JP4982796B2 - 球面加減速駆動機構 - Google Patents

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Description

本発明は、球面加減速駆動機構に係り、特に、球面ステッピングモータを利用した球面加減速駆動機構に関する。
特許文献1には、本件発明者の発明に係る3軸駆動ユニットが記載されている。この3軸駆動ユニットは、球体に接触する摩擦車を介して1軸周りに回転するアクチュエータにより球体を駆動する。3台のアクチュエータにより3方向に球体を駆動することを特徴としている。この機構は、アクチュエータの回転速度を減じトルクを増幅する減速装置の特徴も有している。
特許文献2には、本件発明者の発明に係る球面ステッピングモータが記載されている。この球面ステッピングモータは、ロータを任意の方向にどこまでも回転させることができることを特徴としている。
特許第1685370号公報 特願2006−273936号
しかし、特許文献1に記載の3軸駆動ユニットは、他のアクチュエータの摩擦車が別の方向の摩擦車の駆動の妨害をするため、それを避ける工夫が必要になるという問題がある。
また、特許文献2に記載の球面ステッピングモータは、ロータはステータ内において任意の方向に無限回転することができるが、通常、ロータから回転出力を得るために、ロータに出力軸を取り付ける。しかし、この出力軸が取り付けられたロータは、開口部を有するステータ内で球面軸受けされ、前記出力軸は前記開口部の範囲内でしか回動できないため、前記出力軸の動く範囲が狭い範囲に限定されるという問題がある。
本発明の目的は、上記の問題点に鑑みて、ステータ内において任意の方向に無限回転するロータからなる球面モータを用いて、任意の方向に無限回転可能な出力が得られる球面加減速駆動機構を提供することにある。
本発明の他の目的は、減速機構として使用した場合、特許文献1に記載されたものと同様に、アクチュエータの回転速度を減じ、トルクを増幅する減速装置としての特徴を有する球面加減速駆動機構を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような手段を採用した。
第1の手段は、球面モータと、該球面モータのロータに接するように配置された球体とからなり、前記球面モータを駆動することにより前記球体を回転させることを特徴とする球面加減速駆動機構である。
第2の手段は、第1の手段において、前記球体は、複数の軸受によって支持されていることを特徴とする球面加減速駆動機構である。
第3の手段は、複数の球面モータと、該複数の球面モータのロータに接するように配置された球体とからなり、前記複数の球面モータを駆動することにより前記球体を回転させることを特徴とする球面加減速駆動機構である。
第4の手段は、第3の手段において、前記球体は、前記複数の球面モータと球面軸受けによって支持されていることを特徴とする球面加減速駆動機構である。
第5の手段は、第3の手段において、前記複数の球面モータが、第1の複数の球面モータ群と該第1の複数の球面モータ群に対向して配置された第2の複数の球面モータ群とからなり、前記球体が前記第1の複数の球面モータ群と前記第2の複数の球面モータ群とによって支持されていることを特徴とする球面加減速駆動機構である。
第6の手段は、第1の手段ないし第5の手段のいずれか1つの手段において、前記球体に出力軸が設けられていることを特徴とする球面加減速駆動機構である。
第7の手段は、第1の手段ないし第6の手段のいずれか1つの手段において、前記球面モータが、ロータに内接する多面体を構成する多角形とステータに内接する多面体を構成する多角形の角数が互いに素の関係にあって、内接する多面体の頂点および各面の中心に永久磁石を配置したロータと、内接する多面体の頂点および各面の中心に電磁石を配置したステータとからなる球面ステッピングモータであることを特徴とする球面加減速駆動機構である。
第8の手段は、第1の手段ないし第6の手段のいずれか1つの手段において、前記球面モータが、ロータに内接する多面体を構成する多角形とステータに内接する多面体を構成する多角形の角数が互いに素の関係にあって、内接する多面体の頂点および各面の中心に永久磁石を配置したロータと、内接する多面体の頂点および各面の中心に電磁石を配置したステータとからなり、前記ロータに内接する多面体の頂点に対応する永久磁石表面の極性と各面の中心部に対応する永久磁石表面の極性とを反対に構成し、前記ステータの電磁石に電流を流して前記永久磁石を吸引して前記ロータを回転させる時、前記電磁石表面に形成される極性が前記永久磁石表面の極性と反対になるように構成した球面ステッピングモータであることを特徴とする球面加減速駆動機構である。
