JP4979867B2 - 新規なrg1ポリペプチドをコードするdna - Google Patents

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、一部には、新たに同定されたポリヌクレオチド及びポリペプチド、該ポリヌクレオチド及びポリペプチドの変異体及び誘導体; ポリヌクレオチド及びポリペプチド、及びその変異体及び誘導体を作る方法; ポリペプチド、その変異体及び誘導体に対し導かれた抗体; 及びポリヌクレオチド、ポリペプチド、変異体、誘導体及び抗体の使用に関する。特に、これらの点及びその他の点において、本発明は、新規のヒト細胞外基質ポリペプチド(RG1と呼称される)、これらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、これらのポリペプチドに対し導かれた抗体及びRG1発現を遮断するアンチセンスポリヌクレオチドに関する。
【0002】
発明の背景
前立腺癌は、45才以上の男性の約3分の1に発見されるという点で、男性に頻繁に発生する疾病である。遺伝的及び環境的原因の両方について証拠が存在し、大部分の症例はおそらく、両方の因子の組合せの結果であると思われる。家族性癌の研究により、全前立腺癌の約5〜10%そして55才未満の若い男性における症例の約45%において遺伝的素因が一定の役割を果たしていると示唆されてきた。
【0003】
前立腺癌は多段階疾病として発生し、前立腺病巣の1つは前立腺上皮内新形成(PIN)であるという証拠が存在している。該疾病の早期段階は男性ホルモンに依存しているが、一方末期段階はホルモンと無関係である。良性前立腺過形成として知られている前立腺の増殖障害は、往々にして臨床的に検出されるが、癌発達の一段階ではない確率が高い。但し、それは前立腺癌を伴うことが多い。前立腺内の癌は往々にして多病巣性であり、一般に成長が緩慢で、不均質である。末期癌は往々にしてリンパ節及び骨にまで転移する。
【0004】
前立腺癌は通常、健康診断及び前立腺特異抗原(PSA)の血清レベルによって診断される。根治的前立腺切除術が、局在化した疾病のために選好される治療である。進行した転移性疾患は、現在、こう丸摘出術により誘発される男性ホルモン離解又はGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)での治療、及び抗-男性ホルモン療法によって治療されている。しかしながら進行した疾病は、ほぼ不可避的にホルモン耐性となり、進行性疾患に対する療法は全く存在しない。その上、根治的前立腺切除術及び男性ホルモン離解療法の両方に付随する重大な副作用が存在する。これらの副作用としては、根治的前立腺切除術に付随する失禁及び不能症及び男性ホルモン離解療法に付随する骨粗しょう症の高い危険性がある。
【0005】
従って、早期及び末期の両方の前立腺癌用として新しい治療的アプローチに対する多大なニーズが存在する。同様に、新しい診断用作用物質特に、疾病の段階を弁別できる(というのもこれが治療の選択に大きく影響するからである)作用物質に対する多大なニーズも存在している。例えば疾病が前立腺を超えて進行しリンパ節まで転移してしまった場合、進行には全く効果がないばかりか著しい望ましくない副作用をもち得ることを理由として、根治的前立腺切除術は行なわれない。in vivoで転移を検出できる作用物質は、極めて価値あるものとなるだろう。
【0006】
末期前立腺癌における異常なp53発現、TGF-ρレセブタのレベル低下、E-カドヘリン、C-Cam(細胞付着分子)及びいくつかのインテグリンのレベル低下を含めた特定のタンパク質の発現における変化が、前立腺癌において実証されてきた。オンコジーンbcl-2の発現は、末期男性ホルモン独立型腫瘍において著しく上昇し、高レベルのbcl-2発現をもつ患者についての予後は比較的不良である。前述の遺伝子発現の変化については文書で充分に報告されているものの、疾病の原因となることが実証されてきた発現の変化は全く識別されていない。従って、前立腺癌の診断及び治療のための分子標的として役立ちうる前立腺腫瘍の存在又は発達にその発現が結びつけられるような新しいタンパク質を同定することが有用であろう。
【0007】
本発明は、細胞外基質タンパク質のスーパーファミリーに対する新しい相同体を開示している。RG1という名前のこの相同体は、前立腺組織内で発現され、前立腺腫瘍内で過剰発現され得る。
【0008】
細胞外基質は、プロテオグリカン及び糖タンパク質から成る粘弾性基質の中に埋込まれたコラーゲンとエラスチンの複雑な網である。基質は、組織区画を隔離し、細胞付着を媒介し、組織アーキテクチャを決定する3次元の支持用足場として存在する(Bissel et al., J.Theor. Biol.99:31-68, 1982;Carlson et al., Proc.Natl. Acad. Sci.USA 78:2403-2406, 1981)。基質は、高分子フィルタとして作用し(Hay, E.D. Cell Biology of Extracellular Matrix, New York, Pienum Press. 1982)、同様に細胞分化、有糸分裂誘発及び形態形成にも影響を及ぼす(Gospodarowiczs, D., Cancer Res.38:4155-171、1978)。
【0009】
正常な細胞と基質の間の生化学的相互作用は、新形成内で改変され得、これは腫瘍増殖に影響を及ぼし得る。腫瘍細胞は、さまざまな形で基質と相互作用できる。まず第1に、腫瘍細胞は、特異的血漿膜レセプタを介して基質に付着し得る(Terranova et al., Cancer Res.42:2265-2269, 1982)。第2に、基質の分解は、腫瘍細胞及び宿主が寄与する酵素カスケードによって媒介される。(Eisen et al., Bioch. Biophys, Acta 151;637-645, 1988)。第3に、腫瘍の分化した部域内では、腫瘍細胞は基質を合成し蓄積するか又は宿主細胞が過剰な基質を蓄積するように誘発することができる(Brownstein et al., Cancer 40:2979-2986, 1977)。
【0010】
RGlは、Mindin/F-スポンジン遺伝子によりコードされた細胞外基質タンパク質のスーパーファミリーに対する相同性を示す。遺伝子ファミリは、アミノ末端近くの2つの保存されたスポンジンドメインFS1及びFS2及びカルボキシ末端にある少なくとも1つのトロンボスポンジン1型反復(TSR1)によって統合される。(Shimeld. S.M. Mol.Biol.Evol.15(9):1218-1223, 1998)。TSRモチーフは、当初脊椎動物細胞外基質タンパク質内に発見され(Bornstein, P., J.Cell Biol. 130:503-506, 1995)、その後、複数のその他の細胞外基質タンパク質内で発見された。
【0011】
TSRが細胞付着を媒介し、腫瘍形成において重要な役割を果たすといういくつかの一連の証拠が存在している。例えば、TSRを含有するトロンボスポンジンのタンパク質分解フラグメント及びトロンボスポンジンのTSR領域に対応する配列をもつ合成ペプチドが腫瘍細胞付着及び転移を促進し(Prater et al., J.Cell Biol, 112:1031-1040, 1991;Tuszynski and Nicosia, BioEssays18:71-76, 1996)、抗脈管形成活性をもち(Tolsma et al., J.Cell Biol. 122:497-511, 1993)、血小板凝集及び黒色腫転移を阻害する(Tuszynski et al., J.Cell Biol. 116:209-217, 1992)ことが立証されてきた。
【0012】
現在、このスーパーファミリーの成員としては、Caenomabditis elegans 内の遺伝子、ショウジョウバエ内の単一の遺伝子及び脊椎動物体内の多数の遺伝子が含まれる。C.elegans においては、遺伝子F10E7.4は、FS1及びFS2ドメインに加えて5つのTSRについてコードする(Higashijima et al., Dev. Biol. 192:211-227, 1997)。ショウジョウバエにおいては、M-スポンジン(mspo)として表わされたファミリー成員は、FS1及びFS2ドメイン及び単一のTSRを含有する(Umemiya et al., Dev. Biol.185:165-176, 1997)。M-スポンジン遺伝子は、筋肉付着部位において局在化され、筋肉-内突起付着を支持する細胞外基質タンパク質として機能すると思われる分泌されたタンパク質をコードする。
【0013】
脊椎動物体内のファミリー成員には、ゼブラダニオから単離された遺伝子(ミンジン1及びミンジン2、F-スポンジン1、及びF-スポンジン2)、ラットF-スポンジン、ツメガエル属 F-スポンジン及びラットミンジンが内含される。ミンジン1及びミンジン2は、互いに密に関係し合い、ショウジョウバエM-スポンジンのものに類似した遺伝子構造をもつ。ミンジン1及びミンジン2遺伝子は共に、FS1及びFS2ドメインに加えて単一のTSRをコードする(Higashijima et al., Dev.Biol.192:211-227, 1997)。
【0014】
ゼブラダニオ F-スポンジン1及びF-スポンジン2、ラットF-スポンジン(Klar et al., Cell 69:95-110, 1992)及びツメガエルF-スポンジン(Altabe et al., Proc. Natl. Acad.Sci.USA 90:8268-8272)遺伝子は全て、FS1及びFS2ドメインに加えてTSRの6つのコピーをコードする類似の構造をもつ。脊椎動物においては、ミンジン/F-スポンジンスーパーファミリーは、当初のラットF-スポンジン及びミンジン遺伝子に密に関係する遺伝子及びショウジョウバエM-スポンジン遺伝子に密に関係する遺伝子という2つのグループに分類可能である。脊椎動物のミンジン及びF-スポンジン遺伝子は両方共、神経管の床板により胚発生中にまず第1に発現されるタンパク質についてコードする。
【0015】
最近になって、単一のF-スポンジン関連遺伝子であるアンフィF-スポンジンがナメクジウオ属から分離された(Shimeld. S.M. Mol.Biol. Evpl. 15(8);1218-1223, 1998)。分子系統発生論に基づくと、アンフィF-スポンジンは、6つのTSRをコードする脊椎動物のF-スポンジンの特定のサブグループに密に関係する。アンフィF-スポンジンは、3つのTSR及び2つのフィブロネクチンIII型反復をコードし、そのうちの1つは、Deleted in Colorectal Cancer(結腸直腸癌における欠失)(DCC)からのフィブロネクチンIII型反復に対する強い同一性をもつ。タンパク質の発現は、中枢神経系の大部分を通して発見され、脊椎動物ミンジン及びF-スポンジンタンパク質について記述されているように正中線に限定されていない。
【0016】
これらのデータは、ミンジン/F-スポンジンスーパーファミリーの相同体である新奇のRG1タンパク質といったような細胞外基質タンパク質が、癌の診断及び治療的介入において使用するための優れた候補となるということを示唆している。
【0017】
発明の要約
本発明は、本書中RG1と呼称されている新奇のタンパク質を一意的にコードするポリヌクレオチド配列を提供する。PG1ポリペプチドは、ラットミンジン細胞外基質タンパク質に対する相同性を示す。これはN末端に疎水性シグナル配列、2つのスポンジンドメイン(FS1及びFS2)そしてそのC末端にトロンボスポンジン1型反復を含有している。RG1はラットミンジンに対する89.7%の類似性を示す。本書でrg1と呼称され図1(配列番号1)に記述されているポリヌクレオチド配列は、図2(配列番号2)に示されているRG1のためのアミノ酸配列をコードする。
【0018】
これらの目標及びその他の目標に向けて、本発明の1つの目的は、なかんづく図2(配列番号2)に記されているアミノ酸配列とその他の細胞外基質タンパク質の既知のアミノ酸配列の比較により示されるように、細胞外基質タンパク質のミンジンファミリーに対する相同性をもつ新奇のタンパク質として同定されたポリペプチドを提供することにある。
さらに、本発明のさらなる目的は、かかるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、特に本書でPG1と呼称されているポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにある。
【0019】
本発明のこの態様に従うと、mRNA、cDNAを含む、RG1をコードする単離されたポリヌクレオチド、そして本発明のこの態様のさらなる実施形態においてはその生物学上、診断上、臨床上又は治療上有用な変異体、類似体又は誘導体又は、該変異体、類似体及び誘導体のフラグメントを含めたそのフラグメントが提供されている。
本発明のこの態様の特に好ましい実施形態の中には、本書でRG1と呼称されているポリペプチドの変異体をコードするポリヌクレオチドの天然の対立遺伝子変異体がある。
【0020】
本発明のこの態様に従うと、本書でRG1と呼ばれるヒト由来の新奇のポリペプチドならびにその生物学上、診断上又は治療上有用なフラグメント、変異体及び誘導体、フラグメントの変異体及び誘導体そしてこれらの類似体が提供されている。
本発明のこの態様の特に好ましい実施形態の中には、rg1ポリヌクレオチドの天然の対立遺伝子変異体によってコードされたRG1の変異体が含まれる。
【0021】
本発明のもう1つの目的は、上述のポリペプチド、ポリペプチドフラグメント、変異体及び誘導体、変異体及び誘導体のフラグメント及びそれらの類似体を産生する方法を提供することにある。本発明のこの態様の好ましい1実施形態においては、宿主内でのヒトRG1の発現のための条件下で外因的に誘導されたRG1コーディングポリヌクレオチドを発現可能な形でその中に取込んだ宿主細胞を培養する段階そして次に発現されたポリペプチドを回収する段階を含んで成る、上述のRG1ポリペプチドの産生方法が提供されている。
【0022】
本発明のもう1つの目的に従うと、なかんづく研究上、生物学上、臨床上及び治療上の目的で上述のポリペプチド及びポリヌクレオチドを利用する産物、組成物、プロセス及び方法が提供されている。
本発明のこの態様のいくつかの好ましい実施形態に従うと、なかでも、RG1ポリペプチド又はRG1コーディングmRNAを決定すること及びrg1遺伝子内で欠損といったような遺伝的変動及び異常を検定することにより細胞内のRG1発現を査定するための産物、組成物及び方法が提供されている。
本発明のこの及びその他の態様のいくつかの好ましい実施形態に従うと、rg1配列に対してハイブリッド形成するプローブが提供されている。
【0023】
本発明のさらなる目的は、RG1ポリペプチド又はそのフラグメントについて高い選択性をもちかつ前立腺癌と関連性をもちうるRG1発現の診断及び/又は検出のための方法において利用できる抗体を提供することにある。本発明のこの態様のいくつかの好ましい実施形態に従うと、抗体は、検出可能なシグナルを産生するような形で標識付けされる。特に好ましいのは、放射性標識、酵素、発色団又は螢光剤で標識付けされた抗体である。
【0024】
本発明のさらなる態様においては、in vitroで細胞に、ex vivoで細胞に、そしてin vivoで細胞に、又は多細胞生体に対し投与するための治療用作用物質に接合される抗体が提供されている。この点において特に好ましいのは、細胞毒性ある治療用作用物質である。この点においていくつかの好ましい実施形態に入るのは、前立腺癌といったようなRG1活性又は発現により特徴づけされる1つの疾病状態の治療のためのヒトの患者に対するかかる接合された抗体の投与である。
【0025】
本発明のさらなる態様においては、免疫応答を刺激するのに使用できるペプチド及び抗イディオタイプ抗体が提供されている。
本発明のもう1つの態様では、in vitroで細胞に、ex vivoで細胞にそしてin vivoで細胞に、又は多細胞生体に対して投与するための、rg1ポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチド(すなわちアンチセンスポリヌクレオチド)及びリボザイムが提供されている。この点で特に好ましいのは、RG1活性のレベルを低減させることにより緩和される前立腺癌又は良性前立腺過形成といったような疾病状態の治療のための、ヒトの患者に対するアンチセンス分子の投与である。
【0026】
本発明のその他の目的、特長、利点及び態様は、以下の記述から当業者にとって明白になることだろう。しかしながら以下の説明及び特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示しているものの、一例として与えられているにすぎないということを理解すべきである。以下の説明及び本開示のその他の部分を読むことにより、当業者には、開示されている発明の精神及び範囲内のさまざまな変更及び修正が容易に明らかとなることだろう。
【0027】
発明の詳細な説明
定義
該明細書、実施例及び添付のクレーム中で使用されているように、相反する規定のないかぎり、以下の用語は、以下の意味を有する。
「RG1」は、図2(配列番号2)に記されているアミノ酸配列をもつポリペプチド、その変異体、類似体、誘導体及びフラグメント、そして変異体、類似体及び誘導体のフラグメントを意味する。「フラグメント」、「誘導体」及び「類似体」という語は、図2(配列番号2)のポリペプチドに関する場合、図2(配列番号2)のポリペプチドと同じ生物学的及び/又は免疫学的活性を基本的に保持するポリペプチドを意味する。
【0028】
「rg1」は、図1(配列番号1)に記された配列をもつポリヌクレオチド及び図2(配列番号2)内に記されたRG1のアミノ酸配列をもつポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;そしてRG1の変異体、類似体及び誘導体及びフラグメント及び該変異体、類似体及び誘導体のフラグメントをコードするポリヌクレオチドを意味する。RG1は、同様に、図2(配列番号2)に記されたポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチドの補体であるポリヌクレオチドをも意味する。
【0029】
「ポリヌクレオチド(単複)」は一般に、未修飾RNA又はDNA又は修飾されたRNA又はDNAでありうるあらゆるポリヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドを意味する。かくして例えば、本書で使用されている通りのポリヌクレオチドは、なかでも、1本鎖及び2本鎖DNA、1本鎖及び2本鎖領域の混合であるDNA、1本鎖及び2本鎖RNA及び1本鎖及び2本鎖領域の混合であるRNA、1本鎖又より標準的には2本鎖又は1本鎖及び2本鎖領域の混合でありうるDNA及びRNAを含むハイブリッド分子を意味する。さらに、本書で使用されるポリヌクレオチドは、RNA又はDNA又はその両方を含む3本鎖領域を意味する。かかる領域内のストランドは同じ分子から又は異なる分子からのものであってよい。領域は、単数又は複数の分子のうちの全てを内含できるが、より標準的には、いくつかの分子の1領域のみが関与する。3重らせん領域の分子の1つは往々にしてオリゴヌクレオチドである。
【0030】
本書に使用されているように、「ポリヌクレオチド」という語は、単数又は複数の修飾された塩基を含有する上述の通りのDNA又はRNAを内含する。かくして、安全性又はその他の理由で修飾されたバックボーンを伴うDNA又はRNAは、本書で意図された通りの意味の「ポリヌクレオチド」である。さらに、ほんの2つの例を挙げただけでもイノシンといったような普通でない塩基又はトリチウム標識付けされ修飾された塩基を含むDNA又はRNAは、本書で意図された意味合いでのポリヌクレオチドである。
【0031】
