JP4981828B2 - Hvof溶射コーティング層の形成方法及びタービン部材保持装置 - Google Patents

Hvof溶射コーティング層の形成方法及びタービン部材保持装置 Download PDF

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Description

この発明は、タービン部材にHVOF(高速フレーム)溶射法によるコーティング層の形成において、アンダーコーティング層又は耐食コーティング層に好適なコーティング層を形成するための、タービン部材に対するHVOF溶射コーティング層の形成方法及びタービン部材保持装置に関する。
周知のように、例えば、蒸気タービン、ガスタービン等、作動流体の膨張を回転力に変換するタービン部材(タービン動翼、タービン静翼)は、高温の作動流体に曝されるためにタービン部材の遮熱性や耐食性を確保する必要がある。
そこで、タービン部材は、耐熱金属基材により形成しこの耐熱金属基材に溶射等の成膜方法により金属結合層を形成し、この金属結合層上に酸化物セラミックスからなるセラミックス層を形成することで遮熱コーティング層(TBC:thermal barrier
coating)を形成する技術が広く用いられている。また、それほど使用温度が高くない翼では、耐食性改善のみを目的として金属層のみを成膜する場合もある。
このように遮熱コーティング層のアンダーコーティング層(金属膜)を形成するための溶射方法としては、減圧容器内で雰囲気のガスおよびその圧力を制御して大気圧よりも低い気圧で溶射するLPPS(減圧プラズマ溶射法)や大気中でプラズマ溶射を行なうAPS(大気プラズマ溶射法)に代表されるプラズマ溶射法、及び高圧の酸素と炭化水素系燃料ガスによる燃焼炎を用いて溶射するHVOF(高速フレーム)溶射法が普及している。
このうち、HVOF溶射法は、燃焼室の圧力を高めて高速の連続燃焼炎を発生させ、溶射粉末を高速度で基材に衝突させて緻密なコーティング層を形成する溶射方法であるが、例えば、タービン部材の周方向位置を割出して溶射ガンをタービン部材の長手方向に移動させながら溶射する場合、翼面の曲率変化が大きいため、翼のセッティング誤差あるいは、翼そのものの変形が大きい場合、タービン部材に対する溶射粉末の噴射角度が部分的に浅くなったり、最悪の場合当たらなかったりして、コーティング層の表面が滑らかになり過ぎたり、膜厚にバラツキが生じたりする場合がある。
このタービン部材に対する溶射粉末の噴射角度は、タービン部材をその長手方向の軸線周りに回転させ、その回転方向に沿った方向の所定範囲内でタービン部材の周囲に溶射ガンを揺動(往復運動)させて溶射する場合、タービン部材に対する溶射粉末の噴射角度は必ず浅い個所が発生して、トップコーティング層等のコーティング層を形成する場合に充分な密着性を確保することが困難な場合が生ずる。これは、溶射角度が浅くなると、成膜部の表面性状(特に粗度)が変化し、トップコーティング層の密着性が下がるのではないかと類推されている。
そのため、HVOF溶射法によりコーティング層を形成する場合に、コーティング層表面を充分な密着性を確保することが可能な粗度とするためのHVOF溶射法に関する技術が開示されている。(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−330586号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたHVOF溶射法は、粉末の粒度調整、ポリエステル粉の使用、最終層のみAPSを採用することによってHVOF溶射法によるコーティング層の粗さを調整するものである。
そのため、例えば、粉末の粒度調整又はポリエステル粉の使用を行なう場合には粉末を交換するための段取が増加し、また粉末の種類取違え等のリスクも増え、ポリエステル粉を除去するための特殊な熱処理が必要となる等の工数の増加や管理の増加が生じる。
また、最終層のみAPSを採用する場合には、最終層のみ溶射装置を変えて溶射する必要があり、工程管理上、コストが増大し、膜そのものの酸化の影響についても品質確認が必要となってくる。
