JP4995753B2 - 水素吸蔵材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水素ガスを可逆的に貯蔵又は放出することが可能な水素吸蔵材及びその製造方法に関する。
燃料電池車は、水素と、空気中の酸素とを電気化学的に反応させて発電する燃料電池を搭載しており、燃料電池の発電によって得られた電力によってモータを駆動させることで走行する。従って、燃料電池車には、水素を貯留したガス貯蔵用容器も併せて搭載される。
このことから諒解されるように、ガス貯蔵用容器の水素収容量が大きいほど燃料電池車を長距離にわたって走行させることができる。しかしながら、過度に大きなガス貯蔵用容器を搭載することは、燃料電池車の重量を大きくすることになり、結局、燃料電池の負荷が大きくなるという不具合を招く。
この観点から、ガス貯蔵用容器の体積を小さく維持しながら水素収容量を向上させる様々な試みがなされており、その1つとして、水素吸蔵材を使用することが提案されている。
この種の水素吸蔵材として、結晶性のAlH3が着目されている。結晶性のAlH3は、下記の反応式(A)に従って水素を貯蔵することが可能であり、その貯蔵可能量は、理論上、自身の重量の約10重量%に及ぶとされているからである。
Al+3/2H2→AlH3 …(A)
その一方で、AlH3は、下記の反応式(B)に従って水素を放出する。なお、反応式(A)、(B)は任意の貯蔵/放出サイトでの反応であり、AlH3のすべてが酸化・還元されることを意味するものではない。
AlH3→Al+3/2H2 …(B)
なお、特許文献1には、触媒機能を有する物質を結晶性のAlH3にドープすることが提案されている。特許文献1では、この種の物質として、周期表のIII〜V族の遷移金属又はその化合物、Cr、Fe、Ni、アルカリ金属又はその化合物が例示され、さらに、これらの金属のアルコラート、ハロゲン化物、水素化物、有機金属、金属間化合物も好適な例として挙げられている。
しかしながら、結晶性のAlH3においては、水素の放出反応、すなわち、上記反応式(B)に示される反応は比較的容易に進行するが、水素を貯蔵する反応、すなわち、上記反応式(A)に示される反応は、水素化の際の活性化エネルギが大きく、容易には進行しないという不具合がある。例えば、非特許文献1においては、AlをH2ガスに接触させて水素化する場合、280〜300℃で2.5GPaという高圧が必要であるとの報告がなされている。
この点に関し、特許文献1記載の従来技術では、AlH3に対してドープ物質(TiとNaH)を添加し、100気圧の水素を封入したボールミルを行うと、ボールミル内でAlH3が水素ガスを再度吸蔵するようになるとの開示がある。
特開2004−18980号公報(特に、段落[0025]) セルゲイ ケー コノバロフ、ボリス エム ブルシェフ 無機化学 1995年第34巻第172頁〜第175頁(Sergei K. Konovalov,Boris M. Bulychev Inorgnic Chemistry 1995, 34, 172-175)(特に、第173頁右欄第26行〜第28行、図2)
水素吸蔵材をガス貯蔵用容器内に収容した状態で使用する場合、通常のガス貯蔵用容器の充填圧力はおよそ20MPa、最大でも75MPa程度である。非特許文献1の報告によれば、このような充填圧力では、上記反応式(A)に示される水素吸蔵反応を進行させることは困難である。
また、例えば、燃料電池車では、ガス貯蔵用容器から水素ガスの放出が終了した場合、新たな水素ガスを充填したのみで燃料電池車が即座に再走行可能となる必要がある。すなわち、特許文献1に記載されるようにボールミルを行ってはじめて水素の再吸蔵が可能となるような水素吸蔵材を用いた場合には、燃料電池車を即座に再走行させることができないという不具合がある。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、水素を再吸蔵させるまでの時間が短く、このため、例えば、燃料電池を即座に再運転させることがが可能な水素吸蔵材及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、アルミニウム水素化物であるAlHx(ただし、0<x≦3)を基材とする水素吸蔵材であって、
