JP4982041B2 - 家畜の筋肉内脂肪(サシ)増加方法及び剤 - Google Patents

家畜の筋肉内脂肪(サシ)増加方法及び剤 Download PDF

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Description

本発明は、ウリジル酸を有効成分として含有する家畜及び/又は家禽の肉質改善剤及びそれを使用することによる家畜及び/又は家禽の肉質を改善する方法に関するものである。
日本における仔ウシの出生頭数は、1年当たり約140万頭である。このうち、成長不良を起こすだけでなく、斃死するものも多い(平均斃死率が4.9%という事例もある)。このことは、乳肉の質、量いずれの点からも生産性を落とし、畜産経営上の圧迫要因となっている。
下痢などの疾病の原因としては、初乳摂取量の不足、初乳の質と量、初乳給与時期、飼料の変化(代用乳、スターター・人工乳)、輸送、環境変化のストレスなどが挙げられる。生後の仔ウシにとって、正常な発育をするためには、消化管の成熟化による代謝機能や免疫機能の構築化が必要である。このことに対処できる天然の素材が求められている。
現状においては、仔牛、仔豚、仔山羊等の仔畜類の生産やその他の幼動物の飼育に当たっては、人工的につくられた代用乳を給与して飼育することが広く行われている。この代用乳は、脱脂粉乳、乾燥ホエーなどのような乳成分を主原料とし、これに油脂類、糖類、穀類、ビタミン、ミネラル、抗生物質などを配合して製造され、実際の使用に当たっては、代用乳を水又は湯に溶解ないしは乳化分散させて、給与している。
上記のように代用乳には油脂が配合されるが、代用乳の最適脂肪含量については、適度な環境では、10〜12%以上の脂肪が必要であると言われているが、定説はない。冬期における屋外ペンでの飼育では、20%が良かったという報告がある。そして、日本の市場で流通している仔ウシ用代用乳の脂肪含量は、ヨーロッパ諸国のものに比べて高く、20%を超えるものが多い。ヨーロッパ諸国では、20%以下である。
脂肪は、炭水化物と同様に、ウシが動き、飼料を摂取し、消化吸収するなどのいろいろな作業のエネルギー源として使われる。しかし、脂肪が消費量より多く供給されると、体脂肪として蓄積されることになる。肝臓や腎臓などの内臓に脂肪が貯まると、臓器の機能が低下する。したがって内臓脂肪の蓄積を予防ないし低下させることが当業界において要望されており、更には出来ればこれらの脂肪を筋肉内脂肪(サシ)に移行するよう脂質代謝を改善して脂質を再分配することも強く要望されている。
この点は、代用乳を給与して飼育することが広く行われている肉用仔ウシの場合にも要望されている。欧米では、ボビーヴィール(乳飲み仔ウシ)、ホワイトヴィールなどの仔ウシ肉が生産され、グルメな食材として評価されており、わが国でも輸入され、消費されている。このような食材は、わが国の、高齢化社会、健康志向、グルメ志向に合致しており、今後、消費量の増大が期待される。この場合、健康的に仔ウシを育て、肉質の良いものを生産する必要がある。
乳用雄仔牛の肥育(食肉用)には、ボビーヴィール生産のための肥育、ホワイトヴィール生産のための肥育、デーリービーフ生産のための肥育の、三つの方法がある。
ボビーヴィールには、ホルスタイン種が使われ、生後2週間前後で出荷される。
枝肉重量は、約20〜25kgである。
肉質は、繊維が細かく締まっていて、カロリーは低い。
風味にクセがないので、調理に工夫ができ、素材として利用しやすい。
ホワイトヴィール(White Veal)は、生後4〜6ヶ月で食肉としたものである。
1才未満の仔牛肉は、組織がまだ完全ではない。肉色は淡紅色で水分多く柔軟で、脂肪は少なく風味に乏しい。
雄仔牛の短期肥育では、普通の雌仔牛以上に病気による事故が多い。
それは、ミルクだけが給与される雄仔牛短期肥育では、第一胃の働きが抑えられ、病気に対する抵抗力が弱くなるからである。このような仔ウシの胃の容積は、濃厚飼料や干草を与えたものの半分程度であり、胃粘膜の組織的、機能的な面での発達も遅れている。健康に肥育するためには、消化器官を正常に発達させる必要がある。