また、ポリエステル粉を除去するための特殊な熱処理をする場合や最終層のみAPSを採用する場合には、トップコーティングを施す場合に、熱処理等による拡散による密着性の改善の効果に悪影響を及ぼす可能性がある。
そこで、HVOF溶射法により表層側のコーティング層と充分な密着性を確保可能なアンダーコーティング層、又は耐食コーティング層を容易かつ効率的に形成することが可能な技術に対する要望がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、タービン動翼等のタービン部材にHVOF溶射法を用いてコーティング層を形成する場合に、トップコーティング層等、表層側のコーティング層と充分な密着性を確保可能なアンダーコーティング層の形成又は耐食コーティング層を容易かつ効率的に形成することができるHVOF溶射コーティング層の形成方法及びタービン部材保持装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、断面樹木状の翼根を有するタービン部材へのHVOF溶射コーティング層の形成方法であって、前記タービン部材の翼根の両側面及び前記翼根をその挿入方向の所定位置で支持して、前記タービン部材の翼端に被計測部材を配置し、前記基台の所定位置にセッティング治具を配置し、前記セッティング治具によって前記被計測部材の位置を計測することにより、前記タービン部材の前縁部及び後縁部が溶射ガンによる溶射に対して所定の角度の範囲内となるように調整して前記タービン部材を基台に立設し、
前記基台を回転テーブルに位置決めし、前記回転テーブルの回転と、溶射ガンの軌跡に沿った制御をしながら、HVOF溶射することを特徴とする
この発明に係るHVOF溶射コーティング層の形成方法によれば、翼根を保持することによりタービン部材を基台に立設するので、タービン部材が正確に保持されて前縁部及び後縁部に対して溶射ガンの溶射方向を所定の範囲内に向けやすい。その結果、前縁部及び後縁部に対して浅い角度で溶射することが抑制される。
したがって、充分な密着性を有するHVOF溶射コーティング層を形成することができる。
また、タービン部材の翼端に被計測部材を配置して、基台の所定位置に配置したセッティング治具によって被計測部材の位置を計測するので、タービン部材の翼端の位置を回転テーブルによるタービン部材の回転軸に容易に合わせることができる。
この方法は、セッティングのミスを防ぐことや、補修翼のように、すでに使用されて、図面形状よりもやや変形している翼等において、不良な成膜を意識せずに施工してしまうことを防ぐという観点で、有効な手段である。
なお、この明細書において、HVOF溶射コーティング層とは、HVOF溶射法により形成するコーティング層をいい、アンダーコーティング層、耐食層等を対象とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタービン部材へのHVOF溶射コーティング層の形成方法であって、前記タービン部材の長手方向に沿った方向に溶射する縦打ち面直パスと、前記長手方向と直交する方向に往復運動し該往復端にて前記長手方向に移動しながら溶射する横打ちラダーパスの少なくともいずれか一方の溶射を付加して施工することを特徴とする。
横打ちラダーパスでは、回転テーブルに対するタービン部材の取付けに少々誤差が生じた場合であっても、溶射によるコーティング層を確保することができる。ただし、この施工法では、成膜部の角度は面直とはいえず、表面粗度が滑らかになる箇所が生じやすい。
また、対象部材の回りを含めて施工するので、成膜歩留まり(付着重量/送給重量)が非常に低下する欠点がある。一方、縦打ち面直パスでは、溶射角度が面直に近いため、表面粗度が適切に保たれるとともに、翼部分を狙って施工するため、歩留まりが非常によくなる。施工条件にもよるが、横打ちラダーに比べ、2倍以上の歩留まりを見込むことも可能である。ただし、翼のセッティングの精度が低い場合、縦打ち面直パスでは、角度が見込みと異なったり、未成膜部がでたりといった不適合が生じやすいが、この発明に係るHVOF溶射コーティング層の形成方法によれば、セッティング精度を高め、かつ、セッティング状態を確認するプロセスを設けることで、縦打ち面直パスでも安定した施工が可能である。もちろん、横打ちラダーパスでも使用できるし、縦打ち面直パスと横打ちラダーパスの複合で施工することも可能である。
