JP2018168771A - 遮熱コーティング方法、翼セグメントの製造方法、及び翼セグメント - Google Patents

遮熱コーティング方法、翼セグメントの製造方法、及び翼セグメント Download PDF

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Abstract

【課題】隣り合う複数の翼本体を有する翼セグメントの全域に均質なトップコート層を形成する。【解決手段】遮熱コーティング方法は、隣り合う翼本体21の間の空間Aに第一溶射ガン5を挿入させて翼高さ方向と交差する第一方向に移動させ、空間Aの中で翼本体21の間の距離が所定の距離も短い狭隘空間Axで溶射粒子を噴射させて、狭隘空間Axに面した翼本体21の表面にセラミックを含むトップコート層を形成する狭隘空間トップコート層形成工程と、第一溶射ガン5よりも大きな第二溶射ガンを翼セグメント本体2の外側で前記翼高さ方向に移動させて、翼セグメント本体2の表面に前記トップコート層を形成する全域トップコート層形成工程とを含む。第一溶射ガン5は、前記第一方向に延在するガン本体部51と、ガン本体部51の先端に設けられて、前記第一方向に対して交差する方向に溶射粒子を噴射する噴射孔53が形成された噴射部52とを有する。【選択図】図4

Description

本発明は、遮熱コーティング方法、翼セグメントの製造方法、及び翼セグメントに関する。
ガスタービンでは、その効率を向上させるために、使用するガスの温度を高く設定している。このような高温のガスに晒される動翼や静翼のようなタービン部材には、その表面に遮熱コーティング(Thermal Barrier Coating:TBC)が施されている。遮熱コーティングとは、被溶射物であるタービン部材の表面に、溶射により熱伝導率の小さい溶射材(例えば、熱伝導率の小さいセラミックス系材料)を被覆したものである。遮熱コーティングがタービン部材の表面に形成されることで、タービン部材の遮熱性及び耐久性が向上する。遮熱コーティングは、タービン部材の外側からタービン部材の表面に向かって溶射ガンで溶射粒子を溶射することで形成される。
特許文献1には、ロータ動翼の表面に形成された遮熱コーティングが記載されている。遮熱コーティングは、基材上に形成された第一の被膜であるボンドコート層と、ボンドコート層上に形成された第二の被膜である縦割れを有する緻密なトップコート層とを有している。トップコート層は、大気プラズマ溶射(APS)法等の方法で形成される。
特開2008−174838号公報
ところで、遮熱コーティングが形成されるタービン部材としては、一つのシュラウドに対して複数の翼本体が一体に形成された静翼セグメントがある。静翼セグメントでは、隣り合う翼本体同士の間隔が狭くなっている。その結果、翼本体の対向する面には、静翼セグメントの外から見た際に、陰になってしまう領域が生じる。この陰になってしまう領域に対して、トップコート層を形成しようと静翼セグメントの外側から溶射粒子を噴射しても、陰になってしまう領域に溶射粒子が行き渡らず、均質なトップコート層を形成することが難しい。その結果、隣り合う複数の翼本体を有する翼セグメントの全域に均質なトップコート層を形成することができない可能性がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、隣り合う複数の翼本体を有する翼セグメントの全域に均質なトップコート層を形成することが可能な遮熱コーティング方法、翼セグメントの製造方法、及び翼セグメントを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明の第一態様に係る遮熱コーティング方法は、断面翼形状をなして翼厚方向に離れて並んだ複数の翼本体と、前記翼本体の翼高さ方向の基端部で前記複数の翼本体を連結する翼端壁部とを有する翼セグメント本体に遮熱コーティングを形成する遮熱コーティング方法であって、隣り合う前記翼本体の間の空間に第一溶射ガンを挿入させて前記翼高さ方向と交差する第一方向に移動させ、前記空間の中で前記翼本体の間の距離が所定の距離も短い狭隘空間で溶射粒子を噴射させて、前記狭隘空間に面した前記翼本体の表面にセラミックを含むトップコート層を形成する狭隘空間トップコート層形成工程と、前記第一溶射ガンよりも大きな第二溶射ガンを前記翼セグメント本体の外側で前記翼高さ方向に移動させて、前記翼セグメント本体の表面に前記トップコート層を形成する全域トップコート層形成工程とを含み、前記第一溶射ガンは、前記第一方向に延在するガン本体部と、前記ガン本体部の先端に設けられて、前記第一方向に対して交差する方向に溶射粒子を噴射する噴射孔が形成された噴射部とを有する。
