JP4897947B2 - ナノ構造体、多孔質ナノ構造体および機能性ナノ構造体の製造方法 - Google Patents

ナノ構造体、多孔質ナノ構造体および機能性ナノ構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はナノ構造体、多孔質ナノ構造体および機能性ナノ構造体製造方法に関し、詳しくは、本発明は低コストで大面積の規則的なナノパターンを形成しうるナノ構造体、多孔質ナノ構造体および機能性ナノ構造体製造方法に関する。
電子部品の性能の高度化により微細なパターン・構造の必要性はますます高まっている。例えば、半導体電子素子の小型化・高集積化や記録媒体の高記録密度化に伴い、その素子作製のためのナノスケール加工技術が必要とされている。従来の半導体電子素子作製に用いられてきた光リソグラフィ技術では100nmが加工限度であった。電子ビーム又はイオンビームを用いたリソグラフィではより微細な加工が可能であり数nm〜数十nmの極微細加工が可能であるが、加工コストが高く加工時間も長い。
近年、リソグラフィ技術の一つとして、ソフトリソグラフィが注目されている。この方法は、微細な鋳型に高分子などのソフトマテリアル溶液を流し込み、そのまま紫外線照射又は加熱により硬化させることで微細な立体構造を基板上に転写して微細加工を行う方法であり、μTAS(Micro Total Analysis System)やDNAチップなどのマイクロ流体チップの開発に用いられている。
しかしこの方法では、鋳型として通常PDMS(ポリジメチルシロキサン)樹脂が用いられるが、鋳型が金属製のものに比べてやわらかいため寸法精度が出しにくく、数十nmのパターン(溝)を形成するには適した方法ではなかった。
一方、ポリマー成分Aとポリマー成分Bとが結合したA−B型ブロック共重合体は、自己組織化によって規則的なナノパターンを自発的に形成することが知られている。ここで「自己組織化」とは、外的条件のもとでナノ物質が持つ本来の性質だけに従って自発的に秩序のある構造をつくる現象をいう。この現象は、Aブロック及びBブロックの斥力相互作用と両ブロックの弾性エネルギーの釣り合いに起因する。ブロック共重合体の規則的構造は、AブロックとBブロックとの組成比に応じて、一方のブロックの領域がドット状に相分離した海島構造、一方のブロックの領域が棒状に相分離したシリンダー構造、一方のブロックの領域がテトラポッドを積み上げたように相分離した共連続構造、一方のブロックと他方のブロックの2つの相が平面状に交互に積層するように相分離したラメラ構造など様々な構造を形成しうる。
この性質を利用すればブロック共重合体を適当な溶媒に溶かして被加工体上に塗布するだけで非常に簡便に単層の規則配列したパターンを形成することが可能である(例えば、特許文献1参照)。そして、近年の半導体電子素子の小型化・高集積化や記録媒体の高記録密度化に伴い、大面積のナノパターンが求められている。
上述のように、リソグラフィを用いたトップダウン方式では100nm以下のナノパターンを形成するのは困難であるが、大面積化パターン形成には有効な手段として期待されている。一方、ブロック共重合体を用いたボトムアップ方式では自己組織化により数十nm程度の規則的なナノパターンを簡易に形成することができる。そこで、両者を組み合わせて、ブロック共重合体をリソグラフィに用いる方法が提案されている(例えば、非特許文献1又は2参照)。これにより、規則的なナノパターンからなる所望形状の大面積パターンを光リソグラフィで簡易に作製することができる。
非特許文献1には、ブロック共重合体をトルエン等の揮発性溶媒に溶かし、光リソグラフィによって凹凸(溝)が形成された基板上に塗布することでパターンを形成することが記載されている。しかし、非特許文献1記載の方法では基板上に凹凸が形成されていることが前提となっているが、実際にデバイスを作製するためにはこのような基板上の凹凸を除去する必要があり、使用上の制約が多いという問題があった。
非特許文献2には、トルエン等の揮発性溶媒に溶かしたブロック共重合体を注いだPDMS製の鋳型のパターン面を基板表面に密着させ、ブロック共重合体を加熱硬化させた後に鋳型を除去することで基板上にパターンを形成することが記載されている。この方法では、非特許文献1記載の方法のような凹凸の形成が必要とされず基板の制約が少なく、有機・無機いずれの基板上にもパターンを形成することができる。
ブロック共重合体は、上述のとおり斥力相互作用により相分離が起こり規則的なドメイン配列(ミクロドメイン構造またはミクロ相分離構造ともいう)を形成する。ここで「ドメイン」とは、前記海島構造の場合には島状領域を、前記シリンダー構造の場合にはシリンダー状領域をいう。二次元的に見ると、各ドメインは千鳥格子状(ハニカム状)に規則的に配列し、特にシリンダー状のドメインでは一定方向に配向して規則的に整列する。このようなドメイン配列形成は数nm〜数十nmオーダーで観察することができるが、数百nm〜数μmオーダーで見ると複数のドメインが規則的に配列した一つのグレイン(結晶粒)を形成している。ここで「グレイン」とは、一つのドメインを核として規則的なドメイン配列が形成された領域をいう。通常、複数のドメインが核となってそれぞれグレインを形成し、全体として複数のグレインが形成される。
このように、ブロック共重合体は階層構造を形成している。非特許文献3記載のFigure.1を転載した図6を参照して更に詳細に説明する。図6はブロック共重合体の構造を様々な縮尺で示したものであり、図6(a)はポリマー成分を、図6(b)はブロック共重合体1分子を、図6(c)は複数のブロック共重合体分子が形成するミクロドメイン構造を、図6(d)は複数のグレインからなる構造をそれぞれ示す。
図6に記載されたブロック共重合体のポリマー成分はポリブタジエン(Polybutadiene)とポリスチレン(Polystyrene)であり、ポリスチレンの繰り返しモノマー単位の大きさは約0.5nmである(図6(a))。図6に記載されたブロック共重合体は、これらのポリマー成分が連鎖したものであり、その1分子は、糸状のポリブタジエンブロックからなるループ(loop)部の両端にシリンダー状のポリスチレンブロックからなるブリッジ(bridge)部が結合した構造をしており、ブリッジ部断面の直径は約20nmである(図6(b))。複数のブロック共重合体分子をまとめて見ると、シリンダー状のブリッジ部(ドメイン)が約40nmの等間隔で同一方向に配向して集合した千鳥格子状(ハニカム状)の規則的なミクロドメイン構造を形成している(図6(c))。上述したように複数のドメインは規則的に配列して一つのグレインを形成するが、さらに巨視的に見ると、図6に記載されたブロック共重合体は、全体的には、直径約5μmの複数のグレインからなる多結晶様の構造を形成している(図6(d))。図6(d)中、各グレイン内の黒色部分がシリンダー状ドメインを表しており、黒点で表された部分はシリンダー状ドメインの断面部(又は端面部)を表す。すなわち、各グレイン内では規則的な配列が形成されているが、各グレインはそれぞれ異なる方向に配向しており、図6に記載されたブロック共重合体は3次元バルク体を形成している。
図6(d)に示したように、一つのグレイン内ではドメインは規則的に配列しているが、各グレインはそれぞれ独自に形成されるため、グレイン同士の境界ではズレが生じてしまい、特にシリンダー状ドメインの場合にはグレインごとにそれぞれ異なる配向を示す(例えば、非特許文献3参照)。したがって、グレインでのみ規則正しく配列したミクロ相分離構造を有しているが、全体的に見ると複数のグレインが集合した不規則な配列となってしまうため、従来、ブロック共重合体を用いて大面積化ナノパターン形成を形成することは実用化できなかった。