第9の手段は、第1の手段ないし第6の手段のいずれか1つの手段において、前記球面モータが、正12面体の頂点および各面の中心に永久磁石を配置したロータと、ケルビンの14面体の頂点および各面の中心に電磁石を配置したステータとからなる球面ステッピングモータであることを特徴とする球面加減速駆動機構である。
第10の手段は、第1の手段ないし第6の手段のいずれか1つの手段において、前記球面モータが、正12面体の頂点および各面の中心に永久磁石を配置したロータと、ケルビンの14面体の頂点および各面の中心に電磁石を配置したステータとからなり、前記ロータに内接する多面体の頂点に対応する永久磁石表面の極性と各面の中心部に対応する永久磁石表面の極性とを反対に構成し、前記ステータの電磁石に電流を流して前記永久磁石を吸引して前記ロータを回転させる時、前記電磁石表面に形成される極性が前記永久磁石表面の極性と反対になるように構成した球面ステッピングモータであることを特徴とする球面加減速駆動機構である。
第11の手段は、第1の手段ないし第6の手段のいずれか1つの手段において、前記球面モータが、ロータに内接する多面体を構成する多角形とステータに内接する多面体を構成する多角形の角数が互いに素の関係にあって、内接する多面体の頂点および各面の中心に永久磁石を配置したロータと、内接する多面体の頂点および各面の中心に電磁石を配置したステータとからなり、前記ロータの前記永久磁石と前記ステータの前記電磁石の組み合わせが、ロータ側に電磁石を配置しステータ側に電磁石を配置する構成、ロータ側に磁性体を配置しステータ側に電磁石を配置する構成、ロータ側に永久磁石を配置しステータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置する構成、またはロータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置しステータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置した球面ステッピングモータであることを特徴とする球面加減速駆動機構である。
第12の手段は、第1の手段ないし第6の手段のいずれか1つの手段において、前記球面モータが、正12面体の頂点および各面の中心に永久磁石を配置したロータと、ケルビンの14面体の頂点および各面の中心に電磁石を配置したステータとからなり、前記ロータの前記永久磁石と前記ステータの前記電磁石の組み合わせが、ロータ側に電磁石を配置しステータ側に電磁石を配置する構成、ロータ側に磁性体を配置しステータ側に電磁石を配置する構成、ロータ側に永久磁石を配置しステータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置する構成、またはロータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置しステータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置した球面ステッピングモータであることを特徴とする球面加減速駆動機構である。
本発明の球面加減速駆動機構によれば、特許文献1に記載に記載されたものに比べて、球体がどのような方向に駆動されていても他の球面モータが球体の運動を妨げることがなくなる。また、球体に取り付けた出力軸の可動範囲を広範囲にすることができる。
また、特許文献2に記載された球面ステッピングモータを用いることにより、強力な駆動力が得られるとともに、回転制御が容易となる。さらに、特許文献2に記載された球面ステッピングモータを用いることにより、ロータの永久磁石とステータの電磁石間の磁路に流出入する磁力線が大きくなるようにして、大きな駆動力を得ることが可能となる。
はじめに、本発明の第1の実施形態を図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態の本発明に係る球面加減速駆動機構の構成を示す斜視図である。
同図において、1は軸受、2は軸受1に向かい合うようにして設けられた軸受、3は球面モータ4によって駆動される球体、4は球面モータ、41は球面モータ4のロータ、5は球体3に取り付けられる出力軸である。
同図に示すように、この球面加減速駆動機構は、球体3が軸受1および軸受2によって回転可能に支持され、さらに、球体3は、球面モータ4のロータ41に接触しており、ロータ41の回転に伴って回転し、出力軸5から回転出力が得られる。
