JP2003159007A - 牛の肉質を改善する方法 - Google Patents

牛の肉質を改善する方法

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JP2003159007A
JP2003159007A JP2001363399A JP2001363399A JP2003159007A JP 2003159007 A JP2003159007 A JP 2003159007A JP 2001363399 A JP2001363399 A JP 2001363399A JP 2001363399 A JP2001363399 A JP 2001363399A JP 2003159007 A JP2003159007 A JP 2003159007A
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vitamin
beef
cattle
feeding
fat
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Harumi Naruse
治己 成瀬
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KONGO YAKUHIN CO Ltd
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KONGO YAKUHIN CO Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】飼料添加物としてのビタミンCが胃内で微生物
により分解されるのを低減し、腸内でのビタミンC吸収
を良好にする飼料添加物を和牛に給餌して、屠殺した時
の和牛肉質の脂肪交雑(BMS)及びきめ・しまりを向
上・改善する。 【解決手段】和牛に、油脂被覆ビタミンCを5〜50g
/日・頭、給餌することにより、屠殺した時の和牛肉質
の脂肪交雑(BMS)及びきめ・しまりを向上させる。
給餌時期は、15ヶ月令〜25ヶ月令の期間であること
が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、牛に飼料の添加
物として特定のビタミンC複合物を特定量給餌すること
で牛の肉質を改善する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】 ビタ
ミンCには従来より白血球の機能の増強作用、鉄分の吸
収促進機能、ニトロソアミン生成阻害作用、結合細胞の
形成作用など免疫機能を増強する効果があると言われて
いる。また、脂肪細胞の分化の目安となる脂肪細胞分化
誘導活性(GPDH)がレチノール濃度との間に負の相
関関係があり、ビタミンCは脂肪前駆細胞増殖因子を高
めるとした報告もある。
【0003】また、脂肪交雑の良好な牛肉を生産するた
めに、融点が37〜47℃の牛脂を1〜5重量%添加す
ること(特開平2−109944)により、「霜降り
肉」を作る方法が提供されている。
【0004】しかし、脂肪はどこにでも付くわけではな
く、脂肪は脂肪細胞に蓄積する。そして、脂肪細胞の数
は遺伝的に生まれながらにして決められている。また、
黒毛和種は他の品種に比べて特に脂肪細胞の数の多い
(特に筋肉膜内)品種であるが、黒毛和種でも系統によ
り大きな差があることが知られている。一方、最近の研
究によって人間の脂肪細胞の数は生後も増えることがあ
ることが解ってきた。筋肉の周囲の脈管系付近には脂肪
前駆細胞という脂肪細胞の種があり、これは飽食による
インスリン分泌の亢進等によりその分化と成熟が促進さ
れることが解っている。
【0005】牛においても同様のことがあると考えられ
ておりサシ形成期における不断給餌やカロリーの高い餌
の給餌はインスリン分泌を刺激して脂肪細胞の数を増加
させるといわれている。また逆にビタミンAの過剰給餌
は脂肪前駆細胞の分化と成熟を制御することがラットで
みられており、牛においても同様のことがあるかもしれ
ない。脂肪の蓄積を阻害する因子としては、アドレナリ
ン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等が知られてい
る。したがって、牛肉の脂肪交雑を増大させるには、こ
れらのホルモンはストレスによって増加するので、過度
の運動、暑さ、寒さ、騒音、密飼、喚起等に注意しスト
レスを減らす努力をしなければならない。
【0006】そこで、牛の数々のストレスを防御するた
めにもビタミンCを給餌すると、輸送のストレス、飼育
ストレス及び感染症による風邪等の疾病ストレスによ
