JP4990129B2 - 非ELISpotアッセイ法 - Google Patents
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Description
本発明は、細胞のサンプルによる検体の産生を検出するための方法、その方法における使用のためのアッセイプレート、およびアッセイプレートを含むキットに関する。
酵素免疫スポットアッセイ法(enzyme-linked immunospot assay)(ELISpot)は、T細胞特異的反応の検出に対して広く使用される。ELISpotアッセイ法において、特異的サイトカインを分泌するT細胞は、そのサイトカインに対して特異的な抗体が固定されたELISpotアッセイプレートにおいてT細胞をインキュベートすることによって検出される。次いで、抗体に結合したサイトカインが、標準的な免疫学的試験法を使用して可視化され得る。サイトカイン産生が生じた、アッセイプレートの領域に局在する結合サイトカインのスポットは、活性化T細胞の存在を示す。各々のスポットは、単一の細胞によるサイトカイン産生を意味するので、アッセイプレートに存在する細胞の数が公知である場合、反応細胞の頻度が、形成されたスポットの数を数えることによって確定され得る。
本発明は、検体を分泌する細胞の検出が生物活性分子の使用によって高められる、改善されたELISpotアッセイ法を提供する。本発明のアッセイ法は、検体に対する特異的結合薬剤が生物活性分子と同じ表面上に固定される、アッセイプレートを利用する。生物活性分子は、特異的刺激に反応した検体の分泌を増強する役目をする。したがって、生物活性分子は、検体を分泌する細胞の検出を高める役目をする。この増強効果は、サンプルにおけるすべての潜在的反応細胞のより効果的な刺激に起因する、より多数の特異的スポットとして明示され得る。または、増強効果は、アッセイ法の経過の間の個々の細胞による検体のより高い産生に起因する、より明確なスポットにおいて明示され得る。例えば、細胞は、検体の産生がより早期の時間ポイントにおいて開始されるように、より効果的に刺激され得る。本発明のアッセイ法は、調査手段としても診断的手段としても有用である。
-サンプルにおける細胞による検体の産生を検出する方法であって、以下の段階を含む方法:
(i)検体に結合することが可能な抗体および検体の検出を高めることが可能な第一薬剤を提供する段階であって、前記抗体および第一薬剤が、同じ支持体上に固定される段階;
(ii)前記抗体および前記薬剤を細胞のサンプルに接触させる段階;ならびに
(iii)検体の前記抗体への結合を検出し、それによってサンプルにおける細胞による検体の産生を検出する段階。
-検体に対して特異的な抗体および検体を分泌する細胞の検出を高めることが可能な第一薬剤を含み、前記抗体および第一薬剤が、同じ表面上に固定される、本発明の方法における使用のためのアッセイプレート;
-本発明のアッセイプレートおよび検出手法を含むキット;ならびに
-インビトロでウイルス感染を診断するまたは抗ウイルス薬を同定するために、免疫反応をモニターするための、本発明のアッセイプレートまたはキットの使用。
本発明は、サンプルにおける細胞による検体の産生を検出するインビトロを提供し、その方法は以下の段階を含む:
(i)検体に結合することが可能な抗体および検体の検出を高めることが可能な第一薬剤を提供する段階であって、前記抗体および第一薬剤が、同じ支持体上に固定される段階;
(ii)前記抗体および薬剤を細胞のサンプルに接触させる段階;ならびに
(iii)検体の前記抗体への結合を検出し、それによってサンプルにおける細胞による検体の産生を検出する段階。
一つの好ましい態様において、細胞はT細胞である。T細胞は、概して、血液サンプルにおいて被験体から採取されるが、T細胞を含むサンプルのその他の型が使用されてもよい。サンプルは、アッセイ法に直接的に添加され得る、または処理され得る。典型的には、処理は、血液からの細胞の単離および細胞培養培地または緩衝液におけるこれらの懸濁を含み得る。細胞懸濁は、試験状況に応じて、細胞の異なる濃度を含むように希釈され得る。サンプルにおける細胞の濃度は、血液中の濃度よりも高い可能性がある。
検体は、典型的には免疫反応性物質であり、典型的にはタンパク質である。細胞がT細胞である態様において、検体は、典型的には一つまたは複数のサイトカインである。サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、もしくはIL-13などのインターロイキン、IFN-γもしくはIFN-αなどのインターフェロン、TNF-αなどのその他のサイトカイン、パーフォリン、またはグランザイムから選択され得る。好ましくは、サイトカインはIFN-γまたはIL-4である。典型的には、一つまたは複数のサイトカインは、T細胞が抗原またはアレルゲンなどの刺激物質に接触させられる際に、放出される。本発明の方法は、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の検体を、同時にまたは連続的に検出し得る。同時検出に対するサイトカインの好ましい組み合わせは、IFN-γとIL-2、IL-4、IL-5、およびIL-10の任意の一つを含む。