次に、この球面加減速駆動機構の動作について説明する。
球面モータ4のロータ41をXm軸の周りに時計回りに回転させると、球体3は球体3のXb軸の周りに反時計回りに回転する。球面モータ4のロータ41をYm軸の周りに時計回りに回転させると、球体3は球体3のYb軸周りに反時計回りに回転する。
ここで、球面モータ4のロータ41のロータ直径をd、球体3の直径をDとすると、球体3の回転数はd/D倍、球体3の回転トルクはD/d倍に変換される。すなわち球体3の直径Dを球面モータ4のロータ41の直径より大きくすると低回転数で高トルク、小さくすると高回転数で低トルクの出力が得られる。
本実施形態の発明に係る球面加減速駆動機構によれば、ロボットの関節駆動など高トルクを必要とする用途では球体3の直径Dを大きくし、また、球体3の出力軸5にDVDなどを載せて高速回転させる用途では球体3の直径Dを小さくして対応できる。
次に、本発明の第2の実施形態を図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態の本発明に係る球面加減速駆動機構の構成を示す斜視図である。
同図において、6は球面軸受、7は球面モータ、71は球面モータ7のロータ、8は球面モータ、81は球面モータ8のロータ、9は球面モータ7のロータ71および球面モータ8のロータ81によって駆動される球体、10は球体9に取り付けられる出力軸である。
同図に示すように、この球面加減速駆動機構は、球体9が、球面軸受6、ロータ71およびロータ81によって回転可能に支持され、さらに、球体9は、各ロータ71、81に接触しているので、ロータ71、81の回転に伴って回転し、出力軸10から回転出力が得られる。
次に、この球面加減速駆動機構の動作について説明する。
球面モータ7のロータ71をXm1軸の周りに時計回りに回転させると、球体9はXb1軸の周りに反時計回りに回転する。球面モータ7をYm1軸の周りに時計回りに回転すると、球体9はYb1軸の周りに反時計回りに回転する。また、球面モータ8をXm2軸の周りに時計回りに回転すると球体9はXb2軸の周りに反時計回りに回転する。球面モータ8をYm2軸の周りに時計回りに回転すると球体9はYb2軸の周りに反時計回りに回転する。また、球面モータ7および球面モータ8をそれぞれのXm1軸の周りおよびXm2軸の周りに同時に時計回りに回転すると球体9はXb1軸の周りとXb2軸の周りの反時計回りの回転を合成した方向に回転する。
ここで、球面モータ7、8の各ロータ71、81の直径をd、球体9の直径をDとすると、球体9の回転数はロータ71、81の回転数のd/D倍、球体9の回転トルクはロータ71,81の回転トルクのD/d倍に変換される。すなわち球体9の直径Dを球面モータ7、8のロータ71、81より大きくすると低回転数で高トルク、小さくすると高回転数で低トルクが得られる。
次に、本発明の第3の実施形態を図3および図4を用いて説明する。
図3は、本実施形態の発明に係る球面加減速駆動機構の構成を示す斜視図、図4は図3に示した球面加減速駆動機構から球体を除いた球面モータ13〜21の配置を示す図である。
これらの図において、11は球面モータ13〜21によって駆動される球体、12は球体11に取り付けられる出力軸、13〜21は球面モータである。なお、図示されていないが、球面モータ13〜21も図1および図2に示した球面モータと同様に、球体11と接触する箇所にそれぞれのロータが設けられている。
次に、この球面加減速駆動機構の動作について説明する。
これらの図において、球面モータ13〜21を駆動することにより、球体11をX軸の周り、Y軸の周り、Z軸の周り、およびそれらを合成した方向に回転させることができる。
ここで、球面モータ13〜21のロータの直径をd、球体11の直径をDとすると、球体11の回転数は球面モータ13〜21のロータの回転数のd/D倍、球体11の回転トルクはそれぞれの球面モータ13〜21のロータの回転トルクのD/d倍の和に変換される。すなわち球体11の直径Dを球面モータ13〜21のロータより大きくする、または球面モータ13〜21の数を増やすと低回転数で高トルク、小さくすると高回転数で低トルクが得られる。
本実施形態の発明に係る球面加減速駆動機構によれば、図3から明らかなごとく、出力軸12の可動範囲を非常に広くとることができる。
次に、本発明の第4の実施形態を図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態の発明に係る球面加減速駆動機構の構成を示す正面図である。