上記のブロック共重合体のドメイン配列の配向を制御する方法として、安息香酸などの結晶性溶媒を用いる方法が知られている(例えば、非特許文献4参照)。この方法では、ブロック共重合体が溶解した安息香酸などの溶媒を結晶化させることで、ブロック共重合体のドメイン配列の配向を制御することができる。しかし、この方法でも複数のグレインが形成されるため、グレイン同士の境界でズレが生じてしまい、パターンの規則性が劣るという問題があった。
また、ブロック共重合体膜の一定領域ごとに順次所定の温度範囲に加熱後、冷却するゾーンクーリング法を利用して、一方向に規則正しく配列した垂直配向ラメラ構造を有するブロック共重合体膜を製造する方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、特許文献2記載の方法は、非常に時間がかかり実用的ではないという問題があった。
特開2001−151834号公報 特開2005−060583号公報 J.Y.Cheng et al., "Applied Physics Letters", 2002, Vol.81, No.19, p.3657-3659 T.Deng et al., "Langmuir", 2002, Vol.18, No.18, p.6719-6722 C.Christian et al., "Chem.Mater.", 1996, Vol.8, No.8, p.1702-1714 C.Park et al., "Applied Physics Letters", 2001, Vol.79, No.6, p.848-850
本発明は、低コストで大面積の規則的なナノパターンを形成しうるナノ構造体、多孔質ナノ構造体および機能性ナノ構造体製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、トップダウン方式であるリソグラフィ技術とボトムアップ方式であるブロック共重合体の自己組織化によるパターン形成技術とを組み合わせて大面積のナノパターンを形成しうるナノ構造体を作製する際において、幅(短辺)がグレインの大きさ以下である直方体状のブロック共重合体からなるサブ構造部をその幅方向に複数並ぶように配置したナノ構造体を作製したところ、該サブ構造部を構成するブロック共重合体のグレインの数が単一に近くなってグレイン同士の境界の数が少なくなり、欠陥の少ない大面積の規則的なナノパターンを形成しうるナノ構造体を低コストで提供できることを見い出した。さらに、本発明者らは該サブ構造を構成するブロック共重合体のグレインの数を1つとすることも可能にした。
また、本発明者らは、少なくとも1つのサブ構造部からなるナノ構造体を基板上に転写し、かつ該サブ構造部の幅がグレインの大きさ以下となるように形成する鋳型を用い、ブロック共重合体のガラス転移点よりも高い温度の融点をもつ結晶性有機溶媒を用いて当該溶媒にブロック共重合体を溶かした溶液を前記鋳型に流し込み、基板又は鋳型の一方を結晶性溶媒の融点以上の温度に保持したまま他方を結晶性溶媒の融点より低く且つ前記ブロック共重合体のガラス転移温度以上の温度として基板と鋳型との間に温度勾配をかけることによって、結晶性溶媒の結晶化を利用してドメイン配列の配向を制御し、欠陥の少ない大面積の規則的なナノパターンを形成しうるナノ構造体を製造できることを見い出した。さらに、本発明者らは、ゾーンクーリング法を利用して一定領域ごとに順次冷却して結晶性溶媒を結晶化することで、欠陥の少ない大面積の規則的なナノパターンを形成しうるナノ構造体を従来よりも高速で製造できることを見い出した。
本発明はこれらの知見に基づきなされるに至ったものである。
すなわち、本発明は
a)二種のポリマー成分からなり規則的な相分離構造を形成するブロック共重合体のグレインの大きさ以下の幅のパターンが上面に形成された鋳型を用い、前記ブロック共重合体を結晶性有機溶媒に溶解した溶液を、前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持した鋳型の上面に形成されたパターン内に注入し、
(b)前記のブロック共重合体溶液で満たされた前記の鋳型の上面を基板表面に密着させ、
(c)前記鋳型の基板側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持したまま、前記鋳型の基板とは反対側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点より低く且つ前記ブロック共重合体のガラス転移温度以上に冷却し、
(e)前記鋳型を除去する
ことを含むことを特徴とするナノ構造体の製造方法
)前記ステップ(c)が、
(c−1)前記鋳型の基板側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持したまま、前記鋳型の基板とは反対側の面の一端部の温度を前記結晶性有機溶媒の融点より低く且つ前記ブロック共重合体のガラス転移温度以上に冷却し、
(c−2)ステップ(c−1)の冷却を前記の鋳型の一端部から他端部まで所定の速度で順次行う
ことを特徴とする(1)記載のナノ構造体の製造方法。
a)二種のポリマー成分からなり規則的な相分離構造を形成するブロック共重合体のグレインの大きさ以下の幅のパターンが上面に形成された鋳型を用い、前記ブロック共重合体を結晶性有機溶媒に溶解した溶液を、前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持した鋳型の上面に形成されたパターン内に注入し、
(b)前記のブロック共重合体溶液で満たされた前記の鋳型の上面を基板表面に密着させ、
(d)前記鋳型の基板とは反対側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持したまま、前記基板の温度を前記結晶性有機溶媒の融点より低く且つ前記ブロック共重合体のガラス転移温度以上に冷却し、
(e)前記鋳型を除去する
ことを含むことを特徴とするナノ構造体の製造方法
)前記ステップ(d)が、
(d−1)前記鋳型の基板とは反対側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持したまま、前記基板の一端部の温度を前記結晶性有機溶媒の融点より低く且つ前記ブロック共重合体のガラス転移温度以上に冷却し、
(d−2)ステップ(d−1)の冷却を前記の基板の一端部から他端部まで所定の速度で順次行う
ことを特徴とする(3)記載のナノ構造体の製造方法、
)幅100nm〜10μm、深さ1μm以下の溝が形成され、溝の間隔が25〜500nmである鋳型を用いる(1)〜(4)のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法、
(6)前記基板の材料が、ケイ素、窒化ケイ素、ガラス、金属、金属酸化物、または耐熱性樹脂である(1)〜(5)のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法、
)前記鋳型の材料として、ポリジメチルシロキサン又はポリウレタンを用いる(1)〜(6)のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法、
)フッ素樹脂の粒子を接着剤に分散した材料で表面をコーティングした鋳型を用いる(1)〜(7)のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法、
