JP4981402B2 - ニコチン経皮吸収製剤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
ニコチン経皮吸収製剤には、禁煙を達成するため、禁煙プログラムが設定されており、一般にこの禁煙プログラムでは数週間にわたって一日一回の貼付が求められている。この投与方法の主要な副作用として、そう痒、紅斑等の局所性副作用があげられる。そこで、添付文書には、皮膚刺激を避けるため、製剤の貼付部位を毎回変えることが注意書きとして記載されている。また、毎日新しい製剤に貼りかえることから、製剤の剥離時に発生する皮膚刺激も無視することができない。従って、刺激が少ない製剤の開発が望まれている。
〔1〕 支持体上に、ニコチン及び粘着剤と相溶する液状成分を含有する粘着剤層が形成されたニコチン経皮吸収製剤であって、ニコチン含有前の粘着剤層に対するニコチンの接触角が20〜60°である、ニコチン経皮吸収製剤。
〔2〕 粘着剤層に対する粘着剤と相溶する液状成分の含有量が、20〜65重量%である、上記〔1〕に記載の製剤。
〔3〕 粘着剤層がアクリル系粘着剤層であり、かつ、架橋されている、上記〔1〕又は〔2〕に記載の製剤。
〔4〕 ニコチン含有前の粘着剤層において、ニコチン滴下1秒後の接触角に対するニコチン滴下3分後の接触角の変化率が15%以上である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製剤。
〔5〕 支持体上に、ニコチン及び粘着剤と相溶する液状成分を含む粘着剤層が形成されたニコチン経皮吸収製剤の製造方法であって、
粘着剤と相溶する液状成分を含有する粘着剤層であって、ニコチン含有前の粘着剤層に対するニコチンの接触角が20〜60°である粘着剤層を提供する工程、及び
ニコチンを該粘着剤層に塗布し、ニコチンを粘着剤層中に含浸させる工程
を含む、ニコチン経皮吸収製剤の製造方法。
〔6〕 粘着剤層に対する粘着剤と相溶する液状成分の含有量が、20〜65重量%である、上記〔5〕に記載の方法。
〔7〕 粘着剤層がアクリル系粘着剤層であり、かつ、架橋されている、上記〔5〕又は〔6〕に記載の方法。
〔8〕 粘着剤層を提供する工程において提供される粘着剤層が、ニコチン滴下1秒後の接触角に対するニコチン滴下3分後の接触角の変化率が15%以上の粘着剤層である、上記〔5〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
ここにいう粘着剤層に対するニコチンの接触角は、具体的には、以下のように測定する:
ガラス製のスライドグラスに、試料を粘着剤層の粘着面を上にして固定し、装置に装着する。粘着剤面上にニコチン液滴1.1μLを接触させ、上記条件下、1秒後の接触角を測定する。また、引き続き9秒ごとの接触角の経時変化を3分まで測定する。
簡便には、上記接触角は、協和界面科学株式会社製の接触角測定装置モデルDropMaster 700を用いて測定する。
接触角が60°より大きいと塗布したニコチンが粘着面上ではじかれ、均一に塗布することができない。その結果、製剤の良好な含量均一性が得られない。接触角が20°より小さいと、液状成分の比率を非常に大きくする必要があり、その結果、粘着力や凝集力、タックなどの粘着物性のバランスが悪くなり、剥れや糊残りが生じる原因となる。接触角は25〜55°の範囲であることがより好ましく、25〜50°の範囲であることが特に好ましい。40〜55°の範囲がさらに好ましい。
本発明においては、ニコチン含有前の粘着剤層において、ニコチン滴下1秒後の接触角に対するニコチン滴下3分後の接触角の変化率が15%以上であることが好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。ニコチン滴下1秒後の接触角に対するニコチン滴下3分後の接触角の変化率は、以下の式で定義される。
接触角の変化率(%)={(接触角の変化量)/(1秒後の接触角)}×100
ここで、接触角の変化量=(1秒後の接触角)−(3分後の接触角)