同図において、22は球面モータ24〜33によって駆動される球体、23は球面モータ24〜33を支持する球面モータ支持体、24〜33は球面モータである。なお、図示されていないが、球面モータ27〜28は球面モータ24〜26の向こう側に配置されており、同じく球面モータ32〜33も球面モータ29〜31の向こう側に配置されている。さらに、球面モータ24〜33も図1および図2に示した球面モータと同様に、球体22と接触する箇所にそれぞれのロータが設けられている。
次に、この球面加減速駆動機構の動作について説明する。
球面モータ支持体23によって支持された球面モータ24〜28および球面モータ29〜33によって、球体22を挟み込み、それぞれの球面モータ24〜33のロータを駆動することにより球体22を任意の方向に回転させることができる。
ここで、球面モータ24〜33のロータの直径をd、球体22の直径をDとすると、球体22の回転数は球面モータ24〜33のロータの回転数のd/D倍、球体22の回転トルクはそれぞれの球面モータ24〜33のロータの回転トルクのD/d倍の和に変換される。すなわち球体22の直径Dを球面モータ24〜33のロータの直径dより大きくする、または球面モータ24〜33の数を増やすと低回転数で高トルク、小さくすると高回転数で低トルクが得られる。
本実施形態の発明に係る球面加減速駆動機構によれば、球体22をステアリングを切ることが可能な車輪としての用途に適している。
次に、上記の第1から第4の各実施形態の発明に係る面加減速駆動機構における球面モータとして用いられる球面ステッピングモータについて説明する。
この球面ステッピングモータは、基本的には、ロータに内接する多面体を構成する多角形とステータに内接する多面体を構成する多角形の角数が互いに素である(お互いを割った値が整数にならない)時、ロータに内接する多面体の頂点および各面の中心に永久磁石を配置したロータと、内接する多面体の頂点および各面の中心に電磁石を配置したステータとから構成される。
この球面ステッピングモータは、ロータに内接する多面体およびステータに内接する多面体の組み合わせ例として以下の構成が考えられる。なお、()内は、多面体の面を構成する多角形の形状を表す。
ロータに内接する多面体が正12面体(5角形)でステータに内接する多面体が正14面体(ケルビン14面体)(正方形、6角形)、ロータに内接する多面体が正4面体(3角形)でステータに内接する多面体が正6面体(正方形)、ロータに内接する多面体が正8面体(3角形)でステータに内接する多面体が正6面体(正方形)、ロータに内接する多面体が正20面体(3角形)でステータに内接する多面体が正12面体(5角形)、ロータに内接する多面体が立方8面体(3角形、4角形)でステータに内接する多面体が正12面体(5角形)、ロータに内接する多面体が菱形12面体(菱形)でステータに内接する多面体が正12面体(5角形)、ロータに内接する多面体が菱形30面体(菱形)でステータに内接する多面体が切隅20面体(サッカーボール)(5角形、6角形)、ロータに内接する多面体が切隅6面体(3角形、8角形)でステータに内接する多面体が正12面体(5角形)。
図6は、球面ステッピングモータのロータとステータとの関係を示す図である。
同図に示すように、この球面ステッピングモータは、球面軸受101で支えられた球面形状のロータ102および上部に開口部を有するステータ103で構成される。
図7は、球面ステッピングモータのロータの構成を示す図である。
同図に示すように、ロータ102には、内接する正12面体(面の形が正5角形で構成される多面体)の頂点104および各面の中心部105に対応する位置に表面がロータ102と同じ形状になるようにした永久磁石が埋め込まれている。
図8(a)は、球面ステッピングモータのステータ103の構成を示す図である。
同図に示すように、ステータ103は、図8(b)に示すケルビンの14面体(面の形が正6角形および正方形で構成される多面体)で構成され、内接するケルビンの14面体の頂点106および各面の中心107に対応する位置に電磁石が配置されている。
次に、この球面ステッピングモータの垂直軸周りの回転動作について説明する。
図9は、球面ステッピングモータの、ロータ102の底面の正5角形の中心にある永久磁石109がステータ103の底面の正6角形の中心にある電磁石108と重なっている状態を真上から見た図である。
