JP4986564B2 - スライド構造 - Google Patents
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Description
図11に標準的なスライドのセル孔51を示す。スライドはガラス板で形成され、セル孔51の直径Dが2.5mmあって、隣接するセル孔51のピッチ間距離Lが4.5mmであり、例えば、4列×12行の48タイプのものがある。従来この種のスライドにはプラスチック製の一体成型品やガラス製でも表面に疎水コートしてウェルを分割した製品が主であった。
そして、セル孔51に細胞などの試料を入れ、培養液を内部にいれて細胞の培養を行っていた。生細胞の詳細な観察には、顕微鏡による蛍光観察が行われる。図12に示すように、蛍光観察は、スライド50の下に顕微鏡を配置し、スライドの上には光源52を配置し、特定の部位に蛍光標識された細胞を観察する方法である。対物レンズ53には浸積媒質(水、イマージョンオイル、グリセリン)が塗られる。
(1)スライドには所定の数のセルを所定とおりの配置とすること。
(2)セル内で溶剤が溶出することによって、生細胞へ悪影響を生じないこと。
(3)セル内に必要量の培養液及び細胞数が確保できる最小限の容積を有すること。
(4)生細胞の詳細状態を観察のため蛍光法を用いるが、セルから不要なノイズ光を発生しないこと。
(5)セル間で励起光によるセル内での蛍光が、リークなどで隣接するセル内に干渉しない(セル間は遮光する)こと。
(6)スライドとして保管・移動などのために、液体窒素環境での冷却を可能とすること。
(7)底板を通した顕微鏡観察(下側からの高倍率観察)では、底板の平面度が良好かつ異常な蛍光を発することがないことで、内部の細胞が歪みなく明瞭に観察できること。
(8)培養細胞を剥離することなくセル内の培養液の補充、交換がしやすいこと、などの基本的事項がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、上記基本的事項を従来よりも、培養細胞を剥離することなく、より優れた方法で培養細胞を形態観察することができるスライドを提供することを目的とする。
前記セル孔の底部を形成する底板と、該底板の上に設けられ前記セル孔としての貫通孔を形成したホルダー板とから構成され、前記底板がホウ珪酸ガラスによって形成され、前記ホルダー板が結晶シリコンで形成されている。該スライド構造は、ホウ珪酸ガラスの底板と結晶シリコンのホルダー板とを陽極接合法又は常温接合法で接合していることが好ましい。
上記スライド構造は、前記底板の厚さが0.05mm〜0.25mmの範囲であることが好ましい。
上記スライド構造は、前記セル孔の底部に該底部から上方へ突出する段部を形成することが好ましい。
上記発明は、底板の厚さが0.05mm〜0.25mmの範囲とすることにより、40倍以上の液浸対物レンズが使用できるようになった。
上記発明は、セル孔の底部に該底部から上方へ突出する段部を形成したので、段部を介してセル孔に溶液を供給することができ、セル孔の培養細胞等の剥離を防止することができる。
図1は、本発明に係るスライド1を示す。スライド1は、ホルダー板2と底板3とから構成されている。ホルダー板2及び底板3は共に四角形の板材によって形成されている。ホルダー孔2には、該ホルダー板2を上下に貫通するセル孔4を形成している。図1では、セル孔4を4隅のみ示しているが、セル孔4はSBS規格のウェルピッチによって形成されている。ただし、仕様よっては、SBS規格準じないウェルピッチや孔径のものであってもよい(これについては、以下の実施形態についても同じである)。
本実施形態では、図2に示すように、ホルダー板2の高さT1は標準5mmとし、1〜10mmのものがある。底板3の厚さは、標準0.15mmとしているが、0.05〜0.25mmとすることが好ましい。
スライド1の移動・保管面では液体窒素環境での保冷に対し、問題なく使用することができる。理由としては、結晶シリコンとホウ珪酸系ガラスの熱膨張係数(CTE)がほぼ同じであることに拠っている。なお、室温時のCTEとして、結晶シリコンは約3.3ppm/Kであり、ガラスは3.5ppm/Kとほぼ同一である。スライド1の輸送・保管のために強度を増強する必要がある場合には、底板3を2重構造にしてもよい。
図3は、本実施形態に係るスライド11の断面図であり、図4はスライド11の製造過程における斜視図である。
スライド11は、ホルダー板12と底板13及び円筒形のパイプ14から構成されている。ホルダー板12にはパイプ14が軸を上下方向に向けて配置され、ホルダー板12の下部には、底板13が設けられている。パイプ14の内部はセル孔15として形成され、セル孔15の底面には底板13で形成されている透視面16が設けられている。ホルダー板12の材質は、不透明プラスチックを使用し、底板13及びパイプ14の材質は、それぞれ石英ガラスが用いられている。
この様な用途では石英ガラス厚を0.1〜0.2mm程度薄く加工することで、顕微鏡での明瞭な観察を容易にすることができる。本実施形態では、従来観察が困難であった40倍以上の液浸対物レンズの観察が可能になった。
