JP4986666B2 - 吸収冷凍機 - Google Patents
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Description
ところが、構造が複雑で専用の熱交換器を吸収器本体内に組み込むために高価になる不都合がある。
すなわち、空冷吸収器の円筒状の伝熱器体中に蒸発器が一体に組み込んで構成され、再生器からの臭化リチウム濃溶液を上部空間側溶液散布トレイに導入し、その溶液散布トレイから伝熱器体の内壁面に液膜状態で流下させるとともに下部側液溜め部からの冷媒蒸気吸収後の臭化リチウム希溶液を溶液ポンプによりクロスフィン熱交換器構造よりなる空冷吸収液冷却器を介設した吸収液循環路(希溶液循環路)を通してスプレーノズルに導入した後、伝熱器体の上部空間側内壁面に霧状に吹き付けて上方から下方に緩やかに流下させ、各流下状態において蒸発器で蒸発し、エリミネータを介して拡散供給される冷媒蒸気を吸収させるようになっている(特許文献1参照)。
そこで、吸収器本体の上部から吸収液を液滴状態で散布するように構成したものがあるが、次のような問題があった。
散布された液滴の落下時間が重力加速度を受けて速くなり、下方になるほど冷媒蒸気との接触時間が短くなり、また、液滴の表面で冷媒蒸気が吸収され、下方になるほど液滴の表面の吸収液の濃度が減少し、吸収性能が低下する問題があった。
横一側面に蒸発器に連なって冷媒蒸気を導入する導入路を備えた吸収器本体と、前記吸収器本体の上部に設けられて、吸収液を液滴として散布する吸収液散布手段と、前記吸収液散布手段に供給される前に吸収液を過冷却する過冷却器とを備えた吸収冷凍機において、
前記吸収液散布手段を、吸収液を水平方向に分散して吸収液散布孔から液滴状態で滴下するトレイを備えて構成し、前記トレイの下方に、前記トレイから散布されて吸収液を吸収した液滴を受け留める中間トレイを複数段設けるとともに、前記中間トレイに、受け留めた吸収液を分散して液滴として散布する散布孔を分散させて設け、かつ、前記吸収液散布孔および前記散布孔の直径を1〜2mmに構成するとともに、前記トレイからの液滴散布開始位置と最上位の前記中間トレイからの液滴散布開始位置との鉛直方向の間隔、および、上下方向で隣り合う前記中間トレイどうしの液滴散布開始位置の鉛直方向の間隔を25〜45mmに設定してあることを特徴としている。
請求項1に係る発明の吸収冷凍機の構成によれば、トレイから液滴状態で滴下された液滴を中間トレイに受け留め、更に、その中間トレイから液滴として落下させ、重力加速度を受ける高さを減少させて、全体として最下端まで落下するのに要する時間を長くし、冷媒蒸気との接触時間を長くすることができる。また、冷媒蒸気の吸収によって表面の吸収液の濃度が低下した液滴どうしを混合した後、再度液滴として落下させ、液滴表面の吸収液の濃度を高くすることができる。更に、液滴の自然落下距離を短くして冷媒蒸気の流れ方向の力を受けての水平方向での移動距離を短くすることができる。
また、吸収液散布孔および散布孔の直径が1mm未満では、冷媒蒸気の流れの力を受けての液滴の水平方向での移動距離が大きくなって下流側の液滴と接触して大きな液滴になり表面積が減少する。一方、吸収液散布孔および散布孔の直径が2mmを越えると、液滴自体の表面積が減少する。これらのことに鑑み、吸収液散布孔および散布孔の直径を1〜2mmに構成するから、液滴自体の、および、冷媒蒸気の流れの力を受けての接触による表面積の減少を回避でき、より良好に吸収性能を向上できる。
しかも、鉛直方向の間隔が25mm未満では、冷媒蒸気の流れを中間トレイによって阻害される。一方、鉛直方向の間隔が45mmを越えると、液滴の落下時間が短くなる。これらのことに鑑み、鉛直方向の間隔を25〜45mmに設定する。