接触角の変化率が、15%に満たない場合は、ニコチン経皮吸収製剤の製造において、ニコチンを粘着剤層に均一に塗布することが困難となる可能性があり、その結果製剤の良好な含量均一性が得られない可能性がある。
ニコチンは常温で水と同程度の粘度を示すため、通常の粘着剤層ではニコチンが粘着剤層に反発され接触角が大きくなる。本発明では、粘着剤層に液状成分を含有させることで、上記好ましい範囲の接触角に調製することができる。
粘着剤層に含有させるニコチンの量は、投与目的に応じて適宜設定することができるが、通常粘着剤層の10〜40重量%程度が好ましく、15〜30重量%程度がより好ましい。含有量が10重量%に満たない場合には充分な治療効果を得るために必要な量のニコチン放出が期待できない可能性があり、また、40重量%を超えると治療効果に限界が生じると共に経済的に不利となり、さらには、ニコチンによる皮膚刺激が発現する可能性がある。
さらに、上記第三のモノマー成分を用いる場合は、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル:第二のモノマー:第三のモノマー=40〜99.9:0.1〜10:0〜50程度の重量比で配合した共重合体が挙げられる。
このような共重合体は、自体公知の重合方法により得ることができる。例えば、上記のモノマーを、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等)を添加して、溶媒(例えば、酢酸エチル等)中で、50〜70℃で5〜48時間反応させて得ることができる。
本発明においては、粘着剤として架橋されたアクリル系粘着剤を用いることが好ましい。
カプリル酸・カプリン酸トリグリセリドは、カプリル酸及びカプリン酸とグリセリンとのトリエステルであり、本発明においてカプリル酸とカプリン酸の割合は特に限定はないが、好ましくはカプリル酸:カプリン酸が約5:5〜約9:1程度(重量比)である。カプリル酸・カプリン酸トリグリセリドは、市販品(例えばココナードMT(花王製)など)を用いてもよい。
ミリスチン酸イソプロピルとカプリル酸・カプリン酸トリグリセリドを共存させる場合の配合割合は、特に限定はないが、適度な経皮吸収性と良好な接着性を得る観点からは、ミリスチン酸イソプロピル:カプリル酸・カプリン酸トリグリセリド=1:8〜2:1程度(重量比)とすればよい。
特に、液状成分の配合割合(含有割合)を上記の好ましい範囲とすることで、前述の、ニコチン含有前の粘着剤層に対するニコチンの接触角が、接触開始後1秒後〜180秒後の任意の時点のいずれにおいても、前述の好ましい範囲に入る、ニコチン経皮吸収製剤を得ることができる。また、液状成分の配合割合(含有割合)を上記の好ましい範囲とすることで、粘着力、凝集力、タックなどの粘着物性のバランスが良い、言い換えれば皮膚接着性が非常に良好でありかつ剥離時の痛みが少ない、ニコチン経皮吸収製剤を得ることができる。
架橋剤の配合量は、粘着剤100重量部に対し、0.01〜5重量部程度である。あまりに架橋剤が少なすぎると架橋点が少なすぎるため、粘着剤層に所望の凝集力が付与できず、剥離時に凝集破壊に起因する糊残りや強い皮膚刺激が発現する。一方、架橋剤が多すぎると、凝集力は大きくなるが、充分な皮膚接着力が得られなくなったり、未反応の開始剤の残留によって皮膚刺激や、ニコチンや併用薬物の分解が起こったりする可能性がある。
また、多孔シートとして織布や不織布を用いる場合、目付量を5〜50g/m2とすることが好ましく、投錨力の向上の点からは8〜40g/m2とすることがより好ましい。
本発明のニコチン経皮吸収製剤は、以下に詳述する本発明のニコチン経皮吸収製剤の製造方法により製造することができる。
(1)粘着剤と相溶する液状成分を含有する粘着剤層であって、ニコチン含有前の粘着剤層に対するニコチンの接触角が20〜60°である粘着剤層を提供する工程(以下、工程(1)という。)、及び
(2)ニコチンを該粘着剤層に塗布し、ニコチンを粘着剤層中に含浸させる工程(以下、工程(2)という。)
を含むことを特徴とする。
工程(1)
