JP4986204B2 - 微細構造体および微細構造体の製造方法 - Google Patents

微細構造体および微細構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子デバイス、光学素子、記録媒体等に使用することができる微細構造体およびその製造方法に関する。
近年、半導体集積回路は微細化,集積化が進んでおり、その微細加工を実現するためのパターン形成技術としてフォトリソグラフィ装置の高精度化が進められてきた。しかし、フォトリソグラフィ装置で用いる光の波長による加工精度の限界やマスクコストの増大のために、フォトリソグラフィ技術のさらなる高精度化も限界に近づいてきた。そのため、さらなる微細化,高精度化を進めるために、フォトリソグラフィ装置と、荷電粒子線装置の一種である電子線描画装置とが併用されるようになりつつある。
電子線を用いたパターン形成は、i線、エキシマレーザ等の光源を用いた一括露光方法によるパターン形成とは異なり、マスクパターンを描画するため、描画するパターンが多ければ多いほど露光(描画)時間がかかる。そのため、スループットが著しく劣ることとなる。
そこで、電子線描画装置の高速化のために、各種形状のマスクを組み合わせて、それらに一括して電子線を照射する一括図形照射法の開発が進められている。しかしながら、一括図形照射法は、パターンの微細化が進められる一方で、電子線描画装置を大型化せざるを得ないほか、マスク位置をより高精度に制御する機構が必要になるなど、装置コストが高くなるという欠点があった。
これに対し、微細なパターン形成を低コストで行うための技術が特許文献1および特許文献2、ならびに非特許文献1に開示されている。これは、形成するパターンに対応する転写パターンを有するスタンパを、基板の表面に形成されたレジスト膜層に対して型押しすることで所定のパターンを転写するものである。特に特許文献2や非特許文献1に開示されたナノインプリント技術では、転写パターンが形成されたシリコンウエハをスタンパとして用いることによって、25nm以下の微細構造の形成が可能とされている。
また、前記した描画や型押しによらず、微細構造を形成する方法が非特許文献2に開示されている。この方法は、ブロック共重合体と呼ばれる2つ以上の高分子セグメントが共有結合でつながった高分子樹脂を自己組織的に分離させる方法である。そして、この方法では、各高分子セグメントの比率と溶解性の違いによって、数nm〜数十nm のミクロ相分離構造を形成することができる。また、この方法で形成されたブロック共重合体の微細パターンをマスク材として用いて、基板にエッチング加工を施すことによって微細な構造を作製する方法も報告されている(特許文献3参照)。
米国特許5,259,926号明細書 米国特許5,772,905号明細書 特開2003−155365号公報 S.Y.Chou et al.,Appl.Phys.Lett.,vol.67,p.3314(1995) A. K. Khandpur, et al. Macromolecules, vol.29, P.8796(1995)
特許文献1および特許文献2、ならびに非特許文献1において開示されているナノインプリント法を用いれば、微細構造を簡便に形成することができる。しかし、ナノインプリント法を使用して形成することができるのは外形形状のみで構成されるパターンであって、微細構造内に、さらに複数の相を有するパターンを形成することはできなかった。
また、特許文献3、および非特許文献2で開示されているブロック共重合体のミクロ相分離によれば,簡便に規則的な相分離構造を形成することができる。しかしながら、ミクロ相分離法では、数十μm以上の大面積に亘って均一な構造を形成することが困難であった。また、ミクロ相分離法だけでは外形形状で構成されるパターンを形成することができないために、微細構造内に、さらに複数の相を有するパターンを形成することはできなかった。
そこで、本発明の課題は、nmスケールからμmスケールに亘る微細構造内に、さらに2種類以上の相を有する微細構造体を提供することにある。
前記課題を解決する本発明の微細構造体は、支持体と、前記支持体の少なくとも一方の面に形成された複数の凸部と、を有する微細構造体であって、前記凸部は、その形成材料が2種類以上の相に分離した相分離構造を有し、前記2種類以上の相が、前記凸部の中心線を通る1つの相と、この相の側面部を覆う1つ以上の相とを有していることを特徴とする。
発明の微細構造体は、予め形成した型を用いて凸部を形成し、形成された凸部内で相分離を誘起することによって、各凸部内に2種類以上の相を形成したものである。そして、本発明の微細構造体は、凸部内の各相の体積分率や分子構造、凸部の形状を変更することによって、凸部内の相の形状を、柱状、層状等に制御することができる。
本発明によれば、成型法によって形成した微細形状の凸部に、柱形状、または層形状の2種類以上の相を備えた微細構造体を得ることができる。型による成型というトップダウン的な方法に加え、相分離による自己組織化というボトムアップの方法を組み合わせることによって、より複雑で高度に集積化された微細構造体を簡便に作製することができる。
次に、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1(a)は、本実施形態に係る微細構造体の部分斜視図、図1(b)は、図1(a)のX−X断面図である。
図1(a)に示すように、微細構造体1Aは、基板6と、この基板6上に形成された下地層5と、この下地層5の表面に立設された複数の凸部2とを備えている。