同図において、まず、ステータ103の電磁石108に電流を流してロータ102の永久磁石109を吸引している状態でステータ103の電磁石110に電流を流す。すると一番近いロータ102の永久磁石111が吸引されてロータ102は永久磁石109を中心に永久磁石111がステータ103の電磁石110と一番近い距離になるところまで時計回りに回転する。この状態でステータ103の電磁石110の電流を切り、ステータ103の電磁石112に電流を流す。すると一番近いロータ102の永久磁石113が吸引されてロータ102は永久磁石109を中心に永久磁石113がステータ103の電磁石112と一番近い距離になるところまで回転する。以下、同様に底面の正6角形の頂点に位置するステータ103の電磁石114,116,118,120の順に電流を切り替えると、ロータ102の永久磁石115,117,119,111が順番に吸引されてロータ102は永久磁石109を回転中心として同じ方向に回転し続ける。この手順を繰り返すことにより、ロータ102を垂直軸の周りに時計回りに無限に回転させることができる。
次に、この球面ステッピングモータの斜め軸周りの回転動作について説明する。
図10はステータ103に対してロータ102の回転軸が斜め状態にある球面ステッピングモータを示す図、図11はロータ102の斜め方向にある回転軸側から見たロータ102とステータ103の状態を示す図である。
以下において、ロータ102とステータ103が図10に示す位置関係にあるとき、斜め軸の周りにロータ102を回転させる場合について説明する。
図11において、ステータ3の正方形の中心にある電磁石104Aに電流を流し、ロータ102の対面する正5角形の中心にある永久磁石105Aを吸引する。この状態でステータ103の正方形の頂点にある電磁石106A,107A,108A、109A,106Aに順番に通電し、近くにあるロータ102の正5角形の頂点にある永久磁石110A,111A,112A、113A、114Aを順番に吸引する。これによりロータ102を電磁石104Aの周りに時計回りに回転させることができる。
次に、本発明の球面ステッピングモータにおいて、より上段にあるロータ102の永久磁石とステータ103の電磁石との吸引力も利用して駆動力を増加させる場合について説明する。
図12(a)は、ロータ102の1段目から3段目にある永久磁石の位置関係を示す図、図12(b)はステータ103の1段目から3段目にある電磁石の位置関係を示す図、図13は、ロータ102の2段目にある永久磁石とステータ103の2段目にある電磁石との関係を示す図である。
図13に示すように、ロータ102の2段目の永久磁石は5個(104B,105B,106B,107B、108B)であり、ステータ103の2段目の電磁石は頂点の6個(109B,110B,111B,112B,113B、114B)と正6角形の面の中央の電磁石3個(115B,116B、117B)を含めて9個である。さらにロータ102の3段目の永久磁石およびステータ103の3段目の電磁石も図13と同様に、ロータ102の永久磁石は5個、ステータ103の永久磁石は9個である。
従って、ロータ102の各段の永久磁石に対応するステータ103の各段の電磁石に電流を流すことによって、ロータ102から強力な駆動力が得られる。
さらに、ロータ102の回転軸がステータ103の正方形の中心にある場合の上段の吸引力を利用してロータ102の駆動力を増加させる場合について説明する。
図14(a)は、ロータ102の1段目と2段目にある永久磁石の位置関係を示す図、図14(b)は1段目と2段目のステータ103にある電磁石の位置関係を示す図、図15は、ロータ102の2段目にある永久磁石とステータ103の2段目と1段目にある電磁石との関係を示す図である。
図15に示すように、ロータ102の回転軸がステータ103の正方形の中心にある場合には、ロータ102の2段目の永久磁石5個(104B,105B,106B,107B,108B)とステータ103の2段目と1段目の電磁石8個(109B,110B,111B,112B,113B,114B,115B,16B)の組み合わせになる。
従って、ロータ102の2段目にある永久磁石は、ステータ103の2段目と1段目にある電磁石の吸引力を利用して駆動力を増加させることができる。
さらに、同時に他の電磁石も利用してロータの駆動力を増加させる場合について説明する。
図9においては、ロータ102の永久磁石に一番近いステータ103の電磁石のみに電流を流す場合について説明したが、同図において、電磁石110,112,114,116,118,120に同時に電流を流して、各々の電磁石の近くの永久磁石に時計回りの回転力が働くように電流の向きを考えて電流を流すことにより駆動力を増加させることができる。すなわち、一番近い永久磁石が反時計回りの位置にある電磁石110,112,120には吸引力を発生する電流を流し、一番近い永久磁石が時計回りの位置にある電磁石116,118には反発力を発生する電流を流し、等距離にある2個の永久磁石がある電磁石114には電流を流さないようにする。このようにほとんどの電磁石に同時に電流を流すことにより駆動力を増加させることができる。また、斜め軸周りの回転においても、同様にして殆どの電磁石の吸引・反発力を同時に利用することにより駆動力を増加させることができる。
