以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るシート処置装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。
図1において、150はシートに画像を形成する画像形成装置であり、この画像形成装置150は、シートに画像を形成する画像形成部150Bを備えた装置本体150Aと、画像が形成されたシートを処理するシート処理装置300を備えている。なお、本実施の形態において、このシート処理装置300は、装置本体150Aにオプションとして接続されているが、シート処理装置300は、装置本体150Aに内蔵されていても良い。
画像形成装置150の装置本体150Aは、外部からの情報に基づいてシートに画像を形成するものであり、装置本体150Aの下部には、シートを収納したシートカセット151が引き出し自在に装備されている。
そして、このシートカセット151に収納されたシートSは、まずピックアップローラ261によってシートカセット151から送り出される。この後、搬送ローラ対262、レジストローラ対263によって、画像形成手段である、例えば感光体ドラム264と転写ローラ265との間に送り込まれる。
なお、このときまでに感光体ドラム264の表面にはトナー画像が形成されており、このため感光体ドラム264と転写ローラ265との間に送り込まれると、シートSには感光体ドラム264のトナー画像が転写される。次に、トナー画像が転写されたシートSは、定着器266によってトナー画像を定着され、この後、排紙ローラ対153によってシート処理装置300に送り込まれる。
ここで、シート処理装置300は、シート束の側端を揃える整合処理と、シート束を綴じるステイプル処理を行うようになっている。なお、装置本体150Aとシート処理装置300は、装置本体150Aに設けられた操作パネル152をユーザが操作することによって作動するようになっている。また、装置本体150A及びシート処理装置300の制御は、例えば制御部140によって行われる。
図2は、シート処理装置300の断面図である。なお、以下の説明において、シート搬送方向とは、図1の左右方向のことであり、シート排出方向とは、図1の左から右への方向を言う。また、後述する図4に示す矢印Xはシート搬送方向、矢印Yはシート搬送方向と直交する方向(以下、幅方向という)、矢印Z方向は上下方向をそれぞれ示している。
シート処理装置300は、装置本体150Aから排出されるシートを受け入れるシート受入部201と、シート受入部201で受け入れたシートを整合処理する処理トレイ205等を有する整合部301を備えている。
ここで、シート受入部201は、装置本体150Aの排紙ローラ対153(図1参照)から排出されたシートSを受け取った後、処理トレイ205上に排出するための駆動ローラ203aと従動ローラ203bとからなる搬送ローラ対203を備えている。
なお、駆動ローラ203aは、図3に示すように、搬送モータ206から、搬送モータ206に取り付けられている搬送モータギア207、搬送プーリギア208、搬送ベルト209、搬送プーリ210を介して回転力を得て駆動回転するようになっている。なお、図3は、シート処理装置において、上半分を取り除いた斜視図であるが、駆動ローラ203aは下半分側に設けられている。
整合部301は、図2に示すように処理トレイ205と、処理ローラ204と、処理トレイ205に排出されたシートを押える押え爪241aと、シートの後端位置を規制する後端規制部材の一例としての後端規制板242とを備えている。また、整合部301は、例えば後述する図11に示すように処理されるシートのシート搬送方向上流側を支持する上流側シート支持部である例えば処理トレイ205の幅方向の一端部に設けられ、シートの側端位置を規制する幅規制板239を備えている。
ここで、処理ローラ204は、円筒部材で構成されて、外周部がゴムもしくは発泡体等ゴムに近い弾性を持った弾性体で形成されると共に、処理ローラホルダ211に保持されている。なお、処理ローラホルダ211は、処理トレイ205の上方で、かつ処理トレイ205のシート搬送方向下流側端とシート搬送手段の一例としての搬送ローラ対203の間に配置されている。
また、処理ローラホルダ211は、搬送ローラ対203により搬送されるシートをガイドするガイド部材も兼ねており、シートの先端が上方にカールしている場合、シートは、この処理ローラホルダ211にガイドされながら処理トレイ205に搬送される。なお、このようにシートをガイドする際、シートの搬送の妨げとならないよう、処理ローラホルダ211は摺動性の良い材料で形成されている。
さらに、この処理ローラホルダ211は、後述する図14に示す昇降ギア213のカム部213Aの作用によりローラホルダ軸212を中心に上下方向に回動できるようになっている。