基板6は、下地層5を形成するための基台となる板状体である。基板6は、後記する凸部2や下地層5の形成材料7(図2(a)参照)と親和性を有するものが好ましい。このような基板6としては、例えば、シリコン(Si)基板、ガラスなどの酸化物基板、金属基板、樹脂基板等が挙げられる。また、微細構造体1Aに柔軟性を持たせる必要がある場合においては、基板6には可撓性を有する材質が適している。また、基板6は、後記するパターン9(図2(a)参照)の最表面に対して密着する程度に充分に平滑であるものが好ましい。このような基板6を使用することによって均一な形状の微細構造体1Aを得ることができる。また、基板6としては、図示しないが所定のパターンがその少なくとも片面に形成されたものであってもよい。なお、微細構造体1Aにおいては、基板6は必ずしも必要ではなく、例えば、後記する形成材料7(図2(a)参照)の表面のみを成型して微細構造体1Aを製造する場合には基板6は省略することもできる。
下地層5は、凸部2の基端部を接続して支持するものであり、特許請求の範囲にいう「支持体」に相当する。本実施形態での下地層5は、後記する凸部2や下地層5の形成材料7(図2(a)参照)を基板6上に配置することによって形成される。
凸部2は、柱形状の部材であって、本実施形態での凸部2は円柱状に形成されている。この凸部2の断面は、必ずしも円形でなくてもよく、例えば、楕円形や、多角形、不定形であってもよい。
本実施形態での凸部2は、下地層5上で前後左右に揃うように配置されている。そして、凸部2の配列は、六方最密充填配列や、2次元正方配列等のように規則性を有する配列が好ましい。
凸部2同士の間隔は、0.01〜100μm、より好ましくは0.1〜10μm程度であり、凸部2の相当直径は、0.02〜50μm、より好ましくは0.05〜1μm程度であり、凸部2の高さは、0.01〜100μm、より好ましくは0.05〜5μm程度である。なお、相当直径とは、次式(1)で示される換算値をいう。
相当直径=4×S/W・・・(1)
(式(1)中、Sは、凸部2の断面積を表わし、Wは、凸部2の周長を表わす)
このような凸部2は、図1(b)に示すように、その内部で第1の相3と第2の相4とを有している。本実施形態での第1の相3は、凸部2の中央(中心線)を通る円柱形状を呈しており、第2の相4は、第1の相3の周面(側面部)を覆うように形成されている。そして、凸部2の先端部は、第1の相3が露出している。
第1の相3と第2の相4とは、後記するように、形成材料7(図2(a)参照)を型8(図2(a)参照)で凸状になるように成型した後に、形成材料7に後記する所定のアニーリング処理が施されることによって相互に相分離したものである。
第1の相3と第2の相4とを区別する物理的性質の違いとしては、例えば、分子構造、原子組成、表面物性、強度、光学的特性、溶媒への溶解度、エッチング速度(エッチングされ易さ)等が挙げられる。このような物理的性質の違いは、後記するように、主に凸部2の形成材料7(図2(a)参照)の特性によって決定することができる。
この微細構造体1Aによれば、成型法によって形成した微細な凸部2に2種類以上の相を有する微細構造体を得ることができる。つまり、従来の微細構造体と比較して、より複雑で高度に集積化された構造体を簡便に作製することができる。
また、このような微細構造体1Aは、磁気記録媒体などの記録メディアや、偏光フィルム、反射防止素子、フォトニック結晶などの機能性光学素子、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)に代表される微小機械や検査器具、さらには電子デバイスなど広範に渡る応用が可能となる。
次に、微細構造体1Aの製造方法について適宜図面を参照しながら説明する。参照する図面において、図2(a)、(b)、(c)および(d)は、微細構造体1Aの製造工程を説明するための概念図である。図3(a)は、ブロック共重合体が自己組織化によって相分離する様子を概念的に示す平面図、図3(b)および(c)は、凸部の配列を示す平面図である。
微細構造体1Aは、形成材料7(図2(a)参照)を、例えば、ナノインプリント法や、キャスト法などで成型する工程と、形成材料7を相分離させる工程とを有する方法で製造される。ここでは、ナノインプリント法で成型する製造方法を例にとって説明する。
この製造方法では、まず、図2(a)に示すように、基板6上に、形成材料7が配置される。この際、形成材料7が形状保持性を有するものである場合には、基板6上に単に載置することによって形成材料7は配置される。また、形成材料7が、例えば流動性を有するものである場合には、ディップコート法、スピンコート法、キャストコート法、ブレードコート法等を使用して基板6上に塗布されることによって形成材料7は配置される。なお、前記したように、形成材料7が形状保持性を有する場合には、基板6を省略することができる。
形成材料7は、後記する型8による成型が可能であって、後記するアニーリング処理を施した際に相分離するものであれば特に制限はなく、有機物(有機化合物)および無機物(無機化合物)のいずれをも使用することができる。また、形成材料7は、異なる有機化合物同士の混合物、異なる無機化合物同士の混合物、または有機化合物と無機化合物との混合物であってもよい。なお、混合物は、後記するパターン9(図2(a)参照)を形成する凹部の大きさと比較して、混合物の成分が小さいドメインに分離している必要がある。また、混合物の組成比は、凸部2の形状や、第1の相3と第2の相4との体積比、第1の相3の形状、第2の相4の形状等に応じて規定することができる。