このような構成によれば、狭隘空間に面した翼本体の表面に対向した第一溶射ガンの噴射孔から狭隘面に溶射粒子が溶射される。これにより、静翼セグメントの外側からでは陰になってしまい、均質なトップコート層を形成可能な量の溶射粒子が行きわたらない狭隘空間に面した翼本体の表面に、十分な量の溶射粒子を溶射できる。また、三次元的な曲面を有する複雑な形状の翼本体では、狭隘空間に面した翼本体の表面は、翼高さ方向に複雑な曲面形状をなして長く延びている。一方、狭隘空間に面した翼本体の表面は、翼弦方向には単純な曲面形状をなして短く延びている。そのため、狭隘空間に面した翼本体の表面に沿って第一溶射部を翼高さ方向に移動すると、狭隘空間に面した翼本体の表面に対する噴射部の距離を一定に保つことが難しい。これに対し、第一方向に第一溶射ガンを移動させることで、翼高さ方向に移動させる場合に比べて、狭隘空間に面した翼本体の表面に対する噴射部の位置を安定させやすくなる。その結果、狭隘空間に面した翼本体の表面に対して噴射孔を垂直に近い角度に配置して溶射粒子を溶射することができる。これにより、狭隘空間に面した翼本体の表面に対して溶射粒子を均一に溶射できる。
また、本発明の第二態様に係る遮熱コーティング方法では、第一態様において、前記狭隘空間トップコート層形成工程では、前記第一溶射ガンは、前記狭隘空間から前記噴射部が外れた位置で前記翼高さ方向に移動されることで前記第一方向に往復移動されてもよい。
このような構成とすることで、第一溶射ガンを翼弦方向に往復移動させる際に、噴射部が狭隘空間から外れた位置で第一溶射ガンが翼高さ方向に移動される。そのため、狭隘空間に面した翼本体の表面に溶射粒子を溶射している状態で、第一溶射ガンが翼高さ方向に移動されることを防ぐことができる。その結果、狭隘空間に面した翼本体の表面に対する噴射部の距離がばらついた状態で、狭隘面に溶射粒子が溶射されてしまうことが押されられる。したがって、狭隘空間に面した翼本体の表面に対して翼高さ方向に不均一なトップコート層が形成されてしまうことを抑えることができる。
また、本発明の第三態様に係る遮熱コーティング方法では、第一態様又は第二態様において、前記狭隘空間トップコート層形成工程では、前記第一溶射ガンは、前記狭隘空間から外れた位置での移動速度が前記狭隘空間内での移動速度よりも速くされていてもよい。
このような構成とすることで、狭隘空間から外れた位置での第一溶射ガンの移動速度を速めることで、狭隘空間に面した翼本体の表面以外の翼本体の表面において、第一溶射ガンから溶射された溶射粒子が付着しづらくなる。したがって、第一溶射ガンによって、狭隘空間から外れた翼本体の表面に局所的に溶射粒子が堆積されることを抑えることができる。
また、本発明の第四態様に係る遮熱コーティング方法では、第一態様から第三態様のいずれか一つにおいて、前記狭隘空間トップコート層形成工程では、前記翼本体の背側面に対して前記トップコート層が形成されていてもよい。
このような構成とすることで、狭隘空間に面した翼本体の表面が翼本体の背側面とされる。そのため、噴射孔が背側面に向けた状態で狭隘空間内に第一溶射ガンが挿入される。これにより、狭隘空間に面する翼本体の表面の中でも特に外側から陰になりやすい背側面に高い精度でトップコート層を形成することができる。
また、本発明の第五態様に係る遮熱コーティング方法では、第一態様から第四態様のいずれか一つにおいて、前記全域トップコート層形成工程は、前記狭隘空間トップコート層形成工程の後に実施されていてもよい。
このような構成とすることで、狭隘空間に面した翼本体の表面に局所的に溶射粒子が堆積してしまうことを抑えることができる。
また、本発明の第六態様に係る遮熱コーティング方法では、第一態様から第五態様のいずれか一つにおいて、前記噴射部は、前記ガン本体部から前記溶射粒子の噴射方向に向かって傾斜して延びていてもよい。
このような構成とすることで、噴射部がガン本体部の延在方向に対して翼本体の表面に沿うように傾斜している。そのため、空間内に噴射部を挿入した際に、湾曲した翼本体の表面に噴射部を接触させずに、より深い位置まで噴射部を到達させることができる。これにより、翼本体に対して第一溶射ガンを干渉させることなく、狭隘空間まで噴射部を到達させることができる。その結果、狭隘空間における噴射部と狭隘面との距離を適切な溶射距離とすることができる。適切な溶射距離を確保して狭隘面に溶射することで、必要な性能が確保されたトップコート層を狭隘空間に面した翼本体の表面に形成することができる。
また、本発明の第七態様に係る遮熱コーティング方法では、第一態様から第六態様のいずれか一つにおいて、前記狭隘空間トップコート層形成工程の前に実施され、前記空間に前記第一溶射ガンを挿入させて前記第一方向に移動させ、前記狭隘空間で溶射粒子を噴射させて、前記狭隘空間に面した前記翼本体の表面に金属結合層としてのアンダーコート層を形成する狭隘空間アンダーコート層形成工程をさらに含んでいてもよい。
このような構成とすることで、狭隘空間に面した翼本体の表面に均質なアンダーコート層を形成することができる。その結果、狭隘空間に面した翼本体の表面において均質なアンダーコート層上にトップコート層を形成することができる。これにより、狭隘空間に面した翼本体の表面でのトップコート層の密着性を向上させることができる。
また、本発明の第八態様に係る遮熱コーティング方法では、第七態様において、前記狭隘空間アンダーコート層形成工程の前に実施され、前記翼セグメント本体の外側から前記溶射粒子を噴射させて、前記翼セグメント本体の表面に前記アンダーコート層を形成する全域アンダーコート層形成工程をさらに含んでいてもよい。
また、本発明の第九態様に係る遮熱コーティング方法では、第一態様から第八態様のいずれか一つにおいて、前記狭隘空間トップコート層形成工程では、前記翼本体の形状に基づいて前記狭隘空間を事前に特定し、前記第一溶射ガンによる溶射条件を溶射位置に応じて変更制御してもよい。