なお、この球面ステッピングモータにおいては、ロータ側に永久磁石、ステータ側に電磁石を配置する場合について説明したが、これ以外に以下の組み合わせも可能である。すなわち、ロータ側に電磁石を配置しステータ側に電磁石を配置する。ロータ側に磁性体を配置しステータ側に電磁石を配置する。ロータ側に永久磁石を配置しステータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置する。ロータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置しステータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置する。
また、この球面ステッピングモータにおいては、ステータが固定され、ロータが回転する場合について説明したが、ロータ側を固定し、ステータ側(外側)を可動にする、またはロータ、ステータともに可動にし、ユニバーサルジョイント部分などに使用する(能動すべり軸受)ことも可能である。
次に、この球面ステッピングモータにおいて、大きな駆動力を得るためには、ロータの永久磁石とステータの電磁石間に形成される磁路に大きな磁力線を流出入させる必要がある。以下に、ロータの永久磁石とステータの電磁石間に形成される磁路に大きな磁力線を流出入させるための構成について説明する。
ロータ102は、図7に示すように、内接する正12面体の頂点14および各面の中心部105に対応する位置の表面にロータ102と同じ形状になるように永久磁石が埋め込まれている。そして、ロータ102の球殻構造は、図16に示すように、外側の球殻106Cをプラスチック等の透磁率の低い材質とし、内側の球殻107Cを鉄等の透磁率の高い材質で構成する。さらに、ロータ102に内接する正12面体の頂点104に対応する永久磁石104C表面の極性と、各面の中心部105に対応する永久磁石105C表面の極性とを反対にする(例えば、頂点104の永久磁石104CがN極の場合は中心部105の永久磁石105CはS極)。これにより、図16の矢印に示すような磁路が形成される。
ステータ103は、図8に示すように、内接するケルビンの14面体の頂点106および各面の中心107に対応する位置に電磁石が配置されている。以下において、ステータ103の電磁石の極性について説明する。
いま、図9に示すように、ロータ102の底面の正5角形の中心の永久磁石109がステータ103の底面の正6角形の中心の電磁石108と重なっている状態を真上から見た場合、ステータ103の電磁石108に電流を流して永久磁石109を吸引している状態で電磁石110に電流を流す。すると一番近い永久磁石111が吸引されてロータ102は永久磁石109を中心に永久磁石111が電磁石110と一番近い距離になるところまで時計回りに回転する。この状態で電磁石110の電流を切り電磁石112に電流を流す。すると一番近い永久磁石113が吸引されてロータ102は永久磁石109を中心に永久磁石113が電磁石112と一番近い距離になるところまで回転する。以下、同様に底面の正6角形の頂点に位置する電磁石114,116,118,120の順に電流を切り替えると永久磁石115,117,119,111が順番に吸引されてロータ102は永久磁石109を回転中心として同じ方向に回転し続ける。この手順を繰り返すことにより、ロータ102を垂直軸周りに無限回転させることができる。
この時、図9において、永久磁石109に対向する電磁石108には、永久磁石109を吸引する方向に電流を流し、周辺の電磁石110,112,114,116,118,120はそれぞれ対向する永久磁石を吸引する方向に電流を流す。永久磁石109と永久磁石111,113,115,117,119は磁石の磁化方向が反転しているから、電磁石108と電磁石110,112,114,116,118,120は磁化方向が反転する。これにより、ロータ102の永久磁石とステータ103の電磁石間に、図17の白矢印に示すような磁路が形成され、大きな磁力線を流出入させることができるので、大きな駆動力が得られる。
