JP4997131B2 - 壁構造体および壁の施工方法 - Google Patents
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一方、モルタル等を用いずにブロック同士を金属製の枠材(支柱枠および介設枠)で連結する乾式工法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された壁構造体では、ブロックの上下面と左右側面とに溝状の係合部を形成しておき、上下のブロックの係合部に渡って介設枠を配置して上下のブロック同士を連結し、左右のブロックの係合部に渡って支柱枠を配置して左右のブロック同士を連結するように構成されている。
また、従来の壁構造体では、最下段のブロックを地中に埋設して基礎に固定し、この基礎から立ち上がる片持ち状の構造であるため、最下段のブロックを地表面よりも上方に設置する構造にできない。このため、塀や垣等に利用する場合の設置計画上の制約を受け、設計自由度が高められないという問題もある。
さらに、ブロック材を湿式工法で固定しなくてもよいことから、上枠材や下枠材、横材および縦材を分解することで、壁構造体を容易に解体することができるとともに、解体した各部材を再び組み立てることで壁構造体を再構築することができ、ブロック材や支持体の再利用が可能になり、資源の節約を図ることができる。
また、支持材間に架設した下枠材の上側に最下段のブロック材を支持させたことで、下枠材の架設高さを地表面よりも上方に設けるなど、ブロック材の設置高さが任意に設定可能になる。従って、壁構造体の設置場所に応じて適宜なブロック材の設置高さが選択可能になることから、設置計画上の制約を受けずに設計の自由度を高めることができる。
このような構成によれば、ブロック材を並べてから、その上側に横材を設置するとともに押圧部材で下側のブロック材の上面を押圧することで、下段から上段に向かってブロック材と横材とを順に設置していくことができる。そして、各段のブロック材および横材の設置とともに押圧部材でブロック材を押圧することで、各段ごとにブロック材を位置決めすることができることから、上下の位置決め精度を向上させることができる。さらに、上下方向の複数段のブロック材を積み上げてから位置決めする場合と比較して、位置決め作業が容易になるとともに、手直しの手間も低減できることから、施工作業の効率をさらに向上させることができる。
このような構成によれば、前述のように各段のブロック材および横材を設置してから、最上段のブロック材の上側に上枠材を設置するとともに、上枠押圧部材で最上段のブロック材の上面を押圧することで、その位置決めを容易かつ確実に実施することができる。
このような構成によれば、螺合部材の回転により押圧部材を上下移動させることで、押圧部材によってブロック材を押圧することができ、ブロック材の位置決め精度が向上するとともに、位置決め作業の作業性を向上させることができる。
このような構成によれば、縦材の下端部に形成した第1係合部を下枠材や横材本体の第2係合部に係合させることで、各段のブロック材を並べつつ縦材を配置する際に作業しにくい縦材の下端部を容易に下枠材や横材に取り付けることができる。そして、上枠材や横材本体を上方から貫通する固着部材を縦材の上端部に固着することで、縦材の連結強度を高め、格子状の支持体(下枠材、上枠材、横材および縦材)全体の強度を向上させることができる。
このような構成によれば、支持材に沿った縦枠材を設けたことで、上枠材、下枠材および縦枠材によって四周が囲まれた支持体を構成することができる。従って、例えば地中に埋設した基礎などから立設される支持材としての支柱に対して横材を直接架設する場合と比較して、縦枠材を介することで支持材の立設精度誤差を吸収しやすくなり、施工性や施工精度をさらに向上させることができる。また、縦枠材が断面略コ字形に形成され、その内部に縦材を受け入れ可能に構成されることで、縦枠材の内部にて縦材の見付け位置を調節することができ、支持材の間隔寸法(モジュール)の変更に対して容易に対応可能となり、位置調整した場合でも縦枠材から縦材が大きく露出しないことで良好な外観が維持できる。
このような構成によれば、保水性を有した焼物でブロック材を構成したことで、ブロック材に水を含ませておくことができ、夏期などにおいて水の気化熱を利用して雰囲気温度を下げることができる。従って、前述したようにブロック材や支持体の再利用による資源の節約とともに、環境負荷の低減を促進させることができる。
このような構成によれば、ブロック材に形成した溝部に横材本体および押圧部材の横突出部と縦材の縦突出部を挿入することで、簡単かつ確実にブロック材の位置決めを実施することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る壁構造体1を示す正面図である。図2は、壁構造体1を拡大して示す正面図である。図3および図4は、それぞれ壁構造体1を拡大して示す縦断面図であり、図3は、図2に矢視III−III線で示す断面図であり、図4は、図2に矢視IV−IV線で示す断面図である。図5は、壁構造体1を拡大して示す横断面図であり、図2に矢視V−V線で示す断面図である。