当業者にとって既知の有用な数多くの目的に役立つ多種多様な修飾がDNA及びRNAに対して行なわれてきた、ということがわかるだろう。本書で利用されているような「ポリヌクレオチド」という語は、かかる化学的、酵素的又は代謝的に修飾された形のポリヌクレオチドならびに、なかんづく単純及び複合細胞を含むウイルス及び細胞に特徴的であるDNA及びRNAの化学的形態を包含している。
【0032】
本書で使用される「ポリペプチド」という語は、以下で記述する通りの全てのポリペプチドを内含する。ポリペプチドの基本的構造は、周知のものであり、無数の教本及び当該技術分野におけるその他の出版物の中で記述されてきた。このような状況下で、本書ではこの語は、ペプチド結合により線形鎖の中で互いに連合された2つ以上のアミノ酸を含むあらゆるペプチド又はタンパク質を意味するものとして用いられている。本書で使用されるこの語は、一般に当該技術分野では例えばペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマとも呼ばれる短鎖と同様、数多くのタイプが存在する当該技術分野では一般にタンパク質と呼ばれている長鎖の両方を意味する。
【0033】
ポリペプチドが往々にして、一般に天然の20種アミノ酸として言及される20種類のアミノ酸以外のアミノ酸を含有すること、そして末端アミノ酸を内含する数多くのアミノ酸が、グリコシル化及びその他の翻訳後修飾といった天然のプロセス又は当該技術分野において周知のものである化学的修飾技術のいずれかにより一定の与えられたポリペプチド内で修飾可能であることがわかるだろう。ポリペプチド内で天然の一般的修飾でさえ、多すぎてここでは網羅的に列挙できないが、これらは基本的テキスト及びより詳細な研究論文ならびに大部の研究文献内で充分に記述されており、当業者にとっては周知のものである。
【0034】
本発明のポリペプチド中に存在しうる既知の修飾としては、例示的にいくつか挙げると、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合付着、ヘム半分の共有結合付着、ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド誘導体の共有結合付着、脂質又は脂質誘導体の共有結合付着、ホスホチジルイノシトールの共有結合付着、架橋、環化反応、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、シスチン形成、ピログルタメート形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、糖化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロオキシル化、ヨウ素処理、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化といったようなタンパク質に対するアミノ酸のトランスファRNA媒介添加及び遍在化がある。
【0035】
かかる修飾は、当業者にとって周知のものであり、科学文献中で詳細に記述されてきた。いくつかの特に一般的な修飾、すなわちグリコシル化、脂質付着、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマカルボキシル化、ヒドロオキシル化及びADPリボシル化などは、例えば、I.E. Creighton「タンパク質構造及び分子特性」、第2版、W.H. Freeman and Company, New York、 1993といったような最も基本的なテキスト内で記述されている。この主題については、例えばWold. F.,「タンパク質の翻訳後共有結合修飾」B.C.Jonnson, Ed., Academic Press. New York, pp1-12, 1983、Seifter et al., Meth. Enzymol.182:626-646.1990及びRanan et al., 「タンパク質合成;翻訳後修飾とエージング」、Ann.N.Y.Acad. Sci.663:48-62, 1992.により提供されているものといった数多くの詳細な論評が入手可能である。
【0036】
周知のことであり、又以上で指摘したように、ポリペプチドはつねに完全に線形でないことがわかるだろう。例えば、ポリペプチドは、遍在化の結果として分岐され得、又、一般に天然の処理事象及び天然では起こらないヒトの操作によりもたらされる事象を含めた翻訳後の事象の結果として分岐を伴って又は伴わずに円形であってもよい。円形、有枝及び有枝円形のポリペプチドは、非翻訳天然プロセス及び完全に合成の方法によっても合成され得る。
【0037】
修飾は、ペプチドバックボーン、アミノ酸側鎖及びアミノ又はカルボキシ末端を含め、ポリペプチドの中のどこででも発生できる。実際、ポリペプチド内のアミノ又はカルボキシル基又は両方の共有結合による修飾の遮断は、天然のポリペプチド及び合成ポリペプチドにおいて共通であり、かかる修飾は本発明のポリペプチドの中でも存在し得る。例えば、タンパク質分解処理に先立ちE.coli内で作られたポリペプチドのアミノ末端残基は、ほぼ不変的にNホルミルメチオニンとなる。
【0038】
このときポリペプチド内で発生する修飾は、往々にして、いかにそれが作られるかにより左右されることになる。例えば宿主内でクローニングされた遺伝子を発現することによって作られたポリペプチドについては、修飾の性質及び範囲は大部分が宿主細胞の翻訳後修飾能力及びポリペプチド アミノ酸配列内に存在する修飾シグナルによって決定されることになる。例えば周知のとおり、グリコシル化は往々にして、E.coliといったような細菌宿主内で発生しない。従って、グリコシル化が望まれる場合、ポリペプチドは、グリコシル化宿主、一般的には真核細胞内で発現されるべきである。昆虫細胞は往々にして、哺乳動物と同じ翻訳後グリコシル化を実施し、このため、なかんづく未変性グリコシル化パターンをもつ哺乳動物タンパク質を効率良く発現するため、昆虫細胞発現システムが開発されてきた。類似の考慮は、その他の修飾にもあてはまる。
【0039】
一定の与えられたポリペプチド内の複数の部位で同じ又は変動する度合で同じタイプの修飾が存在しうるということがわかるだろう。同様に、一定の与えられたポリペプチドは数多くのタイプの修飾を含有しうる。
一般的には、本書で使用されるポリペプチドという語は、かかる修飾全て、特に宿主細胞内でポリヌクレオチドを発現することによって合成されたポリペプチドの中に存在する修飾を包含する。
【0040】
本書で使用される「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」という語は、本発明のポリペプチド、特に図2に記されているAMS(配列番号2)をもつRG1ポリペプチドをコードする配列を内含するポリヌクレオチドを包含している。この語は、付加的な領域と共に(例えばイントロンにより中断された)ポリペプチドをコードする単一の連続的領域又は不連続領域を内含するポリヌクレオチドを包含する。
【0041】
「生物活性」という語は、天然のRG1ポリペプチドの構造的機能、調節機能又は生化学的機能を意味する。
「免疫学的活性」というのは、適切な動物又は細胞内で特異的免疫応答を誘発し特異的抗体と結合する、天然、組換え型又は合成のRG1又はその任意のフラグメントの能力を意味する。
【0042】
「オリゴヌクレオチド(単複)」は、比較的短かいポリヌクレオチドを意味する。往々にして、この語は、1本鎖デオキシリボヌクレオチドを意味するが、これはなかでも1本鎖又は2本鎖リボヌクレオチド、RNA:DNAハイブリッド及び1本鎖DNAを意味することもできる。1本鎖DNAプローブオリゴヌクレオチドといったようなオリゴヌクレオチドは、往々にして化学的方法、例えば自動化されたオリゴヌクレオチド合成装置上で実施される方法により合成される。しかしながら、オリゴヌクレオチドは、in vitro組換え型DNA-媒介技術を含めたさまざまなその他の方法及び細胞及び生体内でのDNAの発現により作ることができる。「オリゴヌクレオチド」又は「オリゴマ」又はポリヌクレオチド「フラグメント」、「部分」又は「セグメント」は、少なくとも約10個、多くとも約60個、好ましくは約15〜30個、より好ましくは約20〜25個のヌクレオチドのポリヌクレオチド配列を意味する。
【0043】
「天然のRG1」という語は、遺伝子工学処理されなかったヒトの細胞によって産生されたRG1を意味し、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、アシル化及び分割を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)ポリペプチドの翻訳後修飾から発生するさまざまなRG1形態を特定的に考慮している。
本書で使用されるポリヌクレオチド又はポリペプチドの「変異体(単複)」は、それぞれ基準ポリヌクレオチド又はポリペプチドとは異なるポリヌクレオチド又はポリペプチドである。この意味での変異体が、以下で、又本開示のその他の箇所でより詳細に記述されている。
【0044】
(1) 他の基準ポリヌクレオチドとはポリヌクレオチド配列が異なっているポリヌクレオチド。一般に、基準及び変異体のポリヌクレオチド配列が全体的に密に類似し数多くの領域で同一であるような形で、差異が制限されている。
以下で指摘するように、変異体のポリヌクレオチド配列の変化はサイレントでありうる。すなわち、これらの変化は、ポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸を改変しなくてよい。改変がこのタイプのサイレント変化に制限されている場合、変異体は、基準と同じAMSでポリペプチドをコードすることになる。同様に以下で指摘する通り、変異体のポリヌクレオチド配列内の変化は、基準ポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドのアミノ酸配列を改変し得る。かかるポリヌクレオチド変化は、以下で論述するように、基準配列によりコードされたポリペプチド内のアミノ酸置換、付加、欠失、融合及び切形を結果としてもたらす可能性がある。
【0045】
(2) 他の基準ポリペプチドとはアミノ酸配列が異なっているポリペプチド。一般に、差異は、基準と変異体の配列が全体的に密に類似しており、数多くの領域で同一であるような形で制限されている。変異体及び基準ポリペプチドは、アミノ酸配列に関し、任意の組合せで存在しうる単数又は複数の置換、付加、欠失、融合及び切形により異なっている可能性がある。これらの同じ又は類似のポリペプチドをコードする組換え型変異体は、遺伝子コードの「重複性」を使用することによって合成又は選択されうる。さまざまな制限部位を生成するサイレント変化といったようなさまざまなコドン置換を導入して、プラスミド又はウイルスベクター内へのクローニング又は特定の原核性又は真核性システム内の発現を最適化することができる。突然変異は同様に、ポリペプチドの特性を修正し、リガンド結合親和力又はポリペプチド分解又は転換速度を変更するためにも導入できる。
【0046】
「対立遺伝子変異体」というのは、rg1 ポリヌクレオチドの代替的形態を意味する。対立遺伝子は、突然変異すなわちポリヌクレオチド配列の変化の結果としてもたらされ、一般に、その構造又は機能が改変されてもされなくてもよい改変済みmRNA又はポリペプチドを産生する。任意の与えられた遺伝子は、対立遺伝子形態を全くもたなくてもよいし又1つ又は多く有することもできる。対立遺伝子を生成させる一般的な突然変異変化は一般に、ヌクレオチドの天然の欠失、付加又は置換のせいである。これらのタイプの変化は各々、単独で、又はその他のものとの組合せの形で、又は一定の与えられた配列内で単数又は複数回発生しうる。
【0047】
「誘導体」というのは、それぞれ天然のrg1又はRG1から、通常はヒトタンパク質内で発生しないオルニチンといったようなアミノ酸の挿入又は置換(又はアミノ酸などについてコードするヌクレオチドの置換)によって又は遍在化、(例えば放射線核種、さまざまな酵素修飾での)標識付け、pegylation(ボリエチレングリコールでの誘導変化)といったような化学的修飾によって誘導されたポリヌクレオチド又はポリペプチドを意味する。
【0048】
「欠失」は、単数又は複数のポリヌクレオチド又はアミノ酸残基がそれぞれ不在である、ポリヌクレオチド又はアミノ酸配列のいずかにおける変化として定義づけされる。
「挿入」又は「付加」は、天然のポリヌクレオチド又はアミノ酸配列に比べてそれぞれ単数又は複数のポリヌクレオチド又はアミノ酸残基の付加を結果としてもたらしたポリヌクレオチド又はアミノ酸配列の変化である。
「置換」は、それぞれ異なるポリヌクレオチド又はアミノ酸による単数又は複数のポリヌクレオチド又はアミノ酸の交換の結果もたらされる。
【0049】
好ましくは、アミノ酸置換は、イソロイシン又はバリンによるロイシンの交換、グルタミン酸塩によるアスパラギン酸塩の交換又はセリンでのトレオニンの交換といったような類似の構造的及び/又は化学的特性をもつもう1つのアミノ酸による1つのアミノ酸の交換、すなわち保存的アミノ酸交換の結果である。挿入又は欠失は標準的に約1〜5個のアミノ酸の範囲内にある。許容される変動は、組換え型DNA技術を用いてポリペプチド内でアミノ酸の挿入、欠失又は置換を系統的に行なうことによって及び結果として得られた組換え型変異体を活性について検定することによって、経験的に決定され得る。
【0050】
「フラグメント」というのは、上述のRG1ポリペプチド及びその変異体又は誘導体のアミノ酸配列の全てではないが一部分と完全に同じであるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
ポリペプチド「フラグメント」、「部分」又は「セグメント」は、少なくとも約5個、往々にして少なくとも約7個、標準的に少なくとも約9〜13個のアミノ酸、そしてさまざまな実施形態において少なくとも約17個以上のアミノ酸のアミノ酸残基の1範囲である。
【0051】
「組換え型」又は「組換え型DNA分子」は、天然に発生しない又は、2つの別の形で分離された配列セグメントの人工的組合せによって作られているポリヌクレオチド配列を意味する。「組換えによって産生された」というのは、化学的合成手段によってか、又は、例えば遺伝子工学技術によるポリヌクレオチドの分離されたセグメントの人工的操作により往々にして達成される人工的組合せを意味する。かかる操作は通常、標準的には配列認識部位を導入又は除去する一方で、同じ又は保存的アミノ酸をコードする冗長なコドンで1つのコドンを交換するために行なわれる。
【0052】
代替的には、それは、一般的な天然の形態で見い出されない望ましい機能の組合せを含む単一の遺伝的実体を生成するべく望ましい機能をもつポリヌクレオチドセグメントと連合させるために実施される。制限酵素認識部位、調節配列、制御配列又はその他の有用な特長を、設計上取込むことができる。「組換え型DNA分子」には、クローニング及び発現ベクターが含まれる。「組換え体」は同様に、ポリペプチドをコードし組換え型DNA技術を用いて調製されるポリヌクレオチドを意味する。
【0053】
「単離された」という語は、その天然の状態から「ヒトの手により」改変されたこと、すなわち、天然で発生する場合には、それがそのもとの環境から変更又は取り出されたこと又はその両方を意味する。例えば、その天然の状態で生きた動物の中に存在する天然のポリヌクレオチド又はポリペプチドは「単離され」ていないが、その天然の状態の共存する物質から分離された同じポリヌクレオチド又はポリペプチドは、この語が本書で利用される通りに「単離され」ている。例えば、ポリヌクレオチドに関しては、単離されたという語は、それが中で天然の染色体及び細胞から分離されていることを意味する。
【0054】
ポリヌクレオチド及びポリペプチドは、例えば天然の組成物でない化学反応又は酵素反応のための細胞、組成物又は溶液の中に、ポリヌクレオチド又はポリペプチドを導入するため、培地製剤、溶液といった組成物中で発生することができ、その中で、本書で利用される意味合いでの単離されたポリヌクレオチド又はポリペプチドであり続ける。
【0055】
「実質的に純粋な」及び「実質的に均質な」という語は、互換的に使用され、天然にそれに随伴する成分から分離されている場合の、PG1ポリペプチド又はそのフラグメント又はそれをコードするポリヌクレオチドセグメントを意味する。RG1ポリペプチド又はそのフラグメント、又はそれをコードするDNAセグメントは、その天然の状態でそれに随伴する未変性の汚染物質から分離された時点で、天然に付随する成分を実質的に含まない。かくして、それが天然に由来する細胞と異なる細胞システム内で合成されたか又は化学的に合成されたポリペプチドは、その天然に付随する成分を実質的に含まないことになる。同様にして、それが天然に由来する細胞と異なる細胞システム内で合成されたか又は化学的に合成されたポリヌクレオチドは、その天然に付随する成分を実質的に含まない。
【0056】
「相同な」という語は、ポリヌクレオチドを記述するのに使用される場合、2つのポリヌクレオチド又はその指定された配列が、最適に整列され比較された時点で、ヌクレオチドの少なくとも70%、通常は約75%〜99%そしてより好ましくは少なくとも約98〜99%において適切なヌクレオチド挿入又は欠失を伴って同一であることを表わしている。
ポリペプチドを記述するのに用いられる「類似性」は、1つのポリペプチドのアミノ酸配列及び保存されたアミノ酸置換体を第2のポリペプチドの配列と比較することによって決定される。
【0057】
「ポリメラーゼ連鎖反応」又は「PCR」という語は、DNAの特異的小片が、1987年7月28日付の米国特許第4,683,195号の中で記述されている通りに増幅される手順を意味する。一般的には、オリゴヌクレオチドプライマを設計できるように、問題のポリペプチドフラグメントの末端又はそれ以降からの配列情報が利用可能であることが必要である。これらのプライマは、互いに指向し合い、増幅されるべき鋳型の相対するストランドと配列が同一又は類似していることになる。2つのプライマの5つの末端ヌクレオチドは、増幅された材料の端部と一致することになる。全ゲノミックDNAからの特異的DNA配列、全細胞RNAから転写されたcDNA、プラスミド配列などを増幅するために、PCRを使用することができる。(一般的には、Mullis et al., Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol, 51:263.1987;Erlich, ed., PCR Technology, Stockton Press, NY.1989を参照のこと)。
【0058】
「緊縮性」は標準的に、約Tm(融点)-5℃(プローブのTmより5°下)からTmより約20℃〜25℃低い温度までの範囲内で発生する。当業者であれば理解できるように、同一のポリヌクレオチド配列を同定又は検出するか又は類似の又は関連するオリゴヌクレオチド配列を検出するために、緊縮性ハイブリダイゼーションを使用することができる。本書で使用されるように、「緊縮性条件」という語は、配列間に少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%の同一性が存在する場合にのみハイブリダイゼーションが発生することになる、ということを意味している。
【0059】
本書で使用される「ハイブリダイゼーション」は、「ポリヌクレオチドストランドが塩基対合を通して相補性ストランドと連合する」プロセスを内含するものとする(Coombs. J., Dictionary of Biotechnology, Stockton Press, New York, N.Y., 1994)。
【0060】
「治療上有効な用量」は、疾病状態の徴候又は条件を改善する、アンチセンス分子及びリボザイムを含めたポリペプチド又はその抗体、アンタゴニスト又は阻害物質の量を意味する。かかる化合物の治療上の効力及び毒性は、例えばED50(個体群の50%において治療上有効である用量)及びLD50(個体群の50%にとって致死的な用量)といったような、細胞培養又は実験動物における標準的な薬学的手順によって決定可能である。治療的効果及び毒性効果の間の用量比は、治療指数であり、これは、ED50/LD50という比として表わすことができる。