仔ウシに限らず、家畜や家禽において、食用にする肉は、ほとんどが筋肉組織である。脂肪は、美味しさに影響する。脂肪組織に含まれる脂肪酸の組成は、味や香りに影響を与え、交雑の量は「きめ」や「てり」、そして力学特性に大きな影響を与える。黒毛和種は、ホルスタイン種に比べて、胸最長筋脂肪含量が著しく多い。ホルスタイン種では、脂肪を内臓に多く蓄え、筋肉への脂肪交雑が少ないのが欠点とされている。肥育の分野では、胸最長筋脂肪含量を高める飼料素材や飼育方法の開発が望まれている。
本発明は、これら当業界の要望に応える目的でなされたものであって、鋭意研究の結果、プリンヌクレオチドではなくピリミジンヌクレオチドであるウリジル酸、しかもウリジル酸の単独使用によって、仔ウシの脂質代謝が改善されて、内臓脂肪の蓄積が抑制されるだけでなく、更に筋肉内脂肪(サシ)が増加して、肉質が改善されることを実際の仔ウシを用いた実験ではじめて確認したものであるが、このような特に畜産業界において有用な知見は従来全く知られておらず新規である。
ヌクレオチドの脂質代謝に関しては、ウリジル酸とは別異のヌクレオチドであるプリンヌクレオチドの混合物が、成長期のラットにおいて、血中のLDLコレステロール値を低下させ、HDLコレステロール値を上昇させること(例えば、非特許文献1)、マウスにおいて、アラキドン酸、DHA、コレステロール含有油脂とヌクレオチドとを投与すると、発育に有用なこれら不飽和脂肪酸が血漿中および生体膜中に増加すること(例えば、特許文献1、特許文献2)などが知られているが、仔牛の脂質代謝に及ぼすヌクレオチドの作用についてすら記載はなく、ましてや、ウリジル酸単独使用による肉質の改善、霜降り肉の生成等の作用については、全く何らの記載もない。
又、飼料の面から従来の技術をみても、例えばヌクレオチドを使用する家畜、家禽類給餌方法が報告されているが(例えば、特許文献3)、ヌクレオチドは4種混合して使用するものであり、しかもその目的は死亡率の低減であって、本発明のようにウリジル酸単用による肉質を改善するものではない。
特開平9−285267号公報 特開平10−4918号公報 特開2001−340055号公報 西沢ら、第70回日本農芸化学会総会、講演要旨p.15(1996)
本発明は、脂質代謝を改善して脂質の再分配を行い、もって、家畜、家禽の肉質を改善することを目的としてなされたものである。
上記目的を達成するため、本発明者らは各方面から検討の結果、従来広く行われているように各種のヌクレオチドを同時に使用(すなわち、混用)するのではなく、特定のヌクレオチドの単独使用に着目した。そして、各種ヌクレオチドの単用による生理機能に関する研究を行った。
その過程において、本発明者らは、ウリジル酸が、他のヌクレオチドと併用することなく単独で、脂質代謝を改善し、内臓脂肪の蓄積を抑制することを確認したが、更に研究を進めた結果、ウリジル酸の摂取によって仔牛の腎臓等の周囲の脂肪含量が低下するだけでなく、筋肉内脂肪(サシ)の量が増加していることを、実際の仔牛を用い、これを屠殺して実際の肉においてはじめて確認した。
ウリジル酸の単用によって脂質代謝が改善されて生体内で脂質の再分配が行われ、内臓脂肪の蓄積が抑制されるとともに筋肉内脂肪量が増加すること、しかも、これを実際の仔牛において直接確認したことは、まさに有用な技術ないし有用な生理作用をはじめて見出したことにほかならず、画期的なことと認められる。
本発明は、上記した有用新知見に基づき更に研究の結果、遂に完成されたものであって、ウリジル酸を単用することによる家畜及び/又は家禽の肉質を改善する新規システムを提供するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において有効成分として使用するウリジル酸は、既知の化合物であり、市販品を使用することができる。なお、ウリジル酸は、2’位、3’位または5’位のいずれの位置にリン酸残基を有していてもかまわないが、通常は5’位にリン酸残基を有するウリジン5’−モノリン酸を使用する。このようなウリジル酸および/またはウリジンは遊離の形態でも塩の形態であってもよく、そのような塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩などの各種金属塩を例示することができる。このような化合物のうち、特に好ましいものとしては既に食品添加物として許可されている5’−ウリジル酸二ナトリウム(5’UMP−2Na)を例示することができる。
