端壁面267bがセンサ収容凹部110の入口の周辺部に突き当たることで、センサユニット200の挿入が阻止される。また、適正な向きでセンサユニット200をセンサ収容凹部110に挿入しようとすると、係合爪267が、傾斜壁267aによってセンサ収容凹部0の両側壁を外側に押し広げながらセンサ収容部110の奥に進むことができるので、センサユニット200の挿入が可能となる。しかも、適正な向きでセンサユニット200がセンサ収容凹部110の所定位置まで挿入された際には、過度の干渉を避けた状態で、係合爪267が係合凹部110kに受容される。
従って、180°逆の向きで、センサユニット200がセンサ収容凹部に組み付けられる間違いを未然に防止することができる。この場合、係合爪267をセンサユニット200の左右両側部に設けると共に、係合凹部110kをセンサ収容凹部110の左右両側壁に形成しているので、センサ収容凹部110の奥壁の裏側にインク貯留空間がある場合にも、液体の貯留空間を犠牲にすることなく、つまり、インクの貯留空間に影響を及ぼすことなく、誤組付防止を図ることができる。
因みに、誤組付防止構造の他の例として、センサユニット200の挿入方向の奥端に係合突起を設け、相手側であるセンサ収容凹部110の奥壁に係合突起を受容する係合凹部を設けることが考えられる。その場合は、センサユニット200を逆向きに挿入した場合、係合突起が手前にあることによって、封止カバー400が正常に閉まらなくなり、そのことによって、挿入向きが逆だと判断することができる。しかしながら、センサ収容凹部110の奥壁に係合凹部を設けると、奥壁の裏側に存在するインク貯留部の容積減少につながる可能性があり、好ましいとは言えない。
また、反対に、センサ収容凹部110側に係合突起を設け、センサユニット200側にその係合突起を受容する係合凹部を設けることも考えられる。しかしながら、その案は、センサユニット200にスペース的な余裕がないことから、実現は難しいと言える。
それに対し、本実施形態のように、センサユニット200の両側面に係合爪267を突設し、センサ収容凹部110の両側壁に、係合爪267を受容する係合凹部110kを形成した場合は、前述のように、係合凹部110kがインク貯留部の容積減少の原因とならない等の点で、有利であると言える。
また、適正に組み付けた際に、係合凹部110kが係合爪267に対し過度の干渉を避ける状態で嵌合するので、押圧バネ300によるシールリング270の潰し状態に悪影響を与えることもなく、センサユニット200の振動特性に無用な影響を与えずに済む。
過度の干渉を避ける状態に嵌合する方法としては、係合凹部110kを、シールリング270の潰し高さを考慮して十分に大きく形成すればよい。あるいは、センサユニット200を組み付けた時点で、シールリング270がセンサ受壁120と過剰に干渉しないように、係合凹部110kを、係止爪267が最終的に納まる位置よりも上側に余裕を持たせて大きく明けておけばよい。
なお、図13の実施形態のように、係合爪267を、押さえカバー260ではなく、ユニットベース210の左右両側面に突設しても、同様のセンサユニット200の誤組付防止効果を得ることができる。
次に、図5と図10を用いて、センサベース220とユニットベース210の間に設けた誤組付防止構造について説明する。この誤組付防止構造は、センサベース220をユニットベース210の上面の凹所211に適正な向きで挿入しようとした場合に挿入を可能とし、且つ、不適正な向きで挿入しようとした場合に、センサベース220とユニットベース210の干渉により挿入を阻止するものである。
この誤組付防止構造は、センサベース220の周縁に突設され、センサベース220をユニットベース210の上面の凹所211に不適正な向きで挿入しようとした場合に、ユニットベース210の凹所211の周辺部と干渉することで凹所211へのセンサベース220の挿入を阻止する位置決め凸部227と、ユニットベース210の凹所211の周縁に形成され、センサベース220をユニットベース210の上面の凹所211に適正な向きで挿入しようとした場合に、センサベース220の位置決め凸部227を受容する位置決め凹部217と、で構成されている。
このように、センサベース220側に位置決め凸部227を設け、ユニットベース210側に位置決め凹部217を設けた場合、不適正な向きでセンサベース220をユニットベース210の凹部211に挿入しようとすると、位置決め凸部227がユニットベース210の凹部211の周辺部に干渉することで、センサベース220の挿入が阻止される。また、適正な向きでセンサベース220をユニットベース210の凹部211に挿入しようとすると、位置決め凸部227が位置決め凹部217に受容されることにより、センサベース220の挿入が可能となる。従って、ユニットベース210に対して間違った向きでセンサベース220を固定することが確実になくなる。