本書で使用する「治療する」又は「治療」という語は、前立腺腫瘍成長に付随しておりかつ患者がRG1のレベル低下を必要としている疾病状態を内含する、ヒトの患者における疾病状態の治療を網羅する。
【0061】
発明の詳細な説明
本発明は、なかでも以下で詳述するような新奇のRG1ポリペプチド、rgポリヌクレオチド及びRG1ポリペプチドに向けられた抗体に関する。本発明は、新奇のRG1ポリペプチド及びこれらのRG1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、特に、図2(配列番号2)に記されているアミノ酸配列をもつRG1及び図1(配列番号1)に記されているポリヌクレオチド配列をもつrg1に関する。
【0062】
本発明は同様に、RG1変異体をも包含している。好ましいRG1変異体は、図2(配列番号2)に示されたポリペプチド配列に対する少なくとも70%の類似性(好ましくは少なくとも70%の同一性)、そしてより好ましくは図2(配列番号2)に示されているポリペプチドに対する少なくとも90%の類似性(より好ましくは少なくとも90%の同一性)そしてなお一層好ましくは、図2(配列番号2)に示されているポリペプチド配列に対して少なくとも95%の類似性(さらに一層好ましくは少なくとも95%の同一性)を有するものであり、同様に、少なくとも30個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも50個のアミノ酸を一般に含有するようなかかるポリペプチドの一部分を内含する。
【0063】
予想されたRG1ポリペプチドのためのコーディング配列は、図1(配列番号1)に示されているヌクレオチド配列の5′末端から296塩基対のところで始まる。RG1は、細胞外基質タンパク質のミンジン/F-スポンジンスーパーファミリーに特徴的な3つの構造ドメイン、すなわちそれぞれアミノ酸31〜103及び138〜221を含む2つのスポンジンドメイン(FS1及びFS2)、及びアミノ酸278〜330を含む1つのトロンボスポンジンドメインを含有する。
本発明は、一部には、細胞外基質タンパク質ファミリのもう1つの成員であるラットミンジンとRG1の間の図3に示された構造的相同性に基づいている。RG1のアミノ酸配列はラットミンジンと約89.7%の類似性をもつ。
【0064】
本発明は同様に、一部には、前立腺組織ライブラリ内でのその発現及び前立腺腫瘍ライブラリ内での過剰発現によって実証されるようなRG1の発現プロフィールにも基づいている。この組織プロフィールは、PCRベースのTaqman分析による、正常な組織及び腫瘍組織からの組織標本内でのmRNA発現の分析において見られる。この分析方法は、RG1をコードするmRNAが、その他の組織と比べて前立腺組織内で過剰発現されていることを実証した。
【0065】
ポリヌクレオチド
本発明の1つの態様に従うと、図2(配列番号2)の演繹されたアミノ酸配列をもつRG1ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドが提供されている。
図1(配列番号1)に記されたポリヌクレオチド配列といったような本書で提供されている情報を使用すると、出発材料としてヒトの組織の細胞からのmRNAを用いたcDNAsのクローニング用のものといったような標準的なクローニング及びスクリーニング手順を用いて、RG1ポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチドを得ることができる。本発明を例示するものである図1(配列番号1)のポリヌクレオチド配列は、ヒトの前立腺組織から得たcDNAクローンの中で発見された。
【0066】
Rg1は、Incyte のLifeSeqデータベースを調べることにより、前立腺内で発現された遺伝子として同定された。ヌクレオチド配列は、データベースを検索する目的でIncyte により提供された「タンパク質機能」ツールを用いて、データベースのアノテーション検索により同定された。ヌクレオチド配列は、アノテーション付きデータベース内の細胞付着分子カテゴリーの中に見い出され、f-スポンジンの相同体として記述されていた。データベース内のライブラリーセット中のrg1 ポリヌクレオチド配列の分布をエレクトロニックノーザン分析することで、rg1が前立腺ライブラリ内で高レベルで発現され、正常な組織及び腫瘍組織からのものを含む一定数のその他の組織ライブラリ内ではより低いレベルで発現されることが明らかになった。
【0067】
1つの隣接ポリヌクレオチド配列の形にデータベース内の一組のrg1クローンを組立て、隣接配列を編集した後、予測された組立て済みポリヌクレオチド内で全長コーディング配列が同定された。この配列は、ラットミンジンに対する相同性をもつタンパク質についてコードした。
Incyteクローン1640796、1712252及び1880265を、実験的研究作業のためIncyteから入手し、最も多い5′ヌクレオチド配列を含有するものとしてクローン3360733を同定した。このクローンを完全に配列決定し、これには、予測されたRG1タンパク質のための全コーディング配列が含まれていた。この配列は、図1(配列番号1)に示されている。
【0068】
本発明のポリヌクレオチドは、mRNAといったようなRNAの形をしていてもよいし、或いは又例えば化学合成技術又はその組合せ又は本書に記述されている方法により生成されるか又はクローニングによって得られたcDNA及びゲノミックDNAなどを含めたDNA形態をしていてもよい。DNAは、2本鎖又は1本鎖であり得る。1本鎖DNAは、センスストランドとしても知られるコーディングストランドであってよく、又は、アンチセンスストランドとも呼ばれる非コーディングストランドであってもよい。
【0069】
ポリペプチドをコードする配列は、図1(配列番号1)に示されたポリヌクレオチドのコーディング配列と同一のものであってよい。それは又、遺伝子コードの重複性(同義性)の結果として図2(配列番号2)のポリペプチドをコードする異なる配列を伴うポリヌクレオチドでもありうる。
【0070】
図2(配列番号2)のポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチドには、ポリペプチド自体のためのコーディング配列; 例えば転写、mRNA処理(例えばスプライシング及びポリアデニル化シグナル)において1つの役割を果たす転写された未翻訳配列又は付加的な機能を提供するものといったような付加的なアミノ酸についてコードする付加的なコーディング配列といったような非コーディング5及び3配列及びイントロンを内含する(ただしこれに制限されるわけではない)付加的な非コーディング配列を伴う、ポリペプチドのコーディング配列が内含されうるが、これらに制限されるわけではない。
【0071】
かくして、例えば、ポリペプチドは、ペプチドといったようなマーカー配列に融合されてよく、こうして融合されたポリペプチドの精製が容易になる。本発明のこの態様の或る好ましい実施形態においては、マーカー配列としては、多くが市販されているものの、なかでもpTrcHisBベクター(Invitrogen, Cartsbad, CA)の中に具備されたタグといったようなヘキサヒスチジンペプチドがある。Gentz et al.,(Proc. Natl. Acad. Sci., USA86;821-824, 1989)において記述されているように、例えば、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の適切な精製を提供する。
【0072】
ポリヌクレオチドは、ポリペプチドプラス付加的なアミノ又はカルボキシル末端アミノ酸又は(例えば活性形態が複数のポリペプチド鎖を有する場合)ポリペプチドの内部のアミノ酸であるポリペプチドをコードし得る。かかる配列は、なかでも、前駆体から最終形態へのポリペプチドの処理において1つの役割を果たすことができ、ポリペプチドの走行を容易にすることができ、ポリペプチドの半減期を延長又は短縮でき、又は検定又は産生のためポリペプチドの操作を容易にすることができる。一般にin situ でそうであるように、付加的なアミノ酸を、タンパク質分解酵素によりポリペプチドから離れて処理することができる。
【0073】
本発明はさらに、図2(配列番号2)の演繹されたアミノ酸配列をもつポリペプチドのフラグメント、類似体及び誘導体についてコードする上述のポリヌクレオチドの変異体に関する。ポリヌクレオチドの1変異体は、天然の対立遺伝子変異体といったような天然の変異体であってよく、そうでなければ、天然のことが知られていない変異体でもありうる。ポリヌクレオチドのかかる非天然発生変異体は、ポリヌクレオチド、細胞又は生体に適用されるものを含めた、突然変異誘発技術により作ることができる。
【0074】
この点における変異体の中には、ポリヌクレオチドの置換、欠失又は付加により上述のポリヌクレオチドと異なっている変異体がある。この置換、欠失又は付加には、単数又は複数のポリヌクレオチドが関与しうる。変異体は、コーディング又は非コーディング領域又はその両方において改変され得る。コーディング領域内の改変は、保存的又は非保存的アミノ酸置換、欠失又は付加を産生することができる。
この点における本発明の特に好ましい実施形態としては、図2(配列番号2)に記されているRG1のアミノ酸配列をもつポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、その変異体、類似体、誘導体及びフラグメント及び変異体、類似体及び誘導体のフラグメントが含まれる。
【0075】
さらにこの点で特に好ましいのは、任意の組合せの形での、いくつかの、わずかの、5〜10個の、1〜5個の、1〜3個、2個、1個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されているかアミノ酸残基が全く置換、欠失又は付加されていない図2(配列番号2)のRG1ポリペプチドのアミノ酸配列を有する、RG1の変異体、類似体、誘導体及びフラグメント及びフラグメントの変異体、類似体及び誘導体をコードするポリヌクレオチドである。これらのうち特に好ましいのは、RG1ポリペプチドの特性及び活性を改変しないサイレント置換、付加及び欠失である。同様にこの点において特に好ましいのは、保存的置換である。最も正当に好まれるのは、置換無しで図2(配列番号2)のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
【0076】
本発明のさらに好ましい実施形態は、図2(配列番号2)に記されたアミノ酸配列をもつPG1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと少なくとも70%の同一性をもつポリヌクレオチド及びかかるポリヌクレオチドと相補的であるポリヌクレオチドである。代替的には、最も好ましいのは、PG1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと少なくとも80%の同一性をもつ領域を含むポリヌクレオチド及びそれと相補的なポリヌクレオチドである。この点において、これと少なくとも90%の同一性をもつポリヌクレオチドが特に好ましく、これらの特に好ましいポリヌクレオチドの中でも、少なくとも95%の同一性をもつものが特に好ましい。その上、少なくとも97%の同一性をもつものがきわめて好ましく、そのうち、少なくとも95%のもの、その中でも少なくとも98%のもの、そして少なくとも99%の同一性をもつものが特にきわめて好ましく、少なくとも99%の同一性をもつものがより好ましい。
【0077】
その上、この点において特に好ましい実施形態は、図1(配列番号1)のポリヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドと同じ生物活性を保持するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
本発明はさらに、上述の配列とハイブリッド形成するポリヌクレオチドに関する。この点において、本発明は、特に、上述のポリヌクレオチドに対し緊縮性条件下でハイブリッド形成するポリヌクレオチドに関する。
【0078】
本発明のポリヌクレオチド検定に関して本書で付加的に記述するように、例えば、上述の通りの本発明のポリヌクレオチドは、RG1をコードする全長cDNA及びゲノミッククローンを単離するため及びrg1遺伝子に対する高い配列類似性をもつその他の遺伝子のcDNA及びゲノミッククローンを単離するため、cDNA及びゲノミックDNA用のハイブリダイゼーションプローブとして使用可能である。かかるプローブは一般に、少なくとも15の塩基を含むことになる。好ましくは、かかるプローブは、少なくとも30の塩基を有することになり、少なくとも50の塩基を有することができる。
【0079】
例えば、rg1遺伝子のコーディング領域は、既知のDNA配列を用いて、設計された合成オリゴヌクレオチドプローブを用いて、ライブラリをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドの配列と相補的な配列をもつ標識づけされたオリゴヌクレオチドを用いて、プローブにハイブリッド形成するクローンを同定するべくcDNA又はゲノミックDNAのライブラリをスクリーニングすることができる。
要するに、本発明のポリヌクレオチドは、ポリペプチド、ポリペプチドとリーダー配列(これはプレポリペプチドと呼ぶことができる)をコードすることができる。
【0080】
本発明は同様に、なかでも、ポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチド、ポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチドにハイブリッド形成するポリヌクレオチド、特に緊縮性条件下でハイブリッド形成するものそしてポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチドを増幅するためのPCRプライマといったようなポリヌクレオチドにも関する。これらの点において、好ましいポリヌクレオチドは、以下で論述するように、好ましいポリペプチドフラグメントに対応するポリヌクレオチドである。
【0081】
ポリペプチド
本発明はさらに、図2(配列番号2)の演繹されたアミノ酸配列をもつRG1ポリペプチドに関する。
本発明は同様に、これらのポリペプチドのフラグメント、類似体及び誘導体にも関する。図2(配列番号2)のポリペプチドに言及するときのフラグメント、誘導体及び類似体という語は、ポリペプチドと同じ生物活性を基本的に保持しているポリペプチドを意味する。
本発明のポリペプチドは、組換え型ポリペプチド、天然ポリペプチド又は合成ポリペプチドでありうる。いくつかの好ましい実施形態においては、それは組換え型ポリペプチドである。
【0082】
図2(配列番号2)のポリペプチドのフラグメント、誘導体又は類似体は、(i)アミノ酸残基のうちの単数又は複数のものが、保存されたアミノ酸残基(好ましくは保存されたアミノ酸残基)で置換され、かかる置換されたアミノ酸残基が遺伝子コードによりコードされたものであってもなくてもよいもの、又は (ii)アミノ酸残基の単数又は複数が置換基を内含しているもの、又は (iii)ポリペプチドが、1つのポリペプチドの半減期を増大させるための化合物(例えばポリエチレングリコール)といったようなもう1つの化合物と融合されているもの、又は (iv)リーダー又は分泌性配列又はポリペプチドの精製のために利用される配列といったような、付加的なアミノ酸がポリペプチドに融合されているものであり得る。かかるフラグメント、誘導体及び類似体は、本書の教示から当業者の技能の範囲内に入るものとみなされる。
【0083】
この点において本発明の特に好ましい実施形態としては、図2(配列番号2)に記されたRG1のアミノ酸配列をもつポリペプチド、その変異体、類似体、誘導体及びフラグメント及びフラグメントの変異体、類似体及び誘導体がある。
好ましい変異体としては、保存的アミノ酸置換により基準から変動している変異体がある。かかる置換は、1つのポリペプチド内の一定の与えられたアミノ酸を、同様の特性をもつもう1つのアミノ酸により置換するものである。保存的置換として標準的に見られるのは、脂肪族アミノ酸 Ala, Val, Leu及びIleの間での互いの交換、ヒドロキシル残基Ser及びThrの相互交換、酸性残基Asp及びGluの交換、アミド残基Asn及びGln間の置換、塩基性残基Lys及びArgの交換及び芳香族残基Phe及びTyrの間の交換である。
【0084】
この点においてさらに特に好ましいのは、任意の組合わせの形での、いくつかの、わずかな、5〜10個の、1〜5個の、1〜3個の、2個の、1個のアミノ酸残基が置換、欠失又は付加されているかいかなるアミノ酸残基も置換欠失又は付加されていない図2(配列番号2)のRG1ポリペプチドのアミノ酸配列をもつ、変異体、類似体、誘導体及びフラグメント及びフラグメントの変異体、類似体及び誘導体である。これらのうち特に好ましいのは、RG1ポリペプチドの特性及び活性を改変しないサイレント置換、付加及び欠失である。同様にこの点において特に好ましいのは、保存的置換である。最も正当に好まれるのは、置換無しで図2(配列番号2)のアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
【0085】
本発明のポリペプチド及びポリヌクレオチドは好ましくは、単離された形態で提供され、好ましくは均質になるまで精製される。
本発明のポリペプチドは同様に、図2(配列番号2)のポリペプチドならびにこのポリペプチドに対する少なくとも70%の類似性(好ましくは少なくとも70%同一性)、そしてより好ましくは図2(配列番号2)のポリペプチドに対する少なくとも90%の類似性(より好ましくは少なくとも90%の同一性)そしてなお一層好ましくは、図2(配列番号2)のポリペプチド配列に対して少なくとも95%の類似性(さらに一層好ましくは少なくとも95%の同一性)を有するポリペプチドをも内含し、同様に、少なくとも30個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも50個のアミノ酸を一般に含有するようなかかるポリペプチドの一部分を内含する。
【0086】
当該技術分野において既知のとおり、2つのポリペプチド間の「類似性」は、1つのポリペプチドのアミノ酸配列及びその保存されたアミノ酸置換基を、第2のポリペプチドの配列に比較することによって決定される。
本発明のポリペプチドのフラグメント又は一部分は、ペプチド合成により対応する全長ポリペプチドを産生するために利用でき、従って、フラグメントは、全長ポリペプチドを産生するための中間体として利用できる。
【0087】
フラグメント
本発明のこの態様の好ましい実施形態内に同様に含まれるのは、RG1のフラグメント、最も特定的には図2(配列番号2)のRG1のフラグメント、そして図2(配列番号2)のRG1の変異体及び誘導体のフラグメントを含むポリペプチドである。
この点において、フラグメントは、上述のRG1ポリペプチド及びその変異体又は誘導体のアミノ酸配列の全てではなく一部分と全く同じであるアミノ酸配列をもつポリペプチドである。
【0088】
かかるフラグメントは、「独立型」、すなわちその他のアミノ酸又はポリペプチドの一部でもなく融合されてもいないものであってもよいし、そうでなければ、それがその一部分又は領域を形成しているより大きなポリペプチド内に含まれていてもよい。より大きいポリペプチド内に含まれている場合には、ここで論述されているフラグメントは最も好ましくは単一の連続的領域を形成する。しかしながら、いくつかのフラグメントが単一のより大きなポリペプチド内に含まれることもできる。例えば、いくつかの好ましい実施形態は、宿主内での発現のために設計され、RG1フラグメントのアミノ末端に融合された非相同なプレ及びプロポリペプチド領域及びフラグメントのカルボキシ末端に融合された付加的領域を有する前駆体ポリペプチド内に含まれた本発明のRG1ポリペプチドの1フラグメントに関する。従って、本書で意図された意味の1態様におけるフラグメントは、RG1に由来する融合ポリペプチド又は融合タンパク質の単数又は複数の部分を意味する。