ウリジル酸の由来には格別の制限はなく、上記のように市販品が使用できるほか、合成品でもよいが、酵母、細菌、乳、魚介類、動物、植物等の天然物由来のものが好適である。核酸関連物質の精製方法についても、格別の制限はなく、完全に精製されたものが使用できることはもちろんのこと、粗製物や含有物等も自由に使用することができ、乾燥品〜ぺースト状物〜液状ないし懸濁状物にした処理物も広く使用することができる。
本発明は、ウリジル酸の有効性(つまり、機能性、生理活性ないし生理作用)を実際の仔ウシを用いて直接確認した点にきわめて大きな特徴を有するものである。具体的にはウリジル酸を仔ウシに経口投与した後、仔ウシから採血を行い、また仔ウシを屠殺して各組織を採取し、これらの生体サンプルについて分析を行って、各種の生理作用を実際に且つ直接確認した点、しかも、ウリジル酸としては、他の塩基由来の核酸関連物質ではなく、また、他の塩基由来の核酸関連物質との併用ではなく、ウリジル酸のみの単用で有効であることを実際に確認した点においてきわめて特徴的である。
本発明は、有効成分を生きた仔ウシに直接投与し、生体サンプルを分析して各種生理作用(生理活性)を確認してなされたものであって、仔ウシを用いた実際の生体実験in vivo試験)の結果確認されたものである。このようにして、脂質代謝の改善作用を実際に直接確認し、内臓脂肪の蓄積を抑制するだけでなく筋肉内脂肪(サシ)の入り及び増加を実際に直接確認し、脂肪の再分配を実際に仔牛において直接確認した。
ウリジル酸は、そのまま、あるいは、飼料、飼料成分、代用乳、代用乳成分、飲料水、動物用医薬製剤用補助剤等と混合して、実用に供することができる。また、投与方法は、経口投与、経腸投与、静脈内投与など各種方法が適宜用いられる。
ウリジル酸の摂取量又は投与量は4〜10日齢のホルスタイン種新生仔牛の場合、1日当り0.2〜20g、好ましくは0.5〜10g、更に好ましくは1〜5gを目安として代用乳に混合して投与すればよいが、脂肪の状態、牛の種類、年令、体重等に応じて適宜増減すればよい。また、牛以外の動物についても、上記に準じてその量を適宜決定すればよい。また、ウリジル酸は天然由来成分であって、安全性について問題がないので、上記範囲を逸脱して多量に使用しても一向にさしつかえない。現にマウスを用いた10日間の急性毒性試験で、1000mg/kgの経口投与でも死亡例は認められていない。
本有効成分(ウリジル酸、含有物や処理物も含む)は、そのまま使用したり、飼料添加物として飼料や飲料、人工乳等に添加したり、飲料組成物として使用することができる。
動物用医薬品として使用する場合、本有効成分は、種々の形態で投与される。その投与形態としては例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与をあげることができる。これらの各種製剤は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。この場合及び飼料として投与する場合のいずれにおいても、上記した投与量を1日あたり1回又は数回にわたって投与すればよい。
本発明にしたがってウリジル酸を投与することによって脂質代謝が改善されて内臓内脂肪の蓄積が抑制される一方で筋肉内脂肪(サシ)が増加するという新規生理作用が仔牛についてはじめて見出されたものであるが、このウリジル酸による作用は仔牛だけに特有なものではなく、成牛にも見られるし、他の家畜(豚、羊、山羊、馬、兎等)や家禽(鶏、鴨、アヒル、七面鳥、ウズラ等)にも広く見られるものである。
本発明は、ウリジル酸による新規脂質代謝改善作用を見出したものであって、内臓脂肪の蓄積を抑制するだけでなく、筋肉内脂肪(サシ)を高め、脂質の再配分を行うという新規にしてきわめて顕著な効果を奏するものである。
具体的には、次のような効果が例示される。
脂質代謝を改善し、健康に飼育する。
脂質代謝を改善し、代謝器官の能力を発揮できるようにする。
脂質代謝を改善し、摂取した栄養素を有効に利用できるようにする。
脂質代謝を改善し、胸最長筋脂肪含量を高めて、肉質を改善する。
消費者の嗜好が高い仔ウシの肉(ヴィール)は、成牛の肉に比べて脂肪含量が少なく、風味は淡泊であるが、本発明によれば胸最長筋の脂肪含量を高めることができるので、風味の改善が可能となる。
体内におけるエネルギー消費の優先順位は、次の通りである。
カロリーは先ず骨格の発育に利用され、次いで筋肉の生産に利用され、最後に脂肪の生産に利用される。