また、この処理ローラホルダ211は、処理ローラホルダ211と一体に移動する移動手段の一例としての処理ローラ204を、シートに当接させた状態でシート排出(搬送)方向下流側または上流側へ移動可能となっている。そして、このように処理ローラホルダ211と一体に処理ローラ204が移動することにより、後述するようにシートを後端規制板242に当接させることができる。
なお、処理ローラ204は、処理ローラホルダ211によって、シートが無い状態で処理トレイ205上を下流側へ移動するときには回転し、上流側へ移動するときには回転しないようになっている。これは、仮にシートが無い場合、処理ローラ204が回転せずに下流側に移動すると、処理ローラ204、処理ローラホルダ211の配置、構成により、処理ローラホルダ211が処理ローラ204を押して処理トレイ205上を滑らせることになるからである。
この場合、シートがある場合と比較して処理ローラホルダ211には強い圧縮力が作用し、処理ローラホルダ211が変形する場合がある。なお、本実施の形態においては、処理ローラ204は、例えばトルクリミッタ等の機構により、ある所定の回転力以上の力が作用されると回転するように構成されている。
また、上流側へ移動するとき処理ローラ204が回転しないようにするのは、シートがある場合、処理ローラ204が回転すると、シートを上流側に搬送することができなくなり、シートの後端を後端規制板242に当接させて後端整合を行えなくなるからである。
なお、処理ローラ204が上流側へ移動するときには回転しなくても、処理ローラホルダ211が処理ローラ204を引っ張って処理トレイ205上を滑らせるので、処理ローラホルダ211には逃げる方向で引っ張り力が作用する。このため、処理ローラホルダ211は変形することはない。
ここで、処理ローラ204、処理ローラホルダ211、処理トレイ205の材質、配置、構成によっては処理ローラホルダ211に作用する負荷を小さくすることが可能である。この場合には、処理ローラ204を回転させなくても、また処理ローラ204はローラ形状である必要はなく、例えば板状の形状でも実施可能である。
また、この処理ローラホルダ211は、後述する図16に示す処理ローラ作動機構271によりシート搬送方向、幅方向及び上下方向に移動(回動)可能となっている。そして、処理ローラ204がシートに当接している状態で処理ローラホルダ211を移動させると、シートをシート排出方向下流側または上流側、或は幅方向へ移動することができる。
処理トレイ205に排出されたシートを押える押え爪241aは、爪軸241に固着されており、この爪軸241は、クランプソレノイド240により回転するようになっている。そして、このクランプソレノイド240をオンオフすることにより、押え爪241aは、処理トレイ205に排出されたシートを押える位置又はシートから離間する位置に移動するようになっている。
例えば、クランプソレノイド240がオフとなると、押え爪241aは、図4に示す爪軸ばね243の牽引力により、シートのシート排出方向上流端部(以下、後端部という)を処理トレイ205に押さえ付ける状態となる。そして、このように押え爪241aによってシートの後端部を押え付けることにより、処理トレイ205に既に積載されているシートが、次に送られてくるシートによって連れ送りされるのを防ぐことができる。
また、クランプソレノイド240がオンになると、爪軸ばね243に抗して押え爪241aは上方へ回動し、これにより後述するシートの後端整合の際、後端規制板242にシートのシート排出方向上流端(以下、後端という)を押し付け易くすることができる。
さらに、シート処理装置300は、図3に示すように、整合部301において整合されたシート束に対して選択的にステイプル処理を行うステイプラ254を備えている。また、このシート処理装置300は、整合処理及び選択的にステイプル処理されたシート束をトレイ154(図1参照)に排出するTDスライダ244(図3参照)等を備えている。
ここで、ステイプラ254は図3に示すように、処理トレイ205の幅方向の一方の側端に固定されて配置されており、シートSが処理トレイ205上に搬送され整合動作が完了した後、シート束の一端部にステイプル動作を行なうようになっている。
また、TDスライダ244は、図2に示す下ガイド215の下方に設置されている、図4に示すTDモータ216により、シート排出方向に移動するようになっている。ここで、TDスライダ244には、図4及び図5に示すように、処理トレイ205で処理されたシート束を挟持するための爪249が上下方向に回動可能に取り付けられている。なお、この爪249は、図5に示す爪249とTDスライダ244との間に設けられた爪ばね250により下方に牽引されるようになっている。
TDスライダ244のホームポジションは、センサ検知部245aがTDスライダ位置センサ248によって検知されてセンサギア245が回転停止しているときの位置である。そして、TDスライダ244が図5の(a)に示すホームポジションにあるとき、図4に示す処理トレイ205に設けられた凸部205aに爪249のレバー部249aが乗り上げて、爪249が上方に回動したままになっている。