次に、図10を用いて、ユニットベース210と端子プレート250の間に設けた誤組付防止構造について説明する。この誤組付防止構造は、ユニットベース210側の支持ピン216と、端子プレート250側の取付孔253とによって構成されたもので、端子プレート250をユニットベース210の上面に適正な向きで組み付けようとした場合に組み付けを可能とし、且つ、不適正な向きで組み付けようとした場合に、端子プレート250とユニットベース210の支持ピン216干渉により組み付けを阻止するものである。
端子プレート250としては、前述したように、2つの取付孔253を有する一対の同一形状の端子プレート250が使用されている。ユニットベース210の上面には、各端子プレート250の2つの取付孔253を嵌める4つの支持ピン216が、仮想長方形の各頂点に位置させて突設されている。
そして、この場合、仮想長方形の縦に並ぶ支持ピン216の間隔は、端子プレート250の2つの取付孔253の間隔bに同じで、且つ、横に並ぶ支持ピン216の間隔は、端子プレート250の2つの取付孔253の間隔bと異なる値aに設定されている。
このように設定してあることで、次の効果を得ることができる。
例えば、4つの支持ピン216のうち隣り合う2つの支持ピン216の間隔が縦方向にも横方向にも同じであると、端子プレート250を、90°回転させた向きで取り付けてしまうおそれがあるが、前記のように、隣り合う支持ピン216の間隔を縦方向と横方向とで違えてあり、縦方向の間隔だけを端子プレート250の取付孔253の間隔bに揃えてある場合、縦方向に並ぶ2つの支持ピン216に対してのみ、端子プレート250の2つの取付孔253を嵌めることができる。つまり、端子プレート250は、縦に並ぶ支持ピン216には取り付けることができるが、横に並ぶ支持ピン216には取り付けることができない。従って、取付方向の間違いを防止することができる。
次に、図4、図5及び図10を用いて、ユニットベース210と押さえカバー260の間に設けた誤組付防止構造について説明する。この誤組付防止構造は、押さえカバー260をユニットベース210に適正な向きで組み付けようとした場合に組み付けを可能とし、且つ、不適正な向きで組み付けようとした場合に、押さえカバー260とユニットベース210の干渉により組み付けを阻止するものである。
この誤組付防止構造は、押さえカバー260の下面に突設され、押さえカバー260をユニットベース210の上面に不適正な向きで挿入しようとした場合に、ユニットベース210の凹所217の周辺部と干渉することによりユニットベース210の上面への押さえカバー260の組み付けを阻止する位置決め突起268と、ユニットベース210の凹所211の周縁に形成され、押さえカバー260をユニットベース210の上面に適正な向きで組み付けようとした場合に、押さえカバー260の下面の位置決め突起268を受容する位置決め凹部218と、で構成されている。
このように、押さえカバー260の下面に位置決め突起268を設け、ユニットベース210側に位置決め凹部218を設けた場合、不適正な向き(180°逆向き)で押さえカバー260をユニットベース210に組み付けようとすると、位置決め突起268がユニットベース210の凹部211の周辺部に干渉することで、押下部カバー260の組み付けが阻止される。また、適正な向きで押さえカバー260をユニットベース210に組み付けようとすると、位置決め突起268が位置決め凹部218に受容されることにより、押さえカバー260の組み付けが可能となる。従って、ユニットベース210に対して間違った向きで押さえカバー260を固定することが確実になくなる。
次に、センサユニット200によるインクの検出原理について説明する。
インクカートリッジ101内のインクが消費される際には、貯留されたインクは、センサユニット200のセンサキャビティ232を経由して、インク送出部103からインクジェット式記録装置の記録ヘッド12へ送られる。
この際、インクカートリッジ100内にインクが十分に残っている段階では、センサキャビティ232内はインクで満たされている。一方、インクカートリッジ100内のインク残量が少なくなると、センサキャビティ232内にインクが存在しない状態となる。
そこで、センサユニット200は、この状態の変化に起因する音響インピーダンスの相違を検出する。それによって、インクが十分に残っている状態であるか、あるいは、ある一定以上のインクが消費されて残量が少なくなった状態であるか、を検知することができる。