抗体は、検体に結合すること、好ましくは特異的に結合することが可能である。抗体は、検体に特異的に結合することが可能な任意の特異的結合薬剤によって置き換えられ得る。薬剤または抗体は、特異的な物質に対して選択的または高親和性を有して結合する場合に、物質に「特異的に結合する」が、その他の物質には結合しない、実質的には結合しない、または低親和性のみを有して結合する。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。本発明の方法における使用に対しては、モノクローナル抗体が好ましい。
検体を分泌する細胞の検出を高めることが可能な薬剤は、検体の分泌を高める物質であり得る。そのような薬剤は、陽性対照として有用である。それ故に、本発明のそのような方法は、検出を高める薬剤が使用されない方法と同時に実施され得る。この局面において、マイクロタイタープレートにおける一つまたは複数だがすべてではないウェルは、検体に対して特異的な抗体に加えて、検出を高めることが可能な薬剤を含み得る。本発明のこの態様において、細胞の検出を高めることが可能な薬剤は、CD3に対する抗体または植物性赤血球凝集素(PHA)もしくはコンバナバリン(convanavalin)A(ConA)などのレクチンなどのポリクローナル活性化因子であり得る。これらの活性化因子は、活性化T細胞の検出を高めることにおいて有用であり得る。
本発明の方法は、典型的には、特異的刺激シグナルに反応して検体を産生する細胞を検出するために使用される。従って、試験される細胞は、細胞を支持体上で抗体および検出を高めることが可能な薬剤に接触させることに先行して、例えば検体の分泌などの、産生を刺激することが可能な薬剤に接触させられ得る。代わりにまたは付加的に、細胞は、検出を高めることが可能な固定化薬剤および固定化抗体と同時に、検体の産生を刺激することが可能な薬剤に接触させられ得る。好ましくは、試験される細胞は、検出を高めることが可能な薬剤および抗体と同時に、産生を刺激することが可能な薬剤に接触させられる。細胞がT細胞である場合、産生を刺激することが可能な薬剤が、アッセイウェルに添加される、すなわち、T細胞が、産生を刺激することが可能な薬剤、検出を高めることが可能な薬剤、および抗体に同時に接触させられることが、特に好ましい。検体の産生を刺激することが可能な薬剤は、溶液中に存在し得る、または支持体上に固定され得る。
本発明の方法は、自然にまたは刺激シグナルに反応して、検体を分泌する細胞を検出するために使用され得る。本発明の方法は、検体の分泌を阻害する薬剤を同定するために使用されてもよい。そのような薬剤は、物質の自然な分泌を阻害し得る、または特異的刺激に対する物質の分泌を阻害し得る。
細胞および細胞の該検体の分泌を刺激することが可能な薬剤および試験薬剤は、分泌の刺激に適した任意の条件下で接触させられ得る。条件は、検体が固定化抗体と直接的に相互作用するのに適していてもよい。概して、細胞は、液体サンプル中に存在すると思われる。刺激薬剤または試験薬剤は、抗体および検出を高めることが可能な薬剤が固定される表面に固定され得る。次いで、細胞は、刺激薬剤または試験薬剤、抗体および検出を高めることが可能な薬剤に、同時に接触させられ得る。
固定化抗体と細胞から放出される検体との間に形成される複合体は、任意の適した手法によって検出され得る。抗体への結合の後、検体は、検体を分泌した細胞の近傍に残ると思われる。したがって、検体/抗体複合体の「スポット」は、支持体上に形成され、各々のスポットは物質を分泌する細胞を意味する。スポットを定量化すること、および典型的には対照と比較することは、検体を分泌する細胞が検出されるのを可能にする。抗体が固定される表面は、検出に先行して非結合検体を除去するために、例えばPBS中で、概して洗浄される。
本発明は、細胞によって産生され得る検体に対して特異的な抗体および検体を分泌する細胞の検出を高めることが可能な第一薬剤を含み、前記抗体および第一薬剤が同じ表面上に固定される、本発明の方法における使用のためのアッセイプレートも提供する。
本発明は、本発明の方法を実施するためのキットも提供し、キットは、本発明に従うアッセイプレートおよび検体の抗体へ結合を検出する手法を含む。
本発明の方法は、診断的応用と同様に調査状況において使用され得る。本発明の方法は、ELISpotアッセイ法の任意の公知の応用において使用され得る。本発明の方法は、特異的免疫反応を調べる調査、例えば、ワクチン研究において、特に使用され得る。本発明の方法は、様々な感染症、アレルゲン、腫瘍抗原、または自己免疫標的へのT細胞の反応を検出することを目的とする診断的アッセイ法において使用され得る。