り、飼料の食いこみが低下した際に、牛の免疫力を増加
させ、ストレスを解除することが可能となる。
【0007】この様な状況で、ビタミンCを飼料の中に
添加し、食いこみを活性化させる方法も考えられたが、
牛のような反芻動物の場合は、そのまま給餌しても第一
胃(ルーメン)内の微生物で分解されてしまい、その目
的を達成することができない。なお、反芻動物である牛
は、体内でビタミンCを合成すると言われており、ビタ
ミンCを給餌した報告は少ない。
【0008】
【課題を解決するための手段】 そこで、本発明者は鋭
意研究の結果、第一胃(ルーメン)での微生物の作用を
受けないように工夫した油脂被覆ビタミンCを給餌時に
飼料に添加して経口投与することによって、第四胃まで
通過させ、そして腸で吸収させることによって、血中の
ビタミンC濃度を上げ、かつ継続給餌することにより、
屠殺時の牛肉のサシを増やし、肉質の格付け(新しい牛
枝肉取引規格:社団法人日本食肉格付協会63年)を向
上することに成功した。
【0009】すなわち本発明は下記構成の牛の肉質を改
善する方法である。 (1)牛に、油脂被覆ビタミンCを5〜50g/日・
頭、給餌することを特徴とする牛の肉質を改善する方
法。 (2)和牛に、油脂被覆ビタミンCを5〜50g/日・
頭、給餌することにより、屠殺した時の和牛肉質の脂肪
交雑(BMS)及びきめ・しまりを向上させることを特
徴とする牛の肉質を改善する方法。 (3)和牛とホルスタイン種の交雑種の牛に、油脂被覆
ビタミンCを5〜50g/日・頭、給餌することによ
り、屠殺した時の同交雑種牛肉質のしまりを向上させる
ことを特徴とする牛の肉質を改善する方法。 (4)ホルスタイン種の牛に油脂被覆ビタミンCを5〜
50g/日・頭、給餌することにより、屠殺した時の肉
色(BCS)を改善させることを特徴とする牛の肉質を
改善する方法。 (5)給餌対象牛への給餌期間が、15ヶ月令〜25ヶ
月令の期間であることを特徴とする前項(1)〜(4)
のいずれか1項に記載の牛の肉質を改善する方法。 (6)屠殺時期が、20〜32ヶ月令であることを特徴
とする前項(1)〜(5)のいずれか1項に記載の牛の
肉質を改善する方法。
【0010】牛に給餌したビタミンCの効果を発現させ
るためには、先ず血中のビタミンCの濃度を上げる必要
がある。給餌したビタミンCが血中へ移行するには、第
一胃での微生物のアタックを制御し、第四胃へ移行させ
なければならない。第一胃での微生物のアタックを抑制
する方法として油脂で被覆したビタミンCを10〜50
g/日・頭、経口給餌することが好ましい。また、牛へ
の給餌時期は、15ケ月令から25ケ月令の間が好まし
く、その内訳は、.和牛(黒毛和種)の場合は20〜
25ケ月令の間、.和牛とホルスタイン種の交雑種牛
の場合は17〜23ヶ月令の間、.ホルスタイン種牛
の場合は15〜20ヶ月令の間が、各々好ましい。な
お、屠殺時期は、.和牛は28〜32ヶ月令程度、
.和牛とホルスタイン種の交雑種牛は24〜26ヶ月
令程度、.ホルスタイン種牛は20〜23ヶ月令程度
が好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】 以下に本発明の実施の形態につ
いて説明する。通常牛はグルコースから十分量のビタミ
ンCを生合成することができ、ビタミンCの補給は必要
ないとされてきた。一方、狭い場所で飼育すると、スト
レスを受けることにより牛の血中ビタミンC濃度が低下
し、免疫機能が低下することが報告されている。また、
被覆したビタミンCを家畜に経口給餌することによっ
て、感染症を予防し、ストレス・風邪等による飼料の食
いこみが低下した際に,食いこみを向上させて牛の消耗
を防止する方法も報告されている。
【0012】そこで本件発明者は鋭意研究の結果、油脂
で被覆したビタミンCを牛に経口給餌することによっ
て、牛の第一胃での微生物によるアタックを防御し、第
四胃まで通過させ、そして腸で吸収させることによっ
て、血中のビタミンC濃度を上げることに成功し、その
結果、屠殺した時に肉質等級を向上させ、BMS N
o.脂肪交雑を向上させると共にしまりやきめを向上さ
せることができた。
【0013】本発明に係るビタミンC(アスコルビン
酸)であるが、ビタミンCの牛生体内における効果が発
現されるには、まず血中のビタミンCの濃度を上げる必
要がある。給餌したビタミンCが血中に移行するには、
第一胃での微生物のアタックを抑制し、第四胃へ移行さ
せなければならない。本発明では、第一胃中に生息する
ビタミンCを分解する微生物のアタックを抑制するため
に、油脂で被覆したビタミンCを経口給餌する。このよ