このような構成とすることで、狭隘空間に面した翼本体の表面とそれ以外の翼本体の表面とに対して適切な溶射条件で、それぞれトップコート層を形成することができる。したがって、翼本体の表面に、より質の高いトップコート層を形成することができる。
また、本発明の第十態様に係る翼セグメントの製造方法は、断面翼形状をなして翼厚方向に離れて並んだ複数の翼本体と、前記翼本体の翼高さ方向の基端部で前記複数の翼本体を連結する翼端壁部と、を有する翼セグメント本体を準備する翼セグメント本体準備工程と、第一態様から第九態様の何れか一つの遮熱コーティング方法で、前記翼セグメント本体準備工程で準備された前記翼セグメント本体の前記狭隘空間に面した前記翼本体の表面に前記トップコート層が形成する遮熱コーティング形成工程とを含む。
また、本発明の第十一態様に係る翼セグメントは、断面翼形状をなして翼厚方向に離れて並んだ複数の翼本体と、前記翼本体の翼高さ方向の基端部で前記複数の翼本体を連結する翼端壁部と、を有し、隣り合う前記翼本体の間の空間の中で前記翼本体の間の距離が所定の距離も短い狭隘空間が形成され、前記狭隘空間に面する前記翼本体の表面にセラミックを含むトップコート層が形成されている。
本発明によれば、隣り合う複数の翼本体を有する翼セグメントの全域に均質なトップコート層を形成することができる。
本発明の実施形態に係る静翼セグメントを説明する斜視図である。 本発明の実施形態に係る遮熱コーティングを説明する模式図である。 本発明の実施形態に係る翼セグメントの製造方法を説明するフロー図である。 本発明の実施形態に係る狭隘空間に第一溶射ノズルが挿入された状態を説明する翼セグメントの断面図である。 本発明の実施形態に係る第一溶射ノズルの移動する様子を説明する翼セグメントの側面図である。
以下、本発明の実施形態について図1から図5を参照して説明する。
翼セグメントの製造方法S1は、遮熱コーティングが形成された翼セグメントを製造する。本実施形態の翼セグメントの製造方法S1は、翼セグメントとして、ガスタービンの静翼セグメント1を製造する。静翼セグメント1は、環状に並んで相互に連結されることで1つの静翼環を形成する。静翼セグメント1は、翼セグメント本体2と、遮熱コーティング3とを有している。
翼セグメント本体2は、例えば、Ni基合金等の周知の耐熱合金により形成されている。翼セグメント本体2は、図1に示すように、翼本体21と、内側シュラウド(翼端壁部)22と、外側シュラウド23と、を有している。
翼本体21は、断面が翼形状をなして翼高さ方向Dxに延びている。翼本体21は、ガスタービンのロータ(不図示)の径方向に延びている。したがって、翼本体21の延びる翼高さ方向Dxは、ロータの径方向である。翼本体21は、翼高さ方向Dxから見た際に、背側の表面である背側面21a(図4参照)が凸形状面とされている。翼本体21は、翼高さ方向Dxから見た際に、腹側の表面である腹側面21b(図4参照)が凹形状面とされている。翼本体21は、翼弦方向Dyの前方側の端部が前縁部21cを形成している。翼本体21は、翼弦方向Dyの後方側の端部が後縁部21dを形成している。翼本体21は、翼厚方向Dzに離れて複数(本実施形態では三つ)並んでいる。隣り合う翼本体21の間には、空間Aが形成されている。
ここで、翼本体21の翼高さ方向Dxは、翼本体21の延びている方向である。また、翼本体21の翼弦方向Dyは、本実施形態における翼高さ方向Dxと直交する方向であって、翼本体21の翼弦の延びる方向を含む前縁部21cと後縁部21dとを結んだ仮想線と平行な方向とする。翼本体21の翼厚方向Dzは、本実施形態における翼高さ方向Dx及び翼弦方向Dyと直交する方向とする。
内側シュラウド22は、複数の翼本体21を翼高さ方向Dxの基端部側で連結している。本実施形態の内側シュラウド22は、翼高さ方向Dxから見た際に、平行四辺形状をなしている。内側シュラウド22は、翼厚方向Dzの長さが翼弦方向Dyの長さよりも長く形成されている。
外側シュラウド23は、複数の翼本体21を翼高さ方向Dxの先端部側(外側シュラウド23側)で連結している。したがって、外側シュラウド23は、内側シュラウド22に対して、翼本体21を挟んで翼高さ方向Dxの反対側に配置されている。本実施形態の外側シュラウド23は、翼高さ方向Dxから見た際に、平行四辺形状をなしている。内側シュラウド22は、翼厚方向Dzの長さが翼弦方向Dyの長さよりも長く形成されている。
翼セグメント本体2には、ガスタービンにおける燃焼ガスが流れる流路として、隣り合う翼本体21と、内側シュラウド22と、外側シュラウド23とで画成された空間Aが形成されている。翼セグメント本体2の空間Aは、隣り合う翼本体21の間の距離が所定の距離も短い狭隘空間Axを含んでいる。したがって、空間Aは、翼本体21の形状に応じて翼弦方向Dyに向かって翼厚方向Dzの距離が変化している。ここで、狭隘空間Axは、空間Aの中で翼厚方向Dzの距離が後述する第二溶射ガンが挿入不能な距離以下であるエリアである。したがって、本実施形態の所定の距離は、例えば、第二溶射ガンの外径の大きさである。本実施形態の狭隘空間Axは、図4に示すように、翼本体21の翼弦方向Dyの中心位置よりも前縁部21c側の背側面21aに面して形成されている。狭隘空間Axは、翼本体21の翼高さ方向Dxの基端部側(内側シュラウド22側)から先端部側まで延びている。