中でも、有機化合物では、そのセグメントの長さの比に応じて、いわゆる自己組織化して互いに表面エネルギーの異なる複数の相に相分離するブロック共重合体が好ましく、無機化合物では、状態図の既知の系であって共晶反応や共析反応に基づいて相分離する化合物が好ましく、混合物では、例えば、樹脂と無機化合物微粒子との混合物や水溶性化合物と脂溶性化合物との混合物のように相溶性が低い化合物同士の混合物が好ましい。そして、これらの中でもブロック共重合体は、容易に規則性のある相分離構造を形成することができるので特に好ましい。
このようなブロック共重合体としては、そのセグメントが高分子であるものが好ましい。この高分子セグメントとしては、例えば、ポリスチレン、ポリフルオレン等の疎水性芳香族炭化水素鎖、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の疎水性脂肪族不飽和炭化水素鎖、ポリプロピレン、ポリエチレンオキシド等の疎水性脂肪族飽和炭化水素鎖、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の親水性脂肪族炭化水素鎖、ポリビニルピリジン、ポリスチレンスルホン酸等の親水性芳香族炭化水素鎖、ポリジメチルシロキサン等の疎水性シロキサン類、ポリフェロセン等の金属錯体等が挙げられる。そして、ブロック共重合体は、これらの高分子セグメントの2種以上が1点以上の結合点において共有結合することによって、線状、分岐状、または環状となっている。
以上のような形成材料7には、さらに溶媒を含んでいてもよい。この溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、水が挙げられる。これらの溶媒は、形成材料7の性状に合わせて選択することができる。そして、溶媒は、その溶解度パラメータ(δsps)と、溶質(形成材料7から溶媒を除いたもの)の溶解度パラメータ(δspp)との差(Δδ=|δspp−δsps|)が5以内のものが好ましい。
次に、この製造方法では、基板6上の形成材料7が可塑性を有する状態で、形成材料7に型8が押しつけられる。この型8は、凸部2の形状に対応する円柱状の複数の凹部が形成されたパターン9(図2(a)参照)を有するものである。ちなみに、形成材料7が熱可塑性を有する場合には、形成材料7は、成型時に形成材料7の融点、またはガラス転移点以上に加熱されて可塑化されている必要がある。また、形成材料7が、熱硬化性を有し、または光硬化性を有する場合には、硬化前の流動性を有している状態で成型を行う必要がある。
型8の材質としては、例えば、金属(シリコン(Si)を含む)や、カーボン等の無機物、樹脂組成物等が挙げられる。そして、型8の材質は、使用する形成材料7の性質や、凸部2に形成される第1の相3の性質、第2の相4の性質、凸部2の加工精度等に応じて選択することができる。
また、パターン9の表面には、型8に離型性を付与するために、あるいは型8の強度を増加させるために、あるいは形成材料7との親和性を調節するために表面処理が施されていてもよい。このような表面処理としては、例えば、フッ素系の表面処理剤、シリコーン系の表面処理剤、金属の炭化物や窒化物、親水処理剤、親油処理剤等を付与する処理が挙げられる。
なお、例えば、型8自体がポリジメチルシロキサンやフッ素系高分子化合物のように、他の物質と結びつきにくい材質で形成されている場合には、離型性を付与するための表面処理は省略することもできる。
型8へのパターン9の形成法としては、例えば、切削加工法、光リソグラフィ法、電子線直接描画法、粒子線ビーム加工法、走査プローブ加工法等の微細加工法、微粒子の自己組織化を使用した微細加工法が挙げられる。また、これらの方法によって形成された型を一次型とするとともに、この一次型から二次型を転写する形成法を使用することもできる。一次型の転写法には、例えば、ナノインプリント法、キャスト法、射出成型法等の成型加工法やめっき法が挙げられる。
形成材料7に型8が押し付けられると、図2(b)に示すように、形成材料7は、型8に沿うような形状に成型される。つまり、基板6上には、凸部2(図1(a)参照)と同様の形状の突起が形成される。
次に、成型された形成材料7には、アニーリング処理が施される。アニーリング処理としては、形成材料7の材質によって異なるが、形成材料7に対する加熱、冷却、電磁波照射(光照射を含む)、常温での放置等が挙げられる。また、中でも相分離開始温度よりも高く加熱することによって誘起されるアニーリング処理は、高温加熱時に生じた相分離構造が相分離開始温度よりも低い室温では安定して存在できる為に最も好適に用いられる。
そして、形成材料7は、アニーリング処理が施されることによって、熱力学的に不安定な単相状態から安定な複数の相へと相分離することとなる。ちなみに、本実施形態では、図2(c)に示すように、アニーリング処理が施されることによって、型8内の形成材料7が前記したように相分離することによって凸部2(図1(a)参照)が形成される。そして、型8と基板6との間には、下地層5が形成される。なお、本実施形態のように、凸部2にのみ第1の相3と、第2の相4とが形成されるように形成材料7を相分離させる相分離の制御方法については後記する。
そして、図2(d)に示すように、型8を取り外すことによって、微細構造体1Aが製造される。なお、本実施形態では、前記したように、アニーリング処理を施した後に型8が取り外されているが、本発明の製造方法は、型8が取り外された後に、形成材料7にアニーリング処理が施されるものであってもよい。
次に、本発明の製造方法における相分離の制御方法について説明する。図1(a)に示す凸部2の内部に形成される第1の相3と第2の相4の形状が定まるに際に、形成材料7の性状や、型8に対する第1の相3の親和性、および型8に対する第2の相4の親和性が影響する。さらに具体的にいうと、図2(c)に示すように、アニーリング処理した際に、第1の相3と第2の相4とに分離する形成材料7であって、型8のパターン9(図2(a)参照)を形成する凹部の内周面が第2の相4と親和性に富むものを選択することによって第1の相3と第2の相4のような形状が定められる。また、形成材料7として、例えば、次式(2):