うに第一胃(ルーメン)での微生物の作用を受けないよ
うに工夫した被覆ビタミンCを給餌することによって、
血中のビタミンC濃度を上げ、屠殺した際に肉質が向上
するのである。
【0014】本発明で用いるビタミンC被覆用油脂は、
動物性油脂、植物性油脂のいずれの油脂でもかまわない
が、融点の高い油脂すなわち硬化油脂が好ましく、例え
ば大豆硬化油、米糠ワックス、菜種硬化油などの植物油
脂類や牛脂硬化油などの動物性油脂類が挙げられ、味・
臭気の関係から中でも大豆硬化油が最も好ましい。ま
た、その硬化油脂は、酸価5以下、ヨウ素価3以下、融
点60〜65℃のものが好適である。
【0015】ビタミンCに対する被覆油脂の割合は、な
るべく油脂の少ないものが好ましいが、製造方法及び牛
への給餌効率を勘案すると、ビタミンC100重量部に
対して約10〜100重量部のものが好ましい。100
重量部より多いと、有効成分であるビタミンCと同量以
上の油脂を与え飼料の消化率が低下し、飼料効率が低下
する。一方、10重量部より少ないと製造上、安定した
被膜形成が出来ず、ビタミンCが胃内で分離・分解され
る率が高くなり、血中濃度が所要濃度以下に低くなる問
題がある。
【0016】本発明を適用し得る対象肉畜としては、黒
毛和牛,F1種(和牛×ホルスタイン種)、ホルスタイ
ン種、ジャージー種去勢牛などの肉牛や羊などの蓄獣で
特に制限はないが、いわゆるルーメンバイパス型の牛な
どの反芻動物に用いると効果がより現れるので好適であ
る。
【0017】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を更に詳細に説
明し,本発明の効果を明らかにするが、これらは単なる
例示であって、これらにより本発明の範囲が限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく実施さ
れる、あらゆる変形及び/又は修飾例も本発明に含むも
のである。
【0018】[実施例1]: (油脂被覆ビタミンCの製造)流動造粒装置(株式会社
セイシン製・ベストリューザーBK型)の缶中に、L−
アスコルビン酸の結晶(45〜60メッシュ)8.0k
gを投入し、品温を50℃にして、ゆっくり回転(15
rpm )させた。続いて大豆硬化油(融点63℃)1.6
kgとグリセリン脂肪酸エステル1.0kgを160℃
で溶解させたものを前記流動造粒装置の缶中に添加し、
自然冷却(40℃)しながら2時間程度回転させた。得
られた造粒体を13メッシュ篩に掛け、同メッシュ以上
の大きな団粒を除去して、油脂被覆ビタミンC製品とし
た。得られた油脂被覆ビタミンC造粒体の性質は下記の
とおりであった。 記 ビタミンC含有率:70重量% 外 観:白色〜微黄色の粉末で臭気はないか僅かに特異
臭がある。 含 量:1gに中にL−アスコルビン酸700mgを含
有(HPLC法)。 水 分:2重量%以下(減圧下で70℃・5時間の乾燥
減量を測定)。 粒 度:20メッシュパス=98重量%以上(篩試験
法)。 溶出率:20分間−25重量%(振とう法)。
【0019】同様にして、ビタミンC含有率が異なるも
のを作るには、配合割合を変えるだけでよい。実際に
は、ビタミンC70重量%含有物の場合は、L−アスコ
ルビン酸を7.0kg,大豆硬化油3.85kg,脂肪
酸エステル0.15kgを用い、ビタミンC50重量%
含有物を得るには、L−アスコルビン酸5.0kg、大
豆硬化油4.75kg、脂肪酸エステル0.25kgを
用いた。
【0020】[実施例2]: (経口剤の調製)上記実施例で得られた油脂被覆ビタミ
ンC25重量部に、脱脂米糠75重量部を混合して飼料
添加物を作製し、以下の給餌試験に供した。
【0021】(給餌試験1)前記実施例1にて作った油
脂被覆ビタミンC含有飼料添加物を約12ケ月令の黒毛
和種(和牛)に、下記月齢の3ケ月間25g/日・頭を
給餌すると共に、配合飼料(濃厚飼料)を与え、更に粗
飼料(稲藁、他)を給餌して、状況変化を調査した。ま
た、対比のため、従来法による油脂被覆を施さないビタ
ミンCを含有させた飼料添加物を給餌し飼育し、対照区
として調査した。なお、試験牛は月齢約12ケ月令の黒
毛和種17頭を導入し、それらの体重、DG及び血液試
験の結果から、判断し、ほぼ均一になる様に、対照区、
試験1区(17〜20ケ月令ビタミンC給餌)と試験2
区(21〜24ケ月令ビタミンC給餌)に区分けした。
上記給餌飼育後、試験牛より所定量採血し、血液検査に
供した。検査項目は、血中尿素窒素(BUN),グルコ
ース(GLU),総コレステロール(T−CHO),グ
