JP4992766B2 - 車両用中折れ式ドアの支持装置 - Google Patents

車両用中折れ式ドアの支持装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両用中折れ式ドアの支持装置に係り、上端部が車体側に回動可能に連結されたアッパドアの下端に、ロアドアの上端部が回動可能に連結され、アッパドアとロアドアとの連結部が車体外方に突出するように中折れして開放される車両用中折れ式ドアの支持装置に関する。
乗用車として、車両後面部に設けた開口部に、荷台部分の開閉ドア(以下「バックドア」という)を備えているタイプの車両、例えば、ワゴンタイプ、バンタイプ及びハッチバックタイプの車両がある。一般的なバックドアは、その上端両側部をルーフの後端部に、上下方向に回動可能に支持し、バックドアに設けたハンドルを持って、バックドア自体を後上方へ跳ね上げた状態で開放するようにしていた。しかし、このような構成では、バックドアを開ける場合、車体の後方にバックドアの高さ(回転半径)分のスペースが最低限必要となる。そこで、特許文献1には、バックドアを上側ドアと下側ドアとに二分割して、これらをヒンジを介して連結し、中折れ時には連結部が車体後方へ張り出すように構成して、バックドア開放時において車両後方にスペースをさほど必要としない中折れ式ドアが開示されている。
特許文献1に記載の中折れ式ドアにおいては、下側ドアの下端部両側面に転動輪が取り付けられる一方、開口部の内側面左右側には転動輪と係合して上下に案内するレールが設けられている。そして、この中折れ式ドアでは、開口部を開く際、下側ドアの下端がレールに沿って上昇し、下側ドアが車両後方に張り出さないようにしてバックドアは中折れするように構成されている。
特開2006−56433号公報
ところが、上記の中折れ式ドアは、転動輪と転動輪案内用のレールとを使用しており、レールは開口部の内側左右両側面に設けられている。その結果、車体側の変更点が多くなり、車両搭載性が悪いという問題があった。また、バックドアを畳んで最大に開放した状態でも、下側ドアの下端がレールの上端を回動中心として略後方水平に延びる状態となり、一枚ドアと比べて開口面積が少なく荷物の積み降ろし性が悪いという問題もある。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、車両に搭載し易く、なおかつ、荷物の積み降ろし性を向上させることができる車両の中折れ式ドア構造を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、上端部が車体側に回動可能に連結されたアッパドアの下端に、ロアドアの上端部が回動可能に連結され、前記アッパドアと前記ロアドアとの連結部が前記車体外方に突出するように中折れして開放される車両用中折れ式ドアの支持装置において、前記車体と前記ロアドアとを連結するとともに、前記中折れ式ドアの全閉状態及び前記中折れ式ドアの半開状態に対応する第1の状態と、前記中折れ式ドアの全開状態に対応し、前記車体側の支点と前記ロアドア側の支点との間の距離が前記半開状態のときよりも長くなる第2の状態とに移行可能なロッド機構と、前記ロッド機構を前記第1の状態で保持可能なロック手段と、を備えたことを要旨とする。
この構成では、車体とロアドアとを連結するのはロッド機構であるため、従来技術の案内用レールと転動輪により中折れ式ドアを開閉する構成に比較して、車両搭載性が向上する。また、車体とロアドアとを連結するロッド機構が第1の状態であると、中折れ式ドアは半開状態と全閉状態の間で開閉することができ、ロッド機構の車体側の支点とロアドア側の支点との間の距離が長い第2の状態になると中折れ式ドアは全開状態となる。したがって、中折れ式ドアが全閉状態から半開状態に移行する際の車両後端からの突出量をコンパクトにすることができ、ロアドア側の支点が車体から離間することにより、中折れ式ドアを全開状態に移行させることができる。そのため、例えば、荷物を積み降ろしする場合に中折れ式ドアを全開状態とすれば、車両の開口が広くなり、その分、荷物の積み降ろし性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ロッド機構は、前記車体及び前記ロアドアのうちいずれか一方に回転自在に取り付けられる回転アームと、前記回転アームと前記車体及び前記ロアドアのうちいずれか他方とを連結するロッド部材とから構成され、前記回転アームを付勢する付勢部材が設けられ、前記中折れ式ドアが前記半開状態から前記全開状態に移行する際には、前記付勢部材の付勢力によって前記回転アームが回転することで前記ロッド機構は前記第1の状態から前記第2の状態に移行することを要旨とする。
この構成では、付勢部材の付勢力によって回転アームを回転させつつロアドア側の支点を車体から離間させ、中折れ式ドアを全開状態にまで移行させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ロック手段は、前記回転アームと当接可能な位置に設けられるストッパ部材を備えるとともに、回動自在に取り付けられた前記付勢部材により前記回転アームを前記ストッパ部材に対して押し付ける方向に付勢することで前記ロッド機構を前記第1の状態に保持することを要旨とする。
この構成では、付勢部材の付勢力によって回転アームはストッパ部材に押し付けられて一定の姿勢となり、ロッド機構は第1の状態となっているため、ロッド機構によってロアドアの姿勢を保持しつつアッパドアを回動させて半開状態に移行させることができる。この状態から、ロアドアを開く方向に操作すると、付勢部材が回動して付勢方向が切り換わり、付勢部材は回転アームが回転する方向に付勢するようになる。そして、回転アームが回転するとともにロッド部材が移動して、ロアドア側の支点を車体から離間させることにより中折れ式ドアを全開状態に移行させることができる。したがって、ロアドアを開く操作を行えば中折れ式ドアを半開状態から全開状態に移行させることができ、中折れ式ドアを半開状態から全開状態に移行させる操作が簡単である。また、ロック手段による第1の状態の保持を解除するために、例えば、ハンドルやアクチュエータ、ケーブル等のロック手段を操作する操作機構を構成する部品を用意する必要がないため、車両組み付け性がよい。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記回転アームに設けられた被係止部を備え、前記ロック手段は、前記車体又は前記ロアドアに移動可能に設けられ、前記被係止部を係止して前記回転アームの回転を規制するロック部材と、前記ロック部材を移動させて、前記被係止部と係止しない位置へ移動させる操作機構とを備えたことを要旨とする。