【0089】
本発明のポリペプチドフラグメントの代表的な例としては、約25〜約331個のアミノ酸を有するものを挙げることができる。
この文脈中において、「約」という語には、いずれかの末端部又は両方の末端部のいくつかの、わずかな、5、4、3、又は1個のアミノ酸だけ大きいか又は小さい、特定的に記載された単数又は複数の範囲が含まれる。例えば、この情文脈中で約331個のアミノ酸というのは、25±いくかの、わずかな、5個の、4、3、2又は1個のアミノ酸〜331±いくつかの、わずかな、5個の、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基のポリペプチドフラグメント、すなわち最高で25マイナスいくつかのアミノ酸から331プラス複数のアミノ酸、又最低で25プラスいくつかのアミノ酸から331マイナスいくつかのアミノ酸の範囲を意味する。
【0090】
この点できわめて好ましいのは、いずれかの末端部又は両方の末端部で多くとも5個のアミノ酸を前出の範囲に加減した範囲である。特に好ましいのは前出の範囲に多くとも3個のアミノ酸をいずれかの又は両方の末端部に加減したものである。特にきわめて好ましいのは、いずれか又は両方の末端部でプラスマイナス1のアミノ酸の範囲又は、いかなる付加も欠失も伴わない前出の範囲である。この点において最も好ましいのは、約25〜約331個のアミノ酸のフラグメントである。
【0091】
本発明の特に好ましいフラグメントの中には、RG1のトランケーション突然変異体が含まれる。RG1のトランケーション突然変異体には、図2(配列番号2)に示されている配列のアミノ末端を内含する連続した一連の残基(すなわち連続した領域、部所又は部分)、又はカルボキシル末端を内含する連続した一連の残基の欠失又は、2重切形突然変異体として、アミノ末端を内含するものとカルボキシル末端を内含するものという2つの連続した一連の残基の切除という点を除いて、図2(配列番号2)の配列の変異体又は誘導体が含まれる。
【0092】
上述のサイズ範囲をもつフラグメントも同じく、フラグメント全般の中で特に好ましいトランケーションフラグメントの好ましい実施形態である。
本発明のこの態様において特に好ましいのは、RG1の生物学的及び/又は免疫学的属性によって特徴づけされるフラグメントである。かかるフラグメントには、少なくともアミノ酸31〜103、138〜221、及び278〜330又は例4に記述されているもののような抗体を生成するのに用いられるフラグメントが内含される。
これらの点で好ましいいくつかの領域が、図2(配列番号2)に記されており、図2(配列番号2)に記されているアミノ酸配列の分析により同定される上述のタイプの領域を内含するが、これらに制限されるわけではない。
【0093】
この点においてきわめて好ましいフラグメントとしては、以上で述べた特長といったようないくつかの構造的特長を組合わせるRG1の領域を含むフラグメントがある。この点で、細胞外基板タンパク質のミンジン/スポンジンスーパーファミリの特徴であるアミノ酸31〜103、138〜221及び278〜330をそれぞれおおよそ包含する2つのスポンジン及び1つのトロンボスポンジンドメインは、特に好ましい領域である。かかる領域は、より大きいポリペプチドの中に含まれていてもよいし、或いは又それ自体上述のとおり本発明の好ましいフラグメントであってもよい。この段落で用いた「おおよそ」という語は、フラグメント全般に関して以上で述べた意味を有する。
【0094】
さらに好ましい領域は、RG1の活性を媒介するものである。この点において最も好ましいのは、類似の活性又は改良された活性をもつか又は減少した望ましくない活性をもつものを含めた、RG1の化学的、生物学的又はその他の活性をもつフラグメントである。この点で非常に好ましいのは、RG1を含む、ミンジンファミリーのその他のタンパク質といったような関連するポリペプチドの活性領域に対する配列又は位置又はその両方に関する相同性である領域を含有するフラグメントである。
【0095】
ベクター、宿主細胞及び発現システム
本発明は同様に、本発明のポリヌクレオチドを内含するベクター、本発明のベクターで遺伝子工学処理された宿主細胞そして組換え型技術による本発明のポリペプチドの産生にも関する。かかる技術については、Sambrook et al, 「分子クローニング、実験室マニュアル」Cold Spring Harbor Press, Plainview, N.Y., 1989及びAusubel, F.M. et al., 分子生物学における現行のプロトコル。John Wiley & Sons, New York NY.,1989の中で記述されている。
【0096】
大部分の細胞は、ポリヌクレオチドを取込み本発明のポリペプチドを発現するように遺伝子工学処理されうる。例えば、ポリヌクレオチドを、感染、形質導入、トランスフェクション、トランスベクション及び形質転換といった周知の技術を用いて宿主細胞内に導入することが可能である。ポリヌクレオチドは単独で又はその他のポリヌクレオチドと共に導入できる。かかるその他のポリヌクレオチドは独立して導入すること、同時導入すること又は本発明のポリヌクレオチドに連合した状態で導入することができる。
かくして、例えば、本発明のポリヌクレオチドは、例えば哺乳動物細胞内での同時トランスフェクション及び選択のための標準的な技術を用いて、選択可能なマーカーをコードするもう1つの別のポリヌクレオチドと共に、宿主細胞内にトランスフェクションすることができる。
【0097】
あるいは、ポリヌクレオチドを、宿主内での増殖のため選択可能なマーカーを含有するベクターに連合させることができる。ベクター構成体を、前述の技術により宿主細胞内に導入することができる。一般に、リン酸カルシウム沈降物といったような沈降物の中又は荷電脂質との複合体の中にDNAとしてプラスミドベクターが導入される。宿主の中にポリヌクレオチドを導入するために電気泳動法を使用することもできる。ベクターがウイルスである場合、in vitroでパッケージングすることも又パッケージング細胞内に導入することもでき、このパッケージングされたウイルスを細胞内に形質移入することができる。本発明のこの態様に従ってポリヌクレオチドを作り細胞内にポリヌクレオチドを導入するのに適したさまざまな技術が当業者にとっては周知であり、日常的なものとなっている。
【0098】
かかる技術は、これらを詳述する数多くの実験室マニュアルを例示する上述のSambrook et al.の中で充分に再考されている。本発明のこの態様に従うと、ベクターは例えばプラスミドベクター、1本鎖又は2本鎖ファージベクター、1本鎖又は2本鎖RNA又はDNAウイルスベクターであってよい。かかるベクターは、DNA及びRNAを細胞内に導入するための周知の技術により、ポリヌクレオチド好ましくはDNAとして細胞内に導入され得る。ベクターは、ファージ及びウイルスベクターの場合、同様に、感染及び形質導入のための周知の技術により、パッケージングされた、又は包膜されたウイルスとして細胞内に導入することもでき、好ましくはこのように導入される。ウイルスベクターは、複製応答能をもつか又は複製欠損性であってよい。後者の場合、ウイルス増殖は一般に、相補する宿主細胞内でのみ起こる。
【0099】
いくつかの点でベクターの中でも好ましいのは、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの発現のためのベクターである。一般に、かかるベクターは、発現されるべきポリヌクレオチドに操作可能な形で連鎖された宿主内での発現のために有効なシス作用性制御領域を含む。適切なトランス作用性因子が、宿主により供給されるか、相補するベクターによって供給されるか又はベクター自体によって宿主内への導入時点で供給される。
【0100】
この点において或る種の好ましい実施形態において、ベクターは、特異的発現を提供する。かかる特異的発現は、誘発可能な発現であっても或るタイプの細胞内でのみの発現であっても、又、誘発性、細胞特異的の両方であってもよい。誘発性ベクターの中で特に好ましいのは、温度及び栄養添加剤といったようなとり扱いが容易な環境因子によって発現のために誘導されうるベクターである。原核性及び真核性宿主の中で使用するための構成性及び誘発性発現ベクターを内含する本発明のこの態様に適したさまざまなベクターが周知であり、当業者により日常的に利用されている。
【0101】
工学処理された宿主細胞は、なかでもプロモータを活性化し、形質転換体を選択し又は遺伝子を増幅するために適宜修飾され得る従来の栄養培地内で培養され得る。当業者には、明らかとなるように、本発明のポリペプチドの発現のためには、一般的に発現のために選択される宿主細胞についてこれまで使用されてきた温度、pHなどといったような培養条件が適切であろう。
【0102】
本発明のポリペプチドを発現するためには、さまざまな発現ベクターを使用することができる。かかるベクターには、例えば細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピゾーム、酵母汚染体要素、ウイルス、例えばバキュロウイルス、SV40といったパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏鳥ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、レトロウイルス及びSindbusウイルスといったアルファウイルスから誘導されたベクター、及びコスミド及びファージミドといったようなバクテリオファージ遺伝子要素及びプラスミドから誘導されるものといった上述のものの組合せから誘導されたベクターといったような、染色体、エピソーム及びウイルス由来のベクターが含まれ、これらは全て本発明のこの態様に従って発現のために使用可能である。一般に、宿主の中でポリペプチドを発現するべくポリヌクレオチドを維持し、増殖させ、又は発現するのに適したあらゆるベクターが、この点において発現のために使用可能である。
【0103】
該当するDNA配列は、周知の日常的なさまざまな技術のうちの任意のものによって、ベクター内に挿入されうる。一般に、単数又は複数の制限エンドヌクレアーゼでDNA配列及び発現ベクターを分割しその後、T4DNAリガーゼを用いて制限フラグメントを連合することによって、発現のためのDNA配列が、発現ベクターに連合される。この目的で使用できる制限及び連結のための手順は、当業者にとって周知で日常的なものである。当業者にとっては同じく周知で日常的なものである代替的な技術を用いて発現ベクターを構築するための、この点で適切な手順が、本書の他の箇所で引用されているSambrook et alの中で詳細に記述されている。
【0104】
発現ベクター内のDNA配列は、例えば、mRNA転写を導くためのプロモータを内含する適切な発現制御配列(単複)に操作可能な形で連鎖されている。かかるプロモータの代表としては、周知のプロモータをいくつか挙げただけでも、ファージラムダPLプロモータ、E.coli lac, trp, tac, 及びtrcプロモータ、SV40初期及び後期プロモータ及びレトロウイルスLTRのプロモータが含まれる。本発明のこの態様で使用するためにはここで言及されていない数多くのプロモータが適しており、周知であり、本書中の論述及び例によって示された要領で当業者により容易に利用され得る、ということがわかるだろう。
【0105】
一般に、発現構成体は、転写開始及び終結のための部位を含み、転写された領域内には翻訳のためのリボソーム結合部位を含むことになる。構成体により発現された写しのコーディング部分は、最初に翻訳開始AUGを内含し、翻訳されるべきポリペプチドの末端に適切に位置づけされた終結コドンを内含することになる。
さらに、構成体は、発現を調節すると同時に発生させる制御領域を含有することができる。一般に、数多くの一般的に実践されている手順に従うと、かかる領域は、なかでも結合部位及びエンハンサといったように、転写を制御することによって作動することになる。
【0106】
増殖及び発現のためのベクターは一般に、選択可能なマーカーを内含することになる。かかるマーカーは同様に増幅のために適したものであってもよいし、或いは又、ベクターがこの目的のために付加的なマーカーを含有していてもよい。この点において、発現ベクターは好ましくは、形質転換された宿主細胞の選択のための表現型形質を提供するべく、単数又は複数の選択可能なマーカー遺伝子を含有している。好ましいマーカーとしては、ジヒドロフォレートレダクターゼ、真核細胞培養のためのネオマイシン、ピューロマイシン、又はハイグロマイシン耐性遺伝子及びE.coli及びその他の細菌を培養するためのテトラサイクリン、テオマイシン、カナマイシン又はアンピシリン耐性遺伝子が含まれる。
【0107】
本書の他の箇所で記述されているような適切なDNA配列ならびに適切なプロモータ及びその他の適切な制御配列を含有するベクターは、所望のポリペプチドを中で発現させるのに適した周知のさまざまな技術を用いて、適切な宿主の中に導入され得る。適切な宿主の代表例としては、E.coli, Streptomyces及びSalmonella typhimunum細胞といったような細菌細胞;酵母細胞といった真菌細胞;Drosophila S2及びSpodoptera Sf9細胞といったような昆虫細胞;CHO、COS及びBowes黒色腫細胞といったような動物細胞;そして植物細胞、好ましくは昆虫細胞BTI-TN-5B1-4が含まれる。さまざまな発現構成体のための宿主が周知であり、当業者であれば、当該開示により、本発明のこの態様に従ってポリペプチドを発現するための宿主を選択することが容易にできるようになるだろう。
【0108】
発現のためにさまざまな哺乳動物細胞培養システムを利用することも同様に可能である。哺乳動物の発現システムの例としては、サル腎臓線維芽細胞のCOS-7系統が含まれる(Gluzman et al., Cell23:175, 1991)。相容性あるベクターを発現する能力をもつその他の細胞系統としては、例えば、C127、3T3、CHO、HeLa、ヒト腎臓293及びBHK細胞系統が含まれる。哺乳動物の宿主細胞内では、一定数のウイルスベースの発現システムが利用可能である。
【0109】
アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合には、RG1についてコードするポリヌクレオチド配列を、後期プロモータ及び三連リーダー配列から成るアデノウイルス転写/翻訳複合体へと連結することができる。ウイルスゲノムの可欠E1又はE3領域内への挿入の結果、感染を受けた宿主細胞内でRG1を発現する能力をもつ生存可能なウイルスがもたらされることになる(Logar 及び Shenk, Proc. Natl. Acad. Sci.USA 81;3655-59, 1984)。さらに、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサといったような転写エンハンサを、哺乳動物宿主細胞内の発現を増大するために使用することができる。
【0110】
より特定的には、本発明は同様に、上述の配列のうちの単数又は複数を含む発現構成体といったような組換え型構成体も内含する。該構成体は、本発明のかかる配列が挿入されたプラスミド又はウイルスベクターといったようなベクターを含む。配列は、順方向又は逆方向に挿入可能である。この点で、いくつかの好ましい実施形態においては、構成体はさらに、例えば配列に操作可能な形で連鎖されたプロモータを内含する調節配列を含んで成る。当業者には、多数の適切なベクター及びプロモータが既知のものであり、又本発明において使用するのに適した市販のベクターが数多く存在する。
【0111】
市販されている以下のベクターは、一例として提供されるものである。細菌中で使用するために好ましいベクターとしては、Qiagen USA(Valencia, CA)から入手可能であるpQE70、pQE60及びpQE-9;Stratagene (La Jolla, CA)から入手可能なpBSベクター、Phagescript(商標)ベクター、Bluescript(商標)ベクター、pNH8A、pNH15a、pNH18A、pNH46A、及びPharmacia Biotech (Piscataway, N.J.)から入手可能なptrc99a, pK223-3, pKK233-3, pDR54O, pRIT5がある。最も好ましいのは、In vitrogen から入手可能なpTrcHisBベクターである。
【0112】
好ましい真核性ベクターとしては、Stratageneから入手可能なpWLNEO, pSV2CAT, pOG44, PXTI及びpSG;及びPharmacia Biotech から入手可能なPSVK3, pBPV, pMSG及びpSVLがある。最も好ましいのは、Promega から入手可能なpClneoベクターである。これらのベクターは、単に本発明のこの態様に従って使用するため当業者にとって利用可能な数多くの市販の及び周知のベクターの一例として列挙されているにすぎない。例えば、宿主の中での本発明のポリヌクレオチド又はポリペプチドの導入、維持、増殖又は発現に適したその他のあらゆるプラスミド又はベクターを本発明のその態様において使用できるということがわかるだろう。
【0113】
候補のプロモータフラグメントすなわち1つのプロモータを含有しうるフラグメントを導入するための単数又は複数の制限部位の下流に、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(「cat」)転写単位といったようなプロモータ領域が欠如したリポータ転写単位を含有するベクターを用いて任意の所望の遺伝子からプロモータ領域を選択することができる。周知のように、cat 遺伝子の上流側で制限部位にプロモータ含有フラグメントをベクター内に導入することによって、標準的CAT検定により検出可能なCAT活性の産生がもたらされる。この目的に適したベクターは周知であり、容易に利用できる。2つのかかるベクターとしてはPKK232-B及びPCM7がある。かくして、本発明のポリヌクレオチドの発現のためのプロモータには、周知の容易に利用可能なプロモータのみならず、リポータ遺伝子を用いて以上の技術により容易に得ることのできるプロモータも内含される。
【0114】
本発明に従ったポリヌクレオチド及びポリペプチドの発現に適した認知の細菌プロモータとしてはE.coli lacl及び lacZプロモータ、T3及びT7プロモータ、T5tac プロモータ、ラムダ PR, PLプロモータ、trpプロモータ及び、trp 及び lacプロモータから誘導されるtrcハイブリッドプロモータがある。この点で適切な既知の真核性プロモータとしては、CMV前早期プロモータ、HSVチミジンキナーゼプロモータ、初期及び後期SV40プロモータ、レトロウイルスLTRのプロモータ例えばラウス肉腫ウイルス(「RSV」)及びメタロチオネインプロモータ例えばマウスメタロチオネイン-1プロモータがある。
【0115】
宿主細胞内の発現のための適切なベクター及びプロモータの選択は、周知の手順であり、発現ベクター構築、宿主内へのベクターの導入及び宿主内での発現のための必須の技術は、当該技術分野における日常的な技能である。
一般に、組換え型発現ベクターは、複製起点、下流構造配列の転写を導くための高度に発現された遺伝子から誘導されたプロモータ及びベクターに対する露呈の後ベクター含有細胞の単離を可能にするための選択可能なマーカーを内含することになる。
【0116】
本発明は同様に、上述の構成体を含有する宿主細胞にも関する。宿主細胞は、哺乳動物細胞といった高等真核細胞又は酵母細胞といったような下等真核細胞であり得、そうでなければ宿主細胞は、細菌細胞といったような原核細胞であってもよい。宿主細胞内の構成体は、組換え型配列によってコードされる遺伝子産物を産生するために従来の要領で使用できる。
【0117】