−[(S1)−(S2)]−・・・・(2)
(式(2)中、S1およびS2は、互いに異なる高分子セグメントを表す)
で示される繰り返し単位を有する前記ブロック共重合体であって、高分子セグメントS1の長をL1とし、高分子セグメントS2の長さをL2とした場合、(L1/(L1+L2))の値が0.2〜0.8、特に好ましくは0.2〜0.35および0.65〜0.8のものを使用することによって、図1(b)に示すような構造の第1の相3と第2の相4を形成することができる。つまり、このようなブロック共重合体は、自己組織化することによって図1(b)に示すような構造の第1の相3と第2の相4を形成する。
また、前記した第1の相3と第2の相4の形状が定まるに際に、凸部2の形状や、相分離を誘起する際(アニーリング処理の際)の加熱温度、冷却温度、昇温速度、および冷却速度が影響する場合もある。さらに高分子セグメントの一方に親和性のある溶媒に暴露する事により相分離構造が誘導される場合もある。さらに鋳型の表面物性をブロック共重合体のセグメントのうち、片方により高い親和性を持つようにさせると、表面に存在するセグメントを制御できる。これはConfinementの効果としてブロック共重合体を微細な孔等に封入した際に見られる現象である。
このようにして形成される凸部2の相当直径は、第1の相3上に形成される第2の相4の厚みの2倍を超えるものが好ましい。また、凸部2の相当直径は、形成材料7の相分離の特性長に基づいて設定することができる。この特性長は、形成材料7の種類に応じて決定される固有値である。例えば、前記したブロック共重合体を例にとって説明すると、図示しない基板上に展延されたブロック共重合体は、図3(a)に示すように、その自己組織化によって円柱状の第1の相3と、その外周面を取り巻くように円筒状の第2の相4とに相分離する。
そして、相分離することによって形成された第1の相3の外径R、第2の相4の外径D、および隣り合う第1の相3同士の距離Dは、ブロック共重合体の種類に応じた固有値、つまり特性長となる。ちなみに、この特性長は、前記式(2)で示されるブロック共重合体における高分子セグメントS1の長さL1に対する高分子セグメントS2の長さL2の和(L1+L2)で決定される。
そして、本発明の製造方法では、形成材料7として、このようなブロック共重合体を使用するとともに、凸部2の外径を第2の相4の外径Dと略一致させることによって、相分離させる際に温度ムラ等の外乱が生じたとしても、第1の相3の形状、および第2の相4の形状を安定して形成することができる。
また、凸部2の高さを凸部2の外径の長さよりも高く設定することによって、第1の相3の形状、および第2の相4の形状は、より安定して形成することができる。そして、凸部2の高さは、外径よりも大きいことが望ましい。なお、凸部2が円柱状でないものの高さは、相当直径よりも大きいことが望ましい。このときの相当直径は、凸部2の高さの中心位置における相当直径である。また、凸部2の中心位置は、凸部2の重心や外接円中心、内接円中心などから、凸部2の形状に合わせて決定される。
また、形成材料7(図2(a)参照)として、図3(a)に示すように相分離するものを使用する場合には、図3(b)に示すように、凸部2(外径:D´)の配列を六方最密充填配列に設定することができる。このような凸部2は、第1の相3、および第2の相4からなる相分離構造を最も安定して形成することができるので好ましい。また、凸部2(外径:D´)の配列は、図3(c)に示すように、2次元正方配列であってもよい。ここで、D(図3(a)参照)を相分離の特性長から導かれる凸部2の計算値とするとともに、D´(図3(a)および(b)参照)を実際の凸部2の径とすると、計算値Dと実際の径D´は、値が近いほど、第1の相3の形状、および第2の相4の形状は、より安定して形成することができる。なお、計算値Dと実際の径D´との差は、0.5D以内が好ましく、0.2D以内が、より好ましい。
本発明の製造方法において、例えば図1(b)に示すように、下地層5が相分離しないように制御する方法としては、下地層5を形成する形成材料7の部分で相分離が生じる前にアニーリング処理を中止する方法、相分離した第1の相3、第2の相4との親和性に差異の無い基板6を使用する方法等が挙げられる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。
例えば、前記実施形態では、凸部2が、柱形状に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、次のような微細構造体であってもよい。図4は、凸部2が壁面形状に形成された微細構造体1Bの部分斜視図である。
図4に示すように、微細構造体1Bは、基板6と、この基板6上に形成された下地層5と、この下地層5の表面に立設された複数の壁面形状の凸部2とを備えている。
この微細構造体1Bの凸部2は、下地層5上で平行に等間隔に並んで配置されている。2同士の間隔は、0.01〜100μm、より好ましくは0.1〜10μm程度であり、凸部2の厚みは、0.01〜100μm、より好ましくは0.05〜1μm程度であり、凸部2の高さは、0.01〜100μm、より好ましくは0.05〜5μm程度である。
このような凸部2は、この凸部2の形状に対応する複数の溝状の凹部が形成されたパターンを有する型(図示せず)を使用して、前記した形成材料7を成型することによって得られたものである。