この構成では、操作機構を操作しなければ、回転アームは回転することなく、確実にロッド機構を第1の状態に保持することができる。したがって、中折れ式ドアが全閉状態から半開状態に移行する際に確実に車両後端からの突出量をコンパクトにすることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ロッド機構は、前記車体又は前記ロアドアに回動可能に取り付けられた筒状のハウジング及び前記ハウジング内に一部分が挿入され、前記ハウジングに対して出没可能なロッドを備えて伸縮可能に構成され、前記ロック手段は、前記ロッド機構が収縮した状態で前記ロッドの出没を規制して前記ロッド機構を前記第1の状態に保持することを要旨とする。
この構成では、ロック機構による第1の状態の保持が解除されると、ロッドが突出しロッド機構は第2の状態となる。そして、ロアドア側の支点が車体から離間し、中折れ式ドアを全開状態に移行させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記ハウジングに設けられた被係止部を備え、前記ロック手段は、前記車体又は前記ロアドアに移動可能に支持され、前記被係止部を係止して前記ロッド機構を前記第1の状態に保持可能なロック部材と、前記ロック部材を移動させて前記被係止部と係止しない位置へ移動させる操作機構とを備えたことを要旨とする。
この構成では、操作機構を操作しなければ、ロッドは突出することはなく、確実に第1の状態を保持することができる。したがって、中折れ式ドアが全閉状態から半開状態に移行する際に確実に車両後端からの突出量をコンパクトにすることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記ロック手段は、前記ロッドが没入させられることにより、前記ロッド機構を前記第1の状態で保持するロック状態と、前記ロッド機構が前記第2の状態に移行することを許容するアンロック状態とに、交互に切り換えるように構成されていることを要旨とする。
この構成では、ロッドを押して没入させる操作を行えば、ロック機構のロック状態とアンロック状態とを切り換えることができる。したがって、ロック機構による第1の状態の保持を解除するために例えば、ハンドルやアクチュエータ、ケーブル等の操作機構を構成する部品を用意する必要がないため、車両組み付け性がよい。
本発明によれば、車両に搭載し易く、なおかつ、荷物の積み降ろし性を向上させることができる。
(第1実施形態)
以下、本発明をバックドアの支持装置に具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1(a)に示すように、車両としての自動車の車体11には、その後部に形成された開口部を開閉する中折れ式ドアとしてのバックドア15が、車体11のルーフ13の後部に左右一対のアッパヒンジ14を介して回動可能に支持されている。バックドア15は、アッパドア16とロアドア17とに2分割されるとともに、アッパドア16の下部と、ロアドア17の上部とが左右一対のセンタヒンジ18を介して回動可能に連結されている。この実施形態では、アッパドア16の上下方向の長さがロアドア17の上下方向の長さよりも長く形成されている。ここで、「ドアの上下方向の長さ」とは、バックドア15の全閉状態における上下方向の長さを意味する。ロアドア17の下端と車体11との間には図示しない公知のロック装置が設けられている。そして、ロアドア17の外面には公知のロック装置をロック/アンロックに切り換え操作が可能なハンドル17aが設けられている。
アッパドア16の上端部と車体11の開口部の内側とはダンパステー19を介して連結されている。ダンパステー19は、圧縮ガスを封入したガスピストンの構成を有している。なお、ダンパステー19は図1(a)でのみ図示し、その他の図面では図示を省略する。
一方、車体11のサイドフレーム12の後部における上部寄りと、ロアドア17との間には、ロッド機構20が左右一対設けられている。ロッド機構20は、サイドフレーム12の後部における上部寄りに車体11側の支点としての第1ヒンジ21を介して回転自在に取り付けられている回転アーム22と、回転アーム22とロアドア17とを連結するロッド部材23とから構成されている。ロッド部材23は、第1端部23aが回転アーム22に接続されるとともに、ロアドア17側の支点としての第2端部23bがロアドア17の側部17b中央に接続されている。なお、ロッド機構20はバックドア15が中折れした状態で開放できるように配設されている。
図1(b)に示すように、回転アーム22には、第1ヒンジ21よりも下方の部位にロッド部材23の第1端部23aが接続されるとともに、ロッド部材23の第1端部23aよりも上方の部位にガススプリング24のロッド25の先端部25aが接続されている。
付勢部材としてのガススプリング24はロッド25とは反対側の端部24aが第2ヒンジ26を介してサイドフレーム12の後部に回動自在に取り付けられている。ガススプリング24は圧縮ガスを封入したガスピストンの構成を有するとともに、その全長が伸縮可能に構成されている。すなわち、ガススプリング24においては、圧縮ガスのガス圧を受けてロッド25が伸長するとともに、ロッド25がガス圧より大きい力を受けると没入するように構成されている。バックドア15が全閉状態では、ロッド25の先端部25aとロッド部材23の第2端部23bとは、第1ヒンジ21の中心P1と、第2ヒンジ26の中心P2とを結ぶ仮想線Q1を間に挟むように位置している。そして、バックドア15の全閉状態及び半開状態において、ガススプリング24は回転アーム22を図1(b)における時計回り方向に付勢し、車体11に設けられたストッパ部材27に回転アーム22を当接させることで、ロッド機構20は第1の状態に保持されている。なお、ロッド機構20を第1の状態で保持するロック手段は、ガススプリング24及びストッパ部材27によって構成されている。
また、図2(a)に示すように、バックドア15が半開状態となったときにはバックドア15はアッパドア16とロアドア17との連結部CNが車体外方に突出する中折れ状態となる。その状態では、センタヒンジ18を中心にロアドア17を回動させれば、ガススプリング24の付勢力に抗して回転アーム22を回転させて第1ヒンジ21とロッド部材23の第2端部23bとの間の距離を変えることができるようになる。そして、バックドア15が全開状態となるのに対応してロッド機構20は第2の状態となり、第1ヒンジ21とロッド部材23の第2端部23bとの間の距離が半開状態のときよりも長くなる。
次に、以上のように構成されたバックドアの支持装置の作用について説明する。
全閉状態になっているバックドア15を開くには、まず、ハンドル17aを操作して図示しないロック装置によるバックドア15のドアロックを解除する。次に、ユーザーがロアドア17に設けられたハンドル17aを把持してバックドア15を引き上げるように操作すると、アッパドア16がアッパヒンジ14を中心に上方に向かって回動して、バックドア15は図1(a)の二点鎖線で示すような半開状態に移行する。このとき、回転アーム22は回転することなく一定の姿勢で保持されているため、ロッド機構20は第1の状態であり、ロアドア17はロッド部材23によって全閉状態のときの姿勢を略保持した状態で移動する。したがって、バックドア15が全閉状態から半開状態に移行する際に、ロアドア17の下端の回動軌跡R1は図1(a)の一点鎖線で示すようになり、車両後端からのバックドア15の突出量はコンパクトとなる。なお、バックドア15の半開状態において、ロアドア17は、車体11の後面11aに沿うような姿勢であるため、その下端の高さ位置は低くなっており、背の低い人や手の上がり難い人(例えば、高齢者)であっても掴むことができる。