方法
プレートの調製
PVDF膜プレート(例えば、Millipore、アメリカ合衆国が提供しているELIIP10SSP)は、150μlの70%エタノールを添加することによって前活性化される。およそ2分間のインキュベーションの後、プレートは滅菌水で洗浄される(200μl/ウェルを5回)。
新鮮に調製されたまたは凍結されたPBMC(末梢血単核細胞)が、アッセイ法に使用され得る(PBMCは標準的なプロトコールに従って調製される)。凍結細胞が使用される場合、それらは、小さな氷の結晶がチューブ内に残るまで、37℃ウォーターバス中で解凍される。約0.5 mlの培地がクライオチューブに添加され、細胞は穏やかに懸濁され、14 mlチューブに移される。培地は、12〜14 mlの量が獲得されるまで、ゆっくりと細胞に添加される。10分間900 rpmでの遠心の後、上清はピペットで除去される。細胞は培地に懸濁され(計数のためにサンプルが摘出される)、2回目の遠心をされる。上清は除去され、細胞は適当な量の培地に懸濁される。
細胞は、共刺激抗体の存在下または非存在下で、特異的抗原(例えば、PPDおよびTT、Statens Serum Institute, デンマーク;両方とも培地に希釈され、典型的には10μg/mlの濃度で使用される)への反応に対して試験される。PHA(Orion Diagnostics、2μg/ml)などのポリクローナル活性化因子が、細胞およびアッセイ法の機能性をチェックするために、陽性対照として通常は含まれる。
細胞は捨てられ、プレートはPBSで洗浄される(200μl/ウェルを5回)。0.5% FCSとともにPBS中に1μg/mlに希釈された100μl/ウェルのビオチン化抗サイトカイン(例えば、抗IL-4モノクローナル抗体、IL4-II-ビオチン、Mabtech)が添加され、約2時間インキュベートされる。次いで、プレートは、PBSで再度洗浄され(200μl/ウェルを5回)、0.5%FCSとともにPBS中に1:1000に希釈された100μl/ウェルのストレプトアビジン-ALP(Mabtech)が添加され、1時間インキュベートされる。プレートはPBSで洗浄され(200μl/ウェルを5回)、0.45μm膜を介して濾過されたBCIP/NBT-Plus基質(Moss Inc.)とともに発色させられる。明確なスポットが観察される際に、発色は、水道水で広範囲に洗浄することによって止められる。プレートは、乾燥のために放置され、結果を見るために、低倍率実体顕微鏡(例えば、Nikon、日本; 40倍)またはELISpotリーダー(例えば、AID、ドイツ)が使用される。
固定化抗CD3抗体または膜に固定されたもしくは溶液に添加されたPHAによる刺激の後の、IFN-γ産生ヒトPBMCのELISpot分析。使用された細胞数は30,000/ウェルであり、刺激の時間は18時間であった。
膜結合抗CD28の存在下または非存在下における、二つの抗原PPDおよびTTによるヒトPBMCの特異的刺激。ELISpotは、200,000細胞/ウェルで実行され、40時間のインキュベーションの後に、IL-4およびIL-13産生細胞に対して分析された。結果は、3回の平均値を表す。
Claims (26)
- サンプルにおける細胞による検体の産生を検出する方法であって、以下の段階を含む方法:
(i)検体に結合することが可能な抗体、ならびに検体の分泌を高めることによりまたは刺激シグナルが検体の自然な分泌を抑制するのを阻害することにより検体の検出を高めることが可能な第一薬剤を提供する段階であって、該抗体および該第一薬剤が同じ支持体上に固定され、該抗体および該第一薬剤が固定化される表面はPVDFまたはニトロセルロース膜であり、該支持体は該抗体および該第一薬剤によって均一にコーティングされている段階;
(ii)該抗体および該薬剤を細胞のサンプルに接触させる段階;ならびに
(iii)該検体の該抗体への結合を検出し、それによってサンプルにおける細胞による検体の産生を検出する段階。 - 二つまたはそれ以上の抗体が、支持体上に固定される、請求項1記載の方法。
- 第一薬剤が検体の分泌を高めることが可能である、請求項1または2記載の方法。
- 細胞が、検体の分泌を刺激するまたは阻害することが可能な第二薬剤に接触させられている、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 段階(ii)が、細胞のサンプルを、検体の分泌を刺激するまたは阻害することが可能な第二薬剤に接触させることをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 第二薬剤が支持体上に固定される、請求項5記載の方法。