「粘着剤と相溶する液状成分を含有する粘着剤層」は、例えば、粘着剤及び液状成分、ならびに必要に応じ架橋剤の混合溶液をよく攪拌した後、支持体又は剥離ライナー上に該溶液を塗布し、乾燥する。その後、必要に応じ加熱などの架橋処理を行うことで得ることができる。「粘着剤」、「粘着剤と相溶する液状成分」として前述の好ましいものを用いることで、ニコチン含有前の粘着剤層に対するニコチンの接触角が20〜60°である粘着剤層を得ることができる。
工程(2)
粘着剤層の粘着面に、ニコチンを塗布する。その後、ニコチンは、速やかに粘着剤層中に含浸する。
ニコチンは常温で水と同程度の粘度を示すため、ニコチンの粘着剤層への塗布には、従来からある液体の塗布手法を適宜使用することが可能である。従って、本発明ではニコチンを含まない粘着剤層を予め調製しておき、揮発性の高いニコチンを加熱することなく、公知の印刷的手法などによって粘着剤層にニコチンを直接塗布又は含浸して、ニコチン経皮吸収製剤を製造することを可能としている。
本発明の方法によれば、ニコチンを粘着剤層に塗布した後、ニコチンは速やかに粘着剤層に含浸するので、製造される本発明の製剤の原反の各箇所におけるニコチン含有量のバラツキが少なく、その結果、含量均一性に優れた本発明のニコチン経皮吸収製剤を連続的に製造することが可能となる。
また、ニコチンを粘着剤に直接塗布する方法としては、薄膜塗布、特に印刷分野で用いられている印刷的手法も利用できる。
これらの方法は一般に高い精度が要求される薄膜塗布に適応できる方法であり、本発明のように薬物の含量均一性が要求される場合には塗布精度の高い塗布方法を用いることが有利である。さらに、本発明ではニコチンを塗布液として用いるので、低粘度の塗布液でも高い塗布精度が達成できる塗布方式であることが好ましい。さらに、ニコチンは非常に毒性が高いので製造作業者に対して安全性の高い塗布方式が望ましく、開放系ではない塗布方式が望ましい。これらの点を考慮すると、ダイコーターやピエゾ方式のインクジェットプリンターを用いる方法が、塗布精度に優れ、閉鎖系にすることが容易であるため、特に好ましい。
ニコチン供給用タンク1から計量ポンプ2を用いてダイ3へニコチンを供給する。支持体又は剥離ライナーに支持された液状成分を含有する粘着剤層5はバックアップロール4とダイ3の間の隙間を通過し、ダイ3よりニコチンが粘着剤層5上に均一に塗布される。
ダイとしては、例えば、カーテンダイ、ウルトラダイ、リップダイ、スロットダイなどが挙げられ、低粘度溶液を用いて高精度の塗布が可能な点から、スロットダイが好ましい。
計量ポンプとしては、例えば、シリンジポンプ、ギアポンプ、モーノポンプ、ダイヤフラムポンプなどが挙げられる。精度の高さなどの点からシリンジポンプが好ましく、また、ギアポンプも好ましい。
ポンプの計量精度は、ニコチン塗布の均一性に影響する要因として重要である。
計量ポンプの種類はもちろんであるが、ポンプを駆動させるモーターも重要であり、外乱により回転数の変化の少ないサーボ方式のモーターを使用するのが好ましい。
また、ニコチンを塗布する際の粘着剤層5のライン速度の精度も重要である。ニコチンの塗布量や塗布精度は計量ポンプの回転数及び回転精度とライン速度の比率のみで大まかに決定することができる。本発明の製造方法によれば、ニコチンの吸収速度が十分に速いため、計量ポンプの回転数とライン速度の比率の精度がそのまま塗布精度となりうる。
ニコチンは吸湿性があるので、湿度管理がされていない高湿度の場所で長時間保存することは避けた方がよい。しかしながら、極端に低湿度下では静電気スパークによるニコチンへの引火爆発の危険がある。従って、相対湿度で40〜60%の一定湿度に湿度管理された場所で塗布するのが望ましい。
本発明のニコチン経皮吸収製剤は、喫煙者(特に、禁煙希望者)に対し、習慣的禁煙を抑制するための、従来実施されている又は将来実施される禁煙プログラムに沿ったニコチン補充療法などに用いることができる。
本発明のニコチン経皮吸収製剤によるニコチンの投与量は、患者の年齢、体重、疾患の重症度等により異なるが、通常、成人に対してニコチン5〜120mgを含有した経皮吸収製剤を、皮膚5〜30cm2に、0.5〜2日あたり1回程度貼付する。