)末端に官能基を有するフッ素樹脂で表面をコーティングした鋳型を用いる(1)〜(7)のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法、
(10)前記ブロック共重合体のグレインの大きさ以下として定義される幅が10nm〜1μmである(1)〜(9)のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法、
(11)前記結晶性有機溶媒が安息香酸もしくはアントラセンである(1)〜(10)のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法、
(12)前記のブロック共重合体を構成する二種のポリマー成分の組成比が、体積比で1:99〜15:85又は85:15〜99:1の範囲である(1)〜(11)のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法、
(13)前記のブロック共重合体を構成する二種のポリマー成分のうち、一方が主鎖に炭素二重結合を持つポリマー成分であり、他方が主鎖に炭素二重結合を有しないポリマー成分である(1)〜(12)のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法、
(14)前記の主鎖に炭素二重結合を持つポリマー成分がポリイソプレン、ポリブチレン及びポリクロロプレンからなる群から選ばれるいずれか1種からなり、前記の主鎖に炭素二重結合を有しないポリマー成分がポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリルからなる群から選ばれるいずれか1種からなる(13)に記載のナノ構造体の製造方法、
15)(1)〜(14)のいずれか1項に記載の方法におけるステップ(e)の鋳型の除去の後、前記の主鎖に炭素二重結合を持つポリマー成分が相分離した領域をエッチングして空孔を設ける多孔質ナノ構造体の製造方法、
16)前記のエッチングの方法として、オゾンエッチング、フッ素イオンエッチング、紫外線エッチング、またはプラズマエッチングを用いる(15)記載の多孔質ナノ構造体の製造方法
17)(15)又は(16)に記載の多孔質ナノ構造体に設けられた細孔に機能性素子を充填する機能性ナノ構造体の製造方法、および
18)前記機能性素子が光機能素子、半導体素子または磁性素子のいずれかである(17)記載の機能性ナノ構造体の製造方
を提供するものである。
本発明におけるナノ構造体は、通常「基板」と基板上に形成される「サブ構造部」から構成される。本発明における「サブ構造部」とは、ナノメートルオーダーの規則的なパターン配列(ナノパターン)をそれ自体の表面又は内部に形成しうる構造部をいい、本発明のナノ構造体は基板上に少なくとも1つのサブ構造部を有してなる。
本発明のナノ構造体は、ナノメートルオーダーの規則的なパターン配列(ナノパターン)を表面又は内部に形成したサブ構造体を有するナノ構造体であって、少なくとも1つのサブ構造部を有し、該サブ構造部は各々ほぼ一つのグレインからなり、該グレインは規則的に配列したドメインからなるという階層構造を形成している。
本発明のナノ構造体は、大面積でかつ欠陥のない規則的なナノパターンを形成することができる。また、本発明のナノ構造体は光学フィルターや回折格子等として利用することができる。また、本発明の多孔質ナノ構造体は光学的用途などの様々な用途に適用することができる。また、磁性素子を用いた本発明の機能性多孔質ナノ構造体は磁気記録媒体として利用することができ、さらに、半導体微粒子、導電体微粒子、強誘電体微粒子、相変化微粒子、フォトクロミック微粒子、サーモクロミック微粒子、エレクトロクロミック微粒子等の非磁性微粒子を用いることにより、配線、センサー、メモリなど広範囲な用途にも応用することができる。
本発明の方法によれば、大面積でかつ欠陥のない規則的なナノパターンを形成しうるナノ構造体を高速でしかも低コストで提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の好ましい一実施態様を図1に示す。なお、以下、各図の説明において同一の要素には同一の符号を付す。図1は、本発明のナノ構造体の一実施態様の斜視図である。本発明のナノ構造体1は、二種のポリマー成分からなり規則的な相分離構造を有するブロック共重合体から構成される少なくとも1つのサブ構造部2を有してなり、基板3上に形成されている。ここで、該サブ構造部2の幅は前記ブロック共重合体のグレインの大きさ以下に形成されている。
本発明のナノ構造体は、ソフトリソグラフィ法を用いて基板上に形成される。ソフトリソグラフィ法によれば低コストで大面積のパターンを形成することができるためである。前記のとおり、ソフトリソグラフィ法は、微細な鋳型に高分子などのソフトマテリアル溶液を流し込み、そのまま紫外線照射又は加熱により硬化させることで微細な立体構造を基板上に転写して微細加工を行う方法である。具体的手法については後述する。
本発明のナノ構造体は、ブロック共重合体の自己組織化性を利用して基板上に形成される。これにより低コストで簡便にナノパターンを形成することができる。
本発明に用いられるブロック共重合体は、二種のポリマー成分からなる直鎖共重合体であって、一種のポリマー成分ブロックの末端に異種のポリマー成分ブロックが結合した共重合体である。ここで、ブロックとは、一種のポリマー成分からなる部分をいう。本明細書において、二種のポリマー成分をそれぞれA及びBとした場合、ポリマー成分Aからなる部分及びポリマー成分Bからなる部分をそれぞれAブロック及びBブロックという。
本発明に用いられるブロック共重合体は、規則的な相分離構造を有するものであればどのような構造を有していてもよい。例えば、−A−B−という構造を有する一つのAブロックと一つのBブロックとが結合したA−B型ブロック共重合体を用いてもよい。また、−A−B−A−という構造を有するBブロックの両端にAブロックが結合したA−B−A型ブロック共重合体や、−B−A−B−という構造を有するAブロックの両端にBブロックが結合したB−A−B型ブロック共重合体を用いてもよい。さらに、−(A−B)n−という構造を有する複数のAブロックとBブロックからなるブロック共重合体を用いてもよい。
本発明に用いられる二種のポリマー成分は、規則的な相分離構造を形成するものであればいかなるものでもよいが、好ましくは、一方が主鎖に炭素二重結合を持つポリマー成分で、他方が主鎖に炭素二重結合を有しないポリマー成分の組み合わせである。本発明のナノ構造体における炭素二重結合を持つポリマー成分が相分離した領域をオゾンエッチング等により分解することで空孔を設け多孔質ナノ構造体を形成することができる。また、このようにして設けた空孔に機能性素子を充填することで機能性ナノ構造体を形成することもできる。
本発明に用いられる主鎖に炭素二重結合を持つポリマー成分としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレンやその他のポリエン系重合体が挙げられるが本発明はこれらに限定されるものではない。
また、本発明に用いられる主鎖に炭素二重結合を有しないポリマー成分としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル等が挙げられるが本発明はこれらに限定されるものではない。本発明では、ポリスチレンが特に好ましい。
本発明に用いられるブロック共重合体の数平均分子量は1000〜100万が好ましく、1万〜50万がより好ましい。