また、開口部を介して大きな荷物の積み降ろしを行う場合、バックドア15が半開状態であると中折れしているためロアドア17が荷物に干渉する虞がある。そこで、図2(a)の実線で示すような位置に存在しているロアドア17を押し上げるように操作すると、ロッド部材23の第2端部23bがセンタヒンジ18を中心にして移動することで、回転アーム22はガススプリング24の付勢力に抗してストッパ部材27とは離間する方向に回転し、図2(b)の実線で示す状態から図2(b)の二点鎖線で示す状態に移行する。すると、第1ヒンジ21とロッド部材23の第2端部23bとの間の距離が長くなり、ロアドア17は車体11から離間するようにセンタヒンジ18を中心に上方へ回動する。なお、バックドア15が半開状態から全開状態に移行する際に、ロッド25の先端部25aが仮想線Q1を通過すると、ガススプリング24はターンオーバーする(ガススプリング24の回転アーム22に対する付勢方向が切り換わる)。すると、回転アーム22はストッパ部材27から離間させる方向に付勢され、ロアドア17は回動する。そして、ロッド機構20は第2の状態となるとともにバックドア15が全開状態になると、ロアドア17は、回転アーム22及びロッド部材23を介して車体11から離間する方向にガススプリング24によって付勢され、ガススプリング24からの付勢力とロアドア17の自重とが釣り合う位置で保持される。
次に、バックドア15を全開状態から全閉状態に移行させる場合には、まず、ロアドア17を引き下げてセンタヒンジ18を中心に下方へ回動させる。すると、回転アーム22はガススプリング24の付勢力に抗して回転して、ロッド25の先端部25aは仮想線Q1を通過して第1ヒンジ21よりも上方となる位置にまで戻る。そして、バックドア15が半開状態に移行すると、第1ヒンジ21とロッド部材23の第2端部23bとの間の距離は全開状態のときよりも短くなり、回転アーム22はストッパ部材27に押し付けられて一定の姿勢に保持されるようになる。この状態から、ロアドア17を押し下げると、アッパドア16はアッパヒンジ14を中心に下方へ回動し、バックドア15は全閉状態に移行した後、図示しないロック装置によってドアロックされる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)車体11とロアドア17とはロッド機構20によって連結されている。ロッド機構20の第1の状態はバックドア15の全閉状態及び半開状態に対応し、ロッド機構20の第2の状態は、バックドア15の全開状態に対応するように構成されている。そして、このロッド機構20を用いることで、従来技術の案内用レールと転動輪とによりドアの開閉状態を規制する構成に比較して、車体11における変更点が少なく、車両搭載性が向上する。
(2)バックドア15が半開状態から開状態に移行する際に、ロッド機構20は第1ヒンジ21とロッド部材23の第2端部23bとの間の距離を変えることができるように構成されている。そして、ロアドア17側の支点であるロッド部材23の第2端部23bが車体11から離間することにより、バックドア15を全開状態に移行させることができる。したがって、例えば、荷物を積み降ろしするような場合に、バックドア15を全開状態に移行させれば、ロアドア17は車体11から離間し、バックドア15が半開状態のときに比べて車両の開口部の面積が広くなり、荷物の積み降ろし性を向上させることができる。
(3)バックドア15は半開状態と全開状態の2段階に開放状態が変更可能であるため、車両の後方スペースが狭い場所では半開状態で開閉することにより、バックドア15が周囲のものと干渉することを防止できる。
(4)バックドア15を、アッパドア16及びロアドア17が上方に跳ね上げられた状態で車体11の後方向に延びた全開状態とすることができる。したがって、例えば、雨天に車両の荷物の積み下ろしをするような場合に、従来例と比べてバックドア15の後方突出量が大きくなりバックドア15を雨よけとして用いることができる。
(5)ロッド機構20は、車体11に回転自在に取り付けられた回転アーム22と、回転アーム22とロアドア17とを連結するロッド部材23とを備えている。ガススプリング24の付勢力によって回転アーム22が回転することでロアドア17側の支点であるロッド部材23の第2端部23bが車体11から離間し、バックドア15を全開状態に移行させることができる。
(6)サイドフレーム12の後部には、ストッパ部材27が設けられている。ガススプリング24は、バックドア15が全閉状態から半開状態に至るまでの間はストッパ部材27に対して押し付ける方向に回転アーム22を付勢する。そして、バックドア15が半開状態から全開状態に移行する際には回転アーム22に対する付勢方向は、ストッパ部材27から離間する方向に切り換わるように構成されている。したがって、ロアドア17を開く操作を行えばバックドア15を半開状態から全開状態に移行させることができ、バックドア15を半開状態から全開状態に移行させるための操作を簡易にすることができる。
(7)同じガススプリング24で、ロッド機構20を第1の状態と第2の状態とに保持する機構であるため、回転アームの回転を規制可能なロック部材を設けてロッド機構を第1の状態と第2の状態とに保持する構成に比べて部品点数の増加を抑えることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を上記第1実施形態との相違点を中心に図面に従って説明する。なお、第1実施形態と同様な構成部分については同一符号を付して説明する。
図3(a)に示すように、ロッド機構としてのガススプリング32は、車体11側の支点としての第1端部32aが車体11のサイドフレーム12の上側に第3ヒンジ部材31を介して回動自在に取り付けられている。また、ガススプリング32の第2端部32b(ロッド35の先端部)は、ロック機構33を介してロアドア17の側部17bと接続され、第2端部32bはロアドア17側の支点として構成されている。
ガススプリング32は、ハウジングとしてのシリンダチューブ34に圧縮ガスを封入したガスピストンの構成を有するとともに、伸縮可能に構成されている。具体的には、ガススプリング32は圧縮ガスのガス圧力によってロッド35が突出し、ロッド35が受ける外力によって没入するように構成されている。すなわち、ガススプリング32は、バックドア15の全開状態及び半開状態に対応する第1の状態としての収縮状態と、バックドア15の全開状態に対応する第2の状態としての伸長状態とに移行可能に構成されている。そして、図3(b)に示すように、シリンダチューブ34の外面には被係止部としての被係止突部36が設けられている。