窒素雰囲気下でアクリル酸2−エチルへキシルエステル95部と、アクリル酸5部、酢酸エチル100部、過酸化ベンゾイル0.2部を還流冷却器、攪拌機、温度計、滴下漏斗、窒素導入管付きのセパラブルフラスコ中にて60℃で15時間反応させ粘着剤溶液(アクリル1と略す)を調製した。
上記粘着剤溶液を粘着剤固形分59.92部換算の量を反応容器に量りとり、ミリスチン酸イソプロピルを粘着剤固形分に対し40部添加し、さらに架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン製)を0.08部(粘着剤に対し0.14%)添加し、よく攪拌した。
得られた溶液を片面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナーの剥離処理を施した面に、乾燥後の厚みが240μmとなるように塗布し、60℃3分乾燥、80℃3分乾燥、95℃3分乾燥して粘着剤層を形成した。形成した粘着剤層の粘着面と、ポリエステル不織布(目付け量12g/m2)上に2μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを押出成形により積層して作製した支持体の不織布側とを貼り合せて積層体を作製した。その後、該積層体を密封して60℃で48時間放置し、架橋粘着剤層を調製した。
その後、はじめの剥離ライナーを剥がして粘着面を露出させながらダイコーターを用いて、ニコチンフリー塩基を粘着剤層の粘着面に塗布した。ニコチン塗布面上に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナーの剥離処理を施した面を貼り合わせ、幅100mm、長さ15mのニコチン経皮吸収製剤の原反を得た。
窒素雰囲気下でフラスコ内にアクリル酸2−エチルヘキシルエステル72部、N−ビニル−2−ピロリドン25部、アクリル酸3部を仕込み、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.3部を添加し重合を開始させた。攪拌速度と外浴温度の調節、および酢酸エチルの滴下によって、内浴温度を58〜62℃に制御し、重合反応を行い、粘着剤溶液(アクリル2と略す)を調製した。
実施例2、3および4において、表1に示すように上記粘着剤溶液を粘着剤固形分69.79、59.82、49.85部換算の量をそれぞれ反応容器に量りとり、パルミチン酸イソプロピルを粘着剤固形分に対しそれぞれ30部、40部、50部添加し、さらに架橋剤としてALCH(川研ファインケミカルズ製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)を粘着剤に対し0.3%添加し、よく攪拌した。得られた溶液を、片面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナーの剥離処理を施した面に、乾燥後の厚みが120μmとなるように塗布し、70℃2分乾燥後、さらに90℃2分乾燥して粘着剤層を形成した。ポリエステル不織布(目付け量12g/m2)上に2μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを押出成形により積層して作製した支持体の不織布側を、粘着剤層の粘着面に貼り合せて積層体を作製した。その後、該積層体を密封して60℃で48時間放置し、実施例2〜4の架橋粘着剤層を調製した。
その後、はじめの剥離ライナーを剥がして粘着面を露出させながらダイコーターを用いて、ニコチンフリー塩基を粘着剤層の粘着面に塗布した。その後、ニコチン塗布面上に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナーの剥離処理を施した面を貼り合わせ、幅100mm、長さ15mのニコチン経皮吸収製剤の原反を得た。