本発明に用いられるブロック共重合体としては、ポリイソプレンとポリスチレンとの共重合体、ポリブタジエンとポリスチレンとの共重合体が好ましいが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられるブロック共重合体は任意の方法で合成することができるが、リビング重合法が特に好ましい。リビング重合法では分子量やコポリマー比を精密に制御することができ、分子量分布の狭いブロック共重合体を得ることができる。リビングアニオン重合法またはリビングカチオン重合法が知られており、1種のモノマーをアニオン又はカチオンを生成する重合開始剤により重合を開始させ、他のモノマーを逐次的に添加することによりブロック共重合体を合成することができる(例えば、社団法人高分子学会編,「ポリマーアロイ −基礎と応用−」,第1版,(株)東京化学同人,1981年,p.11−20等を参照)。
Aブロック及びBブロックの2種のブロックが化学的に結合したブロック共重合体が有する規則的な相分離構造としては、一方のブロックの領域が島状領域に、他方のブロックの領域が海状領域に相分離した海島構造、一方のブロックの領域が棒状(シリンダー状領域)に相分離したシリンダー構造、一方のブロックの領域がテトラポッドを積み上げたように相分離した共連続構造、一方のブロックと他方のブロックの2つの相が平面状に交互に積層するように相分離したラメラ構造などがあり、AブロックとBブロックとの組成比に応じて様々な構造を形成しうる。ブロック共重合体を構成する二種のポリマー成分の組成比は、体積比で1:99〜99:1の範囲であることが好ましい。
本発明では、ブロック共重合体の相分離構造が海島構造またはシリンダー構造であることが好ましい。島状領域又はシリンダー状領域は、基板上に二次元的(単層)に形成されていても三次元的に形成されていてもよいが、島状領域又はシリンダー状領域が単層となるように二次元的に形成されていることが好ましい。
ブロック共重合体の相分離構造が海島構造である場合、ブロック共重合体を構成する二種のポリマー成分の組成比は、ブロック共重合体の種類によって異なるが体積比で1:99〜15:85又は85:15〜99:1の範囲であることが好ましく、5:95〜15:85又は85:15〜95:5の範囲であることがより好ましい。
島状領域の形状は球状又はほぼ球状であり、その直径は100nm以下であることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましく、15〜80nmであることがさらに好ましい。また、島状領域同士の配列間隔は10〜100nmであることが好ましく、15〜80nmであることがより好ましい。
ブロック共重合体の相分離構造がシリンダー構造である場合、該シリンダー構造の長さ方向は基板面に対して平行に配列していてもよく、垂直に配列していてもよい。平行に配列している場合にはマイクロ流路等に利用することができ、垂直に配列している場合には磁性素子等に利用することができる。
ブロック共重合体の相分離構造がシリンダー構造である場合のブロック共重合体を構成する二種のポリマー成分の組成比は、ブロック共重合体の種類によって異なるが体積比で20:80〜40:60又は60:40〜80:20の範囲であることが好ましく、20:80〜35:65又は65:35〜80:20の範囲であることがより好ましい。例えば、ポリスチレンとポリブタジエンとのブロック共重合体の場合、35:65又は65:35であることが特に好ましい。
シリンダー状領域の直径は100nm以下であることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましく、15〜80nmであることがさらに好ましい。また、シリンダー状領域の長さは50nm〜50mmで適用可能である。該シリンダー状領域の長さを50mmとするなどのナノ構造体の大面積化は、相分離工程におけるやサブ構造体の幅や温度条件を所定範囲に制御することで達成できる。シリンダー構造の長さ方向が基板面に対して平行に配列している場合にはその長さは10〜50mmであることが実用上好ましく、シリンダー構造の長さ方向が基板面に対して垂直に配列している場合には50nm〜1μmであることが実用上好ましく、100〜500nmであることがより好ましい。また、シリンダー状領域同士の配列間隔は10〜100nmであることが好ましく、15〜80nmであることがより好ましい。
ブロック共重合体の相分離構造がラメラ構造である場合、該ラメラ構造を形成する相が基板面に対して垂直に配列していることが好ましい。
ブロック共重合体の相分離構造がラメラ構造である場合のブロック共重合体を構成する二種のポリマー成分の組成比は、ブロック共重合体の種類によって異なるが体積比で40:60〜60:40の範囲であることが好ましく、45:55〜55:45の範囲であることがより好ましい。
ラメラ構造を形成する相の厚さは1μm以下であることが好ましく、50nm〜1μmであることがより好ましく、100〜500nmであることがさらに好ましい。
本発明のナノ構造体は、二種のポリマー成分からなり規則的な相分離構造を有するブロック共重合体から構成される少なくとも1つのサブ構造部を有してなり、該サブ構造部の幅が前記ブロック共重合体のグレインの大きさ以下であることを特徴とする。グレインが複数形成されるとグレイン間の境界で規則的な配列に欠陥が生じてしまうが、本発明は単一に近い数のグレインから構成されるサブ構造部によって欠陥の発生を防止することができる。欠陥発生防止の観点からは、本発明におけるサブ構造部を構成するブロック共重合体の構造は、できるだけ少ない数のグレインからなることが好ましく、ほぼ1個のグレインからなることがより好ましく、1個のグレインからなることが特に好ましい。
後述するように、本発明におけるサブ構造部の形状は特に限定されないが、サブ構造部が直方体状の場合、短辺を幅と定義し、長辺を長さと定義する。また、サブ構造部がコイン状(円柱状)の場合、コインの直径を幅と定義する。
本発明におけるサブ構造部の幅はブロック共重合体のグレインの大きさ以下であることが好ましい。ブロック共重合体のグレインの大きさはブロック共重合体の種類によって異なり、例えばポリスチレンとポリブタジエンとのブロック共重合体では直径約300nm程度であることが知られている。本発明におけるサブ構造部の幅は100nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがより好ましいが、実用に応じて適宜決定される。
欠陥を少なくするためにグレインの数を減らすという観点から、サブ構造部の長さについてもブロック共重合体のグレインの大きさ以下であることが好ましく、上記と同様の範囲であることが好ましいが、後述するように結晶性溶媒を用いて温度制御してサブ構造部を作製する場合には、ドメインの配向を制御しつつグレインの複数形成も抑制できるのでグレインの大きさより長くてもよい。サブ構造部の長さは、具体的には50nm〜50mmで適用可能であり、10〜50mmが実用上好ましい。
サブ構造部の高さは50nm〜1000nmで適用可能であり、実用に応じて適宜決定される。特に、ブロック共重合体が海島構造に相分離する場合やシリンダー構造に相分離しその長さ方向が基板面に対して平行に配列する場合において、単層の二次元配列を形成する場合は、サブ構造部の高さは、50〜100nmであることが好ましい。ドメインが単層で二次元的に配列したサブ構造部は、実用の際に機能を制御しやすいため好ましい。
一方、ブロック共重合体がシリンダー構造に相分離しその長さ方向が基板面に対して垂直に配列する場合やラメラ構造に相分離し各相が基板面に対して垂直に配列する場合、サブ構造部の高さは、50〜1000nmであることが好ましい。