脂肪の蓄積は、腹腔内脂肪、腎臓脂肪→筋間脂肪→皮下脂肪→筋肉内脂肪(サシ)の順序で行われる。本発明によれば、仔ウシで、肝臓や腎臓の脂肪量を下げて筋肉内脂肪を高めるような、飼育方法の開発にはじめて成功することができたものである。
サシ:霜降りの発達は、成長に固有の現象で、一生を通じて発達し続ける。従って、仔ウシで見られたサシの発達は、成牛でも見られることになる。このことは、仔ウシでサシを発達させる方法を開発するのに成功した本発明は、成牛でも応用できることとなる。また、他の家畜や家禽にも適用することができ、サシの入った霜降りのすぐれた肉を各種生産することができる。しかもその際、薬剤やホルモン等を使用することなく、きわめて安全な肉が得られる。
本発明によれば、上記のように直接的に肉質を改善できるだけでなく、家畜や家禽を健康に肥育することができるので、その結果、肉質を改善することができ、健康維持による間接的肉質改善効果も奏される。
例えば、仔牛の出生時から離乳までの期間の発育の善し悪しは、その後に、本来の能力を充分に発揮するか否かを左右する。このことは、雄、雌を問わず、共通の課題である。その為には、体調を整え、肥育に耐えられる体力を作ることが大切である。脂肪が内臓に付着し過ぎると、発育が悪くなるし、能力の低い牛となる。従って、仔牛の時の過肥を避ける必要がある。しかるに、本発明によれば、脂肪の生体内での再分配を促して肥満状態を防止できるので、内臓器官の機能を十分に発揮させることができる。
脂肪組織には、脂肪前駆細胞と呼ばれる線維芽細胞様の細胞が存在し、これが増殖し脂肪細胞へ分化することによって脂肪細胞の数が増加する。脂肪細胞分化は、種々な栄養素、ホルモン、生理活性物質等の影響を受ける。
ビタミンCや多価不飽和脂肪酸は、脂肪細胞の分化を促進する。これに対し、ビタミンA、Dは分化を阻害する。
栄養素の体内レベルをうまく調節することによって、脂肪組織の蓄積を人為的に制御することができる可能性がある。
脂肪組織の脂質貯蔵は、脂質合成と脂質分解の動的平衡の上に成り立っており、脂質代謝は種々のホルモンや因子による複雑な急性および慢性調節下にある。
例えば、インスリンは、脂質合成を促進し、成長ホルモン、カテコールアミンは、脂質合成を抑制する。
カテコールアミンは、脂質分解の有力な促進因子である。
本発明は、これら脂質代謝を調節して脂肪組織を人為的に制御できる天然素材の開発にはじめて成功したものである。
仔牛の脂質代謝に及ぼすヌクレオチドの作用については、全く知られていない。本発明では、仔ウシにおいて、ウリジル酸が脂質代謝を改善し、特に脂肪の再分配を促すことを発見し、この有用新知見に基づき更に研究の結果、遂に本発明を完成させることができたものである。
以上述べてように、本発明によれば、脂質代謝を改善し、脂質の再分配を促進することがはじめて可能となり、このことにより、
(イ)健康に飼育する。
(ロ)内臓器官の能力を発揮させる。
(ハ)摂取した脂肪を効率的に利用する。
(ニ)サシを多くして肉質を改善する。
という著効が奏されるのである。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
ホルスタイン種新生仔ウシ(12頭)に対し、出生直後に各母ウシの初乳を給与し続く3日齢までIgGを強化した人工初乳を与えた。4日齢より仔ウシを2群に分け、10日齢に達するまでの7日間試験区(6頭)にウリジル酸入り代用乳(ウリジル酸2g/日)を、対照区(6頭)に通常の代用乳を給与し、以後、24日齢まで試験区、対照区とも通常の代用乳を給与した。採血は10日齢時に、代用乳給与前後で経時的に実施し、血中グルコース濃度、インスリン濃度、成長ホルモン(GH)濃度を測定した。また、24日齢時に仔ウシを解体・各組織を採取し、腎周囲脂肪組織重量などを測定した。
なお、人工初乳は、初乳粉末および植物性油脂を主原料とし、IgG含量を15.5%に調整したものを使用した。また、代用乳は、乳蛋白および植物性油脂を主原料とした明治飼糧株式会社の製品(商品名:プレミアムメイラック、成分値:蛋白質24%、脂肪20%)を使用した。
次のような結果が得られた。
腎周囲脂肪組織重量が低下し(図1)、胸最長筋脂肪含量の増加(図2)が確認され、それぞれ有意性が見られた。更に、代用乳を給与した際に見られる、血中グルコース濃度の上昇が抑制された(図3)、このことによりインスリン分泌も少なかった(図4)。
