JP4982289B2 - 高耐熱性吸音材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば車両のエンジンルームに配置される高耐熱性吸音材、およびその製造方法に関する。
自動車等の車両のエンジンルームには、エンジンからの騒音を低減するために、エンジンカバー等と共に吸音材が配置されている。また、エンジンとエンジン周辺部に近接して配置される補機類との隙間には、当該隙間にて発生する定在波を抑制してエンジンからの騒音を低減すべく、スペーサが介装されている。これらの吸音材やスペーサは、通常、発泡ゴムやポリウレタンフォーム等の発泡体から形成されている(例えば、特許文献1、2参照)。
近年、エンジンの低燃費化、低騒音化に伴って、エンジン補機類が高温化しており、上記吸音材やスペーサに要求される耐熱性の条件は、厳しくなってきている。しかし、従来から吸音材やスペーサとして使用されているポリウレタンフォームの耐熱温度は、150℃程度と低い。このため、高温に晒される場所には配置することができないという問題があった。
耐熱性を向上させた吸音材として、例えば特許文献2には、耐熱性を必要とする表面にシリコンフォーム層が固着されたスペーサが紹介されている。また、特許文献3には、無機質繊維材料からなる耐熱層と金属箔反射層とを、接着剤で発泡体に貼り合わせた吸音材が紹介されている。
特開2003−97645号公報 特開平8−121190号公報 特許第2974721号明細書
特許文献3に紹介された吸音材のように、耐熱シート等を接着剤を用いて発泡体に貼り合わせた場合、接着剤と発泡体等との界面にて通気性が阻害され、吸音特性が変化するおそれがある。また、耐熱シート等が剥離するおそれがあり、耐久性に問題がある。また、特許文献2に紹介されたスペーサは、予めシリコンフォームをシート状に発泡成形しておき、それをウレタン材料の発泡時に一体成形して製造される。このため、形状の自由度が乏しく、細部や曲面への適用は難しい。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、耐熱性および耐久性に優れ、形状自由度の高い高耐熱性吸音材、およびその製造方法を提供することを課題とする。
(1)本発明の高耐熱性吸音材は、軟質ポリウレタンフォームからなる本体部と、該本体部の表面の少なくとも一部に配置され、金属アルコキシド類と、該金属アルコキシド類と反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサンと、から合成された耐熱材料からなる耐熱層と、を備え、該耐熱層の厚さは、0.1mm以上1mm以下であり、該本体部は、該耐熱層との界面付近に、該耐熱材料が該軟質ポリウレタンフォームに含浸されてなる含浸層を有し、該含浸層の厚さは、0.05mm以上0.5mm以下であることを特徴とする。
本発明の高耐熱性吸音材は、軟質ポリウレタンフォームからなる本体部の表面の少なくとも一部に耐熱層を備えている。耐熱層は、無機成分(金属アルコキシド類)と有機成分(ポリジメチルシロキサン)とのハイブリッド材料である耐熱材料からなる。耐熱材料において、有機成分のポリジメチルシロキサンは、クラスター状の無機成分を介して架橋されている。このため、耐熱材料(耐熱層)は、有機成分により柔軟性を有すると共に、無機成分により高い耐熱性を発現する。したがって、本発明によると、従来から使用されている比較的安価な軟質ポリウレタンフォームを用いて、耐熱性の高い吸音材を構成することができる。
また、本発明の高耐熱性吸音材によると、本体部と耐熱層との界面付近に、耐熱層を構成する耐熱材料が本体部の軟質ポリウレタンフォームに含浸されてなる含浸層が介在されている。含浸層により耐熱層と本体部とが強固に固着されるため、耐熱層が剥離するおそれは少ない。また、耐熱層と本体部とが一体化されているため、単に耐熱材料からなるシートを接着して耐熱層を構成した場合に問題となる耐熱層のブリトル劣化のおそれは少ない。また、本発明の高耐熱性吸音材では、接着剤が使用されていない。つまり、耐熱層と本体部との間に接着層は配置されていない。このため、耐熱層と本体部との間で通気性が阻害されにくい。よって、吸音特性への影響は少ない。
(2)本発明の高耐熱性吸音材の製造方法は、上記(1)に記載した本発明の高耐熱性吸音材の製造方法であって、金属アルコキシド類と該金属アルコキシド類と反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサンとの混合物を含む液状の複合材料を、軟質ポリウレタンフォームからなる本体部の表面に接触させ、該複合材料の一部を該本体部へ含浸させる含浸工程と、該複合材料を加熱し硬化させる硬化工程と、を有することを特徴とする。