なお、この縦打ち面直パス、横打ちラダーパスを実施した場合、その後、トップコーティング層を形成しない場合には、このコーティング層の表面を仕上加工して浅い角度で形成されたコーティング層を除去してもよい。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のタービン部材へのHVOF溶射コーティング層の形成方法であって、前記翼根を被覆部材により被覆してから、HVOF溶射することを特徴とする。
この発明に係るHVOF溶射コーティング層の形成方法によれば、被覆部材により翼根を被覆してからHVOF溶射するので、溶射する際に飛散する溶射粉末が翼根のセレーションに付着することが抑制され、その結果、翼根が損傷することが抑制される。また、タービン部材を保持する保持部材、基台等、タービン部材の翼根を高熱、溶射粉末から保護することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のタービン部材へのHVOF溶射コーティング層の形成方法であって、前記タービン部材にHVOF溶射する際に、前記前縁部と前記後縁部の少なくともいずれか一方と平行に形成された面を有する溶射試験片を前記タービン部材の翼端に配置し、前記タービン部材への溶射完了後に、前記溶射試験片に形成されたコーティング層の膜厚を計測して前記前縁部と前記後縁部のうち対応する部位におけるコーティング層の形成を確認することを特徴とする。
この発明に係るHVOF溶射コーティング層の形成方法によれば、溶射試験片に形成されたコーティング層の膜厚を計測することにより前縁部と後縁部のうち対応する部位のコーティング層が形成されたかどうかを容易に確認することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のHVOF溶射コーティング層の形成に用いるタービン部材保持装置であって、前記タービン部材を所定の位置及び姿勢で保持する保持手段を有する基台と、前記基台が載置可能とされ前記基台との相対的位置を維持する位置決手段を有する回転テーブルと、を備え、前記保持手段は、前記タービン部材の一方の側面を支持する第1の支持部材と、他方の側面を支持する第2の支持部材と、前記翼根をその挿入方向の所定位置で支持して前記タービン部材を前記挿入方向の所定位置で保持する第3の支持部材とを有することを特徴とする。
この発明に係るタービン部材保持装置によれば、タービン部材が基台に対して所定の位置及び向きとなるようにタービン部材を翼根の両側にて保持する。
したがって、タービン部材の周方向位置を割出し、溶射ガンをタービン部材の長手(例えば、タービン動翼1を立設した場合には上下)方向に移動させながら溶射する割り出し施工においても、タービン部材に対する溶射粉末の噴射位置の精度を高め、所定の角度範囲で溶射することができる。
その結果、HVOF溶射法による溶射において、所定の粗さのコーティング層を容易に確保することができる。
一方、トップコーティング層を施工しない場合(単純な耐食膜1層のような場合)は、成膜部の表面粗度にあまり気を配ることはないので、膜厚分布が安定しやすい回転テーブルにより回転されるタービン部材を溶射する場合もあるが、この場合でもこの装置は、使用可能であることは、自明である。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のタービン部材保持装置であって、前記翼根を被覆可能な被覆部材を備えていることを特徴とする。
この発明に係るタービン部材保持装置によれば、翼根を被覆可能な被覆部材を備えているので、溶射する際に飛散する溶射粉末が樹木状に形成された翼根のセレーションに付着することが抑制され、その結果、翼根の損傷、ひいては組み立て時の不具合の発生を抑制することができる。
本発明に係るタービン部材へのHVOF溶射コーティング層の形成方法及びタービン部材保持装置によれば、HVOF溶射法によりタービン部材にコーティング層を形成する場合に、タービン部材に対する溶射角度が浅くなるのを抑制してアンダーコーティング層又は耐食コーティング層として適したコーティング層を容易かつ効率的に形成することができる。