縦枠材5は、図5に示すように、支柱2の側面に固定される見込み面部51と、この見込み面部の両端から見付け方向内側に延びる一対の見付け面部52とを有して、断面略コ字形に形成されている。そして、縦枠材5は、そのコ字形内部に後述する縦材8を受け入れ可能な見込み寸法を有して形成されている。
横材7は、図6、図7に示すように、両端部が縦枠材5に固定される横材本体71と、この横材本体71の下側に上下に移動自在に設けられる横材押圧部材72とを有して構成されている。横材本体71は、略水平に延びる水平面部73と、この水平面部73の見込み方向両端部に形成されてブロック材6を載置する一対の載置片部74と、水平面部73から上方に延びてブロック材6の下溝部6Cに挿通される一対の位置決め片部75(横突出部)と、水平面部73から下方に延びる一対の案内片部76とを有して形成されている。また、横材押圧部材72は、前記上枠押圧部材32と共通部材で構成され、ブロック材6の上面に当接する押圧面部77と、下方に突出してブロック材6の上溝部6Bに挿通される一対の位置決め部78(横突出部)とを有して形成されている。さらに、横材本体71には、その長手方向に沿った所定間隔ごとに調整ビス7B(螺合部材)が螺合されており、この調整ビス7Bの先端が横材押圧部材72に当接されている。そして、図7に示すように、調整ビス7Bを回転することにより横材押圧部材72が横材本体71に対して上下に移動可能に構成され、調整ビス7Bを締め付けて横材押圧部材72を下方に移動させることで、押圧面部77でブロック材6を下方に押圧できるようになっている。
先ず、地中に打設したコンクリートに支柱2の基端を埋め込んで基礎Fを構築するとともに複数の支柱2を立設する。基礎Fのコンクリートが硬化して所定の強度が確保されてから、以下のように壁構造体1の各組立工程を実施する。
支柱2間に固定ブラケット4Aを介して下枠材4を架設する(下枠材架設手順)。
下枠材4の上側の支柱2に沿って縦枠材5を固定する(縦枠材固定手順)。
左右の縦枠材5に沿った位置に縦材8を配置してから、下枠材4の上側に1段目のブロック材6を設置するとともに、左右に並設されるブロック材6間に縦材8を配置する(1段目ブロック材設置手順)。この際、各縦材8の係合突起88を下枠材4の位置決め片部42に係合し、位置決め片部83を切欠き42Aに挿通することで、縦材8の下端部を下枠材4に連結する。また、ブロック材6の下溝部6Cに下枠材4の位置決め片部42を挿通することで、ブロック材6の下辺部が見込み方向に位置決めされる。
(1)すなわち、上枠材3、下枠材4および縦枠材5で囲まれた内部が横材7で上下に複数に仕切られ、下枠材4および各横材7の上側に各段のブロック材6が支持されるとともに、各段における左右のブロック材6間に縦材8が設けられているので、格子状のマス目内部に個々のブロック材6が支持されることとなる。従って、格子状に枠組みされた支持体(下枠材4、上枠材3、横材7および縦材8)によって支持されることで、ブロック材6を確実に支持することができ、壁構造体1としての強度が確保できるとともに、湿式工法を不要にして乾式工法で施工できることにより、工期短縮を図って施工性を高めることができる。
例えば、前記実施形態においては、ブロック材6として、保水性を有した陶器、磁器、せっ器、土器などの焼物製の保水ブロックを用いたが、これに限らず、ブロック材としては、コンクリートブロックや煉瓦、樹脂製ブロック、ガラスブロック、木製ブロックなどであってもよい。また、支持材としては、地中の基礎Fから立設される支柱2に限らず、コンクリート壁やブロック壁などの壁体であってもよい。
また、前記実施形態では、上下一対の上枠材3および下枠材4の間にブロック材6を並べて配置したが、上枠材3および下枠材4が上下に複数組で設けられ、各組の上枠材3と下枠材4との間にブロック材6が配置されていてもよい。すなわち、前記実施形態では、下枠材4の下側に開口部Oが設けられていたが、複数組の上枠材3および下枠材4を設けた場合には、下側の組の上枠材3の上側と、上側の組の下枠材4の下側との間に開口部を形成することができ、壁構造体1の計画自由度をさらに向上させることができる。
また、前記実施形態では、横材7の調整ビス7Bが各ブロック材6ごとに2箇所ずつ設けられていたが、これに限らず、調整ビス7Bが各ブロック材6ごとに1箇所ずつあるいは3箇所以上ずつ設けられてもよく、また縦材8に隣接した両端部のブロック材6に対して2箇所、その他中間部のブロック材6に対して1箇所ずつの調整ビス7Bが設けられていてもよい。
すなわち、図9および図10において、縦材8は、前記実施形態の位置決め片部83を有さずに、縦材本体81と延出片部82とによって断面略十字形に形成されている。そして、縦材本体81と延出片部82との交差位置に形成されたビスホール84に固定ビス8Aを螺合させることで、縦材8の上端部と横材本体71とが連結されるようになっている。また、縦材本体81の下端部には、一対の切欠き87と、これらの切欠き87内部の係合突起(第1係合部)88とが形成され、係合突起88を横材本体71の位置決め片部75に係合させることで、縦材8の下端部と横材本体71とが連結されるようになっている。一方、横材本体71の位置決め片部75には、前記実施形態のような切欠き75Aが形成されておらず、この切欠き75Aに代えて係合突起88を時計回りに係止する係止片75Bが形成されている。以上の変形例では、図10に示すように、縦材8自体を反時計回りに傾斜させた状態で係合突起88を横材本体71の位置決め片部75間に挿通してから、縦材8を時計回りに回転させて係合突起88を係止片75Bに当接させ、その状態で上側の横材本体71を貫通する固定ビス8Aをビスホール84に螺合して締め付けることで、縦材8が横材本体71に対して位置決めされかつ連結されるようになっている。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (9)