具体的には、圧電素子234に電圧を印加すると、圧電素子234の変形に伴い振動板233が変形する。圧電素子234を強制的に変形させた後、電圧の印加を解除すると、しばらくは、たわみ振動が振動板233に残留する。この残留振動は、振動板233とキャビティ232内の媒体との自由振動である。従って、圧電素子234に印加する電圧をパルス波形あるいは矩形波とすることで、電圧を印加した後の振動板233と媒体との共振状態を容易に得ることができる。
この残留振動は、振動板233の振動であり、圧電素子234の変形を伴う。このため、残留振動に伴って圧電素子7は逆起電力を発生する。この逆起電力は、端子プレート250を介して外部で検出される。
このようにして検出された逆起電力によって共振周波数が特定できるので、この共振周波数に基づいてインクカートリッジ100内のインクの有無を検出することができる。
以上の実施形態によれば、センサユニット200とセンサ受壁120との間に弾性を有するシールリング270を介在させ、センサユニット200をスプリング300でセンサ受壁120に向けて押圧することにより、シールリング270を潰しながら、センサユニット200とセンサ受壁120との間をシールするようにしているので、予めセンサユニット200を別に組み立て、後からそのセンサユニット200をカートリッジケース101に装着するという組み立て手順を採用することができ、その際の組み付けが、接着剤を使う場合と比べて簡単にできる。
また、シールリング270の弾性でセンサユニット200とセンサ受壁120間の寸法のバラツキを吸収できるから、簡単な組み付けで確実なシールを行うことができる。また、センサキャビティ232の前方(開放側)に、シールリング270によってシールされた液溜まり空間(入側流路212、222、出側流路213、223)を確保しているので、インクの波動やインク中の気泡の影響を受けにくい。
また、センサチップ230の上側に、センサチップ230を保護する押さえカバー260を配設し、その押さえカバー260を介してユニットベース210に押圧バネ300の荷重を作用させるので、センサチップ230に悪影響を与えずに、必要なシール性能と振動性能を容易に確保することができる。
また、センサユニット200とカートリッジケース101の間、センサベース220とユニットベース210の間、ユニットベース210と端子プレート250の間、ユニットベース210と押さえカバー260の間に、誤組付防止構造を設けているので、部品を適正に組み付けることができて、組み付け時の煩雑さを改善することができ、その結果、歩留まりの向上と生産性の向上が図れる。
また、スプリング300は、センサ収容部110の中に圧縮しながら収容するだけでよいので、センサユニット200と一緒に組み込みやすい。
また、ユニットベース210に対して、上方から、センサチップ230を搭載したセンサベース220を組み込み、その状態で、並んだ2部品の上面と上面、つまり、センサベース220とユニットベース210の両上面に跨って接着フィルム240を貼り付けるだけで、異なる材料でできた2部品(金属製のセンサベース220と樹脂製のユニットベース210)間の固着とシールを同時に行うことができる。従って、組立作業性がきわめてよい。また、接着フィルム240を2部品に跨って貼るだけであるから、各部品の寸法精度の影響をあまり受けずに、部品間のシールを行うことができる。また、例えば接着フィルム240を量産機械によって加熱・加圧して溶着する場合には、量産機械による温度と圧力を管理するだけで、シール性能を高めることができるので、量産時の安定化を図ることができる。さらに、シール性を左右する接着フィルム240は、装着が容易である上にスペース効率がよいため、センサユニット200の小型化が図れる。
また、センサベース220及びユニットベース210に、センサキャビティ232に対する入側流路212、222及び出側流路213、223をそれぞれ形成し、インクが入側流路212、222を介してセンサキャビティ232に流れ込み、出側流路213、223を介して排出されるように構成しているので、あくまでセンサキャビティ232をインクが流れるようになり、センサキャビティ232に液体や気泡が滞留することによる誤検出を防止することができる。
また、ユニットベース210に対する接着フィルム240の接着面の高さを、センサベース220に対する接着面の高さよりも下の位置に設定しているので、段差をもってセンサベース220を接着フィルム240で押え付けることができ、ユニットベース210に対するセンサベース220の固着力の強化を図ることができる。また、ガタツキのない取付が可能となる。
また、カートリッジケース101内の送出流路の終端付近にセンサユニット200を配置し、センサユニット200の入側流路212、222、センサキャビティ232、出側流路213、223が、この順に上流側から並ぶように送出流路に直列に介在されているので、インクカートリッジ100内の残液量を正確に検出することができる。