また、シート束SAをトレイ154に排出するためTDスライダ244が図5の(b)に示すようにシート排出方向に移動すると、これに伴い爪249のレバー部249aは、爪ばね250に引かれて処理トレイ205の凸部205aから外れる。これにより、爪249は下方に回動し、図6に示すように上方から処理トレイ205に押さえ付ける。
なお、処理トレイ205には、爪249がシート束を処理トレイ205に押さえ付けて、下流側に移動できるようにシート搬送方向に沿ったスリット205b(図4参照)が形成されている。
図1〜図5において、251はトレイ紙押さえであり、このトレイ紙押さえ251はシート束の排出が開始されるまでは図1に示すように、トレイ154上に位置している。また、TDスライダ244によるシート束の排出が開始されると、シート束がトレイ154に落下する前、トレイ紙押さえ251は、処理トレイ205の不図示の下部空間に待避する。即ち、トレイ紙押さえ251は、処理トレイ内に引っ込む。これにより、後続のシート束がトレイ154に落下するのをトレイ紙押さえ251が妨げることはない。
一方、シート束がトレイ154に落下すると、トレイ紙押さえ251が処理トレイ205から突出し、トレイ154上のシート束を上方から押さえ付けるようになる。
次に、このように構成されたシート処理装置300のシート処理動作について説明する。
シート処理装置300は、装置本体150Aの排紙ローラ対153(図1参照)から排出されたシートSを入口センサ202(図2参照)が検知すると、搬送ローラ対203を駆動し、シートSを図7の(a)に示すように処理トレイ205上に排出する。このとき、処理ローラ204は、処理トレイ205の上方に待避しているため、シートSは処理ローラ204に邪魔されることなく処理トレイ205上に排出される。
この後、シートSが搬送ローラ対203のニップから抜ける前に、処理ローラ204と共に処理ローラホルダ211は所定量下降し、図7の(b)に示すようにシートSを上方から押圧する位置に所定期間位置する。なお、図7において、236は、処理ローラホルダ211の移動をガイドするガイド板である。
この後、処理ローラホルダ211は図7の(c)に示すように落下しながらシート排出方向下流側に移動し、これに伴い処理ローラ204は搬送ローラ対203と同時にシートSを排出する。
これにより、シートSはシート搬送方向上流側を処理トレイ205により支持されると共に、シート搬送方向下流側を処理トレイ205の下方に設けられた下流側シート支持部の一例としてのトレイ154に支持される状態で排出される。なお、本実施の形態においては、この処理トレイ205とトレイ154とにより、シート積載手段が構成される。
ここで、このようにシートSを排出する際、処理ローラ204は、処理ローラホルダ211に対して回転しないようになっており、これによりシートSを確実に下流側へ排出することができる。
また、このように搬送ローラ対203や処理ローラ204がシートSを排出しているときクランプソレノイド240は、オフになっている。このため、図7の(a)〜(c)に示すように、押え爪241aが、爪軸ばね243の牽引力によってシートSの後端部を処理トレイ205に押さえ付けている。このため、処理トレイ205に既に積載されているシートは、搬送ローラ対203や処理ローラ204により排出されているシートSによって連れ送りされることはない。
この後、処理ローラホルダ211は、シートSが搬送ローラ対203のニップを抜けた後も下流側への移動を継続し、これに伴い処理ローラ204は、図8の(a)に示す最大移動地点に到達する。
そして、このように最大移動地点に到達すると、この後、処理ローラホルダ211は、後端規制板側に向かって移動を開始する。これにより、シートSは、図8の(b)の矢印に示すように処理ローラ204と一体に後端規制板242に向かって移動を開始する。なお、これと同時に、クランプソレノイド240がONになり、図8の(b)に示すように押え爪241aが上方に退避する。この結果、後端規制板242にシートSの後端を突き当てることができるようになる。
やがて、この処理ローラ204の後端規制板側への移動に伴い、シートSの後端が後端規制板242に突き当る。なお、このようにシートSの後端が後端規制板242に突き当った後も、処理ローラ204は若干量シートの上を滑るようになっており、これによりシートSの後端を後端規制板242に確実に突き当てることができる。
次に、このようにシートSの後端を後端規制板242に突き当ててシートSの後端位置を規制した後、処理ローラホルダ211をローラホルダ軸212に沿って幅方向に移動させる。これにより、図9の(a)に示すように、後端規制板242に突き当てられたシートSは、処理ローラ204と一体的に図9の(b)に示す矢印方向に移動し、やがて一側端が処理トレイ205の幅方向の一端部に設けられた幅規制板239に突き当てられる。
