JP4986340B2 - 害虫駆除用誘引毒餌剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、害虫駆除用誘引毒餌剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ゴキブリ等の害虫の駆除剤として、毒餌剤を用いることは、日常、よく行われている。
しかし、このような毒餌剤の害虫による喫食性は、必ずしもよくなく、駆除効率が十分でない場合がある。
【0003】
そこでこの発明は、ゴキブリ等の害虫の喫食性の優れた誘引毒餌剤を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、分枝デキストリンを含有させることにより上記の課題を解決したのである。
【0005】
分枝デキストリンを含有させると、害虫の誘引性、及び害虫駆除用誘引毒餌剤の害虫による喫食性が向上し、害虫駆除効果が向上する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下において、この発明について詳細に説明する。
この発明にかかる害虫駆除用誘引毒餌剤は、分枝デキストリンを含有させた毒餌剤である。
【0007】
この誘引毒餌剤の対象となる害虫としては、ワモンゴキブリ、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ等のゴキブリ、クロヤマアリ、トビイロシワアリ、トビイロケアリ、イエヒメアリ、ツヤシリアゲアリ、アミメアリ、ヒメアリ、オオズアリ、オオハリアリ、クロオオアリ、ルリアリ、ファイヤーアント、カーペンターアント等のアリ、タバコシバンムシ、ジンサンシバンムシ等のシバンムシ、コクヌストモドキ、ヒラタコクヌストモドキ等のゴミムシダマシ、ノコギリヒラタムシ、カクムネヒラタムシ等のヒラタムシ、イエシロアリ、ヤマトシロアリ等のシロアリ、コオロギ等の昆虫類、オカダンゴムシ等の甲殻類等の各種節足動物、及びナメクジ等があげられる。
上記誘引毒餌剤は、上記分枝デキストリン及び殺虫成分を含有したものである。
【0008】
上記分枝デキストリンとは、でんぷん又は可溶性でんぷんを加熱して分枝させたものである。具体的には、でんぷんや可溶性でんぷんから得られる一般的にデキストリンと呼ばれる白色デキストリンを加熱・分枝化させた黄色デキストリンや、でんぷんを直接、加熱・分枝させたブリティッシュガム等があげられる。
【0009】
これらの分枝デキストリンを用いると、上記害虫の誘引性及び喫食性が向上する。特に、後記する実施例に示すように、黄色デキストリンやブリティッシュガム等の分枝デキストリンを用いると、白色デキストリンを用いた場合よりも誘引性及び喫食性が向上する。これは、理由は不明であるが、デキストリンに生じた分枝が誘引性及び喫食性に影響を与えているためと考えられる。
上記でんぷんの例としては、とうもろこし、じゃがいも、さつまいも、小麦、米、タピオカ等からのでんぷんがあげられる。
【0010】
上記誘引毒餌剤中の分枝デキストリンの含有量は、特に限定されないが、0.1〜30重量%が好ましく、5〜20重量%が特に好ましい。0.1重量%より少ないと、喫食性の向上が十分に表れない場合がある。一方、30重量%より多いと、流動性がなくなり、加工性が悪くなる場合がある。
【0011】
上記殺虫成分としては、ピレスロイド化合物、有機リン化合物、カーバメート化合物、N−アリールジアゾール化合物、ヒドラゾン化合物、スルホンアミド化合物、天然殺虫成分化合物、ホウ酸、幼若ホルモン様物質、キチン合成阻害物質等の昆虫成長制御物質やこれらの混合物等があげられる。
【0012】
以下に上記殺虫成分の具体例を示す。なお、下記の具体例に限られるものではなく、その異性体でもよく、また、下記殺虫成分やその異性体の混合物であってもよい。
【0013】
上記ピレスロイド化合物としては、下記(1)〜(8)のクリサンテマート類、(9)〜(14)のカルボキシラート類、(15)〜(16)のブチラート類、(17)のエーテル類等があげられる。
(1)5−ベンジル−3−フリルメチル クリサンテマート、
(2)3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル クリサンテマート、
(3)3−フェノキシベンジル クリサンテマート、
(4)2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロペニル)シクロペント−2−エニル クリサンテマート、
(5)2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペント−2−エニル クリサンテマート、
(6)1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル クリサンテマート、
(7)α−シアノ−3−フェノキシベンジル クリサンテマート、
(8)3−フェノキシベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
(9)2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロペニル)シクロペント−2−エニル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート、
(10)2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
(11)2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
(12)α−シアノ−3−フェノキシベンジル 2,2−ジメチル−3−(1,2,2,2−テトラブロモエチル)シクロプロパンカルボキシラート、
(13)α−シアノ−3−フェノキシベンジル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート、
(14)α−シアノ−3−フェノキシベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