ポリペプチドを、哺乳動物細胞、酵母、細菌又はその他の細胞内で適切なプロモータの制御下で発現させることができる。細胞を含まない翻訳システムも同様に、本発明のDNA構成体から誘導されたRNAを用いてかかるタンパク質を産生するために利用することができる。原核性及び真核性宿主で使用するための適切なクローニング及び発現ベクターが、本書の他の箇所で引用されているSambrook et al. により記述されている。
【0118】
高等真核動物による本発明のポリペプチドをコードするDNAの転写は、ベクター内にエンハンサ配列を挿入することにより増大され得る。エンハンサは、一定の与えられた宿主細胞型内のプロモータの転写活性を増大させるように作用する通常約10〜300bpのDNAのシス作用性要素である。エンハンサの例としては、bp100〜270で複製起点の後期側にあるSV4Oエンハンサ、サイトメガロウイルス初期プロモータエンハンサ、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサ、及びアデノウイルスエンハンサが含まれる。
【0119】
本発明のポリペプチドの非相同性構造配列をコードする本発明のポリヌクレオチドは一般に、発現のためプロモータに操作可能な形で連鎖されるような形で標準的技術を用いてベクター内に挿入されることになる。ポリヌクレオチドは、転写開始部位が、リボソーム結合部位に対し5′のところに適切に位置設定されるような形で、位置づけされることになる。リボソーム結合部位は、発現されるべきポリペプチドの翻訳を開始するAUGに対し5′のところにくる。一般に、通常AUGである開始コドンで始まり、リボソーム結合部位と開始AUGの間にある読取り枠は他に何もない。同様に、一般にはポリペプチドの末端には翻訳停止コドンがあり、転写された領域の3′末端には、ポリアデニル化シグナルと転写終結シグナルが適切に配置されることになる。
【0120】
小胞体の管腔内、周辺質空間内又は細胞外環境内への翻訳されたタンパク質の分泌のためには、発現されたポリペプチドの中に適切な分泌シグナルを取込むことができる。シグナルは、ポリペプチドに対し内因性であってよく、そうでなければ、非相同シグナルであってもよい。ポリペプチドは融合タンパク質といったような修飾された形態で発現され得、分泌シグナルのみならず、付加的な非相同機能領域を内含することができる。かくして例えば、付加的なアミノ酸、特に荷電アミノ酸の1領域をポリペプチドのN末端に添加して、精製中又はその後の取扱い及び保管中の宿主細胞内で安定性及び持続性を改善することができる。同様に、精製を容易にするため、ポリペプチドに対し特別な領域を添加することもできる。かかる領域は、ポリペプチドの最終的調製に先立って除去することができる。
【0121】
なかでも分泌又は排泄を生み出すため、安定性を改善するためそして精製を容易にするためのポリペプチドに対するペプチド半分の付加は、当該技術分野において親しみのある日常的な技術である。例えば、大量のRG1が抗体誘発のために必要とされる場合、容易に精製される融合タンパク質の高レベル発現を導くベクターが望まれるかもしれない。かかるベクターには、ハイブリッドタンパク質が産生されるような形でアミノ末端Met及びそれに続くβガラクトシダーゼの7つの残基のための配列と同一枠内にあるベクターへとrg1コーディング配列が連結されうる、Bluescript(商標)(Stratagene)といったような多機能E.coliクローニング及び発現ベクター;pINベクター(Van Heede and Shuster, J.Biol. Chem.264:5503-5509, 1989)が含まれるが、これらに制限されるわけではない。
【0122】
高速精製のためのポリヒスチジン(6xHis)タグを含有する融合タンパク質として外来性ポリペプチドを発現するために、PTrcHisベクター(Invitrogen, Garlsbad, CA)を使用することができる。かかるシステム内で作られたタンパク質は、問題のクローニングされたポリペプチドが融合ペプチド半分から意のままに放出され得るような形で、エンテロキナーゼ分割部位といったような分割部位を内含するように設計されている。
【0123】
適切な宿主菌株の形質転換及び適切な細胞密度までの宿主菌株の成長の後、存在する場合には誘発性プロモータが、適切な手段(例えば温度シフト又は化学誘発物質に対する露呈)により誘発され得、細胞をさらなる期間にわたり培養することができる。
標準的には細胞は、このとき遠心分離により収獲され、物理的又は化学的手段により分断され、結果として得られた粗製抽出物はさらなる精製のために保持される。
タンパク質の発現において利用される微生物細胞は、凍結-解凍サイクル循環、超音波処理 機械的分断又は細胞溶解作用物質の使用を含む任意の適切な方法において分断可能である。
【0124】
RG1ポリペプチドは、硫酸アンモニウム又はエタノール沈降、酸抽出、アニオン又はカチオン交換、クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、親和性クロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ及びレクチンクロマトグラフィを含む周知の方法により、組換え型細胞培養から回収及び精製可能である。最も好ましくは、精製のためには、高性能液体クロマトグラフィ(「HPLC」)が利用される。
【0125】
タンパク質を再フォールディングするための周知の技術を利用して、単離及び/又は精製中にポリペプチドが変性された時点で活性の立体配座を再生することが可能である。当該技術分野において周知のさまざまなその他のタンパク質精製方法としては、Deutscher M., 酵素学的方法、第182巻、Academic Press, San Diego, 1982;及びScopes, R., タンパク質の精製;原理と実践Springer-Vertag, New York, 1982に記述されているものが含まれる。
【0126】
あるいは、固相技術を用いた直接的ペプチド合成により、本発明のポリペプチドを産生することができる(Stewart et al., 固相ペプチド合成、W.H.Freeman Co., San Francisco, 1969, Merrifield, J., J.Am. Chem. Soc. 85:2149-2154, 1963)。手動技術を用いて又はオートメーションにより、In vitro タンパク質合成を実施することができる。自動化された合成は、例えばApplied Biosystems431Aペプチド合成装置(Perxin Elmer, Foster City, Calif) を用いて達成することができる。RG1のさまざまなフラグメントを化学的に別々に合成し、化学的方法を用いて組合わせて全長分子を生成することができる。
【0127】
本発明のポリペプチドは、天然に精製された産物、化学的合成手順の産物及び例えば細菌、酵母、高等植物、昆虫及び哺乳動物細胞を含む原核又は真核宿主から組換え技術により産生された産物を内含する。組換え型産生手順で利用される宿主に応じて、本発明のポリペプチドをグリコシル化することも又非グリコシル化することもできる。さらに、本発明のポリペプチドは、宿主媒介されたプロセスの結果として、一部のケースでは初期修飾済みメチオニン残基を内含することもできる。
【0128】
PG1 ポリペプチド及びそれらをコードするポリヌクレオチドの使用
さまざまな応用分野、特にRG1の化学的及び生物学的特性を利用する応用分野のために、本発明に従ったRg1ポリヌクレオチド及びRG1ポリペプチドを使用することができる。付加的な応用分野は、前立腺癌といったような細胞増殖疾患の診断及び治療に関わるものである。本発明のこれらの態様は、以下の論述によりさらに例示され、該明細書の本文中でさらに説明される。
【0129】
本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチド配列の使用の原理は、一部には本書で開示されているRG1とその他の細胞外基質分子の間の化学的及び構造的相同性、及びその他の組織と比較した前立腺組織内のRG1の優先的発現に基づいている。前立腺組織の不適切な成長に付随する身体条件、障害又は疾病の診断及び治療においてRG1を使用することができる。これらには、癌及び転移性腫瘍成長が含まれると思われるが、これらに制限されるわけではない。
DNAプローブとして及びアンチセンス及びリボザイム療法のための標的として又は、アンチセンスポリヌクレオチドの産生のための鋳型として、Rg1ポリヌクレオチド配列を使用することができる。
【0130】
RG1ポリペプチドは、細胞中のRG1ポリペプチドのレベルを検出する上で、及び一次及び転移性腫瘍に対し薬物をターゲティングする上で有用でありうるRG1に対する抗体を生成するのに使用可能である。
RG1ポリペプチドは、RG1含有細胞に対する免疫応答を刺激するために使用可能である。
RG1をコードするポリヌクレオチドは、細胞及び組織の中のRG1をコードするポリヌクレオチドのレベルを検出するために、診断検定において有用でありうる。
【0131】
前立腺癌といったようなRG1の発現に付随する条件下では、RG1の発現又は活性を抑えることが有利でありうる。RG1発現は、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はリボザイムの投与により抑えることができる。代替的には、その活性の原因であるRG1ポリペプチドの部域を特異的に認識する抗体をRG1活性に付随する疾病又は身体条件を治療するために投与することができる。
【0132】
ポリヌクレオチドの検定
本発明は同様に、例えば診断試薬といったような相補的ポリヌクレオチドを検出するためのrg1関連ポリヌクレオチドの使用にも関係する。疾病状態に付随するrg1ポリヌクレオチドの検出は、RG1の組織特異的発現の結果もたらされる、1つの疾病の診断又は1つの疾病に対する罹病性を付加又は定義できるin vitro及びin vivo 診断を開発するための1つのツールを提供することになる。
【0133】
RG1をコードする遺伝子内に突然変異を有する個体は、さまざまな技術によりDNAレベルで検出可能である。診断のためのポリヌクレオチド標本は、血液、尿、唾液、組織生検材料及び剖検材料といったような患者の細胞から得られる。ゲノミックDNは、検出のため直接使用することもできるし又分析に先立ちPCRを用いることにより酵素的に増幅することもできる(Saiki et al., Nature, 324:163-166, 1986)。RNA又はcDNAも又、同じ要領で使用することができる。一例としては、rg1発現及び突然変異を同定し分析するために、RG1をコードするポリヌクレオチド配列に相補的なPCRプライマを使用することができる。
【0134】
例えば、正常な遺伝子型に比較した増幅された産物のサイズ変化により、欠失及び挿入を検出することができる。増幅されたDNAを放射線標識づけされたrg1 RNA又は代替的には放射性標識づけされたrg1アンチセンスDNA配列に対してハイブリド形成させることにより点突然変異を同定することができる。完全に整合した配列はRNase A消化又は融点の差により、非整合2重鎖から区別できる。
【0135】
突然変異をもつ単数又は複数の遺伝子間の配列差も直接的DNA配列決定により明らかにすることができる。さらに特異的DNAフラグメントを検出するためのプローブとして、クローニングされたDNAセグメントを利用することができる。かかる方法の感応性は、PCR又はもう1つの増幅方法を適切に使用することによって大幅に増強させることができる。例えば、修正されたPCRによって生成された1本鎖鋳型分子又は2本鎖PCR産物と共に、配列決定用プライマが使用される。配列決定は、放射線標識づけされたポリヌクレオチドを用いた従来の手順によってか又は螢光タグを用いた自動配列決定手順によって実施される。
【0136】
DNA配列の差異に基づく遺伝的試験は、変性剤を伴って又は伴わずに、ゲル内のDNAフラグメントの電気泳動易動度の改変を検出することによって、達成可能である。高解像度ゲル電気泳動により、小さい配列欠失及び挿入を視覚化することができる。異なるDNAフラグメントの易動性がその特異的融点又は部分的融点に従って異なる位置でゲル内で遅延されている変性用ホルムアミド勾配ゲル上で、異なる配列のDNAフラグメントを区別することができる(例えば、Myers et al., Science.230'1242.1985)。
【0137】
特異的場所での配列変化は、RNase及びS1保護又は化学的分割方法といったようなヌクレアーゼ保護検定により明らかにすることもできる(Carton et al., Proc.Natl.Acad. Sci., USA, 85;4397-4401, 1985)。
かくして、ハイブリダイゼーション、RNase 保護、化学的分割、直接的配列決定又は制限酵素の使用といったような方法により、特異的、DNA配列の検出が達成できる(例えば制限フラグメント長多形現象(「RFLP」)及びゲノミックDNAのサザンブロット法)。
より慣用的なゲル電気泳動法及びDNA配列決定に加えて、in situ分析により突然変異を検出することもできる。
【0138】
ポリペプチド検定
本発明は同様に、正常な及び異常なレベルの決定を含め、細胞及び組織及び体液中のRG1ポリペプチドのレベルを検出するための数量的及び診断的検定といったような診断用検定にも関する。かくして、例えば、正常な対照組織標本に比べたRG1ポリペプチドの過剰発現を検出するための本発明に従った診断用検定を、例えば前立腺癌といったような新形成の存在を検出するために使用することができる。かかる診断テストは、転移性腫瘍成長を検出するためにも使用可能である。
【0139】
1つの宿主に由来する標本内で本発明のRG1ポリペプチドといったようなポリペプチドのレベルを決定するために使用できる検定技術は、当業者にとって周知のものである。かかる方法には、放射免疫測定法(RIA)、競合結合測定法、ウェブスタンブロット分析、及び酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)及び螢光活性化細胞選別(FACS)が含まれる。これらのうち、ELISAが好まれることが多い。ELISA検定は当初、RG1に特異的な抗体、好ましくはモノクローナル抗体を調製することを含む。さらに、モノクローナル抗体に結合するリポータ抗体が一般に調製される。リポータ抗体は、この例ではホースラディッシュペルオキシダーゼ酵素である、放射性、螢光性又は酵素性試薬といったような検出可能な試薬に対し付着される。
【0140】
ELISAを実施するためには、宿主から標本をとり出し、例えば標本内でポリペプチドに結合するポリスチレン皿といったような固体支持体上で標本をインキュベートする。このとき、ウシ血清アルブミンといったような非特異的タンパク質でインキュベートすることにより、皿上の任意の遊離ポリペプチド結合部位をカバーする。その後、モノクローナル抗体を、皿の中でインキュベートさせ、その間にモノクローナル抗体は、ポリスチレン皿に付着したあらゆるRG1ポリペプチドに付着する。
【0141】
未結合モノクローナル抗体を、緩衝液で洗い流す。ホースラディッシュペルオキシダーゼに連鎖されたリポータ抗体を皿の中に入れ、その結果、リポータ抗体はRG1に結合したあらゆるモノクローナル抗体に結合する。未付着のリポータ抗体を次に洗い流す。比色基質を含むペルオキシダーゼ活性用試薬を次に皿に添加する。一次及び二次抗体を通してRG1に連鎖された不動化ペルオキシダーゼが、着色された反応生成物を生成する。一定の与えられた時間内で顕色した染料の量が、標本中に存在するRG1ポリペプチドの量を表わす。定量的結果は、一般的に、標準曲線を参照することで得られる。
【0142】
RG1に特異的な抗体が固体支持体に付着され、標識づけされたRG1及び宿主由来の標本が固体支持体上を通過させられ、固体支持体に付着した検出済み標識の量を標本中のRG1の数量と相関させることのできる、競合検定を利用することができる。
これらの及びその他の検定は、なかでも、Hampton et al.(血清学的方法、実験室マニュアル、APS Press, StPaul. Minn, 1990)and Maddox et al.(J.Exp.Med.158;12111.1983)中で記述されている。
【0143】
抗体
本発明は、さらに、ここでRG1抗体と呼ばれているRG1に特異的に結合する抗体にも関する。前立腺組織内及びその細胞表面の場所のRG1の過剰発現は、スクリーニング、診断、予後、追従検定及び画像化方法のための優れたマーカーの特徴を表している。その上、これらの特徴は、RG1が、ターゲティングされた抗体療法、免疫療法及び遺伝子療法といったような治療方法のためのすぐれた標的でありうることを示している。ここで使用する「〜に特異的に結合する」という語は、ポリペプチド上の特定の構造(すなわち抗原決定基又はエピトープ)の存在に左右される、抗体及びポリペプチドの相互作用を意味する。換言すると、抗体は、タンパク質全般ではなくむしろ特異的ポリペプチド構造に対し認識性、結合性をもつ。
【0144】
RG1ポリペプチド、そのフラグメント又はその他の誘導体又はその類似体又はそれらを発現する細胞は、それに対する抗体を産生するための免疫原として使用できる(Harlow, Antibodies, Cold Spring Harbor Press, NY(1989))これらの抗体は、例えば、ポリクローナル又はモノクローナル抗体であり得る。本発明は、同様に、キメラ抗体、1本鎖抗体、ヒト化抗体、及びヒト抗体ならびにFabフラグメント又はFab発現ライブラリの産物をも内含する。当該技術分野において認知のさまざまな手順を、かかる抗体及びフラグメントの産生のために使用することができる。
【0145】
本発明の1配列に対応するポリペプチドに対して生成された抗体は、動物の体内へのポリペプチドの直接的注射によってか又は、動物、好ましくはヒト以外の動物に対し該ポリペプチドを投与することによって得ることができる。このようにして得られた抗体はこのときポリペプチド自体と結合することになる。この要領で、全未変性ポリペプチドと結合する抗体を生成するために、該ポリペプチドのフラグメントのみをコードする配列さえ使用することができる。かかる抗体はこのとき、そのポリペプチドを発現する組織からポリペプチドを単離するために使用できる。
【0146】
モノクローナル抗体の調製のためには、連続細胞系統培養によって産生された抗体を提供するあらゆる技術を使用することができる。その例としては、ハイブリドーマ技術(Kohter and Milstein, Nature 256:495-497, 1975)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al. Immunology Today 4:72, 1983)及びヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al., in Monoclonal Antibodies and Cancer, Alan R. Liss, Inc., 77-96, 1985)が含まれる。
【0147】
さらに「キメラ抗体」産生、適切な抗原特異性及び生物活性をもつ分子を得るためのヒト抗体遺伝子に対するマウス抗体遺伝子のスプライシングのための技術も使用可能である(Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA 81:6851-6855, 1984;Neuberger et al., Nature 312:604-608, 1984;Takeda et al., Nature 314 452-454, 1985)。代替的には、1本鎖抗体の産生のために記述された技術(米国特許第4,946,778号)を、RG1特異的1本鎖抗体の産生に適合させることもできる。
【0148】
さらに、本書にその全体が参考として内含されている米国特許第5,877,397及び5,569,825号の中に記述された方法を用いて、「ヒト」抗体を産生することができる。