なお、このようにシートSの一側端が幅規制板239に突き当った後も、処理ローラ204は若干量シートの上を幅規制板側に滑るようになっており、これによりシートSの一側端を幅端規制板239に確実に突き当てることができる。
次に、このようにシートSの一側端を幅端規制板239に突き当てた後、図10の(a)に示すように処理ローラホルダ211は上方回動し、処理ローラ204を上方に待避させる。
また、この後、クランプソレノイド240がオフになり、この結果、爪軸ばね243により爪軸241が下方回動し、押え爪241aがシートSの後端部を処理トレイ205に押さえ込む。これにより、シートSは、後端と側端とを整合された状態で処理トレイ205に保持される。この結果、後続シートによる連れ送りもなく、また整合が乱れることなく、シートSは保持される。
次に、図10の(b)に示すように処理ローラホルダ211を幅規制板239から離れる方向へ移動させる。これにより、処理ローラ204は、上方に待避したままホームポジションに戻る。これによって、シートの整合動作が完了する。
この後、このような整合動作を所定枚数のシートに対して順次行ってシート束を形成する、或は、このように整合された状態のシート束に対してステイプラ254により選択的にステイプル処理を行い、ステイプル処理されたシート束を形成する。
次に、このようにシート束を形成した後、TDスライダ244をシート排出方向に移動させる。このとき、TDスライダ244の移動に伴い爪249が、図6に示すように下方回動し、シート束SAを上方から処理トレイ205に押さえ付ける。そして、この後のTDスライダ244のシート排出方向への移動により、図11に示すようにシート束SAはトレイ154に落下する。
なお、トレイ紙押さえ251は、処理トレイ205上に整合されたシート束がトレイ154に排出されるまでは、トレイ154に先に積載されているシート束をトレイ154に押圧する位置にある。また、シート束がトレイ154に落下する前に、処理トレイ205の不図示の下部空間に進入して待避する。そして、シート束がトレイ154に落下すると、トレイ154上のシート束を押さえ付ける位置に移動する。このようにして、シート束のトレイ154への積載が完了する。
ところで、図12は、TDモータ216(図3及び図4参照)の回転力を、処理ローラ作動機構271(図14及び図16参照)と、押さえ作動機構272とに選択的に伝達する駆動力伝達方向選択手段である例えば駆動力伝達方向選択機構の構成を示す図である。なお、処理ローラ作動機構271は、処理ローラホルダ211を介して処理ローラ204をシート搬送方向、幅方向及び上下方向に作動させるための機構であり、押さえ作動機構272は既述した爪249、トレイ紙押さえ251を作動させる機構である。
ここで、駆動力伝達方向選択機構270は、図12及び図13に示すようにギアボックス217、第1〜第3アイドラギア218〜220、第4アイドラギア223、第1アイドラギア218をギアボックス217に押し付るギアばね221等で構成されている。そして、ギアボックス217は第3アイドラギア220を貫通している軸220aを中心に回転できるようになっている。図13において、222は、ギアばね221をギアボックス217に固定するばね押さえであり、224はTDモータに設けられたTDモータギアである。
なお、本実施の形態において、駆動力伝達方向選択機構270は、ギアを用いているが、TDモータ216の回転方向によって、回転力を処理ローラ作動機構271と、押さえ作動機構272とに選択的に回転力を伝達するクラッチを用いても良い。
そして、このように構成された駆動力伝達方向選択機構270において、TDモータが回転すると、図12に示すTDモータギア224が矢印A方向に回転し、これに伴いTDモータギア224と噛合する第3アイドラギア220が回転する。さらに、このようにする第3アイドラギア220が回転すると、第1アイドラギア218が回転する。
そして、このように第1アイドラギア218が回転すると、第1アイドラギア218とギアボックス217との摩擦力により、ギアボックス217が第3アイドラギア220を貫通している軸220aを中心に矢印B方向に回転する。
これにより、第2アイドラギア219が、第4アイドラギア223に噛合する。この結果、TDモータ216の駆動力が、TDモータギア224、第3アイドラギア220、第2アイドラギア219、第4アイドラギア223を介しプーリギア225のギア部225aに伝達される。
ここで、プーリギア225のプーリ部225bと、図14に示す下駆動プーリ227とには下駆動ベルト226が設けられている。そして、この下駆動ベルト226により、TDモータ216の駆動力は、第4アイドラギア223(図12参照)、プーリギア225、下駆動ベルト226を介して下駆動プーリ227に伝達され、下駆動プーリ227が回転する。