凸部2は、この凸部2の中央(中心線)を通る板状の第1の相3と、この第1の相3の両側面を覆う板状の第2の相4とに分離している。そして、下地層5は、基板6上に形成されるとともに、凸部2の基端部を接続して凸部2を支持している。
第1の相3と第2の相4とは、前記実施形態と同様に、形成材料7に所定のアニーリング処理が施されることによって相互に相分離したものである。
このような相分離構造は、形成材料7として、アニーリング処理した際に、第1の相3と第2の相4とに分離するものを選択するとともに、凸部2の形状を形成する型(図示せず)の内壁面と第2の相4とが親和性に富むものを選択することによって得ることができる。
また、形成材料7として、前記式(2)で示される繰り返し単位を有する前記ブロック共重合体であって、高分子セグメントS1の長さをL1とし、高分子セグメントS2の長さをL2とした場合、(L1/(L1+L2))の値が0.35〜0.65のものを使用することによって、図4に示すような構造の第1の相3と第2の相4を形成することができる。つまり、このようなブロック共重合体は、自己組織化することによって図4に示すような構造の第1の相3と第2の相4を形成する。
また、ブロック共重合体における高分子セグメントS2の長さL2の和(L1+L2)によって決定される特性長である第2の相4の間隔W(図4参照)に、凸部2の幅を略一致させることによって、相分離させる際に温度ムラ等の外乱が生じたとしても、第1の相3の形状、および第2の相4の形状を安定して形成することができる。
また、前記実施形態では、第1の相3の周面を覆うように第2の相4が形成されるとともに、第2の相4が凸部2の先端に露出するような相分離構造を有しているが、本発明は凸部2に複数の相が形成されている限り、その相分離構造は様々な形態をとることができる。図5(a)、(b)、および(c)は、他の相分離構造の形態を示す微細構造体の部分断面図であり、微細構造体を側面側から見た図、図5(d)は、他の相分離構造の形態を示す凸部の横断面図である。
図5(a)に示す微細構造体1Cは、凸部2における第1の相3の先端部が第2の相4で覆われている。このような微細構造体1Cは、例えば、型8のパターン9(図2(a)参照)を構成する凹部の内壁面全体に対して第2の相4が親和性を有する形成材料7を選択することによって製造することができる。
図5(b)に示す微細構造体1Dは、第1の相3が基板6まで延びるとともに、下地層5が第2の相4を形成している。このような微細構造体1Dは、第1の相3と基板6との親和性が乏しく、この親和性の程度と、第2の相4と基板6との親和性の程度が略同じになるような形成材料7を選択することによって製造することができる。
図5(c)に示す微細構造体1Eは、図5(b)に示す微細構造体1Dにおいて、第1の相3が凸部2の先端部に露出している以外は、微細構造体1Dと同様に構成されている。この微細構造体1Eは、例えば、型8のパターン9(図2(a)参照)を構成する凹部の底面に対して親和性が乏しい形成材料7を選択することによって製造することができる。
図5(d)に示す微細構造体1Fは、凸部2の内部に、六方最密充填配列で配置された第1の相3を備えている。第1の相3の周囲は第2の相4で囲まれている。この微細構造体1Fは、例えば、図3(a)に示すように六方最密充填配列で相分離する形成材料7を使用することによって製造することができる。
また、前記実施形態では、凸部2が、第1の相3、および第2の相4のみで構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、凸部2に表面修飾をさらに施したものであってもよい。図6(a)は、凸部に表面修飾が施された微細構造体の部分斜視図、図6(b)は、図6(a)のY−Y断面図である。
図6(a)に示す微細構造体1Gは、凸部2に表面修飾10が施された以外は、前記実施形態の微細構造体1A(図1(a)参照)と同様に構成されている。表面修飾10は、図6(b)に示すように、第1の相3の先端部に施されている。
表面修飾10としては、微細構造体1Gの用途に応じて適宜に決定することができ、例えば、生体高分子等の有機物の導入や、金属膜の形成、第3の相の形成、マスキング層の形成等が挙げられる。この表面修飾10の製造方法としては、表面修飾10の材料を塗布する方法、メッキする方法等が挙げられる。また、表面修飾10の前駆体を塗付した後にこの前駆体に所定の処理を施すことによって表面修飾10に変移させてもよい。また、表面修飾10として、水酸基、カルボキシル基、ピリジニウム基等の官能基を導入するとともに、この官能基と金属等との錯体を形成する方法、さらに、形成された錯体からメッキ法を使用して局所的に金属膜を析出させる方法等が挙げられる。また、このような表面修飾10の形成工程において、適切な溶媒による洗浄工程を追加してもよい。
また、表面修飾10は、第1の相3に対する染色であってもよい。この染色は、第1の相3の先端部の表面のみであってもよいし、第1の相3の内部に浸透するものであってもよい。
このような表面修飾10は、第2の相4の表面に選択的に施されていてもよいし、第1の相3および第2の相4の両方に施されていてもよい。
なお、この表面修飾10に使用された、第1の相3が凸部2の先端部で露出する微細構造体は、図1(a)に示す微細構造体1A、図4に示す微細構造体1B、および図5(c)に示すに示す微細構造体1Eのいずれも使用することができるが、例えば、図5(a)に示す微細構造体1C、および図5(b)に示す微細構造体1Dにおける凸部2の先端部に形成された第2の相4をエッチング等によって除去したものを使用することもできる。