抗体は同様に、リンパ球個体群内でin vivo産生を誘発することによってか又は、Orland et al.(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86;3833-3837, 1989)及びWinter and Milstein (Nature 349:293-299, 1991)に開示されているようにきわめて特異的な結合試薬の組換え型免疫グロブリンライブラリ又はパネルをスクリーニングすることによって産生され得る。
【0149】
RG1についての特異的結合部位を含有する抗体フラグメントも同様に生成可能である。例えば、かかるフラグメントとしては、抗体分子のペプシン消化により産生されうるF(ab′)2 フラグメント及びF(ab′)2 フラグメントのジスルフィド架橋を還元することで生成可能なFabフラグメントが含まれるが、これらに制限されるわけではない。代替的には、所望の特異性をもつモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ容易な同定を可能にするように、Fab発現ライブラリを構築することができる(Huse et al., Science256;1270-1281, 1989)。
【0150】
本書で提示されているRG1のアミノ酸配列は、抗体を生成するためにRG1ポリペプチドの特異的領域を選択するために使用できる。当業者であれば理解できるように、抗体が導かれるRG1ポリペプチドの領域又はエピトープは、意図された応用分野と共に変動しうる。例えば、前立腺細胞上の膜結合したRG1の検出のために免疫検定において使用することを意図された抗体は、RG1ポリペプチド上のアクセス可能なエピトープに向けられるべきである。
【0151】
免疫原性構造を示すRG1ポリペプチドの領域ならびにその他の領域及びドメインは、Chou-Fasman, Garnier-Robson 又はJameson-Wolf分析といったような当該技術分野において既知のさまざまなその他の方法を用いて、容易に同定可能である。これらの残基を含有するフラグメントは、抗RG1抗体を生成する上で特に適している。特に有用なフラグメントとしては、配列PLGGESICSAGAPAKYSIT(配列番号8);MSSDYSMWRKNQYVS(配列番号 10);DAGTDSGFTFSSPNFATIPQDTV(配列番号11);及びNEIVDSASVPET(配列番号12)が含まれるが、これらに制限されるわけではない。これらの領域に対するポリクローナル抗体の生成は、例4に記述されている。
【0152】
本発明のRG1抗体は、前立腺癌の管理のための診断検定、画像化法、及び治療法において特に有用でありうる。本発明は、RG1ポリペプチドの検出及び前立腺癌の診断のために有用なさまざまな免疫学的検定を提供する。かかる検定は一般に、RG1ポリペプチドを認識し結合する能力をもつ単数又は複数のRG1抗体を含んで成る。最も好ましい抗体は、選択的にRG1に結合し、RG1ポリペプチドに結合しない(又は弱く結合する)。該検定には、さまざまなタイプの放射性免疫検定、酵素結合免疫吸着測定法などを含め(ただしこれらに制限されるわけではない)、当該技術分野において周知のさまざまな免疫学的検定方式が含まれる。さらに、標識づけされたRG1抗体を用いた放射性シンチグラフィ画像化方法を含め(ただしこれに制限されない)、前立腺癌を検出する能力をもつ免疫学的画像化方法も同様に本発明によって提供されている。かかる検定は、前立腺癌の検出、監視及び予後において臨床的に有用であり得る。
【0153】
上述の抗体は、ポリペプチドを発現するクローンを単離するか又は同定するため、又は単離及び/又は親和性クロマトグラフィによる精製のための固体支持体に対する抗体の付着により本発明のポリペプチドを精製するために利用可能である。
さらに、RG1抗体は、細胞選別及び精製技術を用いてRG1陽性細胞を単離するために使用することができる。特に、抗体ベースの細胞選別又は親和性精製技術を用いて、例えば異種移植片腫瘍組織から、培養中の細胞から、前立腺癌細胞を単離するためにRG1抗体を使用することができる。本発明のRG1抗体のその他の用途としては、RG1ポリペプチドを模擬する抗イディオタイプ抗体の生成が含まれる。
【0154】
RG1抗体は、前立腺癌又は腫瘍転移の存在を検出するために使用可能である。血清、前立腺及びその他の組織生検試料を含めたさまざまな生物学的標本内のかかるRG1含有細胞の存在は、RG1抗体を用いて検出することができる。さらに、RG1抗体は、Tc-99m(又はその他の同位元素)が接合された抗体を用いて、免疫シンチグラフィといったようなさまざまな画像化方法において使用可能である。例えば、再発性及び転移性前立腺癌腫を検出するために、In-111接合抗PSMA抗体を用いて最近記述されたものに類似する画像化プロトコルを使用することができる(Sodee et al. Clin. Nuc. Med.21;759-766.1997)。
【0155】
本発明のRG1抗体は、検出可能なマーカーで標識づけされるか又は細胞毒性作用物質といったような第2の分子に接合され、かつRG1陽性細胞に対し第2の分子をターゲティングするために使用される(Vitena, E.S. et al., イムノトキシン療法、DeVita, Jr.V.T.et al., eds, 癌;腫瘍学の原理と実践、第4版., J.B. Lippineon Co., Philadelphia, 2624-2636, 1993)。
【0156】
細胞毒性作用物質の例としては、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タクソール、臭化エチジウム、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルチシン、ジヒドロキシアニトラシンディオン、アクチノマイシンD、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素(PE)A、PE40、アブリン及びグルココルチコイド及びその他の化学療法作用物質ならびに放射性同位元素が含まれる。適切な検出可能マーカーとしては、放射性同位元素、螢光化合物、生物発光化合物、化学発光化合物、金属キレート化剤又は酵素が含まれる。
【0157】
適切な放射性同位元素としては以下のものが含まれる:アンチモン-124、アンチモン-125、砒素―74、バリウム-103、バリウム-140、ベリリウム-7、ビスマス-j206、ビスマス-207、カドミウム-109、カドミウム-115m、カルシウム-45、セリウム-139、セリウム-141、セリウム-144、セシウム-137、クロム-51、コバルト-56、コバルト-57、コバルト-58、コバルト-60、コバルト-64、エルビウム-169、ユーロピウム-152、ガドリニウム-153、金-195、金-199、ハフニウム-175、ハフニウム-181、インジウム-11、ヨウ素-123、ヨウ素-131、イリジウム-192、鉄-55、鉄-59。
【0158】
クリプトン-85、鉛-210、マンガン-54、水銀-197、水銀-203、モリブデン-99、ネオジム-147、ネプツニウム-237、ニッケル-63、ニオブ-63、オスミウム-185+191、パラジウム-103、白金-195m、プラセオジミウム-143、プロメチウム-147、プロトアクチニウム-233、ラジウム-2226、レニウム-186、ルビジウム-86、ルテニウム-103、ルテニウム-106、スカンジウム-44、スカンジウム-46、セレニウム-75、銀―110m、銀-11、ナトリウム-22、ストロンチウム-85、ストロンチウム-89、ストロンチウム-90、硫黄-35、タンタル-182、テクネチウム-99m、テルル-125、テルル-132、タリウム-170、タリウム-204、トリウム-228、トリウム-232、錫-113、チタン-44、タングステン-185、バナジウム-48、バナジウム-49、イッテルビウム-169、イットリウム-88、イットリウム-90、イットリウム-91、亜鉛-65、及びジルコニウム95。
【0159】
前立腺癌のための免疫療法
本発明は、抗体療法、in vivoワクチン及びex vivo免疫療法アプローチを含め、前立腺癌を治療するためのさまざまな免疫療法を提供する。1つのアプローチにおいては、本発明は、前立腺癌を治療するべく全身的に使用できるRG1抗体を提供している。例えば、抗体が前立腺癌細胞上で又はその中ではそれと会合した状態でRG1に結合し、補体媒介細胞溶解、抗体依存性細胞毒性、RG1の生理学的機能の改変及び/又はリガンド結合又はシグナル形質導入経路の阻害を含みうるメカニズムによって細胞及び腫瘍の破壊を媒介するような形で、未接合RG1抗体を患者の体内に導入することができる。リシン又は放射性同位元素といったような毒性作用物質に接合されたRG1抗体は同様に、RG1を支持する前立腺腫瘍細胞に対し直接毒性作用物質を送達しかくして腫瘍細胞を破壊するために治療上使用することもできる。
【0160】
RG1抗体を用いた前立腺癌免疫療法は、結腸癌(Anen et al., Crit. Rev.Immunol. 18:133-138, 1998).多発性骨髄腫(Ozaki et al., Blood 90:3179-3186, 1997;Tsunenari et al., Blood 90:2437-2444, 1997)、胃癌(Kasprzyk et al., Cancer Res. 52:2771-2776, 1992),B細胞リンパ腫(Funakoshi et al.Immunther, Emphasis Tumor Immunol.19:93-101, 1996)。白血病(Zhong et al., Leuk. Res.20:581-589, 1996)、結腸直腸癌:(Moun et al., Cancer Res.54:6160-6166, 1994;Velders et al. Cancer Res.55;4398-4403, 1995)、及び乳癌(Shepard et al., J.Clin. Immunol.11:117-127, 1991)を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)その他のタイプの癌に関して成功裡に利用されてきたさまざまなアプローチから生み出された教示に従うことができる。
【0161】
本発明はさらに、RG1ポリペプチド又はそのフラグメントを含有するように処方されたワクチンを提供する。抗癌療法における使用を目的とする体液性及び細胞媒介免疫を生成するためのワクチンにおける腫瘍抗原の使用は、当該技術分野において周知であり、ヒトPSMA及びげっ歯類PAP免疫原を用いて前立腺癌において利用されてきた(Hodge et al., Int. J. Cancer63:231-237, 1995, Fong et al., J.Immunol. 159:3113-3117.1997)。かかる方法は、RG1ポリペプチド又はそのフラグメント、又はRG1コーディング核酸分子及びRG1免疫原を発現しそれを適切に提示する能力をもつ組換え型ベクターを利用することによって、容易に実践できる。
【0162】
例えば、RG1-コーディング核酸分子を送達するために、ウイルス遺伝子送達システムを使用することができる。本発明のこの態様で使用できるさまざまなウイルス遺伝子送達システムには、制限的な意味なく、ワクチニア、鶏痘、カナリア痘、アデノウイルス、インフルエンザ、ポリオウイルス、アデノ関連ウイルス、レンチウイルス及びsindbusウイルスが含まれる(Resilfo. in Curr. Opin, Immunol.8:658-663, 1996)。
【0163】
抗腫瘍応答を誘発するため患者の体内(すなわち筋肉内)に導入されるRG1ポリペプチド又はそのフラグメントをコードする裸のDNAを用いることによって、非ウイルス送達システムを利用することもできる。1つの実施形態においては、全長ヒトrg1cDNAを利用することができる。もう1つの実施形態では、ヒトrg1 cDNAフラグメントを利用することができる。もう1つの実施形態においては、特異的Tリンパ球(CTL)エピトーブをコードするrg1核酸分子を利用することが可能である。CTLエピトープは、特定されたHLA対立遺伝子に対して最適な形で結合する能力をもつRG1ポリペプチドの中でペプチドを同定するために特異的アルゴリズム(例えばEpimer, Brown University) を用いて、決定することができる。
【0164】
さまざまなex vivo 戦略も利用できる。1つのアプローチでは、患者の免疫システムに対する抗原としてRG1ポリペプチドを提示するべく樹枝状細胞を使用することが関与している。樹枝状細胞は、MHCクラスI及びII、B7共同刺激因子及びIL-12を発現し、かくしてきわめて専門化された抗原提示細胞である。前立腺癌においては、前立腺特異的膜抗原(PSMA)のペプチドでパルス送りされた自己樹枝状細胞が、前立腺癌患者の免疫システムを刺激するべく第I期臨床試行において使用されている(Tjoa et al., Prostate 28:65-69, 1996;Murphy et al., Prostate 29:371-380, 1996)。MHCクラスI及びII分子という状況下でT細胞に対してRG1ポリペプチドを提示するために、樹枝状細胞を使用することが可能である。1つの実施形態においては、自己樹枝状細胞が、MHC分子に結合する能力をもつRG1ポリペプチドでパルス送りされる。もう1つの実施形態では、樹枝状細胞は、完全RG1ポリペプチドでパルス送りされる。さらにもう1つの実施形態には、アデノウイルス(Arthur et al., Cancer Gene Ther 4:17-25, 1997)、レトロウイルス(Henderson et al., Cancer Res. 56:3763-3770, 1996)、レンチウイルス、アデノ関連ウイルスといったような当該技術分野において既知のさまざまな実現用ベクターを用いた樹枝状細胞内のrg1遺伝子の過剰発現、DNAトランスフェクション(Ribas et al., Cancer Res, 57:2865-2869, 1997)及び腫瘍由来のRNAトランスフェクション(Ashley et al., J.Exp.Med. 186:1177-1182.1997)を工学処理することが関与している。
【0165】
RG1ポリペプチドを発現する細胞に対する免疫応答を誘発するためのワクチンとして、抗癌療法において、抗イディオタイプ抗RG1抗体を使用することもできる。特定的には、抗イディオタイプ抗体の生成は当該技術分野において周知であり、RG1ポリペプチド上でエピトープを模擬する抗イディオタイプ抗-RG1抗体を生成するように容易に適合させることが可能である(例えばWagner et al., Hybridoma16:33-40, 1997:Foon et al., J.Clin. Invest.96:334-342.1995;Herlyn et al., Cancer Immunol Immunother43:65-76, 1996を参照のこと)。かかる抗イディオタイプ抗体は、現在腫瘍抗原に対して向けられたその他の抗イディオタイプ抗体で実践されている通りの抗イディオタイプ療法において使用することができる。
【0166】
RG1を発現する癌細胞に対して向けられた予防的又は治療的な体液性及び細胞性免疫応答を生成するために、遺伝子免疫化方法を利用することができる。本書で記述されているRG1コーディングDNA分子を使用して、RG1ポリペプチド/免疫原をコードするDNA及び適切な調節配列を含む構成体を個体の筋肉又は皮ふの中に間接的に注入することができ、かくして、筋肉又は皮ふの細胞は、この構成体を摂取し、コードされたRG1ポリペプチド/免疫原を発現することになる。RG1ポリペプチド/免疫原は、細胞表面ポリペプチドとして発現されるか又は分泌され得る。RG1ポリペプチド/免疫原の発現は、結果として前立腺癌に対する予防的及び治療的な体液性及び細胞性免疫の生成をもたらす。当該技術分野において既知のさまざまな予防的及び治療的遺伝子免疫化技術を使用することができる(再考のためには、インターネットアドレスwww.genmeb.comで公開されている情報及び参考文献を参照のこと)。
【0167】
アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスベクター及びリボザイム
rg1に対し相補的なアンチセンスポリヌクレオチドを合成により調製することができる。かかるオリゴヌクレオチドは、細胞内へのアンチセンスオリゴヌクレオチドの摂取を補助することのできる脂質を伴うか又は伴わずに細胞内に送達することができる。
代替的には、アンチセンスrg1を発現することになる組換え型ベクターの構築及び送達のために、レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス又はワクチニアウイルス又はさまざまな細菌プラスミドに由来する発現ベクターを使用することもできる。例えば、Sambrook et al.(前出)及びAusubel et al.(前出)に記述された技術を参照のこと。
【0168】
全長cDNA配列及び/又はその調節要素を含むポリヌクレオチドは、遺伝子機能の調節のためのセンスストランド(Youssoufian及びLodish, Mol.Cell.Biol.13;98〜104, 993)又はアンチセンスストランド(Eguchi, et al., Annu. Rew. Biochem. 60:631-652, 1991)内の調査ツールとして、rg1ポリヌクレオチドを研究者が使用できるようにしている。かかる技術は現在、当該技術分野において周知であり、コーディング又は制御領域に沿ってさまざまな場所からセンス又はアンチセンスオリゴマ又はそれよりも大きいフラグメントを設計することができる。
【0169】
高レベルの所望のrg1ポリヌクレオチドフラグメントを発現する発現ベクターを用いて細胞又は組織をトランスフェクションすることによってRG1をコードする遺伝子をオフ切換えできる。かかる構成体は、翻訳不可能なセンス又はアンチセンス配列で細胞をあふれさせることができる。DNA内への組込みが欠如している場合でさえ、かかるベクターは、内因性ヌクレアーゼによって全てのコピーが無効化されるまでRNA分子を転写し続けることができる。過渡的発現は、非複製ベクターでは1カ月以上、そして該当する複製要素がベクターシステムの一部である場合にはさらに長く持続できる。
【0170】
上述の通り、遺伝子発現の修飾は、プロモータ、エンハンサ及びイントロンといったrg1の領域を制御するようにアンチセンス分子、DNA又はRNAを設計することによって得られる。例えばリーダー配列の-10及び+10領域の間の転写開始部位から誘導されたオリゴヌクレオチドが好ましい。写しがリボソームに結合するのを妨げることによって、mRNAの翻訳を遮断するようにアンチセンス分子を設計することもできる。同様にして、「3重らせん」塩基対合法を用いて阻害を達成することもできる。3重らせん対合は、ポリメラーゼ、転写因子又は調節分子の結合のために充分に開放する2重らせんの能力を脅かす。3重DNAを用いた最近の治療の進歩は、Gee, J.E.et al により再考されている(Huber 及びCar、分子及び免疫学的アプローチFutura Publishing Co., Mt.Kisco. N.Y., 1994内)。
【0171】
リボザイムは、RNAの特異的分割の触媒として作用する能力をもつ酵素的RNA分子である(米国特許第4,987,071;WO93/23057号)。リボザイム作用のメカニズムには、相補的標的RNAに対するリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーションとそれに続く内ヌクレオチド鎖分解性分割が関与している。本発明の範囲内に入るのは、RG1をコードするRNAの内ヌクレオチド鎖分解性分解を特異的かつ効率良く触媒作用することのできる、工学処理されたハンマヘッドモチーフリボザイム分子である。
【0172】