DURO−TAK 2196(ナショナルスターチ製;アクリル3と略す)を粘着剤固形分79.68部、69.72部、59.76部、49.80部換算の量をそれぞれ反応容器に量りとり、各反応容器に、ココナードMT(花王製、カプリル酸・カプリン酸トリグリセリド)を粘着剤固形分に対しそれぞれ20部、30部、40部、50部添加し、さらに架橋剤としてALCH(川研ファインケミカルズ製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)を粘着剤に対し0.4%添加し、よく攪拌した。
得られた溶液を、片面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナーの剥離処理を施した面に、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗布し、70℃2分乾燥後、さらに90℃2分乾燥して粘着剤層を形成した。ポリエステル不織布(目付け量12g/m2)上に2μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを押出成形により積層して作製した支持体の不織布側を、粘着剤層の粘着面に貼り合せて積層体を作製した。その後、該積層体を密封して60℃で48時間放置し、実施例5〜8の架橋粘着剤層を調製した。
その後、はじめの剥離ライナーを剥がして粘着面を露出させながらダイコーターを用いて、ニコチンフリー塩基を粘着剤層の粘着面に塗布した。その後、ニコチン塗布面上に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナーの剥離処理を施した面を貼り合わせ、幅100mm、長さ14mのニコチン経皮吸収製剤の原反を得た。
実施例2のパルミチン酸イソプロピル(粘着剤固形分に対し30部)の代わりにミリスチン酸イソプロピル(粘着剤固形分に対し30部)に置き換えた以外は実施例2と同様にして、ニコチン経皮吸収製剤を得た。
窒素雰囲気下でフラスコ内にアクリル酸2−エチルヘキシルエステル72部、N−ビニル−2−ピロリドン25部、アクリル酸3部を仕込み、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.3部を添加し重合を開始させた。攪拌速度と外浴温度の調節、および酢酸エチルの滴下によって、内浴温度を58〜62℃に制御し、重合反応を行い、粘着剤溶液(アクリル2)を調製した。
実施例10及び11において、表1に示すように上記粘着剤溶液を粘着剤固形分39.88、29.91部換算の量をそれぞれ反応容器に量りとり、ミリスチン酸イソプロピルを粘着剤固形分に対しそれぞれ60部、70部添加し、さらに架橋剤としてALCH(川研ファインケミカルズ製、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)を粘着剤に対し0.3%添加し、よく攪拌した。得られた溶液を、片面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナーの剥離処理を施した面に、乾燥後の厚みが70μmとなるように塗布し、70℃2分乾燥後、さらに90℃2分乾燥して粘着剤層を形成した。ポリエステル不織布(目付け量12g/m2)上に2μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを押出成形により積層して作製した支持体の不織布側を、粘着剤層の粘着面に貼り合せて積層体を作製した。その後、該積層体を密封して60℃で48時間放置し、実施例10および11の架橋粘着剤層を調製した。
その後、剥離ライナーを剥がして粘着面を露出させ、フレキソ印刷用コーター(RK Print Coat Instruments Ltd.製,商品名:K-ロックスプルーフア)に彫刻ローラー(塗布量:計算値30mg/cm2)をセットし、ニコチンフリー塩基(Sigma製)を粘着剤層の粘着面に直接塗布し、ニコチン含有経皮吸収製剤を得た。塗工速度は0.1m/分の一定速度とした。