また、各相3,4に染色を施す場合においては、前記した表面修飾10を施す方法に限定されるものではない。各相3,4に対する染色は、各相3,4のそれぞれと個別に親和性を有する染色剤を予め形成材料7に混合する方法を採用するものであってもよい。この染色剤としては、例えば、保護剤により保護された金属・無機物微粒子が挙げられる。
また、染色には、特定の相でのみ生じる反応を利用することもできる。このような染色剤としては、例えば、染色される相が、二重結合等を有する不飽和炭化水素鎖を有する場合に、この不飽和炭化水素鎖と結合する四酸化オスミウム等の化合物が挙げられる。
また、前記実施形態では、凸部2が第1の相3と第2の相4とを有しているが、本発明は、第1の相3および第2の相4のいずれかを除去したものであってもよい。図7(a)、(b)、(c)および(d)は、第1の相3および第2の相4のいずれかを除去した微細構造体の部分断面図であり、側面側から見た図である。
図7(a)に示す微細構造体1Hは、図5(a)に示す微細構造体1Cの第2の相4のみを除去したものである。図7(b)に示す微細構造体1Iは、図1(a)に示す微細構造体1Aの第1の相3のみを除去したものである。図7(c)に示す微細構造体1Jは、図1(a)に示す微細構造体1Aの第2の相4を除去するとともに、第1の相3と基板6との間の下地層5のみを残して、下地層5を除去したものである。図7(d)に示す微細構造体1Kは、図5(c)に示す微細構造体1Eの第1の相3を除去したものである。
このような第1の相3、第2の相4、および下地層5のそれぞれを選択的に除去する方法としては、例えば、形成材料7としてブロック共重合体が使用されている場合に、例えば、第1の相3を形成している一方の高分子セグメントを溶解し、第2の相4を形成している他方の高分子セグメントには貧溶媒となるような溶媒による溶出方法が挙げられる。また、プラズマ処理や、UV処理、酸・アルカリ処理、熱分解処理、および光分解処理などによって、第1の相3、第2の相4、および下地層5のそれぞれを選択的に除去する方法が挙げられる。そして、これらの除去方法は、適宜に組み合わせて使用することもできる。また、エッチングを使用した除去方法を使用して、例えば図7(c)に示す微細構造体1Jを製造する場合には、下地層5の除去の際に第1の相3をマスクとして使用することができる。
また、図示しないが、基板6上に残された第1の相3や、第2の相4、下地層5をマスクとして使用することによって、基板6の露出した部分をエッチングすることもできる。
このような除去方法によって得られた微細構造体は、元の凸部2の形状と比較して、さらに小さいスケールの加工を実現することができる。また、このような特定の相の除去と前記した特定の相への表面修飾10や染色を併用することもできる。
また、本発明の微細構造体の凸部2の相分離構造は、前記したような円柱状(円筒状)や板状(層状)のものに限定されず、相が球状であってもよい。このような相分離構造は、前記した高分子セグメントS1の長さをL1とし、高分子セグメントS2の長さをL2とした場合、(L1/(L1+L2))の値が、0.1〜0.2および0.8〜0.9のブロック共重合体を形成材料7として使用することによって製造することができる。
また、本発明の微細構造体は、凸部2を部分的に追加、または削除することによって、微細構造体に、偏光、回折等のような光学的な機能性を付与することができる。
また、本発明の微細構造体は、凸部2内の相の形状に応じて、凸部の一部のみを対象とする除去や表面修飾を施すことができるために、特有の光学特性、電気的特性、吸着特性などを付与することができる。また、凸部2の相の一部(例えば、図5(a)中の凸部2における第2の相4)を除去することによって、成型によって得られる凸部2よりも小さい相当直径を有する構造を形成することも可能となる。
次に、本発明の実施例を説明しながら本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例ではブロック共重合体を用いた微細構造体の製造例について説明する。
まず、ここでは形成材料7(図2(a)参照)を成型するための型8(図2(a)参照)を作製した。図8(a)〜(e)は、型8を作製する工程を説明するための工程図である。
まず、図8(a)に示すように、(100)シリコンウエハ13の表面に、直径200nm、深さ1μmの円柱状の凹部14が間隔2μmの2次元正方格子状に配列するように形成したもの(15mm×15mm)を準備した。そして、このシリコンウエハ13の表面には離型表面処理を施した。また、基板16として、ガラス板(18mm×18mm)を準備した。この基板16の表面には、厚み1μmのポリスチレン樹脂薄膜15を塗布した。
次に、図8(b)に示すように、樹脂薄膜15を150℃に加熱して軟化させるとともに、この樹脂薄膜15にシリコンウエハ13を10MPaの圧力で加圧し、室温まで冷却した。そして、図8(c)に示すように、シリコンウエハ13を取り外すことによって凸部17を有する型原盤18を形成した。次に、ポリジメチルシロキサン(ダウ・コーニング社製)と硬化剤(キャタリスト)を10:1の比で混合した混合物を調製した。そして、図8(d)に示すように、混合物を型原盤18上にキャストした。次いで、これを減圧オーブン内で2時間脱気した後に、減圧オーブンから取り出して常圧に戻した。そして、混合物を200℃、2時間大気中で加熱することによって硬化させた。これを室温に戻した後に、クロロホルムにより型原盤18の凸部17を溶解することによって、図8(d)に示すように、パターン9を有するポリジメチルシロキサン製の型8を得た。
次に、微細構造体の製造方法を図2(a)〜(d)を参照しながら説明する。形成材料7としては、次式(3):
Figure 0004986204
(式中、nは1710であり、mは1760である)