ロック機構33を構成するベース部37は固定ねじ38によってロアドア17の側部17b(図3(c)参照)に固定されることで取り付けられている。ベース部37は、ロアドア17の側部17bに直接取り付けられるベース板39と、ベース板39の一側縁から延出し、ベース板39と対向するように延びる支持片40とから構成されている。ベース板39と支持片40との間には、内側に図示しないねじ孔が形成されている挿通軸41が設けられている。挿通軸41は、ガススプリング32の第2端部32bを貫通するとともに、支持片40を介して支持ねじ43が挿通軸41のねじ孔と螺合することでガススプリング32の第2端部32bは回動自在に支持されている。なお、図3(b)で図示するロック機構33は、バックドア15が半開状態であるときのものである。
ここで、ベース板39とガススプリング32の第2端部32bとの間には、挿通軸41によって回動可能に支持された平板状の係止部材としてのフック44が設けられている。フック44は、一方の端部に被係止突部36を係止可能な引掛部45が形成されている。なお、引掛部45は被係止突部36の周面に沿うような凹面46を有している。そして、引掛部45の先端面47は、斜状に形成されるとともに凹面46に連続している。また、フック44の他方の端部48はベース板39に形成されている案内孔49と対応する位置にまで延びている。そして、フック44とガススプリング32の第2端部32bとの間には、フック44の引掛部45を被係止突部36に押し付ける回転方向に付勢力を加えてフック44が被係止突部36を係止した姿勢で保持する巻きばね50が設けられている。なお、バックドア15が閉状態から半開状態である間、フック44はロッド35の移動に伴って回動するようになっており、ロッド35がシリンダチューブ34内に没入してガススプリング32の全長が短くなっている収縮状態で保持されている。
一方、ベース部37には、そのベース板39の内側に挿通軸41と同じ位置を中心として回動自在となるように解除操作レバー51が取り付けられている。解除操作レバー51は、図示しない基端部が図示しないボルトで支持されるとともに、先端部51aにはハンドル55と連係するように設けられたケーブル52が接続されている。ケーブル52は、ハンドル55が操作されると引っ張られて解除操作レバー51を回動させるように構成されている。また、ベース板39の内側には、ケーブル52を保持するケーブルクランプ53が取り付けられている。また、解除操作レバー51には、ベース板39に形成された案内孔49を通過してフック44と当接可能な位置にまで突出する当接部としてのピン54が設けられている。なお、図3(c)に示すように、ロアドア17の側部17bにはロック機構33と対応する部位に孔28が設けられ、解除操作レバー51及びケーブルクランプ53は、ロアドア17の内側に配置された状態で孔28を介してベース板39に取り付けられている。なお、操作機構は、解除操作レバー51、ケーブル52、ケーブルクランプ53、ハンドル55によって構成されている。
ピン54は、解除操作レバー51が回動する際、案内孔49に沿って移動するように構成されている。ピン54は、バックドア15が全閉状態に位置している状態においてはフック44の他方の端部48とは離間している。一方、図4(b)に示すように、ピン54は、バックドア15が半開状態に移行したときにはフック44の他方の端部48と当接するように構成され、この状態でピン54を案内孔49に沿って移動させればフック44は回動してガススプリング32の収縮状態の保持が解除され、ガススプリング32の第1端部32aと第2端部32bとの間の距離を変えることができるようになる。
次に、以上のように構成されたバックドアの支持装置の作用について説明する。
全閉状態になっているバックドア15を開くには、ハンドル55を操作してドアロックを解除した後、ハンドル55を把持してバックドア15を引き上げるように操作する。すると、アッパドア16がアッパヒンジ14を中心に上方に回動して、バックドア15は図4(a)の実線で示すような半開状態に移行する。このとき、フック44が被係止突部36を係止しているため、ガススプリング32のロッド35は突出することなく、ガススプリング32はロック機構33によって収縮状態に保持されたままである。したがって、バックドア15が全閉状態から半開状態に移行する際に、ガススプリング32の第1端部32aと第2端部32bとの間の距離(ガススプリング32の全長)は一定であり、車両後端からのバックドア15の突出量はコンパクトになる。
また、開口部を介して大きな荷物の積み降ろしを行う場合、バックドア15が半開状態であると中折れしているためロアドア17が荷物に干渉する虞がある。そこで、バックドア15が半開状態に移行した後に、ハンドル55を操作して、ケーブル52を引っ張って解除操作レバー51を回動操作する。すると、図4(b)の二点鎖線で示すように、ピン54が案内孔49に沿って移動し、フック44の他方の端部48がピン54によって押されることでフック44が被係止突部36から離間する方向に回動する。そして、フック44による被係止突部36の係止が解除されて、ロッド35が伸長し、ロアドア17が車体11から離間するようにセンタヒンジ18を中心に上方へ回動して、図4(a)の二点鎖線で示す位置にまで移動する。この状態において、ガススプリング32の第1端部32aと第2端部32bとの間の距離は半開状態のときに比べて長くなるとともに、ロアドア17がガススプリング32によって付勢されてバックドア15は全開状態に保持される。
次に、バックドア15を全開状態から全閉状態に移行させる場合には、ガススプリング32の付勢力に抗してロアドア17を引き下げてセンタヒンジ18を中心に下方へ回動させる。すると、フック44の引掛部45の先端面47が被係止突部36に当接して、被係止突部36が先端面47に沿いつつ凹面46にまで案内される。そして、再び、フック44が被係止突部36を係止して、バックドア15が半開状態となると、ガススプリング32の第1端部32aと第2端部32bとの間の距離は全開状態のときよりも短くなりガススプリング32は収縮状態で保持される。さらに、この状態からロアドア17を押し下げると、アッパドア16はアッパヒンジ14を中心に下方へ回動し、バックドア15は全閉状態に移行した後、図示しないロック装置によってロックされる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、第1実施形態(1)〜(4)と同様の効果の他に以下に示す効果が得られるようになる。
(8)ロッド機構としてのガススプリング32によってロアドア17の回動を規制する構成を実現できるため、車体11側の変更点が少なくて済む。具体的に、車体側にロッド機構を追加するスペースがあり、ロッド機構の取付用孔を設ければ、車体側をほとんど変更することなく、ロッド機構を追加することができる。