(15)α−シアノ−3−フェノキシベンジル 2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチラート、
(16)α−シアノ−3−フェノキシベンジル 2−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルアニリノ)−3−メチルブチラート、
(17)2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル 3−フェノキシベンジル エーテル。
【0014】
上記有機リン化合物としては、下記(18)〜(24)の化合物等があげられる。
(18)O,O−ジメチル O−(3−メチル−4−ニトロフェニル) ホスホロチオエート、
(19)O,O−ジエチル O−(2−イソプロピル−6−メチル−4−ピリミジニル) ホスホロチオエート、
(20)O,O−ジエチル O−(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジニル)ホスホロチオエート、
(21)O,O−ジメチル O−(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジニル)ホスホロチオエート、
(22)S−6−クロロ−2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1,3−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イルメチル O,O−ジメチル ホスホロチオエート、
(23)(E)−O−2−イソプロポキシカルボニル−1−メチルビニル O−メチル エチルホスホロアミドチオエート、
(24)2,2−ジクロロビニル ジメチル ホスフェート。
【0015】
上記カーバメート化合物としては、下記(25)〜(26)の化合物等があげられる。
(25)2−(1−メチルエトキシ)フェニル メチルカーバメイト、
(26)1−ナフチル メチルカーバメイト。
【0016】
上記N−アリールジアゾールとしては、下記(27)の化合物等があげられる。
(27)5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン。
【0017】
上記ヒドラゾン化合物としては、下記(28)の化合物等があげられる。
(28)テトラヒドロ−5,5−ジメチル−2(1H)−ビリミジノン[[3−(4−トリフルオロメチル)フェニル]−1−[2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル]−2−プロペニリデン]ヒドラゾン。
【0018】
上記スルホンアミド化合物としては、下記(29)の化合物等があげられる。
(29)N−エチル ペルフルオロオクタンスルホンアミド。
【0019】
上記以外の化合物としては、下記(30)〜(42)等の化合物等があげられる。
(30)4−(2−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロエチル)−1−(3−クロロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−2−メチルイミダゾール、
(31)アバメクチン、
(32)ホウ酸、
(33)2−[1−メチル−2−(4−フェノキシフエノキシ)エトキシ]ピリジン、
(34)イソプロピル 11−メトキシ−3,7,11−トリメチルドデカ−2,4−ジエノエート、
(35)エチル 3,7,11−トリメチルドデカ−2,4−ジエノエート、
(36)1−(4−クロロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイルウレア)、
(37)1−(3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイルウレア)、
(38)1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−3−(2−フルオロベンゾイルウレア)、
(39)N−シクロプロピル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、
(40)2−t−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニルペルヒドロ−1,3,5−チアジアジン−4−オン。
(41)5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−p−トリル)−4−トリフルオロメチルスルフィニルピラゾール−3−カルボニトリル
(42)4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−1−(エトキシメチル)−5−(トリフルオロメチル)−1(H)−ピロール−3−カルボニトリル
【0020】
上記誘引毒餌剤中の殺虫成分の含有割合は、殺虫活性成分の種類により異なるが、0.01〜10重量%がよく、0.1〜5重量%が好ましい。0.01重量%よりすくないと、殺虫効果が十分に発揮できない場合がある。一方、10重量%を超えると、忌避性が見られたり、喫食性が悪くなったりする場合がある。
【0021】
また、α−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエン、オクタクロロジプロピルエーテル、イソボルニルチオシアナトアセテート、N−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等の共力剤を添加することにより、害虫駆除効果の向上を図ることもできる。
【0022】
この発明にかかる害虫駆除用誘引毒餌剤には、上記の殺虫成分及び分枝デキストリン以外に、炭素数14〜31の高級アルコール又は高吸水性樹脂を添加することができる。上記の炭素数14〜31の高級アルコールは、上記害虫駆除用誘引毒餌剤を加熱しながら調整する際には、融点以上の温度にすることにより液状となり、粘性を有さないので、混合及び容器への充填等の成形がしやすくなる。そして、低温化すると、粘性が生じたり、固形化するので、容器内で流動性がなくなり、成形後の取り扱いが容易となる。