- 第一薬剤が、第二薬剤に反応した検体の分泌を増強することが可能である、請求項4〜6のいずれか一項記載の方法。
- 第一薬剤が、検体の分泌を高めるために抑制シグナルを阻害することが可能である、請求項3または7記載の方法。
- 第一薬剤が、検体の自然な分泌を低減するために刺激シグナルを阻害することが可能である、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
- 検体の検出を高めることが可能なさらなる薬剤が、支持体上に固定される、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
- 細胞がT細胞である、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
- 検体がサイトカインである、請求項11記載の方法。
- 第一薬剤が以下のものである、請求項11または12記載の方法:
(a)ポリクローナルT細胞活性化因子;
(b)共刺激剤に対する抗体または組換えリガンド;
(c)サイトカイン;
(d)IL-10またはTGF-βである免疫刺激性シグナルを阻害することが可能である薬剤;
(e)細胞外マトリクスタンパク質;または
(f)ウイルス活性化因子。 - (a)ポリクローナルT細胞活性化因子が、CD3抗体またはPHAもしくはConAなどのレクチンである;
(b)共刺激剤が、CD28、ICOS、もしくはCD40である;
(c)サイトカインが、IL-2、IL-15、IL-4、もしくはIL-12である;
(d)細胞外マトリクスタンパク質がフィブロネクチンもしくはラミニンである;または
(e)ウイルス活性化因子が、T細胞においてウイルス複製を活性化するCD3抗体もしくはPHAである、
請求項13記載の方法。 - 細胞がウイルス感染細胞である、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
- 検体がウイルス粒子またはタンパク質である、請求項15記載の方法。
- ウイルスがHIV、EBV、またはCMVである、請求項15または16記載の方法。
- 検体を分泌する細胞の数を決定することをさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
- 検体に対して特異的な抗体、ならびに検体の分泌を高めることによりまたは刺激シグナルが検体の自然な分泌を抑制するのを阻害することにより検体を分泌する細胞の検出を高めることが可能な第一薬剤を含み、該抗体および該第一薬剤が、PVDFまたはニトロセルロース膜である同じ表面上に均一に固定される、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法における使用のためのアッセイプレート。
- 第一薬剤が、
(i)検体の分泌を高めることが可能であるか、
(ii)第二薬剤に反応した検体の分泌を増強することが可能であるか、
(iii)検体の分泌を高めるために抑制シグナルを阻害することが可能であるか、または
(iv)検体の自然な分泌を低減するために刺激シグナルを阻害することが可能である、
請求項19記載のアッセイプレート。 - 第一薬剤が、
(a)ポリクローナルT細胞活性化因子;
(b)共刺激剤に対する抗体または組換えリガンド;
(c)サイトカイン;
(d)IL-10またはTGF-βである免疫刺激性シグナルを阻害することが可能である薬剤;
(e)細胞外マトリクスタンパク質;または
(f)ウイルス活性化因子
である、請求項19記載のアッセイプレート。 - (a)ポリクローナルT細胞活性化因子が、CD3抗体またはPHAもしくはConAなどのレクチンである;
(b)共刺激剤が、CD28、ICOS、もしくはCD40である;
(c)サイトカインが、IL-2、IL-15、IL-4、もしくはIL-12である;
(d)細胞外マトリクスタンパク質がフィブロネクチンもしくはラミニンである;または
(e)ウイルス活性化因子が、T細胞においてウイルス複製を活性化するCD3抗体もしくはPHAである、
請求項21記載のアッセイプレート。 - 表面上に固定される、検体の分泌を刺激するまたは阻害することが可能な第二薬剤をさらに含む、請求項19〜22のいずれか一項記載のアッセイプレート。
- 一つまたは複数のウェルを含み、各々のウェルが、50〜100ngのタンパク質結合能力を有する、請求項19〜23のいずれか一項記載のアッセイプレート。
- 請求項21〜24のいずれか一項記載のアッセイプレートおよび検出手段を含む、キット。
- 免疫反応をモニターするため、インビトロでウイルス感染を検出するため、または抗ウイルス薬を同定するための、請求項19〜24のいずれか一項記載のアッセイプレートまたは請求項25記載のキットの使用。
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