本発明が対象とするタービン動翼の一実施形態を示す斜視図であり、(A)はタービン動翼の斜視図を、(B)はタービン動翼の平面図を示す図である。 本発明に係るタービン動翼保持装置の概略を示す図であり、(A)は左側面図を、(B)は正面図を、(C)は右側面図を示している。 本発明に係るタービン動翼保持装置の平面図である。 本発明に係るタービン動翼保持装置に対するタービン動翼の取付の概略を示す図である。 本発明に係る溶射試験片を示す図である。 本発明に係るHVOF溶射法の一例を説明する図であり、(A)は縦打ち面直パスを、(B)は横打ちラダーパスを示す図である。
以下、図1から図6を参照し、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るタービン動翼溶射用治具(タービン部材溶射装置)10が対象とする、例えばガスタービンに用いられるタービン動翼(タービン部材)1の一例を示す図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は平面図を示している。
タービン動翼1は、タービンディスク(図示せず)に固定するための翼根2と、隣接するタービン動翼1との位置関係を確保するとともにタービンディスクを覆うプラットフォーム3と、作動流体の流れをタービンディスクの回転に変換する翼部4とを備えている。
翼根2は、タービンディスクタービン動翼1を固定する際の翼根2の挿入方向に直交する断面が樹木状に形成されている。なお、タービン動翼1に代えて、タービン静翼に適用してもよい。
翼部4は、例えば、周知の耐熱合金基材により形成され、プラットフォーム3に装着された状態にてタービンディスクの径方向外方に伸びるとともにタービンディスクの径方向外方から見た場合、図1(b)に示すように一方側が膨出する凸形状面、他方側がこの凸形状面側に近づくように形成された凹形状面とされている。
また、翼部4は、凸形状面から凹形状面に移行する境界部のタービン動翼1をタービンとして用いる場合に高温、高圧のガス(作動流体)に曝されるとともに大きな応力が生じる前縁部5とされている。
また、翼部4は全面に遮熱コーティング層が形成されて遮熱性及び耐久性が向上されている。
前縁部5は、翼部4の風上側に位置する部位とされ、作動流体とほぼ正対することで大きな空力加熱が生じる部位であり、シャワーヘッド(図示せず)に対する翼部4の腹側及び背側の範囲が、例えば、それぞれ15mmとされている。
なお、この前縁部5の範囲については、作動流体より大きな空力加熱が生じる範囲とされ、作動流体の温度や翼形により設定することができる。
この実施形態において、タービン動翼1は耐熱合金基材からなり、その表面に金属結合層が被覆され、金属結合層の表層側には溶射された酸化セラミックスによるアンダーコーティング層、トップコーティング層がこの順に被覆されている。なお、アンダーコーティング層とトップコーティング層からなる遮熱コーティングに代えて、耐食コーティング層を被覆してもよい。
後縁部6は、翼部4において作動流体の最も風下に位置し、前縁部において分離された流体が合流する部位である。
図2、図3は、この発明に係るタービン動翼保持装置(タービン部材保持装置)10の概略を示す図であり、図2(B)は正面図を、図2(A)は左側面図を、図2(C)は右側面図を示している。また、図3は平面図を示している。
タービン動翼保持装置10は、ターンテーブル(回転テーブル)11と、基台20と、翼根被覆部材(被覆部材)30とを備えており、基台20とターンテーブル11とは、図示しない位置決め手段(例えば、位置決めピン)により基台20に保持したタービン動翼1の回転中心とターンテーブル11の回転軸とを一致させて固定するように構成されている。
ターンテーブル11は、円板状に形成されたテーブル本体12に二段円筒状の接続凸部13が形成され、図示しない溶射装置の駆動源に載置されてテーブル本体12の中心周りに回転されるようになっている。なお、タービン動翼1の翼端には溶射粉末等がタービン動翼1内の冷却路に侵入するのを抑制するカバーCが載置可能とされている。