GUA、GUU及びGUCといったような配列を誘発するリボザイム分割部位のための標的分子を走査することによって、あらゆる潜在的RNA標識内の特異的リボザイム分割部位が当初同定される。ひとたび同定された時点で、オリゴヌクレオチドを作動不能にすることのできる二次構造特長について、分割部位を含有する標的遺伝子の領域に対応する15〜20の間のリボヌクレオチドの短かいRNA配列を評価することができる。リボヌクレアーゼ保護検定を用いて相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに対するアクセス可能性をテストすることによって、標的候補の適切性を評価することもできる。(Ine et al., Advance, Pharmacol. 40;207-257, 1997)。
【0173】
本発明のアンチセンス分子及びリボザイムは、RNA分子の合成のための当該技術分野において既知のあらゆる方法によって調製可能である。これらには、固相ホスホアミダイト化学合成といったような、オリゴヌクレオチドを化学合成するための技術が含まれる。代替的には、in vitro及びin vivo転写又はRG1をコードするDNA配列によりRNA分子を生成することができる。かかるDNA配列は、T7又はSP6といったような適切なRNAポリメラーゼプロモータと共に広範囲のベクター内に取込まれ得る。代替的には、細胞系統、細胞又は組織内に、アンチセンスRNAを合成するアンチセンスcDNA構成体を構成的又は誘発可能な形で、導入することができる。
【0174】
細胞内の安定性及び半減期を増大させるために、RNA分子を修飾することができる。可能な修飾としては、分子の5′及び/又は3′末端におけるフランキング配列の付加又は分子のバックボーン内でのホスホジエステラーゼ連鎖ではなくむしろホスホロチオエート又は2′O-メチルの使用が含まれるが、これらに制限されるわけではない。安定性の増加は、内因性エンドヌクレアーゼによってさほど容易に認識されない非伝統的な塩基例えばイノシン及びケオシンならびにアデニン、シチジン、グアニン、チミジン及びウリジンのアセチル-、メチル-、チオ及び類似の形で修飾された形態の封入によっても達成されうる。
【0175】
アンチセンスベクターを細胞又は組織内に導入するための方法には、以下で論述され、in vivo, in vitro及びex vivo療法のために同等に適している方法が内含される。ex vivo療法のためには、本書に参考として開示されている米国特許第5,399,493号及び5,437,994号に紹介されているように患者から取り出した細胞中にアンチセンスベクターを導入し、これらの細胞をクローン増殖させて同じ患者の体内に自家移植し戻す。トランスフェクション及びリポゾーム又はその他の脂質ベースの又は非脂質ベースの作用物質による送達が、当該技術分野において周知である。
【0176】
RG1 に対して結合する作用物質を同定するための検定
本発明は同様に、RG1に結合する作用物質を同定するために使用可能な検定及び方法にも関する。特定的には、RG1に結合する作用物質は、RG1に結合するRG1リガンド又はその他の作用物質又は成分の能力によって及び/又は、RG1活性を阻害/刺激する能力によって同定することができる。
【0177】
あるいは、RG1ポリペプチドに結合する作用物質は、酵母2ハイブリッドシステム又は結合捕捉検定を用いて同定することができる。酵母2ハイブリッドシステムにおいては、2サブユニット転写因子のうちの1つのサブユニット及びRG1ポリペプチドから成る融合タンパク質をコードする発現ユニットが酵母細胞内に導入され発現される。細胞は、(1)その発現に発現用の2サブユニット転写因子が必要とされる検出可能なマーカーをコードする発現ユニット及び (2)転写因子の第2のサブユニット及びDNAのクローニングされたセグメントから成る融合タンパク質をコードする発現ユニットを含有するようにさらに修飾される。DNAのクローニングされたセグメントが、RG1ポリペプチドに結合するタンパク質をコードする場合、発現の結果として、RG1とコードされたタンパク質の相互作用がもたらされる。こうして、転写因子の2つのサブユニットは、結合近接関係に入り、転写因子の再構成が可能となる。こうして、検出可能なマーカーの発現が結果としてもたらされる。酵母2ハイブリッドシステムは、RG1の細胞結合パートナについてcDNAコーディングセグメントのライブラリをスクリーニングする上で、特に有用である。
【0178】
上述の検定において使用できるRG1ポリペプチドには、単離されたRG1ポリペプチド、RG1ポリペプチドのフラグメント、RG1ポリペプチドを発現するべく改変された細胞、又はRG1ポリペプチドを発現するべく改変された細胞の画分が含まれるが、これらに制限されるわけではない。さらに、RG1ポリペプチドは、RG1ポリペプチドのポリペプチド全体であってもその明確な1フラグメントであってもよい。当業者にとっては、KG1ポリペプチドを例えば分子量又は活性の移行によって作用物質の結合について検定できるかぎり、当該検定を使用することが可能であるということは明確であろう。
【0179】
作用物質/細胞成分がRG1ポリペプチドに結合するか否かを識別するのに使用される方法は、主として、使用されるRG1ポリペプチドの性質に基づくことになる。例えば、1つの作用物質がRG1又はそのフラグメントに結合するか否かを決定するには、ゲル遅延検定を使用することができる。代替的には、RG1ポリペプチドと共に使用するために、免疫検出及びバイオチップ技術を採用することもできる。当業者であれば、特定の作用物質がRG1ポリペプチドに結合するか否かを決定するために当該技術分野において既知の数多くの技術を容易に利用できる。
【0180】
さらに、無細胞検定システム又は細胞検定システムを用いてRG1ポリペプチドの活性を変調する能力について、作用物質及び細胞成分をさらにテストすることができる。RG1ポリペプチドの活性がより明確になるにつれて、同定された活性に基づく機能的検定を利用することが可能である。
本書で使用されるように、1つの作用物質は、それがRG1活性を減少させるとき、RG1活性に拮抗すると言われる。好ましいアンタゴニストは、RG1に選択的に拮抗し、その他の細胞タンパク質に全く影響を及ぼさない。その上、好ましいアンタゴニストは、RG1活性を50%以上、より好ましくは90%以上低減させ、最も好ましくはRG1活性を全て除去する。
【0181】
上述の方法で検定される作用物質は、無作為に選択されても、合理的に選択又は設計されてもよい。本書で使用するとおり、1つの作用物質は、それがRG1ポリペプチドの特異的配列を考慮することなく無作為に選択される場合に、無作為に選択されると言われる。無作為に選択される作用物質の一例としては、化学的ライブラリ又はペプチド組合せライブラリの使用又は生体又は植物抽出物の成長ブロスがある。
【0182】
本書で使用されるように、作用物質は、それが標的部位の配列及び/又は作用物質の作用に関連づけしたそのコンフォメーションを考慮に入れる非無作為ベースで選択されるときに、合理的に選択されると言われる。RG1ポリペプチドを作り上げているペプチド配列を利用することによって、作用物質を合理的に選択するか又は合理的に設計することができる。例えば、合理的に選択されたペプチド作用物質は、そのアミノ酸配列がRG1のポリペプチドのフラグメントと同一であるペプチドでありうる。
【0183】
本発明の方法においてテストされる作用物質は、例えばペプチド、抗体、オリゴヌクレオチド、小分子及びビタミン誘導体ならびに炭水化物でありうる。当業者であれば、当該スクリーニング方法で使用される作用物質の構造的性質に関してはいかなる限界も存在しないということを容易に認識することができる。本発明の作用物質の1つのクラスは、RG1ポリペプチドのアミノ酸配列に基づいてそのアミノ酸配列が選択されるペプチド作用物質である。
【0184】
当該技術分野において既知の通り、標準的固相(又は溶体相)ペプチド合成方法を用いてペプチド作用物質を調製することができる。さらに、これらのペプチドをコードするDNAを、市販のオリゴヌクレオチド合成計装を用いて合成し、標準的組換え体産生システムを用いて組換えにより産生することが可能である。いかなる遺伝子もコーディングされていないアミノ酸を内含すべきである場合には、固相ペプチド合成を用いた産生が必要となる。
【0185】
本発明の作用物質のもう1つのクラスは、RG1ポリペプチドの重要な位置と免疫反応性をもつ抗体である。上述のように、抗体によりターゲティングされるべく意図されたRG1ポリペプチドの一部分を抗原性領域として含有する抗体が、ペプチドでの適切な哺乳動物被験体の免疫化により得られる。かかる作用物質は、第2世代の阻害剤を同定しRG1活性を遮断するべく、競合結合研究において使用することができる。
【0186】
本発明の方法においてテストされる細胞抽出物は、一例として、細胞又は組織の水性抽出物、細胞又は組織の有機抽出物又は部分的に精製された細胞画分でありうる。当業者であれば、本発明のスクリーニング方法で使用される細胞抽出物の供給源に関しては全く制限がないということを容易に認識することができる。 RG1抗体といったようなRG1ポリペプチドを結合する作用物質は、RG1の活性を変調させるため、抗癌剤を該当する哺乳動物細胞にターゲティングするため又はRG1との相互作用を遮断する作用物質を同定するために使用可能である。RG1を発現する細胞は、RG1に結合する作用物質を使用することによってターゲティング又は同定され得る。
【0187】
RG1結合作用物質をいかに使用するかは、RG1結合作用物質の性質によって左右される。例えば、RG1結合作用物質は、ジフテリア毒素、コレラ毒素、リシン又はシュードモナス外毒素といったような接合された毒素をRG1発現細胞まで送達し、RG1活性を変調させ、RG1発現細胞を直接殺し、スクリーン内で競合結合用作用物質を同定するために用いることができる。例えば、RG1阻害剤は、RG1結合作用物質が診断的作用物質として使用できるのに対し、RG1発現細胞の成長を直接阻害するために使用可能である。
【0188】
薬学組成物及び投与
本発明は同様に、制限的意味なく食塩水、緩衝食塩水、デキストロース及び水を含むあらゆる無菌の生体適合性ある薬学的担体中で投与されうる安定化用化合物といったような少なくとも1つのその他の作用物質と組合せた形で又は単独で、rg1ポリヌクレオチド、RG1ポリペプチド、抗体、アゴニスト、アンタゴニスト又は阻害物質を含むことのできる薬学組成物にも関する。これらの分子のいずれも、患者に対して、賦形剤(単複)又は薬学的に受容可能な担体とそれが混合される薬学組成物中で、その他の作用物質、薬学又はホルモンと組合わされた形で又は単独で投与されうる。本発明の1実施形態においては、薬学的に受容可能な担体は、薬学的に不活性である。
【0189】
本発明は同様に、薬学組成物の投与にも関する。かかる投与は、経口又は非経口で達成される。非経口送達方法には、局所施用、動脈内(腫瘍に直接)投与、筋肉、皮下、髄内、鞘内、心室内、静脈内、腹腔内又は鼻腔内投与が含まれる。活性成分に加え、これらの薬学組成物は、薬学的に使用可能である調製物への活性化合物の処理を容易にする賦形剤及び助剤を含む適切な薬学的に受容可能な担体を含有することができる。処方及び投与のための技術に関するさらなる詳細は、Remington's Pharmaceutical Sciences (Ed.Maack Publishing Co, Easton, Pa)の最新版に見い出すことができる。
【0190】
経口投与のための薬学組成物は、経口投与のために適切な用量で、当該技術分野において周知の薬学的に受容可能な担体を用いて処方され得る。かかる担体は、患者による経口摂取のため、錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ジェル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして薬学組成物を処方できるようにする。
経口使用のための薬学調製物は、活性化合物と固体賦形剤を組合わせ、任意には結果として得られた混合物を摩砕し、望ましくは錠剤又は糖衣錠コアを得るべく適切な助剤を添加した後顆粒の混合物を処理することによって得ることができる。
【0191】
適切な賦形剤は、炭水化物又はタンパク質充てん剤、例えばラクトース、スクロース、マンニトール又はソルビトールを含む糖;トウモロコシ、小麦、コメ、ジャガイモ又はその他の植物からのでんぷん;メチル、セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はナトリウムカルボキシメチルセルロースといったセルロース;及びアラビアゴム及びトラガカントゴムを含むゴム;及びゼラチン及びコラーゲンといったタンパク質である。望ましい場合、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸又はその塩、例えばアルギン酸ナトリウムといったような壊変剤又は可溶化剤を添加することができる。
【0192】
アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液及び適切な有機溶剤又は溶剤混合物をも含有しうる、濃縮糖溶液といったような適切なコーティングが糖衣錠コアに具備される。錠剤の同定のため又は活性化合物の量すなわち用量を特徴づけするために、錠剤又は糖衣錠コーティングに染料又は顔料を添加することができる。
【0193】
経口的に使用可能な薬学調製物には、ゼラチンで作られた押しばめカプセルならびにゼラチン及びグリセロール又はソルビトールといったようなコーティングで作られた柔軟で密封されたカプセルが含まれる。押しばめカプセルは、ラクトース又はでんぷんといったような充てん剤又は結合剤、タルク又はステアリン酸マグネシウムといったような潤滑剤そして任意には安定化剤と混合された活性成分を含有できる。ソフトカプセル内では、活性化合物は、安定化剤を伴う又は伴わない脂肪油、液体パラフィン又は液体ポリエチレングリコールといった適切な液体中に溶解又は懸濁され得る。
【0194】
非経口投与のための薬学的製剤には、活性化合物の水溶液が内含される。注射のためには、本発明の薬学組成物を水溶液中、好ましくはハンクス溶液、リンゲル溶液又は生理緩衝食塩水といったような生理学的に適合性ある緩衝液の中で処方することができる。水性注射懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール又はデキストランといったような懸濁液の粘度を増大させる物質を含むことができる。付加的には、活性化合物の懸濁液を、適切な油性注射懸濁液として調製することもできる。
【0195】
適切な親油性溶剤又はビヒクルとしては、ゴマ油といったような脂肪油又は油酸エチル又はトリグリセリドといったような合成脂肪酸エステル又はリポゾームが含まれる。任意には、懸濁液は、濃度の高い溶液を調製できるようにするため化合物の可溶度を増大させる作用物質又は適切な安定化剤を含有することもできる。
局所施用又は鼻腔内投与のためには、浸透すべき特定の障壁に適切な浸透剤が処方中に使用される。かかる浸透剤は、一般に当該技術分野において既知である。
【0196】
キット
本発明はさらに、その前述の組成物の成分のうち単数又は複数のもので満たされた単数又は複数のコンテナを含む薬学的パック及びキットに関する。かかるコンテナ(単複)には、ヒトに投与するための製剤の構造、使用又は販売機関による承認を反映する、医薬品又は生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府機関が規定した書式での使用上の注意が付随している。
【0197】
製造及び保管
本発明の薬学組成物は、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、水ひ、乳化、カプセル化、包み込み又は凍結乾燥プロセスを用いて、当該技術分野において既知の要領で製造できる。
薬物組成物は塩として提供されてよく、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、りんご酸、こはく酸などを含む(ただしこれらに制限されるわけではない)酸と共に形成可能である。塩は、対応する遊離塩基形態である水性又はその他のプロトン性溶剤の中でより可溶性を示す傾向にある。その他のケースでは、好ましい調製物は、使用に先立ち緩衝液と組合せられる4.5〜5.5のpH範囲で1mM〜50mMのヒスチジン、0.1%〜2%のスクロース、2%〜7%のマンニトール中の凍結乾燥された粉末でありうる。
【0198】
受容可能な担体中で処方された本発明の化合物を含む薬物組成物を調製した後、これらを、指示された条件の処理のため適切なコンテナ内に入れラベルを付すことができる。RG1の投与のためには、かかるラベル付けは、投与の量、頻度及び方法を内含することになる。
【0199】
治療上の有効用量
本発明で使用するのに適した薬物組成物は、意図された目的すなわち、RG1発現により特徴づけされる特定の疾病状態の治療を達成するのに有効な量で活性成分が含有される組成物を内含する。有効量の決定は、当業者の能力範囲内に充分入るものである。
【0200】
あらゆる化合物について、治療上有効な用量は、当初、細胞培養検定例えば新形成細胞内又は動物モデル、通常はマウス、ウサギ、イヌ又はブタ内のいずれかで推定され得る。動物モデルは同様に、投与の望ましい濃度範囲及び経路を達成するためにも使用される。かかる情報は、次にヒトにおける投与のための有用な用量及び経路を決定するのに使用することができる。
【0201】
治療上の有効用量は、症候又は身体条件を改善するタンパク質又はその抗体、アンタゴニスト、又は阻害物質の量を意味する。かかる化合物の治療上の効力及び毒性は、例えばED50(個体群の50%において治療上有効である用量)及びLD50(個体群の50%にとって致死的な用量)といった細胞培養又は実験動物体における標準的薬学手順によって決定することができる。治療効果と毒性効果の間の用量比が治療指数であり、これは、ED50/LD50の比として表現される。大きな治療指数を示す薬物組成物が好ましい。細胞培養検定及び動物研究から得られたデータは、ヒトでの使用のための用量の範囲を公式化する上で使用される。かかる化合物の用量は、好ましくは、ほとんど又は全く毒性のないED50を含む循環濃度範囲内にある。用量は、利用される用量形態、患者の感受性及び投与経路に応じて、この範囲内で変動する。
【0202】
正確な用量は、治療すべき患者を考慮して個々の医師によって選択される。用量及び投与は活性半分の充分なレベルを提供するか又は所望の効果を維持するべく調整される。考慮に入れることのできる付加的な要因としては、疾病状態の重症度、例えば腫瘍のサイズ及び場所;患者の年令、体重又は性別;食事療法、投与時間及び頻度、薬物組合せ(単複)、反応感受性及び療法に対する寛容度/応答が含まれる。特定の錠剤の半減期及び浄化速度に応じて、長時間作用型薬物組成物を3〜4日に一回、毎週一回又は2週間毎に1回投与することができる。
【0203】
通常の用量は、投与経路に応じて、最高約1gの合計用量まで、0.1〜100,000マイクログラムの間で変動しうる。特定の用量及び送達方法に関する指針が文献中に提供されている。米国特許第4,657,760号;5,206,344号又は5,225,212号を参照のこと。当業者であれば、タンパク質又はその阻害物質の場合とは異なる処方をポリヌクレオチドについて利用することであろう。類似の要領で、ポリヌクレオチド又はポリペプチドの送達は、特定の細胞、条件、場所などに特異的なものとなる。
【0204】
本発明は、さらに以下の例により記述されている。これらの例は、ただ単に、特定の実施形態を参考にして本発明を例示する目的で提供されている。これらの例示は、本発明のいくつかの特定的様相を示しているものの、開示されている本発明の限界を描いた1範囲を限定するものではない。
全ての例は、相反する詳述がある場合を除き、当業者にとって周知のかつ日常的なものである標準的技術を用いて実施された。以下の例の日常的分子生物学技術は、Sambrook et al., 分子クローニング;実験室マニュアル、第2版;Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989といったような標準的な実験室マニュアル内で記述された通りに実施することができる。