で示されるポリ(スチレン−ブロック−イソプレン)をベンゼンに溶解させたものを使用した。このポリ(スチレン−ブロック−イソプレン)の各ブロックの鎖長は、各約100nmである。
次に、図2(a)に示すように、形成材料7を、基板6としてのカバーガラス(18mm×18mm)上にスピンコーター(1000rpm、30秒間)で100μLを塗布し、25℃で、10分間ベークすることによってベンゼンを除去した。そして、図2(b)に示すように、塗布した形成材料7に、作製した型8を押しつけて、本材料の相分離開始温度よりも高い120℃で加熱しながら1分間保持することによってアニーリング処理を行った。その後、室温まで冷却した後に、図2(d)に示すように、型8を剥離することによって微細構造体を得た。図9は、得られた微細構造体1Jの部分断面図であり、側面側からみた図である。
この微細構造体1Jは、直径200nm、高さ1μmの柱状の凸部2を有していた。凸部2の中央部には直径100nmのポリイソプレンからなる第1の相3が形成された。その周面部にはポリスチレンからなる第2の相4が形成されていた。凸部2の先端部には第1の相3に窪みが形成されていた。微細構造体1J中の各凸部2のそれぞれは、同じ柱状のポリイソプレンからなる第1の相3と、その周面を覆う、ポリスチレンからなる第2の相4が形成されていた。そして、第1の相3は、基板6まで延びていた。
(実施例2)
本実施例では、実施例1で形成した微細構造体1Jに対して部分的に染色を施した例を示す。
実施例1で形成したポリスチレンとポリイソプレンの2つの相からなる微細構造体1Jを四酸化オスミウム0.1重量%水溶液に2時間浸漬するとともに、これを2回水洗した後に乾燥した。この工程によって、炭素二重結合を有するポリイソプレンからなる第1の相3にのみ選択的にオスミウムが結びついて染色された。
得られた微細構造体1Jを走査型透過電子顕微鏡(STEM)で観察した。その結果、凸部2の中央部に形成されたポリイソプレンからなる第1の相3の部分にオスミウムによるコントラストが確認された。
(実施例3)
本実施例では、実施例1と異なる別のブロック共重合体を用いた微細構造体の製造方法について説明する。
まず、型8を作製した。この型8は、実施例1の型8における円柱状の凹部を、溝状の凹部にした以外は、実施例1の型8の製造方法と同様にして作製した。本実施例で作製した型8は、溝幅が1μmであり、溝長さが10mmであり、溝深さが1μmの凹部が複数平行に並ぶ櫛状の型8である。
形成材料7としては、次式(4):
Figure 0004986204
(式中、nは、1585であり、mは、1515である)
で示されるポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン)をベンゼンに溶解させたものを用いた。このポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン)の各ブロックの鎖長はポリスチレンが427nmであり、ポリブタジエンが412nmであった。そして、本実施例で作製した型8を使用するとともに、形成材料7として式(4)で示されるポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン)を使用した以外は、実施例1と同様にして微細構造体を作製した。得られた微細構造体は、図4に示すような、壁面状の凸部2を有する微細構造体であり、凸部2の幅が1μmであり、長さが10mmであり、高さが1μmであった。また、凸部2の中央(中心線)には、厚みが300nmのポリブタジエンからなる第1の相3が形成されており、この第1の相3の両側面には、ポリスチレンからなる第2の相4が形成されていた。
(実施例4)
本実施例では、実施例1および実施例3と異なる別のブロック共重合体を用いた微細構造体を製造するとともに、得られた微細構造体の一部を除去することによって得られる微細構造体について説明する。図10(a)〜(f)は、本実施例の微細構造体の製造工程を示す工程図である。
まず、型8を作製した。本実施例での型8は、実施例1で使用した(100)シリコンウエハ13に代えて、(100)シリコンウエハ13の表面に、直径100nm、深さ100nmの円柱状の凹部14を間隔200nmの2次元正方格子状に配列するように形成したもの(15mm×15mm)を使用した以外は、実施例1と同様にして型8を作製した。
次に、微細構造体の製造方法を、図10(a)〜(f)を参照しながら説明する。形成材料7としては、次式(5):
Figure 0004986204
(式中、nは、6500であり、mは、1500である)
で示されるポリ(スチレン−ブロック−メチルメタクリレート)をベンゼンに溶解させたものを使用した。このポリ(スチレン−ブロック−メチルメタクリレート)の各ブロックの鎖長は、ポリスチレンが120nmであり、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が30nmである。
次に、図2(a)に示すように、形成材料7を、基板6としてのカバーガラス(18mm×18mm)上にスピンコーター(1000rpm、30秒間)で100μLを塗布し、25℃で、10分間ベークすることによってベンゼンを除去した。そして、図10(b)に示すように、塗布した形成材料7に、作製した型8を押しつけて、本材料の相分離開始温度よりも高い120℃で加熱しながら1分間保持することによってアニーリング処理を行った。その後、室温まで冷却した後に、図10(d)に示すように、型8を剥離することによって微細構造体を得た。得られた微細構造体は、基板6上に、直径が100nmであり、高さが100nmの柱状の凸部2が形成されていた。そして、凸部2の中央部には直径30nmのポリメチルメタクリレートからなる第1の相3が形成されており、その周面にはポリスチレンからなる第2の相4が形成されていた。
