JP4987504B2 - 蓄電池状態測定装置、蓄電池劣化判定方法、蓄電池劣化判定プログラム - Google Patents
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Description
ここで、組電池を構成する単位電池全体に均一な劣化が進行する場合、組電池を1つの単位として管理し、組電池の劣化を判定することができる。
このような現象は、要求された機能に対する組電池としての放電時間の短縮に繋がる。これは、組電池が非常用電源設備として要求された機能を満足できないことを意味し、放電終止電圧までの持続時間を維持することができなくなることから、重大事故を引き起こす原因となる。
一方、メンテナンス工数を削減するために、制御弁式鉛蓄電池が非常用電源として用いられた場合には、単位電池の劣化に伴って内部抵抗が顕著に増加する現象が確認されていることから、単位電池の内部抵抗の変化を監視することで、単位電池の劣化を検出することができる。
また、例えば、特許文献1には、バッテリー駆動回路の動作開始時および動作停止時におけるバッテリーの端子電圧を測定し、そのバッテリーの測定端子電圧から内部抵抗の変化量を求め、その内部抵抗の変化量に基づいてバッテリーの消耗度を検知する方法が開示されている。
そこで、本発明の目的は、蓄電池の劣化の判定精度を確保しつつ、蓄電池の劣化の判定にかかる期間を短くすることが可能な蓄電池状態測定装置、蓄電池劣化判定方法、蓄電池劣化判定プログラムを提供することである。
また、請求項3記載の蓄電池劣化判定方法によれば、蓄電池の放電後に前記蓄電池の内部抵抗が一時的に低下する現象に基づいて、前記蓄電池の放電前後における内部抵抗をそれぞれ計測し、前記蓄電池の劣化状態を判定することを特徴とする。
また、請求項5記載の蓄電池劣化測定プログラムによれば、蓄電池の放電前後における内部抵抗をそれぞれ計測させるステップと、前記放電前後においてそれぞれ計測された内部抵抗の変化の度合いを算出するステップと、前記放電前後においてそれぞれ計測された内部抵抗の変化の低下度合いに基づいて前記蓄電池の劣化状態を判定するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電池状態測定装置が用いられる蓄電池のシステムの概略構成を示すブロック図である。
図1において、電力系統1は、100Vまたは200Vの交流電圧を供給することができる。また、充電器2は、蓄電池3の充電時に蓄電池3に接続され、電力系統1から供給される交流電圧を直流電圧に変換してから蓄電池3に出力することができる。また、蓄電池3は、インバータ4を介して交流負荷5に接続されるとともに、直流負荷6に直接接続される。なお、蓄電池3は、鉄道用非常用電源などのように計画的に停電が頻繁に繰り返されるような非常用電源設備として用いることができる。
すなわち、蓄電池状態測定装置7には、蓄電池3の放電を検出する放電検出手段11、放電前後における蓄電池3の内部抵抗を計測する内部抵抗計測手段12、内部抵抗計測手段12にて計測された蓄電池3の内部抵抗データを記憶する内部抵抗記憶手段13、放電前後における蓄電池3の内部抵抗の低下度を算出する内部抵抗低下度算出手段14および内部抵抗低下度算出手段14にて算出された蓄電池3の内部抵抗の低下率に基づいて蓄電池3の劣化状態を判定する劣化状態判定手段15が設けられている。
そして、放電検出手段11にて蓄電池3の放電が検出されると、内部抵抗計測手段12はその放電後に蓄電池3の内部抵抗を計測し、その内部抵抗データを内部抵抗記憶手段13に記憶する。
これにより、放電前後における蓄電池3の内部抵抗を比較しながら蓄電池3の劣化状態を判定することができ、浮遊充電状態における蓄電池3の内部抵抗を比較する方法に比べて、短期間における内部抵抗の変化幅を大きくすることができる。このため、長期間に渡って内部抵抗のデータを蓄積することなく、蓄電池3の劣化状態を判定することが可能となり、蓄電池3の劣化の判定精度を確保しつつ、蓄電池3の劣化を短期間で判定することが可能となる。
ΔR=(R1−R2)/R1
そして、劣化判定のしきい値をTHとすると、
・ΔR≧THの場合 :蓄電池3は劣化
・0≦ΔR<THの場合:蓄電池3は正常
・ΔR<0の場合 :蓄電池3は異常
と判定することができる。
なお、浮遊充電は通常状態の蓄電池3の電圧を維持するための充電であるため、浮遊充電時の充電電流は0.01C以下程度に抑制される。一方、回復充電は放電した蓄電池3の容量を早期に回復させるための充電であるため、充電電流は0.1C程度に設定される。
図2において、蓄電池3では放電後に内部抵抗が一時的に低下する傾向が認められる。そして、放電前後における蓄電池3の内部抵抗の低下率ΔRと蓄電池3の劣化状態とは相関が認められ、放電前後における蓄電池3の内部抵抗の低下率ΔRが大きくなるほど、蓄電池3の劣化が進行していることが判る。
すなわち、蓄電池3の放電後は、蓄電池3の充電により電池容量を回復させるため、通常の浮遊充電状態よりも充電電流が大幅に増加し、電極表面の活性化が図られることから内部抵抗が一時的に低下する。
このため、浮遊充電状態における蓄電池3の内部抵抗の変化幅に比べて、放電前後における蓄電池3の内部抵抗の変化幅を大きくすることができ、蓄電池3の劣化状態を精度よく判定することが可能となる。