本発明の高耐熱性吸音材の製造方法によると、液状の複合材料を本体部の表面に含浸させる。このため、本体部の形状を問わず、該本体部の表面に複合材料を接触、含浸させることができる。つまり、軟質ポリウレタンフォームを所定の形状に発泡成形した後に、液状の複合材料を含浸、硬化させるだけで、容易に上記本発明の高耐熱性吸音材を製造することができる。このように、本発明の製造方法によると、接着剤等により耐熱シートを接着する場合と比較して、様々な形状の高耐熱性吸音材を簡便に製造することができる。
以下、本発明の高耐熱性吸音材およびその製造方法の実施形態について説明する。なお、本発明の高耐熱性吸音材およびその製造方法は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
<高耐熱性吸音材>
まず、図1に、本発明の高耐熱性吸音材の一部断面図を示す。図1に示すように、高耐熱性吸音材1は、本体部2と耐熱層3と含浸層20とを備えている。本体部2は、軟質ポリウレタンフォーム製である。耐熱層3は、耐熱材料からなり、本体部2の表面に配置されている。本体部2と耐熱層3との間には、含浸層20が介在されている。含浸層20は、耐熱材料が軟質ポリウレタンフォームに含浸されてなる。
本発明の高耐熱性吸音材において、本体部は軟質ポリウレタンフォームからなる。軟質ポリウレタンフォームは、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分等の既に公知の原料から製造すればよい。ポリイソシアネート成分としては、例えば、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、およびこれらの誘導体(例えばポリオール類との反応により得られるプレポリマー類、変成ポリイソシアネート類等)等の中から適宜選択すればよい。また、ポリオール成分としては、多価ヒドロキシ化合物、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリマーポリオール類、ポリエーテルポリアミン類、ポリエステルポリアミン類、アルキレンポリオール類、ウレア分散ポリオール類、メラミン変性ポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、アクリルポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、フェノール変性ポリオール類等の中から適宜選択すればよい。
上記ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を、所定の発泡成形型の中で反応、発泡させて、軟質ポリウレタンフォームを製造する。この際、従来と同様に、触媒、発泡剤、整泡剤、架橋剤、難燃剤、帯電防止剤、減粘剤、安定剤、充填剤、着色剤等を適宜配合すればよい。例えば、触媒としては、テトラエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン系触媒や、ラウリン酸錫、オクタン酸錫等の有機金属系触媒が挙げられる。また、発泡剤としては水が好適である。水以外には、塩化メチレン、フロン、COガス等が挙げられる。また、整泡剤としてはシリコーン系整泡剤が、架橋剤としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン等が好適である。
耐熱層は、上記本体部の表面の少なくとも一部に配置されている。耐熱層は本体部において、耐熱性が要求される表面に配置されていればよい。耐熱層の厚さは、耐熱性、吸音性、コスト等を考慮して適宜決定すればよい。例えば、0.1mm以上1mm以下とするとよい。
耐熱層を形成する耐熱材料は、金属アルコキシド類と、該金属アルコキシド類と反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサンと、から合成されている。ここで、金属アルコキシド類は、金属および半金属のアルコキシドを含む。金属および半金族としては、例えば、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、ランタン、セリウム、カドミウム、タンタル、タングステン等が挙げられる。なかでも、ケイ素が好適である。また、アルコキシドの種類としては、例えばメトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等が挙げられる。