実施例1において得られた粘着剤溶液(アクリル1)をそのまま(すなわち、液状成分を含ませずに)、片面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナーの剥離処理を施した面に、乾燥後の厚みが240μmとなるように塗布し、60℃3分乾燥、80℃3分乾燥、95℃3分乾燥して粘着剤層を形成した。形成した粘着剤層の粘着面と、ポリエステル不織布(目付け量12g/m2)上に2μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを押出成形により積層して作製した支持体の不織布側とを貼り合せ、粘着剤層を調製した。
実施例2において得られた粘着剤溶液(アクリル2)をそのまま(すなわち、液状成分を含ませずに)、片面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナーの剥離処理を施した面に、乾燥後の厚みが120μmとなるように塗布し、70℃2分乾燥後、さらに90℃2分乾燥して粘着剤層を形成した。形成した粘着剤層の粘着面と、ポリエステル不織布(目付け量12g/m2)上に2μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを押出成形により積層して作製した支持体の不織布側とを貼り合せ、粘着剤層を調製した。
その後、はじめの剥離ライナーを剥がして粘着面を露出させながらダイコーターを用いて、ニコチンフリー塩基を粘着剤層の粘着面に塗布した。その後、ニコチン塗布面上に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナーの剥離処理を施した面を貼り合わせ、幅100mm、長さ11mのニコチン経皮吸収製剤の原反を得た。
実施例5で使用したDURO−TAK 2196(アクリル3)をそのまま(すなわち、液状成分を含ませずに)、片面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナーの剥離処理を施した面に、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗布し、70℃2分乾燥後、さらに90℃2分乾燥して粘着剤層を形成した。形成した粘着剤層の粘着面と、ポリエステル不織布(目付け量12g/m2)上に2μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを押出成形により積層して作製した支持体の不織布側を貼り合せ、粘着剤層を調製した。
接着剤溶液(イソオクチルアクリレート:アクリルアミド:酢酸ビニル共重合体(74部:6部:20部)、エチルアセテート:メタノール(91部:9部)中の固形分22%、インヘレント粘度=1.21dl/g)を、片面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート製の剥離ライナーの剥離処理を施した面に、押出ダイを用いて塗布した。ダイは20mil(500μm)のシムを備えていた。塗布された剥離ライナーを150°F(65℃)で1分間、275°F(135℃)で1分間、さらに350°F(177℃)で1分間オーブン乾燥した。幅7インチ(17.8cm)の4000線ヤード(3640線メートル)のウェブが得られた。
直接グラビア塗布[グラビアロールパラメータ:パターン−三重螺旋形;45ライン毎インチ(18ライン毎cm);体積因子−3.0×10−3in3/in2(7.6×10−3cm3/cm2)を使用して、ニコチンをそのまま、すなわち0%ポリマー含有量で均一塗布しようとしたが、うまくいかなかった。
実施例及び比較例で得られたニコチン経皮吸収製剤のサンプルについて以下の評価を行った。
実施例及び比較例で作製した粘着剤層(実施例1〜11については、ニコチン塗布前の架橋粘着剤層、比較例2については、ニコチン塗布前の粘着剤層、比較例1、3については、得られた製剤の粘着剤層)に対するニコチンの接触角を協和界面科学株式会社製の接触角測定装置モデルDropMaster 700を用いて測定した。
測定方法 接触角(液滴法)
測定範囲 接触角:0〜180°
測定精度 接触角:±1°
表示分解能 接触角:0.1°
測定位置決定 PC画面にて操作
定量液滴作製 自動
着液制御/着液認識 自動
接触角解析 自動