ここで、蓄電池3の内部抵抗の絶対値が同程度の値であっても、劣化が進行している蓄電池3の方が放電前後における内部抵抗の低下率が大きくなる。このため、蓄電池3の内部抵抗の絶対値を監視しただけでは、蓄電池3の劣化を判断できない場合においても、放電前後における蓄電池3の内部抵抗の低下率を用いることで、蓄電池3の劣化状態を特定することが可能となる。
そして、このプログラムをCD−ROMなどの記憶媒体に記憶しておけば、コンピュータに記憶媒体を装着し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、内部抵抗低下度算出手段14および劣化状態判定手段15で行われる処理を実現することができる。また、このプログラムをインターネットやLANなどの通信網を介してダウンロードすることにより、このプログラムを容易に普及させることができる。
また、内部抵抗計測手段12は、計画停電などによって蓄電池3の放電日時が予め判っている場合には、蓄電池3の放電日時に合わせて蓄電池3の放電前後における内部抵抗を計測することができる。そして、内部抵抗低下度算出手段14は、内部抵抗計測手段12にて計測された放電前後における蓄電池3の内部抵抗に基づいて、内部抵抗の低下率を算出することができる。
この直流電源装置について、工場の計画停電時にその機能の確認試験を実施した。そして、計画停電の1日前に蓄電池の内部抵抗を測定するとともに、計画停電の1日後に蓄電池の内部抵抗を測定した。また、蓄電池の放電時の容量(計画停電による放電に伴って、各単位電池が終止電圧である1.8Vに達するまでの放電持続時間)も測定した。
図3、4において、放電前後における内部抵抗の低下率ΔRが大きいセルは放電持続時間が短く、放電前後における内部抵抗の低下率ΔRはセルの劣化の検出に有効であることが判る。例えば、No.1からNo.4までのセルのうち、放電前後における内部抵抗の低下率ΔRが相対的に大きなNo.1およびNo.4のセルは放電持続時間が相対的に短く、放電前後における内部抵抗の低下率ΔRが相対的に大きなNo.2およびNo.3のセルは放電持続時間が相対的に長いことから、放電前後における内部抵抗の低下率ΔRを用いることで、No.1およびNo.4のセルはNo.2およびNo.3のセルに比べて劣化が進行していると判断することができる。
また、放電前後における蓄電池3の内部抵抗の低下率ΔRとともに、浮遊充電状態における蓄電池3の内部抵抗の絶対値を併用することで、蓄電池3の劣化の判定精度を向上させることができる。
すなわち、内部抵抗計測手段12は、組電池を構成する各単位電池の内部抵抗を交流四端子法にて定期的に測定し、その内部抵抗データをその測定日時とともに内部抵抗記憶手段13に記憶させることができる。そして、放電検出手段11は、単位電池の端子電圧を監視し、端子電圧が所定値以下に低下したならば、単位電池の放電が発生したと判断し、内部抵抗低下度算出手段14は、その放電日時の前後の内部抵抗データを内部抵抗記憶手段13から読み出し、その内部抵抗データを用いることで、内部抵抗の低下率ΔRを算出することができる。
また、放電前後における単位電池の内部抵抗の低下率ΔRとともに、浮遊充電状態における単位電池の内部抵抗の絶対値を併用することで、単位電池の劣化の判定精度を向上させることができる。例えば、浮遊充電状態における内部抵抗は初期値の150%未満であっても、内部抵抗の低下率ΔRが0.1以上の場合には、その単位電池は劣化していると判断して、警報を発信させるようにしてもよい。
2 充電器
3 蓄電池
4 インバータ
5 交流負荷
6 直流負荷
7 蓄電池状態測定装置
11 放電検出手段
12 内部抵抗計測手段
13 内部抵抗記憶手段
14 内部抵抗低下度算出手段
15 劣化状態判定手段
Claims (5)
- 蓄電池の放電前後における内部抵抗をそれぞれ計測する内部抵抗計測手段と、
前記放電前後においてそれぞれ計測された内部抵抗の変化の度合いを算出する変化度算出手段と、
前記放電前後においてそれぞれ計測された内部抵抗の変化の低下度合いに基づいて前記蓄電池の劣化状態を判定する蓄電池状態判定手段とを備えることを特徴とする蓄電池状態測定装置。 - 前記内部抵抗の変化の低下度合いは、浮遊充電時の内部抵抗をR1、放電後の回復充電時または放電直後の内部抵抗をR2とすると、
(R1−R2)/R1
であることを特徴とする請求項1記載の蓄電池状態測定装置。 - 蓄電池の放電後に前記蓄電池の内部抵抗が一時的に低下する現象に基づいて、前記蓄電池の放電前後における内部抵抗をそれぞれ計測し、前記蓄電池の劣化状態を判定することを特徴とする蓄電池劣化判定方法。
- 蓄電池の放電前後における内部抵抗をそれぞれ計測するステップと、
前記放電前後においてそれぞれ計測された内部抵抗の変化の度合いを算出するステップと、
前記放電前後においてそれぞれ計測された内部抵抗の変化の低下度合いに基づいて前記蓄電池の劣化状態を判定するステップとを備えることを特徴とする蓄電池劣化判定方法。 - 蓄電池の放電前後における内部抵抗をそれぞれ計測させるステップと、
前記放電前後においてそれぞれ計測された内部抵抗の変化の度合いを算出するステップと、
前記放電前後においてそれぞれ計測された内部抵抗の変化の低下度合いに基づいて前記蓄電池の劣化状態を判定するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする蓄電池劣化判定プログラム。
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