ポリジメチルシロキサンは、片末端または両末端に、金属アルコキシド類と反応可能な官能基を有するものであれば、特に限定されるものではない。このような官能基は、活性水素を持つ官能基、あるいは潜在的に活性水素を有する官能基であり、例えば水酸基(−OH)、アルコキシル基(−OCH、−OC等)、アミノ基(−NH)、アミド基(−CONH)等が挙げられる。なかでも、末端シラノールポリジメチルシロキサンが好適である。また、ポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は、400〜80000の範囲が望ましい。より耐熱性を向上させたい場合には、重量平均分子量を15000以上とするとよい。
耐熱材料は、上記金属アルコキシド類と上記ポリジメチルシロキサンとから合成される。しかし、その他の材料を排除するものではなく、耐熱材料は、これら金属アルコキシド類、ポリジメチルシロキサンに加えて、例えば無機フィラーや、触媒、粘度調整剤等の充填剤を含んでいてもよい。耐熱材料の合成方法については、後の「高耐熱性吸音材の製造方法」において説明する。また、後の実施例にて詳しく説明するが、例えば適量の無機フィラーを含むことにより、接触による伝熱だけでなく、輻射熱に対する遮蔽効果をも向上させることができる。よって、耐熱性がより向上する。無機フィラーとしては、例えば、アルミニウム、二酸化チタン、銀、ステンレス、銅、金等の粉末が挙げられる。なかでも、輻射熱に対する遮蔽効果が高いという理由から、熱の反射率の高い金属粉末が望ましい。例えば、アルミニウム粉末、銀粉末、銅粉末が好適である。
無機フィラーの形状は、球状、針状、角柱状等、特に限定されるものではない。同じ体積でより被覆性を向上させることができるため、片状あるいは箔状が望ましい。また、無機フィラーの粒子径(最長径)は、分散性および熱伝導率等を考慮して、0.01mm以上1mm以下であることが望ましい。また、無機フィラーの含有量は、耐熱性の向上効果、コスト等を考慮して適宜決定すればよい。例えば、輻射熱に対する遮蔽効果を向上させるという観点から、無機フィラーの含有量を、金属アルコキシド類とポリジメチルシロキサンとの混合物の重量を100体積%とした場合の5体積%以上とすることが望ましい。10体積%以上とするとより好適である。一方、無機フィラーの分散性、コスト等を考慮し、さらに体積が25%を超えると、耐熱層の熱伝導率が上昇するという観点から、無機フィラーの含有量を40体積%以下とすることが望ましい。25体積%以下とするとより好適である。
本体部における耐熱層との界面付近には、耐熱材料が軟質ポリウレタンフォームに含浸されてなる含浸層が配置されている。含浸層の厚さは、耐熱層と本体部との接着性、吸音特性等を考慮して適宜決定すればよい。例えば、含浸層の厚さが小さいと、耐熱層と本体部との接着性が低下するおそれがある。一方、含浸層の厚さが大きいと、吸音特性への影響が大きくなる。このような観点から、含浸層の厚さを0.05mm以上0.5mm以下とするとよい。なお、含浸層の厚さとしては、本体部と耐熱層との界面から、耐熱材料が軟質ポリウレタンフォーム中に含浸している長さの平均値を採用する。
本発明の高耐熱性吸音材は、例えばエンジンの騒音を低減するために、車両のエンジンルームに配置されるエンジンカバー、サイドカバー、オイルパンカバー、アンダーカバー、フードサイレンサー、ダッシュボードサイレンサー等と共に用いるとよい。また、エンジンとその周囲に配置される補機類との隙間に充填されるスペーサとして用いるとよい。
<高耐熱性吸音材の製造方法>
本発明の高耐熱性吸音材の製造方法は、含浸工程と硬化工程とを有する。以下、各工程について説明する。
(1)含浸工程
本工程は、金属アルコキシド類と該金属アルコキシド類と反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサンとの混合物を含む液状の複合材料を、軟質ポリウレタンフォームからなる本体部の表面に接触させ、該複合材料の一部を該本体部へ含浸させる工程である。