ここで、この下駆動プーリ227は、上端部に図14及び図15に示すように上駆動ギア229が固着されている上下駆動軸228の下端部に固定されている。これにより、下駆動プーリ227が回転すると、上駆動ギア229が回転し、この上駆動ギア229の回転は、図14に示す位置ギア230、CRスライドギア231、昇降ギア213、アイドラギア232を介してFRスライドギア233に伝達される。
なお、図14において、230aは位置ギア230に設けられたセンサ検知部であり、位置ギア230のホームポジションは、処理ローラ位置センサ234がセンサ検知部230aを検知することにより検知される。なお、不図示の固定部材に配列された歯車列273を構成する位置ギア230、CRスライドギア231、昇降ギア213、アイドラギア232、FRスライドギア233は、同じモジュールで同じ数の歯が形成されている。このため、位置ギア230が1回転すると、CRスライドギア231、昇降ギア213、アイドラギア232、FRスライドギア233も同じように1回転するようになっている。
ここで、FRスライドギア233は、図16に示す、搬送方向作動手段である例えばローラホルダガイド235を、不図示のカム機構により、ガイド板236により案内されながらシート搬送方向に往復移動するためのものである。ローラホルダガイド235には、シート幅方向に沿った向きのローラホルダ軸212が固定されている。
そして、ローラホルダガイド235がガイド板236により案内されながらシート搬送方向に往復移動すると、ローラホルダ軸212、処理ローラホルダ211及び処理ローラ204も同方向に一体に往復移動する。なお、処理ローラホルダ211が上下方向に回転するとき、一緒に上下方向に回転するのは、処理ローラホルダ211に設けられた処理ローラ204のみである。
また、CRスライドギア231は、処理ローラホルダ211を幅方向に移動させるCRスライドホルダ237を、固定部材にシート幅方向に沿った向きに固定されているCRスライド板238に案内されながら幅方向に往復移動させるようになっている。
なお、図17に示すように、CRスライドホルダ237は、CRスライドホルダ237に設けた1対の連結片237bと、処理ローラホルダ211に設けた1つの連結片211aとの係合によって、処理ローラホルダ211と幅方向で連結されている。処理ローラホルダ211とCRスライドホルダ237は、幅方向作動手段の一例である。これにより、スライドホルダ237が、CRスライド板238に案内されながら幅方向に移動すると、処理ローラホルダ211も一体になってローラホルダ軸212に沿って幅方向に移動する。
ここで、図17において、211aは処理ローラホルダ211に設けられた1つの連結片、237bはスライドホルダ237に設けられた1対の連結片である。処理ローラホルダ211は、1対の連結片237bに連結片211aを係合させることにより、スライドホルダ237と一体的に幅方向に移動する。なお、この連結片211aと1対の連結片237bとの係合関係は、処理ローラホルダ211が上下方向に回転する場合には、処理ローラホルダ211の回転を妨げないようになっている。
なお、図17において、237aは、CRスライドホルダ237に形成された溝状のカム部である。このカム部237aと、CRスライドギア231不図示のピン部とにより、CRスライドギア231が回転すると、CRスライドホルダ237は、CRスライド板238に沿って幅方向を往復するようになっている。そして、このようにCRスライドホルダ237が移動すると、処理ローラホルダ211処理ローラ204も同方向へ移動する。
また、昇降ギア213は、図18に示す昇降作用軸ユニット214を作動させて処理ローラ204を上下往復移動させるものである。そして、この昇降ギア213と昇降作用軸ユニット214とにより、処理ローラホルダ211を、シートの下流側端部が処理ローラホルダ211を通過後、シートをガイドする位置からシートを押圧する位置に移動させる位置変更手段が構成される。
昇降作用軸ユニット214は、図18に示すように、軸受214dにスラスト方向に移動規制されて回転自在に支持された昇降作用軸214aと、昇降作用軸214aから半径方向に突出した作用片214bと、カム受け片214cとで構成されている。ここで、図18は、位置ギア230がホームポジションにある状態を示しており、この状態のときには図18及び図19の(a)に示すように、昇降ギア213のカム部213Aの突出部213aがカム受け片214cを押し下げている。
この状態のとき、作用片214bがシートを押圧し、シートの下流側端部がトレイ154から離れる方向に撓ませ、かつシートに対する位置が変更可能な押圧部材の一例としての処理ローラホルダ211のレバー部211a(図17参照)を押し下げている。
この結果、処理ローラホルダ211は、ローラホルダ軸212を中心にして上方回動し、処理ローラ204が処理トレイ205に搬送されるシート先端の邪魔にならない上方の退避位置に位置している。なお、図18に示す作用片214bは、処理ローラホルダ211が幅方向のどの位置にあっても処理ローラホルダ211のレバー部211aに当接できる長さを有している。