遮熱コーティング3は、翼セグメント本体2を母材として、翼セグメント本体2の表面に形成されている。遮熱コーティング3は、翼セグメント本体2の表面の全域を覆うように形成されている。この遮熱コーティング3は、図2に示すように、アンダーコート層31と、トップコート層32とを有している。
アンダーコート層31は、翼セグメント本体2からトップコート層32が剥離することを抑制する。アンダーコート層31は、耐食性および耐酸化性に優れた金属結合層である。アンダーコート層31は、例えば、溶射材としてMCrALY合金の金属溶射粉を翼セグメント本体2の表面に対して溶射して形成される。ここで、アンダーコート層31を構成するMCrAlY合金の「M」は、金属元素を示している。この金属元素「M」は、例えば、NiCo、CoNi、Ni、Co等の単独の金属元素、又は、これらのうち2種以上の組み合わせからなる。
トップコート層32は、アンダーコート層31の表面に積層されている。このトップコート層32は、セラミックを含む溶射材をアンダーコート層31の表面に溶射することで形成される。本実施形態のトップコート層32は、緻密な縦割を有するセラミック被膜であるDVC(Dense Verticaly Crack)膜、あるいは気孔を有するポーラス膜等である。トップコート層32を形成する際に用いられる溶射材としては、ジルコニア系セラミックを用いることができる。ジルコニア系セラミックとしては、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、および、酸化イッテルビウム(Yb)で部分安定化させたジルコニア(ZrO)であるイッテルビア安定化ジルコニア(YbSZ)等が挙げられる。
次に上述した静翼セグメント1を製造する翼セグメントの製造方法S1を説明する。本実施形態の翼セグメントの製造方法S1は、図3に示すように、翼セグメント本体準備工程S10と、遮熱コーティング形成工程S20とを含む。
翼セグメント本体準備工程S10は、事前に翼セグメント本体2を準備する。本実施形態の翼セグメント本体準備工程S10では、鋳造等によって翼セグメント本体2を製造して準備する。
遮熱コーティング形成工程S20は、翼セグメント本体準備工程S10で準備された翼セグメント本体2の表面に遮熱コーティング方法S30で遮熱コーティング3を形成する。本実施形態の遮熱コーティング形成工程S20では、翼セグメント本体2の表面にアンダーコート層31及びトップコート層32が形成される。遮熱コーティング形成工程S20では、翼セグメント本体2の空間Aの中で狭隘空間Axに面した翼本体21の表面にもアンダーコート層31及びトップコート層32が形成される。本実施形態の遮熱コーティング形成工程S20は、以下の遮熱コーティング方法S30で実施される。
遮熱コーティング方法S30は、翼セグメント本体2に遮熱コーティング3を形成する。本実施形態の遮熱コーティング方法S30は、全域アンダーコート層形成工程S31と、狭隘空間アンダーコート層形成工程S32と、狭隘空間トップコート層形成工程S33と、全域トップコート層形成工程S34とを含む。本実施形態の遮熱コーティング方法S30では、狭隘空間Axに面する翼本体21の表面である狭隘面Xを溶射する際には第一溶射ガン5を使用する。また、翼セグメント本体2を外側から溶射する際には、第二溶射ガンを使用する。本実施形態の狭隘面Xは、図4に示すように。隣り合う翼本体21の対向する表面のうち、片側の翼本体21の背側面21aである。狭隘面Xは、翼本体21の翼弦方向Dyの中心位置よりも前縁部21c側に形成されている。狭隘面Xは、図5に示すように、翼本体21の翼高さ方向Dxの基端部側から先端部側まで延びている。
第一溶射ガン5は、使用出力や供給粉末量が第二溶射ガンよりも小さい。第一溶射ガン5は、大気プラズマ溶射(APS:atmospheric plasma spraying)を実施する場合、1パスの成膜幅が10mm〜1mm程度とされている。第一溶射ガン5は、図4に示すように、ガン本体部51と、噴射部52とを有している。
ガン本体部51は、第一溶射ガン5の移動方向となる第一方向に延在している。本実施形態のガン本体部51は、円柱状をなしている。第一方向は、ガン本体部51の延びる方向であって、翼高さ方向Dxと交差する方向である。本実施形態の第一方向は、翼弦方向Dyである。
噴射部52は、ガン本体部51の先端に一体に設けられている。噴射部52は、第一方向に対して交差する方向に溶射粒子を噴射する噴射孔53が形成されている。本実施形態の噴射孔53は、ガン本体部51の延びる方向に対して直交する方向を向いて開口している。本実施形態の噴射部52は、ガン本体部51から溶射粒子の噴射方向に向かって傾斜して延びている。したがって、本実施形態の第一溶射ガン5は、ガン本体部51の延びる方向に対して、先端部を形成する噴射部52で折れ曲がるように形成されている。具体的には、噴射部52は、ガン本体部51の延びる方向に対して5°から20°程度傾斜しており、特に10°程度傾斜していることが好ましい。なお、噴射部52の傾斜角度は、翼本体21の形状に応じて適宜設定されればよい。