(9)ガススプリング32には、そのシリンダチューブ34の外面に被係止突部36が設けられている。そして、ロック機構33は、被係止突部36を係止可能なフック44と、フック44の他方の端部48と当接可能な位置に設けられたピン54と、解除操作レバー51とを備えている。ハンドル55はケーブル52を介して解除操作レバー51を回動操作可能に構成されている。したがって、ハンドル55を操作しなければ、ロッド35が突出することはなく、ガススプリング32は伸長状態となることはない。したがって、ガススプリング32を確実に第1の状態で保持することができ、バックドア15が全閉状態から半開状態に移行する際に車両後端からの突出量をコンパクトにすることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を上記第1実施形態及び第2実施形態との相違点を中心に図面に従って説明する。なお、第3実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態とはガススプリング及びロック機構の構成が主に異なっており、第3実施形態ではその点を主に説明する。
図5(a)に示すように、ガススプリング60は、圧縮ガスが封入されるガス室62を区画するハウジングとしてのシリンダチューブ63と、ガス室62内に一部が挿入されるとともに圧縮ガスの圧力によって出没動作するロッド64とを備えている。ガススプリング60は、図示しない基端部が車体11に回動自在に取り付けられるとともに、ロッド64の先端部64aがロアドア17に直接取り付けられている。また、ロッド64にはその一部に縮径部65が形成されるとともに、縮径部65に回転自在に回転子66が装着されている。
図5(c)に示すように、回転子66には、その周方向に等間隔に突条の被係止部67が設けられている。被係止部67は、その先端67aがロッド64の外周よりも外側に存在するように形成されるとともに、ガス室62側とは反対側に位置する被係止部67の端面68は斜状に形成されている。そして、図5(b)に示すように、被係止部67の端面68と対向するロッド64の縮径部65には、等間隔に連続する山形状のカム部69が設けられている。カム部69は、被係止部67の端面68を押圧して回転子66を一定方向に所定角度(この実施形態では、図5(c)における時計回り方向に60度)回転動作させることができるように構成されるとともに、頂部が常に被係止部67の端面68の頂点とは、ずれるような形状に形成されている。そして、回転子66及び縮径部65は、シリンダチューブ63内に設けられたロック室61に位置している。なお、ロック室61におけるガス室62側の内壁面61aと回転子66との間にはばね70が介装されている。ばね70は、回転子66をシリンダチューブ63の伸長側端部63aに向けて付勢するように構成されている。
また、図5(d)に示すように、シリンダチューブ63の内側には、縮径部65よりも先端側のロッド64の部分と対応する位置に第1突条71、第2突条73、案内溝72が順に周方向に交互に設けられている。第1突条71及び第2突条73は、それぞれ先端面71a,73aが斜状に形成されるとともに、第1突条71と第2突条73とで被係止部67を係止可能に構成されている。また、案内溝72は、被係止部67の通過を許容するとともにロック室61からシリンダチューブ63の伸長側端部63a(図5(a)参照)付近にまで延びている。なお、第1突条71及び第2突条73の先端面71a,73aは、それぞれ対向する被係止部67の端面68と平行となるように形成されている。そして、第1突条71の先端面71aは被係止部67を第1突条71及び第2突条73による係止位置にまで案内するように機能するとともに、第2突条73の先端面73aは被係止部67を案内溝72にまで案内するように機能する。そして、被係止部67が第1突条71と第2突条73とによって係止されている状態ではガススプリング60を収縮状態で保持するロック状態となり、被係止部67が案内溝72に案内されると、ロッド64が突出してガススプリング60が第2の状態に移行することを許容するアンロック状態となる。なお、ロック機構は、回転子66、カム部69、第1突条71、第2突条73、及び案内溝72によって構成されている。
次に、以上のように構成されたバックドアの支持装置の作用について説明する。
バックドア15が全閉状態から半開状態に移行するまでの間、図6(a)に示すように、被係止部67は第1突条71及び第2突条73によって係止されている。したがって、ロック機構はロック状態となっており、ロッド64は突出することなくガススプリング60は収縮状態で保持されたままである。次に、バックドア15を半開状態から全開状態に移行させる場合、ロアドア17を介してロッド64をシリンダチューブ63内に若干没入させる。すると、第1突条71及び第2突条73よりも内側に存在するカム部69によって被係止部67が押されて第1突条71及び第2突条73による係止が解除される。そして、図6(b)に示すように、被係止部67の端面68が第2突条73の先端面73aに一致すると、被係止部67はカム部69に沿って移動して、被係止部67の端面68の頂点がカム部69の谷部に一致して係止される。そして、ロッド64をシリンダチューブ63内に押し込む操作を止めると、カム部69は伸長側(図6(b)における右側)に移動し、それに伴って、被係止部67は第2突条73の先端面73aに沿って移動し、図6(c)で示すように、被係止部67は案内溝72にまで案内される。すると、ロック機構はアンロック状態に切り換わり、ロッド64は伸長可能となり、ガススプリング60の図示しない基端部とロッド64の先端部64aとの間の距離が長くなりバックドア15は全開状態にまで移行する。
また、バックドア15を全開状態から半開状態に戻してガススプリング60を収縮状態で保持する場合には、ロアドア17を押し下げて半開状態の姿勢にまで戻し、さらにロアドア17を介してロッド64をシリンダチューブ63内に押し込む。すると、図6(d)で示すように被係止部67は案内溝72に案内されている状態から、被係止部67はカム部69によって押されて、ロック室61側(図6(d)における左側)に移動する。その後、図6(e)で示すように、被係止部67は案内溝72から出て、カム部69と第1突条71の先端面71aとが一致するようになると、カム部69に沿って移動し、被係止部67の端面68の頂点がカム部69の谷部に一致すると係止される。その後、ロッド64のシリンダチューブ63への押し込み操作を止めるとカム部69は伸長側に移動するため、図6(f)で示すように、被係止部67は第1突条71の先端面71aに案内されて第1突条71及び第2突条73によって係止されて、ロック機構はロック状態に切り換わる。すると、再び、ロッド64の伸長が規制され、ガススプリング60の収縮状態が保持された状態に戻る。
以上詳述したように、本実施形態によれば、第1実施形態(1)〜(4)及び第2実施形態(8)と同様の効果の他に以下に示す効果が得られるようになる。
(10)ロック機構は、ロッド64が没入するように押し込まれることでロック状態とアンロック状態とに交互に切り換わるように構成されている。したがって、ロック機構によるロッド機構の収縮状態(第1の状態)の保持を解除するために、例えば、ハンドルやアクチュエータ、ケーブル等の操作機構を構成する部品を用意する必要がなく、車両組み付け性がよい。