【0205】
1.ヒト rg1 ポリヌクレオチドの同定
Rg1は、IncyteのLifeseqデータベースを調べることによって、前立腺中で発現される遺伝子として同定された。ヌクレオチド配列は、データベース検索を目的としてIncyteにより提供された「タンパク質機能」ツールを用いて、データベースのアノテーション検索により同定された。ヌクレオチド配列は、アノテーション付きデータベース中の細胞付着分子のカテゴリー内に見い出され、f-スポンジンの相同体として記述されていた。データベース中の複数ライブラリのセット内におけるrg1ポリヌクレオチド配列の分布をエレクトニックノーザン分析することによって、rg1が、前立腺ライブラリ内において高レベルで発現され、正常な組織及び腫瘍組織由来のものを含む一定数のその他の組織ライブラリ中ではより低いレベルで発現されることが明らかになった。
【0206】
1つの隣接ポリヌクレオチド配列の形にデータベース内の一組のrg1クローンを組み立てかつ、隣接配列を編集した後、予測された組立て済みポリヌクレオチド内で全長コーディング配列を同定した。この配列は、f-スポンジン及びミンジン-2に対するタンパク質相同体をコードした。
Incyteクローン1640796、1712252及び1880265を、実験的研究作業用としてIncyteから入手し、最も多い5'ヌクレオチド配列を含有するものとしてクローン3360733を同定した。このクローンを完全に配列決定し、これには、予測されたRG1タンパク質のための全コーディング配列が含まれていた。この配列は、図1(配列番号1)に示されている。
【0207】
2.Rg1mRNA 発現
正常な組織及び腫瘍細胞からの並びに細胞系統中の様々な標本内でのrg1mRNAの発現を、Taqman検定を用いた半定量的PCRによって決定した(Perin-Elmer)。修正グリーソン分類システムによって分類された前立腺の、正常、良性及び腫瘍組織標本をスタンフォード大学医学部泌尿器科から入手した。これらから、標準的手順によってRNAを単離した。その他の腫瘍及び正常組織からのRNAは、Clonetech及びBiochainを含む商業的な供給元より購入した。前立腺腫瘍細胞系統、(PC-3、LNCaP及びDU145)は、American Type Culture Collection から入手し、血清含有培地を用いて標準方法により培養状態で増殖させた。
【0208】
これらの細胞系統由来の異種移植片腫瘍をヌードマウス内で確立させて、移植から約4〜6週間後にマウスから収穫した。RNAを、標準的手順によって腫瘍から単離した。
プライマ:CGC GCA TAG CTC CGA CTA C(配列番号3)及びGCC GCG TCC GCA AAG(配列番号4)及びTaqmanプローブ-6-FAM-AGG AAG AAC CAG TAC GTC AGT AAC GGG CTG-Tamra(配列番号5)を用いて、TaqmanベースのPCR分析を実施した。
【0209】
これらのプライマーとプローブは、Perkin Elmerの Primer Expressソフトウエアを用いて設計され、Synthetic Geneticsにより合成された。PCR反応を30〜40サイクルにわたって実行し、相対的比較のための標準曲線を生成するべく前立腺RNAを用いて定量した。この分析は、rg1 mRNAが前立腺中で最も豊富に検出され、その他のいくつかの組織中ではこれに比べて著しく低いレベルで検知されることを立証した(図5参照)。
【0210】
3.BHK 細胞内での RG1
Incyteプラスミド3360733から、RG1コーディング領域を入手した。コーディング配列を、1×Pfu Turboポリメラーゼ緩衝液(Stratagen, La Jolla, CA)/200μMdNTPs/0.2μMオリゴヌクレオチドプライマー/2.5U Pfu Turboポリメラーゼ(Stratagene)を用いた標準PCR反応(100μl)の中で、プライマーSST115(5'TCCCTCTAGAGCCACCATGGAAAACCCCAGCCGGC-3')(配列番号6)及びSST113(5'-AAGGCATCACGTGTTAGACGCAGTTATCAGGGACG-3')(配列番号7)でPCR増幅した。PCR増幅条件は、次の通りであった:95℃で3分、(95℃で15秒、60℃で30秒、72℃で2分)×35、72℃で7分。
【0211】
結果として得られたPCR増幅産物を、QIAquick PCR カラム(Qiagen, Valencia, CA)を用いて精製し、Xbal及びPmll制限酵素により消化して、BIO 101 GeneClean Kit (Vista, CA)を用いて1%アガロースゲルから精製された1010bpのフラグメントという結果を得た。精製されたフラグメントは、(Epicientre Fast Link Kit(Epcenter, Madison, WI)を用いて)Xbal及びPmIIで消化された非細胞変性Sindbus発現ベクターpSINrep21(Agapov et al, 1998, PNAS 95: 12989-12994)に連結させ、DH5アルファコンピーテント細胞内に(Life Technologies, Gaithersburg, CA)形質転換させ、アンピシリン(100mg/ml)を含むLB寒天平板上で選択した。このようなアンピシリン耐性コロニーの一つを、アンピシリンと共にLB培地内で成長させ、配列分析によって挿入されたRG1コーディング配列を有していることがわかった。このプラスミドはpPEG6と呼ばれた。
【0212】
製造業者の指示に従って、Lipofectamine Plus 試薬(Life Technologies, Gaithersburg, MD)を用いて1-3×105のウシハムスター腎臓細胞(BHK)細胞をトランスフェクションするために、2マイクログラムのpPEG6を使用した。トランスフェクションの後、細胞を、DMEMプラス胎児血清中で24〜48時間インキュベートし、その時点で細胞を1対10に分割し、ピュロマイシン(最終濃度2.5μg/ml)及びDMEM含有血清を添加することによってプラスミド含有細胞についての選択を開始した。
【0213】
細胞が集密状態になった後(ピュロマイシン添加の4-5日後)細胞をPBSで洗浄し、1対10に分割し、血清と5μg/mlのピュロマイシンと共にDMEM培地を添加した。さらに2〜3日後、血清を伴わずにDMEMと5μg/mlのピュロマイシンで培地を交換し、2〜3日成長させて、RG1抗体を用いたウエスタン分析によって培地中でRG1タンパク質の存在を検出した。RG1タンパク質をμg/mlのレベルで検出した。
【0214】
4.抗体生成
ウサギのポリクローナル抗血清、RG1タンパク質配列由来の5つの合成ポリペプチド配列に対して発生させた。表面エピトープを認識する可能性の高い抗血清を生成する目的で、タンパク質表面で予測されたそれらの位置を理由としてこれらの配列を選択した。合成を助けるために、システイン残基をアミノ酪酸(Abu)で置換した。5つのペプチドについての特異的アミノ酸配列、RG1タンパク質上の位置及び名称は以下に列挙する通りである。
【0215】
Figure 0004979867
【0216】
免疫原として使用するため、付加的カルボキシル末端システインを介してキーホールリムペットヘモシアニン(KLH)に対しペプチドを共有結合でカップリングした。同様にして、ELISAを介した抗血清力価の分析のためにウシ血清アルブミン(BSA)接合体を調製した。
2頭の動物を各ペプチドで免疫化させた。最初の免疫化は、完全フロイントアジュバント(1頭あたり0.5mg)で実施し、その後3週間の間隔をおいて、筋内注射で1頭あたり0.25mgの不完全フロイントアジュバントの追加免疫を適用した。定期的な試験放血を採取し、ELISAによって特異的BSAペプチド接合体に対する抗体力価を測定し、免疫前血清と比較した。ペプチド1C及び3Cに対する抗血清は活性であることがわかった。ペプチド2Cに対する抗血清はRG1ポリペプチドを認識しなかった。4C及び5Cに対する抗血清はテストしなかった。
【0217】
RG1ペプチド及びE.Coli内で発現された6ヒスチジンタグ付きRG1融合タンパク質に対して遺伝子導入マウスを免疫化することによってRG1に対するヒトモノクローナル抗体を生成した。ハイブリドーマ細胞を産生するべく、これらの動物の脾細胞を、骨髄腫細胞と融合させた。結果として得られたハイブリドーマを、RG1ペプチド及びタンパク質に対して向けられた抗体を産生するものについてELISAによってスクリーニングした。
【0218】
5.抗体のウエスタンブロット分析
RG1の特異性についてウエスタンブロット法を介して抗血清をテストした。RG1特異的抗血清(上述の配列1C及び3Cに対して発生させられたもの)を、COS細胞中で過渡的に発現されたRG1上、LNCaP細胞から分泌された未変性RG1上及びトランスフェクションされたベビーハムスター腎臓細胞(BHK)から産生されたRG1上でテストした。RG1特異的抗血清を、LNCaP腫瘍、LNCaP細胞、PC3腫瘍、PC3細胞及びヒト前立腺腫瘍のいくつかの臨床標本、から調製されたリゼイト上でさらにテストした。
【0219】
細胞及び組織を、洗浄剤緩衝液中で溶解させた。5分間沸騰させた後、タンパク質を分解するため12%SDS-ポリアクリルアミドゲル上に各リゼイト10μlを投入した。次に、分離されたタンパク質をニトロセルロース膜に移した。RG1抗体の結合特異性を、相同及び非相同ペプチドの存在下での結合によって確認した。RG-1特異的抗血清は、PC-3細胞及びPC-3腫瘍を除く全ての標本中で該タンパク質を検出することができた。
【0220】
6.LNCaP 細胞から分泌された未変性 RG1 タンパク質の精製
培養状態で成長させたLNCaP細胞は、ウエスタンブロット分析により未変性RG1タンパク質を分泌することがわかった。未変性タンパク質を精製するために、細胞を血清が欠けている培地内で48時間成長させた。無血清調整培地を収穫し、あらゆる細胞を除去するために遠心分離に付し、限外濾過により約50倍に濃縮した。次に濃縮した培地を、pH6.5で20mMの酢酸ナトリウム緩衝液で10倍に希釈し、Q-セファロースアニオン交換カラム上に投入した。2.0mlの分画を収集する間、カラム溶出は塩化ナトリウム勾配(毎分0.5%)で構成されていた。ウエスタンブロット及びSDS PAGEによって決定された通り、RG1タンパク質を約75mMのNaClで溶出させた。未変性RG1タンパク質は、細菌内で発現された6ヒスチジン-RG1融合タンパク質よりもやや低い分子量で走るが、これは恐らく、それに融合ペプチドが欠けているためである。
【0221】
7.RG1 発現の免疫組織化学染色
腎臓、肺、膵臓、筋肉、脳及び前立腺を含むヒトの様々な組織中でLifeSpan Bioscience, Inc.によってRG1タンパク質の発現を決定した。付加的な前立腺組織をスタンフォード大学医学部泌尿器科から入手し、Benexでテストした。標準的手順を用いて組織切片を脱パラフィンした。一次抗体としてポリクローナル抗体RG1-3Cを使用し、検出システムは、ベクターレッド基板キット(Sk5002)を伴うベクターABC-APキット(AK5002)を使用することから成っていた。負の対照として、一次抗体の不在下で染色を行った。
【0222】
以上の明細書中で言及されている全ての刊行物及び特許は、参考として本書に内含される。本発明は、特定の実施形態を参考として記述されてきたが、当業者であれば、本発明の真の精神及び範囲から逸脱すること無く様々な変更を加えること及び等価物で置換することができるということを理解するはずである。さらに、本発明の目的、精神及び範囲に対して、特定の状況、材料、物質組織、プロセス、単数又は複数のプロセス段階を適合させるために多くの修正を加えることも可能である。このような全ての修正は、本書に添付のクレームの範囲内に入るものとして意図されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 RG1の生物学的又は免疫学的に活性な形態をコードするrg1のポリヌクレオチド配列(配列番号1)。
【図2】 F-スポンジンドメインに1本下線を付し、トロンボスポンジンドメインに2本下線を付した、RGの演繹されたアミノ酸配列(配列番号2)。
【図3】 ラットミンジンとRG1のアミノ酸アラインメント。RG1の配列は最上部にある。
【図4】 RG1のポリヌクレオチド及び演繹されたアミノ酸配列。
【図5】 TaqmanベースのPCR分析によるヒト組織内のrg1 mRNAの発現。腫瘍及び正常の両方のヒト組織からのRNAを、標準的技術によって分離した。rg1 mRNA発現を検出するためのプライマ及びプローブは、Perkin ElmerのPrimer Expressソフトウェアを用いて設計し、Synthetic Geneticsが合成した。ヒト前立腺組織内でRg1 mRNAを検出した。例えば肝臓といったようなその他の組織内では、はるかに低いrg1 mRNA発現が検出できた。
【図6】 LNCaP細胞により分泌された未変性RG1タンパク質の精製。LNCaP細胞から分泌された未変性RG1 タンパク質を検出するための、合成RG1ペプチド配列(3C、配列番号10;例4参照)に対し生成された抗血清を用いたウェスタンブロット分析。濃縮LNCaP細胞条件培地のQ-セファロースクロマトグラフィからの溶出画分:(L)カラム投入、(F)カラムフロースルー、(1-12)塩勾配を横断する溶出留分。RG1の予想上の分子量は-36kDであるが、細胞発現されたRG1、BHK発現されたRG1及びLNCaP発現されたRG1タンパク質は全て、PAGE上で-45kDで移動することが観察された(L、画分6-9)。
【図7】 ヒト前立腺組織内のRG1発現の免疫組織化学染色。前立腺組織は、スタンフォード大学医学部の泌尿器科から入手した。染色は、ベクターABC-APキット(AK5002)を用いて実施した。ベクターレッド基板キット(組織-5100)で染色を視覚化し、ヘマトキシリンで対比染色した。結果は、腺形成内での強い管腔周囲膜染色を示している。
【配列表】
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Claims (19)

  1. 配列番号2に示されるRG1のアミノ酸28〜アミノ酸46に特異的に結合する、単離された抗体又はその抗原結合性抗体フラグメント。
  2. 前記抗体フラグメントが、Fv、F(ab')、F(ab')2、及びscFvフラグメントから成るフラグメントの群から選択される、請求項1に記載の抗体フラグメント。
  3. 請求項1又は2に記載の抗体又はその抗原結合性抗体フラグメントを含んでなり、当該抗体又はその抗原結合性抗体フラグメントが治療用作用物質に接合している、免疫接合体。
  4. 請求項1又は2に記載の抗体又はその抗原結合性抗体フラグメントを含んでなり、当該抗体又はその抗原結合性抗体フラグメントが検出可能な標識に接合している、免疫接合体。
  5. 前記治療用作用物質が細胞毒性物質である、請求項3に記載の免疫接合体。
  6. 前記細胞毒性物質が、リシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タクソール、臭化エチジウム、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルチシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、アクチノマイシンD、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素(PE)A、PE40、シリン、アブリン、グルココルチコイド及び放射性同位元素から成る群から選択されている、請求項5に記載の免疫接合体。
  7. 前記細胞毒性物質が放射性同位元素であり、そしてスカンジウム-44、スカンジウム-46、イットリウム-88、イットリウム-90、イットリウム-91、パラジウム-103、銀―110m、銀-11、プロメチウム-147、レニウム-186、ビスマス-206、及びビスマス-207から成る群から選択される、請求項5に記載の免疫接合体。
  8. 前記検出可能な標識が、放射性標識、酵素、発色団、又は蛍光物質である、請求項4に記載の免疫接合体。
  9. 前記放射性標識が、アンチモン-124、アンチモン-125、砒素―74、バリウム-103、バリウム-140、ベリリウム-7、ビスマス-j206、ビスマス-207、カドミウム-109、カドミウム-115m、カルシウム-45、セリウム-139、セリウム-141、セリウム-144、セシウム-137、クロム-51、コバルト-56、コバルト-57、コバルト-58、コバルト-60、コバルト-64、エルビウム-169、ユーロピウム-152、ガドリニウム-153、金-195、金-199、ハフニウム-175、ハフニウム-181、インジウム-11、ヨウ素-123、ヨウ素-131、イリジウム-192、鉄-55、鉄-59、クリプトン-85、鉛-210、マンガン-54、水銀-197、水銀-203、モリブデン-99、ネオジム-147、ネプツニウム-237、ニッケル-63、ニオブ-63、オスミウム-185+191、パラジウム-103、白金-195m、プラセオジミウム-143、プロメチウム-147、プロトアクチニウム-233、ラジウム-2226、レニウム-186、ルビジウム-86、ルテニウム-103、ルテニウム-106、スカンジウム-44、スカンジウム-46、セレニウム-75、銀―110m、銀-11、ナトリウム-22、ストロンチウム-85、ストロンチウム-89、ストロンチウム-90、硫黄-35、タンタル-182、テクネチウム-99m、テルル-125、テルル-132、タリウム-170、タリウム-204、トリウム-228、トリウム-232、錫-113、チタン-44、タングステン-185、バナジウム-48、バナジウム-49、イッテルビウム-169、イットリウム-88、イットリウム-90、イットリウム-91、亜鉛-65、及びジルコニウム95から成る群から選択される、請求項8に記載の免疫接合体。
  10. キレート化剤を用いる、請求項3又は4に記載の免疫接合体。
  11. 請求項3、5〜7及び10のいずれか1項に記載の免疫接合体を含んで成る医薬組成物。
  12. 配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するヒトRG1ポリペプチドを発現する細胞を破壊するための、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するRG1ポリペプチドを発現する癌を治療するための、請求項11又は12に記載の医薬組成物。
  14. 配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するヒトRG1ポリペプチドを発現する細胞を破壊するための医薬組成物を製造するための、請求項3及び5〜7のいずれか1項に記載の免疫接合体の使用。
  15. 配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するRG1ポリペプチドを発現する癌を治療するための医薬組成物を製造するための、請求項14に記載の免疫接合体の使用。
  16. 配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するヒトRG1ポリペプチドを検出するための、請求項4及び8〜10のいずれか1項に記載の免疫接合体を含んで成る診断剤。
  17. 前立腺腫瘍細胞を検出するための、請求項16に記載の診断剤。
  18. 前記癌が、前立腺癌、結腸癌、腎癌、肝臓癌又は胃癌である、請求項13に記載の医薬組成物。
  19. 前記癌が、前立腺癌、結腸癌、腎癌、肝臓癌又は胃癌である、請求項15に記載の使用。
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