基台20は、基台本体21と、保持部材22とを備え、基台本体21は八角形板状に形成され、保持部材22は第1の支持部材23と、第2の支持部材26と、第3の支持部材29とを備えている。
第1の支持部材23は、タービン動翼1を前縁部5から後縁部6に向かった場合の翼根2及びプラットフォーム3の左側面(一方の側面)を支持するようになっており、基台本体21に対して立設された支持壁部23Aと、支持壁部23Aのタービン動翼1の側に形成されたプラットフォーム支持部材24と、翼根2の支持対象部位と相補的に形成された第1翼根支持部25とを備え、プラットフォーム支持部材24はプラットフォーム3の側面を第1翼根支持部25は翼根2の下部を支持するようになっている。
第2の支持部材26は、タービン動翼1を前縁部5から後縁部6に向かった場合の翼根2の右側面(他方の側面)を支持するようになっており、支持壁部26Aのタービン動翼1側に配置され翼根2の支持対象部位と相補的に形成された第2翼根支持部27を備え、支持壁部26Aに設けられたネジにより第2翼根支持部27をタービン動翼1の翼根2に押圧、支持するようになっている。
また、第3の支持部材29は、タービン動翼1を翼根2の後縁部6側の端部を支持する部材であり、翼根2の挿入方向前方側端部を支持してタービン動翼1を基台20に対して所定の位置に支持するようになっている。
翼根被覆部材30は、プラットフォーム3の周辺の3方を被覆する周壁部31(31A、31B、31C)と、入口カバー32と、蓋部材33とを備えており、翼根2及びプラットフォーム3を被覆するようになっている。また、例えば、周壁部31A、31B、31Cは、基台本体21にネジ止めにより固定され、入口カバー32は周壁部31に取付けられ、蓋部材33は周壁部31に載置されるようになっている。
なお、翼根被覆部材30については、例えば、耐熱材料等により形成することにより、タービン動翼1の翼根2等を溶射時の高熱(特に溶射フレームとの直接の接触等)から保護可能とすることが好適である。このようにすることにより、基台20の保持部材22についても高熱から保護可能とされる。
また、翼根被覆部材30は、内部に必要に応じて仕切板等を配置して、溶射粉末が翼根2に到達するのを抑制することが可能となる点で好適である。
次に、図4から図6を参照して、一実施形態に係るHVOF溶射コーティング層の形成方法について説明する。
1)まず、図4(A)に示すようにタービン動翼1を保持部材22により基台20に保持させる。
保持部材22によってタービン動翼1を基台20に保持させる際、タービン動翼1が基台20に対して所定の位置及び方向を向いているかどうかを確認する。
2)この基台20とタービン動翼1との相対的位置及び方向の確認は、例えば、基台20に仮取付けしたタービン動翼1の翼端に被計測部材41を載置するとともにセッティング治具45の取付部46を基台本体21に形成されたセッティング治具取付孔20Aに挿入し、セッティング治具45のインジケータ47をタービン動翼1の翼端に載置した被計測部材41のマーキング部42、43に照らし、所定の範囲内にあるかどうかにより確認する。マーキング部42、43は、被計測部材41の上面に、例えば、直交する方向に形成され、許容範囲がマーキングされている。
確認する際に、インジケータ47がマーキング部42、43の所定範囲内にない場合には、保持部材22の調整を行なってタービン動翼1の位置及び向きを調整する。
3)次に、翼根被覆部材30を用いてタービン動翼1のプラットフォーム3の周囲を覆う。プラットフォーム3の周囲は、翼根被覆部材30の周壁部31A、31B、31Cを基台本体21にネジ止めすることにより翼根2の周囲三方向を囲む。
次いで、基台20を介してターンテーブル11に固定ピン20Bを差し込み、基台20をターンテーブル11に固定する。
4)次いで、図4(C)に示すように、翼根被覆部材30の入口カバー32及び蓋部材33によって翼根2の周囲を被覆する。
5)その後、図5(A)に示すように、タービン動翼1の翼端に溶射試験片50を配置する。
溶射試験片50は、溶射される場合に、図5(B)に示すようにタービン動翼1の前縁部5及び後縁部6とともに溶射粉末が噴射されて、前縁部5、後縁部6と同様のコーティング層が試験面52、53に形成されるようになっている。