第二溶射ガンは、第一溶射ガン5よりも大きな外形を有している。第二溶射ガンは、使用出力や供給粉末量が第一溶射ガン5よりも大きい。第二溶射ガンは、大気プラズマ溶射法を実施する場合、1パスの成膜幅が15mm〜25mm程度とされている。第二溶射ガンは、円柱状をなしている。第二溶射ガンは、先端部から延在する方向に向かって溶射粒子を噴射させる。第二溶射ガンは、空間Aに挿入不能な大きさの断面形状で形成されている。
全域アンダーコート層形成工程S31は、図3に示すように、狭隘空間アンダーコート層形成工程S32の前に実施される。全域アンダーコート層形成工程S31は、翼セグメント本体2の外側から溶射粒子を噴射させて、翼セグメント本体2の表面にアンダーコート層31を形成する。本実施形態の全域アンダーコート層形成工程S31は、第二溶射ガンで高速フレーム溶射(HVOF:High Velocity Oxygen Fuel)や減圧プラズマ溶射(LPPS:Low Pressure Plasma Spraying)を実施することでアンダーコート層31を形成する。全域アンダーコート層形成工程S31では、溶射粒子を溶射するHVOFやLPPS用の溶射ガンを翼セグメント本体2の外側で翼高さ方向Dxに往復移動させる。
狭隘空間アンダーコート層形成工程S32は、狭隘空間トップコート層形成工程S33の前に実施される。狭隘空間アンダーコート層形成工程S32は、第一溶射ガン5を用いて狭隘空間Axに面した翼本体21の表面である狭隘面Xに金属結合層としてのアンダーコート層31を形成する。狭隘空間アンダーコート層形成工程S32では、狭隘空間Axで第一溶射ガン5から溶射粒子を噴射させる。狭隘空間アンダーコート層形成工程S32では、第一溶射ガン5は、図4に示すように、後縁部21d側から空間Aに挿入される。その後、第一溶射ガン5を前縁部21cに向かって第一方向である翼弦方向Dyに移動させる。
本実施形態の狭隘空間アンダーコート層形成工程S32では、第一溶射ガン5は、噴射孔53を翼本体21の背側面21aを向けて空間Aに挿入される。これにより、狭隘空間アンダーコート層形成工程S32では、狭隘空間Axでは背側面21aのみに対してアンダーコート層31が形成される。
狭隘空間アンダーコート層形成工程S32では、図5に示すように、溶射粒子を溶射する第一溶射ガン5を翼弦方向Dyに往復移動させる。第一溶射ガン5は、往復移動される際に、翼厚方向Dzから見た際に噴射部52の位置が狭隘空間Axから外れた位置で翼高さ方向Dxに移動される。具体的には、第一溶射ガン5は、後縁部21d側では、翼厚方向Dzから見た際に、翼本体21から外れた位置まで噴射部52が移動した後に翼高さ方向Dxの先端部側に移動される。また、第一溶射ガン5は、前縁部21c側では、翼厚方向Dzから見た際に、噴射孔53と翼本体21の表面との距離が予め定めた最低溶射距離よりも広くなる位置まで噴射部52が移動した後に、翼高さ方向Dxの先端部側に移動される。
この際、第一溶射ガン5は、狭隘空間Axから外れた位置での移動速度が狭隘空間Ax内での移動速度よりも速くされている。第一溶射ガン5は、噴射部52が狭隘空間Axから外れた位置に存在している場合での翼弦方向Dyの移動速度が、成膜不能な速度であることが好ましい。逆に、第一溶射ガン5は、噴射部52が狭隘空間Axに存在している場合での翼弦方向Dyの移動速度が均質な成膜な可能な速度であることが好ましい。
ここで、具体的な狭隘空間アンダーコート層形成工程S32での溶射条件は、例えば、溶射材をMCrAlY合金の溶射粒子、Ar/H2を50/2[l/min]、電流値を260[A]、粉末量を4[g/min]、溶射距離を25[mm]としてもよい。
狭隘空間トップコート層形成工程S33は、第一溶射ガン5を用いて大気プラズマ溶射で狭隘面Xにセラミックを含むトップコート層32を形成する。したがって、本実施形態の狭隘空間トップコート層形成工程S33では、アンダーコート層31が形成された狭隘面Xにトップコート層32が形成される。狭隘空間トップコート層形成工程S33では、狭隘空間Axで溶射粒子を噴射させる。狭隘空間トップコート層形成工程S33は、狭隘空間アンダーコート層形成工程S32とは使用する溶射粒子を変えて、狭隘空間アンダーコート層形成工程S32と同様の動きで第一溶射ガン5を移動させながら溶射する。
具体的には、本実施形態の狭隘空間トップコート層形成工程S33では、第一溶射ガン5は、図4に示すように、後縁部21d側から空間Aに挿入される。その後、第一溶射ガン5を前縁部21cに向かって翼弦方向Dyに移動させる。その際、第一溶射ガン5の噴射孔53は、翼本体21の背側面21aを向いている。これにより、狭隘空間トップコート層形成工程S33では、狭隘空間Axでは背側面21aのみに対してトップコート層32が形成される。
狭隘空間トップコート層形成工程S33では、図5に示すように、溶射粒子を溶射する第一溶射ガン5を翼弦方向Dyに往復移動させる。第一溶射ガン5は、往復移動させる際に、狭隘空間Axから噴射部52が外れた位置で翼高さ方向Dxに移動される。具体的には、第一溶射ガン5は、後縁部21d側では、翼厚方向Dzから見た際に、翼本体21から外れた位置まで噴射部52が移動した後に翼高さ方向Dxの先端部側に移動される。また、第一溶射ガン5は、前縁部21c側では、翼厚方向Dzから見た際に、噴射孔53と翼本体21の表面との距離が予め定めて最低溶射距離よりも広くなる位置まで噴射部52が移動した後に、翼高さ方向Dxの先端部側に移動される。