金属アルコキシド類、ポリジメチルシロキサンについては上述したので、ここでは説明を省略する。両者を含む液状の複合材料は、以下のように調製すればよい。まず、金属アルコキシド類を溶媒に溶解させた溶液と、ポリジメチルシロキサンを溶媒に溶解させた溶液とを混合し、加水分解を伴う縮合反応を行わせてゾル液を調製する。ここで、溶媒は、メタノール、エタノール等のアルコールの他、アセトン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン等を使用すればよい。また、金属アルコキシド類の含有量は、ゾル液(液状の複合材料)の粘性等を考慮して、適宜決定すればよい。例えば、金属アルコキシド類が少ないと、複合材料の粘性は高くなる。このため、複合材料が本体部へ含浸しにくくなるおそれがある。反対に、金属アルコキシド類が多いと、複合材料の粘性は低くなる。このため、複合材料は本体部へ含浸しやすくなる。しかし、複合材料の粘性が低いと、無機フィラーを添加した場合に、無機フィラーが沈降しやすくなり、分散性が低下するおそれがある。これらを考慮して、例えば金属アルコキシド類の含有量を、ポリジメチルシロキサンの100重量部に対して5重量部以上50重量部以下とするとよい。
次に、必要に応じて無機フィラーを、調製したゾル液に添加して複合材料を調製する。無機フィラーとしては、上述した通り、アルミニウム、二酸化チタン、銀、ステンレス、銅、金等の粉末を用いればよい。無機フィラーの形状、粒子径、配合量についても上記記載に準ずる。また、必要に応じて、触媒、粘度調整剤等の充填剤を、調製したゾル液に添加してもよい。
このようにして調製した液状の複合材料を、軟質ポリウレタンフォームからなる本体部の表面に接触させ、複合材料の一部を本体部へ含浸させる。具体的には、液状の複合材料を本体部の表面に塗布したり、本体部の表面を液状の複合材料へ浸漬させればよい。こうすることで、液状の複合材料の一部が本体部の表面から含浸される。
(2)硬化工程
本工程は、先の含浸工程で本体部の表面に接触、含浸させた複合材料を、加熱し硬化させる工程である。複合材料を加熱硬化させると耐熱材料となる。これにより、本体部の表面には耐熱層が形成され、本体部と耐熱層との界面付近には含浸層が形成される。ここで、複合材料の加熱は、温度を室温以上200℃以下とし、30分以上12時間以下行うとよい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
(1)接触熱試験
(a)試験片の作製
軟質ポリウレタンフォームからなる本体部の表面に、種類の異なる耐熱層を形成して複数の試験片を作製した。本体部は以下のように作製した。まず、ポリオール成分のポリエーテルポリオール(住化バイエルウレタン社製「S−0248」、平均分子量6000、官能基数3、OH価28mgKOH/g)100重量部と、架橋剤のジエチレングリコール(三菱化学社製)2重量部と、発泡剤の水2重量部と、テトラエチレンジアミン系触媒(花王社製「No.31」)1重量部と、シリコーン系整泡剤(日本ユニカ社製「SZ−1313」)0.5重量部と、カーボン系顔料(大日精化工業社製「FT−1576」)2重量部と、を配合し、プレミックスポリオールを調製した。次に、調製したプレミックスポリオールに、ポリイソシアネート成分のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(BASFINOACポリウレタン社製「NE1320B」、NCO=44.8wt%)を加えて混合した。ここで、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との配合比(PO:ISO)は、両者の合計重量を100%として、PO:ISO=78.5:21.5とした。その後、混合液を所定の金型に注入し、金型温度50℃、硬化時間5分として発泡、硬化させて、軟質ポリウレタンフォーム製の本体部を得た。
一方、ポリジメチルシロキサン(PDMS:信越化学工業社製「X21−5842」)100重量部と、テトラエトキシシラン(TEOS:多摩化学工業社製)41.6重量部と、触媒のジ−N−ブチルビス(2−エチルヘキシルマレート)スズ(片山化学工業社製)1重量部と、を混合して、ゾル液を調製した。本ゾル液を、実施例1の複合材料とした。また、TEOSの配合量を10.4重量部に変更し、上記同様にゾル液を調製した。本ゾル液を、実施例2の複合材料とした。また、実施例2の複合材料(ゾル液)に、無機フィラーとして銀(Ag)粉末、二酸化チタン(TiO)粉末をそれぞれ添加して、実施例3の複合材料、実施例4の複合材料とした。無機フィラーの配合量は、ゾル液20gに対してAg粉末:2g、TiO粉末:6gとした。