ガラス製のスライドグラスに実施例又は比較例で作製した(架橋)粘着剤層を剥離ライナーの面を上向きに固定し、装置に装着した。剥離ライナーを剥がして、露出した粘着剤層の粘着面上にニコチン液滴を接触させ、1秒後の接触角を室温23±2℃、相対湿度60±10%RHの条件下で測定した。ニコチンの液滴量は1.1μLに調整した。
また、引き続き9秒ごとの接触角の経時変化を3分まで測定した。
結果を図2及び表2に示す。これらの結果より、実施例1〜11の粘着剤層に対するニコチンの接触角の変化率は、比較例1〜3の粘着剤層に対するニコチンの接触角の変化率に比べて顕著に大きいことが示された。
実施例1、3及び6ならびに比較例2で得られたニコチン経皮吸収製剤の原反より、幅方向にはニコチンを塗布した範囲の両端から25mmの位置を中心に2点(表3〜5における手前・奥)、塗布方向には0.5m置きに18〜21点サンプリングした。サンプリングは10cm2の正方形の打ち抜き型を用いてニコチン経皮吸収製剤を打抜いて取り出し、これをメタノール中で室温、120分間、振盪(約90rpm)抽出し、抽出液中のニコチン含有量をHPLC法を用いて定量した。
結果を表3〜6に示す。これらの結果より明らかなように、実施例1、3、6の製剤のニコチン含有量のバラツキは、比較例2の製剤のニコチン含有量のバラツキに比べて、顕著に少なく、本発明の製剤は、含量均一性に優れている。
接着力:
実施例1、3、6、9〜11ならびに比較例2のニコチン経皮吸収製剤の原反を24mm幅に切断してサンプルを作製し、被着体としてベークライト板を用いて、引張試験機(島津製作所製,EZTest)によりサンプルの接着性を評価した。
剥離時の痛みの評価:
実施例1、3、6、9〜11ならびに比較例2のニコチン経皮吸収製剤の原反を10cm2に成型してサンプルを作製し、健全なボランティア6名の上腕部にサンプルを24時間貼付した後、製剤を剥離する時の痛みを以下に示す5段階のスコアで評価した。
1:全く痛くない 2:ごく僅かに痛い
3:僅かに痛い 4:少し痛い
5:非常に痛い
結果を表7に示す。
実施例1、3及び6で作製したニコチン経皮吸収製剤の薬物透過性を、ヘアレスマウス摘出皮膚を用いて以下の条件により試験し、評価した。
透過装置:全自動フロースルー拡散セル装置(バンガードインターナショナル製)
サンプル面積:0.2826cm2
レセプター溶液:リン酸緩衝液(pH=7.4)、0.02%アジ化ナトリウム含む
流量:約10mL/4時間/セル(ポンプ回転数:2.0rpm)
サンプリングポイント:1、2、3、4、5、6、7、8、12、16、20、24時間サンプル:実施例1、3及び6のニコチン経皮吸収製剤、n=3
なお、比較対象として、市販のニコチン経皮吸収製剤ニコチネルTTS10(ノバルティス製)を用いた。
レセプター溶液に流入したニコチン含有量をHPLC法を用いて定量した。結果を図3に示す。
2 計量ポンプ
3 ダイ
4 バックアップロール
5 粘着剤層
6 ニコチン供給ライン
Claims (4)
- 支持体上に、ニコチン及び粘着剤と相溶する液状成分を含む粘着剤層が形成されたニコチン経皮吸収製剤の製造方法であって、
粘着剤と相溶する液状成分を含有する粘着剤層であって、ニコチン含有前の粘着剤層に対するニコチンの接触角が20〜60°である粘着剤層を提供する工程、及び
ニコチンを該粘着剤層に塗布し、ニコチンを粘着剤層中に含浸させる工程
を含む、ニコチン経皮吸収製剤の製造方法。 - 粘着剤層に対する粘着剤と相溶する液状成分の含有量が、20〜65重量%である、請求項1に記載の方法。
- 粘着剤層がアクリル系粘着剤層であり、かつ、架橋されている、請求項1又は2に記載の方法。
- 粘着剤層を提供する工程において提供される粘着剤層が、ニコチン滴下1秒後の接触角に対するニコチン滴下3分後の接触角の変化率が15%以上の粘着剤層である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
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