前記基材に、水素を吸蔵・放出することが可能な金属水素化物が分散され、
且つ前記金属水素化物に、粒径が500nm未満である金属粒子が担持されていることを特徴とする。
このように構成された水素吸蔵材では、AlHx単体、又は金属水素化物をAlHxに分散させたものに比して優れた水素再貯蔵能を示す。すなわち、水素を一旦放出した後、短時間で再貯蔵することが可能である。
この理由は、金属粒子の作用下に水素分子が水素原子に速やかに解離され、これにより生成した水素原子が金属水素化物に速やかに吸蔵されるためであると推察される。そして、水素原子が金属水素化物内を拡散した後に該金属水素化物内と基材との界面に到達し、この界面から基材に速やかに貯蔵されるためであると考えられる。
すなわち、本発明においては、金属粒子の作用下に活性な水素原子が速やかに形成され、この水素原子が速やかに基材(AlHx)に貯蔵されるために、再貯蔵が容易になる。
AlHxは、マトリックス相同士の間に粒界相が介在しており、且つ前記マトリックス相の辺長が20nm以下で前記粒界相の幅が10nm以下であるものであることが好ましい。この種のAlHxにおいては、粒界相の割合が著しく大きくなる。この粒界相は、水素圧力が数十MPaという比較的低圧であっても、マトリックス相に比して水素を容易に吸蔵することができる。従って、このようなAlHxを用いた場合、水素吸蔵に要する活性化エネルギが小さくなるため、水素圧力が十数〜数十MPaと比較的小さいときであっても多量の水素を吸蔵することができる。
勿論、このことは、水素吸蔵材が水素を再吸蔵する場合も同様である。すなわち、この場合、水素の再貯蔵に要する時間を一層短縮することができる。
なお、金属水素化物の好適な例としてはMgHx(ただし、0<x≦2)を挙げることができ、一方、金属粒子の好適な例としてはNi又はFeを挙げることができる。この場合、Ni粒子又はFe粒子の粒径が20〜40nmであると、安価でコスト的に有利である上、活性に優れた水素吸蔵材を得ることができるという利点がある。
また、本発明は、アルミニウム水素化物であるAlHx(ただし、0<x≦3)を基材とする水素吸蔵材の製造方法であって、
水素化した際に水素を吸蔵・放出することが可能な金属水素化物を形成する原料金属の粉末と、粒径が00nm未満である金属粒子とを収容し且つ水素雰囲気としたポットを用いてボールミルを行い、前記原料金属を水素化して金属水素化物とするとともに該金属水素化物の表面に金属粒子を担持させる工程と、
前記金属粒子を担持した前記金属水素化物を、AlHとともに機械的に混合撹拌する工程と、
を有することを特徴とする。
このように、本発明によれば、金属水素化物を得ると同時に該金属水素化物に金属粒子を担持させることができる。従って、水素吸蔵材を効率よく得ることができる。
なお、前記金属粒子を担持した前記金属水素化物をAlH3とともに機械的に混合撹拌する工程は、例えば、水素雰囲気としたポットを用いたボールミルによって行うことができる。この場合、前記ポットに対して5G〜20G(ただし、Gは重力加速度)の力を30分〜15時間付与すればよい。
このような過程を経ることによりAlH3が変化し、マトリックス相同士の間に粒界相が介在しており、且つ前記マトリックス相の辺長が20nm以下で前記粒界相の幅が10nm以下であるAlHxが得られる。すなわち、水素吸蔵能及び水素再吸蔵能に優れた水素吸蔵材を簡便に得ることができる。
本発明によれば、基材に分散された金属水素化物に金属粒子を担持させるようにしている。この金属粒子は、水素分子を解離して活性な水素原子とする機能を営む。生成した水素原子は、速やかに金属水素化物に吸蔵され、さらに、該金属水素化物と基材(AlHx)との界面に到達し、速やかに基材に吸蔵される。