サブ構造部の幅/高さのアスペクト比は、好ましくは0.1〜10の範囲である。
本発明のナノ構造体は少なくとも1つのサブ構造部を有してなるがその数は特に限定されず1つでも複数でもよいが(複数が好ましい)、実用に応じて適宜決定される。また、サブ構造部の形状についても特に限定されず、例えば直方体状やコイン状など実用に応じて適宜決定されるが、図1に示した本発明の好ましい一実施態様のような直方体状のものが好ましい。サブ構造部同士の間隔は、樹脂性鋳型の力学性質を考慮すると、25〜500nmであることが好ましいが本発明はこれに限定されない。
本発明に用いられる基板の材料としては特に限定されず任意のものを用いることができ、例えばケイ素や窒化ケイ素(SiN、Si23、Si43)などの他、ガラス、金属酸化物、耐熱性樹脂や、銅等の金属などを用いてもよい。
次に、本発明のナノ構造体の製造方法について説明する。
本発明のナノ構造体は、下記のステップ(a)、(b)、(c)及び(e)を含む方法により製造することができる。
(a)二種のポリマー成分からなり規則的な相分離構造を形成するブロック共重合体のグレインの大きさ以下の幅のパターンが上面に形成された鋳型を用い、前記ブロック共重合体を結晶性有機溶媒に溶解した溶液を、前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持した鋳型の上面に形成されたパターン内に注入するステップ。
(b)前記のブロック共重合体溶液で満たされた前記鋳型の上面を基板表面に密着させるステップ。
(c)前記鋳型の基板側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持したまま、前記鋳型の基板とは反対側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点より低く且つ前記ブロック共重合体のガラス転移温度以上に冷却するステップ。
(e)前記鋳型を除去するステップ。
ステップ(a)では、まず、二種のポリマー成分からなり規則的な相分離構造を形成するブロック共重合体のグレインの大きさ以下の幅のパターンが上面に形成された鋳型を用いる。このパターンが後述するステップにおいて基板上に転写されてサブ構造部を有してなるナノ構造体を形成する。そして、パターンの幅をブロック共重合体のグレインの大きさ以下とすることで、グレインの数が少なく欠陥の少ない規則的なナノパターンを形成しうるナノ構造体を作製することができる。
鋳型の材料としては、通常PDMS(ポリジメチルシロキサン)樹脂が用いられるが本発明はこれに限定されない。例えば、ポリジメチルシロキサンの他にもポリウレタン等を用いることができる。本発明では特にPDMSが好ましい。
本発明に用いられる鋳型は任意の方法で作製することができ、例えば光リソグラフィ技術などにより作製することができる。
鋳型上に形成された溝(パターン)は、キャスティングすることによりそれぞれがサブ構造部を形成する。したがって、溝の幅はブロック共重合体のグレインの大きさ以下であることが好ましい。具体的には、100nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがより好ましいが、実用に応じて適宜決定される。また、溝の深さは50nm〜1000nmで適用可能であり、実用に応じて適宜決定される。また、溝同士の間隔は、25〜500nmであることが好ましいが本発明はこれに限定されない。
鋳型の離型性が悪いと後述するステップ(e)における鋳型の除去がうまく行えず、形成したナノ構造体や鋳型が壊れてしまうおそれがある。また、用いる溶媒によっては鋳型が溶解してしまうおそれもある。そのため、鋳型表面をフッ素樹脂等でコーティングすることが好ましい。コーティングの方法としては任意の方法を用いることができ、例えば、T.Deng et al., "Langmuir", 2002, Vol.18, No.18, p.6719-6722に記載されているように、フッ素樹脂の粒子を接着剤に分散した材料で鋳型表面をコーティングするか、官能基を有するフッ素樹脂で鋳型表面をコーティングしてもよい。
また、ステップ(a)では、上述したブロック共重合体を結晶性有機溶媒に溶解する。結晶性有機溶媒を用い、後述するステップ(c)又は(d)において該溶媒を結晶化させることで、ブロック共重合体のドメイン配列の配向を制御することができる。結晶性有機溶媒の結晶化温度(融点)は、ブロック共重合体のガラス転移点を超える温度であることが必要である。結晶性有機溶媒は、当該溶媒の融点(結晶化温度)とブロック共重合体のガラス転移温度との関係やブロック共重合体の溶解性などを考慮して適宜決定される。例えば、安息香酸やアントラセン等を挙げることができるが本発明はこれらに限定されない。本発明では安息香酸が特に好ましい。また、結晶性有機溶媒の濃度は適宜決定されるが、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは20〜50質量%である。
次いで、作製した溶液を前記の鋳型の上面に形成されたパターン内に注入する。このとき、前記結晶性有機溶媒が注入と同時に結晶化しないように、鋳型の温度を結晶性有機溶媒の融点以上に保持しておく必要がある。
ステップ(b)では、前記のブロック共重合体溶液で満たされた前記の鋳型の上面(パターンが形成された面)を基板表面に密着させる。その際、鋳型からあふれ出た過剰のブロック共重合体溶液を抜き取る。
ステップ(c)では、前記鋳型の基板側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持したまま、前記鋳型の基板とは反対側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点より低く且つ前記ブロック共重合体のガラス転移温度以上に冷却する。このようにして、基板の温度は前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持しつつ、鋳型の基板とは反対側の面を冷却することで温度勾配を設けることで、結晶性有機溶媒が鋳型上に結晶化し、それに伴いブロック共重合体のドメイン配列の配向を一定方向に決定することができる。
さらに、ステップ(c)は、(c−1)前記鋳型の基板側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持したまま、前記鋳型の基板とは反対側の面の一端部の温度を前記結晶性有機溶媒の融点より低く且つ前記ブロック共重合体のガラス転移温度以上に冷却し、(c−2)前記ステップ(c−1)の冷却を前記の鋳型の一端部から他端部まで所定の速度で順次行うことが好ましい。すなわち、鋳型を一定領域ごとに順次所定の温度に冷却するゾーンクーリング法を行うことが好ましい。これにより、ブロック共重合体のグレインの境界をなくし、かつ、ドメイン配列の配向を一方向に規則正しく配列させることができる。また、結晶性溶媒を用い且つゾーンクーリングを行うことで、規則的なドメイン配列を高速で形成することができる。
このゾーンクーリング法について図2及び3を参照しながら説明する。図2及び3は、本発明のナノ構造体の製造方法の一実施態様を示したものであり、図2はナノ構造体の正面断面図を、図3は平面断面図を表す。また、図2は図3のII−II線の断面図であり、図3は図2のIII−III線の断面図である。図2を参照すると、基板3上に鋳型5が密着して配置しており、鋳型5によって島状領域21と海状領域22とに相分離したブロック共重合体からなるサブ構造部2が基板3上にかたどられている。サブ構造部2上部には鋳型5との隙間に結晶化した結晶性溶媒4が配置しており、鋳型5の上には冷却用プレート6が配置している。図3中、点線で示したプレート6を鋳型5に接触させた部分は冷却により安息香酸が結晶化していく。図3中23はまだ相分離していない領域である。プレート6を徐々に移動させながら順々に冷却していくことで少しずつ安息香酸が結晶化されていくのである。