本発明の実施形態のインクカートリッジ(容器)が使用されるインクジェット式記録装置(液体噴射装置)の概略構成を示す斜視図である。 本発明に実施形態のインクカートリッジの概略構成を示す分解斜視図である。 本発明に実施形態のインクカートリッジの概略構成図で、センサユニットと、スプリングと、封止カバーと、回路基板の各構成を示す分解斜視図である。 同インクカートリッジにおけるセンサユニットの分解斜視図である。 図4と別の角度から見たセンサユニットの分解斜視図である。 同実施形態において、センサ収容凹部にセンサユニットとスプリングを組み込んだ部分の正面図である。 図6のVII−VII矢視断面図である。 前記センサ収容凹部にセンサユニットとスプリングを組み込んだ部分の正面方向から見た断面図である。 図8と同じ部分の水平断面図である。 前記センサユニットの主要部品の寸法関係の説明に用いる図で、(a)は端子プレート、(b)はユニットベース及びセンサベースの平面図である。 前記センサユニットの要部の断面図である。 図11のXII−XII矢視断面図である。 本発明の実施形態の変形例を示す図8と同様の図である。
符号の説明
100 インクカートリッジ(容器)
101 カートリッジケース(容器本体)
110 センサ収容凹部(センサ収容部)
110k 係合凹部
120 センサ受壁
122 上流側センサバッファ室
123 下流側センサバッファ室
200 センサユニット
210 ユニットベース
211 凹所
212 入側流路(液溜まり空間)
213 出側流路(液溜まり空間)
216 支持ピン
217 凸部
218 位置決め凹部
220 センサベース
222 入側流路(液溜まり空間)
223 出側流路(液溜まり空間)
227 位置決め凸部
230 センサチップ
232 センサキャビティ
233 振動板
234 圧電素子
235,236 電極
250 端子プレート
253 取付孔
260 押さえカバー
267 係合爪
267a 傾斜壁
267b 端面壁
268 位置決め突起
270 シールリング(シール部材)
300 圧縮コイルスプリング(押圧バネ)

Claims (10)

  1. 内部に貯留した液体を外部に送出する送出通路を有する容器本体と、
    前記送出通路の終端付近に位置させて前記容器本体に設けられたセンサ収容部と、
    前記センサ収容部に装着された液体検出用のセンサユニットと、
    前記容器本体に設けられ、センサ受壁を介して前記センサ収容部と隣接すると共に、前
    記送出通路の上流側と下流側にそれぞれ連通することで前記送出通路に直列に介在された
    バッファ室と、
    前記センサユニットと前記センサ受壁との間をシールする弾性を有したシール部材と、
    前記センサユニットを前記センサ受壁に向けて押圧することで、前記シール部材を潰し
    ながら、該シール部材とセンサユニット及びセンサ受壁との間に、シールに必要なだけの
    面圧を付与する押圧バネと、を具備し、
    前記センサユニットは、
    検出対象の液体を受け入れるセンサキャビティを有し、且つ、該センサキャビティの下
    面を液体の受け入れを可能とするために開放し、上面を振動板で塞いで、該振動板の上面
    に圧電素子を配した構成をなすセンサチップと、
    該センサチップを載置固定する金属製のセンサベースと、
    自身の上面の凹所に前記センサベースを載置固定すると共に、前記センサ収容部にセン
    サユニットを装着した際に、下面が前記センサ受壁に対面するユニットベースと、
    該ユニットベースの上部に前記センサチップを覆うように載置固定され、前記押圧バネ
    の押圧力を受けて前記ユニットベースにその力を伝える押さえカバーと、
    前記ユニットベース上に載置固定され、前記センサチップの一対の電極に導通する一対
    の端子プレートと、を有しており、
    前記ユニットベースには、前記センサキャビティに連通する液溜まり空間が形成される
    と共に、
    前記センサ受壁には、前記液溜まり空間と前記バッファ室を連通する流路が設けられ、
    さらに、前記センサユニットと容器本体の間、前記センサベースとユニットベースの間
    、前記ユニットベースと端子プレートの間、前記ユニットベースと押さえカバーの間、の
    少なくとも1組の部品間に、適正な向きで部品を相互に組み付けようとした場合にのみ組
    み付けを可能とし、且つ、不適正な向きで部品を相互に組み付けようとした場合に、互い
    の干渉により組み付けを阻止する誤組付防止構造が設けられていることを特徴とする容器
  2. 請求項1に記載の容器であって、
    前記センサユニットと容器本体の間に、前記センサユニットを容器本体のセンサ収容部