すなわち、本発明においては、金属粒子が存在することによって水素原子が基材に吸蔵される速度が大きくなる。このため、水素を再貯蔵する際の時間が短い水素貯蔵材となる。
特に、AlHxが、マトリックス相同士の間に粒界相が介在しており、且つ前記マトリックス相の辺長が20nm以下で前記粒界相の幅が10nm以下であるものであると、水素吸蔵に対する活性が一層高くなる。
以下、本発明に係る水素吸蔵材及びその製造方法につき、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係る水素吸蔵材は、その微細構造が図1に示されるAlHx(アルミニウム水素化物。なお、0<x≦3であり、以下においても同様である)を基材10とするものである。
図1に示すように、基材10を構成するAlHxは、略正方形に近似されるマトリックス相12と、該マトリックス相12、12同士の間に介在する粒界相14とを有する。このAlHxでは、マトリックス相12の辺長t1は概ね数nm〜十数nm、最大でも20nmである。一方、粒界相14の幅w1は、大半が1〜数nmであり、最大でも10nmである。また、AlHx中に粒界相14が占める割合は、約20〜50体積%にも及ぶ。
そして、図2に一部を拡大して示すように、この基材10には金属水素化物16が分散しており、且つ該金属水素化物16には、金属粒子18が担持されている。なお、基材10の重量に対する金属水素化物16の好適な割合は0.5〜14重量%であり、金属水素化物16の重量に対する金属粒子18の好適な割合は0.2〜5重量%である。
金属水素化物16は、水素を貯蔵・放出することが可能な物質であれば特に限定されるものではないが、MgHx(0<x≦2)、LaNi5Hx(0<x≦6)、TiHx(0<x≦2)、LiHx(0<x≦2)、VHx(0<x≦2)、CaHx(0<x≦2)、ZrV2Hx(0<x≦4.8)、Mg2NiHx(0<x≦4)、LiNHx(0<x≦2)等を好適な例として挙げることができる。
一方、金属粒子18としては、粒径が500nm以下のものが選定される。500nmを超えるものであると、水素分子(H2)を水素原子に解離する活性が低いからである。なお、この解離に関して高い活性を示すことから、粒径が1〜100nmの範囲内であるものが一層好ましい。
金属粒子18は、特に限定されるものではないが、Ni、Fe、Pd等を具体例として挙げることができる。特に、粒径が20〜40nmであるNi及びFeは容易に入手可能であり、しかも、安価であることから好適である。その上、この場合、水素吸蔵に対する活性が高くなるという利点もある。
このように構成された水素吸蔵材が水素を吸蔵するに際しては、先ず、金属粒子18の作用下に水素分子が水素原子に解離される。これにより生成した水素原子は、金属水素化物16に吸蔵される。
次に、水素原子は、金属水素化物16内を拡散して、該金属水素化物16内と基材10との界面に到達する。
ここで、基材10であるAlHxにおいては、上記したように、粒界相14の割合が著しく大きい(図1参照)。本出願人の鋭意検討によれば、粒界相14は、水素圧力が数十MPaという比較的低圧であっても、マトリックス相12に比して水素を容易に吸蔵する。換言すれば、本実施の形態に係る水素吸蔵材は、水素吸蔵に要する活性化エネルギが小さいために水素を吸蔵させることが比較的容易な粒界相14が多く存在することに基づいて、水素圧力が十数〜数十MPaと比較的小さいときであっても多量の水素を吸蔵することができる。このことは、水素吸蔵材が水素を容易に再吸蔵し得るものであり、従って、再吸蔵が短時間で終了することを意味する。
この水素吸蔵材は、以下のようにして得ることができる。
先ず、LiAlH4のジエチルエーテル溶液に対してAlCl3を添加し、常温で反応させる。これにより、AlH3が液中に溶解し、且つLiClが沈殿した溶液が得られる。このLiClを濾過により分離した後、濾液を真空ポンプ等で減圧することによってジエチルエーテルを蒸発除去し、さらに、40〜80℃で減圧乾燥すれば、固体状のAlH3が得られる。