ゾーンクーリングを行う際の移動速度は、結晶性溶媒の結晶化速度を考慮して決定される。例えば結晶性溶媒が安息香酸である場合、2mm/s以下が好ましく、500nm/s〜100μm/sがより好ましい。
ステップ(e)では、ブロック共重合体および結晶性有機溶媒がそれぞれ冷却により硬化した後、鋳型を除去する。
以上のステップにより、本発明のナノ構造体を製造することができる。用いるブロック共重合体における二種のポリマー成分の組成比を変えることで、海島構造、シリンダー構造、ラメラ構造など様々な相分離構造をもつナノ構造体を作製することができる。
前記ステップ(c)に代えて下記ステップ(d)を行ってもよい。
(d)前記鋳型の基板とは反対側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持したまま、前記基板の温度を前記結晶性有機溶媒の融点より低く且つ前記ブロック共重合体のガラス転移温度以上に冷却するステップ。
この方法では、前記ステップ(c)とは異なり基板を冷却することで結晶性有機溶媒が基板上に結晶化し、それに伴いブロック共重合体の配向が一定方向に決定され、規則的で欠陥のないナノパターンを形成することができる。ただし、この方法では、後述するエッチングの際に結晶性有機溶媒が除去しないような条件を決定する必要がある。
さらに、ステップ(d)は、(d−1)前記鋳型の基板とは反対側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持したまま、前記基板の一端部の温度を前記結晶性有機溶媒の融点より低く且つ前記ブロック共重合体のガラス転移温度以上に冷却し、(d−2)前記ステップ(d−1)の冷却を前記の基板の一端部から他端部まで所定の速度で順次行うことが好ましい。すなわち、基板を一定領域ごとに順次所定の温度に冷却するゾーンクーリング法を行うことが好ましい。これにより、ブロック共重合体のグレインの境界をなくし、かつ、ドメイン配列の配向を一方向に規則正しく配列させることができる。ゾーンクーリングを行う際の好ましい移動速度は前記のステップ(c−1)及び(c−2)と同様である。
ステップ(e)における鋳型の除去の後、前記の主鎖に炭素二重結合を持つポリマー成分が相分離した領域をエッチングして空孔を設けることが好ましい。これにより、細孔が規則的に配列した多孔質ナノ構造体製造することができる。エッチング方法としては任意の方法を用いることができ、例えばオゾンエッチング、フッ素イオンエッチング、紫外線エッチング、プラズマエッチングなどが挙げられる。本発明ではオゾンエッチング又はフッ素イオンエッチングが特に好ましい。
本発明の細孔が規則的に配列した多孔質ナノ構造体は、その配列を利用したものとして、表面に形成された細孔とその他の部分の厚さの差を利用した光学フィルターや回折格子等として利用することができる。
例えば、本発明の多孔質構造体は、多孔質ナノ構造体に設けられた細孔そのものを利用することで機能性を付与することができ、さらに、細孔に様々な機能性素子を充填することで機能性素子が規則的に配列した機能性ナノ構造体を得ることができる。
また、上記の他、ナノ構造体のレプリカを利用して、ナノ構造体に機能性を付与することも考えられる。
多孔質構造体の細孔を利用するものとして、光導波路や流体マイクロ流路などの用途がある。特に、シリンダー状の分離層の場合にはマイクロ流路などへの応用が有効である。また、細孔に機能性素子を充填した機能性素子の例としては、光機能素子、磁性素子、半導体素子、導電体素子、強誘電体素子、相変化素子、フォトクロミック素子、サーモクロミック素子、エレクトロクロミック素子等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の機能性ナノ構造体は広範な用途に応用することができる。例えば、磁性素子を用いた場合には高密度磁気記録媒体として利用することができ、半導体微粒子を用いた場合には高集積回路に利用することができる。その他、有機トランジスタ、バイオチップ、太陽電池、ディスプレイ、ナノワイヤー、化学物質検出センサーなど、様々な機能性素子を用いることで様々な機能を発揮しうる。
本発明の応用例としては、光機能素子、半導体素子または磁性素子が特に好ましい。以下にさらに具体的に、光機能素子や磁性素子などへの応用を説明する。
例えば、光機能素子としては、フォトニック結晶に利用でき、たとえば、フォトニックバンドギャップを形成させたり、前述の光導波路や回折格子を形成させたりすることができ、さらに発光素子などへの応用が考えられる。また、フォトニック結晶を利用した光記憶媒体等への応用も考えられる。特に、細孔内に発光材料を充填することで、発光スペクトル幅の短い発光素子、低閾値レーザなどを実現できる。
磁性素子への応用例として、磁気記録媒体等への応用が期待できる。機能性ナノ構造体の細孔中に、Co、Fe、Ni等の強磁性体粒子を充填することで、ナノパターン内の強磁性金属粒子が1記憶単位となるパターンドメディアが実現できる。また、パルスメッキ法などを利用して、強磁性層を非磁性層間に交互に形成した磁気抵抗多層膜を作成することによりGMR効果を利用した、より高密度で高感度の磁気記憶媒体等への利用も可能である。GMR効果を利用した磁気抵抗膜に使用する強磁性金属としては、例えばCo、Fe、Niあるいはそれらの少なくとも1種を主成分とする強磁性金属からなる材料を用いることができ、非磁性層には、Cu、Ag、Auあるいはそれらの少なくとも1種を主成分とする非磁性金属を用いることができる。磁気抵抗効果膜をナノ構造体の細孔中に形成した磁気記憶媒体は、例えば特開平10−283618号公報に記載されている。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(鋳型の作製)
まず、Si基板上に光硬化性フォトレジスト(ノボラック樹脂、σ−キノンジアジド、AZ−1300シリーズ、商品名、シプレー社製)を塗布し、所定のパターン用原板を通してパターン以外の部分にHg−g線(436nm)を30秒間露光した後、未照射部分のフォトレジストを除去し、基板上に幅300nm×深さ100nmのパターン溝を形成した。ポストベークにより硬化したフォトレジストを除去し、凸状に形成された基板を作製した。作製した基板上には、10mlのトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシラン(ユナイテッド・ケミカル・テクノロジー社製)を塗布した。
次に、作製したパターン基板上にPDMS(ポリジメチルシロキサン)の前駆体(Sylgard 184、商品名、ダウ・コーニング社製)を塗布し、60℃で2時間加熱してPDMSを硬化させたあと基板から取り外し、パターンが転写され凹状に形成された鋳型を作製した。作製した鋳型上に、フッ素系ポリマー離型剤を塗布して重合処理を施し、厚さ約10nmのコーティングを施した(ナノスB処理、商品名、(株)ティーアンドケー製)。
(ブロック共重合体溶液の作製)
ポリスチレン(数平均分子量:61000)とポリブタジエン(数平均分子量:11000)とのブロック共重合体を安息香酸に溶かした溶液(濃度30質量%、150℃)を作製した。
(ナノ構造体の作製)