(11)ガススプリング60のロッド64に対する押し込み操作を行うだけで、ロック機構によるロックを解除することができる。したがって、ユーザーが解除用ハンドルや解除用スイッチを探す必要がない。また、車両後方のスペースが狭くユーザーが車両の横脇に立っている場合でも、ユーザーが車両の側方からロッド64を押し込む操作を行うだけでロック室61によるロックを解除することができる。
(12)ロッド64を没入させることによるロック状態とアンロック状態との切り換えはロアドア17を操作することにより行えるため、例えばハンドル等を操作してロック機構のロック状態を切り換える場合に比べて、操作が簡単である。
(第4実施形態)
次に、本発明を具体化した第4実施形態を上記第1〜第3実施形態との相違点を中心に図面に従って説明する。なお、第4実施形態は、バックドア15の内側への雨水の浸入を防止するガーニッシュ及びシール部材を追加した点が第1〜第3実施形態と異なっている。ロッド機構及びその他の構成は第1実施形態と基本的に同様であるため、同様の部分についてはその説明を省略する。
図7(a)及び(b)はアッパドア16の下部に対するロアドア17の上部の連結状態を示す模式側面図である。そして、図7(a)において、実線はバックドア15が全閉状態のときのアッパドア16及びロアドア17を示し、二点鎖線はバックドア15が半開状態のときのアッパドア16及びロアドア17を示す。また、図7(b)において、実線はバックドア15が半開状態のときのアッパドア16及びロアドア17を示し、二点鎖線はバックドア15が全開状態のときのアッパドア16及びロアドア17を示す。
図7(a)に実線で示すように、アッパドア16及びロアドア17は、バックドア15の全閉状態において、アッパドア16の連結側端部16cがロアドア17の連結側端部17cの外側に配置されるオーバーラップ状態となるように形成されている。また、アッパドア16の内側パネル74のうち、連結側端部16cを構成する部分は、ロアドア17の連結側端部17cの先端との干渉を避けるように斜め下部後方へ向かって延びている。ロアドア17の連結側端部17cには、ロアドア17の外側パネル77によって車両内側に凹む段部78が形成されるとともに、ロアドア17の連結側端部17cとアッパドア16の連結側端部16cとの間には隙間Sが存在している。
ロアドア17の外側パネル77(段部78)には、バックドア15の全閉状態においてアッパドア16の内側パネル74と対向する面に、ゴム製のシール部材Tが固着されている。シール部材Tは、バックドア15の全閉状態において、センタヒンジ18の中心よりも斜め後方下側に位置するとともに、その先端部T1がアッパドア16の内側パネル74に密着している。そして、シール部材Tは、ロアドア17の幅方向略全体に亘って延びるとともに、図示しない両端部がロアドア17の左右両端まで達している。したがって、シール部材Tは、バックドア15の全閉状態において、バックドア15の内側への雨水の浸入を幅方向略全長に亘って抑制する。
また、アッパドア16の外側パネル75には、その後面に取り付け段部Uが形成されている。取り付け段部Uには、図示しない締結手段によって略平板状のガーニッシュ79が固定されている。ガーニッシュ79は、アッパドア16の幅方向全体に亘って延びるとともに、短手方向の端部79aがアッパドア16の連結側端部16cよりも外側に突出している。すなわち、図7(a)の実線で示すように、ガーニッシュ79の端部79aは、バックドア15の全閉状態において、シール部材T及びアッパドア16の連結側端部16cよりも下方に位置するとともに、図7(a)の二点鎖線で示すように、バックドア15の半開状態において、シール部材Tよりも車両の後方に位置している。また、図7(b)の二点鎖線で示すように、バックドア15の全開状態において、ガーニッシュ79の端部79aは、シール部材Tとロアドア17の段部78とによって形成されロアドア17の幅方向に連通する溝形状の上方に位置するように構成されている。
この実施形態のバックドア15も第1実施形態のバックドア15と同様に開閉が行われる。バックドア15の全閉状態において、シール部材Tはアッパドア16の内側パネル74に密着しており、雨天時に、雨水がアッパドア16の内側パネル74をつたってバックドア15の内側に浸入することを抑制する。
また、図7(b)の実線で示すように、バックドア15の半開状態では、シール部材Tはアッパドア16の内側パネル74から離間しており、アッパドア16の連結側端部16cとロアドア17の連結側端部17cとの間には間隙Vが形成される。しかし、この第4実施形態の構成では、ガーニッシュ79がシール部材Tよりも上方に位置するとともに、その端部79aがアッパドア16の連結側端部16cよりも外側に突出しているため、ガーニッシュ79により間隙Vの上方が覆われる。そして、笠として機能するガーニッシュ79により遮られた雨水は、図7(b)の実線矢印で示すように、ロアドア17の外側パネル77をつたって下方に落ちる。したがって、バックドア15の半開状態において、雨水がアッパドア16とロアドア17との間の間隙Vを通ってバックドア15の内側に浸入することは抑制される。
また、図7(b)の二点鎖線で示すように、バックドア15が半開状態から全開状態に移行すると、ガーニッシュ79の端部79aはシール部材Tと段部78とによって構成される溝形状の上方に位置する状態になる。そして、図7(b)の破線矢印で示すように、雨天時には、ロアドア17の段部78に雨水が落下する。しかし、ロアドア17の段部78に落下した雨水は、シール部材Tによって堰き止められ、シール部材Tよりもバックドア15の内側に流れ込むことは防止される。そして、段部78と共に溝形状をなすシール部材Tは、雨どいとして機能し、ロアドア17の連結側端部17cに降った雨水は、ロアドア17の左右両側端まで導かれて車両の外側に排出される。
この実施形態においては、前記第1実施形態における効果(1)〜(7)と同様な効果を有する他に次の効果を有する。
(13)アッパドア16に設けられたガーニッシュ79は、その端部79aがアッパドア16の連結側端部16cよりも外側に突出している。そして、バックドア15の半開状態において、ガーニッシュ79はシール部材Tよりも上方に位置するとともに、その端部79aがシール部材Tよりも車両の後方に位置している。したがって、雨天時に、バックドア15を半開状態にした場合、ガーニッシュ79によって雨水を遮ることができるため、バックドア15の内側に雨水が浸入することを抑制できる。その結果、バックドア15の内側の内装や部品が濡れることを抑制できるため、バックドア15を閉じた際に内装に接触するように置かれた荷物が間接的に濡れてしまうことを抑制でき、バックドア15の使用性を向上させることができる。
(14)シール部材Tは、全閉状態において、ロアドア17の外側パネル77の内側パネル74と対向する面に設けられている。そして、バックドア15の全開状態においては、シール部材Tとロアドア17に形成された段部78とによって溝形状が形成されている。シール部材Tは、雨どいの壁として機能し、バックドア15の全開状態において、雨水がバックドア15の内側に浸入することを抑制できる。その結果、雨天時にもバックドア15を全開状態として、バックドア15下の広いスペースでの荷の積み降ろし作業が可能となる。