また、カム部213Aの突出部213aの両側には、既述した図14に示すように、カム部213aから一段上がった当接部213b,213cが設けられている。これにより、位置ギア230がホームポジションから5度回転し、これに伴い昇降ギア213が図19の(b)に示すように回転すると、カム受け片214cに、図14に示す当接部213cが当接するようになる。この結果、処理ローラホルダ211の位置が少し下がったところで停止する。
この後、位置ギア230がホームポジションから10度回転すると、FRスライドギア233が回転し、これに伴いローラホルダガイド235と一体にローラホルダ軸212、処理ローラホルダ211を介して処理ローラ204が下流側に移動する。これと同時に、図20の(a)に示すように、昇降ギア213の当接部213cがカム受け片214cから離れ、処理ローラホルダ211と処理ローラ204とが自重落下する。
また、位置ギア230の位置がホームポジションから270度回転した位置の少し手前の位置になると、図20の(b)に示すように、昇降ギア213の図14に示す当接部213bがカム受け片214cに対して押し付けを開始する。この後、位置ギア230がホームポジションから270度乃至360度の位置を回転している最中に、昇降ギア213のカム部213aがカム受け片214cを押圧して、処理ローラホルダ211と処理ローラ204を上方の退避位置に移動させる。
なお、図21は、このような位置ギア230の回転と、処理ローラ204のシート搬送方向、幅方向及び上下方向の位置を示す図表である。図21に示すように、本実施の形態においては、位置ギア230がホームポジションから5〜10度回転するとき、処理ローラ204(処理ローラホルダ211)は少し下がったところで停止する。
そして、このように処理ローラ204が少し下がったところで停止すると、図22に示すように、下流端が処理ローラホルダ211を通過した後、シートがトレイ154に当接する前に処理ローラホルダ211がシートSに上方から圧接するようになる。ここで、このように処理ローラホルダ211が上方から圧接すると、このときシートSは下面が処理トレイ205の先端に当接した状態となっているので撓み、これに伴いシートSの下流端は処理トレイ205の下流側端部を支点に上方に持ち上がる。
この結果、トレイ154に下流端が当接する際、シートSとトレイ154との角度が小さくなり、シートSが、下方カールしていた場合でも、先端が丸まるのを防止することができる。また、シートSを排出する際、シートSとトレイ154との落差を少なくすることができ、シートSを大量に積載することができる。
なお、本実施の形態において、図1に示すように、シート処理装置300には制御部であるCPU100が設けられている。そして、図23は、このようなシート処理装置300における制御ブロック図である。
図23に示すように、CPU100は、内部にROM110を有している。ROM110には、後述する図24、図25に示す制御手順に対応するプログラム等が格納されており、CPU100は、このプログラムを読み出しながら各部の制御を行うようになっている。また、CPU100は、作業用データや入力データが格納されたRAM121も有しており、CPU100は、前述プログラム等に基づいてRAM121に収納されたデータを参照して制御を行うようになっている。
さらに、CPU100の入力ポートには、入口センサ202(図2参照)、処理ローラ位置センサ234(図14参照)、TDスライダ位置センサ248(図12参照)が接続されている。また、CPU100の出力ポートには、搬送モータ206(図3参照)、TDモータ216(図14参照)、クランプソレノイド240(図3参照)が接続されている。そして、CPU100は、これらのセンサ状態に基づき、前述プログラム等に従って出力ポートに接続された各種モータ、ソレノイドの負荷を制御するようになっている。
また、CPU100はシリアルインターフェイス部(I/O)130を備えている。そして、CPU100は、シリアルインターフェイス部(I/O)130を介して装置本体150Aの制御部140と、制御データの授受を行うと共に、制御部140から送られてくる制御データを基にして各部の制御を行うようになっている。なお、このCPU100と制御部140とは、いずれか一方が他方に組み込まれていて、一体化されていてもよい。
次に、このように構成された本実施の形態に係るシート処理装置300のシート処理動作を図24及び図25に示すフローチャートに沿って説明する。
画像形成装置の装置本体150Aで画像形成動作が開始されると、シート処理装置300のCPU100は、装置本体150Aからシート排出信号を受信したか否かをチェックする(S100)。ここでシート排出信号を受信した場合(S100のY)、CPU100は、搬送モータ206をオンにし(S110)、案内パス268(図1参照)に設置されている搬送ローラ対203が装置本体150Aのシート排出方向にシートを搬送できるようにする。