150℃に加熱した鋳型のパターン溝にブロック共重合体溶液(150℃)を注入し、あふれ出た過剰の溶液を除去した後、当該鋳型の上に150℃に加熱したシリカ基板を載せて密着させた。図2及び3に示したようにして、鋳型(基板とは反対側の面)の一部を110℃のプレートに接触させ、1μm/sで基板を移動させながら少しずつ安息香酸を結晶化させた(ゾーンクーリング法)。上記の冷却後、さらに、鋳型を60℃のプレートに接触させて同様にゾーンクーリングを行いブロック共重合体を冷却した後、基板から鋳型を除去し、基板上にナノ構造体を作製した。
ナノ構造体の断面を電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM;S−4700、商品名、日立ハイテク(株)製)で観測したところ、上部に結晶化された安息香酸の成膜(約45nm)と下部にブロック共重合体の成膜(約40nm)が確認された。ナノ構造体に反応性イオンエッチング(RIE、CF4/O2、商品名:RIE−10NR、サムコ(株)製)によって、安息香酸の成膜、更にブロック共重合体成膜の半分の厚さまでのエッチングを行った。原子間力顕微鏡(AFM;位相イメージ、MFD−3D、商品名、アサイラム・リサーチ(株)製)でエッチング面を観測したところ、鋳型のパターン溝から転写されたサブ構造部が基板上に形成されており、サブ構造部を構成するポリスチレン海状に海状領域に相分離した海島構造を有しており、島状領域はポリブタジエンドメインが直径、約20nm、49nm間隔で規則的に配列していることが確認された。グレインの境界は観測されずパターン配列に欠陥は観測されなかった。
実施例2
鋳型の上に基板を密着させた後、基板側の一部を110℃のプレートに接触させて冷却したこと以外は実施例1と同様にしてナノ構造体を作製した。
ナノ構造体の断面を実施例1と同様にしてFE−SEMで観測したところ、上部にブロック共重合体の成膜(約40nm)と下部に結晶化された安息香酸の成膜(約45nm)が確認された。実施例1と同様にしてエッチング処理の後、AFMで観測したところ、サブ構造部を構成するブロック共重合体はポリブタジエンが島状領域に、ポリスチレンが海状領域に相分離した海島構造を有しており、島状領域は直径が約20nmであり、49nm間隔で規則的に配列しており、グレインの境界は観測されずパターン配列に欠陥は観測されなかった。
実施例3
鋳型のパターン溝の深さを150nmとしたこと、ポリスチレン(数平均分子量:45000)とポリイソプレイン(数平均分子量:12000)とのブロック共重合体を安息香酸に溶かした溶液(濃度30質量%、150℃)を作製したこと、及び鋳型の上に基板を密着させた後、鋳型(基板とは反対側の面)の全面を110℃のプレートに接触させて冷却したこと以外は実施例1と同様にしてナノ構造体を作製した。
作製したナノ構造体を実施例1と同様にしてFE−SEMで観測したところ、サブ構造部を構成するブロック共重合体(約60nm)の上部には結晶化した安息香酸(約80nm)が成膜していた。実施例1と同様にしてエッチング処理の後、AFMで観測したところ、サブ構造部を構成するブロック共重合体はポリイソプレンがシリンダー状領域に相分離したシリンダー構造を有しており、該シリンダー構造の長さ方向が基板面に対して垂直に配列していた。シリンダー状領域は直径が約25nmであり、48nm間隔で規則的に配列しており、グレインの境界は観測されずパターン配列に欠陥は観測されなかった。
作製したナノ構造体を図4に示す。図4(a)は実施例3で作製したナノ構造体の正面断面図を、図4(b)は平面図を表す。また、図4(a)は図4(b)のIV−IV線の断面図である。図4を参照すると、基板3上にナノ構造体を構成する複数のサブ構造部2が形成されており、サブ構造部2を構成するブロック共重合体はシリンダー状領域24とそのまわりを囲むシリンダー包囲領域25に相分離しており、該シリンダー構造24の長さ方向が基板3に対して垂直に配列している。
実施例4
鋳型の上に基板を密着させた後、基板側の全面を110℃のプレートに接触させて冷却したこと以外は実施例3と同様にしてナノ構造体を作製した。
作製したナノ構造体を実施例1と同様にしてFE−SEMで観測したところ、サブ構造部を構成する結晶化した安息香酸(約80nm)の上部にはブロック共重合体(約60nm)が成膜していた。エッチング処理の後、AFMで観測したところ、サブ構造部を構成するブロック共重合体はポリイソプレンがシリンダー状領域に相分離したシリンダー構造を有しており、該シリンダー構造の長さ方向が基板面に対して垂直に配列していた。シリンダー状領域は直径が約25nmであり、48nm間隔で規則的に配列しており、グレインの境界は観測されずパターン配列に欠陥は観測されなかった。
実施例5
実施例3で用いたポリスチレンとポリイソプレンとのブロック共重合体を用いたこと以外は実施例1と同様にしてナノ構造体を作製した。
作製したナノ構造体を実施例1と同様にしてFE−SEMで観測したところ、鋳型のパターン溝から転写されたサブ構造部が基板上に形成されており、サブ構造部を構成するブロック共重合体(約60nm)の上部には結晶化した安息香酸が成膜(約80nm)していた。エッチング処理の後、AFMで観測したところ、サブ構造部を構成するブロック共重合体はポリイソプレンがシリンダー状領域に相分離したシリンダー構造を有しており、該シリンダー構造の長さ方向が基板面に対して水平に配列していた。シリンダー状領域は直径が約24nmであり、47nm間隔で規則的に配列しており、グレインの境界は観測されずパターン配列に欠陥は観測されなかった。
作製したナノ構造体を図5に示す。図5(a)は実施例5で作製したナノ構造体の正面図を、図5(b)は平面断面図を表す。また、図5(b)は図5(a)のV−V線の断面図である。図5を参照すると、基板3上にナノ構造体を構成する複数のサブ構造部2が形成されており、サブ構造部2を構成するブロック共重合体はシリンダー状領域24とそのまわりを囲むシリンダー包囲領域25に相分離しており、該シリンダー構造24の長さ方向が基板3に対して平行に配列している。
実施例6
実施例3で用いたポリスチレンとポリイソプレンとのブロック共重合体を用いたこと以外は実施例2と同様にしてナノ構造体を作製した。
作製したナノ構造体を実施例1と同様にして、FE−SEMで観測したところ、基板上に結晶化した安息香酸が成膜(約80nm)し、その上にブロック共重合体(約60nm)で構成されたサブ構造部が配置していた。エッチング処理の後、AFMで観測したところ、サブ構造部を構成するブロック共重合体はポリイソプレンがシリンダー状領域に相分離したシリンダー構造を有しており、該シリンダー構造の長さ方向が基板面に対して水平に配列していた。シリンダー状領域は直径が約24nmであり、47nm間隔で規則的に配列しており、グレインの境界は観測されずパターン配列に欠陥は観測されなかった。
実施例7
実施例1で作製したナノ構造体にオゾン照射しポリブタジエン部分をエッチングして、多孔質ナノ構造体を作製した。更に実施例1と同様にしてナノ構造体にRIEを実施した後AFMで観測したところ、直径約22nmの細孔が47nm間隔で規則的に配列しており、パターン配列に欠陥は観測されなかった。
実施例8
実施例7で作製した多孔質ナノ構造体のナノホールの中にコバルト白金合金を電着法によって充填した機能性ナノ構造体を作製した。実施例1と同様にしてナノ構造体をAFMで観測したところ、磁性素子が20nm間隔で規則的に配列しており、パターン配列に欠陥は観測されなかった。