次に、図10(e)に示すように、得られた微細構造体のポリメチルメタクリレートからなる第1の相3を出力100Wの酸素プラズマアッシングによって選択的に除去した。なお、酸素プラズマアッシングによるポリスチレンに対するポリメチルメタクリレートのエッチングレートは約3倍である。その結果、凸部2の中央部に穴12(空間)が形成された。その後、残された第2の相4をマスクとしてCF4プラズマ(出力:100W、処理時間:10秒)によって基板6をエッチング処理するとともに、残された第2の相4を除去した。その結果、図10(f)に示すように、基板6には、直径が30nmであり、深さが20nmの凹部19が形成された。
(a)は、本実施形態に係る微細構造体の部分斜視図、(b)は、(a)のX−X断面図である。 (a)〜(d)は、微細構造体の製造工程を説明するための概念図である。 (a)は、ブロック共重合体が自己組織化によって相分離する様子を概念的に示す平面図、(b)および(c)は、凸部の配列を示す平面図である。 凸部が壁面形状に形成された微細構造体の部分斜視図である。 (a)、(b)、および(c)は、他の相分離構造の形態を示す微細構造体の部分断面図であり、微細構造体を側面側から見た図、(d)は、他の相分離構造の形態を示す凸部の横断面図である。 (a)は、凸部に表面修飾が施された微細構造体の部分斜視図、(b)は、(a)のY−Y断面図である。 (a)、(b)、(c)および(d)は、第1の相および第2の相のいずれかを除去した微細構造体の部分断面図であり、側面から見た図である。 (a)〜(e)は、型を作製する工程を説明するための工程図である。 実施例1で得られた微細構造体の部分断面図であり、側面側からみた図である。 (a)〜(f)は、実施例4の微細構造体の製造工程を示す工程図である。
符号の説明
1A 微細構造体
1B 微細構造体
1C 微細構造体
1D 微細構造体
1E 微細構造体
1F 微細構造体
1G 微細構造体
1H 微細構造体
1I 微細構造体
1J 微細構造体
1K 微細構造体
2 凸部
3 第1の相
4 第2の相
5 下地層(支持体)
7 形成材料
8 型
9 パターン
10 表面修飾
12 穴(空間)
14 凹部

Claims (12)

  1. 支持体と、
    前記支持体の少なくとも一方の面に形成された複数の凸部と、
    を有する微細構造体であって、
    前記凸部は、その形成材料が2種類以上の相に分離した相分離構造を有し
    前記2種類以上の相が、前記凸部の中心線を通る1つの相と、この相の側面部を覆う1つ以上の相とを有していることを特徴とする微細構造体。
  2. 前記凸部が柱状構造であり、前記微細構造体の凸部の中心線を通る1つの相からなる柱状構造が凸部の先端部に露出していることを特徴とする請求項1に記載の微細構造体。
  3. 前記2種類以上の相のうち少なくとも1種類の相が層状構造を有し,凸部が壁面構造を有し,前記凸部の中心線を一つの相が通ることを特徴とする請求項1に記載の微細構造体。
  4. 請求項1に記載の微細構造体の前記2種類以上の相のうち、少なくとも1つの相を除去することで得られることを特徴とする微細構造体。
  5. 前記2種類以上の相のうち、少なくとも1種類の相を除去することで得られる空間が、前記凸部と同じ周期性を有し、元の凸部の形状を縮小した形状を有していることを特徴とする請求項4に記載の微細構造体。
  6. 少なくとも1つの相を除去することで得られる空間が、元の凸部の中心線を通る柱状若しくは層状の空間となることを特徴とする請求項4に記載の微細構造体。
  7. 前記2種類以上の相のうち、少なくとも1つの相を選択的に染色、あるいは表面修飾を施すことで得られることを特徴とする請求項1に記載の微細構造体。
  8. 内部に2つ以上の区別することのできる相を有する微細構造体の製造方法であって、
    形成する凸部の形状に対応する凹部を有する型を準備する工程と、
    前記凸部の形成材料を、支持体上に配置する工程と、
    前記型を、軟化した状態の前記形成材料に配することによって前記凸部を形成する工程と、
    前記形成材料を2つ以上の相に分離すると共に、この2つ以上の相が、前記凸部の中心線を通る1つの相と、この相の側面部を覆う1つ以上の相とを有するように前記凸部を形成する工程と、
    前記相の分離によって得られる前記凸部の何れかの相を選択的に除去する工程と、
    を含むことを特徴とする微細構造体の製造方法。
  9. 前記相の選択的な除去によって、前記型の表面の凹部形状よりも小さい相当直径を有する形状を微細構造体内に形成することを特徴とする請求項8に記載の微細構造体の製造方法。
  10. 前記相の選択的な除去によって前記支持体の表面の一部を露出し、前記支持体の露出された箇所をエッチング加工する工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の微細構造体の製造方法。
  11. 前記エッチング加工によって、前記型の表面の凹部形状よりも小さい相当直径を有する形状を前記支持体に形成することを特徴とする請求項10に記載の微細構造体の製造方法。
  12. 前記相の分離によって得られる何れかの相を選択的に染色、または表面修飾する工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の微細構造体の製造方法。
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