その一方で、金属水素化物16となる原料金属の粉末と、金属粒子18とをボールミル用ポットにボールとともに収容して封止する。その後、前記ポット内の気体を水素に置換する。この際、ポット内の圧力を0.1〜2MPaとなるように設定する。
次に、このポットを、遊星型ボールミル装置の円盤状台板に回転自在に設けられた回転台座と押止軸とで挟持する。さらに、前記円盤状台板及び前記回転台座の双方を回転させる。
遊星型ボールミル装置では、ポットは、前記円盤状台板が回転することで公転運動を行う一方、前記回転台座が回転することで自転運動を行う。すなわち、ポットは、円盤状台板に連結された回転軸を中心に公転運動し、前記押止軸を中心に自転運動する。
これら公転運動及び自転運動により、ポットに収容された原料金属の粉末及び金属粒子18に大きな力が作用する。例えば、ポットの外径が80mm、高さが100mm、内容量が80mlであり、円盤状台板の直径がおよそ300mmである場合、円盤状台板(公転運動)の回転数を30〜500rpm、回転台座(自転運動)の回転数を30〜1000rpmとし、公転運動及び自転運動の双方を30分〜15時間続行させれば、原料金属の粉末及び金属粒子18に対し、1G〜20Gの力が付与される。
換言すれば、原料金属の粉末及び金属粒子18には高エネルギが印加される。従って、原料金属の粉末は、細分化される一方、雰囲気である水素によって水素化されて金属水素化物16に変化する。同時に、金属粒子18が前記金属水素化物16に担持される。
すなわち、本実施の形態によれば、原料金属を水素化して金属水素化物16とする操作と、前記金属水素化物16に金属粒子18を担持する操作とを一工程で、しかも、同時に実施することができる。
次に、金属粒子18を担持した金属水素化物16をAlHxに分散させる。この分散は、金属粒子18を担持した金属水素化物16とAlHxとを機械的に撹拌混合すればよい。機械的な撹拌混合の代表的な例としては、メノウ乳鉢を用いての混合撹拌が挙げられる。
又は、ボールミルであってもよい。この場合、上記した遊星型ボールミル装置を用いてもよい。
遊星型ボールミル装置を用いる場合、上記と同様の作業を行えばよい。すなわち、金属粒子18を担持した金属水素化物16と、結晶性のAlH3とをボールとともにポットに収容して封止した後、前記ポット内の気体を水素に置換する。この際においても、ポット内の圧力を0.1〜2MPaに設定すればよい。
ここで、結晶性のAlH3の微細組織を模式的に図3に示す。この図3に示すように、結晶性のAlH3におけるマトリックス相12は、略正方形に近似される。そして、図1と同様に、該マトリックス相12、12同士の間に粒界相14が介在する。
結晶性のAlH3では、マトリックス相12の辺長t2は概ね100μm、粒界相14の幅w2は数μmであり、組織内において粒界相14が占める割合は数体積%である。また、結晶性のAlH3につきX線回折測定を行うと、α相、β相、γ相に由来するシャープなピークが出現する回折パターンが得られる。
このようなAlH3が封入されたポットを、上記と同様にして遊星型ボールミル装置にセットした後、円盤状台板及び回転台座の双方を回転させることで前記ポットを公転運動及び自転運動させる。ポットが上記と同一のものである場合、円盤状台板(公転運動)の回転数を50〜500rpm、回転台座(自転運動)の回転数を50〜1000rpmとし、公転運動及び自転運動の双方を30分〜15時間続行させればよい。これにより、金属水素化物16及びAlH3に対して5G〜20Gの力が付与される。
この際、AlH3の結晶性が若干損なわれ、図1に示すように、粒界相14の割合が大きくなるとともに、マトリックス相12の辺長t1及び粒界相14の幅w1が上記した範囲内となる。なお、ポット内が水素であるためにAlH3がAlに分解する分解反応は抑制されるものの、AlH3からは水素の一部が放出される。これにより、AlH3がAlHxに変化する。
同時に、このAlHxに、金属粒子18を担持した金属水素化物16が分散し、図2に示す状態となる。すなわち、水素吸蔵材が得られるに至る。