図1は、本発明のナノ構造体の一実施態様の斜視図である。 図2は、本発明のナノ構造体の製造方法の一実施態様を示したものであり、図3のII−II矢視正面断面図である。 図3は、本発明のナノ構造体の製造方法の一実施態様を示したものであり、図2のIII−III矢視平面断面図である。 図4は実施例3で作製したナノ構造体を示したものであり、図4(a)は図4(b)のIV−IV矢視正面断面図を、図4(b)は実施例3で作製したナノ構造体の平面図である。 図5は実施例5で作製したナノ構造体を示したものであり、図5(a)は実施例5で作製したナノ構造体の正面図を、図5(b)は図5(a)のV−V矢視平面図である。 図6はブロック共重合体の構造を様々な縮尺で示したものであり、図6(a)はポリマー成分を、図6(b)はブロック共重合体1分子を、図6(c)は複数のブロック共重合体分子が形成するミクロドメイン構造を、図6(d)は複数のグレインからなる構造をそれぞれ示す。
符号の説明
1 ナノ構造体
2 サブ構造部
21 島状領域
22 海状領域
23 相分離していない領域
24 シリンダー状領域
25 シリンダー包囲領域
3 基板
4 結晶化した結晶性溶媒
5 鋳型
6 冷却用プレート

Claims (18)

  1. a)二種のポリマー成分からなり規則的な相分離構造を形成するブロック共重合体のグレインの大きさ以下の幅のパターンが上面に形成された鋳型を用い、前記ブロック共重合体を結晶性有機溶媒に溶解した溶液を、前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持した鋳型の上面に形成されたパターン内に注入し、
    (b)前記のブロック共重合体溶液で満たされた前記の鋳型の上面を基板表面に密着させ、
    (c)前記鋳型の基板側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持したまま、前記鋳型の基板とは反対側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点より低く且つ前記ブロック共重合体のガラス転移温度以上に冷却し、
    (e)前記鋳型を除去する
    ことを含むことを特徴とするナノ構造体の製造方法
  2. 前記ステップ(c)が、
    (c−1)前記鋳型の基板側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持したまま、前記鋳型の基板とは反対側の面の一端部の温度を前記結晶性有機溶媒の融点より低く且つ前記ブロック共重合体のガラス転移温度以上に冷却し、
    (c−2)ステップ(c−1)の冷却を前記の鋳型の一端部から他端部まで所定の速度で順次行う
    ことを特徴とする請求項記載のナノ構造体の製造方法。
  3. a)二種のポリマー成分からなり規則的な相分離構造を形成するブロック共重合体のグレインの大きさ以下の幅のパターンが上面に形成された鋳型を用い、前記ブロック共重合体を結晶性有機溶媒に溶解した溶液を、前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持した鋳型の上面に形成されたパターン内に注入し、
    (b)前記のブロック共重合体溶液で満たされた前記の鋳型の上面を基板表面に密着させ、
    (d)前記鋳型の基板とは反対側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持したまま、前記基板の温度を前記結晶性有機溶媒の融点より低く且つ前記ブロック共重合体のガラス転移温度以上に冷却し、
    (e)前記鋳型を除去する
    ことを含むことを特徴とするナノ構造体の製造方法
  4. 前記ステップ(d)が、
    (d−1)前記鋳型の基板とは反対側の面の温度を前記結晶性有機溶媒の融点以上の温度に保持したまま、前記基板の一端部の温度を前記結晶性有機溶媒の融点より低く且つ前記ブロック共重合体のガラス転移温度以上に冷却し、
    (d−2)ステップ(d−1)の冷却を前記の基板の一端部から他端部まで所定の速度で順次行う
    ことを特徴とする請求項記載のナノ構造体の製造方法。
  5. 幅100nm〜10μm、深さ1μm以下の溝が形成され、溝の間隔が25〜500nmである鋳型を用いる請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法。
  6. 前記基板の材料が、ケイ素、窒化ケイ素、ガラス、金属、金属酸化物、または耐熱性樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法。
  7. 前記鋳型の材料として、ポリジメチルシロキサン又はポリウレタンを用いる請求項1〜6のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法。
  8. フッ素樹脂の粒子を接着剤に分散した材料で表面をコーティングした鋳型を用いる請求項1〜7のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法。
  9. 末端に官能基を有するフッ素樹脂で表面をコーティングした鋳型を用いる請求項1〜7のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法、
  10. 前記ブロック共重合体のグレインの大きさ以下として定義される幅が10nm〜1μmである請求項1〜9のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法。
  11. 前記結晶性有機溶媒が安息香酸もしくはアントラセンである請求項1〜10のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法。
  12. 前記のブロック共重合体を構成する二種のポリマー成分の組成比が、体積比で1:99〜15:85又は85:15〜99:1の範囲である請求項1〜11のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法。
  13. 前記のブロック共重合体を構成する二種のポリマー成分のうち、一方が主鎖に炭素二重結合を持つポリマー成分であり、他方が主鎖に炭素二重結合を有しないポリマー成分である請求項1〜12のいずれか1項に記載のナノ構造体の製造方法。
  14. 前記の主鎖に炭素二重結合を持つポリマー成分がポリイソプレン、ポリブチレン及びポリクロロプレンからなる群から選ばれるいずれか1種からなり、前記の主鎖に炭素二重結合を有しないポリマー成分がポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリルからなる群から選ばれるいずれか1種からなる請求項13に記載のナノ構造体の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法におけるステップ(e)の鋳型の除去の後、前記の主鎖に炭素二重結合を持つポリマー成分が相分離した領域をエッチングして空孔を設ける多孔質ナノ構造体の製造方法。
  16. 前記のエッチングの方法として、オゾンエッチング、フッ素イオンエッチング、紫外線エッチング、またはプラズマエッチングを用いる請求項15記載の多孔質ナノ構造体の製造方法。
  17. 請求項15又は16に記載の多孔質ナノ構造体に設けられた細孔に機能性素子を充填する機能性ナノ構造体の製造方法。
  18. 前記機能性素子が光機能素子、半導体素子または磁性素子のいずれかである請求項17記載の機能性ナノ構造体の製造方法。
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