    に適正な向きで挿入しようとした場合に挿入を可能とし、且つ、不適正な向きで挿入しよ
    うとした場合に、センサユニットと容器本体の干渉により挿入を阻止する前記誤組付防止
    構造が設けられていることを特徴とする容器。
  3. 請求項2に記載の容器であって、
    前記誤組付防止構造は、前記センサユニットのセンサ収容部に対する挿入方向の両側面
    に突設されて、センサユニットをセンサ収容部に適正な向きで挿入しようとした場合に、
    傾斜壁で前記センサ収容凹部の両側壁を外側に押し広げながらセンサ収容部の奥に進むこ
    とができ、且つ、不適正な向きで挿入しようとした場合に、前記傾斜壁と反対側の端面壁
    がセンサ収容部の入口の周辺部に突き当たることで、センサユニットの挿入を阻止する係
    合爪と、
    前記センサ収容部の両側壁に設けられ、適正な向きでセンサユニットがセンサ収容部の
    所定位置まで挿入された際に、過度の干渉を避けた状態で前記係合爪を受容する係合凹部
    と、で構成されていることを特徴とする容器。
  4. 請求項3に記載の容器であって、
    前記係合爪が、前記ユニットベースまたは前記押さえカバーの両側面に突設されている
    ことを特徴とする容器。
  5. 請求項1〜4の何れか一つに記載の容器であって、
    前記センサベースとユニットベースの間に、センサベースをユニットベースの上面の凹
    所に適正な向きで挿入しようとした場合に挿入を可能とし、且つ、不適正な向きで挿入し
    ようとした場合に、センサベースとユニットベースの干渉により挿入を阻止する前記誤組
    付防止構造が設けられていることを特徴とする容器。
  6. 請求項5に記載の容器であって、
    前記誤組付防止構造は、前記センサベースの周縁に突設され、センサベースをユニット
    ベースの上面の凹所に不適正な向きで挿入しようとした場合に、前記ユニットベースの凹
    所の周辺部と干渉することで凹所への前記センサベースの挿入を阻止する位置決め凸部と

    前記ユニットベースの凹所の周縁に形成され、前記センサベースをユニットベースの上
    面の凹所に適正な向きで挿入しようとした場合に、前記位置決め凸部を受容する位置決め
    凹部とで構成されていることを特徴とする容器。
  7. 請求項1〜6の何れか一つに記載の容器であって、
    前記ユニットベースと端子プレートの間に、端子プレートをユニットベースの上面に適
    正な向きで組み付けようとした場合に組み付けを可能とし、且つ、不適正な向きで組み付
    けようとした場合に、端子プレートとユニットベースの干渉により組み付けを阻止する前
    記誤組付防止構造が設けられていることを特徴とする容器。
  8. 請求項7に記載の容器であって、
    前記端子プレートとして、2つの取付孔を有する一対の同一形状の端子プレートが使用
    され、
    前記ユニットベースには、前記各端子プレートの2つの取付孔を嵌める4つの支持ピン
    が、仮想長方形の各頂点に位置させて突設され、
    前記仮想長方形の縦に並ぶ前記支持ピンの間隔は前記端子プレートの2つの取付孔の間
    隔に同じで、且つ、横に並ぶ前記支持ピンの間隔は前記端子プレートの2つの取付孔の間
    隔と異なり、
    前記縦と横に並ぶ方向の間隔を違えた支持ピンと、前記端子プレートの取付孔によって
    、前記誤組付防止構造が構成されていることを特徴とする容器。
  9. 請求項1〜8の何れか一つに記載の容器であって、
    前記ユニットベースと押さえカバーの間に、押さえカバーをユニットベースに適正な向
    きで組み付けようとした場合に組み付けを可能とし、且つ、不適正な向きで組み付けよう
    とした場合に、押さえカバーとユニットベースの干渉により組み付けを阻止する前記誤組
    付防止構造が設けられていることを特徴とする容器。
  10. 請求項9に記載の容器であって、
    前記誤組付防止構造は、前記押さえカバーの下面に突設され、押さえカバーをユニット
    ベースの上面に不適正な向きで挿入しようとした場合に、ユニットベースの凹所の周辺部
    と干渉することによりユニットベースの上面への前記押さえカバーの組み付けを阻止する
    位置決め突起と、
    前記ユニットベースの凹所の周縁に形成され、前記押さえカバーをユニットベースの上
    面に適正な向きで組み付けようとした場合に、前記位置決め突起を受容する位置決め凹部
    と、によって構成されていることを特徴とする容器。
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