【0023】
上記高級アルコールの具体例としては、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、1−ノナデカノール、1−エイコサノ−ル、1−ヘキサコサノ−ル、1−ヘントリアコンタノール等があげられる。
【0024】
上記誘引毒餌剤中の炭素数14〜31の高級アルコールの含有割合は、1〜30重量%がよく、5〜20重量%が好ましい。1重量%より少ないと、添加した効果が十分発揮されない場合がある。一方、30重量%より多いと、忌避性が見られたり、喫食性が悪くなる場合がある。
【0025】
上記高吸水性樹脂としては、ポリアクリル酸塩系、でんぷん系、ポリビニルアルコール系、ポリイソプレン系等、種々の樹脂があげられる。これらの高吸水性樹脂を配合することにより、柔らかなゲル状の組成物が得られ、成形後の取扱いが容易となる。
【0026】
上記誘引毒餌剤中の高吸水性樹脂の含有割合は、0.01〜10重量%がよく、0.05〜1重量%が好ましい。0.01重量%より少ないと、ゲル状の組成物にならない場合がある。一方、10重量%より多いと、流動性がなくなる場合がある。
【0027】
この発明にかかる害虫駆除用誘引毒餌剤には、上記の殺虫成分、分枝デキストリン、及び必要に応じて用いられる炭素数14〜31の高級アルコール以外に、穀物粉、分枝デキストリン以外の糖類、油脂等を含有させてもよい。
【0028】
上記穀物粉としては、とうもろこし、じゃがいも、さつまいも等由来のでんぷん粉、とうもろこし粉、じゃがいも粉、さつまいも粉、小麦粉、米粉等の粉状物等があげられる。
上記糖類としては、ショ糖、ブドウ糖、グラニュー糖、果糖、乳糖、麦芽糖、黒砂糖、赤砂糖、三温糖、糖蜜等があげられる。
上記油脂としては、ゴマ油、大豆油、菜種油、小麦胚芽油、綿実油、コーン油、ヒマワリ油、オリーブ油、ヤシ油、サフラワー油、ピーナッツバター、マーガリン等の植物油、バター、ラード等の動物油等があげられる。
上記以外に、必要に応じて、酸化防止剤、保存料、誤食防止剤、増量剤、香料等を添加してもよい。
【0029】
この発明にかかる害虫駆除用誘引毒餌剤は、各々の構成成分又は各々の構成成分に水を添加して成形される。この形状としては、任意の形状をとることができる。例えば、固形製剤となる場合は、粉状、顆粒状、団子状、錠剤状等があげられる。また、粘性や流動性がある場合は、チューブやシリンジ等に充填し、搾り出して用いることができる。また、トラップ、シェルター内での使用も可能である。
【0030】
【実施例】
以下に実施例及び比較例をあげてこの発明をさらに具体的に説明する。
(実験例1)
殺虫成分としてダイアジノンマイクロカプセル水懸濁液(大阪化成(株)製:商品名 ダイアジノンMC懸濁剤)を用い、表1に示す割合で配合し、毒餌剤A及びB、比較毒餌剤Cを作製した。
【0031】
蓋付プラスチック容器(32×24×10cm)の内壁に5cm程度の幅で炭酸カルシウムを薄く塗布した。その中に供試虫としてチャバネコキブリのオス及びメス各10個体を投入し、24時間馴致絶食させた。
プラスチックシャーレ(直径4.0cm×高さ0.5cm)に上記の毒餌剤A及びB、及び比較毒餌剤Cのうち各2種類を容器内の互いに離れた位置に置き、上記の供試虫20匹を容器内に入れた。そして、25℃の室内で3時間放置した。その後、毒餌剤及び比較毒餌剤の減少量(喫食量)を測定した。毒餌剤A及びB及び比較毒餌剤Cの組み合わせ及びその結果を表2の試験例1〜3に示す。なお、試験は2回行った。
また、毒餌剤A及びB、比較毒餌剤Cについて、ベイト剤としての取扱性について確認したところ、下記の結果を得た。
【0032】
毒餌剤A及びB、比較毒餌剤Cのいずれも、常温でも高温下でも粘度が高いため、流動性が不十分な場合があったが、取扱可能であった。ただ、容器に充填して使用する場合には、きれいに充填できなかった。
【0033】
(実験例2)
毒餌剤Aと同じ処方で、薄力粉の代わりに1−オクタデカノール(ステアリルアルコール)5重量%とイオン交換水30重量%とを配合し、毒餌剤Dを作製した。毒餌剤A及びDを用い、実施例1に記載と同様の方法にしたがって、喫食量を測定した。その結果を表2の試験例4に示す。なお、試験は2回行った。
また、毒餌剤Dについて、ベイト剤としての取扱性について確認したところ、常温ではクリーム状となり、高温下では液状となり、取扱いが容易であった。
【0034】
(実験例3)
毒餌剤Aと同じ処方で、薄力粉の代わりにでんぷん系高吸水性樹脂パウダー(三洋化成工業(株)製 商品名 サンフレッシュST−100MPS)0.05重量%とイオン交換水34.95重量%とを配合し、毒餌剤Eを作製した。毒餌剤A及びEを用い、実施例1に記載と同様の方法にしたがって、喫食量を測定した。その結果を表2の試験例5に示す。なお、試験は2回行った。
また、毒餌剤Eについて、ベイト剤としての取扱性について確認したところ、柔らかなゲル状の組成物となり、取扱いが容易であった。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
この発明にかかる害虫駆除用誘引毒餌剤は、分枝デキストリンを含有させるので、害虫の誘引性、及び害虫駆除用誘引毒餌剤の害虫による喫食性が向上し、害虫駆除効果が向上する。
【0038】
また、炭素数14〜31の高級アルコール又は高吸水性樹脂を添加することにより、得られる害虫駆除用誘引毒餌剤の取扱性が向上する。
Claims (3)
- 分枝デキストリンを含有するゴキブリ駆除用誘引毒餌剤。
- 上記分枝デキストリンがブリティッシュガム又は黄色デキストリンである請求項1に記載のゴキブリ駆除用誘引毒餌剤。
- 炭素数14〜31の高級アルコール又は高吸水性樹脂を添加した請求項1又は2のいずれかに記載のゴキブリ駆除用誘引毒餌剤。
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