6)図6は一連の施工のやり方を示す、概略図で、(A)では、溶射ガンGを軌跡R1に沿って上下方向に移動させながらコーティングを行い、このとき、ターンテーブルによる翼の回転とロボットの軸の制御により、溶射方向が溶射点の翼の接平面に垂直になるようにする(面直施工)の概略を示している。
一方、図6(B)は、溶射ガンGを水平方向に揺動させて溶射ガンGが水平方向の移動端に到達するごとに溶射ガンGを上方向に移動させる軌跡R2(はしごのようなのでラダーと呼ばれる)をしながら、翼を回転させて成膜させる手法を示している。タービン動翼1の翼端が溶射されるまで溶射を繰り返して行なう。
タービン動翼保持装置10によれば、タービン動翼1の翼根2により基台20に保持するので、基台20に対してタービン動翼1を容易に所定の位置及び向きに保持することができるので、例えば、タービン動翼1の周方向位置を割出して溶射する場合の角度を約80°から90°に維持し、タービン動翼1に溶射する際に溶射する角度が浅くなるのを抑制することができるので、充分な密着性を備えたアンダーコーティング層を形成することができる。
翼根2を保持することにより、タービン動翼1を保持させた基台20をターンテーブル11により回転させた場合に、溶射ガンGをタービン動翼1の前縁部5、後縁部6の所定の角度範囲に容易に向け、前縁部5及び後縁部6に対して浅い角度で溶射することが抑制されるので、充分な密着性を有するHVOF溶射コーティング層を効率的に形成することができる。
タービン動翼保持装置10によれば、翼根被覆部材30を備えているので、溶射する際に飛散する溶射粉末が翼根2のセレーションに付着することが抑制され、その結果、翼根が損傷することが抑制される。また、基台20、タービン動翼1の翼根2、保持部材22等を高熱、溶射粉末から保護することができる。
また、タービン動翼保持装置10によれば、タービン動翼1の基台20への取り付けを外段取りで行なうので、効率的かつ正確にタービン動翼1を取付けることができ、溶射ブース内で翼根2が露出するのが抑制されるので翼根2が損傷することが抑制される。
また、HVOF溶射コーティング層の形成に際してタービン動翼1の翼端に被計測部材41を配置して、基台の所定位置に配置したセッティング治具45によって被計測部材41のマーキング部42、43を計測するので、タービン動翼1の翼端の位置をターンテーブル11におけるタービン動翼1の回転軸と容易に合わせることができる。
また、溶射において縦打ち面直パスと横打ちラダーパスの双方の溶射を付加しておこなうこともできるので、施工対象物形状により成膜手法を変えることも容易となる。
また、タービン動翼1の翼端に溶射試験片50を配置し、溶射試験片50の試験面52、53に形成されたコーティング層の膜厚を計測することにより前縁部5及び後縁部6のコーティング層が形成されたかどうかを容易に確認することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、タービン動翼保持装置10が翼根被覆部材30を備える場合について説明したが、翼根被覆部材30を備えていない構成としてもよい。
また、保持部材22が、タービン動翼1と当接する位置は任意に設定可能であることはいうまでもない。
また、上記実施の形態においては、翼根被覆部材30が周壁部31A、31B、31C及び入口部材32、蓋部材33を備える場合について説明したが、翼根被覆部材30を他の構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、HVOF溶射コーティング層の形成において、タービン動翼保持装置10に仮取付けしたタービン動翼1の位置、方向をセッティング治具45により確認又は調整する場合について説明したが、かかる工程を設けるかどうかは自在に設定可能な事項であるし、他の手段により確認、調整してもよい。
また、上記実施の形態においては、溶射試験片50を用いて前縁部5、後縁部6のコーティング層の厚さを確認(計測)する場合について説明したが、溶射試験片50を用いるかどうか又前縁部5と後縁部6のいずれを計測の対象とするかは任意に設定可能な事項であるし、他の手段によって確認、計測してもよい。