調製した各々の複合材料を、本体部の表面に塗布、含浸させた。その後、温度150℃下で2時間加熱、硬化させ試験片とした。形成された耐熱層の厚さは、実施例1の試験片は約0.2mm、実施例2〜4の試験片は約0.5mmであった。また、含浸層の厚さは、実施例1の試験片は約0.3mm、実施例2〜4の試験片は約0.1mmであった。なお、使用した複合材料の番号を、そのまま各試験片の番号とした。また、実施例2の複合材料について、本体部への塗布量を多くして、耐熱層の厚さを約1mm、含浸層の厚さを約0.1mmとした試験片も作製した。この試験片を実施例5の試験片とした。
(b)試験方法
実施例1〜5の試験片を耐熱層側から加熱して、各試験片の耐熱性を評価した。また、比較のため、本体部のみ(以下、比較例1の試験片とする)についても加熱して、耐熱性を評価した。図2に、試験装置の断面図を示す。図2に示すように、試験装置5は、支持体50と鉄板51とアルミ箔52とを備えている。鉄板51は、矩形板状を呈し、支持体50により水平に支持されている。鉄板51は、図示しない加熱装置により225℃程度に加熱されている。アルミ箔52は、支持体の上面に配置されている。アルミ箔52の上面には、各々の試験片53が配置されている。試験片53は、いずれも耐熱層530を下にして配置されている。なお、図2では、試験片53の含浸層を省略して示す。
(c)試験結果
各試験片を、アルミ箔上に約8〜10分間保持して、耐熱層側の表面の状態を目視で観察した。結果を表1に示す。
Figure 0004982289
表1に示すように、耐熱層のない比較例1の試験片については、表面が溶融し、アルミ箔へ溶着した。これに対して、耐熱層のある実施例1〜5の試験片については、いずれも表面の溶融は見られず、接触熱に対する耐熱性が向上していることがわかる。特に、実施例1の試験片は、しわや変色もなく良好な耐熱性を示した。実施例1の試験片では、複合材料の粘度が低かったため、耐熱層の厚さが小さくなった。このため、本体部表面の凹凸が表面に現れて、接触面積が小さくなり、耐熱性が向上したと考えられる。
(2)輻射熱試験
(a)試験片の作製
上記(1)(a)にて調製した実施例1の複合材料(ゾル液)に、無機フィラーとしてアルミニウム(Al)粉末(粒子径85〜100μm)を添加して、実施例6の複合材料とした。Al粉末の配合量は、ゾル液の重量を100重量%とした場合の10重量%とした。同様に、実施例2の複合材料(ゾル液)に、同じAl粉末を添加して、実施例7の複合材料とした。Al粉末の配合量は、ゾル液の重量を100重量%とした場合の30重量%とした。これらの複合材料を、各々、上記(1)(a)にて作製した本体部の表面に塗布、含浸させた。その後、温度150℃下で2時間加熱、硬化させ、実施例6、実施例7の各試験片を作製した。実施例6の試験片の耐熱層の厚さは約0.2mm、含浸層の厚さは約0.3mmであった。また、実施例7の試験片の耐熱層の厚さは約0.5mm、含浸層の厚さは約0.1mmであった。
(b)試験方法
先に作製した実施例2の試験片と、実施例6の試験片および実施例7の試験片に対して、耐熱層側から輻射熱を与え、各試験片の耐熱性を評価した。図3に、試験装置の断面図を示す。図3に示すように、試験装置6は、支持体60とルミネータ61と一対の熱電対62a、62bとを備えている。支持体60の上面には、試験片63が配置されている。試験片63は、耐熱層630を上にして配置されている。なお、図3では、試験片63の含浸層を省略して示す。試験片63の上方には、約110mm離間して、ルミネータ61が配置されている。ルミネータ61により、試験片63に対して輻射熱が放射される(図3中、白抜き矢印で示す)。試験片63の上面および下面の右端部には、一対の熱電対62a、62bが配置されている。一対の熱電対62a、62bにより、試験片63の上面(耐熱層630の表面)、および下面(本体部631の表面)の温度が測定される。
(c)試験結果
各試験片について、耐熱層および本体部の表面温度の経時変化を測定すると共に、耐熱層側の表面の状態を目視で観察した。図4に、表面温度の測定結果を示す。図4に示すように、耐熱層側(熱源側)、本体部側のいずれにおいても、耐熱層にAl粉末を含む実施例6、7の試験片の方が、同粉末を含まない実施例2の試験片よりも、表面温度は低くなった。また、実施例2の試験片では、試験開始から120秒で、耐熱層側の表面温度は約270℃に達した。また、試験開始から約180秒後には、軟質ポリウレタンフォーム製の本体部が溶融してしまった。一方、実施例6、7の試験片については、試験開始から120秒後の耐熱層側の表面温度は200℃以下であった。また、試験後においても、外観上は特に変化は見られなかった。このように、耐熱層にAl粉末を含有させることにより、輻射熱の遮蔽効果が向上することが確認された。
(3)吸音率測定