以上より、ウリジル酸の投与は代謝や内分泌機能を変化させることによって仔ウシの脂質代謝を顕著に改善し、生体内脂肪蓄積の再分配を引き起こすことが、確認された。よって、次の効果が奏される。
(1)内臓脂肪の付着を減少させ、内臓器官の機能を発揮させる。
(2)内臓脂肪の付着を低減させ、代用乳の脂肪から摂取したエネルギーを効率的に利用できるようにする。
(3)胸最長筋の脂肪含量(サシ)を増加させ、肉の風味を改善する。
なお、サシを増加させる効果は、飼料中ビタミンA濃度のコントロールによる方法が実用化されているが、ウリジル酸を併用すれば更に効果が高まる。
ウリジル酸を給与した仔牛と給与しない仔牛の肝臓の脂肪含量〔肝臓トリグリセリド(TG)濃度〕を図5に示し、また、ウリジル酸を給与した仔牛と給与しない仔牛の血液中のGPT、GOTを測定し、その結果を下記表1に示した。更に、同様に血中成長ホルモン(GH)濃度も測定し、結果を図6に示した。
(表1)
Figure 0004982041
上記結果から、次の効果が確認された。
内臓の脂肪蓄積を抑制する傾向が見られた(図1、図5)。その際、肝臓機能障害の発生(血中GPT/GOT濃度の変化)は見られなかった(表1)。又、血中成長ホルモン濃度が高い傾向にあった(図6)ことから、仔ウシの健康的な成長を促進する効果が認められた。
このように本発明によれば、ウリジル酸(ウリジン−モノリン酸)を仔牛、例えば生後から離乳期までの仔牛に給与することによって、内臓脂肪の蓄積は抑制する一方で筋肉内脂肪(サシ)は増加させることができ、霜降りの風味にすぐれた仔牛肉とすることができる。したがって、本発明によれば脂質の再分配が安全且つ効率的に行われるので、仔牛の健康や成長面から脂肪含量の高い代用乳(人工乳)の給与が広く行われているが、このような代用乳(人工乳)を給与しても、内臓に過剰な脂肪を付着させることがなく、それどころかその脂肪をサシとして有効利用できるという著効も奏される。
しかも、このようなウリジル酸による新規生理作用は、仔牛のみに限定されることなく、各種仔畜や幼禽にも適用することができるし、また、成牛等成畜にも広く適用することができる。
4〜10日齢まで通常の代用乳、ウリジル酸入り代用乳をそれぞれ給与した仔ウシが24日齢に達した際に採取した、腎周囲脂肪組織重量を示す。 4〜10日齢まで通常の代用乳、ウリジル酸入り代用乳をそれぞれ給与した仔ウシが24日齢に達した際に採取した、胸最長筋蛋白質1g当たりの脂肪含量を示す。 4〜10日齢まで通常の代用乳、ウリジル酸入り代用乳をそれぞれ給与した仔ウシが10日齢に達した際の、代用乳給与前後における血中グルコース濃度の経時変化を示す(グラフ中のmilkは、代用乳の給与を示す)。 4〜10日齢まで通常の代用乳、ウリジル酸入り代用乳をそれぞれ給与した仔ウシが10日齢に達した際の、代用乳給与前後における血中インスリン濃度の経時変化を示す(グラフ中のmilkは、代用乳の給与を示す)。 4〜10日齢まで通常の代用乳、ウリジル酸入り代用乳をそれぞれ給与した仔ウシが24日齢に達した際に採取した、肝臓の脂肪含量を示す。 4〜10日齢まで通常の代用乳、ウリジル酸入り代用乳をそれぞれ給与した仔ウシが10日齢に達した際の、代用乳給与前後における血中GH濃度の経時変化を示す。

Claims (4)

  1. 他のヌクレオチドとの併用ではなく、ウリジル酸のみを有効成分として含有すること、を特徴とする経口投与医薬品としての家畜の筋肉内脂肪(サシ)増加剤。
  2. 家畜が、牛、豚、羊、馬、山羊から選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする請求項1に記載の剤。
  3. 該有効成分が、精製物、粗製物、含有物から選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする請求項1又は2に記載の剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬品としての筋肉内脂肪(サシ)増加剤を経口投与すること、を特徴とする家畜の筋肉内脂肪(サシ)増加方法。
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