また、上記実施の形態においては、縦打ち面直パス、横打ちラダーパスのいずれか一方のみで施工する場合を中心に説明したが、縦打ち面直パスと横打ちラダーパスの両方用いて成膜してもよい。
タービン部材にHVOF溶射法を用いてコーティング層を形成する場合に、容易かつ効率的に充分な密着性を確保することができるので産業上利用可能である。
G 溶射ガン
1 タービン動翼(タービン部材)
2 翼根
3 プラットフォーム3
4 翼部
5 前縁部
6 後縁部
10 タービン動翼保持装置(タービン部材保持装置)
11 ターンテーブル(回転テーブル)
20 基台
22 保持部材
23 第1の支持部材
26 第2の支持部材
29 第3の支持部材
30 翼根被覆部材(被覆部材)
41 被計測部材
45 セッティング治具
50 溶射試験片

Claims (6)

  1. 断面樹木状の翼根を有するタービン部材へのHVOF溶射コーティング層の形成方法であって、
    前記タービン部材の翼根の両側面及び前記翼根をその挿入方向の所定位置で支持して、
    前記タービン部材の翼端に被計測部材を配置し、前記基台の所定位置にセッティング治具を配置し、前記セッティング治具によって前記被計測部材の位置を計測することにより、前記タービン部材の前縁部及び後縁部が溶射ガンによる溶射に対して所定の角度の範囲内となるように調整して前記タービン部材を基台に立設し、
    前記基台を回転テーブルに位置決めし、
    前記回転テーブルの回転と、溶射ガンの軌跡に沿った制御をしながら、HVOF溶射することを特徴とするタービン部材へのHVOF溶射コーティング層の形成方法。
  2. 請求項1に記載のタービン部材へのHVOF溶射コーティング層の形成方法であって、
    前記タービン部材の長手方向に沿った方向に溶射する縦打ち面直パスと、前記長手方向と直交する方向に往復運動し該往復端にて前記長手方向に移動しながら溶射する横打ちラダーパスの少なくともいずれか一方の溶射を付加して施工することを特徴とするタービン部材へのHVOF溶射コーティング層の形成方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のタービン部材へのHVOF溶射コーティング層の形成方法であって、
    前記翼根を被覆部材により被覆してから、HVOF溶射することを特徴とするタービン部材へのHVOF溶射コーティング層の形成方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のタービン部材へのHVOF溶射コーティング層の形成方法であって、
    前記タービン部材にHVOF溶射する際に、前記前縁部と前記後縁部の少なくともいずれか一方と平行に形成された面を有する溶射試験片を前記タービン部材の翼端に配置し、
    前記タービン部材への溶射完了後に、前記溶射試験片に形成されたコーティング層の膜厚を計測して前記前縁部と前記後縁部のうち対応する部位におけるコーティング層の形成を確認することを特徴とするタービン部材へのHVOF溶射コーティング層の形成方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のHVOF溶射コーティング層の形成に用いるタービン部材保持装置であって、
    前記タービン部材を所定の位置及び姿勢で保持する保持手段を有する基台と、
    前記基台が載置可能とされ前記基台との相対的位置を維持する位置決手段を有する回転テーブルと、を備え、
    前記保持手段は、前記タービン部材の一方の側面を支持する第1の支持部材と、他方の側面を支持する第2の支持部材と、前記翼根をその挿入方向の所定位置で支持して前記タービン部材を前記挿入方向の所定位置で保持する第3の支持部材と、を有することを特徴とするタービン部材保持装置。
  6. 請求項5に記載のタービン部材保持装置であって、
    前記翼根を被覆可能な被覆部材を備えていることを特徴とするタービン部材保持装置。
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