次に、最初のシートが搬送ローラ対203に到達し、やがてシートは装置本体150Aの排紙ローラ対153(図1)から離れる。この結果シートの受け渡しが完了する。なお、最初のシートの先端が入口センサ202をオンにすると(S120のY)、この後、CPU100は、搬送ローラ対203によりシートが所定量搬送されたかを判断する(S130)。
次に、シートが所定量搬送されたと判断すると(S130のY)、シート下流端が処理ローラホルダ211を通過した後に、TDモータ216を回転させ、TDモータギア224を回転させる。そして、処理ローラホルダ211と一体に処理ローラ204を、退避位置から少し下がった所定高さ位置に移動させる(S131のY)。
ここで、このように処理ローラホルダ211を所定高さ位置に移動させると、図22に示すようにトレイ154に当接する前に処理ローラホルダ211がシートSに上方から圧接するようになる。そして、このように処理ローラホルダ211が上方から圧接すると、シートSは、下面が処理トレイ205の先端に当接した状態で上方から押さえつけられて撓み、シートSの下流端は処理トレイ205の下流側端部を支点に上方に持ち上がる。
この結果、トレイ154に下流端が当接する際、シートSとトレイ154との角度が小さくなり、シートSが下方カールしていた場合でも、先端が丸まることなく、円滑に排出される。
次に、搬送ローラ対203からシートが抜けきらないうちに、TDモータ216の回転によりTDモータギア224(図12参照)を回転させ、図20の(a)に示すように処理ローラ204を落下移動させる(S140)。そして、この後、処理ローラ204は下流側へ移動し、図7の(b)及び(c)に示すように搬送ローラ対203とでシートを下流側へ搬送する。その後、シートが搬送ローラ対203から抜けると、処理ローラ204のみが、シートSを下流側へ搬送する。
次に、FRスライドギア233の回転により、図8の(a)に示すように、処理ローラ204を移動させ、処理ローラ204によってシートを上流側へ引き戻す動作を開始する(S150のY)。なお、CPU100は、シートが上流側へ引き戻され始める直前にクランプソレノイド240をオンする(S160)。これにより、爪軸241が回転し、図8の(b)に示すように爪241aは上方回動する。
次に、処理ローラ204を上流側へ移動させ、即ち処理ローラ204を上流側へ引き戻し(S170)、シートの後端を後端規制板242に突き当てる。これにより、シートSの後端が整合される。
なお、シートの後端を後端規制板242に突き当てるときの処理ローラ204の移動量は、装置本体150Aから送られてくる際に生じるシートSの斜行を考慮して設定されている。即ち、処理ローラ204の移動量は、装置本体150AからのシートSの搬送を止めて、スイッチバック(シート排出方向とは逆の方向の移動)を開始する最大移動地点から、後端規制板242までの距離よりもシートを若干多く搬送するように設定されている。
このため、シートSは、処理ローラ204によって、後端規制板242に当接させられる距離だけ搬送された後も、所定時間搬送されるため、後端規制板242に確実に当接することができる。なお、処理ローラ204は、シートを後端規制板242に当接させた後も移動し、シートの上を滑るようになっている。
次に、CPU100は、TDモータ216の回転を継続させてCRスライドギア231を回転させ、処理ローラ204を幅規制板239の方へ移動させ(S180)、シートSの側端を幅規制板239に突き当てる。これにより、シートSの側端が整合される。
この後、昇降ギア213が、図20の(b)に示す位置に移動し、やがて昇降ギア213のカム部213aにより昇降軸ユニット214のカム受け片214cを押し下げ始める。これにより、処理ローラホルダ211は上方回動し、処理ローラ204を図10の(a)に示すように上方へ移動させ、シートから離れさせる。
次に、CRスライドギア231の回転により処理ローラ204が、図10の(b)に示すようにシートから上方へ離れたまま幅規制板239から離れる方向へ移動すると(S190のY)、CPU100は、クランプソレノイド240をオフにする(S200)。これにより、爪241aは下方に回転し、整合済みのシートSを処理トレイ205に押圧して、整合が乱れないようにする。
この結果、最初に排出されたシートSが、次に排出されるシートにより連れ送りされることを防ぐことができる。また、この後、処理ローラ204がホームポジションに復帰する(S210)。これによって、1枚目のシートSに対する一連の整合動作が完了する。そして、この後、所定枚数の整合動作が完了すると、ステイプル処理を行うステップに入る。
ただし、シートSが、シート処理装置300が想定しているステイプルが可能なシートの幅方向サイズより小さいシートであった場合、そのシートは、幅規制板239には突き当たらずに処理ローラ204が移動した量だけ搬送される。