この際、第一溶射ガン5は、狭隘空間Axから外れた位置での移動速度が狭隘空間Ax内での移動速度よりも速くされている。第一溶射ガン5は、噴射部52が狭隘空間Axから外れた位置に存在している場合での翼弦方向Dyの移動速度が、成膜不能な速度であることが好ましい。逆に、第一溶射ガン5は、噴射部52が狭隘空間Axに存在している場合での翼弦方向Dyの移動速度が均質な成膜な可能な速度であることが好ましい。
また、狭隘空間トップコート層形成工程S33では、翼本体21の形状に基づいて狭隘空間Axを事前に特定し、第一溶射ガン5による溶射条件を溶射位置に応じて変更制御する。具体的には、狭隘空間トップコート層形成工程S33では、事前にシミュレーションを実施して翼本体21の形状に基づく狭隘空間Axの形状を特定する。特定した狭隘空間Axの形状に応じて第一溶射ガン5の位置や移動速度、噴射する溶射粒子の粉末量等の溶射条件を変更させるように制御する。
ここで、狭隘空間トップコート層形成工程S33での溶射条件は、例えば、溶射材をYSZの溶射粒子、Ar/H2を30/2.5[l/min]、電流値を250[A]、粉末量を15[g/min]、溶射距離を21〜29[mm]としてもよい。
全域トップコート層形成工程S34は、狭隘空間トップコート層形成工程S33の後に実施される。全域トップコート層形成工程S34は、第二溶射ガンを用いて大気プラズマ溶射で翼セグメント本体2の表面の全域にトップコート層32を形成する。全域トップコート層形成工程S34は、第二溶射ガンを翼セグメント本体2の外側で翼高さ方向Dxに往復移動させる。
ここで、全域トップコート層形成工程S34での溶射条件は、例えば、溶射材をYSZの溶射粒子、Ar/H2を35/7.4[l/min]、電流値を600[A]、粉末量を60[g/min]、溶射距離を180〜250[mm]とする。
上記のような遮熱コーティング方法S30によれば、狭隘空間アンダーコート層形成工程S32及び狭隘空間トップコート層形成工程S33では、第一溶射ガン5が狭隘空間Axに挿入される。第一溶射ガン5は、ガン本体部51の延びる方向に対して直交する方向を向いて開口した噴射孔53を有している。その結果、第一溶射ガン5で大気プラズマ溶射を実施することで、狭隘面Xに対向した噴射孔53から狭隘面Xに溶射粒子が直接溶射される。これにより、静翼セグメント1の外側からでは陰になってしまい、均質なトップコート層32を形成可能な量の溶射粒子が行きわたらない狭隘面Xに、十分な量の溶射粒子を溶射できる。
また、狭隘空間アンダーコート層形成工程S32及び狭隘空間トップコート層形成工程S33では、第一溶射ガン5は、翼高さ方向Dxではなく翼弦方向Dyに往復移動する。三次元的な曲面を有する複雑な形状の翼本体21では、狭隘面Xは、翼高さ方向Dxに複雑な曲面形状をなして長く延びている。一方、狭隘面Xは、翼弦方向Dyには単純な曲面形状をなして短く延びている。そのため、狭隘面Xに沿って第一溶射部を翼高さ方向Dxに移動すると、狭隘空間Axに面した翼本体21の表面に対する噴射部52の距離を一定に保つことが難しい。これに対し、翼弦方向Dyに第一溶射ガン5を移動させることで、翼高さ方向Dxに移動させる場合に比べて、狭隘面Xに対する噴射部52の位置を安定させやすくなる。その結果、狭隘面Xに対して噴射孔53を垂直に近い角度に配置して溶射粒子を溶射することができる。したがって、狭隘面Xに対して溶射粒子を均一に溶射できる。
これらにより、狭隘面Xに対して十分な量の溶射粒子を均一に溶射することができる。その後、全域トップコート層形成工程S34で狭隘面X以外の翼セグメント本体2の表面にトップコート層32及びアンダーコート層31が通常通り形成される。したがって、隣り合う複数の翼本体21を有する静翼セグメント1の全域に均質なトップコート層32及びアンダーコート層31を形成することができる。
また、第一溶射ガン5を翼弦方向Dyに往復移動させる際に、噴射部52が狭隘空間Axから外れた位置で第一溶射ガン5が翼高さ方向Dxに移動される。そのため、狭隘面Xに溶射粒子を溶射している状態で、第一溶射ガン5が翼高さ方向Dxに移動されることを防ぐことができる。その結果、狭隘面Xに対する噴射部52の距離がばらついた状態で、狭隘面Xに溶射粒子が溶射されてしまうことが押されられる。したがって、狭隘面Xに対して翼高さ方向Dxに不均一なトップコート層32やアンダーコート層31が形成されてしまうことを抑えることができる。
また、狭隘空間Axから噴射部52が外れた状態での移動速度が、噴射部52が狭隘空間Ax内に位置する状態での第一溶射ガン5の移動速度よりも速くされている。狭隘空間Axから噴射部52が外れた状態での第一溶射ガン5の移動速度を速めることで、狭隘面X以外の翼本体21の表面において、第一溶射ガン5から溶射された溶射粒子が付着しづらくなる。したがって、第一溶射ガン5によって、狭隘空間Axから外れた翼本体21の表面に局所的に溶射粒子が堆積されることを抑えることができる。
また、狭隘面Xが翼本体21の背側面21aとされることで、噴射孔53が背側面21aに向けた状態で狭隘空間Ax内に第一溶射ガン5が挿入される。これにより、狭隘空間Axに面する翼本体21の表面の中でも特に外側から陰になりやすい背側面21aにトップコート層32やアンダーコート層31を高い精度で形成することができる。