したがって、冷媒蒸気の流れを阻害せずに冷媒蒸気と液滴との接触時間を長くするとともに、冷媒蒸気が接触する液滴表面の吸収液の濃度を極力高くし、更に、冷媒蒸気の流れ方向の力を受けて液滴が下流側の液滴に接触して大きな液滴になることを回避できるから、吸収液に冷媒を吸収させる吸収性能を向上できる。
請求項1に記載の吸収冷凍機において、
トレイ内に、凹部の底部に貫通孔が分散して形成された凹凸状の充填材を凹凸方向が交互になる状態で複数段充填して構成する。
請求項2に係る発明の吸収冷凍機の構成によれば、トレイに供給された吸収液を、最上部の充填材で凹部に沿って流しながら、貫通孔からそれより下方の充填材に供給し、その充填材で方向の異なる凹部に沿って流しながら、貫通孔からそれより下方に供給することができるから、吸収液を水平方向に分散して供給できる。
請求項1または2に記載の吸収冷凍機において、
吸収液散布孔および散布孔の直径と冷媒蒸気の流れ方向で隣り合う前記吸収液散布孔および前記散布孔の間隔との比を1:3〜1:4に構成する。
直径と間隔との比が1:3未満では、冷媒蒸気の流れ方向の力によって隣り合う吸収液散布孔および散布孔から落下される液滴が接触し、大きな液滴になって表面積が減少する不都合がある。一方、直径と間隔との比が1:4を越えると、必要量の吸収液を散布する上で、吸収液散布孔および散布孔を形成する面積が大きくなって機体が大型化する。これらのことに鑑み、請求項3に係る発明の吸収冷凍機の構成によれば、直径と間隔との比を1:3〜1:4にするから、機体を大型化することなく液滴との接触面積を大きくしてより良好に吸収性能を向上できる。
また、吸収液散布孔および散布孔の直径が1mm未満では、冷媒蒸気の流れの力を受けての液滴の水平方向での移動距離が大きくなって下流側の液滴と接触して大きな液滴になり表面積が減少する。一方、吸収液散布孔および散布孔の直径が2mmを越えると、液滴自体の表面積が減少する。これらのことに鑑み、吸収液散布孔および散布孔の直径を1〜2mmに構成するから、液滴自体の、および、冷媒蒸気の流れの力を受けての接触による表面積の減少を回避でき、より良好に吸収性能を向上できる。
しかも、鉛直方向の間隔が25mm未満では、冷媒蒸気の流れを中間トレイによって阻害される。一方、鉛直方向の間隔が45mmを越えると、液滴の落下時間が短くなる。これらのことに鑑み、鉛直方向の間隔を25〜45mmに設定する。
したがって、冷媒蒸気の流れを阻害せずに冷媒蒸気と液滴との接触時間を長くするとともに、冷媒蒸気が接触する液滴表面の吸収液の濃度を極力高くし、更に、冷媒蒸気の流れ方向の力を受けて液滴が下流側の液滴に接触して大きな液滴になることを回避できるから、吸収液に冷媒を吸収させる吸収性能を向上できる。
蒸発器7の下部と冷媒液用液溜め部13とにわたって、冷媒ポンプ15および冷熱取り出し用熱交換器16を介装した循環配管17が接続されている。
冷熱取り出し用熱交換器16に、ガスヒートポンプ用の冷媒入口管18と冷媒出口管19とが接続され、吸収器5における吸収液による冷媒の吸収に伴って冷媒液を蒸発冷却し、その冷却冷媒液によってガスヒートポンプ用の冷媒を冷却するようになっている。
充填材25の上部に、スプレーノズル27が設けられ、そのスプレーノズル27と吸収器5の下部とが、吸収液ポンプ28と過冷却器29とを介装した第4の配管30を介して接続され、吸収液を循環しながら過冷却し、吸収液に吸収させる冷媒量を増加し、更に、吸収液を充填材25上に散布し、トレイ22内での液深を大きくしながら水平方向に分散して吸収液を供給し、吸収液散布孔23から液滴状態で滴下できるようになっている。29aは、過冷却器29のファンを示している。