このため、ステイプル処理を行うステップに入る前にCPU100は、処理トレイ205に積載されたシートSが、ステイプル可能なシートサイズか否かをチェックする(S220)。そして、CPU100は、画像形成装置の装置本体150Aから送られてきた情報に基づいて、ステイプルできないでサイズであると判断した場合(S220のN)、後述する束排出移動(S260)以降の動作を行う。
なお、CPU100が、シートサイズが、ステイプル可能なサイズであると判断した場合(S220のY)、次に最終ページのシートであるか否かをチェックする(S230)。ここで、CPU100は、装置本体150Aから送られてきた情報に基づいて、シートが最終シートではないと判断した場合(S230のN)、処理S100に戻る。
そして、CPU100は、装置本体150Aから送られるシート排出信号を受信して、最終のシートSが処理トレイ205に収容されるまで、処理S100乃至処理S230を繰り返す。
次に、処理S230において、CPU100が最終シートと判断した場合(S230のY)、処理トレイ205上にシート束が形成されていることになる。そこで、CPU100は、ステイプル処理が選択されているか否かをチェックする(S240)。そして、ステイプル処理が選択されている場合には(S240のY)、CPU100は、ステイプラユニット254(図3参照)を駆動し、ステイプル処理を実行する(S240)。
なお、ステイプル処理が選択されていない場合(S240のN)、あるいはステイプル処理が完了したとき、CPU100は、図6に示すようにTDスライダ244により爪249でシート束SAを上部から押圧した状態でトレイ154の方へ移動させる。そして、図11に示すようにシート束SAをトレイ154に排出する(S260)。
最後、CPU100は、TDスライダ244をホームポジションに戻す(S270)。さらに、搬送モータ206を停止させる(S280)。これにより、シート処理装置300は、一連の処理を終了したことになる。
以上説明したように、本実施の形態のように、シートの下流側端部が処理ローラホルダ211を通過した後、処理ローラホルダ211によってシートSをトレイ154から離れる方向に撓ませることにより、簡単な構成でシートSを円滑に排出することができる。
ところで、これまでの説明においては、昇降ギア213に設けたカム部213aにより処理ローラホルダ211を昇降させる場合について説明したが、本発明は、これに限らない。
例えば、図26に示すように処理ローラホルダ211の位置を変更させる位置変更手段の他の例として処理ローラホルダ211を移動させる移動手段を備えた昇降機構を設けるようにしても良い。
なお、図26において、350は処理ローラホルダ211を下方より支持するレバー、351はベルト352を介してレバー350を上下方向に回動させるモータ、353はレバー350の位置を検知するセンサである。なお、このような昇降機構において、レバー350とモータ351とにより、処理ローラホルダ211を移動させる移動手段が構成される。
このような昇降機構を用いる場合には、まず既述したように搬送ローラ対203によりシートが所定量搬送され、シート下流端が処理ローラホルダ211を通過した後に、モータ351を回転させてレバー350を下方回動させる。そして、レバー350が所定量回動し、これにセンサ353が検知するとモータ351を停止させる。これにより、処理ローラホルダ211の位置を退避位置から所定高さ位置に移動(変更)させることができる。
そして、この際、シートSは所定高さ位置に移動した処理ローラホルダ211により、下面が処理トレイ205の先端に当接した状態で上方から押さえつけられて撓み、シートSの下流端は処理トレイ205の下流側端部を支点に上方に持ち上がる。なお、この後、所定時間が経過すると、さらにレバー350を下方回動させ、処理ローラ204と共に処理ローラホルダ211を落下させ、既述したシート処理動作を行うようにする。
このように、処理ローラホルダ211をモータ351により昇降させるようにすることによっても、シートSが下方カールしていた場合でも、先端が丸まることなく、円滑にシートを排出することができる。
ところで、これまでの説明においては、処理ローラホルダ211によりシートを押圧する場合について説明したが、本発明は、これに限らない。例えば、処理ローラ204によりシートを押圧して撓ませるようにしても良く、他の押圧部材によりシートを押圧するようにしても良い。
また、これまでの説明において、シート処理装置300は、シート束SAを綴じるステイプラユニット254を固定式とし、幅規制板付近に配設してあるが、ステイプラユニット254を移動式とし、シート搬送方向又は幅方向に移動可能としてもよい。
さらに、シート処理装置300は、図24及び図25のフローチャートに示すROM(あるいはRAM)上に書かれたプログラムをCPUが読み出しながら制御を行っているが、制御プログラム上の処理をハードが行うように構成しても同様の効果が得られる。