また、本実施形態では狭隘空間トップコート層形成工程S33の後に全域トップコート層形成工程S34が実施される。これにより、狭隘面Xに局所的に溶射粒子が堆積してしまうことを抑えることができる。具体的には、仮に大気プラズマ溶射で溶射粒子を溶射する全域トップコート層形成工程S34を先に実施した場合、他の部位を溶射した際の第二溶射ガンから溶射された溶射粒子は、跳ね返ったりかすめたりすることで、狭隘面Xに対しても部分的に付着する。これは、第一溶射ガン5よりも成膜パスが広く、使用出力や供給粉末量が大きい第二溶射ガンから溶射されることで、速度が速い溶射粒子が広い範囲に溶射されることで生じる。跳ね返ったりかすめたりすることで意図せず狭隘面Xに堆積した溶射粒子は、溶射角度が悪く、速度が十分でない、及び温度が低下している等の状態のために、密着性が低下する。その結果、多層にわたって密着性の低い溶射粒子が狭隘面Xに堆積し、トップコート層32の厚みや密度にばらつきが生じてしまう。
一方、先に狭隘空間トップコート層形成工程S33を実施することで、第二溶射ガンよりも成膜パスが狭く、使用出力や供給粉末量が小さい第一溶射ガン5で狭隘面Xにトップコート層32が形成される。この際、第一溶射ガン5は狭隘空間Ax内で溶射粒子を溶射するために、狭隘面Xを含む非常に限定された領域にしか溶射粒子が飛散しない。その結果、狭隘面Xに不均質なトップコート層32が形成されてしまうことを抑えるだけでなく、狭隘面X以外の翼本体21の表面に対して不均質なトップコート層32が形成されてしまうことを抑えることができる。これにより、狭隘面Xを含む翼本体21の表面のトップコート層32の厚みや密度にばらつきが生じることが抑えられる。
さらに、先に狭隘面Xに均質なトップコート層32を形成することで、後から第二溶射ガンで溶射しても、密着性の低い溶射粒子は均一なトップコート層32の表面に堆積する。そのため、次工程に研磨等を行うことで後から除去することができ、実質的に遮熱コーティング3を形成する際に影響を受けることがない。
また、第一溶射ガン5の噴射部52がガン本体部51の延在方向に対して背側面21aに沿うように傾斜している。そのため、後縁側から空間A内に噴射部52を挿入した際に、湾曲した背側面21aに噴射孔53を接触させずに、より深い位置まで噴射部52を到達させることができる。その結果、翼本体21に対して第一溶射ガン5を干渉させることなく、狭隘空間Axまで噴射部52を到達させることができる。これにより、狭隘空間Axにおける噴射部52と狭隘面Xとの距離を適切な溶射距離とすることができる。溶射距離は、短くなってしまうと、形成される膜が緻密になり過ぎてしまい熱伝導率が低下してしまう。逆に、溶射距離が長くなると、形成される膜がポーラスになり過ぎてしまい耐久性が低下してしまう。これに対し、適切な溶射距離を確保して狭隘面Xに溶射することで、必要な性能が確保されたアンダーコート層31やトップコート層32を狭隘面Xに形成することができる。
また、狭隘空間トップコート層形成工程S33の前に狭隘空間アンダーコート層形成工程S32が実施される。そのため、狭隘面Xに均質なアンダーコート層31を形成することができる。その結果、狭隘面Xにおいて均質なアンダーコート層31上にトップコート層32を形成することができる。これにより、狭隘面Xでのトップコート層32の密着性を向上させることができる。
また、狭隘空間トップコート層形成工程S33において、事前に特定した狭隘空間Axに基づいて、第一溶射ガン5の位置や移動速度、噴射する溶射粒子の粉末量等の溶射条件が調整される。これにより、狭隘面Xと狭隘面X以外の翼本体21の表面とに対して適切な溶射条件で、それぞれトップコート層32を形成することができる。したがって、翼本体21の表面に、より質の高いトップコート層32を形成することができる。
(実施形態の他の変形例)
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、本実施形態の遮熱コーティング方法S30では、狭隘空間アンダーコート層形成工程S32は実施されなくてもよい。したがって、本実施形態の遮熱コーティング方法S30では、別の方法でアンダーコート層31を形成してもよい。
また、各工程で挙げた溶射条件は一例であって、限定されるものではない。溶射条件は、使用される装置や対象とする溶射粒子の種類等に応じて適宜設定されればよい。
また、第一方向は、翼弦方向Dyに限定されるものではなく、翼高さ方向Dxに交差する方向であればよい。第一方向は、翼本体21の表面に沿った方向であればよい。特に、第一方向は、背側面21aに沿った方向であることが好ましい。
また、本実施形態では狭隘空間トップコート層形成工程S33において、狭隘空間Axを事前に特定し、第一溶射ガン5による溶射条件を溶射位置に応じて変更制御したが、アンダーコート層31を形成する際にも同様の固定をおこなってもよい。したがって、狭隘空間アンダーコート層形成工程S32において、事前に狭隘空間Axを特定し、第一溶射ガン5による溶射条件を溶射位置に応じて変更制御してもよい。