第1の実施形態の発明に係る球面加減速駆動機構の構成を示す斜視図である。 第2の実施形態の発明に係る球面加減速駆動機構の構成を示す斜視図である。 第3の実施形態の発明に係る球面加減速駆動機構の構成を示す斜視図である。 図3に示す球面加減速駆動機構から球体を除いた球面モータ13〜21の配置を示す図である。 第4の実施形態の発明に係る球面加減速駆動機構の構成を示す正面図である。 球面ステッピングモータのロータ102とステータ103との関係を示す図である。 球面ステッピングモータのロータ102の構成を示す図である。 球面ステッピングモータのステータ103の構成を示す図、およびケルビンの14面体(面の形が正6角形および正方形で構成される多面体)を示す図である。 球面ステッピングモータのロータ102の底面の正5形の中心にある永久磁石8がステータ103の底面の正6角形の中心にある電磁石9と重なっている状態を真上から見た図である。 ステータ103に対してロータ102の回転軸が斜め状態にある球面ステッピングモータを示す図である。 ロータ102の斜め方向にある回転軸側から見たロータ102とステータ103の状態を示す図である。 ロータ102の1段目から3段目にある永久磁石の位置関係を示す図、およびステータ103の1段目から3段目にある電磁石の位置関係を示す図である。 ロータ102の2段目にある永久磁石とステータ103の2段目にある電磁石との関係を示す図である。 ロータ102の1段目と2段目にある永久磁石の位置関係を示す図、および1段目と2段目のステータ103にある電磁石の位置関係を示す図である。 ロータ102の2段目にある永久磁石とステータ103の2段目と1段目にある電磁石との関係を示す図である。 ロータ102の球殻構造を示す一部断面図である。 ロータ102とステータ103の球殻構造を示す一部断面図である。
符号の説明
1 軸受
2 軸受
3 球体
4 球面モータ
41 ロータ
5 出力軸
6 球面軸受
7 球面モータ
71 ロータ
8 球面モータ
81 ロータ
9 球体
10 出力軸
11 球体
12 出力軸
13〜21 球面モータ
22 球体
23 球面モータ支持体
24〜33 球面モータ
101 球面軸受
102 ロータ
103 ステータ
104,106 頂点
105,107 中心部
108,110,112,114,116,118,120 電磁石
109,111,113,115,117,119 永久磁石
104A,106A,107A,108A,109A 電磁石
105A,110A,111A,112A,113A,114A 永久磁石
104B,105B,106B,107B、108B 永久磁石
109B,110B,111B,112B,113B,114B,115B,116B,117B 電磁石
118B,119B,120B,121B、122B 永久磁石
123B,124B,125B,126B,127B,128B,129B,130B 電磁石
104C,105C 永久磁石
106C ロータの外側の球殻
107C ロータの内側の球殻

Claims (7)

  1. 球面モータと、該球面モータのロータに接するように配置された球体とからなり、前記球面モータを駆動することにより前記球体を回転させるか、又は、複数の球面モータと、該複数の球面モータのロータに接するように配置された球体とからなり、前記複数の球面モータを駆動することにより前記球体を回転させる球面加減速駆動機構であって
    前記球面モータが、ロータに内接する多面体を構成する多角形とステータに内接する多面体を構成する多角形の角数が互いに素の関係にあって、内接する多面体の頂点および各面の中心に永久磁石を配置したロータと、内接する多面体の頂点および各面の中心に電磁石を配置したステータとからなる球面ステッピングモータであることを特徴とする球面加減速駆動機構。
  2. 球面モータと、該球面モータのロータに接するように配置された球体とからなり、前記球面モータを駆動することにより前記球体を回転させるか、又は、複数の球面モータと、該複数の球面モータのロータに接するように配置された球体とからなり、前記複数の球面モータを駆動することにより前記球体を回転させる球面加減速駆動機構であって
    前記球面モータが、ロータに内接する多面体を構成する多角形とステータに内接する多面体を構成する多角形の角数が互いに素の関係にあって、内接する多面体の頂点および各面の中心に永久磁石を配置したロータと、内接する多面体の頂点および各面の中心に電磁石を配置したステータとからなり、前記ロータに内接する多面体の頂点に対応する永久磁石表面の極性と各面の中心部に対応する永久磁石表面の極性とを反対に構成し、前記ステータの電磁石に電流を流して前記永久磁石を吸引して前記ロータを回転させる時、前記電磁石表面に形成される極性が前記永久磁石表面の極性と反対になるように構成した球面ステッピングモータであることを特徴とする球面加減速駆動機構。