(15)ガーニッシュ79の端部79aを延長することで、バックドア15の半開状態において、間隙Vに雨水が入り込むことを抑制する。したがって、バックドア15の既存の構成部品であるガーニッシュ79を用いてバックドア15の内側に雨水が浸入することを抑制するため、雨水の浸入を防ぐための部材をバックドアの構成部品とは別に設けた場合に比べて、部品点数の増加を抑制できる。その結果、バックドア15の構造を複雑にせずに、バックドア15の半開状態において、雨水がバックドア15の内側に浸入することを抑制できる。
(16)バックドア15の全開状態において雨水の浸入を防止する手段として、バックドア15全閉時の液密性を確保するために設けられた既存のシール部材Tが用いられている。したがって、バックドア15の部品点数を増加させずに、雨水の浸入を防止することができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1実施形態において、バックドアが半開状態から全開状態に移行した時点で回転アームの回転を規制するストッパを設けてもよい。例えば、バックドアが全開状態に移行したときにおける回転アーム22の姿勢で、回転アーム22と当接する車体の部位にストッパを設け、バックドアが全開状態に移行するとガススプリングの付勢力によって回転アームがストッパに押し付けられるように構成してもよい。このような構成であれば、バックドアが全開状態に移行したにも拘らず、ガススプリングの付勢力によって回転アームが回転してしまうことを回避できる。
・第1実施形態において、付勢部材として用いる部材を変更してもよい。例えば、ガススプリングの代わりに、トーションスプリング(巻きばね)を付勢部材として用いてもよい。この場合、図8(a)に示すように、サイドフレーム12の後部に取り付け部80を設け、トーションスプリング81の一方の端部81aを取り付け部80に取り付けるとともに、他方の端部81bを回転アーム22に取り付ける。また、サイドフレーム12の後部には、回転アーム22を間に挟んでストッパ部材27の反対側にはバックドア15が全開状態となったときに回転アーム22と当接して回転アーム22の回転を規制する図示しないストッパ部材が設けられている。そして、バックドア15が全閉状態から半開状態の間に存在している場合、回転アーム22にはトーションスプリング81からストッパ部材27に押し付けられる方向の付勢力が加えられて回転アーム22の回転が規制される。そして、バックドア15が半開状態に位置している状態において、ロアドア17が引き上げられるように操作されると、回転アーム22はトーションスプリング81の付勢力に抗して回転し、トーションスプリング81は取り付け部80を中心に回動する。そして、トーションスプリング81の他方の端部81bが取り付け部80と第1ヒンジ21とを結ぶ仮想線Q2を通過すると、ターンオーバーして(トーションスプリング81の回転アーム22に対する付勢方向が切り換わって)、回転アーム22をストッパ部材27から離間させる方向に付勢することになる。そして、トーションスプリング81は、図8(a)の二点鎖線で示す位置に移動した状態では、回転アーム22及びロッド部材23を介してロアドア17を全開状態に付勢するようになる。
・第1実施形態において、回転アームに対しての付勢方向が切り換わるように付勢部材を設ける代わりに、付勢部材が常に回転アームを回転させる方向(車体の後方)へ付勢するように構成してもよい。この場合、図8(b)に示すように、ガススプリング83の基端部83aを第4ヒンジ部材87を介してサイドフレーム12の後部に取り付けて、第4ヒンジ部材87を中心に回動自在となるように構成する。そして、ガススプリング83のロッド84の先端部84aを回転アーム82に取り付けて、ガススプリング83が回転アーム22を常に車体11の後方へ付勢するように構成する。回転アーム82に突起状の被係止部85を設けるとともに、回転アーム82よりも内側に位置するように二股形状のロック部材86を設ける。ロック部材86は、ハンドルが操作されるのに伴って図示しない電気式アクチュエータが駆動されることで回動され、被係止部85に対するロックが解除されるように構成されている。なお、ロック部材86を解除動作させる操作機構は、ハンドル及び電気式アクチュエータによって構成されている。そして、バックドア15を全開状態に移行させる場合には、バックドア15が半開状態になった後にロック部材86による被係止部85のロックを解除すると、回転アーム22はガススプリング83の付勢力によって回転可能となり、ロアドア17は第2ヒンジ部材を中心にして回動する。そして、ロッド部材23及び回転アーム82からなるロッド機構が第2の状態となることで、バックドア15は全開状態となる。また、全開状態に移行したバックドア15を半開状態に移行させる場合、ロアドア17を引き下げれば、被係止部85がロック部材86の二股部分に入り込んで自動的に係止されてロッド機構は第1の状態となり、バックドア15は半開状態となる。この構成によれば、被係止部85に対するロック部材86の係止を解除する操作を行わない限り、ロッド部材23及び回転アーム82からなるロッド機構が第2の状態に移行することはない。したがって、バックドア15の後方のスペースが狭いような場合にロッド機構を確実に第1の状態に保持することができるため、バックドア15が全閉状態から半開状態に移行する際の車両後端からの突出量を確実にコンパクトにすることができる。また、被係止部を備える回転アーム、及び回転アームの回転を規制するロック部材をロアドアに設けてもよい。この場合、ガススプリングをヒンジ部材を介してロアドアに取り付けるとともに回転アームと車体とをロッド部材によって連結すれば、被係止部85に対するロック部材86の係止を解除する操作を行わない限り、ロッド部材及び回転アームからなるロッド機構が第2の状態に移行することはない。
・第1実施形態において、回転アーム22をロアドア17に設けてもよい。例えば、回転アーム22をロアドア17に設けるとともに、回転アーム22の回転を規制するストッパを回転アーム22よりも後側に設ける。また、ロアドアに付勢部材としてのガススプリングを設けるとともに、ガススプリングのロッドの先端部を回転アームに接続する。そして、バックドアが全閉状態から半開状態の間に位置する場合、ガススプリングは回転アーム22をストッパに押し付けるとともに、半開状態においてロアドアが引き上げられる方向に操作されるとガススプリングの付勢方向が切り換わって回転アームが回転する方向に付勢して、バックドアは全開状態となる。
・第2実施形態において、ガススプリング32の第1端部32aをロアドア17の側部17bに取り付けるとともに、第2端部32bをロック機構を介して車体11の後部に取り付けるように構成してもよい。この場合でも、バックドア15が半開状態に達したときにだけフックと被係止突部との係止が解除されるようにすれば、車両の後方のスペースが狭いような場合に誤ってバックドア15を全開状態に移行させてしまうことを回避できる。