吸収液散布手段21としては、外寸が縦横320×317mmで周壁の厚みが40mmのトレイ22に、縦方向(冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向)に22mmのピッチで15列、かつ、横方向(冷媒蒸気の流れ方向)に5.5mmのピッチで、直径1.6mmの吸収液散布孔23を各列55個(合計825個)形成したものを使用した。
一方、中間トレイ34としては、外寸が縦横320×317mmで周壁の厚みが15mmのものを使用し、その中間トレイ34に上述吸収液散布孔23と同じ配置で散布孔35を形成したものを使用した。
上記結果から、冷凍能力を8kW以上確保するうえで、トレイ22からの液滴散布開始位置と最上位の中間トレイ34からの液滴散布開始位置との鉛直方向の間隔(ピッチ)、および、隣り合う中間トレイ34どうしの液滴散布開始位置の鉛直方向の間隔(ピッチ)それぞれ、すなわち、トレイピッチを25〜45mmにするのが好ましいことがわかった。
外寸が縦横320×317mmで周壁の厚みが40mmのトレイ22に、縦方向(冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向)に22mmのピッチで15列、かつ、横方向(冷媒蒸気の流れ方向)に5.5mmのピッチで、直径1mmの吸収液散布孔23を各列55個(合計825個)形成したものと、同様にして直径2mmの吸収液散布孔23を形成したものとを準備した。
上記結果から、吸収液散布孔23の直径が1mmのものの場合、図7に示すように、冷媒蒸気の流速が2m/sでは、落下距離45mmでの水平移動距離が約1.5mmである。
一方、吸収液散布孔23の直径が2mmのものの場合、図8に示すように、冷媒蒸気の流速が2m/sでは、落下距離45mmでの水平移動距離が約0.5mmであった。吸収液散布孔23の直径が大きくなれば、水平移動距離が小さくなるが、表面積が減少するため、通常の処理における冷媒蒸気の流速の範囲が2m/s以下であることを考慮すれば、その直径としては2mm以下にするのが好ましい。
8…エリミネータ(導入路)
20…吸収器本体
21…吸収液散布手段
22…トレイ
23…吸収液散布孔
25…充填材
26…貫通孔
29…過冷却器
34…中間トレイ
35…散布孔
Claims (3)
- 横一側面に蒸発器に連なって冷媒蒸気を導入する導入路を備えた吸収器本体と、前記吸収器本体の上部に設けられて、吸収液を液滴として散布する吸収液散布手段と、前記吸収液散布手段に供給される前に吸収液を過冷却する過冷却器とを備えた吸収冷凍機において、
前記吸収液散布手段を、吸収液を水平方向に分散して吸収液散布孔から液滴状態で滴下するトレイを備えて構成し、前記トレイの下方に、前記トレイから散布されて吸収液を吸収した液滴を受け留める中間トレイを複数段設けるとともに、前記中間トレイに、受け留めた吸収液を分散して液滴として散布する散布孔を分散させて設け、かつ、前記吸収液散布孔および前記散布孔の直径を1〜2mmに構成するとともに、前記トレイからの液滴散布開始位置と最上位の前記中間トレイからの液滴散布開始位置との鉛直方向の間隔、および、上下方向で隣り合う前記中間トレイどうしの液滴散布開始位置の鉛直方向の間隔を25〜45mmに設定してあることを特徴とする吸収冷凍機。 - 請求項1に記載の吸収冷凍機において、
トレイ内に、凹部の底部に貫通孔が分散して形成された凹凸状の充填材を凹凸方向が交互になる状態で複数段充填してある吸収冷凍機 - 請求項1または請求項2に記載の吸収冷凍機において、
吸収液散布孔および散布孔の直径と冷媒蒸気の流れ方向で隣り合う前記吸収液散布孔および前記散布孔の間隔との比を1:3〜1:4に構成してある吸収冷凍機。
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