- 所定間隔を介して設けられた複数の支持材と、これらの支持材間に渡って架設される上枠材および下枠材と、前記支持材、上枠材および下枠材で囲まれた領域に上下左右に並設される複数のブロック材とを備えた壁構造体であって、
前記複数のブロック材のうち、上下に並設されるブロック材間には、前記支持材間に渡って横材が架設され、左右に並設されるブロック材間には、前記下枠材と前記横材とに渡る縦材、前記上下の横材同士に渡る縦材、および前記横材と前記上枠材とに渡る縦材が架設され、
前記横材は、前記支持材に対して移動不能に支持される横材本体と、この横材本体に対して上下に移動自在、伸縮自在または弾性変形自在に設けられて前記ブロック材を押圧する押圧部材とを有して構成されている壁構造体。 - 前記横材の押圧部材は、前記横材本体の下側に設けられて下方に位置する前記ブロック材の上面に当接可能に構成されている請求項1に記載の壁構造体。
- 前記上枠材は、前記支持材に固定される上枠材本体と、この上枠材本体に対して上下に移動自在、伸縮自在または弾性変形自在に設けられて下側の前記ブロック材を押圧する上枠押圧部材とを有して構成されている請求項1または請求項2に記載の壁構造体。
- 前記横材の押圧部材は、前記横材本体と別体に形成され、前記横材本体には、螺合部材が螺合されており、
前記押圧部材に前記螺合部材の先端を当接させた状態で当該螺合部材を回転することにより当該押圧部材が上下に移動可能に構成されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の壁構造体。 - 前記縦材の下端部に形成された第1係合部と、前記下枠材および横材本体に設けられた第2係合部とを係合させることで、当該縦材の下端部が当該下枠材および横材本体に連結され、
前記上枠材および横材本体を上方から貫通する固着部材を前記縦材の上端部に固着することで、当該縦材の上端部が当該上枠材および横材本体に連結されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の壁構造体。 - 前記支持材に沿って縦枠材が設けられ、この縦枠材を介して前記横材が前記支持材に固定され、
前記縦枠材は、前記縦材を受け入れ可能な断面略コ字形に形成されている請求項1から請求項5のいずれかに記載の壁構造体。 - 前記ブロック材は、保水性を有した陶器、磁器、せっ器、土器などの焼物で構成されている請求項1から請求項6のいずれかに記載の壁構造体。
- 前記ブロック材は、全体略直方体状に形成されるとともに、上下の見込み面および左右の見込み面には、見込み方向に直交して四周連続した溝部が設けられており、
前記横材本体および前記押圧部材には、前記ブロック材の上下の溝部に挿入される横突出部が形成され、前記縦材には、前記ブロック材の左右の溝部のうち少なくとも一方に挿入される縦突出部が形成されている請求項1から請求項7のいずれかに記載の壁構造体。 - 所定間隔を介して設けられた複数の支持材と、これらの支持材間に渡って架設される上枠材および下枠材と、前記支持材、上枠材および下枠材で囲まれた領域に上下左右に並設される複数のブロック材とを備えた壁の施工方法であって、
前記横材は、前記支持材に固定される横材本体と、この横材本体に対して上下に移動自在または伸縮自在に設けられて前記ブロック材を押圧する押圧部材とを有して構成されており、
前記支持材間に渡って前記下枠材を架設する下枠材架設手順と、
前記架設した下枠材の上側に1段目の前記ブロック材を設置するとともに、これらの左右に並設されるブロック材間に縦材を配置して当該縦材の下端部を前記下枠材に連結する1段目ブロック材設置手順と、
前記左右に並設したブロック材の上側に前記横材を設置して前記横材本体の両端部を前記支持材に固定し、当該横材本体に前記縦材の上端部を連結するとともに、前記横材の押圧部材で前記ブロック材を下方に押圧する横材架設手順と、
前記架設した横材の上側に2段目以降の前記ブロック材を設置するとともに、これらの左右に並設されるブロック材間に縦材を配置して当該縦材の下端部を前記横材本体に連結する中段ブロック材設置手順と、
前記横材架設手順および中段ブロック材設置手順を所定数だけ繰り返した後に、最上段の前記ブロック材の上側に前記上枠材を設置して当該上枠材を前記支持材間に架設するとともに、当該上枠材に前記縦材の上端部を連結する上枠材架設手順とを備える壁の施工方法。
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