なお、上記した実施の形態においては、AlHxを基材10としているが、基材10はAlH3であってもよい。
1mol/lのLiAlH4のジエチルエーテル溶液300ミリリットルに13gのAlCl3を添加して溶解し、常温においてガスの発生が認められなくなるまで反応させた。その後、溶液中に沈殿したLiClを濾過によって分離し、濾液を真空ポンプで1時間減圧することでジエチルエーテルを蒸発させ、さらに、40℃、60℃、80℃の各温度で1時間減圧して乾燥させ、2gのAlH3粒子を得た。以上の作業を繰り返し、合計で6gのAlH3粒子を合成した。このAlH3粒子の微細構造は、概ね、図3に示す構造に一致した。
その一方で、最大粒径が75nmのMg粒子を6g、最大粒径が30nmのNi粒子を0.04g、最大粒径が30nmのFe粒子を0.02g秤量し、水素導入口が設けられたステンレス製ポットにボールとともに収容して封止した。なお、Mg、Ni、Feの量は、仕込み組成が原子%比でMg=99、Ni=1、Fe=1となる量に相当する。また、前記ステンレス製ポットは、外径80mm、高さ100mm、内容量80mlである。
次に、前記水素導入口を介してステンレス製ポットの内部に水素を導入し、内圧を1MPaとして密封した。
その後、遊星型ボールミル装置(独国フリッチュ社製)の円盤状台板上の回転台座と押止軸とで前記ステンレス製ポットを挟持し、ボールミリングを施した。なお、前記円盤状台板の直径は300mmであり、回転数は50rpmに設定した。また、回転台座の回転数、換言すれば、ステンレス製ポットの自転運動回転数を90rpmに設定し、ボールミリング時間は9時間とした。この条件下では、ステンレス製ポットに付与された力は2Gであった。
このボールミリングにより、Ni、Feの触媒作用下にMgが水素化してMgHx(0<x≦2)に変化した。同時に、このMgHxにNi及びFeが担持された。
さらに、Ni及びFeを担持したMgHxから0.3g、上記のようにして得たAlH3から2.7gを秤量し、上記と同一構成のステンレス製ポットにボールとともに収容して封止した。その後、水素導入口を介して前記ステンレス製ポットの内部に水素を導入し、内圧を1MPaとして密封した。
次に、上記と同様に、前記遊星型ボールミル装置の円盤状台板上の回転台座と押止軸とで前記ステンレス製ポットを挟持し、ボールミリングを施した。なお、円盤状台板の回転数を350rpm、回転台座の回転数(ステンレス製ポットの自転運動回転数)を800rpmとした上で、ボールミリング時間を60分とした。この条件下では、ステンレス製ポットに付与された力は10Gであった。
このボールミリングによりAlH3の結晶性が損なわれ、その微細構造が図1に示されるAlHx(基材)が得られた。同時に、該基材に、Ni及びFeを担持したMgHxが分散した水素吸蔵材が形成された。
以上の作業が終了した後、アルゴン雰囲気中でステンレス製ポットから蓋を離脱させ、水素吸蔵材を取り出して乾燥した。
次に、この水素吸蔵材から0.3gを秤量し、容積型水素圧力−組成等温線図測定装置のサンプルセル内に封入した。先ず、このサンプルセル内を100℃において5時間排気し、水素吸蔵材から水素を放出させた。これにより、AlHxにおけるxの値が0付近となった。
その後、測定系統の温度を77Kとし、サンプルセル内に水素ガスを10MPaとなるまで段階的に導入することで加圧を行った。すなわち、所定の圧力を一定に保ち、所定時間が経過した後に圧力を上昇させて再度一定に保つことを10回以上繰り返し、最終圧力を10MPaとした。これにより、Alであった吸蔵/放出サイトに水素を吸蔵させ、AlHxとした。その一方で、各一定圧力における水素の吸蔵平衡圧力から水素吸蔵量を算出した。
この際、吸蔵圧力が平衡に達するまでの時間は、各水素圧力において1分位であった。すなわち、水素の再吸蔵に要する時間は極めて短時間であった。