  3. 球面モータと、該球面モータのロータに接するように配置された球体とからなり、前記球面モータを駆動することにより前記球体を回転させるか、又は、複数の球面モータと、該複数の球面モータのロータに接するように配置された球体とからなり、前記複数の球面モータを駆動することにより前記球体を回転させる球面加減速駆動機構であって
    前記球面モータが、正12面体の頂点および各面の中心に永久磁石を配置したロータと、ケルビンの14面体の頂点および各面の中心に電磁石を配置したステータとからなる球面ステッピングモータであることを特徴とする球面加減速駆動機構。
  4. 球面モータと、該球面モータのロータに接するように配置された球体とからなり、前記球面モータを駆動することにより前記球体を回転させるか、又は、複数の球面モータと、該複数の球面モータのロータに接するように配置された球体とからなり、前記複数の球面モータを駆動することにより前記球体を回転させる球面加減速駆動機構であって
    前記球面モータが、正12面体の頂点および各面の中心に永久磁石を配置したロータと、ケルビンの14面体の頂点および各面の中心に電磁石を配置したステータとからなり、前記ロータに内接する多面体の頂点に対応する永久磁石表面の極性と各面の中心部に対応する永久磁石表面の極性とを反対に構成し、前記ステータの電磁石に電流を流して前記永久磁石を吸引して前記ロータを回転させる時、前記電磁石表面に形成される極性が前記永久磁石表面の極性と反対になるように構成した球面ステッピングモータであることを特徴とする球面加減速駆動機構。
  5. 球面モータと、該球面モータのロータに接するように配置された球体とからなり、前記球面モータを駆動することにより前記球体を回転させるか、又は、複数の球面モータと、該複数の球面モータのロータに接するように配置された球体とからなり、前記複数の球面モータを駆動することにより前記球体を回転させる球面加減速駆動機構であって
    前記球面モータが、ロータに内接する多面体を構成する多角形とステータに内接する多面体を構成する多角形の角数が互いに素の関係にあって、内接する多面体の頂点および各面の中心に永久磁石を配置したロータと、内接する多面体の頂点および各面の中心に電磁石を配置したステータとからなり、前記ロータの前記永久磁石と前記ステータの前記電磁石の組み合わせが、ロータ側に電磁石を配置しステータ側に電磁石を配置する構成、ロータ側に磁性体を配置しステータ側に電磁石を配置する構成、ロータ側に永久磁石を配置しステータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置する構成、またはロータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置しステータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置した球面ステッピングモータであることを特徴とする球面加減速駆動機構。
  6. 球面モータと、該球面モータのロータに接するように配置された球体とからなり、前記球面モータを駆動することにより前記球体を回転させるか、又は、複数の球面モータと、該複数の球面モータのロータに接するように配置された球体とからなり、前記複数の球面モータを駆動することにより前記球体を回転させる球面加減速駆動機構であって
    前記球面モータが、正12面体の頂点および各面の中心に永久磁石を配置したロータと、ケルビンの14面体の頂点および各面の中心に電磁石を配置したステータとからなり、前記ロータの前記永久磁石と前記ステータの前記電磁石の組み合わせが、ロータ側に電磁石を配置しステータ側に電磁石を配置する構成、ロータ側に磁性体を配置しステータ側に電磁石を配置する構成、ロータ側に永久磁石を配置しステータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置する構成、またはロータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置しステータ側に永久磁石と電磁石のハイブリッド構成を配置した球面ステッピングモータであることを特徴とする球面加減速駆動機構。
  7. 前記球体に出力軸が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1つの請求項に記載の球面加減速駆動機構。
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