実施例1、2および比較例1の試験片の吸音率を測定した。吸音率の測定は、JIS A 1405の垂直入射吸音率法に準拠して行った。また、比較のため、本体部の表面に耐熱塗料(オキツモ社製「スタンダードシルバー505」)を塗布した試験片(以下、比較例2の試験片と称す)についても、吸音率を測定した。吸音率の測定結果を、図5、図6に示す。ここで、図5は、耐熱層側(表側)から音波を入射させた結果を示す。また、図6は、本体部側(裏側)から音波を入射させた結果を示す。
まず、図5に示すように、耐熱層側(表側)から音波を入射させた場合、吸音率の大きな差は見られなかった。これは、試験片の通気性よりもマスバネ効果の寄与率が大きいためと考えられる。一方、図6に示すように、本体部側(裏側)から音波を入射させた場合、比較例2の試験片で吸音率が低下したのに対し、実施例1、2の試験片では、高周波数領域における吸音率が高くなった。このように、本発明の高耐熱性吸音材によると、通気性を阻害せずに耐熱性の向上を図ることができる。
(4)流れ抵抗測定
実施例1、2および比較例1、2の試験片における流れ抵抗を測定した。流れ抵抗の測定は、ISO9053のDC法(交流)に準拠して行った。流れ抵抗の測定結果を、図7に示す。なお、図7には、参考として、実施例2の試験片の耐熱層のみについての流れ抵抗の測定結果も示す。図7に示すように、耐熱塗料を塗布した比較例2の試験片と比較して、実施例1、2の試験片の流れ抵抗は小さい。この結果からも、本発明の高耐熱性吸音材によると、単に耐熱塗料を塗布した吸音材と比較して、通気性を阻害せずに耐熱性を向上できることがわかる。
本発明の高耐熱性吸音材の一部断面図である。 接触熱試験における試験装置の断面図である。 輻射熱試験における試験装置の断面図である。 輻射熱試験における各試験片の表面温度の経時変化を示すグラフである。 耐熱層側(表側)から音波を入射させた場合の吸音率の測定結果を示すグラフである。 本体部側(裏側)から音波を入射させた場合の吸音率の測定結果を示すグラフである。 流れ抵抗の測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1:高耐熱性吸音材 2:本体部 20:含浸層 3:耐熱層
5:試験装置
50:支持体 51:鉄板 52:アルミ箔 53:試験片 530:耐熱層
6:試験装置
60:支持体 61:ルミネータ 62a、62b:熱電対
63:試験片 630:耐熱層 631:本体部

Claims (8)

  1. 軟質ポリウレタンフォームからなる本体部と、
    該本体部の表面の少なくとも一部に配置され、金属アルコキシド類と、該金属アルコキシド類と反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサンと、から合成された耐熱材料からなる耐熱層と、を備え、
    該耐熱層の厚さは、0.1mm以上1mm以下であり、
    該本体部は、該耐熱層との界面付近に、該耐熱材料が該軟質ポリウレタンフォームに含浸されてなる含浸層を有し、該含浸層の厚さは、0.05mm以上0.5mm以下であることを特徴とする高耐熱性吸音材。
  2. 前記耐熱材料は、さらに無機フィラーを含む請求項1に記載の高耐熱性吸音材。
  3. 前記無機フィラーは、アルミニウム粉末を含む請求項2に記載の高耐熱性吸音材。
  4. 請求項1に記載の高耐熱性吸音材の製造方法であって、
    金属アルコキシド類と該金属アルコキシド類と反応可能な官能基を有するポリジメチルシロキサンとの混合物を含む液状の複合材料を、軟質ポリウレタンフォームからなる本体部の表面に接触させ、該複合材料の一部を該本体部へ含浸させる含浸工程と、
    該複合材料を加熱し硬化させる硬化工程と、
    を有することを特徴とする高耐熱性吸音材の製造方法。
  5. 前記金属アルコキシド類の含有量は、前記ポリジメチルシロキサンの100重量部に対して5重量部以上50重量部以下である請求項4に記載の高耐熱性吸音材の製造方法。
  6. 前記複合材料は、さらに無機フィラーを含む請求項4または請求項5に記載の高耐熱性吸音材の製造方法。
  7. 前記無機フィラーの含有量は、前記金属アルコキシド類と前記ポリジメチルシロキサンとの混合物の体積を100体積%とした場合の5体積%以上40体積%以下である請求項6に記載の高耐熱性吸音材の製造方法。
  8. 前記無機フィラーは、アルミニウム粉末を含む請求項6または請求項7に記載の高耐熱性吸音材の製造方法。
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