タミン酸−オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(GO
T),ビタミンC(V.C),ビタミンA(V.A)の
6項目を選んだ。なお、血液検査の結果を表1に示し
た。また、それらの内の一部の試験牛についての枝肉格
付け明細書を表2に示した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】以上の結果から、本発明に係る試験区の牛
の血中V.C(ビタミンC)濃度は、油脂被覆しない
V.Cを供与した対照区の場合に比較して、約1.5〜
2.0倍であって、胃中でのV.C分解が少なかったも
のと推測された。その結果、牛枝肉格付けの評価も本発
明に係る試験区のものは、優れていることが解った。す
なわち、屠殺した時の和牛肉質の、脂肪交雑(BMS)
及びきめ・しまりが向上することと、枝肉重量が増大す
ることが解った。さらに、他の試験結果から、和牛とホ
ルスタイン種の交雑種の牛については、屠殺した時の同
交雑種牛肉質のしまりを向上させることが、また、ホル
スタイン種の牛については、屠殺した時の肉色(BC
S)を改善させることが解った。
【0025】
【発明の効果】 以上に説明した通り本発明によれば、
飼料添加物としてのビタミンCが胃内で微生物により分
解されるのを低減し、腸内でのビタミンC吸収を良好に
することができ、血中濃度の向上を達成することができ
る結果、屠殺した時の和牛肉質の脂肪交雑(BMS)及
びきめ・しまりを向上させることができ、また和牛とホ
ルスタイン種の交雑種の牛に対しては屠殺した時の同交
雑種牛肉質のしまりを向上させることができ、さらにホ
ルスタイン種に対しては屠殺した時の肉色(BCS)を
改善させることができる等の優れた作用効果が発揮され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // A61K 31/375 A61K 31/375 Fターム(参考) 2B005 BA01 BA06 BA07 2B150 AA02 AB05 DE13 DJ03 4B042 AC02 AC05 AD39 AG02 AH01 AP30 4C086 AA02 BA18 MA05 MA52 NA14 ZC28 ZC61

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】牛に、油脂被覆ビタミンCを5〜50g/
    日・頭、給餌することを特徴とする牛の肉質を改善する
    方法。
  2. 【請求項2】和牛に、油脂被覆ビタミンCを5〜50g
    /日・頭、給餌することにより、屠殺した時の和牛肉質
    の脂肪交雑(BMS)及びきめ・しまりを向上させるこ
    とを特徴とする牛の肉質を改善する方法。
  3. 【請求項3】和牛とホルスタイン種の交雑種の牛に、油
    脂被覆ビタミンCを5〜50g/日・頭、給餌すること
    により、屠殺した時の同交雑種牛肉質のしまりを向上さ
    せることを特徴とする牛の肉質を改善する方法。
  4. 【請求項4】ホルスタイン種の牛に油脂被覆ビタミンC
    を5〜50g/日・頭、給餌することにより、屠殺した
    時の肉色(BCS)を改善させることを特徴とする牛の
    肉質を改善する方法。
  5. 【請求項5】給餌対象牛への給餌時期が、15ヶ月令〜
    25ヶ月令の期間であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の牛の肉質を改善する方法。
  6. 【請求項6】屠殺時期が、20〜32ヶ月令であること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の牛の
    肉質を改善する方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008513006A (ja) * 2004-09-17 2008-05-01 ジョン・ベイン 組織操作された食肉および組織操作された食肉の製造方法
JP2009159934A (ja) * 2007-12-29 2009-07-23 Republic Of Korea Management Rural Development Administration ビタミンcが保護される反芻動物給与用飼料添加剤、これの製造方法及び用途
JP2018078888A (ja) * 2016-11-05 2018-05-24 Fsk三昭株式会社 飼料、飼料生産方法及び飼料生産装置

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