図5は、本実施形態に係るスライド21の斜視図である。スライド21は、ホルダー板22と底板23とから構成されている。ホルダー板22及び底板23は共に四角形の板材によって形成されている。ホルダー板22には、該ホルダー板22を上下に貫通するセル孔24を形成している。
本実施形態では、図2に示すように、ホルダー板2の高さT1は標準5mmとし、1〜10mmのものがある。底板3の高さは、標準0.15mmとしているが、0.05〜0.25mmとすることが好ましい。
図6は、有底円筒形状のセル筒32を示し、セル筒32は筒状のパイプ33と円板形状の底板34とからなる。パイプ33の材質は、黒色石英ガラス板であり、上記第3の実施形態と同じ素材のものを使用し、底板34は透明な石英ガラス板を使用している。パイプ33の高さは、標準5mmとし、1〜10mmのものがある。底板34の高さは、標準0.15mmとしているが、0.05〜0.25mmとすることが好ましい。
このようなスライド31は、セル筒32の内部がセル孔となって、底板34の底部が顕微鏡のための透視面となる。
黒色石英ガラスは、一般的に高価なため、各セルを最小限の分離・独立の容器とし、それらをプラスチック素材などに配置・固定することによって、コストの安いスライドを得ることができる。
図6に示すセル筒32は、パイプ32の材質を黒色石英ガラス板とし、底板34を透明な石英ガラス板を使用したが、図8に示すようにセル筒37のパイプ38を石英ガラスとし、底板39を石英ガラスとし、図7に示すホルダー板35の貫通孔36にセル筒37を挿入してもよい。このようにしても、コストの安いスライドを得ることができる。
図9は、本実施形態のスライドの平面図であり、図10は図9のA−A線方向の断面図である。ほぼ有底円筒形状のセル筒42を示し、セル筒42は筒状のパイプ43と円板形状の底板44とからなる。パイプ43の材質は、石英ガラス又は黒色石英ガラス板であり、黒色石英ガラスは、上記第3の実施形態と同じ素材のものを使用し、底板44は透明な石英ガラス板を使用している。パイプ43の高さは、標準5mmとし、1〜10mmのものがある。底板44の高さは、標準0.15mmとしているが、0.05〜0.25mmとすることが好ましい。
使用するホルダー板については、図7に示すホルダー板35と同じであり、セル筒42の形状と同じ貫通孔36を複数形成し、貫通孔36の長さはセル筒42の軸方向長さに一致させている。ホルダー板35の材質は、プラスチックなどの安価な材料を費用できる。このホルダー板35の貫通孔36にセル筒42を嵌合し、接着することによってスライド41が完成する。
本実施形態では、段差部46を形成しているので、セル孔45内に細胞を培養しているときに、培養液等の注入や交換をするような場合に、セル孔45にピペット(図示せず)によって培養液を注入する。この際、ピペットの培養液の注出先を段差部46に向けることで、段差部46に培養液を滴下し、段差部46を介して培養液をセル孔45に入れることができる。よって、細胞がピペットから直接、培養液を注がれることを防止し、液交換、液注入を繰り返しても細胞の剥がれや損傷を防止できる効果がある。
上記第2の実施形態では、石英ガラスのパイプ14を用いて、パイプ14を石英ガラスの底板13に接合したが、上記第1及び第3の実施形態のように、セル孔を形成した石英ガラスのホルダー板を用い、このホルダー板を底板13に接合してもよい。
上記第5の実施形態の段差部46については、上記第1〜第3の実施形態のスライド1,11,21のように、ホルダー板2,12,22と底板3,13,23から構成されるものについても適用できる。このような場合は、底板3,13,23に段差部46を形成する。セル筒42については、パイプ43側に段差部46を形成したが、底板44側に段差部46を形成してもよい。さらには、この段差部46については、従来のガラスや透明プラスチックなどのセル孔に段差部を形成しても、細胞の剥離を防止できる。
2,12,22,35 ホルダー板
3,13,23,34,44 底板
4,15,24,45 セル孔
15,16 透視面
37,42 セル筒
46 段差部
Claims (4)
- スライドの表面側に試料を入れるセル孔を有し、該セル孔の底部に顕微鏡観察用の透視面を有するスライド構造であって、
前記セル孔の底部を形成する底板と、該底板の上に設けられ前記セル孔としての貫通孔を形成したホルダー板とから構成され、
前記底板がホウ珪酸ガラスによって形成され、前記ホルダー板が結晶シリコンで形成されていることを特徴とするスライド構造。 - 前記底板の厚さが0.05mm〜0.25mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のスライド構造。
- 前記セル孔の底部に該底部から上方へ突出する段部を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のスライド構造。
- ホウ珪酸ガラスの底板と結晶シリコンのホルダー板とを陽極接合法又は常温接合法で接合している請求項1に記載のスライド構造。
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