続いて、サンプルセル内の圧力を所定値に保ち、所定時間が経過した後に圧力を下降させて再度一定に保つことを繰り返し、0.008MPaとなるまで減圧した。なお、圧力を一定に保つ最中の水素の放出平衡圧力から水素放出量を算出した。
以上のサンプルセル内の水素圧力と、水素吸蔵量及び水素放出量との関係をグラフにして図4に示す。ここで、横軸は、水素吸蔵材の全量(0.3g)に対して吸蔵・放出された水素重量を百分率で表し、縦軸は、サンプルセル内の水素圧力を表している。この図4から、本実施例における水素吸蔵材が容易に水素を吸蔵・放出し得るものであり、且つ水素の再吸蔵に要する時間が極めて短いものであることが分かる。
前記水素吸蔵材から0.3gを秤量し、容積型水素圧力−組成等温線図測定装置のサンプルセル内に封入した。その後、このサンプルセル内を100℃において5時間排気し、水素吸蔵材から水素を放出させた。これにより、AlHxにおけるxの値が0付近となった。
次に、負圧状態のままで測定系統の温度を77Kとし、サンプルセル内に水素ガスを導入して圧力を約7MPaとし、経過時間に対する水素吸蔵材の水素吸蔵量を測定した。結果を、図5に示す。
図5から諒解されるように、10分程度で水素吸蔵量が約1重量%に達する。このことも、上記した段階的に加圧を行う試験において、圧力を一定とする各段階で吸蔵圧力が平衡に達するまでの時間が1分以内であることが支持される。
本実施の形態に係る水素吸蔵材の基材を構成するAlHxの微細組織を模式的に表した組織構造説明図である。 図1の水素吸蔵材の一部を拡大して示す要部拡大構造説明図である。 結晶性のAlH3の微細組織を模式的に表した組織構造説明図である。 水素圧力と、水素吸蔵材における水素吸蔵量及び水素放出量との関係を示すグラフである。 経過時間と、水素吸蔵材における水素吸蔵量との関係を示すグラフである。
符号の説明
10…基材 12…マトリックス相
14…粒界相 16…金属水素化物
18…金属粒子

Claims (4)

  1. アルミニウム水素化物であるAlHx(ただし、0<x≦3)を基材とする水素吸蔵材であって、
    前記AlHxは、マトリックス相同士の間に粒界相が介在しており、且つ前記マトリックス相の辺長が20nm以下で前記粒界相の幅が10nm以下であるものであり、
    前記AlHxからなる前記基材に、水素を吸蔵・放出することが可能な金属水素化物が分散され、
    且つ前記金属水素化物に、粒径が500nm未満である金属粒子が担持され
    前記金属水素化物がMgHx(ただし、0<x≦2)であり、前記金属粒子がNi又はFeであることを特徴とする水素吸蔵材。
  2. 請求項記載の水素吸蔵材において、Ni粒子又はFe粒子の粒径が20〜40nmであることを特徴とする水素吸蔵材。
  3. アルミニウム水素化物であり、マトリックス相同士の間に粒界相が介在し、且つ前記マトリックス相の辺長が20nm以下で前記粒界相の幅が10nm以下であるAlHx(ただし、0<x≦3)を基材とする水素吸蔵材の製造方法であって、
    水素化した際に水素を吸蔵・放出することが可能な金属水素化物を形成する原料金属の粉末と、粒径が00nm未満である金属粒子とを収容し且つ水素雰囲気としたポットを用いてボールミルを行い、前記原料金属を水素化して金属水素化物とするとともに該金属水素化物の表面に金属粒子を担持させる工程と、
    前記金属粒子を担持した前記金属水素化物を、AlHとともに機械的に混合撹拌する工程と、
    を有し、
    前記金属水素化物としてMgHx(ただし、0<x≦2)を用い、且つ前記金属粒子としてNi又はFeを用いることを特徴とする水素吸蔵材の製造方法。
  4. 請求項記載の製造方法において、前記金属粒子を担持した前記金属水素化物をAlHとともに機械的に混合撹拌する工程を、水素雰囲気としたポットを用いたボールミルによって行うとともに、前記ポットに対して5G〜20G(ただし、Gは重力加速度)の力を30分〜15時間付与することを特徴とする水素吸蔵材の製造方法。
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