S1…翼セグメントの製造方法 1…静翼セグメント 2…翼セグメント本体 21…翼本体 Dx…翼高さ方向 Dy…翼弦方向 Dz…翼厚方向 21a…背側面 21b…腹側面 21c…前縁部 21d…後縁部 A…空間 22…内側シュラウド 23…外側シュラウド Ax…狭隘空間 X…狭隘面 3…遮熱コーティング 31…アンダーコート層 32…トップコート層 S10…翼セグメント本体準備工程 S20…遮熱コーティング形成工程 S30…遮熱コーティング方法 5…第一溶射ガン 51…ガン本体部 52…噴射部 53…噴射孔 S31…全域アンダーコート層形成工程 S32…狭隘空間アンダーコート層形成工程 S33…狭隘空間トップコート層形成工程 S34…全域トップコート層形成工程

Claims (11)

  1. 断面翼形状をなして翼厚方向に離れて並んだ複数の翼本体と、前記翼本体の翼高さ方向の基端部で前記複数の翼本体を連結する翼端壁部とを有する翼セグメント本体に遮熱コーティングを形成する遮熱コーティング方法であって、
    隣り合う前記翼本体の間の空間に第一溶射ガンを挿入させて前記翼高さ方向と交差する第一方向に移動させ、前記空間の中で前記翼本体の間の距離が所定の距離も短い狭隘空間で溶射粒子を噴射させて、前記狭隘空間に面した前記翼本体の表面にセラミックを含むトップコート層を形成する狭隘空間トップコート層形成工程と、
    前記第一溶射ガンよりも大きな第二溶射ガンを前記翼セグメント本体の外側で前記翼高さ方向に移動させて、前記翼セグメント本体の表面に前記トップコート層を形成する全域トップコート層形成工程とを含み、
    前記第一溶射ガンは、
    前記第一方向に延在するガン本体部と、
    前記ガン本体部の先端に設けられて、前記第一方向に対して交差する方向に溶射粒子を噴射する噴射孔が形成された噴射部とを有する遮熱コーティング方法。
  2. 前記狭隘空間トップコート層形成工程では、前記第一溶射ガンは、前記狭隘空間から前記噴射部が外れた位置で前記翼高さ方向に移動されることで前記第一方向に往復移動される請求項1に記載の遮熱コーティング方法。
  3. 前記狭隘空間トップコート層形成工程では、前記第一溶射ガンは、前記狭隘空間から外れた位置での移動速度が前記狭隘空間内での移動速度よりも速くされている請求項1または請求項2に記載の遮熱コーティング方法。
  4. 前記狭隘空間トップコート層形成工程では、前記翼本体の背側面に対して前記トップコート層が形成される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遮熱コーティング方法。
  5. 前記全域トップコート層形成工程は、前記狭隘空間トップコート層形成工程の後に実施される請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の遮熱コーティング方法。
  6. 前記噴射部は、前記ガン本体部から前記溶射粒子の噴射方向に向かって傾斜して延びている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の遮熱コーティング方法。
  7. 前記狭隘空間トップコート層形成工程の前に実施され、前記空間に前記第一溶射ガンを挿入させて前記第一方向に移動させ、前記狭隘空間で溶射粒子を噴射させて、前記狭隘空間に面した前記翼本体の表面に金属結合層としてのアンダーコート層を形成する狭隘空間アンダーコート層形成工程をさらに含む請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の遮熱コーティング方法。
  8. 前記狭隘空間アンダーコート層形成工程の前に実施され、前記翼セグメント本体の外側から前記溶射粒子を噴射させて、前記翼セグメント本体の表面に前記アンダーコート層を形成する全域アンダーコート層形成工程をさらに含む請求項7に記載の遮熱コーティング方法。
  9. 前記狭隘空間トップコート層形成工程では、前記翼本体の形状に基づいて前記狭隘空間を事前に特定し、前記第一溶射ガンによる溶射条件を溶射位置に応じて変更制御する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の遮熱コーティング方法。
  10. 断面翼形状をなして翼厚方向に離れて並んだ複数の翼本体と、前記翼本体の翼高さ方向の基端部で前記複数の翼本体を連結する翼端壁部と、を有する翼セグメント本体を準備する翼セグメント本体準備工程と、
    請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の遮熱コーティング方法で、前記翼セグメント本体準備工程で準備された前記翼セグメント本体の前記狭隘空間に面した前記翼本体の表面に前記トップコート層が形成する遮熱コーティング形成工程とを含む翼セグメントの製造方法。
  11. 断面翼形状をなして翼厚方向に離れて並んだ複数の翼本体と、
    前記翼本体の翼高さ方向の基端部で前記複数の翼本体を連結する翼端壁部と、を有し、
    隣り合う前記翼本体の間の空間の中で前記翼本体の間の距離が所定の距離も短い狭隘空間が形成され、
    前記狭隘空間に面する前記翼本体の表面にセラミックを含むトップコート層が形成されている翼セグメント。
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