・第4実施形態において、バックドア15の半開状態におけるバックドア15の内側への雨水の浸入を防止する手段として、ガーニッシュ79以外の部材を用いてもよい。例えば、ガーニッシュ79の代わりにアッパドア16の連結側端部16cを延長することで、アッパドア16の連結側端部16cがバックドア15の半開状態においてバックドア15の内側への雨水の浸入を防止するように構成してもよい。この場合、アッパドア16の連結側端部16cを第4実施形態のガーニッシュ79の端部79aと同じ位置にまで延長すれば、バックドア15の半開状態においてバックドア15の内側への雨水の浸入を防止することができる。
・第4実施形態において、シール部材の形状を変更してもよい。例えば、バックドア15が半開状態であるときに上方を向くシール部材の側面を、車両の後方に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面として形成することで、シール部材に降った雨水を車両の外側に排出するように構成してもよい。
・第4実施形態において、バックドア15が全開状態のときに、ロアドア17の連結側端部17cに降った雨水がバックドア15の内側に浸入することを抑制し、雨水を堰き止めることができる専用の部材をシール部材とは別に設けてもよい。
・バックドア15は、アッパドア16の上下方向の長さがロアドア17の上下方向の長さよりも長く形成されている構成に限らず、両者が同じ長さであっても、ロアドア17がアッパドア16よりも長く形成されていてもよい。
・本発明の支持装置が支持するドアは、バックドアに限らない。例えば、サイドドアをアッパドアとロアドアとの連結部CNが車体外方に突出するように中折れして開放される中折れ式とした場合に、この中折れ式のサイドドアを本発明の支持装置で支持するように構成してもよい。
(a)は一実施形態におけるバックドアの支持装置の概略側面図、(b)は(a)の概略部分側面図。 (a)は、バックドアが半開状態又は全開状態である状態を示す概略側面図、(b)は(a)の概略部分側面図。 (a)は別の実施形態におけるバックドアの支持装置の概略側面図、(b)はロック機構の概略斜視図、(c)は(a)の概略部分側面図。 (a)は、バックドアが半開状態又は全開状態である状態を示すバックドアの支持装置の概略側面図、(b)は(a)の一部破断部分側面図。 (a)は別の実施形態におけるガススプリングの模式側断面図、(b)は(a)の模式部分拡大図、(c)は回転子の模式斜視図、(d)は(a)で示すガススプリングの模式断面図。 (a)〜(f)はロック機構を説明する展開図。 (a)は別の実施形態において全閉状態又は半開状態であるときのバックドアを示す模式部分側面図、(b)は別の実施形態において半開状態又は全開状態であるときのバックドアを示す模式部分側面図。 (a)は別の実施形態におけるバックドアの支持装置の概略部分側面図、(b)は別の実施形態におけるバックドアの支持装置の概略部分側面図。
符号の説明
CN…連結部、Q1,Q2…仮想線、11…車体、15…中折れ式ドアとしてのバックドア、16…アッパドア、17…ロアドア、20…ロッド機構、22,82…回転アーム、23…ロッド部材、27…ストッパ部材、32…ロッド機構としてのガススプリング、33…ロック手段としてのロック機構、36…被係止部としての被係止突部、44…ロック部材としてのフック、51…操作機構としての解除操作レバー、52…操作機構としてのケーブル、53…操作機構としてのケーブルクランプ、55…操作機構としてのハンドル、85…被係止部、86…ロック部材。

Claims (7)

  1. 上端部が車体側に回動可能に連結されたアッパドアの下端に、ロアドアの上端部が回動可能に連結され、前記アッパドアと前記ロアドアとの連結部が前記車体外方に突出するように中折れして開放される車両用中折れ式ドアの支持装置において、
    前記車体と前記ロアドアとを連結するとともに、前記中折れ式ドアの全閉状態及び前記中折れ式ドアの半開状態に対応する第1の状態と、前記中折れ式ドアの全開状態に対応し、前記車体側の支点と前記ロアドア側の支点との間の距離が前記半開状態のときよりも長くなる第2の状態とに移行可能なロッド機構と、
    前記ロッド機構を前記第1の状態で保持可能なロック手段と、を備えたことを特徴とする車両用中折れ式ドアの支持装置。
  2. 前記ロッド機構は、前記車体及び前記ロアドアのうちいずれか一方に回転自在に取り付けられる回転アームと、前記回転アームと前記車体及び前記ロアドアのうちいずれか他方とを連結するロッド部材とから構成され、
    前記回転アームを付勢する付勢部材が設けられ、
    前記中折れ式ドアが前記半開状態から前記全開状態に移行する際には、前記付勢部材の付勢力によって前記回転アームが回転することで前記ロッド機構は前記第1の状態から前記第2の状態に移行する請求項1に記載の車両用中折れ式ドアの支持装置。
  3. 前記ロック手段は、前記回転アームと当接可能な位置に設けられるストッパ部材を備えるとともに、回動自在に取り付けられた前記付勢部材により前記回転アームを前記ストッパ部材に対して押し付ける方向に付勢することで前記ロッド機構を前記第1の状態に保持する請求項2に記載の車両用中折れ式ドアの支持装置。
  4. 前記回転アームに設けられた被係止部を備え、
    前記ロック手段は、前記車体又は前記ロアドアに移動可能に設けられ、前記被係止部を係止して前記回転アームの回転を規制するロック部材と、前記ロック部材を移動させて、前記被係止部と係止しない位置へ移動させる操作機構と
    を備えた請求項2に記載の車両用中折れ式ドアの支持装置。
  5. 前記ロッド機構は、前記車体又は前記ロアドアに回動可能に取り付けられた筒状のハウジング及び前記ハウジング内に一部分が挿入され、前記ハウジングに対して出没可能なロッドを備えて伸縮可能に構成され、
    前記ロック手段は、前記ロッド機構が収縮した状態で前記ロッドの出没を規制して前記ロッド機構を前記第1の状態に保持する請求項1に記載の車両用中折れ式ドアの支持装置。
  6. 前記ハウジングに設けられた被係止部を備え、
    前記ロック手段は、前記車体又は前記ロアドアに移動可能に支持され、前記被係止部を係止して前記ロッド機構を前記第1の状態に保持可能なロック部材と、前記ロック部材を移動させて前記被係止部と係止しない位置へ移動させる操作機構と
    を備えた請求項5に記載の車両用中折れ式ドアの支持装置。
  7. 前記ロック手段は、前記ロッドが没入させられることにより、前記ロッド機構を前記第1の状態で保持するロック状態と、前記ロッド機構が前記第2の状態に移行することを許容するアンロック状態とに、交互に切り換えるように構成されている請求項5に記載の車両用中折れ式ドアの支持装置。
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